JP6341049B2 - 二軸延伸フィルム - Google Patents
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Description
このような保護フィルムには、対象物の表面を保護する必要があるときには該表面に充分に粘着し、一方、剥がす必要があるときには容易に剥離できることが求められる。また、保護フィルムを巻回物(ロール状の巻物)としたときに、粘着面と、粘着面とは反対側の面とがブロッキングしにくく、対ブロッキング性に優れることや、使用時に巻き出しやすいこと等も必要である。
[1]ホモポリプロピレン(b1)を含む組成物(B)からなるコア層と、前記コア層の一方の面に形成され、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)からなる粘着層と、前記コア層の他方の面に形成され、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方であるポリエチレン(c1)と、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)と、エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)とを含む組成物(C)からなる背面層と、からなることを特徴とする二軸延伸フィルム。
[2]前記組成物(A)が、ホモポリプロピレンを含むことを特徴とする[1]に記載の二軸延伸フィルム。
[3]前記組成物(B)に対する前記ホモポリプロピレン(b1)の含有量が、30質量%以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の二軸延伸フィルム。
[4]前記組成物(C)に対する前記ポリエチレン(c1)の含有量が20〜50質量%、前記エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)の含有量が30〜60質量%、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)の含有量が5〜30質量%であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の二軸延伸フィルム。
[5]総厚みが10〜100μmで、前記粘着層の厚みが3〜10μmで、前記背面層の厚みが3〜10μmであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の二軸延伸フィルム。
本発明の二軸延伸フィルムは、コア層と、コア層の一方の面に形成された粘着層と、コア層の他方の面に形成された背面層とからなる3層構成(粘着層/コア層/背面層)のフィルムであり、対象物の表面を保護するための保護フィルムとして好適に使用される。この例の二軸延伸フィルムは、詳しくは後述するように、粘着層前駆体とコア層前駆体と背面層前駆体とが順次積層した3層構成の前駆体積層物を二軸延伸することにより得られる。
コア層は、ホモポリプロピレン(b1)を含む組成物(B)からなるとともに、二軸延伸された層であるため、柔軟性に優れ、機械特性が良好で伸びにくい。そのため、このようなコア層を備えた二軸延伸フィルムは、使用時には巻回物から巻き出しやすく、剥離時には対象物から剥がしやすい。
高温NMR測定に使用される装置には、特に制限はなく、ポリオレフィン類の立体規則性度が測定可能な一般に市販されている高温型核磁気共鳴(NMR)装置、たとえば、日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)「JNM−ECP500」が利用可能である。観測核は、13C(125MHz)であり、測定温度は、135℃、溶媒には、オルト−ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(混合比=4/1))が用いられる。高温NMR測定は、公知の方法、たとえば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版 高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、610頁」に記載の方法により行える。
測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は、9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準は、CH3(mmmm)=21.7ppmとされる。
ホモポリプロピレン(b1)をるつぼに入れ、マッフル炉にて750℃で1時間溶融加熱し、るつぼ内の残存物の質量を測定する。そして、るつぼに投入したポリプロピレン(b1)の質量に対する、るつぼ内の残存物の質量の割合を算出し、これを灰分の含有量とする。
なお、本明細書においてMFRは、JIS K−7210(1999)による230℃で測定したMFRである。ただし、温度が別途記載されているものは、その温度でのMFRである。
また、ホモポリプロピレン(b1)としては、市販品も使用でき、MFRが上記範囲である市販品としては、たとえば、(株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F300SP」等が挙げられる。
