JP6354634B2 - 剥離性積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、優れた剥離性を有する積層フィルムに関する。特に、電子部品又は電子基板の製造工程、あるいは繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程等に使用される剥離性のフィルム等に関する。さらに詳しくは、剥離フィルム、剥離ライナー、又は複合材料製造時のキャリアー、保護材のセパレータフィルム等として特に有用な、剥離性フィルムに関する。
ポリプロピレンフィルムは、軽量性、熱的安定性及び機械特性に優れており、包装用を始め、工業用材料フィルムとして広く用いられている。特に近年は、ポリプロピレンフィルムの低い表面エネルギーを利用して、非シリコーン系の離型材料として、電子部品、電子基板の製造工程、繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程等に使用される保護材、離型材等に広く使用されている。
例えば、ポリプロピレンフィルムは、表面保護フィルムの粘着面等の被着面に対して貼付した状態で保管、流通等され、表面保護フィルム等を使用する際には被着面から剥離される剥離フィルムとして使用される。被着面から剥離フィルムを剥離する際、フィルムを構成する樹脂組成物の相溶性が悪いと、剥離フィルムの一部が被着面に移行する場合がある。この場合、当該被着面を有する表面保護フィルム等をさらに別の面に貼付して使用する際に、移行した剥離フィルムの一部が別の面にさらに移行することが問題となる場合がある。
剥離性の向上を目指して作られたポリプロピレンフィルムとして、例えば、ポリプロピレン樹脂と4−メチルペンテン−1重合体とを含有する樹脂組成物からなる両表層Aと、ポリプロピレン樹脂からなる中間層Bとを有するフィルムが知られている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載のフィルムにおいては、4−メチルペンテン−1重合体の量やポリプロピレン樹脂と4−メチルペンテン−1重合体との相溶性によっては、剥離フィルムを被着面から剥離する際にフィルムの一部が被着面に移行する場合がある。
また、特許文献2には、ポリプロピレン系樹脂と高密度ポリエチレン樹脂を含有する粗面化層を含む積層フィルムが記載されている。しかし、特許文献2に記載された積層フィルムも、ポリプロピレン樹脂と高密度ポリエチレン樹脂との相溶性によっては、剥離フィルムを被着面から剥離する際にフィルムの一部が被着面に移行する場合がある。
また、剥離フィルムは、通常、表面保護フィルム等を相手基材として、相手基材の粘着面等の被着面と剥離フィルムの剥離性面とを貼り合わせて使用される。剥離フィルムと相手基材とを貼り合わせたフィルムは、通常、ロール状に巻き取られ、この状態で保管、流通等される(この状態のフィルムを、以下において「巻取」とも称する)。そのため、剥離フィルムとしてのポリプロピレンフィルムは、相手基材と貼り合わせた状態でロール状に巻き取りやすいことも求められる。ここで、フィルムを巻き取る際には、フィルム間において、空気が共に巻き取られる。そのため、巻取内に空気が入る。剥離フィルムにおける剥離性面の反対に位置する面の平滑性が高すぎると、共に巻き取られた空気が巻取から放出されにくく、巻取に物理的な力がかかった場合にフィルムがずれて、巻取端部に凹凸が生じる場合がある。そのため、適度な巻取り性を有するためには、剥離性面の反対に位置する面が適度に粗化されていることも求められる。
さらに、剥離フィルムは、剥離面を被着面に貼り合わせた際に視認性が損なわれない程度の透明性を有することも求められる。
そこで、良好な剥離性及び適度な巻取り性を有し、使用時に視認性が損なわれないフィルムが求められている。
特開2014−30974号公報 特開2014−24940号公報
本発明の課題は、良好な剥離性及び適度な巻取り性を有し、使用時に視認性が損なわれない、剥離性積層フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために積層フィルムについて詳細に検討を重ね、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕最外層としてのA層及び最外層としてのB層を少なくとも有する剥離性積層フィルムであって、該A層は剥離層であり、ポリプロピレンaを含み、該B層は、ポリプロピレンb1及びポリプロピレン以外のポリオレフィンb2を含む、積層フィルム。
〔2〕前記積層フィルムの厚みは5〜60μmである、前記〔1〕に記載の積層フィルム。
〔3〕前記A層の表面の中心線平均粗さRaは0.2〜1μmであり、前記A層の表面の最大粗さRmaxは2.5〜10μmである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の積層フィルム。
〔4〕前記B層の表面の中心線平均粗さRaは0.01〜0.5μmであり、前記B層の表面の最大粗さRmaxは0.1〜5μmである、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の積層フィルム。
〔5〕前記A層を構成する樹脂はポリプロピレンaである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の積層フィルム。
