JP2009164116A5 - - Google Patents

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低屈折率透明導電膜形成用塗布液及び低屈折率透明導電膜
本発明は、低屈折率透明導電膜形成用塗布液及び低屈折率透明導電膜に関するものである。更に詳しくは、ガラス等の透明耐熱基板上に、屈折率が低く、優れた透明性と導電性と耐熱性を兼ね備える低屈折率透明導電膜を形成することができる塗布液、及び該塗布液を用いた低屈折率透明導電膜に関するものである。
液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電子ペーパー等の表示素子用透明電極、タッチパネル、太陽電池等の透明電極、熱線反射、電磁波シールド、帯電防止、防曇等の機能性コーティングに用いられる透明導電膜の形成材料として、錫ドープ酸化インジウム(Indium Tin Oxide、以下、「ITO」と表記する場合がある。)が知られている。
ITO透明導電膜の製造方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法等の物理的手法が広く用いられている。これらの方法は、透明性と導電性に優れた均一なITO透明導電膜を基板上に形成することができる。しかしながら、これに使用する膜形成装置は真空容器をベースとするため非常に高価であり、また基板成膜毎に製造装置内の成分ガス圧を精密に制御しなければならないため、製造コストと量産性に問題がある。
上記の問題を解決する製造方法として、インジウム化合物と錫化合物を溶剤に溶解させた透明導電膜形成用塗布液を用いて、基板上に塗布する方法(以下、「塗布法」と表記する場合がある。)が検討されている。この方法では、透明導電膜形成用塗布液の基板上への塗布、乾燥、焼成という簡単な製造工程でITO透明導電膜が形成される。塗布液の基板上への塗布法としては、例えば、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、スリットコート法、ダイコート法、ドクターブレードコート法、ワイヤーバーコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等が挙げられる。
上記した塗布法では、インジウム化合物及び錫化合物を含む塗布液として従来種々の塗布液が開発されており、例えば、アルコキシル基などを含む有機インジウム化合物と有機錫化合物の混合物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、アセチルアセトンを配位した有機インジウム錯体と錫錯体からなる上記と同様の有機化合物混合溶液が開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照。)。
更に、種々の塗布方法が適用可能な塗布液としてアセチルアセトンインジウム(正式名称:トリス(アセチルアセトナト)インジウム、[In(C])、アセチルアセトン錫(正式名称:ジ−n−ブチル ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫、[Sn(C(C])、ヒドロキシプロピルセルロース、アルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと二塩基酸エステル及び/又は酢酸ベンジルを含有する透明導電膜形成用塗布液が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。この塗布液は、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトン錫の混合溶液にヒドロキシプロピルセルロースを含有させることによって塗布液の基板に対する濡れ性を改善すると同時に、粘性剤であるヒドロキシプロピルセルロースの含有量によって塗布液の粘度を調整し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷、ワイヤーバーコート等の各種塗布法の採用を可能にしている。
また、スピンコート用の改良塗布液として、アセチルアセトンインジウム、オクチル酸インジウム等の有機インジウム化合物と、アセチルアセトン錫、オクチル酸錫等の有機錫と、有機溶剤とを含み、その有機溶剤にアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールを溶解したアセチルアセトン溶液、アルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールを溶解したアセチルアセトン溶液をアルコールで希釈した液を用いる透明導電膜形成用塗布液も開示されている(例えば、特許文献6参照。)。
この塗布液は、低粘度であり、スピンコートのほかスプレーコート、ディップコートにも使用可能であるとされている。
ここで、ITO膜は、上記スパッタリング法等の物理的成膜法で形成された場合は、ITOの結晶が結晶粒界を介して接合した膜構造であって、その屈折率が約2と大きく、また、上記塗布法で形成された場合でも、ITO微粒子が緻密に充填した膜構造となるため、その屈折率は1.7程度の高い値を有する。したがって、透明導電膜をタッチパネル、タッチセンサ、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、電子ペーパー等の素子の透明電極に適用する場合、例えばガラス基板の上にITO膜を形成した後、所定の形状にパターニングして用いると、通常ガラス基板の屈折率は1.5程度とITO膜の屈折率に比べて大幅に小さいため、ITO膜が形成された領域と形成されていない領域の反射プロファイルが異なり、パターニング形状が目視で容易に確認できるという問題があった。