成形性向上の目的で配合される樹脂(b2)としては、たとえば微量のエチレン(たとえば0.5質量%程度。)を含有するエチレン−プロピレン共重合体が挙げられる。該エチレンープロピレン共重合体におけるエチレンの含有量は、たとえば0.1〜1.0質量%である。
コスト削減の目的で配合される樹脂(b2)としては、ポリプロピレンの再生樹脂等が挙げられる。
粘着層は、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)からなり、粘着力に優れる。また、自己粘着層であるため、糊残りの問題も生じない。また、エラストマーとしてポリプロピレン系エラストマー(a1)を用いることにより、良好にフィルム成形を行うことができ、かつ、充分な粘着力を発揮させることができ、粘着昂進も抑制される。
なお、粘着力は、後述のように、粘着層の厚みによっても調整できる。
ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)は、成形性の点で、MFRが3〜20g/10minのものが好ましく、5〜10g/10minがより好ましい。
ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)は、成形性の点、粘着昂進抑制の点で、少なくとも145〜170℃の範囲内に、示差走査熱量測定による吸熱ピークを有するものが好ましい。吸熱ピークが観測される温度範囲は、150〜168℃であることがより好ましく、155〜165℃であることがさらに好ましい。吸熱ピークは、組成物(A)に含まれる成分の融点に対応する。
また、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)は、成形性の点、粘着昂進抑制の点で、ビカット軟化温度(JIS K 7206に準拠。ただし、荷重は2kgf/cm2(=19.6N/cm2)、針(1mmφ)とする。)が110〜150℃が好ましく、120〜145℃がより好ましい。
プロピレン以外のオレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられ、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル1−ペンテンなどが挙げられる。プロピレン以外のオレフィンは、プロピレンランダム共重合体中、たとえば10モル%以下、好ましくは5モル%未満の範囲で含まれることが好ましい。
溶融混練によるブレンドの場合、混練を良好に行える限り、混練温度に特に制限はないが、一般的には、200〜300℃の範囲であり、230〜270℃が好ましい。混練温度が高すぎると、樹脂の劣化を招くおそれがある。また、このような劣化を抑制する目的で、混練機に窒素等の不活性ガスをパージしてもよい。溶融混練された樹脂を一般的に公知の造粒機を用いて、適当な大きさにペレタイズすることによって、ペレット状の組成物(A)が得られる。
背面層は、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方であるポリエチレン(c1)と、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)と、エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)とを含む組成物(C)からなるとともに、二軸延伸された層である。そのため、該背面層の表面と、上述の粘着層の表面とは、ブロッキングしにくく、対ブロッキング性に優れる。
その理由は以下のように考えられる。
組成物(C)は、ポリエチレン(c1)とエチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)とからなるマトリクス中に、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)が分散した構造を形成しているものと考えられる。このような特定の構造の組成物(C)からなるシート状物を二軸延伸すると、その表面は、均一かつ適度に粗面化される。そのため、組成物(C)からなる背面層は、表面がこのように粗面化されたことに起因して、粘着層とブロッキングしにくいものと考えられる。加えて、背面層が特定の組成である組成物(C)からなり、粘着層が特定の組成である組成物(A)からなることにより、これらの組成の点からも、背面層と粘着層はブロッキングしにくいものと考えられる。さらに、マトリクスを形成する樹脂として、ポリエチレン(c1)とエチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)との2種を併用することにより、マトリクス中に、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)が安定に分散し、粗面化に適した良好な分散構造が形成されるものと考えられる。