〔6〕前記B層を構成する樹脂は、ポリプロピレンb1、100質量部に対して、ポリオレフィンb2を0.01〜5質量部含有する、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の積層フィルム。
〔7〕前記積層フィルムのヘーズは25%以下である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の積層フィルム。
本発明の積層フィルムは、良好な剥離性及び適度な巻取り性を有し、使用時に視認性が損なわれない。
本発明の積層フィルムは、最外層としてのA層及び最外層としてのB層を少なくとも有する。
本発明の積層フィルムにおけるA層は、剥離層である。剥離層とは、本発明の積層フィルムを剥離フィルムとして使用する際に、表面保護フィルムの粘着面等の被着面に対して貼付される層である。
本発明の積層フィルムにおけるA層は、ポリプロピレンaを含む。A層は、ポリプロピレンaとして1種類のポリプロピレンを含有してもよいし、2種以上のポリプロピレンを含有してもよい。ポリプロピレンaとしては、プロピレンの単独重合体(ホモポリマー)、及び、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20の少なくとも1種のα−オレフィン(例えば、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなど)とのコポリマーが挙げられる。ポリプロピレンaは、A層の機械強度及び耐熱性を維持しやすい観点から、ポリプロピレンホモポリマーであることが好ましい。ポリプロピレンaがプロピレンとエチレン及び/又はα−オレフィンとのコポリマーである場合、該コポリマーは、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーのいずれであってもよい。コポリマー中のプロピレン以外のモノマーの含有量は、積層フィルムの良好な剥離性及び表面性(表面粗度)を得やすい観点から、好ましくは3%以下であり、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。コポリマー中のプロピレン以外のモノマーの含有量は通常0.05%以上であり、好ましくは0.05〜3.0%である。
ポリプロピレンaの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20万〜60万であり、より好ましくは30万〜50万である。ポリプロピレンaの重量平均分子量Mwが上記の下限以上であると、十分な樹脂流動性が得られ、キャスト原反シートの厚みを制御しやすく、幅方向に精度良く延伸されたフィルムを作製しやすいため好ましい。また、ポリプロピレンaの重量平均分子量Mwが上記の上限以下であると、得られるシートの力学特性を高めやすく、延伸性を高めやすいため好ましい。
ポリプロピレンaの、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として算出される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは4以上であり、より好ましくは5以上である。ポリプロピレンaの分子量分布(Mw/Mn)が上記の下限以上であると、延伸前のキャスト原反シートにおいてβ晶を十分に生成させることができ、適度に粗化された表面を得やすいため好ましい。ポリプロピレンaの分子量分布(Mw/Mn)の上限は特に限定されないが、好ましくは8以下である。
ポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。GPC法に使用されるGPC装置には特に制限はなく、ポリオレフィン類の分子量分析が可能な市販の高温型GPC測定機(例えば、東ソー株式会社製、示差屈折計(RI)内蔵型高温GPC測定機、HLC−8121GPC-HT)等を使用することができる。この場合、例えば、実施例に記載するようなGPCカラム、カラム温度、溶離液、流速にて測定することができる。通常、標準ポリスチレンを用いて検量線を作製し、ポリスチレン換算により重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を得る。
ポリプロピレンaのメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1.0g/10分〜6.0g/10分であり、より好ましくは2.0g/10分〜5.0g/10分である。ポリプロピレンaのメルトフローレートが上記の下限以上であると、十分な樹脂流動性が得られ、キャスト原反シートの厚みを制御しやすく、幅方向に精度良く延伸されたフィルムを作製しやすいため好ましい。また、ポリプロピレンaのメルトフローレートが上記の上限以下であると、得られるシートの力学特性を高めやすく、延伸性を高めやすいため好ましい。MFRは、JIS K−7210(1999)に準拠し、メルトフローインデクサー(例えば、株式会社東洋精機製作所製メルトインデクサー)を用いて、230℃、荷重21.18Nで測定することができる。なお、本明細書において別途温度を記載している場合には、その温度で測定を行う。