したがって、これらの課題を解決して、前記各種素子に適した透明電極を形成するためには、優れた透明性と導電性と耐熱性を兼ね備え、かつ屈折率が低く、ガラス等の基板にパターン塗布した場合に膜反射率が基材の反射率と同程度となってパターンが見えにくくなる低屈折率透明導電膜を形成できるような低屈折率透明導電膜形成用の塗布液が要望されていた。
特開昭61−26679号公報 特公昭63−25448号公報 特公平2−20706号公報 特公昭63−19046号公報 特開平6−203658号公報 特開平6−325637号公報
本発明の目的は、低コストかつ簡便な低屈折率透明導電膜の製造方法であるインク塗布法によって、屈折率が低く、かつ優れた透明性と導電性と耐熱性を兼ね備えた低屈折率透明導電膜、特にガラス等の基板にパターン塗布した場合に膜反射率が基材の反射率と同程度となってパターンが見えにくくなる低屈折率透明導電膜を得ることができる低屈折率透明導電膜形成用塗布液、及びこの塗布液を用いて形成された低屈折率透明導電膜を提供することにある。
上記の目的を達成するために、発明者らは有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物を溶剤に溶解させた低屈折率透明導電膜形成用塗布液について鋭意研究を重ねた結果、低屈折率透明導電膜形成用塗布液に所定の低屈折率透明微粒子を配合した場合に、目的とする、低い屈折率と高い導電性と耐熱性を兼ね備え、かつ低反射率を有する低屈折率透明導電膜が得られることを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明に係る請求項1に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、少なくとも有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、及び溶剤を含有する低屈折率透明導電膜形成用塗布液であって、前記有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物との合計含有量が1〜30重量%であり、且つ前記塗布液中には更に屈折率が1.5以下の低屈折率透明微粒子を含有していることを特徴とするものである。
さらに、本発明に係る請求項2に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、前記低屈折率透明微粒子の配合割合が前記有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物のそれぞれの金属酸化物である酸化インジウムとドーパント用金属酸化物との合計含有量100重量部に対し2〜20重量部であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る請求項3に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、請求項1又は2に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液を前提とし、前記有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物の合計含有量が5〜20重量%であることを特徴とし、更に、請求項4に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、請求項1〜3に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液を前提とし、前記有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物の含有割合が、有機亜鉛化合物以外の有機金属化合物の場合は、該有機インジウム化合物/ドーパント用有機金属化合物のモル比で100/0.1〜100/15であり、有機亜鉛化合物の場合は、有機インジウム化合物/ドーパント用有機金属化合物のモル比で100/5〜100/50であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る請求項5に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、請求項1〜4に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液を前提とし、前記ドーパント用有機金属化合物が有機錫化合物、有機チタン化合物、有機タングステン化合物、有機亜鉛化合物、有機タンタル化合物、有機ニオブ化合物、有機ハフニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、有機バナジウム化合物、から選択される少なくとも1種類以上であることを特徴とし、請求項6に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、請求項1〜4に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液を前提とし、前記有機インジウム化合物が、アセチルアセトンインジウムであることを特徴とするものである。
また、本発明に係る請求項7に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、請求項1〜6に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液を前提とし、前記低屈折率透明微粒子は、酸化ケイ素微粒子、中空酸化ケイ素微粒子、多孔質酸化ケイ素微粒子、フッ化マグネシウム微粒子のいずれか1種以上であることを特徴とするものである。