ポリエチレン(c1)に使用される直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.92〜0.94g/cm3のものを使用できる。MFR(ただし190℃)は、成形性の点で、0.8〜1.2g/10minが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンと炭素数3〜20個のα−オレフィンから選択された1種以上のα−オレフィンとの共重合体であり、炭素数3〜20個のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。
このようなエチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)としては、公知の方法で製造したもの、市販品のいずれでも使用でき、市販品としては、たとえば、日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP(登録商標)BC4FC」、日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP(登録商標)BC3HF」等が挙げられる。
このようなエチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)としては、公知の方法で製造したもの、市販品のいずれでも使用でき、市販品としては、たとえば、(株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)S235WC」、(株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F129DA」等が挙げられる。
算術平均高さSaは、光干渉式非接触表面形状測定器を用いて測定できる。
上述の各組成物(A)〜(C)には、樹脂に使用される公知の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、フェノール系、ヒンダードアミン系、フォスファイト系、ラクトン系、トコフェロール系等の熱安定剤や酸化防止剤が挙げられる。具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「Irganox(登録商標)1010」等。)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシ)ベンゼン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「Irganox(登録商標)1330」等。)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「Irgafos(登録商標)168」等。)が挙げられる。
なかでも、フェノール系酸化防止剤系から選ばれた少なくとも1種または2種以上の組み合わせ、フェノール系とフォスファイト系との組み合わせ、フェノール系とラクトン系との組み合わせ、フェノール系とフォスファイト系とラクトン系との組み合わせが、ポリプロピレン樹脂の化学的な安定性を付与する観点から好ましい。
すべり剤としては、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等脂肪族アミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、脂肪族モノグリセライド、脂肪族ジグリセライド、シリカ、アルミナ、シリコーン架橋ポリマー等が挙げられる。塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。帯電防止剤としては、アルキルメチルジベタイン、アルキルアミンジエタノール及び/又はアルキルアミンエタノールエステル及び/又はアルキルアミンジエタノールジエステル等が挙げられる。
本発明の二軸延伸フィルムの総厚みは、10〜100μmが好ましく、15〜80μmがより好ましい。厚みが上記範囲の下限値以上であれば、保護フィルムとして充分な機械特性が得られやすく、上記範囲の上限値以下であれば、二軸延伸フィルムの製造工程において均一に延伸でき、粘着性や剥離容易性が安定した二軸延伸フィルムが得られやすい。
二軸延伸フィルムの総厚みが上記範囲である場合において、粘着層12の厚みは1〜10μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。背面層13の厚みは3〜10μmであることが好ましい。粘着層12の厚みが3〜7μm、背面層13の厚みが3〜5μmであることがより好ましい。粘着層12の厚みが上記範囲の下限値以上であると、充分な粘着力が得られる。粘着層12の厚みは、上記範囲の上限値を超えてもよいが、その場合、粘着力は飽和し、材料コストが増加する。背面層13の厚みが上記範囲の下限値以上であると、充分な機械特性が得られ、上記範囲の上限値以下であると、柔軟性に優れる。
二軸延伸フィルムは、組成物(A)からなる粘着層前駆体と、組成物(B)からなるコア層前駆体と、組成物(C)からなる背面層前駆体とが順次積層した3層構成の前駆体積層物を製造する工程(i)と、該前駆体積層物を二軸延伸する工程(ii)により、製造できる。
工程(i)では、まず、組成物(A)、組成物(B)および組成物(C)のそれぞれを押出機において、230〜270℃で溶融混練した後、合流装置で合流させ、Tダイから押出す。この際、合流装置よりも上流側において、ポリマーフィルターを用い、各組成物から粗大異物を除去しておくことが好ましい。