本発明の積層フィルムにおいて、A層を構成する樹脂はポリプロピレンaであることが好ましい。A層を構成する樹脂はポリプロピレンaであることが、本発明の積層フィルムを剥離フィルムとして被着面に貼り合わせた後、本発明の積層フィルムを被着面から剥離する際の被着面へのフィルムの移行を防止しやすく、また、A層の表面性を調整しやすい観点から好ましい。A層を構成する樹脂として、ポリプロピレンaに加えて、ポリプロピレンa以外の樹脂が含有される場合、樹脂の相溶性や適度に粗化された表面を得やすい観点から、ポリプロピレンa以外の樹脂の含量は、A層を構成する樹脂全体に基づいて、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。ポリプロピレンa以外の樹脂の含量の下限は、0%以上である。
本発明の積層フィルムにおけるB層は、ポリプロピレンb1及びポリプロピレン以外のポリオレフィンb2を含む。ポリプロピレンb1としては、ポリプロピレンaについて上記に述べたポリプロピレンが挙げられる。ここで、ポリプロピレンb1は、ポリプロピレンaと同一のポリプロピレンであってもよいし、ポリプロピレンaとは異なるポリプロピレンであってもよい。また、B層は、ポリプロピレンb1として、1種類のポリプロピレンを含有してもよいし、2種以上のポリプロピレンを含有してもよい。
ポリプロピレンb1の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20万〜60万であり、より好ましくは30万〜50万である。ポリプロピレンb1の重量平均分子量Mwが上記の下限以上であると、十分な樹脂流動性が得られ、キャスト原反シートの厚みを制御しやすく、幅方向に精度良く延伸されたフィルムを作製しやすいため好ましい。ポリプロピレンb1の重量平均分子量Mwが上記の上限以下であると、得られるシートの力学特性を高めやすく、延伸性を高めやすいため好ましい。
ポリプロピレンb1の、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として算出される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは4以上であり、より好ましくは5以上である。ポリプロピレンb1の分子量分布(Mw/Mn)が上記の下限以上であると、延伸前のキャスト原反シートにおいてβ晶を十分に生成させることができ、適度に粗化された表面を得やすいため好ましい。ポリプロピレンb1の分子量分布(Mw/Mn)の上限は特に限定されないが、好ましくは8以下である。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定方法は、上記に述べたとおりである。
ポリプロピレンb1のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1.0g/10分〜6.0g/10分であり、より好ましくは2.0g/10分〜5.0g/10分である。ポリプロピレンb1のメルトフローレートが上記の下限以上であると、十分な樹脂流動性が得られ、キャスト原反シートの厚みを制御しやすく、幅方向に精度良く延伸されたフィルムを作製しやすいため好ましい。また、ポリプロピレンb1のメルトフローレートが上記の上限以下であると、得られるシートの力学特性を高めやすく、延伸性を高めやすいため好ましい。MFRの測定方法は、上記に述べたとおりである。
本発明の積層フィルムにおけるB層は、ポリプロピレンb1に加えて、ポリオレフィンb2を含む。B層は、ポリオレフィンb2として、1種類のポリオレフィンを含有してもよいし、2種以上のポリオレフィンを含有してもよい。ポリオレフィンb2は、ポリプロピレン以外のオレフィンの重合体であり、例えばエチレン及び炭素数4〜20のオレフィン(例えば1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなど)からなる群から選択される少なくとも1種のモノマーの重合体が挙げられる。ポリオレフィンb2は、プロピレン以外の1種のオレフィンのホモポリマーであってもよいし、プロピレン以外の2種以上のオレフィンのコポリマーであってもよい。ポリオレフィンb2は、適度に粗化された表面を形成させやすい観点から、少なくともエチレンを含むオレフィンのポリオレフィンであることが好ましく、エチレンホモポリマー又はエチレンと炭素数4〜20のオレフィンとのコポリマーであることがより好ましく、エチレンホモポリマーであることがより好ましい。
ポリオレフィンb2がエチレンのホモポリマーである一態様において、エチレンのホモポリマーは、ポリプロピレンとの密度差を利用して、適度に粗化された表面を形成させやすい観点から、高密度ポリエチレンであることが好ましい。
ポリプロピレン以外のポリオレフィンがエチレンと炭素数4〜20のオレフィンとのコポリマーである一態様において、該コポリマー中のエチレン以外のモノマーの含有量は好ましくは3%以下であり、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
