JP6728681B2 - 積層フィルム、その製造方法および表面保護フィルム - Google Patents

積層フィルム、その製造方法および表面保護フィルム Download PDF

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Description

本発明は、生産性、強度、品位、ハンドリング性に優れ、かつ再剥離可能な適度な粘着性を加熱により有する、表面保護フィルムとして好適に用いることのできる積層フィルムに関する。
被着体表面への粘着性を有し、かつ、使用後は被着体を汚染することなく剥離可能な粘着性フィルムは、包装用フィルムや表面保護フィルムや工程用フィルムとして用いられる。そして、各種機械製品、ディスプレイパネル用部材、合成樹脂製のパネル、電気機器等の基板および部品等、保護対象物の表面に貼り付けられ、加工、保管、輸送、出荷時などの保護フィルムとして広く使用されている。
このような粘着性フィルムは、粘着層の摩擦係数が高いため滑り性が悪く、製膜時や使用時のハンドリング性が困難であったり、製品ロールにシワが入りやすい場合があったりした。ポリエチレンテレフタレートフィルムなどフィルムの表面に粘着剤を塗工したフィルムでは、製品ロールを巻き取る際、リリースフィルムを合紙として共巻きすることが一般的であり、コストアップの要因となる場合があった。
これらの問題を解決する手段として、たとえば特許文献1〜2には、粘着層の背面に離型層を設けた自己粘着ポリプロピレンフィルムについて記載されている。しかし、離型性を付与するために離型成分を添加するため、コストアップに繋がる場合や、分散性不良などにより欠点が発生する場合があった。
特開2009−299022号公報 特開2014−24940号公報
本発明の課題は、生産性、強度、品位、ハンドリング性に優れ、かつ再剥離可能な適度な粘着性を生じる積層フィルムを提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の積層フィルムは、少なくとも基材層と粘着層とを含む積層フィルムであって、25℃で72時間静置後の粘着層の25℃での粘着力が0.02N/25mm未満であり、60〜110℃のいずれかの温度で3秒間熱処理した後の粘着層の25℃での粘着力が0.02N/25mm以上である。
本発明の積層フィルムとして以下の好ましい態様がある。基材層はプロピレンフィルムを含む。積層フィルムは二軸延伸されたものである。積層フィルムの幅方向の110℃熱処理後の熱収縮率が1.0%以下である。
また本発明の積層フィルムの製造方法は、
(1)基材層用の材料および粘着層用の材料それぞれを溶融する工程、
(2)溶融されたそれぞれの材料を積層する工程、
を有する。
また本発明における、表面保護された物品の製造方法は、前記の積層フィルムを60〜110℃で加熱した後、60℃未満の温度で物品に貼り付ける工程を有する。
また本発明における、物品の製造方法は、前記表面保護された物品の積層フィルムを60℃未満で剥離する工程を有する。
本発明の積層フィルムは、生産性、強度、品位、ハンドリング性に優れ、かつ加熱により再剥離可能な適度な粘着性を生じる。このため表面保護フィルムとして好適に使用することができる。
本発明の積層フィルムは、少なくとも基材層と粘着層とを含む積層フィルムであって、25℃で72時間静置後の粘着層の25℃での粘着力が0.02N/25mm未満であり、60〜110℃のいずれかの温度で3秒間熱処理した後の粘着層の25℃での粘着力が0.02N/25mm以上である。
25℃で72時間静置後の25℃での粘着力が0.02N/25mm未満であることにより以下の効果が得られる。フィルムの滑り性などのハンドリング性が向上する。製膜時や後加工時のシワの発生が抑制される。製品ロールの巻き姿が向上する。25℃で72時間静置後の25℃での粘着力は、より好ましくは0.01N/25mm未満、更に好ましくは0.005N/25mm未満である。また、60〜110℃のいずれかの温度で3秒間熱処理した後の粘着層の25℃での粘着力が、25℃で72時間静置後の25℃での粘着力よりも高くなり、保護フィルムとして適度な粘着力が発現する。そのため粘着フィルムとして使用する際は、貼り合わせ前に予熱することにより粘着フィルムとして好適に使用することができる。また、60〜110℃のいずれかの温度で3秒間熱処理した後の粘着層の25℃での粘着力は、0.02N/25mm以上である。より好ましくは、0.05N/25mm以上である。粘着力を上記範囲とするには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、また、製膜条件を後述する範囲とし、特にキャスト工程での条件を後述する範囲とすることが効果的である。上記粘着力が必要となる温度が60〜110℃のいずれかの温度であるのは以下の理由による。高温で貼り付けるとフィルムが軟化して、フィルムが伸びたり破断したりする場合があるため、高温での粘着力を特定する必要がない。また、60℃未満の場合は、本発明の積層フィルムと被着体を貼り合わせて保管している際、温度管理されていない倉庫では夏場に環境温度が60℃付近まで上昇する場合があり、環境温度により粘着力が変化する場合がある。
