JP2005280125A - 離型用ポリプロピレンフィルム - Google Patents

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宏之 加藤
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【課題】本発明はシリコーン等を含有せず、離型性能に優れたポリプロピレンフィルムを提供すること。
【解決手段】A層とB層の少なくとも2層からなる離型用ポリプロピレンフィルムであって、該A層および該B層がともにポリプロピレン樹脂からなり、該A層を構成するポリプロピレン樹脂の融点162〜168℃であり、かつ、該ポリプロピレンフィルムの120℃における幅方向の熱収縮率が2〜10%である離型用ポリプロピレンフィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコーン架橋体シート類、エポキシ樹脂基盤、不飽和ポリエステルからなる部材、繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程に好適な離型材料に関するものであり、特に成型部材との剥離性に優れた離型用ポリプロピレンフィルムに関するものである。
ポリプロピレンフィルムは表面エネルギーが低いために、優れた離型性能を有する。従って、この技術をベースとして、様々な工夫を施すことでさらに離型性能を高める技術が提案されてきた。例えば、さらにフィルムの熱寸法安定を向上するために、用いられるポリプロピレン樹脂の低分子量成分と融点を規定することで熱収縮率を低減する試み(例えば特許文献1)や、表面粗さと機械強度を最適化することでセラミックスラリー塗工性を向上する試み(特許文献2)、離型性能にヒートシール性能を組み合わせる試み(特許文献3)等が提案されている。この様に離型用途では用途用途に応じて、最適なフィルム特性・構成を有することが求められるのが通常である。
特開2001−146536号公報(特許請求の範囲) 特開平6−305041号公報(特許請求の範囲、[0003]〜[0004]段落) 特開2000−289148号公報(特許請求の範囲)
本発明はエポキシ樹脂基盤や不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂部材を成形する際に用いられ、作業性、離型性に優れたポリプロピレンフィルムを提供せんとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、表面結晶化度をアップすると共に熱収縮特性をコントロールすることにより、離型性能を高めた離型用ポリプロピレンフィルムを提供せんとするものである。すなわち本発明は、
(1)A層とB層の少なくとも2層からなる離型用ポリプロピレンフィルムであって、該A層および該B層がともにポリプロピレン樹脂からなり、該A層を構成するポリプロピレン樹脂の融点が162〜168℃であり、該ポリプロピレンフィルムの120℃における幅方向の熱収縮率が2〜10%であり、かつ、A層表面の表面濡れ張力が38〜48mN/mであることを特徴とするる離型用ポリプロピレンフィルム。
(2)フィルムの層構成がA層/B層/A層の3層構成であって、かつA層の厚みがおのおの0.5〜3μmであることを特徴とする(1)に記載の離型用ポリプロピレンフィルム。
(3)A層を構成するポリプロピレン樹脂100重量部に対し、さらにA層中にポリ4メチルペンテン1を0.1〜5重量部含有して得られることを特徴とする(1)または(2)に記載の離型用ポリプロピレンフィルム。
(4)B層を構成するポリプロピレン樹脂の極限粘度[η]が1.9〜2.8dl/gであることを特徴とする請求項(1)〜(3)のいずれかに記載の離型用ポリプロピレンフィルム。
である。
本発明は、シリコーン類を含有せず、離型特性に優れるため、シリコーン架橋体シート類、エポキシ樹脂基盤、不飽和ポリエステルからなる部材、繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程に好適である。また、特に部材成形後も該部材と微弱な接着力を維持しているため、不用意な剥離によって作業性が悪化することが無く、更に該部材の表面を保護フィルムとして次工程まで貼り合わせておくような場合に好適である。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明の離型用ポリプロピレンフィルムは少なくともA層とB層の2層のポリプロピレン樹脂層からなり、離型面として使用する面Aを形成するA層を構成するポリプロピレン樹脂の融点が162〜168℃であることが必要であり、好ましくは163〜167℃である。該融点が低すぎると離型性が低下し、一方該融点が高すぎると表面クラック等を生じやすく耐久性が低下する。本発明においては、離型面にA層を配置すれば良いので、片面のみ使用する場合は離型面に使用する一方の面にのみA層を配置すれば良いが、その場合でも、フィルムのカール低減、平面性の向上を図る上で、フィルムの両面にA層を設けることが好ましい。
