JP2018204001A - ポリオレフィンフィルムおよび離型用フィルム - Google Patents

ポリオレフィンフィルムおよび離型用フィルム Download PDF

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Kohei Yamanaka
康平 山中
久万 琢也
Takuya Kuman
琢也 久万
一馬 岡田
Kazuma Okada
一馬 岡田
大倉 正寿
Masatoshi Okura
正寿 大倉
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Abstract

【課題】ハンドリング性、生産性、意匠性に優れたポリオレフィンフィルムおよび離型用フィルムを提供すること。【解決手段】ポリプロピレン樹脂を含むポリオレフィンフィルムであり、フィルム中に4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を含み、少なくとも片面の十点平均粗さSRzが3μm〜20μmである、ポリオレフィンフィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性、離型性、意匠性に優れた、離型用フィルムとして好適に用いることのできるポリオレフィンフィルムに関する。
ポリオレフィンフィルムは、透明性、機械特性、電気特性等に優れるため、包装用途、離型用途、テープ用途、ケーブルラッピングやコンデンサをはじめとする電気用途等の様々な用途に用いられている。特に、ポリプロピレンフィルムは表面の離型性や機械特性に優れることから、プラスチック製品+や建材や光学部材など、様々な部材の離型用フィルムや工程フィルムとして好適に用いられる。
離型用フィルムへの要求特性はその用途によって適宜設定されるが、近年、ポリオレフィンフィルムが高温条件での金型プレス成型における意匠性フィルムとして用いられる場合がある。意匠性フィルムには、例えば離型フィルム表面の凹凸をプレス時に部材に転写して意匠性を付与するものなどがあり、その場合、意匠性フィルムの表面は、粗面であることが求められる。また、成型物からフィルムを剥がす際に離型フィルムや成型物の破損、成型物への剥離痕、フィルムの基材層と表層での界面剥離などが発生しないよう、高い離型性や界面剥離抑制、耐熱性が求められている。このような粗面フィルムとしては、たとえば、特許文献1〜3に記載されるようなフィルムが提案されている。しかし、特許文献1に記載のフィルムは、凹凸はあるものの、耐熱性が不十分であり、高温条件での金型プレス成型時には溶融してしまうという問題があった。また、特許文献2,3では、フィルム表層にポリメチルペンテン樹脂を添加することで、離型性を向上させている記述があるが、凹凸が不十分であり、意匠性に劣るなどの問題があった。
WO2016/006578 特開2015−120331 特許第5924183号
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、耐熱性、離型性、意匠性に優れたポリオレフィンフィルムおよび離型用フィルムを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、ポリプロピレン樹脂を含むポリオレフィンフィルムであり、フィルム中に4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を含み、フィルムの一方の表面をA面、他方の表面をB面とした場合、少なくともA面の十点平均粗さSRzが3μm〜20μmであることを特徴とする。
本発明のポリオレフィンフィルムは、耐熱性、離型性、意匠性に優れることから、離型用フィルムとして好適に使用することができる。
本発明のポリオレフィンフィルムは、フィルムの一方の表面をA面、他方の表面をB面とした場合、少なくともA面の十点平均粗さSRzが3μm〜20μmである。
なお、本発明のポリオレフィンフィルムは、基材層(II)の少なくとも片面に表層(I)を有する、積層構成であることが好ましく、A面は4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂の含有量が多い方の表面であることが好ましい。両面とも4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂の含有量が同一の場合は、十点平均粗さSRzが大きい方の表面をA面とすることが好ましい。
意匠性を高める点からは、十点平均粗さSRzは、より好ましくは4μm〜20μm、更に好ましくは5μm〜20μm、特に好ましくは5μm〜15μmである。十点平均粗さSRzが3μm未満であると、たとえば金型プレス成型用の離型用フィルムとして用いたとき、フィルムの表面凹凸が部材に転写しにくくなり、部材表面に均一なマット感を与えられず、意匠性が低下してしまう場合がある。SRzは大きいほど好ましいが、SRzが20μmを超えると、離型用フィルムとして用いた場合、成型物からフィルムを剥離する際に、破れやすくなるなどの問題が生じる場合がある。十点平均粗さSRzを上記範囲とするには、後述する原料組成および製膜条件に基づき、表面の状態を微細に制御することにより達成可能である。
本発明のポリオレフィンフィルムのA面のグロス値は、50%以下であることが好ましく、より好ましくは45%以下、さらに好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下である。グロス値を50%以下とすることで、たとえば金型プレス成形用の離型用フィルムとして用いたとき、フィルムの表面凹凸が部材に転写しやすく、部材表面に十分なマット感を与えることができる。
グロス値は光沢度を表す値であり、金型プレス成形時の意匠性付与との相関が高く、値が低い程好ましいが、実質的には20%が下限である。
グロス値を20%以上とすることで、たとえば製膜時に破れにくく、生産性の低下を防ぎ、離型用フィルムとして用いたときに成形物から剥離する際、破れにくくすることができる。
グロス値を上記範囲とするには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、また、製膜条件を後述する範囲とすることで達成できる。特に、4−メチルペンテン−1を含んでなるオレフィン系樹脂を表層(I)に添加することで、表面に微細突起を形成する事に加え、後述する粒子を基材層(II)に添加することで、表面に粗大突起を形成し、緻密突起と粗大突起のサイズの異なる突起を両方とも形成させる事が、効果的である。
本発明のポリオレフィンフィルムは、フィルムのA面同士が対向するように重ね合わせて、温度160℃、圧力0.8kgf/cmで30秒間プレスした後の剥離力が0.09N/mm未満であることが好ましい。離型性の点から、より好ましくは0.08N/mm以下、更に好ましくは0.07N/mm以下、最も好ましくは0.05N/mm以下である。160℃、0.8kgf/cmで30秒間プレスした後の剥離力が0.09N/mm以上であると、プレス成型用の離型用フィルムとして使用した際に、プレス後に成型物から剥がす際に、離型フィルムが破れる場合や、成型物が破損する場合があるほか、破損しないとしても、金型からはみ出ているフィルム同士が融着する場合や、成型物に剥離痕を生じる場合がある。160℃・0.8kgf/cmで30秒間プレスした後の剥離力は低い程好ましいが、ポリオレフィンフィルムの場合、実質的には0.001N/mmが下限である。160℃、0.8kgf/cmで30秒間プレスした後の剥離力を上述範囲とするためには、製膜条件を後述する範囲としたり、フィルム基材に粒子を添加するなどによりフィルムの結晶性や表面形状を制御する方法、フィルム表層に表面自由エネルギーが低い原料を添加する方法などが有効である。
本発明のポリオレフィンフィルムは、フィルムの長手方向と幅方向の引裂強度の和が
2.5N/mm以上であることが好ましい。より好ましくは2.7N/mm以上、最も好ましくは2.9N/mm以上である。