また、80℃で3秒間熱処理した後の25℃での粘着力が0.02〜2.0N/25mmであることが好ましい。この80℃熱処理後の25℃での粘着力が0.02N/25mm未満であると、被着体と貼り合わした後、これらを搬送中などにフィルムが剥がれてしまう場合がある。2.0N/25mmを超えると、被着体から剥がす際にフィルムが伸びて破れたり、被着体に剥離痕が残ったりする場合がある。80℃で3秒間熱処理した後の25℃での粘着力は、より好ましくは0.02N/25mm以上、1.5N/25mm以下、更に好ましくは0.05N/25mm以上、1.0N/25mm以下である。粘着力を上記範囲とするには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、また、製膜条件を後述する範囲とし、特にキャスト工程での条件を後述する範囲とすることが効果的である。
従来の保護フィルムは、常温で粘着力が高かったため、フィルムへの製膜時や後加工時のハンドリング性が低下する問題があった。本発明の積層フィルムでは、上述したとおり、予熱により一定の粘着力を発現し、更にフィルムを常温に戻しても一定時間粘着力が持続し、その後常温では粘着力をほとんど発現しない。そのため、例えば被着体と貼り合わせる際に、貼り合わせ用のニップロールの直前で、本発明の積層フィルムを金属加熱ロールなどを用いて予熱し、その後常温のニップロールで被着体と貼り合わせることにより、貼り合わせ時のみ粘着性を発現することが可能となる。これにより、従来の課題であった粘着性とハンドリング性の両立が可能となる。
また、従来のフィルムとしてホットメルト接着フィルムのように、高温下で接着性を発現するフィルムがある。これらのフィルムは粘着力が持続せず、常温に戻すとすぐに粘着力がなくなるため、高温下で被着体と貼り合わせる必要があり、被着体が高温下に晒されるため、被着体のカールや変形に繋がる場合があった。
更に本発明の積層フィルムは、予熱により一度粘着力を発現しても、25℃で72時間静置することにより、再び25℃での粘着力が0.02N/25mm未満となり粘着性をほとんど発現しなくなるため、例えば、被着体と貼り合わせたフィルムを使用する際、本発明の積層フィルムを剥離した後のハンドリング性も向上するため好ましい。
本発明の積層フィルムは、長手方向のヤング率EMDが1GPa以上であることが好ましい。長手方向のヤング率EMDが低いと、表面保護フィルムとして用い被着体から剥離する際に剥離張力でフィルムが伸びて破れたり、被着体に剥離痕が残る場合がある。また、貼り合わせ時の搬送張力でフィルムが伸びてしまう場合がある。EMDはより好ましくは1.2GPa以上、更に好ましくは1.4GPa以上である。EMDは大きいほど好ましいが、実質的には3GPa程度が上限である。EMDの値を上記範囲とするためには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、また、製膜条件を後述する範囲とし、フィルムを高倍率で二軸延伸して積層フィルムを得ることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、幅方向のヤング率ETDが1GPa以上であることが好ましい。ETDが低いと、搬送時にフィルムにシワが入りやすくなったり、被着体であるフィルムと貼り合わせてロール状に巻き取り、保管した際にフィルムの寸法変化によりロールにシワなどが発生する場合がある。ETDはより好ましくは1.5GPa以上、更に好ましくは2.0GPa以上、最も好ましくは2.5GPa以上である。ETDは大きいほど好ましいが、実質的には7GPa程度が上限である。ETDの値を上記範囲とするためには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、また、製膜条件を後述する範囲とし、フィルムを高倍率で二軸延伸して積層フィルムを得ることが好ましい。
なお、本発明においては、フィルムの製膜する方向に平行な方向を、製膜方向あるいは長手方向あるいはMD方向と称し、フィルム面内で製膜方向に直交する方向を幅方向あるいはTD方向と称する。
本発明の積層フィルムは、幅方向の110℃熱処理後の熱収縮率が1.0%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.3%以下である。幅方向の熱収縮率が大きすぎると、たとえば、他の素材と貼り合わせる前に本発明の積層フィルムを加熱した際などに、フィルムが変形して剥がれたり、シワが入る場合がある。また、被着体であるフィルムと貼り合わせてロール状に巻き取り、保管した際に環境温度が上がると、フィルムの寸法変化によりロールにシワなどが発生する場合がある。熱収縮率の下限は特に限定されないが、フィルムが膨張する場合もあり、実質的には−2.0%程度が下限である。熱収縮率を上記範囲とするには、フィルムの原料組成を後述する範囲とし、また、製膜条件を後述する範囲とし、特に二軸延伸後の熱固定、弛緩条件を後述する範囲とすることが効果的である。
本発明の積層フィルムは、基材層表面と粘着層表面との間の静摩擦係数μsが2.0以下であることが好ましい。より好ましくは、1.5以下、更に好ましくは1.2以下、最も好ましくは0.8以下である。静摩擦係数μsが大きすぎると、たとえば、製膜時に搬送ロールでシワが入り、製膜性が低下したり、フィルムを巻き取った製品ロールにシワが入り品位が低下する場合がある。静摩擦係数μsは小さいほど好ましいが、実質的には0.1程度が下限である。静摩擦係数μsを上記範囲とするには、フィルムの原料組成を後述する範囲とすることが効果的である。
