JP6341049B2 - 二軸延伸フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、たとえば電子部品、各種基板、光学材料等の製造工程や、運搬・貯蔵中等において、対象物の表面を保護する保護フィルム等として好適に使用される二軸延伸フィルムに関する。
たとえば電子部品;半導体基板、電子基板等の各種基板;液晶表示構成部材(偏光板、位相差フィルム、ディスプレイマザーガラス等。)等の光学材料;の表面には、製造工程や運搬・貯蔵中等に、傷付きや異物付着を防止する目的で保護フィルムが貼付されることが多い。保護フィルムとしては、無延伸ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等の基材フィルムの片面に、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を塗布して、粘着層を形成したものが広く用いられている。
このような保護フィルムには、対象物の表面を保護する必要があるときには該表面に充分に粘着し、一方、剥がす必要があるときには容易に剥離できることが求められる。また、保護フィルムを巻回物(ロール状の巻物)としたときに、粘着面と、粘着面とは反対側の面とがブロッキングしにくく、対ブロッキング性に優れることや、使用時に巻き出しやすいこと等も必要である。
ところが、無延伸ポリエチレンフィルムは伸びやすい。そのため、無延伸ポリエチレンフィルムを基材フィルムとして備えた保護フィルムは、使用時に巻回物から巻き出しにくく、対象物からの剥離時に剥がしにくい。また、ポリエステルフィルムを基材フィルムとして備えた保護フィルムは、柔軟性に劣り、貼付や剥離の作業性が良好ではない。また、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を塗布して粘着層を形成した場合、該粘着層は、対象物の表面に「糊残り」しやすい。糊残りしやすい保護フィルムは、電子部材や光学部材への貼付には適さない。
このような事情を背景として、たとえば特許文献1には、水添スチレン系エラストマーを主成分とする自己粘着層と、ポリプロピレン系の中間層と、ポリプロピレン系の非粘着層とが順次積層した二軸延伸保護フィルムが開示されている。この保護フィルムは、柔軟性に優れ、機械特性が良好で伸びにくい二軸延伸ポリプロピレンフィルムを備えている。そのため、使用時に巻回物から巻き出しやすく、剥離時に剥がしやすい。また、粘着層は、それ自身が粘着性を呈する自己粘着層であり、粘着剤、粘着付与剤等を塗布して形成したものではないため、糊残りの問題も回避できる。
特開2008−6815号公報
しかしながら、特許文献1に記載の保護フィルムは、巻回物としたとき等に、自己粘着層の表面と非粘着層の表面とが接すると、これらがブロッキングしやすく、対ブロッキング性が不充分であった。また、特許文献1に記載の保護フィルムは、巻回物の状態または対象物に貼付した状態での保管、運搬時等に、熱履歴により粘着層の粘着力が経時的に上昇してしまう現象、すなわち「粘着昂進」が認められた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、自己粘着性に優れ、かつ、粘着昂進が抑制され、対ブロッキング性も良好であり、保護フィルムとしての使用に好適な二軸延伸フィルムの提供を目的とする。
本発明は以下の構成を有する。
[1]ホモポリプロピレン(b1)を含む組成物(B)からなるコア層と、前記コア層の一方の面に形成され、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)からなる粘着層と、前記コア層の他方の面に形成され、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方であるポリエチレン(c1)と、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)と、エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)とを含む組成物(C)からなる背面層と、からなることを特徴とする二軸延伸フィルム。
[2]前記組成物(A)が、ホモポリプロピレンを含むことを特徴とする[1]に記載の二軸延伸フィルム。
[3]前記組成物(B)に対する前記ホモポリプロピレン(b1)の含有量が、30質量%以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の二軸延伸フィルム。
[4]前記組成物(C)に対する前記ポリエチレン(c1)の含有量が20〜50質量%、前記エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)の含有量が30〜60質量%、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)の含有量が5〜30質量%であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の二軸延伸フィルム。
[5]総厚みが10〜100μmで、前記粘着層の厚みが3〜10μmで、前記背面層の厚みが3〜10μmであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の二軸延伸フィルム。
本発明によれば、自己粘着性に優れ、かつ、粘着昂進が抑制され、対ブロッキング性も良好であり、保護フィルムとしての使用に好適な二軸延伸フィルムを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の二軸延伸フィルムは、コア層と、コア層の一方の面に形成された粘着層と、コア層の他方の面に形成された背面層とからなる3層構成(粘着層/コア層/背面層)のフィルムであり、対象物の表面を保護するための保護フィルムとして好適に使用される。この例の二軸延伸フィルムは、詳しくは後述するように、粘着層前駆体とコア層前駆体と背面層前駆体とが順次積層した3層構成の前駆体積層物を二軸延伸することにより得られる。