更に、本発明に係る請求項8に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、請求項1〜7に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液を前提とし、前記低屈折率透明導電膜形成用塗布液に、更にバインダーとしてセルロース誘導体、アクリル樹脂から選ばれる1種以上を5重量%以下含有することを特徴とし、請求項9に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、請求項8に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液を前提とし、前記セルロース誘導体がエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる1種以上であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る請求項10に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、請求項1〜9に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液を前提とし、前記溶剤にアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノール、二塩基酸エステル及び/又は酢酸ベンジルを含有することを特徴とするものである。
更に、本発明に係る請求項11に記載の低屈折率透明導電膜は、請求項1〜10に記載の低屈折率透明導電膜形成用塗布液を基板上に塗布、乾燥した後、300℃以上の温度で焼成して得られる無機成分からなる低屈折率透明導電膜であって、膜の屈折率が1.65以下であることを特徴とするものである。
本発明に係る低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、少なくとも有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、低屈折率透明微粒子、及び溶剤を含有するものであり、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、スリットコート法、ダイコート法、ドクターブレードコート法、ワイヤーバーコート法等の各種塗布方法に適した粘度と、優れた成膜性(印刷性)及び液安定性を有している。また、この塗布液を基板上に塗布、乾燥、焼成して得られる低屈折率透明導電膜は、優れた透明性と高い導電性と耐熱性を兼ね備え、かつ膜反射率がガラス等の基材の反射率と同程度まで低下しており形成されたパターンが見えにくいため、タッチパネル、タッチセンサ、液晶素子、無機EL素子、有機EL素子、電子ペーパー等の透明電極等に適用することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明では、有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、溶剤を含有する従来の透明導電膜形成用塗布液に、低屈折率透明微粒子を適切に配合することで、塗布、乾燥、焼成後に得られる膜の屈折率を低下させて、高い導電性と耐熱性を兼ね備え、かつ低反射率の低屈折率透明導電膜の形成を図ったものである。すなわち、一般に耐熱基材として広く用いられるソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス基材(屈折率:約1.46〜約1.54)に対し、透明導電膜の屈折率を基材の屈折率に対し±10%程度以内(実際には0〜10%程度以内、より好ましいのは0〜7%程度以内)の範囲にして、目視で見えにくい透明導電膜の形成を図ったものである。
ここで、上記ドーパント用有機金属化合物は、有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機タングステン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機タンタル化合物、有機ニオブ化合物、有機ハフニウム化合物、有機バナジウム化合物から選択される少なくとも1種以上であり、有機インジウム化合物と、該ドーパント用有機金属化合物は、基板上に透明導電膜を形成させるための主たる化合物原料であり、その合計含有量は1〜30重量%の範囲であることが好ましく、更に好ましくは5〜20重量%とするのが良い。合計含有量が1重量%未満であると透明導電膜の膜厚が薄くなり十分な導電性が得られず、30重量%より多いと膜に亀裂(クラック)が発生して導電性が損なわれる。
また、低屈折率透明微粒子の配合割合は、有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物のそれぞれの金属酸化物である酸化インジウムとドーパント用金属酸化物との合計含有量100重量部に対し2〜20重量部とするのが良い。合計含有量100重量部に対し2重量部未満であると、得られる低屈折率透明導電膜の光拡散性が小さくなり好ましくない。一方、100重量部に対し20重量部より多いと、焼成により熱分解して低屈折率透明微粒子同士を結合させると同時に導電性を発現させる役割の有機金属成分(有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物)が少なくなるため、得られる低屈折率透明導電膜の膜強度や導電性が低下するため、好ましくない。