本発明の積層フィルムの厚みは用途によって適宜調整されるものであり特に限定はされないが、5μm以上100μm以下であることが好ましい。厚みが小さすぎると、ハンドリングが困難になる場合があり、厚みが大きすぎると、樹脂量が増加して生産性が低下する場合がある。本発明の積層フィルムは、厚みを小さくしても、滑り性に優れるためハンドリング性を保つことができる。このような特徴を活かすためには、厚みは、5μm以上40μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下であることが更に好ましく、5μm以上25μm以下であることが最も好ましい。厚みは他の物性を悪化させない範囲内で、押出機のスクリュウ回転数、未延伸シートの幅、製膜速度、延伸倍率などにより調整可能である。
次に、上述した特性を満たすための本発明の積層フィルムに用いると好ましい原料および、その原料を用いたフィルムの構成について説明する。
本発明の積層フィルムは、未延伸フィルムであっても、少なくとも一軸方向に延伸されたフィルムであっても構わないが、フィルムの強度や生産性の観点から、二軸延伸して得られる二軸配向フィルムであることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、少なくとも基材層と粘着層とを含むフィルムであって、基材層はポリオレフィンを主成分とすることが好ましく、耐熱性や品位の観点からポリプロピレンを主成分とすることがより好ましい。ここで、本発明において「主成分」とは、特定の成分が全成分中に占める割合が50質量%以上であることを意味し、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、最も好ましくは99質量%以上である。粘着層は、熱可塑性エラストマーと結晶性ポリプロピレンとを含有し、熱可塑性エラストマーと結晶性ポリプロピレンの合計質量に対する熱可塑性エラストマーの質量割合(%)が1〜45%であることが好ましい。
以下、本発明の基材層の材料として好ましく用いられるポリプロピレン(以下「ポリプロピレンA」という。)について説明する。
ポリプロピレンAは、好ましくは冷キシレン可溶部(以下CXS)が4質量%以下でありかつメソペンタッド分率は0.95以上であるポリプロピレンであることが好ましい。これらを満たさないと製膜安定性に劣ったり、フィルムのヤング率が低下したりする場合がある。
ここで冷キシレン可溶部(CXS)とはポリプロピレンを135℃のキシレンで完全溶解せしめた後、23℃で析出させたときに、キシレン中に溶解しているポリプロピレンのもとのポリプロピレンAに対する比率のことをいう。このようなポリプロピレンは、立体規則性が低い、分子量が低い等の理由で結晶化し難い成分に該当していると考えられる。このような成分が多く樹脂中に含まれていると、フィルムのヤング率に劣ることがある。従って、CXSは4質量%以下であることが好ましいが、更に好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。CXSは低いほど好ましいが、0.1質量%程度が下限である。このようなCXSを有するポリプロピレンとするには、樹脂を得る際の触媒活性を高める方法、得られた樹脂を溶媒あるいはプロピレンモノマー自身で洗浄する方法等の方法が使用できる。
同様な観点からポリプロピレンAのメソペンタッド分率は0.95以上であることが好ましく、更に好ましくは0.97以上である。メソペンタッド分率はポリプロピレンの立体規則性を示す指標であり、核磁気共鳴法(NMR法)で測定できる。この数値が高いものほど結晶化度が高く、融点が高くなり、高温での使用に適するため好ましい。メソペンタッド分率の上限については特に規定するものではない。このように立体規則性の高いポリプロピレンを得るには、ポリプロピレンのパウダーをn−ヘプタン等の溶媒で洗浄する方法や、触媒および/または助触媒の選定、およびこれら組成の選定を適宜行う方法等が好ましく採用される。
また、ポリプロピレンAとしては、より好ましくはメルトフローレート(MFR、JIS K7210(1999))が1〜10g/10分(230℃、21.18N荷重)、特に好ましくは2〜5g/10分(230℃、21.18N荷重)の範囲のものが、製膜性やフィルムの引張剛性の観点から好ましい。MFRを上記の値とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが採用される。
ポリプロピレンAとしては、プロピレンの単独重合体が通常使用できるが、本発明の効果を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有してもよい。ポリプロピレンの単独重合体と、他の不飽和炭化水素などの共重合体とがブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として例えばエチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。共重合量またはブレンド量は、引張剛性の観点から、共重合量では1mol%未満とし、ブレンド量では10質量%未満とするのが好ましい。