フィルムの長手方向と幅方向の引裂強度の和を2.5N/mm以上とすることで、たとえば金型プレス成形時の離型用フィルムとして用いたときに、プレス時にフィルムが金型に追従しやすくなり、破れを防ぎ、また離型用フィルムを高速で剥離する際にも破れにくくすることができる。フィルムの長手方向と幅方向の引裂強度の和を2.5N/mm以上とするには、製膜条件を後述する範囲とすることで達成できる。
一般的に、フィルムに粒子および、4−メチルペンテン−1を含んでなるオレフィン系樹脂を添加すると、粗面化し耐熱性も向上するものの、延伸時に発生する、粒子とポリプロピレンの界面剥離によるボイド形成や、フィルム中で4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂が局在化した部分に応力集中することによる、引裂強度の低下により、金型プレス成形時の離型用フィルムとして用いた時に、プレス時にフィルムが金型に追従せず、破れてしまう場合や、離型用フィルムを高速で剥離する際に破れやすくなる場合などがあったが、製膜条件を後述する範囲とすることで、これら課題を解決した。
特に、縦一軸延伸フィルムをテンターに導いた際の予熱温度を、従来通りのポリプロピレンの融点である160℃付近に設定せず、従来より非常に高い170℃〜185℃に設定することにより、横延伸時のポリプロピレンの延伸張力を低下させ、粒子とポリプロピレンの界面剥離を抑制することにより、ボイドを開けにくくすることに加え、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を軟化させることにより、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を局在化させず均一延伸させる事が上述する課題の解決に効果的である。
本発明のポリオレフィンフィルムは、長手方向のヤング率EMD、および幅方向のヤング率ETDが、共に1.1GPa以上であることが好ましい。搬送性、離型性の点から、EMDはより好ましくは1.3GPa以上、更に好ましくは1.5GPa以上であることが望ましい。また、ETDはより好ましくは1.5GPa以上、更に好ましくは2.5GPa以上、最も好ましくは3.0GPa以上であることが望ましい。EMDまたはETDが1.1GPa未満であると、たとえばプレス成型用の離型用フィルムとして用いたとき、搬送時や剥離での張力でフィルムが伸びて表面形状を保持できない場合があるほか、成型物の表面に剥離痕が残る場合がある。EMDおよびETDは大きいほど好ましいが、フィルム張力が高いとプレス成型時にプレス圧力を高く設定する必要が生じるほか、ポリオレフィンフィルムの製膜時に破れが生じやすくなり、製膜性に劣る場合があることから、EMDは5GPa、より好ましくは4GPa、更に好ましくは3GPa、ETDは7GPa、より好ましくは6GPa、更に好ましくは5GPaを上限とすることが望ましい。EMDおよびETDの値を上記範囲とするためには、基材層および表面の原料組成を後述する範囲とするとともに、製膜条件を後述する範囲とし、フィルムを高倍率で二軸延伸してポリオレフィンフィルムを得る方法などが有効である。
なお、本発明においては、フィルムを製膜する方向に平行な方向を長手方向あるいはMD方向と称し、フィルム面内で長手方向に直交する方向を幅方向あるいはTD方向と称する。
本発明のポリオレフィンフィルムは、すくなくとも一軸方向に延伸していることが好ましく、二軸方向に延伸していることがより好ましい。延伸していないフィルムではコシが弱く、加工の際の搬送時や金型への挿入時に撓みや変形が生じる等生産性に劣る場合があるほか、ヤング率を離型フィルムとして用いる程度とすることが困難であることから搬送時や成型体から剥離する際に表面形状を保護できない、剥離痕が残る等の問題が生じる場合がある。
本発明のポリオレフィンフィルムは、前記A面の表面自由エネルギーが15〜29mN/mであることが好ましい。離型性の点からは、より好ましくは15〜28mN/m、更に好ましくは20〜28mN/m、最も好ましくは23〜28mN/mである。表面自由エネルギーが29mN/mを超えると、プレス離型用途の離型フィルムとして用いた際、成型物と剥離不良となり、成型物表面の形状が変化したり、成型物表面に剥離痕が残る場合がある。表面自由エネルギーは低いほど離型性がよいが、成型物が固体である場合の戴置搬送性、成型物が流動性を有する場合の塗布性等の点からは、15mN/m以上であることが望ましい。表面自由エネルギーを上記範囲とするには、フィルムの原料組成の調整や製膜条件によって調整できるが、特にフィルム表層に表面自由エネルギーの低い樹脂を添加することが有効である。
本発明のポリオレフィンフィルムは、160℃、0.8kgf/cmで30秒間プレス後のA面の十点平均粗さSRzは、意匠性の点から、2μm以上、より好ましくは、3μm以上、更に好ましくは、5μm以上、特に好ましくは7μm以上である。160℃、0.8kgf/cmで30秒間プレス後の十点平均粗さSRzは、大きすぎると、離型用フィルムとして用いた場合に、成型物からフィルムを剥離する際に破れやすくなるなどの問題があるため、上限としては、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。プレス後の十点平均粗さが2μm未満であると、たとえばプレス成型用の離型フィルムとして用いられる場合、プレス時に凹凸が潰れてしまい、凹凸が転写されにくくなり、意匠性が低下する場合がある。ここで、プレス後のA面の十点平均粗さSRzとは、後述する測定方法に従って、プレスし、3枚目に配置したサンプルのA面について測定した十点平均粗さSRzをいう。プレス後の十点平均粗さを上記範囲とするには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、また、製膜条件を後述する範囲とし、とくに原料組成、縦、横軸の延伸倍率を後述する範囲とすることが有効である。
本発明のポリオレフィンフィルムの厚みは、用途によって適宜調整されるものであり、特に限定はされないが、ハンドリング性の観点からは0.5μm以上、100μm以下であることが好ましい。厚みが0.5μm未満であると、加工時の搬送の際にフィルムが反ったり、皺が発生したりする場合があり、100μmを超えると、表面の形状を制御するための粒子の量が増加してフィルム製膜時に押出不良や破れの原因となる場合がある。本発明のポリオレフィンフィルムは、引張剛性に優れるため、搬送性等のハンドリング性が良好であり、厚みは、より好ましくは1μm以上40μm以下であり、更に好ましくは1μm以上30μm以下であり、最も好ましくは1μm以上25μm以下であると、好適に使用することができる。なお、本発明における厚みは、後述するフィルム厚み測定方法で測定した値をいう。
次に、本発明のポリオレフィンフィルムの構成や好適に用いられるポリオレフィン原料、およびその原料を用いたフィルムの構成について説明する。
本発明のポリオレフィンフィルムは、粒子の添加量や、表面突起の制御の点から、ポリオレフィンを主成分とする基材層(II)の少なくとも片面に表層(I)を設けた積層構成であることが好ましい。また、積層構成とする場合、A面は表層(I)の表面であることが好ましい。
本発明のポリオレフィンフィルムは、製膜性、耐熱性、意匠性の観点から、フィルム中にポリプロピレン(以下、PPとも記す)樹脂を含むことが必要である。ポリプロピレン樹脂は、主にプロピレンの単独重合体からなることが好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素からなる共重合成分を含有してもよいし、プロピレン以外の重合体がブレンドされても良い。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量またはブレンド量は、フィルム強度や引張剛性の観点から、共重合量では10mol%未満、より好ましくは5mol%未満、特に好ましくは1mol%未満であることが望ましく、ブレンド量では20質量%未満、より好ましくは10質量%未満、特に好ましくは5質量%未満とすることが望ましい。また、本発明で用いるポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、製膜性やフィルムの引張剛性の観点から、1〜10g/10分(230℃、2.16Kgf)、より好ましくは2〜5g/10分(230℃、2.16Kgf)である。ここで、MFRとはJIS K 7210(1995)で規定されている樹脂の溶融粘度を示す指標であり、ポリオレフィン樹脂の特徴を示す物性値である。本発明においては230℃、2.16kgfで測定した値を指す。MFRを上記の値とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが採用される。