合流は、Tダイよりも前の管内で行う方法、Tダイの樹脂導入部に設けられた積層ユニットにより行う方法(フィードブロック法)、Tダイ内で拡幅後に樹脂を積層する方法(マニホールド積層法)等の公知の方法で行える。これらのなかでは、マニホールド積層法が積層厚み精度の点で優れているが、経済性等も考慮して、これらのなかから適宜選択できる。
ついで、工程(ii)において、上述の前駆体積層物を縦方向(流れ方向)および横方向に延伸する二軸延伸を行う。二軸延伸は、厚み斑がなく、平面性が良好な二軸延伸フィルムが得られやすいことから、テンター法で行うことが好ましい。テンター法には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法とがあり、いずれでも採用できる。以下、逐次二軸延伸を例示して、工程(ii)を具体的に説明する。
まず、キャスト原反シートである前駆体積層物を100〜165℃の温度(縦延伸温度)に保ち、速度差を設けたロール間に通して、縦方向に4〜5倍に延伸し、直ちに室温に冷却する。引き続き、縦延伸された延伸フィルムをテンターに導いて、150℃以上の温度(横延伸温度)で、横方向に8〜10倍に延伸する。その後、緩和、熱固定(熱セット)を施し、巻き取る。
このような二軸延伸工程により、機械強度、剛性等の機械特性に優れ、背面層の表面が均一かつ適度に粗面化された二軸延伸フィルムが得られる。
各種延伸条件は、装置のスケール等に応じて、適宜調整することが好ましい。
なお、延伸温度を高くすると、背面層の算術平均高さSaは小さくなる傾向にある。
よって、本発明の二軸延伸フィルムは、たとえば電子部品;半導体基板、電子基板等の各種基板;液晶表示構成部材(偏光板、位相差フィルム、ディスプレイマザーガラス等。)等の光学材料;の対象物の表面を、これら対象物の製造工程、運搬・貯蔵中等に保護する保護フィルムとして、好適に使用される。
〔実施例1〕
(組成物(A))
ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む三井化学(株)製「タフマー(登録商標)PN3560」(MFR=6g/10min、ビカット軟化温度=135℃、示差走査熱量測定による吸熱ピークを160℃に有する。表1では「タフマー1」と記す。)のペレットと、ポリプロピレン系エラストマー(a1)以外の樹脂(a2)として、ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F300SP」、MFR=3g/10min、[mmmm]=94%、表1では「樹脂1」と記す。)のペレットとを表1に示す配合比でドライブレンドし、直径30mmの池貝製作所社製の単軸押出機FS30(サテライトA押出機)に、ホッパーから投入し溶融させた。
なお、別途、組成物Aについて示差走査熱量測定を行ったところ、159℃に吸熱ピークが観測された。
(組成物(B))
ホモポリプロピレン(b1)((株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F300SP」、MFR=3g/10min、[mmmm]=94%)のペレットのみを直径30mmの池貝製作所社製の他の単軸押出機FS30(メインB押出機)にホッパーから投入し、溶融させた。
(組成物(C))
低密度ポリエチレン(c1)(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックLD(登録商標)HE30」、MFR=0.3g/10min(190℃))とエチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)(日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP(登録商標)BC4FC」、MFR=8g/10min、エチレン含有量10質量%)と、エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)((株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)S235WC」、MFR=10g/10min、エチレン含有量4質量%)とを表1に示す配合比でドライブレンドし、実験用押出機である東洋精機(株)ラボプラストミルを使用して230℃にて溶融混練し、ペレット化した。
該ペレットを直径30mmの池貝製作所社製の他の単軸押出機FS30(サテライトC押出機)にホッパーから投入し溶融させた。
得られた前駆体積層物に対して、ブルックナー社製バッチ式二軸延伸機「KARO IV」を用いて逐次二軸延伸を行った。延伸条件は、装置の設定温度として予熱温度165℃、予熱時間1分、延伸温度(縦延伸温度および横延伸温度)165℃、延伸速度100%/秒とした。熱セット条件は、165℃、30秒とした。このようにして、前駆体積層物を縦方向に4.6倍、横方向に9.3倍に延伸して、総厚みが約16μmで、背面層の厚みが4μmで、粘着層が表1に示す厚みである二軸延伸フィルムを得た。
そして、二軸延伸フィルムについて、以下に示す各評価を行った。結果を表2に示す。