<コア層>
コア層は、ホモポリプロピレン(b1)を含む組成物(B)からなるとともに、二軸延伸された層であるため、柔軟性に優れ、機械特性が良好で伸びにくい。そのため、このようなコア層を備えた二軸延伸フィルムは、使用時には巻回物から巻き出しやすく、剥離時には対象物から剥がしやすい。
ホモポリプロピレン(b1)としては、熱安定性、機械特性により優れることから、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーが好ましく、アイソタクチックメソペンタッド分率が90%以上のアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーがより好ましい。アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーのアイソタクチックメソペンタッド分率は、92%以上がより好ましく、94%以上がさらに好ましい。
アイソタクチックメソペンタッド分率([mmmm])は、高温核磁気共鳴(NMR)測定によって求められる立体規則性度である。アイソタクチックメソペンタッド分率[mmmm]が90%以上であると、高い立体規則性成分により、樹脂の結晶性が向上し、高い熱安定性、機械特性が奏される。
高温NMR測定に使用される装置には、特に制限はなく、ポリオレフィン類の立体規則性度が測定可能な一般に市販されている高温型核磁気共鳴(NMR)装置、たとえば、日本電子株式会社製、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)「JNM−ECP500」が利用可能である。観測核は、13C(125MHz)であり、測定温度は、135℃、溶媒には、オルト−ジクロロベンゼン(ODCB:ODCBと重水素化ODCBの混合溶媒(混合比=4/1))が用いられる。高温NMR測定は、公知の方法、たとえば、「日本分析化学・高分子分析研究懇談会編、新版 高分子分析ハンドブック、紀伊国屋書店、1995年、610頁」に記載の方法により行える。
測定モードは、シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は、9.1μsec(45°パルス)、パルス間隔5.5sec、積算回数4500回、シフト基準は、CH(mmmm)=21.7ppmとされる。
立体規則性度を表すアイソタクチックペンタッド分率は、同方向並びの連子「メソ(m)」と異方向の並びの連子「ラセモ(r)」の5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrmなど)に由来する各シグナルの強度積分値より百分率で算出される。mmmmやmrrmなどに由来する各シグナルの帰属に関しては、たとえば、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」などのスペクトルの記載が参照される。
また、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーは、含有する灰分が1000ppm以下のポリマーが好ましい。灰分は重合触媒残渣等に起因し、微小異物(フィッシュアイ)の原因となる。灰分の含有量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下であると、微小異物の生成が低減され、二軸延伸フィルムを保護フィルムとして用いた際の対象物の汚染を防止できる。このような二軸延伸フィルムは、電子部品等の保護フィルムとして好適である。灰分の含有量は、重合時の触媒使用量をコントロールする方法等で、制御できる。
本明細書において、灰分の含有量は、ISO3451−1に準拠して、以下のように測定される。
ホモポリプロピレン(b1)をるつぼに入れ、マッフル炉にて750℃で1時間溶融加熱し、るつぼ内の残存物の質量を測定する。そして、るつぼに投入したポリプロピレン(b1)の質量に対する、るつぼ内の残存物の質量の割合を算出し、これを灰分の含有量とする。
アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーとしては、成形性の点で、230℃におけるメルトフローレート(MFR)が1.5〜10g/10minのポリマーが好ましい。
なお、本明細書においてMFRは、JIS K−7210(1999)による230℃で測定したMFRである。ただし、温度が別途記載されているものは、その温度でのMFRである。
ホモポリプロピレン(b1)は、たとえばチタン、アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒系を用い、炭化水素溶媒中でプロピレンを重合する方法;液状プロピレン中で重合する方法(バルク重合);気相で重合する方法:等の公知の方法で製造できる。
また、ホモポリプロピレン(b1)としては、市販品も使用でき、MFRが上記範囲である市販品としては、たとえば、(株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F300SP」等が挙げられる。
組成物(B)中のホモポリプロピレン(b1)の含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、100質量%であってもよい。ホモポリプロピレン(b1)の含有量が上記下限値以上であると、機械特性により優れ、伸びにくいコア層11を形成できる。
組成物(B)は、たとえば組成物(B)の成形性向上、コスト削減等を目的として、ホモポリプロピレン(b1)以外の樹脂(b2)を含むことができる。