前記ポリプロピレン樹脂は、製膜安定性、フィルムの引張剛性の点から、冷キシレン可溶部(以下CXS)が4質量%以下であることが好ましい。ここで、冷キシレン可溶部(CXS)とは、試料をキシレンで完全溶解せしめた後、室温で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレン成分のことをいい、立体規則性の低い、分子量が低い等の理由により、結晶化し難い成分であると考えられる。このような成分が多く樹脂中に含まれている場合、フィルムの引張剛性に劣ることがある。従って、CXSは4質量%以下であることが好ましいが、更に好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。CXSは低いほど好ましい。このような低CXSのポリプロピレン樹脂とするには、樹脂を得る際の触媒活性を高める方法、得られた樹脂を溶媒あるいはプロピレンモノマーで洗浄する方法等が挙げられる。
前記ポリプロピレン樹脂のメソペンタッド分率は、製膜安定性およびフィルムの引張剛性の観点から0.95以上、更に好ましくは0.97以上である。メソペンタッド分率は核磁気共鳴法(NMR法)で測定されるポリプロピレンの結晶相の立体規則性を示す指標であり、該数値が高いものほど結晶化度が高く、融点が高くなり、高温での使用に適するため好ましい。メソペンタッド分率の上限については特に規定するものではない。このように立体規則性の高い樹脂を得るには、n−ヘプタン等の溶媒で得られた樹脂パウダーを洗浄する方法や、触媒および/または助触媒の選定、組成の選定を適宜行う方法等が好ましく採用される。
また、本発明のポリオレフィンフィルムは離型性および耐熱性の観点から、フィルム中に4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を含むことが必要である。4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂とは、4−メチルペンテン−1の単独重合体でも良いし、4−メチルペンテン−1と、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどに代表される、4−メチルペンテン−1以外の炭素原子数2〜20のα―オレフィン共重合体であってよい。4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂としては、例えば、三井化学株式会社製、TPX(登録商標)DX310、TPX(登録商標)DX231、TPX(登録商標)MX004などが例示できる。
本発明のポリオレフィンフィルムは、基材層(II)の少なくとも片面に表層(I)を有する、積層構成であることが好ましく、A面は4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂の含有量が多い方の表面であることが好ましい。この際、含有量を比較する方法としては、例えば、次のような方法で例示される。
たとえば、FT―IR―ATR法などにより、フィルム表面を測定し、ポリプロピレンのCH基(2917cm−1)の吸収強度で規格後、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂のスペクトル強度を比較する方法などがある。
本発明のポリオレフィンフィルムが多層フィルムである場合、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を表層(I)と基材層(II)の少なくとも一方の層に用いればよく、耐熱性、離型性の点からは、少なくとも表層(I)に用いることが望ましい。多層フィルムにおける、層を構成する樹脂の全成分を100質量%とした場合の4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂の含有量は、耐熱性の点から、10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、最も好ましくは60質量%以上である。界面剥離抑制の点からは、上限は95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
また、従来、層を構成する樹脂の全成分を100質量%とした場合の4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂の含有量が55質量%を超えた場合、界面剥離が悪化するという課題があった。しかし、本願では、製膜条件を後述する範囲とすることで、上述する課題を解決した。
特に、横延伸前の予熱工程にて165℃〜185℃で予熱することで、延伸応力を下げながら延伸する事が重要であり、横延伸前の予熱工程にて165℃〜185℃で予熱すれば、含有量が55質量%を超えた条件においても、界面剥離を抑制する事が可能となる。また、本発明のポリオレフィンフィルムは、ポリプロピレン樹脂と4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂との親和性の点から、フィルム中にブテン系共重合体を含有することが好ましい。ブテン系重合体としては、たとえば三井化学株式会社製、ポリブテン−1樹脂、P5050N、タフマー(登録商標)BL3450M、タフマー(登録商標)BL3110Mなどが挙げられる。
ブテン系共重合体は、表層(I)と基材層(II)の少なくとも一方の層に用いればよい。フィルム中に4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を含有する場合、含有量によっては、積層フィルムの場合、表層(I)と基材層(II)の界面にて剥離が生じ、加工性に劣る場合があるほか、プレス離型用として使用した場合に、離型後の成型物に表層(I)が付着物として残留する場合がある。フィルム破断や界面剥離を効果的に抑制する点からは、ブテン系共重合体の含有量はフィルムを構成する全樹脂成分を100質量%とした場合に、1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上である。また、ブテン系共重合体の含有量が多すぎると、離型性が低下する場合があることから、上限としては30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより望ましい。
本発明のポリオレフィンフィルムにおいては、表面形状の制御の点から、フィルム中に粒子を含有することが好ましい。フィルムが多層フィルムである場合には、表層(I)、および基材層(II)の少なくともいずれかの層に粒子を添加することが好ましく、表面形状の制御と製膜工程や離型フィルムとして用いる際の搬送工程における粒子の脱落抑制を両立する点からは、基材層(II)に粒子を添加することが好ましい。基材層(II)に添加した粒子により、基材層の表面(基材層と表層(I)との界面)に凹凸を形成し、表層(I)の厚みを後述する範囲とすることにより、表層(I)の表面に凹凸を形成することができ、意匠性を向上することができる。
本発明において使用する粒子としては、製膜工程での剪断応力や熱、離型フィルムとして使用する際のプレス圧や熱により粒子形状を失わないものであれば特に限定されず、無機粒子や有機粒子単独で、または組み合わせて使用することができる。無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物や硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム、マイカ、カオリン、クレー、ゼオライトなどを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物や、ゼオライト、炭酸カルシウムが好ましい。有機粒子としては、例えば、ポリメトキシシラン系化合物の架橋粒子、ポリスチレン系化合物の架橋粒子、アクリル系化合物の架橋粒子、ポリウレタン系化合物の架橋粒子、ポリエステル系化合物の架橋粒子、フッ素系化合物の架橋粒子、もしくはこれらの混合物を挙げることができる。