前記B層を構成する樹脂は、適度な巻取り性を有し、基材に貼り合せた際の視認性を失わない程度の表面粗度を得やすい観点から、ポリプロピレンb1、100質量部に対して、ポリオレフィンb2を0.01〜5質量部含有することが好ましい。ポリオレフィンb2の量が上記の下限以上であると、良好な巻取り性を得やすいため好ましく、上記の上限以下であると、積層フィルムの適度な表面粗度が得られ、積層フィルムを被着面に貼り合わせて使用する際に十分な視認性を得やすいため好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、B層を構成する樹脂は、ポリプロピレンb1及びポリオレフィンb2であることが、B層の表面性を調整しやすい観点から好ましい。B層を構成する樹脂として、ポリプロピレンb1及びポリオレフィンb2に加えて、これら以外の樹脂が含有される場合、樹脂の相溶性や適度に粗化された表面を得やすい観点から、これら以外のその他の樹脂の含量は、B層を構成する樹脂全体に基づいて、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。ポリプロピレンb1及びポリオレフィンb2以外の樹脂の含量の下限は、0%以上である。
A層及び/又はB層を構成する樹脂は、それぞれ、含有する灰分が100ppm以下であることが好ましい。灰分は重合触媒残渣等に起因し、微小異物(フィッシュアイ)の原因となる。灰分の含有量が100ppm以下、好ましくは50ppm以下であると、フィッシュアイを防止することができる。灰分の含有量は、重合時の触媒の種類や使用量をコントロールする方法等により調整することができる。
本明細書において、灰分の含有量は、ISO3451−1に準拠して、以下のように測定される。A層及び/又はB層を構成する樹脂をるつぼに入れ、マッフル炉にて750℃で1時間加熱し、るつぼ内の残存物の質量を測定する。そして、るつぼに投入した樹脂の質量に対する、るつぼ内の残存物の質量の割合を算出し、これを灰分の含有量とする。
A層及び/又はB層は、上記ポリプロピレンa、又は、ポリプロピレンb1及びポリオレフィンb2等の他に、必要に応じて少なくとも1種の添加剤を含有してよい。添加剤とは、一般的に、ポリプロピレンに使用される添加剤である限り特に制限されない。このような添加剤としては、例えば酸化防止剤、塩素吸収剤、紫外線吸収剤等の安定剤、滑剤、可塑剤、難燃化剤、帯電防止剤、着色剤等が挙げられる。このような添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内でA層及び/又はB層に添加してよい。
ただし、A層及びB層は核剤及びアンチブロッキング剤を含有しないことが好ましい。A層及びB層が核剤及びアンチブロッキング剤を含有しない場合、延伸前のキャスト原反シートにおいてβ晶を十分に生成させやすく、良好な剥離性、及び、適度な巻取り性を有する積層フィルムを製造しやすいため好ましい。
「酸化防止剤」には、積層フィルム製造時の押出成形機内での熱や酸化による劣化を抑制する目的で配合される1次剤としての役割と、長期使用した際の経時的な劣化を抑制する目的で配合される2次剤としての役割とが、少なくともある。これらの役割に応じて、各々異なる種類の酸化防止剤を用いても構わないし、1種類の酸化防止剤に2つの役割を持たせてもよい。
異なる種類の酸化防止剤を用いる場合、押出成形機内での劣化抑制を目的とする1次剤としては、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(一般名称:BHT)を、樹脂組成物中に1000〜3000ppm程度添加することが好ましい。この目的で配合された酸化防止剤は、押出成形機内での成形工程でほとんどが消費され、延伸ポリプロピレンフィルム中にはほとんど残存しない。そのため、一般的には残存量は100ppmより少なくなり、酸化防止剤による成形体の内容物や被着体の汚染がほとんどない点で好ましい。
2次剤としては公知の酸化防止剤が使用可能だが、例えば、フェノール系、ヒンダードアミン系、ホスファイト系、ラクトン系、トコフェロール系の熱安定剤及び酸化防止剤が挙げられる。具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシ)ベンゼン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。より具体的には、BASFジャパン株式会社製の酸化防止剤である、Irganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)1330、Irgafos(登録商標)168が挙げられる。
中でも、フェノール系酸化防止剤系から選択された少なくとも1種あるいはそれらの組み合わせ、フェノール系とホスファイト系との組み合わせ、フェノール系とラクトン系との組み合わせ、フェノール系とホスファイト系とラクトン系との組み合わせが、フィルムを長期使用した際の経時的な劣化を抑制する効果を付与できるため好ましい。
また2次剤としてリン系酸化防止剤を使用してもよい。リン系酸化防止剤として、例えば、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:イルガフォス168)、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト(商品名:イルガフォス38)などが挙げられる。
2次剤としての該酸化防止剤の含有量は、A層を形成するための樹脂組成物中に含まれるポリプロピレンa又はB層を形成するための樹脂組成物中に含まれるポリプロピレンb1及びポリオレフィンb2の総量に基づいて、300ppm以上2500ppm以下が好ましく、500ppm以上1500ppm以下がより好ましい。300ppm以上とすることでフィルムを長期使用した際の経時的な劣化を抑制する効果を付与しやすく、2500ppm以下とすることで、被着体の酸化防止剤による汚染を防止しやすい。