成形性向上の目的で配合される樹脂(b2)としては、たとえば微量のエチレン(たとえば0.5質量%程度。)を含有するエチレン−プロピレン共重合体が挙げられる。該エチレンープロピレン共重合体におけるエチレンの含有量は、たとえば0.1〜1.0質量%である。
コスト削減の目的で配合される樹脂(b2)としては、ポリプロピレンの再生樹脂等が挙げられる。
<粘着層>
粘着層は、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)からなり、粘着力に優れる。また、自己粘着層であるため、糊残りの問題も生じない。また、エラストマーとしてポリプロピレン系エラストマー(a1)を用いることにより、良好にフィルム成形を行うことができ、かつ、充分な粘着力を発揮させることができ、粘着昂進も抑制される。
二軸延伸フィルムを保護フィルムとして使用する場合には、剥離速度300mm/minにおける対アクリル板粘着力が、30mN/25mm以上であることが好ましく、50mN/25mm以上であることがより好ましく、75〜1250mN/25mmがさらに好ましい。対アクリル板粘着力が上記範囲であると、保護フィルムとして好適な粘着力となり、かつ、対ブロッキング性にも優れる。また、対象物から剥離する際に必要な剥離力も適度となる。そのため、組成物(A)中のポリプロピレン系エラストマー(a1)の含有量を調整して、粘着層の対アクリル板粘着力が上記範囲となるようにすることが好ましい。ポリプロピレン系エラストマー(a1)の含有量が大きくなるにしたがって、粘着力も大きくなる。
なお、粘着力は、後述のように、粘着層の厚みによっても調整できる。
ポリプロピレン系エラストマー(a1)としては、たとえばプロピレン−エチレン系エラストマーが挙げられる。プロピレン−エチレン系エラストマーとしては、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体であって、プロピレンから導かれる構成単位を60〜90モル%有し、エチレンから導かれる構成単位を10〜40モル%有する共重合体が好ましい。
ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)は、成形性の点で、MFRが3〜20g/10minのものが好ましく、5〜10g/10minがより好ましい。
ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)は、成形性の点、粘着昂進抑制の点で、少なくとも145〜170℃の範囲内に、示差走査熱量測定による吸熱ピークを有するものが好ましい。吸熱ピークが観測される温度範囲は、150〜168℃であることがより好ましく、155〜165℃であることがさらに好ましい。吸熱ピークは、組成物(A)に含まれる成分の融点に対応する。
また、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)は、成形性の点、粘着昂進抑制の点で、ビカット軟化温度(JIS K 7206に準拠。ただし、荷重は2kgf/cm(=19.6N/cm)、針(1mmφ)とする。)が110〜150℃が好ましく、120〜145℃がより好ましい。
組成物(A)中のポリプロピレン系エラストマー(a1)の含有量は、上述のとおり、粘着層に求められる粘着力に応じて調整される。組成物(A)は、粘着力を調整する目的で、ポリプロピレン系エラストマー(a1)以外の樹脂(a2)を1種以上含むことができる。樹脂(a2)としては、ポリプロピレン系重合体が好ましい。ポリプロピレン系重合体には、ホモポリプロピレン;プロピレンから導かれる単位と、プロピレン以外のオレフィンから導かれる単位とを含むプロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体;が挙げられる。なかでも、ポリプロピレン系重合体としては、粘着層の粘着昂進をより抑制する効果に優れる点で、ホモポリプロピレンが好ましい。ホモポリプロピレンとしては、特に、組成物(B)について説明したアイソタクチックメソペンタッド分率が90%以上のアイソタクチックポリプロピレンホモポリマーが、粘着昂進抑制の点、熱安定性、機械的耐熱性の点で好ましい。
プロピレン以外のオレフィンとしては、炭素数4〜20のα−オレフィンが挙げられ、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、4−メチル1−ペンテンなどが挙げられる。プロピレン以外のオレフィンは、プロピレンランダム共重合体中、たとえば10モル%以下、好ましくは5モル%未満の範囲で含まれることが好ましい。
組成物(A)の調製方法としては、ポリプロピレン系エラストマー(a1)の重合粉またはペレットと、樹脂(a2)の重合粉またはペレットとを、ミキサー等でドライブレンドする方法;混練機で溶融混練する方法;等、公知の方法が挙げられる。使用するミキサー、混練機には特に制限はなく、たとえば混練機として、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、3軸以上の多軸スクリュータイプのいずれでも使用できる。また、2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のどちらの混練タイプの混練機も使用できる。
溶融混練によるブレンドの場合、混練を良好に行える限り、混練温度に特に制限はないが、一般的には、200〜300℃の範囲であり、230〜270℃が好ましい。混練温度が高すぎると、樹脂の劣化を招くおそれがある。また、このような劣化を抑制する目的で、混練機に窒素等の不活性ガスをパージしてもよい。溶融混練された樹脂を一般的に公知の造粒機を用いて、適当な大きさにペレタイズすることによって、ペレット状の組成物(A)が得られる。