ここで規定する融点とは、ポリマーが無配向状態で有する融解ピークであり、延伸配向等によりラメラ厚みが上昇すると172〜174℃にその融解ピークを有することがある。本発明者らは、ポリマーが固有に有する融解ピークが重要と考えている。このような融点をもつためには、ポリマーの立体規則性を向上させることが好ましく、メソペンタッド分率(mmmm)で定義させるモノマーの繰り返し単位の規則性は0.93〜0.99であることが好ましい。mmmmが低くすぎても、高すぎても融点を達成することが困難になり、離型性や耐久性の点でも問題を生じる。
また、A層には、さらに離型性を向上させる目的で他のポリマー、その他の添加剤を含有させることが可能である。但し、シリコーン化合物や帯電防止剤等は本発明の目的に合わないため、低分子量物の移行の可能性の低い高分子を添加することが好ましい。この目的のためには、ポリ4メチルペンテン1,ポリ4弗化エチレン、ポリ4弗化エチレン−3弗化エチレン共重合体等の弗化エチレン系ポリマーであることが好ましい。特に、ポリ4メチルペンテン1はポリプロピレン樹脂との分散性が比較的良好であるので好ましい。その添加量としては、A層を構成するポリプロピレン樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部含有していることが好ましく、さらに好ましくは、0.4〜3重量部であることが好ましい。ポリ4メチルペンテン1の添加量が少なすぎると離型性の改善効果が発現せず、該添加量が多すぎると表面粗さが大きくなったり、A層が劈開しやすくなるという問題を生じ易くなる。本発明に用いるポリ4メチルペンテン1樹脂としては、エチレン、及び、ヘキセン−1、ブテン−1等のα−オレフインを共重合したものを用いることが可能であるが、離型性を向上する上ではその融点が230〜245℃である樹脂が優れている。
また、A層の厚みは0.3〜6μm、更に好ましくは0.5〜3μmであると、耐熱性と耐久性が良好となるので好ましい。
次いで、本発明離型用ポリプロピレンフィルムの120℃における幅方向の熱収縮率は2〜10%であることが必要であり、好ましくは3〜8%である。熱収縮率が低すぎると離型性が低下し、高すぎると加工時の問題を生じる。さらに、本発明フィルムの140℃における熱収縮率は5〜25%、より好ましくは6〜20%であると離型性の点で良好となるので好ましい。
このような収縮特性を持たせるためには、2軸延伸工程で製造される際に、幅方向の延伸倍率をアップする方法や延伸後のリラックス率・温度を制御する方法が挙げられる。また、より好ましい方法としては、B層を構成するポリプロピレン樹脂の極限粘度[η]を1.9〜2.8dl/g、さらに好ましくは2.0〜2.4dl/gとすることである。ポリプロピレン樹脂の極限粘度は分子量に相関するパラメータであり、高分子量にする程極限粘度は上昇するが、高分子量化することで分子の物理的な架橋点を増やし熱収縮を大きくすることが可能となる。また、ポリプロピレン樹脂の立体規則性を低下させたり、プロピレン系共重合体を添加する等の方法も可能であるが、フィルム剛性が低下したり、融点が低下する等の問題を生じる可能性があり、より前述の方法が好ましい。
次いで、本発明ポリプロピレン樹脂にはA層、B層に限らず、酸化防止剤を含有するが、具体的には、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、フォスファイト系、ラクトン系、トコフェロール類が例示され、具体的には、(BHT)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例えば、チバガイギー社製 Irganox1010)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼン(例えば、チバガイギー社製 Irganox1330)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(例えば、チバガイギー社製 Irgafos168)が挙げられる。