JP4317487B2 - 低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法 - Google Patents

低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法に係り、詳しくは、低反射特性、導電性、耐薬品性などに優れた低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法に関する。
従来、低反射機能と導電機能とを有する基板の作製方法としては、基板上に低反射膜を形成した後、帯電防止処理もしくは帯電防止フィルムの接着などを行うことが一般的であり、表層に帯電防止効果を持たせることで、埃などの付着を防止したり、静電気ショックによる不快感を抑制していた。しかし、これらの従来技術では、生産性の悪さ、低反射膜と帯電防止フィルムとの密着性、耐久性などの問題が残されていた。
近年では、よりこの分野での開発が進み、例えば、ジルコニウム化合物、インジウム化合物および錫化合物を含有する塗布液を基体上に塗布し、加熱および/または紫外線照射によりITO膜を形成した後、珪素化合物を含有する溶液を塗布し、加熱および/または紫外線照射することにより、高屈折率導電層と低屈折率層との2層からなる低反射導電膜を製造する方法が提案されている。前記方法により得られた低反射導電膜は耐久性が高く、また、工業的に安定して形成できる方法として期待された(例えば、特許文献1参照)。
特開平05−303908号公報
しかし、上記方法にも改善の余地があり、各処理液を塗布後にその度毎に高温での加熱や紫外線照射などの硬化処理を行うため、生産性が悪くなるといった問題点があった。また、得られた2層膜の界面が明確であるため、各層の密着性に劣るとともに、特定の波長のみに優れた低反射特性を示すため、低反射膜としては充分に満足できるものではなかった。また、ITO膜が酸化珪素膜に完全に覆われた状態となると考えられるため、表層における導電性の低下は避けられないものであった。さらに、処理液の作製においてインジウム化合物の溶剤に対する溶解性が非常に難があり、良好な導電性を示すITO膜を形成することが困難であるという問題もあった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明は、生産性良く、低反射特性、導電性、耐薬品性に優れた低反射機能付導電膜を有する基板を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、(A)インジウム化合物と(B)錫化合物と(C)100〜400℃で熱分解する樹脂と(D)有機溶剤とを含む処理液(1)と、(E)珪素化合物と(F)100〜400℃で熱分解する樹脂と(G)有機溶剤とを含む処理液(2)とを用い、上記処理液(1)を透明基板の表面に塗布し、その後、50〜250℃で乾燥して有機溶剤を除去し、次いで、さらにその上に処理液(2)を塗布し、その後、50〜250℃で乾燥して有機溶剤を除去し、次いで、処理された透明基板を400〜800℃で焼成することを特徴とする低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法を提供する。
上記本発明においては、前記(C)100〜400℃で熱分解する樹脂がセルロース類であって、(D)有機溶剤がフェノール類と二塩基性酸エステルとの混合溶剤であること;前記(C)100〜400℃で熱分解する樹脂がセルロース類であって、(D)有機溶剤がアセチルアセトンとカルビトールおよび/またはエステル類との混合溶剤であること;前記(C)100〜400℃で熱分解する樹脂がニトロセルロースであること;前記(F)100〜400℃で熱分解する樹脂がニトロセルロースおよび/またはエチルセルロースであること;前記処理液(2)がさらに(H)貴金属微粒子を含むこと;および前記処理液(1)からなる焼成後膜厚が5〜50nmであり、処理液(2)からなる焼成後膜厚が50〜350nmであることが好ましい。
本発明の製造方法では、処理液(1)および/または処理液(2)を塗布した後の透明ガラス基板を高温で加熱したり、紫外線照射することなしに、それぞれ50〜250℃という低い温度で上記塗布膜の乾燥を実施するため、膜の構成成分が膜の深さ方向に連続的に変化し、2種の層の間に明確な界面がなく、単層のような膜を形成し、膜厚方向に成分が変化する、すなわち、膜厚方向に屈折率が変化し、良好な反射特性を有する。また、明確な界面がなくなることで、表層にもITO粒子が分散されていると考えられるため、導電性にも優れるといった効果がある。また、基板に対する膜の密着性、耐薬品性などに優れるとともに、各層の膜厚を特定の範囲とすることで、低反射特性および導電性に優れるといった利点がある。