各組成物の配合比、粘着層の厚み、縦延伸および横延伸の温度を表1および表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、各例の二軸延伸フィルムを得て、同様に評価した。評価結果を表2に示す。
なお、実施例2では、ポリプロピレン系エラストマー(a1)以外の他の樹脂(a2)として、ホモポリプロピレンに代えて、エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー社製「PC540R」、MFR=5g/10min、表1では「樹脂2」と記す。)を用いた。
実施例6では、上記「タフマー(登録商標)PN3560」に代えて、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む三井化学社製「タフマー(登録商標)PN2060」(MFR=6g/10min、ビカット軟化温度=120℃。示差走査熱量測定による吸熱ピークを160℃に有する。表1では「タフマー2」と記す。)を用いた。
実施例10では、延伸時の装置の設定温度として予熱温度、縦延伸および横延伸の温度、熱セット温度をいずれも160℃とした。
比較例1では、上記「タフマー(登録商標)PN3560」に代えて、水添スチレン系エラストマー(JSR社製「ダイナロン(登録商標)1320P」、MFR=3.5g/min)を用いた。
比較例2では、組成物(C)には、ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F300SP」)を用いた。
なお、別途、各例の組成物Aについて示差走査熱量測定を行ったところ、実施例2では148℃、実施例3〜5ではそれぞれ159℃、実施例6では155℃、実施例7〜10ではそれぞれ156℃、比較例2〜5ではそれぞれ159℃に、吸熱ピークが観測された(比較例1は未測定。)。
(1)アイソタクチックメソペンタッド分率([mmmm])測定
測定対象の樹脂を溶媒に溶解し、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)として、日本電子株式会社製、高温FT−NMR「JNM−ECP500」を用い、すでに上述した条件、方法にて、アイソタクチックメソペンタッド分率([mmmm])を求めた。
5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrmなど)に由来する各シグナルの強度積分値より、百分率(%)で算出した。mmmmやmrrmなどに由来する各シグナルの帰属に関しては、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」などのスペクトルの記載を参考とした。
(2)示差走査熱量測定
組成物Aを2mg秤量し、アルミニウム製のサンプルホルダーに詰め、DSC装置(パーキン・エルマー社製、入力補償型DSCである「Diamond DSC」)にセットした。窒素流下、0℃から280℃まで、10℃/分の速度で昇温し、280℃で5分間保持、10℃/分で30℃まで冷却した。その後、再び10℃/分で280℃まで昇温したときの吸熱ピークの温度を測定した。
二軸延伸フィルムの厚みは、マイクロメーター(JIS−B7502)を用いて、JIS−C2151に準拠して測定した。
(4)粘着層および背面層の厚み
得られた二軸延伸フィルムの一部をサンプリングし、これをエポキシ樹脂にて包埋し、ミクロトームにて切削して、二軸延伸フィルムの縦断面を露出させた。該縦断面を顕微鏡にて観察し、写真を撮影し、スケールにて各層の厚み比率を計測した。そして、該比率と、上記(2)で測定したフィルムの総厚みとから、粘着層および背面層の厚みを算出した。
光干渉式非接触表面形状測定器として、(株)菱化システム製の「VertScan2.0(型式 R5500GML)」を使用し、算術平均高さSaを求めた。
具体的には、測定ではWAVEモードを用い、530whiteフィルタ及び×20対物レンズを用い、一視野あたり237μm×178μmの計測を3視野実施した。そして、この操作を背面層表面の任意の3箇所について行い、得られたデータについて四次の多項式近似によりうねり成分を除去し、ISO−25178によるSaの平均値を求めた。該平均値を表2に示した。
二軸延伸フィルム(縦(MD方向)200mm、横(幅)25mmの四角形に裁断したもの。)を市販のアクリル板(厚み:2mm、長さ:125mm、幅:50mm)に貼付した。貼付は、JIS−Z−0237に準拠してゴムローラーを使用し、二軸延伸フィルムの粘着層とアクリル板との間に空気が入らないよう行った。これをサンプルとし、20gf/cm2(0.2N/cm2)の荷重下、40℃で24時間エージングした。その後、23℃、50%RHの室温にて2時間静置後、引っ張り試験機を用いて300mm/minの速度で180度剥離を行い、その際の粘着力を計測した。
測定は3回行い、その平均値を採用して表2に示した。
対アクリル板粘着力は、30mN/25mm以上が、実用上好ましい。
二軸延伸フィルム(縦(MD方向)200mm、横(幅)25mmの四角形に裁断したもの。)を60℃環境下に24時間静置した後、上記(6)と同様の方法で粘着力を測定した。このようにして得られた粘着力の値を、上記(6)により測定された粘着力の値で割った。得られた値を表2に示した。