「塩素吸収剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り特に限定されない。塩素吸収剤として、例えば、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸等が挙げられる。
「紫外線吸収剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り特に限定されない。紫外線吸収剤として、例えば、ベンゾトリアゾール(BASFジャパン製Tinuvin328等)、ベンゾフェノン(Cytec製Cysorb UV−531等)、ハイドロキシベンゾエート(Ferro製UV−CHEK−AM−340等)等が挙げられる。
「滑剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り特に限定されない。滑剤として、例えば、第一級アミド(ステアリン酸アミド等)、第二級アミド(N−ステアリルステアリン酸アミド等)、エチレンビスアミド(N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド等)等が挙げられる。
「可塑剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り特に限定されない。可塑剤として、例えば、PPランダム共重合体等が挙げられる。
「難燃化剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り特に限定されない。難燃化剤として、例えば、ハロゲン化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、リン酸塩、ボレート、アンチモン酸化物等が挙げられる。
「帯電防止剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り特に限定されない。帯電防止剤として、例えば、グリセリンモノエステル(グリセリンモノステアレート等)、エトキシル化された第二級アミン等が挙げられる。
「着色剤」は、ポリプロピレンに対して通常使用されるものである限り特に限定されない。着色剤として、例えば、カドミウム、クロム含有無機化合物、アゾ、キナクリドン有機顔料等が挙げられる。
本発明の積層フィルムは、最外層としてのA層及び最外層としてのB層を少なくとも有する積層フィルムである。本発明の積層フィルムは、最外層としての1つのA層及び最外層としての1つのB層を含む限り特に限定されず、1つのA層及び1つのB層を有する積層フィルムであってもよいし、1つのA層及び2つ以上のB層を有する積層フィルムであってもよいし、2つ以上のA層及び1つのB層を有する積層フィルムであってもよい。さらに、本発明の積層フィルムは、上記A層及びB層に加えて、他のC層をさらに備える積層フィルムであってもよい。
本発明の積層フィルムにおいて、最外層の1つであるA層の表面の中心線平均粗さRaは、好ましくは0.2〜1μmであり、より好ましくは0.2〜0.8μmであり、さらに好ましくは0.3〜0.6μmである。A層の表面の中心線平均粗さRaが上記の下限以上であると、積層フィルムの剥離性を得やすいため好ましく、上記の上限以下であると、本発明の積層フィルムを被着面に貼り合わせた後、フィルムを被着面から再び剥離する際に、被着面の樹脂または粘着層に型が残り、被着面を有する相手基材のその後の使用性に影響を及ぼすことを回避しやすいため好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、最外層の1つであるA層の表面の最大粗さRmaxは、好ましくは2.5〜10μmであり、より好ましくは2.5〜8.0μmであり、さらに好ましくは3.0〜6.0μmである。A層の表面の最大粗さRmaxが上記の下限以上であると、積層フィルムの剥離性を得やすいため好ましく、上記の上限以下であると、本発明の積層フィルムを被着面に貼り合わせた後、フィルムを被着面から再び剥離する際に、被着面の樹脂または粘着層に型が残り、被着面を有する相手基材のその後の使用性に影響を及ぼすことを回避しやすいため好ましい。
A層の表面の上記粗さは、例えば、A層に含まれるポリプロピレンaのβ晶の生成を制御することにより、上記の範囲に調整することができる。β晶の生成割合は、一般的には、キャスト温度やキャストスピードによって制御することができる。また、縦延伸工程のドラム温度によって、β晶の融解/転移割合を制御することもできる。これらのβ晶の生成割合とβ晶の融解/転移のパラメーターについて最適な製造条件を選択することで、上記の範囲に調整することができる。