この中で、ヒンダードフェノール系酸化防止剤系から選ばれた少なくとも1種あるいはそれらの組み合わせ、あるいはヒンダードフェノール系とフォスファイト系との組み合わせ、及び、ヒンダードフェノール系とラクトン系、ヒンダードフェノール系とフォスファイト系とラクトン系の組み合わせが、ポリプロピレンの安定性を向上する観点から好ましい。ここで、燐系酸化防止剤は通常2次酸化防止剤として機能するため、一次酸化防止剤であるヒンダードフェノール系と組み合わせる形で用いられることが多いが、燐系酸化防止剤はシリコーン架橋反応に対して比較的強い阻害能を有する場合が多く、添加量的には制限することが好ましく、酸化防止剤が燐系酸化防止剤を含有する場合は、前記燐系酸化防止剤が全酸化防止剤の1〜20%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜15%である。この観点からヒンダードフェノール系と燐系酸化防止剤の組み合わせを選定する場合、ラクトン併用系とすることで、燐系酸化防止剤の添加量を低減、もしくは不要となるので好ましい。
また、フェノール系酸化防止剤の中でも融点が高い物ほど架橋反応の阻害性が低減する傾向にあり、酸化防止剤としての機能とのバランスに置いて、その融点は100〜160℃であると好ましく、さらに好ましくは120〜145℃の範囲であると特に好ましい。このような酸化防止剤としては前述のIrganox1330が例示される。
さらに、酸化防止剤の総量は500〜2000ppmの範囲であると耐酸化劣化性と離型特性に優れるので好ましい。
尚、本発明フィルムには本目的に反しない範囲で、有機および/または無機の滑り剤、塩素捕獲剤等を含有することが可能である。
また、本発明フィルムの離型面の表面濡れ張力は38〜48mN/m、更に好ましくは40〜46mN/mとしておくことが必要である。こうすると例えば未加工物等との密着性が良好となり、加熱処理後の仕上がりが良好となり、更にある程度の被着体との微弱な接着力を維持することができ、加工後も成型品の搬送等に表面を保護するために直ちに剥離しない様な使用方法として好ましく使用することができる。
次いで、本発明フィルムの製造方法について説明するが、本発明が本方法に限定されないことは言うまでもない。
A層を構成するポリプロピレン樹脂(a)を押出機1にB層を構成するポリプロピレン樹脂(b)を押出機2にそれぞれ導いて溶融押出する。ここで、A層にポリ4メチルペンテン1等の他の樹脂を添加する場合は、押出機1にてペレットブレンドしても良いし、予め混練して所定の濃度もしくはマスターペレットとしてブレンドすることも可能である。
また、B層の冷キシレン可溶分を制御するために非晶成分等を添加する場合は、非晶成分を含有したマスターペレットを作っておいて、押出機2にてペレットブレンドすることが良い。
次いで、押出機1,2それぞれより押し出された樹脂はポリマー管を通じて、同一の口金に導いて、合流装置により、A/B2層、またはA/B/Aの3層の溶融シートとして成形し、冷却ドラム上でシート化する。こうして得られた冷却シートを予熱ロール群に導いて120〜145℃に予熱して、長手方向に3〜7倍に延伸後急冷し一軸延伸フィルムを得る。引き続き、該一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持してオーブンに導き、160〜180℃の予熱ゾーンで十分に予熱した後、140〜165℃で幅方向に5〜11倍に延伸し、150〜170℃で幅方向に0〜5%のリラックスを許しながら熱処理をして二軸延伸フィルムを得る。こうして得られた二軸延伸フィルムはエッジをトリミングした後に、コロナ処理あるいは火炎処理等の表面処理を施した上で、ロール状に巻き取る。
このようにして得られる本発明離型用ポリプロピレンフィルムの厚みは10〜100μm、更に好ましくは25〜80μmの範囲にあると加工性が良好になるで好ましく、この内、層Aの厚みは、前述の通り0.3〜6μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3μmである。
次に本発明に用いる測定法及び評価法について説明する。
(1)層構成の評価方法
フィルム断面をミクロトームで切り出し、偏光顕微鏡と走査型電子顕微鏡にて観察して層界面を検出して、層厚みを判定する。
(2)熱収縮率
JIS Z1712に準じて、以下の条件でフィルムの幅方向について測定する。
試長 :100mm
処理条件 :120±3℃×15分,140±3℃×15分
荷重 :3g
(3)メソペンタッド分率(mmmm)