粘着層を形成する好適な組成物(A)としては、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む市販品である三井化学(株)製「タフマー(登録商標)PN3560」、三井化学(株)製「タフマー(登録商標)PN2070」、三井化学(株)製「タフマー(登録商標)PN2060」、三井化学(株)製「タフマー(登録商標)PN0040」、住友化学(株)製「タフセレン(登録商標)T3712」、住友化学(株)製「タフセレン(登録商標)T3722」、住友化学(株)製「タフセレン(登録商標)T3522」等と、必要に応じて樹脂(a2)としてホモポリプロピレンを混合した組成物が挙げられる。
<背面層>
背面層は、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方であるポリエチレン(c1)と、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)と、エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)とを含む組成物(C)からなるとともに、二軸延伸された層である。そのため、該背面層の表面と、上述の粘着層の表面とは、ブロッキングしにくく、対ブロッキング性に優れる。
その理由は以下のように考えられる。
組成物(C)は、ポリエチレン(c1)とエチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)とからなるマトリクス中に、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)が分散した構造を形成しているものと考えられる。このような特定の構造の組成物(C)からなるシート状物を二軸延伸すると、その表面は、均一かつ適度に粗面化される。そのため、組成物(C)からなる背面層は、表面がこのように粗面化されたことに起因して、粘着層とブロッキングしにくいものと考えられる。加えて、背面層が特定の組成である組成物(C)からなり、粘着層が特定の組成である組成物(A)からなることにより、これらの組成の点からも、背面層と粘着層はブロッキングしにくいものと考えられる。さらに、マトリクスを形成する樹脂として、ポリエチレン(c1)とエチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)との2種を併用することにより、マトリクス中に、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)が安定に分散し、粗面化に適した良好な分散構造が形成されるものと考えられる。
ポリエチレン(c1)に使用される低密度ポリエチレンとしては、密度が0.91〜0.93g/cmのものを使用できる。MFR(ただし190℃)は、成形性の点で、0.3〜0.5g/10minが好ましい。このような低密度ポリエチレンとしては、公知の方法で製造したもの、市販品のいずれでも使用でき、市販品としては、たとえば、日本ポリエチレン(株)製「ノバテックLD(登録商標)HE30」、日本ポリエチレン(株)製「ノバテックLD(登録商標)LP128」等が挙げられる。
ポリエチレン(c1)に使用される直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.92〜0.94g/cmのものを使用できる。MFR(ただし190℃)は、成形性の点で、0.8〜1.2g/10minが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンと炭素数3〜20個のα−オレフィンから選択された1種以上のα−オレフィンとの共重合体であり、炭素数3〜20個のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。
エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)としては、エチレンの含有量が5〜10質量%のブロック共重合体が好ましく、エチレンの含有量が8〜10質量%のブロック共重合体がより好ましい。MFRは、成形性の点で、6〜10g/10minが好ましい。
このようなエチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)としては、公知の方法で製造したもの、市販品のいずれでも使用でき、市販品としては、たとえば、日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP(登録商標)BC4FC」、日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP(登録商標)BC3HF」等が挙げられる。
エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)としては、エチレンの含有量が2〜5質量%のランダム共重合体が使用でき、エチレンの含有量が3〜4質量%のランダム共重合体がより好ましい。MFRは、成形性の点で、8〜12g/10minが好ましい。
このようなエチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)としては、公知の方法で製造したもの、市販品のいずれでも使用でき、市販品としては、たとえば、(株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)S235WC」、(株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F129DA」等が挙げられる。
組成物(C)の調製方法としては、組成物(A)について説明した方法と同様の方法を採用できる。すなわち、各成分の重合粉またはペレットをドライブレンドする方法、溶融混練する方法等が挙げられ、使用するミキサー、混練機の形態、混練温度等には、特に制限はない。