本発明の積層フィルムにおいて、最外層の1つであるB層の表面の中心線平均粗さRaは、好ましくは0.01〜0.5μmであり、より好ましくは0.03〜0.50μmであり、さらに好ましくは0.05〜0.40μmである。A層の表面の中心線平均粗さRaが上記の下限以上であると、積層フィルムの巻取り性を高めやすいため好ましく、上記の上限以下であると、本発明の積層フィルムを被着面に貼り合せて使用する際の視認性を高めやすいため好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、最外層の1つであるB層の表面の最大粗さRmaxは、好ましくは0.1〜5μmであり、より好ましくは0.3〜5.0μmであり、さらに好ましくは0.5〜4.0μmである。A層の表面の最大粗さRmaxが上記の下限以上であると、積層フィルムの巻取り性を高めやすいため好ましく、上記の上限以下であると、本発明の積層フィルムを被着面に貼り合せて使用する際の視認性を高めやすいため好ましい。
B層の表面の上記粗さは、例えば、B層に含まれるポリプロピレンb1及びポリオレフィンb2の種類、混合割合を制御することにより、上記の範囲に調整することができる。
ここで、中心線平均粗さRa及び最大粗さRmaxの測定は、表面粗さ・輪郭形状測定器(例えば東京精密社製「サーフコム 1400D型」)を用い、JIS−B0601・1982に定められている方法に準拠して測定することができる。
本発明の積層フィルムの厚みは、好ましくは5〜60μmであり、より好ましくは10〜50μmであり、さらに好ましくは10〜40μmである。積層フィルムの厚みが上記の下限以上であると、保護フィルムや剥離材などの用途において好適に使用することができるため好ましい。また、積層フィルムの厚みが上記の上限以下であると、延伸時のフィルムの均一性を高めやすいため好ましい。積層フィルムの厚みは、マイクロメーター(JIS B−7502)を用いて、JIS C−2151に準拠して測定することができる。
本発明の積層フィルムにおけるA層の厚みは、良好な剥離性を示す表面粗さを得やすい観点から、好ましくは1〜30μmであり、より好ましくは5〜20μmである。本発明の積層フィルムにおけるB層の厚みは、好ましくは4〜30μmであり、より好ましくは5〜15μmである。A層及びB層の厚みは、積層フィルムを切断して断面を顕微鏡で観察して測定することができる。
本発明の積層フィルムのヘーズは、十分な剥離性および巻取り性を得やすい観点から、好ましくは5〜25%であり、より好ましくは7〜25%であり、さらに好ましくは9〜25%である。
本発明の積層フィルムは、例えば、ポリプロピレンaを含有する組成物Aと、ポリプロピレンb1及びポリオレフィンb2を含有する組成物Bが少なくとも最外層として積層した2層以上の構成のキャスト原反シートを製造する工程(i)と、該キャスト原反シートを二軸延伸する工程(ii)により、製造することができる。
工程(i)では、まず、組成物A及び組成物Bをそれぞれ、押出機において、200〜260℃で溶融混練した後、合流装置で合流させ、Tダイから押出す。この際、合流装置よりも上流側において、ポリマーフィルターを用い、各組成物から粗大異物を除去しておくことが好ましい。
合流は、Tダイよりも前の管内で行う方法、Tダイの樹脂導入部に設けられた積層ユニットにより行う方法(フィードブロック法)、Tダイ内で拡幅後に樹脂を積層する方法(マニホールド積層法)等の公知の方法で行える。これらの中では、マニホールド積層法が積層厚み精度の点で優れているが、経済性等も考慮して、これらの中から適宜選択できる。
次いで、このように押出された2層以上の構成の積層物を、ドラム面が75〜100℃に制御された少なくとも1つの金属ドラム(冷却ドラム)上にエアナイフにより密着させて、シート状に成形し、例えば厚みが500〜5000μmのキャスト原反シートを得る。
次いで、工程(ii)において、前記延伸前のキャスト原反シートに延伸処理を行うことにより、本発明の積層フィルムを製造することができる。当該延伸処理としては、流れ(長手、縦、MDとも称する)方向及び幅(横、TDとも称する)方向への二軸延伸が好ましいが、必要に応じて斜め方向へ延伸する二軸延伸でもよい。
延伸方法としては、チューブラー法、テンター法、周速差を設けたロール間で延伸する方法等があり、二軸を同時に延伸したり、二軸を逐次に延伸したりすることができる。厚み斑がなく、平面性が良好な二軸延伸フィルムが得られやすいことから、テンター法による同時二軸延伸法、テンター法による逐次二軸延伸法、及び、周速差を設けたロール間で流れ方向に延伸した後テンター法にて幅方向に延伸する逐次二軸延伸法が好ましい。
逐次二軸延伸法としては、例えば、まずキャスト原反シートを100〜160℃の温度に保ち、速度差を設けたロール間に通す、あるいはテンターに導いて、流れ方向に3〜8倍に延伸した後、必要に応じて0〜10%程度緩和する。引き続き、当該一軸延伸フィルムをテンターに導いて120〜180℃の温度で幅方向に6〜12倍に延伸した後、必要に応じて0〜10%程度緩和し、熱固定を施して、巻き取る。
同時二軸延伸法では、キャスト原反シートをテンターに導いて、120〜180℃の温度で、流れ方向及び幅方向に上述の延伸倍率へ延伸した後、必要に応じて0〜10%程度緩和し、熱固定を施す。その後、得られた二軸延伸積層フィルムの端部を必要に応じてトリミングした後、巻き取る。このような工程により、良好な剥離性及び適度な巻取り性を有し、使用時に視認性が損なわれない、本発明の積層フィルムが得られる。
巻き取られたフィルムは、所望のサイズの巻取とされて、さらには必要に応じて所望の製品幅に断裁され、例えば表面保護用フィルム及び固定用フィルム等の粘着面に貼付して使用する剥離フィルムとして流通する。