試料を溶媒に溶解し、13C−NMRを用いて、以下の条件にてメソペンタッド分率(mmmm)(100分率)を求める。
<測定条件>
装置:Bruker社製、DRX−500
測定核:13C核(共鳴周波数:125.8MHz)
測定濃度:10wt%
溶媒:ベンゼン/重オルトジクロロベンゼン=1:3混合溶液
測定温度:130℃
スピン回転数:12Hz
NMR試料管:5mm管
パルス幅:45°(4.5μs)
パルス繰り返し時間:10秒
データポイント:64K
換算回数:10000回
測定モード:complete decoupling。
<解析条件>
LB(ラインブロードニングファクター)を1.0としてフーリエ変換を行い、mmmmピークを21.86ppmとした。WINFITソフト(Bruker社製)を用いて、ピーク分割を行う。その際に、高磁場側のピークから以下の様にピーク分割を行い、さらにソフトの自動フィッテイングを行い、ピーク分割の最適化を行った上で、mmmmとss(mmmmのスピニングサイドバンドピーク)のピーク分率の合計をメソペンタッド分率(mmmm)とする。
尚、測定はn=5で行い、その平均値を求める。
ピーク
(1)mrrm
(2)(3)rrrm(2つのピークとして分割)
(4)rrrr
(5)mrmm+rmrr
(6)mrr
(7)mmmr
(8)ss(mmmmのスピニングサイドバンドピーク)
(9)mmmm
(10)rmmr。
(4)融点
示差走査型熱量計(DSC)を用いて求める。サンプル5mgを窒素雰囲気中で室温より速度は20℃/10分で昇温して、結晶の融解に基づく吸熱ピークを融点(1st Run)とする。さらに、該サンプル280℃で5分保持した後に320℃/分で室温まで冷却した後に再度20℃/10分で昇温した際に測定される吸熱ピークを融点(2nd Run)とする。本発明においては2nd Runを融点として用いた。
尚、ポリプロピレンの融点は150〜170℃の範囲であり、ポリ4メチルペンテン1の融点は210〜250℃の範囲にあるので区別される。
(5)極限粘度[η]
ASTM D 1601に従って、テトラリン中で測定する(dl/g)。
(6)ポリ4メチルペンテン1の定量方法
反射赤外法(ATR法)でフィルム表面の赤外スペクトルから測定する。標準サンプルとして、ポリプロピレンとして住友化学製ノーブレン2016とポリ4メチルペンテン1として三井化学製TPX RT18を用い、ポリプロピレン:ポリ4メチルペンテン1の100%:0%、95%:5%、90%:10%、85%:20%(それぞれ重量%)の組成物をTダイで100μmのシート化し、赤外スペクトルを測定して検定用のスペクトルとした。
(7)濡れ張力
ホルムアミドとエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合液によるJIS K 6768に規定された測定方法に基づいて測定する。
(8)実用特性の評価方法
A.ヒートシール強度(表面耐熱性の評価)
フィルムサンプルの測定面同士を重ね合わせ、ヒートシーラーで熱圧着する。この際評価サンプルと加熱金属板が熱接着しないようポリエステルフィルム(ルミラー#188−S10)でカバーする。温度条件は150℃、1.0kg/cm2の荷重で1分間加熱・圧着した後に室温まで冷却して、幅20×100mmの短冊状にフィルムを切り出し、ヒートシール強度を引っ張り試験機で測定する。剥離方法は90度剥離とし、単位はN/20mmで表す。実用上の目安は大凡0.5N/20mm以下が好ましい。
B.離型特性
30cm×30cmの方形の2枚の離型用ポリプロピレンフィルムの間に面積20cm×20cm厚さ1mmになるようにガラスエポキシ樹脂の未硬化シートを配置して、150℃、面圧1.0kg/cm2で30分間エージングした後の離型特性を以下の様に評価した。
<作業性>
○:成形シートを取り出す際に容易にポリプロピレンフィルムを手で開封できる。
×:ポリプロピレンフィルム同士が融着してしまい、成形シートを取り出すためにカッターでポリプロピレンフィルムを切り開く必要がある。
<剥離性>
○ :抵抗感があり、剥離性は問題ない。
× :抵抗無くポリプロピレンフィルムが剥離してしまう。
××:剥離時にポリプロピレンフィルムの破断等を生じる。
A層を構成するポリプロピレン樹脂を押出機1より、B層を構成するポリプロピレン樹脂を押出機2より、それぞれ溶融押出し、A層/B層からなるシート状に成形して、25℃冷却ドラムに空気圧で密着させると共に直ちに25℃の水槽に導いて冷却固化した。次いで該シートを135℃で長手方向に4.5倍延伸し、次いで幅方向に155℃で9倍に延伸して2軸延伸フィルムを得た(方法1)。