本発明の基材層には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレンAの熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤が含まれていることが好ましい。また、滑り性向上の目的では、滑剤を添加することが好ましい。酸化防止剤含有量および滑剤含有量は、ポリプロピレンA、100質量部に対してそれぞれ2質量部以下とすることが好ましく、より好ましくはそれぞれ1質量部以下、更に好ましくはそれぞれ0.5質量部以下である。
また、基材層には、後述する熱可塑性エラストマーを含んでいてもよい。ただし基材層における熱可塑性エラストマーの含有量は、粘着層における熱可塑性エラストマーの含有質量比率より少ないことが好ましい。より好ましくは、熱可塑性エラストマーとポリプロピレン原料Aの合計質量に対する熱可塑性エラストマーの質量割合(%)が0%以上3%未満であり、更に好ましくは0%以上1%未満である。基材層における熱可塑性エラストマーの含有量が多いと、積層フィルムのヤング率が低下したり、基材層の滑り性が低下したりして、ハンドリング性が悪化する場合がある。
次に、本発明の積層フィルムの粘着層に好ましく用いられる原料について説明する。
粘着層は、熱可塑性エラストマーと結晶性ポリプロピレン(以下「結晶性ポリプロピレンB」という。)とを含有し、熱可塑性エラストマーと結晶性ポリプロピレンの合計質量に対する熱可塑性エラストマーの割合が1〜45質量%であることが好ましい。
本発明において熱可塑性エラストマーとは、融点が100℃以下または融点を持たない熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーとしては、上述した粘着力を発現する原料であれば、特に限定されず、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、塩ビ系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができる。たとえばスチレン系樹脂としてはスチレン・エチレンブチレン・スチレン共重合体(SEBS)、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・エチレンプロピレン・スチレン共重合体(SEPS)、水添スチレンブタジエンラバー(HSBR)、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶共重合体(SEBC)などを用いることができ、オレフィン系樹脂としては、非晶性ポリプロピレン、低結晶性ポリプロピレン、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶共重合体(CEBC)などを用いることができる。この中でも、少量の添加でも優れた粘着性を発現でき、粘着フィルム単体での搬送性などに優れることや、結晶性ポリプロピレンの割合を多くできることからフィッシュアイなどの品位に優れる観点から、熱可塑性エラストマーはスチレン系樹脂であることが好ましい。更に、スチレン系樹脂の中でも、スチレン1〜40質量%とジエン系炭化水素99〜60質量%とをモノマーとして合成されたランダム共重合体を水素添加した樹脂であることが好ましい。
本発明の積層フィルムの粘着層に好ましく用いられる結晶性ポリプロピレンBについて説明する。結晶性ポリプロピレンBとしては、粘着層の粘着性を阻害しないことが重要である。たとえばチーグラーナッタ触媒によるホモポリプロピレンを用いると結晶性が高すぎて、二軸延伸後に粘着層の柔軟性が低下し、粘着性が十分発現しない場合がある。以上の観点から、結晶性ポリプロピレンBは、結晶性の低下や融点の低下の目的でエチレン成分やブテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン成分を10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2.5質量%以下の範囲で共重合したポリプロピレン樹脂が好ましい。同じ目的でメタロセン触媒を用いて重合したホモポリプロピレンまたは共重合ポリプロピレンを用いることも好ましい。共重合の方法としては、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれを用いても構わないが、機械物性の低下を抑制しつつ、結晶性や融点を低下させることが可能なことから、ランダム共重合が好ましい。
本発明における結晶性ポリプロピレンBの融点は120℃〜150℃であることが好ましく、125〜148℃がより好ましく、125〜145℃がさらに好ましい。融点が低すぎると、結晶性が低すぎて、フィルムのヤング率が低下する場合がある。また縦延伸ロールなどに粘着し、製膜性が低下する場合がある。融点を下げるためにエチレンを多く共重合させると、フィッシュアイなどの欠点が生じやすくなる場合がある。融点が高すぎると、結晶性が高すぎて、二軸延伸後に粘着層の柔軟性が低下し、粘着性が発現しない場合がある。結晶性ポリプロピレンBとしては、住友化学社製ポリプロピレンFS3611やS131、サンアロマー社製ポリプロピレンPM940MやPB222A、プライムポリマー社製ポリプロピレンB221WAやB241などを用いることができる。