本発明の積層フィルムは、上述のとおり、A層及びB層を最外層として有し、上記特性を有するため、特に剥離フィルムとして優れている。本発明の積層フィルムは、光学用フィルム、表面保護用フィルム、固定用フィルム、磁気記録媒体、感熱転写フィルム、電気絶縁材料、包装材料、剥離材、粘着テープ等において、粘着面に貼付して使用する剥離フィルムとして用いることができる。
本発明の積層フィルムは、特に、例えば電子部品;半導体基板、電子基板等の各種基板;液晶表示構成部材(偏光板、位相差フィルム、ディスプレイマザーガラス等)等の光学材料等の表面を、これらの製造工程、運搬・貯蔵中等に保護する表面保護用フィルムや、光学部材や電子部材等を運搬、加工、保管等する際の固定用フィルム等といったフィルムの粘着面に貼付して使用する剥離フィルムとして、好適に使用される。
次に、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、これらの例は本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。また、特に断らない限り、「部」及び「%」という記載は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
[樹脂の各物性値の測定]
(1)メルトフローレート(MFR)
JISK−7210(1999)に準じて、株式会社東洋精機製作所製メルトインデクサーを用いて測定した。
[積層フィルムの各物性値の測定]
(2)ヘーズ
日本電色工業製「NDH-5000」を用い、JIS-K7136に定められている方法に準拠して、積層フィルムのヘーズを測定した。測定は3回行い、その平均値を用いた。
(3)中心線平均粗さ(Ra)及び最大粗さ(Rmax)
表面粗さ・輪郭形状測定器、東京精密社製「サーフコム 1400D型」を用い、JIS-B0601・1982に定められている方法に準拠して、接触法により、750μNの測定荷重にて、積層フィルムの中心線平均粗さRa及び最大粗さRmaxを測定した。測定は5回行い、その平均値を用いた。
[積層フィルムの評価]
(4)剥離性
5cm×20cmに切り出した積層フィルムを、剥離層であるA層を介して、粘着剤層を有する基材(5cm×20cm、非シリコーン系PETセパレータフィルム、粘着剤層:エポキシ系粘着剤)の粘着面上に重ね、2kgのローラーを2往復させることにより貼り合わせ、23℃50%の環境下に1時間静置した。得られたフィルムを25mm幅に切り出し、評価試料を作製した。評価試料において、積層フィルムを基材から剥離する際の剥離性を、次の基準で官能評価した。
○:エポキシ系粘着剤が積層フィルムに転移しない
×:エポキシ系粘着剤が積層フィルムに転移する
(5)視認性
粘着剤層を有する基材(5cm×20cm、非シリコーン系PETセパレータフィルム、粘着剤層:エポキシ系粘着剤)の粘着面上に、白色系及び黒色系の異物様サンプル(100μm×100μm)をそれぞれ置いた。異物様サンプルを置いた粘着面上に、5cm×20cmに切り出した積層フィルムを、剥離層であるA層を介して重ね、2kgのローラーを2往復させることにより貼り合わせ、23℃50%の環境下に1時間静置した。得られたフィルムを25mm幅に切り出し、評価試料を作製した。貼り合わせた状態の評価試料において、積層フィルム側から目視により、異物様サンプルを確認できるかどうかを、次の基準で官能評価した。
◎:白色系及び黒色系の異物様サンプルの両方が確認できる
○:白色系及び黒色系の異物様サンプルのいずれか一方のみが確認できる
×:白色系及び黒色系の異物様サンプルのいずれもが確認できない
(6)巻取り性
粘着剤層を有する基材(1200mm×4000m、非シリコーン系PETセパレータフィルム、粘着剤層:エポキシ系粘着剤)を相手基材として用いた。幅1200mmの積層フィルムを、相手基材の粘着面上に真空ラミネートにより貼り合わせ、評価試料を作製した。貼り合わせた状態の評価試料を50m/分の速度で巻き取り、ロール状のサンプルとした。巻取り後の各種工程作業(ベルト、リフトによる運搬作業、及び梱包作業)において、フィルムが滑り、ずれることにより生じる、巻取端部の凹凸を、次の基準で評価した。
〇:巻取の端部に凹凸がなく、巻き取りやすい
×:巻取の端部に顕著な凹凸が生じ、巻き取りにくい
実施例1
ポリプロピレンa及びポリプロピレンb1として、ホモポリプロピレン1、MFR=4.1g/10分、230℃、1000ppmのIrganox(登録商標)1330(酸化防止剤)及び50ppmのステアリン酸カルシウム(中和剤)を含有)のペレットを用いた。ポリオレフィンb2として、ポリエチレン樹脂(b2−1)(MFR=0.041g/10分、190℃、300ppmのフェノール系酸化防止剤、500ppmのIrgafos(登録商標)168(酸化防止剤)及び1350ppmのステアリン酸カルシウム(中和剤)を含有)を用いた。
A層を形成するために、押出機Iに上記ホモポリプロピレン1をホッパーから投入した。
B層を形成するために、まず、100質量部のホモポリプロピレン1及び33質量部のポリエチレン樹脂(b2−1)を含有するポリプロピレンマスターバッチを調製した。得られたポリプロピレンマスターバッチ5.3質量部を、100質量部のホモポリプロピレン1のペレットとドライブレンドし、ドライブレンド物を押出機IIにホッパーから投入した。なお、実施例1において、B層中のホモポリプロピレン1、100質量部に対する、ポリエチレン樹脂(b2−1)の量は1.0質量部である。