A層を構成するポリプロピレン樹脂を押出機1より、B層を構成するポリプロピレン樹脂を押出機2より、それぞれ溶融押出し、A層/B層/A層からなるシート状に成形して、25℃冷却ドラムに空気圧で密着させると共に直ちに25℃の水槽に導いて冷却固化した。次いで該シートを135℃で長手方向に4.5倍延伸し、次いで幅方向に155℃で9倍に延伸して2軸延伸フィルムを得た(方法2)。
(実施例1)
A層を構成するポリプロピレン樹脂として、三井化学製F103WB(融点164℃)をB層を構成するポリプロピレン樹脂として住友化学製FS2016([η]=2.1dl/g)を用いた。
方法1により2軸延伸フィルムを得たが、横方向のリラックス率は1%となるようにした。また、延伸後にフィルムを巻き取る前にA面にコロナ放電処理を施した。この際フィルム厚み構成は全厚みが60μmであり、層構成はA:Bが2:58μmであった。こうして得られたフィルムはフィルムのカールが大きかったものの、特性は表2に示す通りであり、ポリプロピレンフィルム同士の接着も無く、成形シート取り出し時の作業性に優れ、剥離性に優れていた。
(実施例2)
A層として三井化学製F103WBをB層として住友化学製FS2011C([η]=2.3dl/g)を用いて、上述方法2にてA層/B層/A層からなる2軸延伸フィルムを得た。一方のA層表面はコロナ放電処理により43mN/mの濡れ張力になるよう処理された。こうして得られたフィルムはカールは無く、表2に示すように離型性は優れていた。
(実施例3)
実施例2において、A層として上記F103WBに、ポリ4メチルペンテン1(三井化学製TPX RT18)を2%添加した以外は同様にしてフィルムを得たが、実施例2に比較しヒートシール強度が低下したためか、成形シート取り出し時の作業性は更に良好であり、その他特性も表2に示すごとく優れていた。
(比較例1)
A層として住友化学製FS2016を用い、リラックス率を5%とした以外は実施例1と同様に製膜・評価したが、ポリプロピレンフィルム同士が融着してしまい、成形シートを取り出すためにはフィルムをカッターで切り開く必要があり、作業性に問題が生じた。
(比較例2)
実施例2において、B層として[η]=1.8dl/gのポリプロピレン樹脂を用いて、リラックス率を5%とした以外は同様に製膜して2軸延伸フィルムを得た。表面耐熱性は優れていたが、剥離性評価時にフィルムが破断した。
(比較例3)
実施例3においてコロナ放電処理を施さずにフィルムを得た。こうして得られたフィルムは成形シートから容易に剥離した。
Figure 2005280125
Figure 2005280125
本発明は、ポリプロピレン表面の耐熱性を向上し、かつ、熱収縮率を最適化しているために、熱硬化性部材を成形する際に優れた加工性・離型性を有するので、エポキシ基盤等のシート状物、釣り竿等の円筒状物に例示される部材成形用途に好適である。また、特殊例としては、表面処理を施した面に粘着剤等を塗布した上で、前駆体シートの片面または両面に本発明フィルムを貼合せた上で、140〜160℃の熱風雰囲気で加熱収縮させ前駆体シートを加工する目的で使用することもできる。
本発明の離型用ポリプロピレンフィルムの断面図である。
符号の説明
1:ポリプロピレン層(A層)
2:ポリプロピレン層(B層)

Claims (4)

  1. A層とB層の少なくとも2層からなる離型用ポリプロピレンフィルムであって、該A層および該B層がともにポリプロピレン樹脂からなり、該A層を構成するポリプロピレン樹脂の融点が162〜168℃であり、該ポリプロピレンフィルムの120℃における幅方向の熱収縮率が2〜10%であり、かつ、A層表面の表面濡れ張力が38〜48mN/mであることを特徴とする離型用ポリプロピレンフィルム。
  2. フィルムの層構成がA層/B層/A層の3層構成であって、かつA層の厚みが各々0.5〜3μmであることを特徴とする請求項1に記載の離型用ポリプロピレンフィルム。
  3. A層を構成するポリプロピレン樹脂100重量部に対し、さらにA層中にポリ4メチルペンテン1を0.1〜5重量部含有して得られることを特徴とする請求項1または2に記載の離型用ポリプロピレンフィルム。
  4. B層を構成するポリプロピレン樹脂の極限粘度[η]が1.9〜2.8dl/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の離型用ポリプロピレンフィルム。
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