本発明の積層フィルムの粘着層は、上述したように熱可塑性エラストマーと結晶性ポリプロピレンを含有することが好ましい。質量比としては前者を1〜45質量部、後者99〜55質量部を含有することが好ましい。なおこの段落での説明では、両者の和は100質量部である。熱可塑性エラストマーの含有比が1質量部未満であると、60〜110℃で加熱しても粘着性を発現しない場合がある。熱可塑性エラストマーの含有比が45質量部を超えると、25℃で必要以上の粘着力が発現してしまい、ハンドリング性が低下する場合がある。熱可塑性エラストマーの含有量は、より好ましくは5〜40質量部であり、更に好ましくは10〜30質量部である(対応する好ましい結晶性ポリプロピレンBの含有量はそれぞれ95〜60質量部、90〜70質量部である)。結晶性ポリプロピレンBの含有比が99質量部を超えると60〜110℃で加熱しても粘着性を発現しない場合がある。結晶性ポリプロピレンBの含有量が小さすぎると、フィルムのヤング率が低下したり、フィッシュアイなどの欠点が生じやすくなる場合がある。
本発明の積層フィルムの粘着層は、上述した熱可塑性エラストマーと結晶性ポリプロピレンBの合計量が粘着層を構成する樹脂に対し50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、99質量%以上であることが最も好ましい。熱可塑性エラストマーと結晶性ポリプロピレンの合計量が少なすぎると、60〜110℃のいずれかの温度で3秒間加熱しても粘着性が発現しない場合がある。また熱可塑性エラストマーと結晶性ポリプロピレンBとの相溶性が低下して、フィッシュアイなどの欠点が発生し品位が低下する場合がある。
本発明の積層フィルムの粘着層には、上述した熱可塑性エラストマーと結晶性ポリプロピレンBの他に、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機または有機の粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種の添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレンAおよび結晶性ポリプロピレンBの熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤含有量は、ポリプロピレンAおよび結晶性ポリプロピレンBの合計量100質量部に対して0.01〜2質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.01〜1質量部、更に好ましくは0.01〜0.5質量部である。
本発明の積層フィルムは、少なくとも基材層と粘着層を含むフィルムであって、上記ポリプロピレンAを主成分とする基材層の少なくとも片面に、上記熱可塑性エラストマーと結晶性ポリプロピレンBを含有する粘着層が積層された積層構成であることが好ましい。このとき、積層フィルム全体の厚みに対する粘着層厚みの割合(%)は、5〜50%であることが好ましく、より好ましくは7〜45%、更に好ましくは10〜40%である。粘着層の厚みの割合が多すぎると、相対的に基材層の厚みが減ることにより、積層フィルムの強度が低下する。表面保護フィルムとして用いたとき、被着体との粘着性が高い場合に、貼り付けたフィルムが剥離張力によって伸びて破れる場合がある。粘着層厚みの割合(%)が5%未満であると、必要な粘着性が発現しない場合がある。積層厚み比を上記範囲内とするためには、基材層および粘着層に使用するそれぞれの押出機のスクリュウ回転数により調整可能である。ただし、基材層の両面に粘着層を積層する場合は、粘着層の合計厚みが上記厚み割合になることが好ましい。
また、本発明の積層フィルムは、基材層用の材料と粘着層用の材料を共押出により形成されることが製造コストの観点から好ましい。更に、二軸延伸された二軸配向フィルムであることが好ましい。二軸配向フィルムであることにより、製造コストやフィルム強度やハンドリング性の観点で優れるだけでなく、本発明の効果である、予熱により一定の粘着力を発現する機能を効果的に発現することができる。二軸配向フィルムで該機能を発現する理由は明確ではないが、以下のように考えられる。フィルムが二軸延伸されることにより、粘着層のポリプロピレンポリマーは配向し、分子運動性が低下するため常温では粘着力が低下する。ここで、フィルムを予熱することにより、ポリプロピレンポリマーの非晶部分の一部の分子運動性が向上し、粘着力を発現するものと考えられる。また、一度予熱により向上した分子運動性は、常温下でもしばらく持続するため、フィルムを常温に戻しても一定時間粘着力が持続し、更にその後長時間常温で静置すると粘着力をほとんど発現しなくなるものと考えられる。