更に、有機インジウム化合物と、上記ド−パント用有機金属化合物の含有割合は、有機亜鉛化合物を除いて、有機インジウム化合物/ドーパント用有機金属化合物のモル比で100/0.1〜100/15が良く、好ましくは100/0.5〜100/5である。有機亜鉛化合物の場合は、有機インジウム化合物/ドーパント用有機金属化合物のモル比で100/5〜100/50が良く、好ましくは100/10〜100/40である。上記モル比外であるとキャリア密度が減少して透明導電膜の導電性が急激に悪化したり、大気放置した場合等に表面抵抗値の経時変化が大きくなったりするので好ましくない。
ドーパント用有機金属化合物の有機錫化合物(化合物中の錫の価数は2価、4価にこだわらない)としては、例えば、アセチルアセトン錫(正式名称:ジ−n−ブチル ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫、[Sn(C(C]、オクチル酸錫、2−エチルヘキサン酸錫、酢酸錫(II)[Sn(CHCOO)]、酢酸錫(IV)[Sn(CHCOO)]、ジ−n−ブチル錫ジアセテート[Sn(C(CHCOO)]、蟻酸錫、錫アルコキシドとしての錫−tert−ブトキシド[Sn(CO)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機錫化合物であれば良い。これらの中でも、アセチルアセトン錫は、比較的安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機チタン化合物としては、例えば、チタンアセチルアセトン錯体としてのアセチルアセトンチタン(正式名称:チタンジ−n−ブトキシド ビス(2,4−ペンタンジオネート)[Ti(CO)(C]、チタニル(IV)アセチルアセトネート[(CTiO]、チタンジイソプロポキシドビス(2,4−ペンタンジオネート)[C1636Ti]等や、チタンアルコキシドとしてのチタンテトラエトキシド[Ti(CO)]、チタン(IV)−tert−ブトキシド[Ti(CO)]、チタンテトラ−n−ブトキシド[Ti(CO)]、チタンテトライソプロポキシド[Ti(CO)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機チタン化合物であれば良い。これらの中でも、アセチルアセトンチタン、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトライソプロポシドは、安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機ゲルマニウム化合物としては、例えば、ゲルマニウムアルコキシドとしてのゲルマニウムテトラエトキシド[Ge(CO)]、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド[Ge(CO)]、ゲルマニウムテトライソプロポキシド[Ge(CO)]等や、β−カルボキシエチルゲルマニウムオキシド[(GeCHCHCOOH)]、テトラエチルゲルマニウム[Ge(C]、テトラブチルゲルマニウム[Ge(C]、トリブチルゲルマニウム[Ge(C]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ゲルマニウム化合物であれば良い。これらの中でも、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、ゲルマニウムテトライソプロポキシドは、比較的安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機亜鉛化合物としては、例えば、亜鉛アセチルアセトン錯体としてのアセチルアセトン亜鉛(正式名称:亜鉛−2,4−ペンタンジオネート)[Zn(C]、亜鉛−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート[Zn(C1119]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機亜鉛化合物であれば良い。これらの中でも、アセチルアセトン亜鉛は、安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機タングステン化合物としては、例えば、タングステンアルコキシドとしてのタングステン(V)エトキシド[W(CO)]、タングステン(VI)エトキシド[W(CO)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機タングステン化合物であれば良い。
ドーパント用有機金属化合物の有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムアルコキシドとしてのジルコニウムエトキシド[Zr(CO)]、ジルコニウム−n−プロポキシド[Zr(CO)]、ジルコニウムイソプロポキシド[Zr(CO)]、ジルコニウム−n−ブトキシド[Zr(CO)]、ジルコニウム−tert−ブトキシド[Zr(CO)]、ジルコニウム−2−メチル−2−ブトキシド[Zr(C11O)]、ジルコニウム−2−メトキシメチル−2−プロポキシド[Zr(C11]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ジルコニウム化合物であれば良い。これらの中でも、ジルコニウム−n−プロポキシド、ジルコニウム−n−ブトキシドは、比較的安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機タンタル化合物としては、例えば、タンタルアルコキシドとしてのタンタルメトキシド[Ta(CHO)]、タンタルエトキシド[Ta(CO)]、タンタルイソプロポキシド[Ta(CO)]、タンタル−n−ブトキシド[Ta(CO)]、テトラエトキシアセチルアセトナトタンタル[Ta(CO)(C)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機タンタル化合物であれば良い。