上記無機粒子および有機粒子の平均粒径は、1〜10μm、より好ましくは2〜10μm、更に好ましくは3〜10μm、最も好ましくは4〜10μmである。平均粒径が1μm未満では基材層および表層(I)の表面粗さが小さくなり、プレス成型時の成型体への意匠性付与が不十分となる場合がある。10μmを超えると離型用フィルムとして用いた場合、成型物からフィルムを剥離する際に破れやすくなったり、離型フィルムとして使用した際、大径突起を転写してしまい、外観不良の原因となる場合があるほか、製品にダメージをあたえてしまう場合がある。ここで、無機粒子の平均粒径の測定方法は、粒子の透過型電子顕微鏡写真から画像処理により得られる円相当径を用い、50個の粒子について円相当径を測定し、その平均値を平均粒径とする。
上記粒子の含有量としては、粒子を含有する層を構成する全成分を100質量%としたとき、2〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは、5〜30質量%であることが望ましい。含有量が2質量%未満では、表面粗さが小さくなり、意匠性が低下する場合がある。また、50質量%を超えると、離型用フィルムとして用いた場合、成型物からフィルムを剥離する際に、破れやすくなるなどの問題が発生する場合がある。
本発明のポリオレフィンフィルムにおいて、表層(I)の厚みは5μm以下、より好ましくは3μm以下、更に好ましくは1μm以下である。意匠性の付与を阻害しない範囲であれば、下限は特に限定されないが、積層ムラの抑制や、安定製膜性の点からは、0.05μm以上であることが望ましい。表層(I)の厚みが5μmを超えると、SRzが小さくなり、意匠性が低下する場合がある。表層(I)の厚みを上記範囲内とするためには、表層(I)の樹脂押出に使用する押出機のスクリュウ回転数、未延伸シートの幅、製膜速度、延伸倍率などにより調整可能である。
本発明のポリオレフィンフィルムの表層(I)厚みをd(μm)とし、本発明において使用する無機粒子および/または有機粒子の平均粒径をφ(μm)とした場合、φ/dは0.2〜20、より好ましくは1〜18、更に好ましくは5〜15であることが望ましい。φ/dが0.2未満であると、たとえば金型プレス成型用の離型用フィルムとして用いた場合に、フィルム表面凹凸の転写性に劣り、部材表面マット感が不均一となり、意匠性が低下する場合がある。また、φ/dが20を超えた場合、プレス成型用途として使用した場合、成型物からフィルムを剥がす際に、破れやすくなるなどの問題が生じる場合がある。φ/dを上記範囲とするためには、上述した無機粒子および/または有機粒子の添加や、添加量、粒子径の調整、また、表層(I)の樹脂押出に使用する押出機のスクリュウ回転数、未延伸シートの幅、製膜速度、延伸倍率などにより調整可能である。
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、フィルム中に酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、ブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有してもよい。特に、ポリオレフィンの熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を含有せしめることが好ましい。酸化防止剤を用いる場合、含有量は、フィルムを構成する樹脂成分の全量を100質量%とした場合、2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
次に本発明のポリオレフィンフィルムの製造方法を積層構成の態様を一例として説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、基材層(II)(以下B層とする)を構成するポリオレフィン原料BをB層用の単軸押出機に供給し、表層(I)(以下A層とする)を構成するポリオレフィン原料AをA層用の単軸押出機に供給し、それぞれ200〜260℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、マルチマニホールド型のA層/B層の複合Tダイにて例えば1/50の積層厚み比になるように積層し、キャストドラム上に吐出し、A層/B層の層構成を有する積層未延伸シートを得る。積層比は、1/20〜1/160であるとより好ましく。更に好ましくは、1/30〜1/140である。ここで積層構成はA層/B層/A層の3層積層構成の方が、より好ましく、その際の積層厚み比(A層を足し合わせた二層の厚みの合計と、B層厚みの比率)も上述した範囲であることが好ましい。A層の積層比が大きすぎる場合、SRzが小さくなることで、凹凸が転写されにくくなり、意匠性が低下する場合がある。また離型性が発現すれば下限は特に限定されないが、A層の積層比が小さすぎる場合、積層ムラが生じる場合があり、安定した製膜が困難になる場合があるため、実質的には1/100/1が限界である。この際、キャストドラムは表面温度が30〜130℃であることが好ましい。キャストドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性の観点からエアーナイフ法が好ましい。エアーナイフのエアー温度は、25〜100℃、好ましくは30〜80℃で、吹き出しエアー速度は130〜150m/sが好ましく、幅方向均一性を向上させるために2重管構造となっていることが好ましい。また、フィルムの振動を生じさせないために製膜下流側にエアーが流れるようにエアーナイフの位置を適宜調整することが好ましい。
得られた未延伸シートは、空気中で放冷された後、縦延伸工程に導入される。縦延伸工程では、まず複数の100℃以上150℃未満に保たれた金属ロールに未延伸シートを接触させて延伸温度まで予熱し、長手方向に3〜8倍に延伸した後、室温まで冷却する。延伸温度が150℃以上であると、延伸ムラが生じたり、フィルムが破断する場合がある。また延伸倍率が3倍未満であると、延伸ムラが生じたり、フィルムの配向が弱くなり、引張剛性が低下する場合がある。
次いで縦一軸延伸フィルムをテンターに導いてフィルムの端部をクリップで把持し、165℃〜185℃で予熱することが好ましい。170℃〜185℃が更に好ましく、最も好ましくは175℃〜185℃である。185℃を超えるとフィルムが融けてしまい、クリップに融着する場合や、延伸時に破れやすくなり、生産性が低下する場合などがある。
本願のように、フィルム中に粒子および4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を添加することで、離型性や耐熱性などが向上するが、一般的なポリプロピレンの融点である160℃付近にて予熱した際は、粒子とポリプロピレンの界面剥離による、ボイド形成により、引裂強度の低下や、高速製膜時に破れやすくなり、生産性が低下する場合がある。また、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂の融点はポリプロピレンの融点よりも高く、160℃付近では延伸性の差が大きいため、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂が局在かする事で引裂強度を低下させる場合や、マット感に斑が生じるなどの、品位を低下させる場合などがある。
そのため、横延伸時の予熱温度を165℃〜185℃にすることで、横延伸時の延伸応力を下げ、ポリプロピレンと粒子の界面剥離を抑制し、ボイドの発生を抑えることに加え、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を軟化させることにより均一延伸し、局在化を防ぐができ、前記の課題を解決した。