背面層の表面粗さは、ISO−25178規格に基づく算術平均高さSaが、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。また、算術平均高さSaは2μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましい。背面層の算術平均高さSaが上記範囲の下限値以上であると、対ブロッキング性に優れ、上記範囲の上限値以下であると、背面層の表面の凹凸形状が粘着層の表面に転写されにくく、外観上好ましい。
算術平均高さSaは、光干渉式非接触表面形状測定器を用いて測定できる。
組成物(C)中のポリエチレン(c1)の含有量は、20〜50質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)の含有量は、30〜60質量%が好ましく、40〜55質量%がより好ましい。エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)の含有量は、5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。各含有量が上記範囲であると、表面が均一かつ適度に粗面化された背面層を形成できる。このような背面層は、表面が均一かつ適度に粗面化されていることと、特定の組成の組成物(C)からなることに起因して、特定の組成の組成物(A)からなる粘着層の表面と過度に密着せず、対ブロッキング性により優れる。
組成物(C)は、対ブロッキング性に影響を及ぼさない範囲において、ポリエチレン(c1)、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)、エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)のいずれにも該当しない樹脂(c4)を含んでもよい。樹脂(c4)としては、たとえば、ポリプロピレンホモポリマーが挙げられる。樹脂(c4)の含有量は、組成物(C)中、20質量%以下が好ましい。
<添加剤>
上述の各組成物(A)〜(C)には、樹脂に使用される公知の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、フェノール系、ヒンダードアミン系、フォスファイト系、ラクトン系、トコフェロール系等の熱安定剤や酸化防止剤が挙げられる。具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「Irganox(登録商標)1010」等。)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシ)ベンゼン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「Irganox(登録商標)1330」等。)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「Irgafos(登録商標)168」等。)が挙げられる。
なかでも、フェノール系酸化防止剤系から選ばれた少なくとも1種または2種以上の組み合わせ、フェノール系とフォスファイト系との組み合わせ、フェノール系とラクトン系との組み合わせ、フェノール系とフォスファイト系とラクトン系との組み合わせが、ポリプロピレン樹脂の化学的な安定性を付与する観点から好ましい。
また、添加剤としては、たとえば有機および/または無機のすべり剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤が挙げられる。
すべり剤としては、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等脂肪族アミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、脂肪族モノグリセライド、脂肪族ジグリセライド、シリカ、アルミナ、シリコーン架橋ポリマー等が挙げられる。塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。帯電防止剤としては、アルキルメチルジベタイン、アルキルアミンジエタノール及び/又はアルキルアミンエタノールエステル及び/又はアルキルアミンジエタノールジエステル等が挙げられる。
<二軸延伸フィルム>
本発明の二軸延伸フィルムの総厚みは、10〜100μmが好ましく、15〜80μmがより好ましい。厚みが上記範囲の下限値以上であれば、保護フィルムとして充分な機械特性が得られやすく、上記範囲の上限値以下であれば、二軸延伸フィルムの製造工程において均一に延伸でき、粘着性や剥離容易性が安定した二軸延伸フィルムが得られやすい。
二軸延伸フィルムの総厚みが上記範囲である場合において、粘着層12の厚みは1〜10μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。背面層13の厚みは3〜10μmであることが好ましい。粘着層12の厚みが3〜7μm、背面層13の厚みが3〜5μmであることがより好ましい。粘着層12の厚みが上記範囲の下限値以上であると、充分な粘着力が得られる。粘着層12の厚みは、上記範囲の上限値を超えてもよいが、その場合、粘着力は飽和し、材料コストが増加する。背面層13の厚みが上記範囲の下限値以上であると、充分な機械特性が得られ、上記範囲の上限値以下であると、柔軟性に優れる。
<二軸延伸フィルムの製造方法>
二軸延伸フィルムは、組成物(A)からなる粘着層前駆体と、組成物(B)からなるコア層前駆体と、組成物(C)からなる背面層前駆体とが順次積層した3層構成の前駆体積層物を製造する工程(i)と、該前駆体積層物を二軸延伸する工程(ii)により、製造できる。
(工程(i))
工程(i)では、まず、組成物(A)、組成物(B)および組成物(C)のそれぞれを押出機において、230〜270℃で溶融混練した後、合流装置で合流させ、Tダイから押出す。この際、合流装置よりも上流側において、ポリマーフィルターを用い、各組成物から粗大異物を除去しておくことが好ましい。