ドーパント用有機金属化合物の有機ニオブ化合物としては、例えば、ニオブアルコキシドとしてのニオブエトキシド[Nb(CO)]、ニオブ−n−ブトキシド[Nb(CO)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ニオブ化合物であれば良い。
ドーパント用有機金属化合物の有機ハフニウム化合物としては、例えば、ハフニウムアルコキシドとしてのハフニウムエトキシド[Hf(CO)]、ハフニウム−n−ブトキシド[Hf(CO)]、ハフニウム−tert−ブトキシド[Hf(CO)]、ハフニウム(VI)イソプロポキドモノイソプロピレート[Hf(CO)(COH)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ハフニウム化合物であれば良い。これらの中でも、ハフニウム−n−ブトキシドは、比較的安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機バナジウム化合物としては、例えば、バナジウムアセチルアセトン錯体としてのバナジウムオキサイドビス−2,4−ペンタンジオネート[VO(C]、アセチルアセトンバナジウム(正式名称:バナジウム−2,4−ペンタンジオネート)[V(C]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機バナジウム化合物であれば良い。
有機インジウム化合物としては、例えば、アセチルアセトンインジウム(正式名称:トリス(アセチルアセトナト)インジウム、[In(C)])(以下、AcAcInと表記する場合がある)、2−エチルヘキサン酸インジウム、蟻酸インジウム、インジウムアルコキシド等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機インジウム化合物であれば良い。これらの中でもAcAcInは有機溶剤への溶解性が高く、200〜250℃程度の温度で熱分解して酸化物となるため好ましい。
バインダーとしては、基板に対する濡れ性が改善されると同時に、塗布液の粘度調整を行うことができ、かつ焼成時において燃焼する材料であれば良い。このような材料として、セルロース誘導体、アクリル樹脂から選ばれる種以上が有効である。
セルロース誘導体としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース 、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース 、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース 、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、ニトロセルロース等が挙げられるが、これらの中でもヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと表記する場合がある)が好ましい。HPCを用いれば、5重量%以下の含有量で十分な濡れ性が得られると同時に、大幅な粘度調整を行うことができる。またHPCの燃焼開始温度は300℃程度であり、焼成を300℃以上、好ましくは350℃以上の温度で行えば燃焼するので、生成する導電性粒子の粒成長を阻害せず、導電性が良好な低屈折率透明導電膜を作製することができる。HPCの含有量が5重量%より多くなると、ゲル状になって塗布液中に残留し易くなり、多孔質の低屈折率透明導電膜を形成して透明性や導電性、並びに膜強度が損なわれる。また、セルロース誘導体として、例えばHPCの代わりにエチルセルロースを用いた場合は、HPCを用いた場合よりも塗布液の粘度が低く設定できるが、高粘度塗布液が好適であるスクリーン印刷法等ではパターン印刷性が若干低下する。また、ニトロセルロースは、熱分解性は優れているが、焼成時において有害な窒素酸化物ガスの発生があり、焼成炉の劣化や排ガス処理に問題を生じる場合があるため、状況に応じて適宜選択する必要がある。
また、アクリル樹脂としては、比較的低温で燃焼するアクリル樹脂が好ましい。
溶剤としては、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトン錫、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンバナジウム等のアセチルアセトン錯体化合物を高濃度で溶解できるアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと二塩基酸エステル、あるいはアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと酢酸ベンジル、又はこれらの混合溶液を用いるのが好ましい。アルキルフェノール及びアルケニルフェノールとしては、クレゾール類、キシレノール、エチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カシューナット殻液[3ペンタデカデシールフェノール]等が挙げられ、二塩基酸エステル(例えば二塩基酸ジメチル、二塩基酸ジエチル等)としては、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、アジピン酸エステル、マロン酸エステル、フタル酸エステル等が挙げられる。