次に本発明の積層フィルムの製造方法を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、基材層用の材料を単軸押出機に供給し、200〜260℃にて、溶融押出しする。好ましくはその後、フィルターにて異物や変性したポリマーを除去する。一方、粘着層用の材料を別の単軸押出機に供給し、200〜260℃にて溶融押出を行う。そして、好ましくはフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去する。それぞれの溶融押出機から押出された原料をマルチマニホールド型の基材層/粘着層層の複合Tダイに供給する。そしてダイにて1/1〜19/1(基材層/粘着層)の積層厚み比になるように積層し、キャストドラム上に吐出し、2層構成を有するシートを得る。この際、キャストドラムは表面温度が35〜90℃であることが粘着層の加熱後の粘着性発現の観点から好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。キャスティングドラムへの密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面性の観点からエアーナイフ法が好ましい。エアーナイフのエアー温度は、25〜100℃、好ましくは30〜80℃で、吹き出しエアー速度は130〜150m/sが好ましく、幅方向均一性を向上させるために2重管構造となっていることが好ましい。また、フィルムの振動を生じさせないために製膜下流側にエアーが流れるようにエアーナイフの位置を適宜調整することが好ましい。
得られた未延伸シートは、空気中で放冷された後、縦延伸工程に導入される。縦延伸工程ではまず複数の100℃以上150℃未満に保たれた金属ロールに未延伸シートを接触させて延伸温度まで予熱され、長手方向に3〜8倍に延伸した後、室温まで冷却する。延伸温度が低すぎると、フィルムが破断したり、得られる積層フィルムの粘着層の結晶性が高くなりすぎて、加熱後に、必要な粘着性を発現しない場合がある。延伸温度が高すぎると、粘着層面が加熱された金属ロールに接触した際ロールに粘着し、フィルムが破断する場合がある。また延伸倍率が3倍未満であると、フィルムの配向が弱くなり、ヤング率が低下する場合がある。8倍を超えるとフィルムが破断したり、得られる積層フィルムの粘着層の結晶性が高くなりすぎて、加熱後に、必要な粘着性を発現しない場合がある。
次いで縦一軸延伸フィルムをテンターに導いてフィルムの端部をクリップで把持し横延伸を120〜165℃の温度で幅方向に7〜13倍に延伸する。延伸温度が低いと、フィルムが破断する場合があり、延伸温度が高すぎると、フィルムテンター内で溶融したり、厚みムラが大きくなる場合がある。また、倍率が高いとフィルムが破断する場合があり、倍率が低いとフィルムの配向が弱くヤング率が低下する場合がある。
続く熱処理および弛緩処理工程ではクリップで幅方向を緊張把持したまま幅方向に2〜20%の弛緩率で弛緩を与えつつ、100℃以上165℃度未満の温度で熱固定し、続いて80〜140℃での冷却工程を経てテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップ解放し、ワインダ工程にてフィルムエッジ部をスリットし、フィルム製品ロールを巻き取る。ワインダ工程でのシワ発生を抑制するために、ワインダ工程の1本目のロールは0〜30℃に冷却することが好ましい。
以上のようにして得られた本発明の積層フィルムは、包装用フィルム、表面保護フィルム、工程フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途で用いることができるが、特に加熱後の粘着性に優れることから、表面保護フィルム、工程フィルムとして好ましく用いることができる。
本発明の積層フィルムは、たとえば以下のように使用することができる。本発明の積層フィルムを巻き出し、60〜110℃の温度で0.1〜5秒程度予熱する。このときの予熱(加熱)の方法は、金属加熱ロール、熱風オーブン、赤外線ヒータなどを用いることができるが、予熱効率が良いことや温度ムラが小さいことから金属加熱ロールを用いることが好ましい。金属加熱ロールを用いる場合、積層フィルムと金属加熱ロールが接する面は、特に限定されず基材層側でも粘着層側でも使用可能である。その後、積層フィルムと被着体となる物品とをニップロールで貼り付けて本発明の積層フィルムによって表面保護された物品を引き取る。貼り付ける際の温度は60℃未満が好ましく、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。貼り合わせる際のニップロールは特に限定はなく、ゴムロールと金属ロールのニップロール、ゴムロール同士のニップロール、金属ロール同士のニップロールなどを使用することができる。さらに、表面保護の必要がなくなった状況で、例えば、60℃未満、好ましくは50℃以下、好ましくは30℃以下の環境で、積層フィルムを物品から剥離する。被着体となる物品としては、製品の部材であっても製品であってもよく、各種機械製品、ディスプレイパネル用部材、合成樹脂製のパネル、さらには電気機器等の基板や部品等が挙げられる。特に偏光板部材に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)フィルム厚み
マイクロ厚み計(アンリツ社製)を用いて5点測定し、平均値を求めた。
(2)長手方向および幅方向のヤング率(EMD、ETD