合流は、Tダイよりも前の管内で行う方法、Tダイの樹脂導入部に設けられた積層ユニットにより行う方法(フィードブロック法)、Tダイ内で拡幅後に樹脂を積層する方法(マニホールド積層法)等の公知の方法で行える。これらのなかでは、マニホールド積層法が積層厚み精度の点で優れているが、経済性等も考慮して、これらのなかから適宜選択できる。
ついで、このように押出された3層構成の積層物を、ドラム面が20〜60℃に制御された少なくとも1つの金属ドラム(冷却ドラム)上にエアナイフにより密着させて、シート状に成形し、たとえば厚みが500〜5000μmの前駆体積層物(キャスト原反シート)を得る。
(工程(ii))
ついで、工程(ii)において、上述の前駆体積層物を縦方向(流れ方向)および横方向に延伸する二軸延伸を行う。二軸延伸は、厚み斑がなく、平面性が良好な二軸延伸フィルムが得られやすいことから、テンター法で行うことが好ましい。テンター法には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法とがあり、いずれでも採用できる。以下、逐次二軸延伸を例示して、工程(ii)を具体的に説明する。
まず、キャスト原反シートである前駆体積層物を100〜165℃の温度(縦延伸温度)に保ち、速度差を設けたロール間に通して、縦方向に4〜5倍に延伸し、直ちに室温に冷却する。引き続き、縦延伸された延伸フィルムをテンターに導いて、150℃以上の温度(横延伸温度)で、横方向に8〜10倍に延伸する。その後、緩和、熱固定(熱セット)を施し、巻き取る。
このような二軸延伸工程により、機械強度、剛性等の機械特性に優れ、背面層の表面が均一かつ適度に粗面化された二軸延伸フィルムが得られる。
各種延伸条件は、装置のスケール等に応じて、適宜調整することが好ましい。
なお、延伸温度を高くすると、背面層の算術平均高さSaは小さくなる傾向にある。
巻き取られたフィルムは、20〜45℃程度の雰囲気中でエージング処理することが好ましい。巻き取られたフィルムは、所望のサイズの巻回物とされて、さらには必要に応じて所望の製品幅に断裁され、保護フィルム等として流通する。
以上説明した二軸延伸フィルムは、上述のとおり、背面層の表面が均一かつ適度に粗面化されていることと、背面層が特定の組成の組成物(C)からなることに起因して、特定の組成の組成物(A)からなり粘着力に優れた粘着層とブロッキングしにくい。そのため、過剰な力を要することなく巻回物から巻き出すことができる。また、対ブロッキング性が優れているために、背面層に剥離剤等を付与する必要がない。そのため、剥離剤等による対象物の汚染も防止できる。また、該二軸延伸フィルムは、自己粘着層を有している。そのため、粘着剤、粘着付与剤等を塗布する必要がなく、糊残りの問題も回避できる。
よって、本発明の二軸延伸フィルムは、たとえば電子部品;半導体基板、電子基板等の各種基板;液晶表示構成部材(偏光板、位相差フィルム、ディスプレイマザーガラス等。)等の光学材料;の対象物の表面を、これら対象物の製造工程、運搬・貯蔵中等に保護する保護フィルムとして、好適に使用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
〔実施例1〕
(組成物(A))
ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む三井化学(株)製「タフマー(登録商標)PN3560」(MFR=6g/10min、ビカット軟化温度=135℃、示差走査熱量測定による吸熱ピークを160℃に有する。表1では「タフマー1」と記す。)のペレットと、ポリプロピレン系エラストマー(a1)以外の樹脂(a2)として、ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F300SP」、MFR=3g/10min、[mmmm]=94%、表1では「樹脂1」と記す。)のペレットとを表1に示す配合比でドライブレンドし、直径30mmの池貝製作所社製の単軸押出機FS30(サテライトA押出機)に、ホッパーから投入し溶融させた。
なお、別途、組成物Aについて示差走査熱量測定を行ったところ、159℃に吸熱ピークが観測された。
(組成物(B))
ホモポリプロピレン(b1)((株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F300SP」、MFR=3g/10min、[mmmm]=94%)のペレットのみを直径30mmの池貝製作所社製の他の単軸押出機FS30(メインB押出機)にホッパーから投入し、溶融させた。
(組成物(C))
低密度ポリエチレン(c1)(日本ポリエチレン(株)製「ノバテックLD(登録商標)HE30」、MFR=0.3g/10min(190℃))とエチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)(日本ポリプロ(株)製「ノバテックPP(登録商標)BC4FC」、MFR=8g/10min、エチレン含有量10質量%)と、エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)((株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)S235WC」、MFR=10g/10min、エチレン含有量4質量%)とを表1に示す配合比でドライブレンドし、実験用押出機である東洋精機(株)ラボプラストミルを使用して230℃にて溶融混練し、ペレット化した。
該ペレットを直径30mmの池貝製作所社製の他の単軸押出機FS30(サテライトC押出機)にホッパーから投入し溶融させた。
ついで、積層ユニットであるフィードブロックにて、各組成物からなる各層を合流させ、単層ダイ(幅300mm)から3層シートとして押出した。そして、45℃に制御した冷却ドラム上でエアナイフを用い空気圧で押しつけながら、冷却固化させて、約700μm厚の前駆体積層物(キャスト原反シート)を得た。