塗布液の粘度を低下させるために用いる溶剤としては、前記の有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物である有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機タングステン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機タンタル化合物、有機ニオブ化合物、有機ハフニウム化合物、有機バナジウム化合物から選択される有機金属化合物、セルロース誘導体、アクリル樹脂から選ばれる1種以上を溶解させた溶液と相溶性があれば良く、例えば、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1−プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール(DAA)等のアルコール系溶剤、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、エチレングリコールモノブチルエーテル(BCS)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGM−AC)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PE−AC)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール誘導体、トルエン、キシレン、メシチレン、ドデシルベンゼン等のベンゼン誘導体、ホルムアミド(FA)、N−メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ミネラルスピリッツ、ターピネオール等の中から適宜選択できるが、これらの中でも、塗布液の安定性や成膜性を考慮すると、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)等が好ましい。
本発明で用いられる低屈折率透明導電膜形成用塗布液に適用される低屈折率透明微粒子としては、屈折率1.5以下の物質(材料)からなる透明微粒子であって、例えば、酸化ケイ素微粒子、中空酸化ケイ素微粒子、多孔質酸化ケイ素微粒子、フッ化マグネシウム微粒子等が挙げられるが、低屈折率と透明性を具備していれば良く、これらに限定されない。
ここで、上記低屈折率透明微粒子の一例としては、屈折率1.46程度の酸化ケイ素(シリカ)や屈折率1.38〜1.4のフッ化マグネシウム(MgF)が挙げられる。
ここで、上記低屈折率透明微粒子は、その粒子構造が、中空や多孔質であると、空気の屈折率が1であるため、例えば中空シリカ微粒子や多孔質シリカ微粒子はシリカ単独微粒子よりもより低い屈折率(約1.3程度)を有するため好ましい。このような中空シリカ微粒子や多孔質シリカ微粒子やそれらの分散液は既に市販されているため、容易に入手できる。
低屈折率透明微粒子の大きさは、得られる低屈折率透明導電膜の表面凹凸の制約、低屈折率透明導電膜形成用塗布液中の低屈折率透明微粒子の沈降防止(分散安定性)、最終的に得られる低屈折率透明導電膜のヘイズ値等の観点から判断すべきであるが、膜の透明性を悪化させないためには、平均粒径で100nm以下、好ましくは50nm以下であることが望まれる。
本発明の低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、前記の有機インジウム化合物と、ドーパント用有機金属化合物としての有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機タングステン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機タンタル化合物、有機ニオブ化合物、有機ハフニウム化合物、有機バナジウム化合物から選択される一種以上の有機金属化合物、必要に応じてバインダーを加えた混合物を溶剤に加熱溶解した後、上記低屈折率透明微粒子、又はその分散液を加えて分散処理することによって製造することができる。上記加熱溶解は、加熱温度を60〜200℃とし、0.5〜12時間攪拌することにより行われる。加熱温度が60℃よりも低いと十分に溶解せず、有機インジウム化合物(例えば、アセチルアセトンインジウム)の析出分離が起って塗布液の安定性が低下してしまい、200℃よりも高いと溶剤の蒸発が顕著となり塗布液の組成が変化してしまうので好ましくない。尚、上記分散処理には、超音波処理、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル、スリーロールミル等の汎用の方法を適用することができる。
本発明の低屈折率透明導電膜形成用塗布液の粘度は、前記したバインダーの分子量や含有量、溶剤の種類によって調整することができるので、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、スリットコート法、ダイコート法、ドクターブレードコート法、ワイヤーバーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等の各種塗布法に対応することができる。
例えば、高粘度(5000〜50000mPa・s程度)の塗布液は、高分子量のバインダーを5重量%以下、好ましくは2〜4重量%含有させることで作製でき、低粘度(5〜500mPa・s程度)は、低分子量のバインダーを5重量%以下、好ましくは0.1〜2重量%含有させ、かつ低粘度の希釈用溶剤で希釈することで作製できる。また、中粘度(500〜5000mPa・s)の塗布液は、高粘度の塗布液と低粘度の塗布液を混合することで作製できる。