A層及びB層を形成する全ての樹脂を、ポリマーフィルターを経由させて、230℃で、マルチマニホールドダイから、A層/B層の2層構成の積層物として押出し、表面温度を90℃に調整した冷却ドラム上にエアナイフを用いて空気圧で押しつけながら、冷却固化させて、キャスト原反シートを得た。
次いで、前記キャスト原反シートを、金属ロールに接触させながら153℃に加熱後、周速差のあるロール間で流れ方向に約4.7倍延伸させた。次いで、該一軸延伸フィルムをクリップに挟みながら熱風オーブン中に導入して180℃に予熱後、幅方向に約9倍延伸させ、引き続き幅方向に約10%の弛緩をしながら170℃で熱固定を行い、約15μmの厚みを有する二軸延伸積層フィルムを連続的に得た。得られた二軸延伸積層フィルムの端部をトリミングした後、二軸延伸積層フィルムを巻き取り、積層フィルム1を得た。
実施例2
ポリオレフィンb2として、ポリメチルペンテン樹脂(b2−2)(MFR=9.0g/10分、260℃)を用いた。B層を形成するために、100質量部のホモポリプロピレン1のペレット及び18質量部のポリメチルペンテン樹脂(b2−2)のペレットをドライブレンドし、ドライブレンド物を押出機IIにホッパーから投入したこと以外は実施例1と同様にして、約15μmの厚みを有する積層フィルム2を得た。
比較例1
A層を形成するためにホモポリプロピレン1のみを押出機Iに投入し、B層を形成するためにホモポリプロピレン1のみを押出機IIに投入したこと以外は実施例1と同様にして、約15μmの厚みを有する積層フィルム3を得た。
比較例2
A層を形成するためにホモポリプロピレン1のみを押出機Iに投入し、B層を形成するためにホモポリプロピレン1のみを押出機IIに投入した。A層及びB層を形成する全ての樹脂を、ポリマーフィルターを経由させて、230℃で、マルチマニホールドダイから、A層/B層の2層構成の積層物として押出し、表面温度を87℃に調整した冷却ドラム上にエアナイフを用いて空気圧で押しつけながら、冷却固化させて、キャスト原反シートを得た。
次いで、前記キャスト原反シートを、実施例1と同様にして延伸させ、得られた二軸延伸積層フィルムの端部をトリミングした後、二軸延伸積層フィルムを巻き取り、積層フィルム4を得た。
比較例3
A層を形成するためにホモポリプロピレン1のみを押出機Iに投入し、B層を形成するためにホモポリプロピレン1のみを押出機IIに投入した。A層及びB層を形成する全ての樹脂を、ポリマーフィルターを経由させて、230℃で、マルチマニホールドダイから、A層/B層の2層構成の積層物として押出し、表面温度を85℃に調整した冷却ドラム上にエアナイフを用いて空気圧で押しつけながら、冷却固化させて、キャスト原反シートを得た。
次いで、前記キャスト原反シートを、実施例1と同様にして延伸させ、得られた二軸延伸積層フィルムの端部をトリミングした後、二軸延伸積層フィルムを巻き取り、積層フィルム5を得た。
得られた積層フィルム1〜5のヘーズ及び表面粗さ(中心線平均粗さ(Ra)及び最大粗さ(Rmax))を上記方法に従い測定し、剥離性、視認性及び巻取り性を、上記方法に従い評価した。結果を表1に示す。なお、積層フィルム1〜5についての剥離性の評価において、積層フィルムの一部が被着面である粘着剤層に移行するといった現象は見られなかった。
Figure 0006354634
表1に示されるように、特定の樹脂を含有するA層及びB層を最外層として有する本発明の積層フィルム(実施例1及び2)は、良好な剥離性及び適度な巻取り性を有し、使用時に視認性が損なわれないフィルムであることが分かる。これに対し、比較例1〜3のフィルムは、視認性が得られるものの十分な巻取り性を有さず、比較例2及び3の場合には剥離性も得られなかった。

Claims (6)

  1. 最外層としてのA層及び最外層としてのB層を少なくとも有する剥離性積層フィルムであって、該A層は剥離層であり、ポリプロピレンaを含み、該B層は、ポリプロピレンb1及びポリプロピレン以外のポリオレフィンb2を含前記A層の表面の中心線平均粗さRaは0.2〜1μmであり、前記A層の表面の最大粗さRmaxは2.5〜10μmである、
    積層フィルム。
  2. 前記積層フィルムの厚みは5〜60μmである、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記B層の表面の中心線平均粗さRaは0.01〜0.5μmであり、前記B層の表面の最大粗さRmaxは0.1〜5μmである、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記A層を構成する樹脂はポリプロピレンaである、請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記B層を構成する樹脂は、ポリプロピレンb1、100質量部に対して、ポリオレフィンb2を0.01〜5質量部含有する、請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記積層フィルムのヘーズは25%以下である、請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
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