得られた前駆体積層物に対して、ブルックナー社製バッチ式二軸延伸機「KARO IV」を用いて逐次二軸延伸を行った。延伸条件は、装置の設定温度として予熱温度165℃、予熱時間1分、延伸温度(縦延伸温度および横延伸温度)165℃、延伸速度100%/秒とした。熱セット条件は、165℃、30秒とした。このようにして、前駆体積層物を縦方向に4.6倍、横方向に9.3倍に延伸して、総厚みが約16μmで、背面層の厚みが4μmで、粘着層が表1に示す厚みである二軸延伸フィルムを得た。
そして、二軸延伸フィルムについて、以下に示す各評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例2〜10、比較例1〜5〕
各組成物の配合比、粘着層の厚み、縦延伸および横延伸の温度を表1および表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、各例の二軸延伸フィルムを得て、同様に評価した。評価結果を表2に示す。
なお、実施例2では、ポリプロピレン系エラストマー(a1)以外の他の樹脂(a2)として、ホモポリプロピレンに代えて、エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー社製「PC540R」、MFR=5g/10min、表1では「樹脂2」と記す。)を用いた。
実施例6では、上記「タフマー(登録商標)PN3560」に代えて、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む三井化学社製「タフマー(登録商標)PN2060」(MFR=6g/10min、ビカット軟化温度=120℃。示差走査熱量測定による吸熱ピークを160℃に有する。表1では「タフマー2」と記す。)を用いた。
実施例10では、延伸時の装置の設定温度として予熱温度、縦延伸および横延伸の温度、熱セット温度をいずれも160℃とした。
比較例1では、上記「タフマー(登録商標)PN3560」に代えて、水添スチレン系エラストマー(JSR社製「ダイナロン(登録商標)1320P」、MFR=3.5g/min)を用いた。
比較例2では、組成物(C)には、ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F300SP」)を用いた。
なお、別途、各例の組成物Aについて示差走査熱量測定を行ったところ、実施例2では148℃、実施例3〜5ではそれぞれ159℃、実施例6では155℃、実施例7〜10ではそれぞれ156℃、比較例2〜5ではそれぞれ159℃に、吸熱ピークが観測された(比較例1は未測定。)。
<評価方法>
(1)アイソタクチックメソペンタッド分率([mmmm])測定
測定対象の樹脂を溶媒に溶解し、高温型フーリエ変換核磁気共鳴装置(高温FT−NMR)として、日本電子株式会社製、高温FT−NMR「JNM−ECP500」を用い、すでに上述した条件、方法にて、アイソタクチックメソペンタッド分率([mmmm])を求めた。
5連子(ペンタッド)の組み合わせ(mmmmやmrrmなど)に由来する各シグナルの強度積分値より、百分率(%)で算出した。mmmmやmrrmなどに由来する各シグナルの帰属に関しては、「T.Hayashi et al.,Polymer,29巻,138頁(1988)」などのスペクトルの記載を参考とした。
(2)示差走査熱量測定
組成物Aを2mg秤量し、アルミニウム製のサンプルホルダーに詰め、DSC装置(パーキン・エルマー社製、入力補償型DSCである「Diamond DSC」)にセットした。窒素流下、0℃から280℃まで、10℃/分の速度で昇温し、280℃で5分間保持、10℃/分で30℃まで冷却した。その後、再び10℃/分で280℃まで昇温したときの吸熱ピークの温度を測定した。
(3)フィルムの総厚み
二軸延伸フィルムの厚みは、マイクロメーター(JIS−B7502)を用いて、JIS−C2151に準拠して測定した。
(4)粘着層および背面層の厚み
得られた二軸延伸フィルムの一部をサンプリングし、これをエポキシ樹脂にて包埋し、ミクロトームにて切削して、二軸延伸フィルムの縦断面を露出させた。該縦断面を顕微鏡にて観察し、写真を撮影し、スケールにて各層の厚み比率を計測した。そして、該比率と、上記(2)で測定したフィルムの総厚みとから、粘着層および背面層の厚みを算出した。
(5)算術平均高さSa
光干渉式非接触表面形状測定器として、(株)菱化システム製の「VertScan2.0(型式 R5500GML)」を使用し、算術平均高さSaを求めた。
具体的には、測定ではWAVEモードを用い、530whiteフィルタ及び×20対物レンズを用い、一視野あたり237μm×178μmの計測を3視野実施した。そして、この操作を背面層表面の任意の3箇所について行い、得られたデータについて四次の多項式近似によりうねり成分を除去し、ISO−25178によるSaの平均値を求めた。該平均値を表2に示した。
(6)粘着力(対アクリル板粘着力)
二軸延伸フィルム(縦(MD方向)200mm、横(幅)25mmの四角形に裁断したもの。)を市販のアクリル板(厚み:2mm、長さ:125mm、幅:50mm)に貼付した。貼付は、JIS−Z−0237に準拠してゴムローラーを使用し、二軸延伸フィルムの粘着層とアクリル板との間に空気が入らないよう行った。これをサンプルとし、20gf/cm(0.2N/cm)の荷重下、40℃で24時間エージングした。その後、23℃、50%RHの室温にて2時間静置後、引っ張り試験機を用いて300mm/minの速度で180度剥離を行い、その際の粘着力を計測した。
測定は3回行い、その平均値を採用して表2に示した。
対アクリル板粘着力は、30mN/25mm以上が、実用上好ましい。
(7)粘着昂進評価