本発明の低屈折率透明導電膜は、上記した低屈折率透明導電膜形成用塗布液を各種塗布方法で基板上に塗布した後、乾燥、焼成することにより製造される。乾燥は、上記塗布液が塗布された塗布基板を80〜180℃の温度で10〜60分間保持して行われる。焼成は、乾燥させた塗布基板を300℃以上、好ましくは350℃以上の温度で15〜60分間保持して行われる。この焼成により、有機成分が燃焼・分解するため最終的に得られる低屈折率透明導電膜は無機成分で構成される。
得られる低屈折率透明導電膜の導電性は、焼成温度が高いほど熱分解で生じた導電性微粒子の粒成長が促進されるので向上する。また、焼成時に、雰囲気を大気から窒素又は水素−窒素などの還元性雰囲気に途中で切り替えて焼成を行うと、上記導電性微粒子及び配合した低屈折率透明微粒子のキャリア密度が増加するので導電性の向上を図ることができる。
本発明の低屈折率透明導電膜は、有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物を主成分とする従来の透明導電膜形成用塗布液に対し、低屈折率透明微粒子を配合した低屈折率透明導電膜形成用塗布液を用いることで、該塗布液を使用して形成される透明導電膜の屈折率を基材の屈折率程度まで低下させることに成功したものであり、低コストかつ簡便なインク塗布法によって優れた透明性と高い導電性と耐熱性を兼ね備え、かつ膜反射率がガラス等の基材の反射率と同程度まで低下しているため形成されたパターンが見えにくい低屈折率透明導電膜を製造することができる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。本文中の「%」は、透過率、反射率、ヘイズ値の(%)、水素−窒素混合ガスの(体積%)を除いて「重量%」を示している。
[実施例1]
アセチルアセトンインジウム[In(C)](分子量=412.15)9.10g、アセチルアセトン錫(正式名称:ジ−n−ブチル ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫、[Sn(C(C])(分子量=431.14)0.90g、p−tert−ブチルフェノール34.96g、二塩基酸エステル(デュポンジャパン製)52.44g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)2.60gを混合し、130℃に加温して90分間攪拌して溶解させて、褐色透明で均一なペースト状溶液のA液(アセチルアセトンインジウム:9.10%[酸化インジウム換算で3.07%]、アセチルアセトン錫:0.90%[酸化錫換算で0.31%]、HPC:2.60%、溶剤:残部)を得た。このA液の粘度(25℃)は、約20Pa・sであった。
A液100gに平均粒径10〜20nmのシリカ(酸化ケイ素)微粒子がエチレングリコールモノプロピルエーテルに分散したシリカゾル溶液(日産化学製、NPC−ST、SiO=30wt%)0.9gを混合し、良く攪拌した後、3ロールミルによるシリカ微粒子の分散処理を行い、低屈折率透明微粒子(シリカ微粒子;屈折率=約1.46)が配合された実施例1に係る低屈折率透明導電膜形成用塗布液(アセチルアセトンインジウム:9.02%[酸化インジウム換算で3.04%]、アセチルアセトン錫:0.89%[酸化錫換算で0.31%]、シリカ微粒子:0.27%、HPC:2.58%、溶剤:残部)を調整した。この低屈折率透明導電膜形成用塗布液の粘度(25℃)は、約20Pa・sであった。
この塗布液をソーダライムガラス基板(10cm×10cm×2mm厚さ、透過率:91%、ヘイズ値:0.1%、屈折率:1.53)上にスクリーン印刷(東京プロセスサービス(株)製、200メッシュ版T150S)した後、180℃で10分間乾燥し、更に大気中500℃で30分間焼成し、続いて1%水素−99%窒素中400℃で30分間の還元処理を施して実施例1に係る低屈折率透明導電膜を得た。
得られた低屈折率透明導電膜の可視光線透過率は98.7%、ヘイズ値は0.2%、表面抵抗値は950Ω/□(オーム・パー・スクエアと読む)で、膜厚は約0.19μmであった。尚、低屈折率透明導電膜の透過率(可視光)及びヘイズ値は、低屈折率透明導電膜だけの値であり、それぞれ下記計算式により求められる。
低屈折率透明導電膜の透過率(%)=(低屈折率透明導電膜付き基材の透過率)/(基材の透過率)×100
低屈折率透明導電膜のヘイズ値(%)=(低屈折率透明導電膜付き基材のヘイズ値)−(基材のヘイズ値)
[実施例2]
実施例1のA液100gにシリカゾル溶液(NPC−ST)1.43gを混合し、良く攪拌した後、3ロールミルによるシリカ微粒子の分散処理を行い、低屈折率透明微粒子(シリカ微粒子;屈折率=約1.46)が配合された実施例1に係る低屈折率透明導電膜形成用塗布液(アセチルアセトンインジウム:8.97%[酸化インジウム換算で3.02%]、アセチルアセトン錫:0.89%[酸化錫換算で0.31%]、シリカ微粒子:0.42%、HPC:2.56%、溶剤:残部)を調整した。この低屈折率透明導電膜形成用塗布液の粘度(25℃)は、約20Pa・sであった。この塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、実施例2に係る低屈折率透明導電膜を得た。
得られた低屈折率透明導電膜の可視光線透過率は98.7%、ヘイズ値は0.3%、表面抵抗値は1200Ω/□で、膜厚は約0.21μmであった。
[実施例3]