また、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂が添加されていない場合、横延伸時の予熱温度を165℃〜185℃にした場合、フィルムが融けてしまい、クリップに融着する場合や、延伸時に破れやすくなり、生産性が低下する場合などがあったが、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を表層(I)に添加することで、予熱温度を165℃〜185℃に設定することが可能になった。
本願のようにフィルム中に粒子および4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を含む場合は、粒子によるボイドと、低伸度である4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を含むことにより、高速製膜時に破れやすく、生産性が低下する場合があるため、上述した予熱条件が好ましい。また、従来であれば予熱の温度範囲を165℃〜185℃に設定した際、フィルムがクリップに融着する場合などがあるが、本願のように、融点が200℃以上である4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を含む場合は、165℃〜185℃の予熱温度においても、フィルムのクリップへの融着を防ぐ事ができる。
上述した条件にて予熱後、横延伸を150〜165℃の温度で幅方向に7〜13倍に延伸する。延伸温度も予熱温度と同様に、165℃〜185℃にすると、フィルムが熱を受けすぎてしまい、破れる場合がある。また、予熱温度を一般的なポリプロピレンの融点である160℃付近にし、延伸温度を175℃〜185℃にした場合は、延伸が開始される段階では、フィルムが暖まっていないため、ボイドが形成される場合や、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂が局在化する場合がある。そのため、延伸温度は、150〜165℃が好ましい。また、倍率が高いとフィルムが破断する場合があり、倍率が低いとフィルムの配向が弱く引張剛性が低下する場合がある。
続く熱処理および弛緩処理工程ではクリップで幅方向を緊張把持したまま幅方向に2〜20%の弛緩率で弛緩を与えつつ、100℃以上160℃度未満の温度で熱固定し、続いて80〜100℃での冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、ワインダ工程にてフィルムエッジ部をスリットし、フィルム製品ロールを巻き取る。
以上のようにして得られた本発明のポリオレフィンフィルムは、包装用フィルム、離型用フィルム、工程フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途で用いることができるが、特に離型性、耐熱性および意匠性に優れることから、離型用フィルム、工程フィルムとして好ましく用いることができる。特に本発明のポリオレフィンフィルムは、離型性と意匠性に優れるため、例えば、繊維強化複合材料の金型プレス用の離型用フィルムとして用いると、プレス後の製品からの離型性に優れ、また、製品にマット面を転写させることができるため好ましい。
本発明のポリオレフィンフィルムを用いて、金型プレスにより繊維強化複合材料を形成する方法を例示すると、次のとおりである。
まず、後述する製造例1に準じた方法で、繊維強化複合材料板のプリプレグを製造する。次に、プリプレグの両面に本発明のポリオレフィンフィルムを重ね合わせる。続いて金型プレス装置にて、140〜160℃、0.5〜1.0MPaで3〜30分プレスし、プリプレグを硬化させ、金型から取り出して常温に戻した後、本発明の離型用フィルムを剥離して繊維強化複合材料を得る。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。また、表面粗さ(SRz)、剥離力、表面自由エネルギーの測定面(A面)は、繊維強化複合材料と接する面と同一の面とした。フィルムの両側の面が十点平均粗さSRz 3μm〜20μmを満足する場合には、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂の含有量が多い側の面をA面とした。また、4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂の含有量が両側の面で同等の場合は、十点平均粗さSRzが大きい方の表面をA面とした。
(1)フィルム厚み
マイクロ厚み計(アンリツ社製)を用いて5点測定し、平均値を求めた。
(2)フィルムの表面粗さ(SRz)
表面粗さ計(SURFCORDER ET4000A:(株)小坂研究所製)を用い、JIS−B−0601:2001に基づき、下記測定条件にて測定を行い、十点平均粗さSRz(nm)を求めた。
<測定条件>
測定速度:0.1mm/s
測定範囲:長手方向1,000μm、幅方向1,000μm
測定ピッチ:長手方向1μm、幅方向15μm
カットオフ値λc:0.2mm
触針先端半径:0.2μm
測定はA面について3カ所測定し、平均値とした。
(3)グロス値
JIS K-7105(1981)に準じ、スガ試験機株式会社製 デジタル変角光沢計UGV-5Dを用いて、入射角60°受光角60°の条件で測定した5点のフィルムのA面の平均値を、フィルムのグロス値とした。
(4)160℃、0.8kgf/cmで30秒間プレスした後の剥離力
本発明のフィルムを10cm四方に2枚サンプリングし、剥離強度を測定したい面(A面)同士を重ね合わせて、プレス機で0.8kgf/cm、160℃で30秒間プレスした。
その後、剥離試験機(KYOWA製、剥離解析装置、VPA−2)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°にて剥離強度を測定した。
(5)引裂強度
フィルムの長手方向、および幅方向の引裂強度(N/mm)を(株)東洋精機製作所のデジタル式軽荷重引裂試験機を用いて測定した。サンプルサイズは引裂方向に63mm、引裂方向の垂直方向が50mmで、引裂方向に13mmの切れ込みを入れ、残り50mmを引き裂いた時の引裂強さ(mN)を読み取り、下記の計算式にて引裂強度(N/mm)を算出した。
引裂強度(N/mm)=引裂強さ(mN)/フィルム厚み(μm)
測定は5回行い、その平均値を引裂強度とした。
(6)長手方向および幅方向のヤング率(EMD、ETD
サンプルを試験方向長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンAMF/RTA−100)を用いて、JIS−K7127(1999)に規定された方法に準じて、25℃、65%RH雰囲気で5回測定を行い、平均値を求めた。ただし、初期チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として、試験を開始してから荷重が1Nを通過した点を伸びの原点とした。
(7)表面自由エネルギー
測定液として、水、エチレングリコ−ル、ホルムアミド、及びヨウ化メチレンの4種類の液体を用い、協和界面化学(株)製接触角計CA−D型を用いて、各液体のフィルム表面に対する静的接触角を求めた。なお、静的接触角は、各液体をフィルム表面に滴下後、30秒後に測定した。各々の液体について得られた接触角と測定液の表面張力の各成分を下式にそれぞれ代入し4つの式からなる連立方程式をγSd、γSp、γShについて解いた。
(γSd・γLd)1/2+(γSp・γLp)1/2+(γSh・γLh)
1/2=γL(1+COSθ)/2
但し、γS=γSd+γSp+γSh
γL=γLd+γLp+γLh
γS、γSd、γSp、γShはそれぞれフィルム表面の表面自由エネルギー、分散力成分、極性力成分、水素結合成分を、またγL、γLd、γLp、γLhは用いた測定液のそれぞれ表面自由エネルギー、分散力成分、極性力成分、水素結合成分を表わすものである。ここで、用いた各液体の表面張力は、Panzer(J.Panzer,J.Colloid Interface Sci.,44,142(1973)によって提案された値を用いた。