積層フィルムを試験方向長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製“テンシロン”(登録商標)AMF/RTA−100)を用いて、JIS−K7127(1999)に規定された方法に準じて、25℃、65%RH雰囲気で5回測定を行い、平均値を求めた。ただし、初期チャック間距離50mmとし、引張速度を300mm/分として、試験を開始してから荷重が1Nを通過した点を伸びの原点とした。
(3)熱収縮率
フィルムの幅方向に幅10mm、長さ200mm(測定方向)の試料を5本切り出し、両端から25mmの位置に標線として印しを付けて、万能投影機で標線間の距離を測定し試長(l)とする。次に、試験片を紙に挟み込み荷重ゼロの状態で110℃に保温されたオーブン内で、15分間加熱後に取り出して、室温で冷却後、寸法(l)を万能投影機で測定して下記式にて求め、5本の平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率={(l−l)/l}×100(%) 。
(4)25℃で72時間静置後の25℃での粘着力
粘着力の測定はJIS Z 0237(2009)に規定の方法に準拠して行った。ただしSUS304番の代わりに鏡面状のアクリル樹脂板(三菱レイヨン社製“アクリライト”(登録商標。以下同じ。)L001、3mm板)を用いた。実施例および比較例の積層フィルムを25℃、65%RHの雰囲気下に72時間静置後、それぞれを幅25mm、全長200mmの短冊状に切り取り、粘着層側を前記のアクリル樹脂板に貼り合わせて、質量2kg、幅45mmのゴムローラーを用いて短冊状のサンプル部分を押圧し均一に密着した。その後、密着した状態で25℃、65%RHの雰囲気下に24時間静置後、アクリル樹脂板を固定して積層フィルムの一端を300mm/minの一定速度により180°剥離するときの強度(N/25mm)を測定し粘着力とした。なお、粘着力が測定下限(0.005N/25mm)未満だった時は、表1には0.005未満と記載した。
(5)熱処理後の25℃での粘着力
粘着力の測定はJIS Z 0237(2009)に規定の方法に準拠して行った。ただしSUS304番の代わりに鏡面状のアクリル樹脂板(三菱レイヨン社製“アクリライト”L001、3mm板)を用いた。実施例および比較例の積層フィルムを25℃、65%RHの雰囲気下に72時間静置後、それぞれを幅25mm、全長200mmの短冊状に切り取り、粘着層側を80℃の金属ロールに3秒間接触させた。その後、金属ロールからフィルムを離し、積層フィルムが25℃になってから1分後に、粘着層側を前記のアクリル樹脂板に貼り合わせて、質量2kgのゴムローラーを用いて押圧し均一に密着した。その後、密着した状態で25℃、65%RHの雰囲気下に24時間静置後、アクリル樹脂板を固定して積層フィルムの一端を300mm/minの一定速度により180°剥離するときの強度(N/25mm)を測定し粘着力とした。なお、粘着力が測定下限(0.005N/25mm)未満だった時は、表1には0.005未満と記載した。
なお、上記においては80℃熱処理の例を示したが、60〜110℃のいずれかの温度で熱処理する場合も、上記した金属ロールの温度を適宜調整して3秒間接触させて測定すればよい。
(6)摩擦係数μs
東洋テスター工業製摩擦測定器を用い、ASTM−D1894(1999年)に準じて、1枚のフィルムの基材層と別の1枚のフィルムの粘着層とが接触するように重ねてMD方向に摩擦させた時の初期の立ち上がり抵抗値を測定し、最大値を摩擦係数μsとした。ただし、初期の立ち上がりが大きくて測定上限値(5.0)を越えた場合は測定不能とした。サンプルは、幅80mm、長さ200mmの長方形とし、5セット(10枚)切り出し、25℃で72時間静置後に、セットあたり1回、合計5回測定を行い、平均値を求めた。
(実施例1)
まず、ポリプロピレンAとして、結晶性PP(a)(プライムポリマー(株)製、TF850H、MFR:2.9g/10分)を99.3質量部、表面をシランカップリング剤で処理したシリカ粒子(電気化学工業社製、SFP−30MHE、平均粒径0.3μm)を0.5質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製“IRGANOX”(登録商標)1010、IRGAFOS168を各々0.1質量部ずつがこの比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、260℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてポリプロピレン原料A1を得た。