実施例1のA液100gに平均粒径約80〜130nmの中空シリカ(酸化ケイ素)微粒子がメチルエチルケトン(MEK)に分散した中空シリカゾル溶液(グランデックス製、SS−E25N[イソシアネート基(NCO)で表面修飾された中空シリカ微粒子]、SiO=2.5wt%)1.24gを混合し、良く攪拌した後、3ロールミルによる中空シリカ微粒子の分散処理を行い、低屈折率透明微粒子(中空シリカ微粒子;屈折率=約1.3)が配合された実施例3に係る低屈折率透明導電膜形成用塗布液(アセチルアセトンインジウム:8.99%[酸化インジウム換算で3.03%]、アセチルアセトン錫:0.89%[酸化錫換算で0.31%]、中空シリカ微粒子:0.03%、HPC:2.57%、溶剤:残部)を調整した。この低屈折率透明導電膜形成用塗布液の粘度(25℃)は、約20Pa・sであった。この塗布液を用い、270メッシュ版でスクリーン印刷した以外は実施例1と同様に行い、実施例3に係る低屈折率透明導電膜を得た。
得られた低屈折率透明導電膜の可視光線透過率は98.0%、ヘイズ値は0.4%、表面抵抗値は800Ω/□で、膜厚は約0.13μmであった。
[実施例4]
実施例1のA液100gに平均粒径約50〜60nmの中空シリカ(酸化ケイ素)微粒子がイソプロピルアルコール(IPA)に分散した中空シリカゾル溶液(触媒化成工業製、スルーリアS;12SS−01SZ、SiO=20.6wt%)0.4gを混合し、良く攪拌した後、3ロールミルによる中空シリカ微粒子の分散処理を行い、低屈折率透明微粒子(中空シリカ微粒子;屈折率=約1.3)が配合された実施例4に係る低屈折率透明導電膜形成用塗布液(アセチルアセトンインジウム:9.06%[酸化インジウム換算で3.05%]、アセチルアセトン錫:0.90%[酸化錫換算で0.31%]、中空シリカ微粒子:0.08%、HPC:2.59%、溶剤:残部)を調整した。この低屈折率透明導電膜形成用塗布液の粘度(25℃)は、約20Pa・sであった。この塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、実施例4に係る低屈折率透明導電膜を得た。
得られた低屈折率透明導電膜の可視光線透過率は98.1%、ヘイズ値は0.5%、表面抵抗値は650Ω/□で、膜厚は約0.20μmであった。
[比較例1]
実施例1の低屈折率透明微粒子が配合されていないA液を透明導電膜形成用塗布液として用い、実施例1と同様にして成膜を行い、比較例1に係る透明導電膜を得た。
得られた透明導電膜の可視光線透過率は98.6%、ヘイズ値は0.2%、表面抵抗値は600Ω/□、膜厚は約0.16μmであった。
実施例1〜4及び比較例1の透明導電膜形成用塗布液中の含有量、低屈折率透明微粒子の配合割合を表1に、可視光線透過率、ヘイズ値、表面抵抗、膜厚、屈折率を纏めて表2に示す。尚、膜の屈折率は、薄膜の光学シミュレーションを用いて得られる反射プロファイルを、実際に得られた膜の反射プロファイルとフィッティングして算出している。上記光学シミュレーションでは、比較例1の低屈折率透明微粒子が配合されていない透明導電膜は、導電性酸化物微粒子(屈折率=約2)が緻密に充填し、その導電性酸化物微粒子同士の間に空隙(空気:屈折率=1)が形成された膜構造であり、実施例1、2の低屈折率透明導電膜は、比較例1の膜構造に更にシリカ微粒子(屈折率=約1.46)が導入された膜構造、実施例3、4の低屈折率透明導電膜は、比較例1の膜構造に更に中空シリカ微粒子(屈折率=約1.3)が導入された膜構造として、フィッティングを行なっている。
また、実施例1〜4及び比較例1の各透明導電膜が形成されたガラス基板の反射プロファイルをガラス基板の反射プロファイルと共に図1、及び図2に示す。この反射率はガラス基板の裏面(透明導電膜が形成されていない面)に黒テープを貼り付けて、ガラス基板の裏面反射をカットして測定している。
Figure 2009164116
Figure 2009164116
以上、実施例と比較例を比べると明らかなように、実施例の低屈折率透明微粒子が配合された有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物を含有する低屈折率透明導電膜形成用塗布液を用いれば、高い透明性と導電性と耐熱性を有し、かつ、ガラス基板(屈折率=1.53)と同程度の低い屈折率を有して可視光線領域(波長:380〜780nm)の全体において反射率がガラス基板と同程度の低屈折率透明導電膜を形成することができる。
そのため、膜形成された部分が目視で確認が困難なのに対して、比較例の低屈折率透明微粒子が配合されていない有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物を含有する透明導電膜形成用塗布液を用いた場合には、高い透明性と導電性と耐熱性を有するものの、ガラス基板よりも屈折率が高く可視光線領域の一部において反射率が高くなるため、膜形成された部分が目視で容易に確認できる透明導電膜であることがわかる。
本発明による低屈折率透明導電膜形成用塗布液は、基板上への膜形成に際して安価な各種塗布方法を使用することが可能であり、得られる無機成分からなる低屈折率透明導電膜は、優れた透明性と高い導電性と耐熱性を兼ね備え、かつ膜反射率がガラス等の基材の反射率と同程度まで低下しているため形成されたパターンが見えにくく、タッチパネル、タッチセンサ、液晶素子、無機EL素子、有機EL素子、電子ペーパー等の透明電極等への利用が期待できる。
実施例1、2、比較例1及びガラス基板の反射プロファイルを示す図である。 実施例3、4、比較例1及びガラス基板の反射プロファイルを示す図である。
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