(8)プレス後の表面粗さ(SRz)
本発明のフィルムを10cm四方に5枚サンプリングし、フィルムのA面を上にし、フィルムのMD方向とTD方向が同一になるように5枚重ね合わせて、プレス機で0.8kgf/cm、160℃の条件で30秒間プレスした。その後、5枚のポリオレフィンフィルムを剥がして、5枚中3枚目のフィルムについて、上記(2)と同様の方法で表面粗さを測定した。
(9)繊維強化複合材料からの離型性
後述する製造例1に記載の方法でプレス成形し、繊維強化複合材料から本発明のフィルムを手で剥離する際の剥離性について、以下の基準で評価し、◎及び○を合格とした。
◎:フィルムが一定速度で剥離可能。
○:剥離抵抗がやや強いが、剥離可能。
×:剥離時にフィルムが伸びる、または破れる。
(10)繊維強化複合材料のマット感
後述する製造例1に記載の方法で作製した繊維強化複合材料について、表面のマット感を目視で観察し、以下の基準で評価し、◎及び○を合格とした。
◎:マット感が特に強く良好である。
○:マット感が強く繊維強化複合材料中の繊維目が確認できない。
×:目視で繊維強化複合材料中の繊維目が確認可能。
(11)粘着テープの剥離性
本発明のフィルムのA面に日東電工(株)製ポリエステル粘着テープNo.31B(幅:19mm、以下31Bテープ)をローラーで貼付しサンプルを作成した。フィルムに貼付した31Bテープの長さが50mmとなるようにカットした。そのサンプルの31Bテープを貼り付けた裏面に日東電工(株)製一般用両面テープNo.501Fを貼り付け、金属板に固定した。その後、剥離試験器を用いて、31Bテープを把持し、500mm/minの速度で剥離し、以下の基準で評価した。
○を合格とした。
○:31Bテープにフィルムが付着しない。
△:31Bテープの粘着面に、フィルムの一部(31Bテープ貼付面積の10%未満)が付着する。
×:31Bテープの粘着面に、フィルム(31Bテープ貼付面積の10%以上)が付着する。
(製造例1)
(1)エポキシ樹脂組成物の作製
エポキシ樹脂組成物として、“エピコート”(登録商標)828を20質量部、“エピコート”(登録商標)834を20質量部、“エピコート”(登録商標)1001を25質量部、(以上、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピコート”(登録商標)154を35質量部(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、アミン系硬化剤としてDICY7(ジシアンジアミド、ジャパンエポキシレジン(株)製)を4質量部、リン系化合物として“ノーバレッド”(登録商標)120(平均粒径25μm、リン含有量85質量%、燐化学工業(株)製)を3質量部、硬化促進剤として“オミキュア”(登録商標)24(2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)を5質量部、熱可塑性樹脂として“ビニレック”(登録商標)K(ポリビニルホルマール、チッソ(株)製)を5質量部、を以下の(a)〜(c)に示す手順でニーダーで混合し、ポリビニルホルマールが均一に溶解したエポキシ樹脂組成物を得た。
(a)各エポキシ樹脂原料とポリビニルホルマールとを150〜190℃に加熱しながら1〜3時間攪拌し、ポリビニルホルマールを均一に溶解する。
(b)樹脂温度を90℃〜110℃まで降温し、リン系化合物を加えて20〜40分間攪拌する。
(c)樹脂温度を55〜65℃まで降温し、ジシアンジアミド、および2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)を加え、該温度で30〜40分間混練後、ニーダー中から取り出して樹脂組成物を得る。
(2)プリプレグの作製
続いて調製した樹脂組成物を、リバースロールコータを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムの単位面積あたりの樹脂量は、25g/mとした。次に、単位面積あたりの繊維重量が100g/mとなるようにシート状に一方向に整列させた炭素繊維“トレカ”(登録商標)T700SC−12K−50C(東レ株式会社製)に樹脂フィルムを炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧して樹脂組成物を含浸させ、プリプレグを作製した。
(3)繊維強化複合材料の作製
上記プリプレグの両面に下記実施例および比較例で作製したポリオレフィンフィルムのA面を貼り付け、加熱プレスを用いて圧力0.8MPa、温度160℃で3分間で加熱加圧し、加圧プレス機から取り外して常温まで冷却した後、下記実施例および比較例で作製したポリオレフィンフィルムを剥離して、厚さ約0.2mmの繊維強化複合材料を得た。
(実施例1)
結晶性PP(a)(プライムポリマー(株)製、TF850H、MFR:2.9g/10分、融点:164℃)を50質量部、ゼオライト粒子(水澤化学(株)製、JC―70、平均粒子径:6μm)50質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、260℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてゼオライト粒子の50%マスターバッチ原料(I)を得た。
結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)80質量部と、マスターバッチ原料(I)20質量部とをドライブレンドしてポリオレフィン原料Bを作成し、基材層II(B層)用の単軸の溶融押出機に供給し、表層(I)(A層)用のポリオレフィン原料Aとして、結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)95質量部、4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004、融点:228℃)5質量部をドライブレンドしてポリオレフィン原料Aを作成し、A層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、80μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて1/50/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。次いで、複数のセラミックロールを用いて140℃に予熱を行いフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、165℃で3秒間予熱後、160℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、幅方向に10%の弛緩を与えながら160℃で熱処理を行ない、その後130℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、ポリオレフィン原料Aとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)90質量部、4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004)10質量部をドライブレンドしたものを用いてA層用の単軸の溶融押出機に供給した。それ以外は実施例1と同様の方法で、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、ポリオレフィン原料Aとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)65質量部、4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004)30質量部、1−ブテン系重合体樹脂(三井化学(株)製、タフマー(登録商標)BL3450)5質量部をドライブレンドしたものを用いてA層用の単軸の溶融押出機に供給した。