基材層用の原料として上記ポリプロピレン原料A1を基材層用の単軸の溶融押出機に供給した。一方、粘着層用の熱可塑性エラストマーとして水添スチレン系エラストマー(JSR(株)製、“ダイナロン”(登録商標。以下同じ。)D−1320P)を30質量部および結晶性ポリプロピレンBとして結晶性PP(b)(住友化学(株)製、S131、融点132℃、MFR:1.5g/10分)70質量部とをドライブレンドした。得られた混合物を粘着層用の単軸の溶融押出機に供給した。2機の溶融押出機それぞれ240℃で溶融、および押出を行い、60μmカットの焼結フィルターで異物を除去した。そして溶融・押出された2種の原料をフィードブロック型のA/B複合Tダイにて11/4の厚み比で積層しシート化した。この溶融シートを80℃に表面温度を制御したキャストドラム上で、エアーナイフにより密着させ冷却固化し未延伸シートを得た。ついで、複数のセラミックロールを用いて125℃で予熱を行い、フィルムの長手方向に125℃で4.6倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に、フィルムの両側端部をクリップで把持させて導入し、170℃で3秒間予熱後、165℃で8.0倍に延伸した。続く熱処理工程で、幅方向に10%の弛緩を与えながら165℃で熱処理を行なった。その後130℃で冷却工程を経て、フィルムをテンターの外側へ導き、フィルム端部のクリップを解放し、フィルムをコアに巻き取り、厚み30μmの積層フィルムを得た。フィルムをコアに巻き取る際、シワなどなく品位の良いフィルムロールを得ることができた。積層フィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、粘着層用の樹脂として、水添スチレン系エラストマー(JSR(株)製、“ダイナロン”D−1320P)を20質量部と、結晶性PP(b)(住友化学(株)製、S131、融点132℃、MFR:1.5g/10分)80質量部を使用し、それ以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。フィルムをコアに巻き取る際、シワなどなく品位の良いフィルムロールを得ることができた。積層フィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、粘着層用の樹脂として、水添スチレン系エラストマー(JSR(株)製、“ダイナロン”D−1320P)を50質量部と、結晶性PP(b)(住友化学(株)製、S131、融点132℃、MFR:1.5g/10分)50質量部を使用し、それ以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。粘着成分の量が多いため、摩擦係数が大きく測定不能であり、ハンドリング困難なフィルムであった。また、フィルムをコアに巻き取る際、シワが発生し、品位の良いフィルムロールを得ることができなかった。積層フィルムの物性および評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、粘着層用の樹脂として、水添スチレン系エラストマー(JSR(株)製、ダイナロンD−1320P)を使用せず、結晶性PP(b)(住友化学(株)製、S131、融点132℃、MFR:1.5g/10分)100質量部のみを使用し、それ以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。積層フィルムの物性および評価結果を表1に示す。また、金属ロールを60℃および110℃として熱処理後の25℃での粘着力も測定したが、粘着力はいずれも0.005N/25mm未満であり、必要な粘着力を発現しなかった。
Figure 0006728681

Claims (11)

  1. ポリプロピレンを含む基材層と粘着層とを少なくとも含む二軸配向積層フィルムであって、
    前記ポリプロピレンが、冷キシレン可溶部が4質量%以下であり、かつメソペンタッド分率が0.95以上であり、
    前記積層フィルムが、25℃で72時間静置後の粘着層の25℃での粘着力が0.02N/25mm未満であり、60〜110℃のいずれかの温度で3秒間熱処理した後の粘着層の25℃での粘着力が0.02N/25mm以上であり、幅方向の110℃熱処理後の熱収縮率が1.0%以下である積層フィルム。
  2. 80℃で3秒間熱処理した後の25℃での粘着層の粘着力が0.02〜2.0N/25mmである、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 長手方向のヤング率EMDが1GPa以上である、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 幅方向のヤング率ETDが1GPa以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 基材層表面と粘着層表面との間の静摩擦係数μsが2.0以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかの積層フィルムを用いた表面保護用フィルム。
  7. (1)基材層用の材料および粘着層用の材料それぞれを溶融する工程、
    (2)溶融されたそれぞれの材料を積層する工程、
    を有する請求項1〜5いずれかの積層フィルムの製造方法。
  8. 前記(2)の工程の後、延伸する工程を有する請求項7記載の積層フィルムの製造方法。
  9. 延伸する工程が二軸延伸である請求項8記載の積層フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜5いずれかの積層フィルムを60〜110℃で加熱した後、60℃未満の温度で部材または製品に貼り付ける工程を有する表面保護された物品の製造方法。
  11. 請求項10の表面保護された物品の積層フィルムを60℃未満で剥離する工程を有する物品の製造方法。
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