なお、この値が1.3未満であれば、粘着昂進が非常に少なく、保護フィルム等として好ましく使用できる。1.3以上1.5未満であれば、粘着昂進が少なく、保護フィルム等として使用可能である。1.5以上であれば、粘着昂進が激しく、保護フィルム等としての使用に支障がある。
二軸延伸フィルム(縦(MD方向)200mm、横(幅)200mmの四角形に裁断したもの。)を10枚重ねあわせ、ローラーで貼付した後、50gf/cm2(0.49N/cm2)の荷重下、70℃で60分間エージングした。なお、二軸延伸フィルムを重ねあわせる際には、粘着層の表面が背面層の表面に接するように重ねた。
これを50mm幅にカットしてサンプルを作製した。得られたサンプルにおいて、粘着層の表面と背面層の表面とのブロッキングの状態を評価した。なお、評価は、9箇所ある界面のうちの5箇所を任意に選択して行った。
評価基準は、下記のとおりである。
◎:10枚重ねた二軸延伸フィルムにおける、粘着層の表面と背面層の表面の5箇所の界面のいずれにおいても、両層は全く密着していない。
○:10枚重ねた二軸延伸フィルムにおける、粘着層の表面と背面層の表面の5箇所の界面のいずれにおいても、両層は容易に剥離可能である。
△:10枚重ねた二軸延伸フィルムにおける、粘着層の表面と背面層の表面の5箇所の界面のいずれにおいても、両層は付着し、剥離しにくい。
×:10枚重ねた二軸延伸フィルムにおける、粘着層の表面と背面層の表面の5箇所の界面のいずれにおいても、両層が密着し、剥離困難である。
また、表中の「タフマー1」、「タフマー2」、「樹脂1」、「樹脂2」は、上述のとおり、以下を意味する。
タフマー2:三井化学社製「タフマー(登録商標)PN2060」(MFR=6g/10min)
樹脂1:ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F300SP」、MFR=3g/10min、[mmmm]=94%)
樹脂2:エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー社製「PC540R」、MFR=5g/10min)
これに対して、粘着層に水添スチレン系エラストマーを用いた比較例1の二軸延伸フィルムは、粘着昂進が顕著であるとともに対ブロッキング性に劣っていた。比較例2〜5の二軸延伸フィルムは、背面層の組成が適切ではなく、背面層の表面の算術平均高さSaが不充分であった。そのため、対ブロッキング性が劣っていた。
また、実施例1、2、4から、粘着層を形成する組成物Aにホモポリプロピレンを配合することが、粘着昂進抑制効果の向上に寄与することがわかった。また、実施例1、5から、粘着層を形成する組成物Aがホモポリプロピレンを25質量%以上含むと、粘着昂進抑制効果が充分に得られること、組成物A中のホモポリプロピレンの含有量を調整することにより、粘着力を制御できることがわかった。
Claims (5)
- ホモポリプロピレン(b1)を含む組成物(B)からなるコア層と、
前記コア層の一方の面に形成され、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)からなる粘着層と、
前記コア層の他方の面に形成され、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方であるポリエチレン(c1)と、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)と、エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)とを含む組成物(C)からなる背面層と、
からなり、
前記組成物(C)に対する前記ポリエチレン(c1)の含有量が20〜40質量%、前記エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)の含有量が40〜55質量%、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)の含有量が10〜25質量%であることを特徴とする二軸延伸フィルム。 - 前記組成物(A)が、ホモポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸フィルム。
- 前記組成物(B)に対する前記ホモポリプロピレン(b1)の含有量が、30質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の二軸延伸フィルム。
- 前記背面層のISO−25178規格に基づく算術平均高さが、0.5μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の二軸延伸フィルム。
- 総厚みが10〜100μmで、前記粘着層の厚みが3〜10μmで、前記背面層の厚みが3〜10μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の二軸延伸フィルム。
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