それ以外は実施例1と同様の方法で、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、ポリオレフィン原料Aとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)40質量部、4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004)50質量部、1−ブテン系重合体樹脂(三井化学(株)製、タフマー(登録商標)BL3450)10質量部をドライブレンドしたものを用いてA層用の単軸の溶融押出機に供給した。それ以外は実施例1と同様の方法で、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、ポリオレフィン原料Aとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)30質量部、4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004)60質量部、1−ブテン系重合体樹脂(三井化学(株)製、タフマー(登録商標)BL3450)10質量部をドライブレンドしたものを用いてA層用の単軸の溶融押出機に供給した。それ以外は実施例1と同様の方法で、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、ポリオレフィン原料Aとして4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004)90質量部、1−ブテン系重合体樹脂(三井化学(株)製、タフマー(登録商標)BL3450)10質量部をドライブレンドしたものを用いてA層用の単軸の溶融押出機に供給した。それ以外は実施例1と同様の方法で、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例7)
結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)80質量部と、マスターバッチ原料(I)20質量部とをドライブレンドしてポリオレフィン原料Bを作成し、基材層II(B層)用の単軸の溶融押出機に供給し、ポリオレフィン原料Aとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)30質量部、4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004)60質量部、1−ブテン系重合体樹脂(三井化学(株)製、タフマー(登録商標)BL3450)10質量部をドライブレンドしたものを用いてA層用の単軸の溶融押出機に供給した。240℃で溶融押出を行い、80μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて1/50/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。次いで、複数のセラミックロールを用いて140℃に予熱を行いフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、173℃で3秒間予熱後、165℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、幅方向に10%の弛緩を与えながら160℃で熱処理を行ない、その後130℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例8)
結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)80質量部と、マスターバッチ原料(I)20質量部とをドライブレンドしてポリオレフィン原料Bを作成し、基材層II(B層)用の単軸の溶融押出機に供給し、ポリオレフィン原料Aとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)20質量部、4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004)70質量部、1−ブテン系重合体樹脂(三井化学(株)製、タフマー(登録商標)BL3450)10質量部をドライブレンドしたものを用いてA層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、80μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて1/50/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。次いで、複数のセラミックロールを用いて140℃に予熱を行いフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、180℃で3秒間予熱後、160℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、幅方向に10%の弛緩を与えながら160℃で熱処理を行ない、その後130℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例9)
結晶性PP(a)(プライムポリマー(株)製、TF850H)を50質量部、ゼオライト粒子(水澤化学(株)製、JC―30、平均粒子径:3μm)50質量部がこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、260℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてゼオライト粒子の50%マスターバッチ原料(II)を得た。
結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)80質量部と、マスターバッチ原料(II)20質量部とをドライブレンドしてポリオレフィン原料Bを作成し、基材層II(B層)用の単軸の溶融押出機に供給し、ポリオレフィン原料Aとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)60質量部、4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004)30質量部、1−ブテン系重合体樹脂(三井化学(株)製、タフマー(登録商標)BL3450)10質量部をドライブレンドしたものを用いてA層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、80μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて1/50/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。次いで、複数のセラミックロールを用いて140℃に予熱を行いフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、175℃で3秒間予熱後、160℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、幅方向に10%の弛緩を与えながら160℃で熱処理を行ない、その後130℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(実施例10)