二軸延伸フィルム(縦(MD方向)200mm、横(幅)25mmの四角形に裁断したもの。)を60℃環境下に24時間静置した後、上記(6)と同様の方法で粘着力を測定した。このようにして得られた粘着力の値を、上記(6)により測定された粘着力の値で割った。得られた値を表2に示した。
なお、この値が1.3未満であれば、粘着昂進が非常に少なく、保護フィルム等として好ましく使用できる。1.3以上1.5未満であれば、粘着昂進が少なく、保護フィルム等として使用可能である。1.5以上であれば、粘着昂進が激しく、保護フィルム等としての使用に支障がある。
(8)対ブロッキング性
二軸延伸フィルム(縦(MD方向)200mm、横(幅)200mmの四角形に裁断したもの。)を10枚重ねあわせ、ローラーで貼付した後、50gf/cm(0.49N/cm)の荷重下、70℃で60分間エージングした。なお、二軸延伸フィルムを重ねあわせる際には、粘着層の表面が背面層の表面に接するように重ねた。
これを50mm幅にカットしてサンプルを作製した。得られたサンプルにおいて、粘着層の表面と背面層の表面とのブロッキングの状態を評価した。なお、評価は、9箇所ある界面のうちの5箇所を任意に選択して行った。
評価基準は、下記のとおりである。
◎:10枚重ねた二軸延伸フィルムにおける、粘着層の表面と背面層の表面の5箇所の界面のいずれにおいても、両層は全く密着していない。
○:10枚重ねた二軸延伸フィルムにおける、粘着層の表面と背面層の表面の5箇所の界面のいずれにおいても、両層は容易に剥離可能である。
△:10枚重ねた二軸延伸フィルムにおける、粘着層の表面と背面層の表面の5箇所の界面のいずれにおいても、両層は付着し、剥離しにくい。
×:10枚重ねた二軸延伸フィルムにおける、粘着層の表面と背面層の表面の5箇所の界面のいずれにおいても、両層が密着し、剥離困難である。
Figure 0006341049
Figure 0006341049
表中、ポリプロピレンのことを「PP」、ポリエチレンのことを「PE」、エチレン−プロピレンブロック共重合体のことを「E−Pブロック共重合体」、エチレン−プロピレンランダム共重合体のことを「E−Pランダム共重合体」と記載する。
また、表中の「タフマー1」、「タフマー2」、「樹脂1」、「樹脂2」は、上述のとおり、以下を意味する。
タフマー1:三井化学社製「タフマー(登録商標)PN3560」(MFR=6g/10min)
タフマー2:三井化学社製「タフマー(登録商標)PN2060」(MFR=6g/10min)
樹脂1:ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製「プライムポリプロ(登録商標)F300SP」、MFR=3g/10min、[mmmm]=94%)
樹脂2:エチレン−プロピレンランダム共重合体(サンアロマー社製「PC540R」、MFR=5g/10min)
表2に示すように、各実施例によれば、粘着力、対ブロッキング性、粘着昂進抑制効果のいずれにも優れた二軸延伸フィルムが得られた。また、たとえば実施例4は粘着力が大きいが、粘着力が大きな場合でも、対ブロッキング性は良好であった。
これに対して、粘着層に水添スチレン系エラストマーを用いた比較例1の二軸延伸フィルムは、粘着昂進が顕著であるとともに対ブロッキング性に劣っていた。比較例2〜5の二軸延伸フィルムは、背面層の組成が適切ではなく、背面層の表面の算術平均高さSaが不充分であった。そのため、対ブロッキング性が劣っていた。
また、実施例1、2、4から、粘着層を形成する組成物Aにホモポリプロピレンを配合することが、粘着昂進抑制効果の向上に寄与することがわかった。また、実施例1、5から、粘着層を形成する組成物Aがホモポリプロピレンを25質量%以上含むと、粘着昂進抑制効果が充分に得られること、組成物A中のホモポリプロピレンの含有量を調整することにより、粘着力を制御できることがわかった。

Claims (5)

  1. ホモポリプロピレン(b1)を含む組成物(B)からなるコア層と、
    前記コア層の一方の面に形成され、ポリプロピレン系エラストマー(a1)を含む組成物(A)からなる粘着層と、
    前記コア層の他方の面に形成され、低密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンの少なくとも一方であるポリエチレン(c1)と、エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)と、エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)とを含む組成物(C)からなる背面層と、
    からなり、
    前記組成物(C)に対する前記ポリエチレン(c1)の含有量が20〜40質量%、前記エチレン−プロピレンブロック共重合体(c2)の含有量が40〜55質量%、前記エチレン−プロピレンランダム共重合体(c3)の含有量が10〜25質量%であることを特徴とする二軸延伸フィルム。
  2. 前記組成物(A)が、ホモポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸フィルム。
  3. 前記組成物(B)に対する前記ホモポリプロピレン(b1)の含有量が、30質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の二軸延伸フィルム。
  4. 前記背面層のISO−25178規格に基づく算術平均高さが、0.5μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の二軸延伸フィルム。
  5. 総厚みが10〜100μmで、前記粘着層の厚みが3〜10μmで、前記背面層の厚みが3〜10μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の二軸延伸フィルム。
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