結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)60質量部と、マスターバッチ原料(I)40質量部とをドライブレンドしてポリオレフィン原料Bを作成し、基材層II(B層)用の単軸の溶融押出機に供給し、ポリオレフィン原料Aとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)20質量部、4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004)70質量部、1−ブテン系重合体樹脂(三井化学(株)製、タフマー(登録商標)BL3450)10質量部をドライブレンドしたものを用いてA層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、80μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて1/50/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。次いで、複数のセラミックロールを用いて140℃に予熱を行いフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、180℃で3秒間予熱後、160℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、幅方向に10%の弛緩を与えながら160℃で熱処理を行ない、その後130℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、ポリオレフィン原料Bとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)を使用(表層も基材層も同じ原料を使用)し、B層用の単軸の溶融押出機に供給した。それ以外は実施例1と同様の方法でポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、ポリオレフィン原料Bとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)70質量部と、マスターバッチ原料(I)30質量%とをドライブレンドしたものを用いて、B層用の単軸の溶融押出機に供給し、表層(I)(A層)用のポリオレフィン原料Aとして、結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)をA層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、80μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて1/50/1の厚み比で積層し、30℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出して、以降の延伸を行わずに厚み750μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、ポリオレフィン原料Bとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)を、B層用の単軸の溶融押出機に供給し、表層(I)(A層)用のポリオレフィン原料Aとして、結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)50質量部、4−メチル−1−ペンテン樹脂(三井化学(株)製、TPX(登録商標) MX004)50質量部をドライブレンドしA層用の単軸の溶融押出機に供給した。それ以外は実施例1と同様の方法で、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、ポリオレフィン原料Bとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)70質量部と、マスターバッチ原料(I)30質量%とをドライブレンドし、B層用の単軸の溶融押出機に供給し、表層(I)(A層)用のポリオレフィン原料Aとして、結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)をA層用の単軸の溶融押出機に供給した。それ以外は実施例1と同様の方法で、厚み25μmのポリオレフィンフィルムを得た。ポリオレフィンフィルムの物性および評価結果を表1に示す。ここで表面物性の評価は、キャストドラムに接地していない方の表層を評価した。また、製造例1に記載の方法で繊維強化複合材料を作製した。評価結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1において、ポリオレフィン原料Bとして結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)70質量部と、マスターバッチ原料(I)30質量%とをドライブレンドし、B層用の単軸の溶融押出機に供給し、表層(I)(A層)用のポリオレフィン原料Aとして、結晶性PP(a)((株)プライムポリマー製、TF850H)をA層用の単軸の溶融押出機に供給し、240℃で溶融押出を行い、80μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロック型のA/B/A複合Tダイにて1/50/1の厚み比で積層し、50℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出してキャストシートを得た。次いで、複数のセラミックロールを用いて140℃に予熱を行いフィルムの長手方向に4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、180℃で3秒間予熱後、160℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、幅方向に10%の弛緩を与えながら160℃で熱処理を行ない、その後130℃で冷却工程を経てテンターの外側へ導いたが、フィルムがやぶれ、クリップに融着していたため、採取できなかった。
Figure 2018204001

Claims (12)

  1. ポリプロピレン樹脂を含むポリオレフィンフィルムであり、フィルム中に4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を含み、フィルムの一方の表面をA面、他方の表面をB面とした場合、少なくともA面の十点平均粗さSRzが3μm〜20μmである、ポリオレフィンフィルム。
  2. フィルムのグロス値が50%以下である請求項1に記載のポリオレフィンフィルム。
  3. ポリオレフィンフィルムの前記A面同士を重ね合わせて160℃、0.8kgf/cmで30秒間プレスした後の剥離力が0.09N/mm未満である請求項1または請求項2に記載のポリオレフィンフィルム。
  4. フィルムの長手方向と幅方向の引裂強度の和が、2.5N/mm以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィンフィルム。
  5. 長手方向のヤング率EMD,および幅方向のヤング率ETDが、共に1.1GPa以上である請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィンフィルム。
  6. 前記A面の表面自由エネルギーが15〜29mN/mである請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィンフィルム。
  7. 160℃0.8kgf/cmで30秒間プレスした後のA面の十点平均粗さSRzが2μm以上である請求項1〜6のいずれかに記載のポリオレフィンフィルム
  8. ポリオレフィンを主成分とする基材層(II)の少なくとも片面にA面を構成する表層(I)を有する請求項1〜7のいずれかに記載のポリオレフィンフィルム。
  9. 表層(I)および/または基材層(II)に4−メチルペンテン−1単位を含んでなるオレフィン系樹脂を10質量%以上95質量%以下含有する請求項8に記載のポリオレフィンフィルム。
  10. 表層(I)および/または基材層(II)に粒子を含有してなる請求項1〜9のいずれかに記載のポリオレフィンフィルム。
  11. 表層(I)および/または基材層(II)にブテン系重合体を1質量%以上30質量%以下含有する請求項1〜10のいずれかに記載のポリオレフィンフィルム。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のポリオレフィンフィルムを用いてなる離型用フィルム
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