そして、好ましい実施形態においては、処理液(1)に用いる(C)樹脂をニトロセルロースとすることで、透明性が高く、低抵抗値を有する導電性に優れた透明導電層を形成することができる。また、処理液(2)に用いる(F)樹脂をニトロセルロースおよび/またはエチルセルロースとすることで、透明性および低反射特性に優れた低屈折率層を形成することができる。さらに、処理液(1)に用いる(C)樹脂と(D)有機溶剤を特定のものとすることで、各配合剤を良く溶解し、優れた透明導電層を形成できるといった効果がある。
次に発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の処理液(1)は、(A)インジウム化合物、(B)錫化合物、(C)100〜400℃で熱分解する樹脂および(D)有機溶剤を含有する。
(A)インジウム化合物は、有機インジウム化合物であることが好ましく、例えば、インジウムのエトキシド、プロポキシド、ブトキシドなどのアルコキシド類、インジウムのアセチルアセトナートなどのキレート類、インジウムのステアレイト、オクチレート、ナフテネートなどの有機酸塩類がインジウム化合物として挙げられる。
(B)錫化合物は、有機錫化合物であることが好ましく、例えば、錫のエトキシド、プロポキシド、ブトキシドなどのアルコキシド類、錫のアセチルアセトナートなどのキレート類、錫のステアレイト、オクチレート、ナフテネートなどの有機酸塩類が錫化合物として挙げられる。
前記(A)インジウム化合物および(B)錫化合物の処理液(1)における含有量は限定されるものではないが、形成される膜厚を考慮すると、処理液(1)中にインジウムおよび錫の総金属分が1〜10質量%含有するように各化合物を含有させることが好ましい。また、質量比で、錫/(インジウム+錫)=5〜50とすることが望ましく、より低抵抗な膜を得るためには、前記質量比を8〜10とすることが望ましい。なお、膜の抵抗値は錫を変量することでコントロールが可能である。
本発明で使用する(C)樹脂は、100〜400℃で熱分解するものが用いられる。熱分解温度が100℃未満では、処理液(1)からなる塗布膜の乾燥工程で、樹脂が熱分解する場合がある。一方、熱分解温度が400℃を超えると、焼成後の膜強度が充分でなくなる場合がある。なお、ここで樹脂の熱分解温度とは、樹脂の90質量%以上が焼失する温度(℃)をいう。
ここで(C)樹脂として具体的には、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロースなどの熱分解性のセルロース類、ポリ塩化ビニル類、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル類などの樹脂などがあるが、好ましくはニトロセルロースであり、透明度が高く、低抵抗値を有する膜が得られるといった効果がある。(C)樹脂の処理液(1)における含有量は使用する樹脂の分子量や後述する(D)有機溶剤種などにより異なるが、処理液(1)中に1〜10質量%含有されることが好ましい。1質量%未満では、厚膜化が困難であり、また、焼成後の膜の抵抗値が充分でなくなる場合がある。10質量%を超えると焼成時に樹脂の熱分解性が悪くなり、焼成後に得られる膜の物性が悪化しやすくなる。
本発明で使用する(D)有機溶剤は、前記(A)インジウム化合物、(B)錫化合物および(C)樹脂を溶解できるものであれば特に制限はなく、処理液(1)の塗布方法などにより適宜選択される。具体的には、例えば、アルコール類、ケトン類、乳酸エチルや乳酸ブチルなどのエステル類、二塩基性酸エステル類、エチルカルビトールやブチルカルビトールなどのカルビトール類、セロソルブ類、メタクレゾールなどのフェノール類、アセチルアセトン類などを単独または混合して用いられるものであり、例えば、スクリーン印刷法により処理液(1)を塗布する場合、これらの有機溶剤から高沸点溶剤を選択することが好ましい。
ここで(C)樹脂としてエチルセルロース、ニトロセルロースなどの熱分解性セルロースを用いた場合、各配合剤をよく溶解し、処理液の安定性に優れる(D)有機溶剤としては、例えば、次のような混合溶剤を選択することができる。
具体的には、フェノール類と二塩基性酸エステルの混合溶媒が挙げられる。フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、クロロフェノール、p−t−ブチルフェノール、オクチルフェノールなどが挙げられる。フェノール類は二塩基性酸エステルと併用することでインジウム化合物を溶解することができる。
また、二塩基性酸エステルとしては、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、3−オキソグルタル酸ジメチルなどが挙げられる。二塩基性酸エステルはフェノール類と併用することでインジウム化合物を溶解せしめることが可能であると共に、エチルセルロース、ニトロセルロースなどの熱分解性セルロースを溶解することができる。
フェノール類と二塩基性酸エステルの混合溶剤の混合比は、前者:後者が質量比で18〜1:1〜18であることが好ましい。また、処理液(1)における両者の含有量は、(A)インジウム化合物、(C)樹脂の種類や含有量などにより決定されるが、フェノール類の含有量はインジウム化合物100質量部に対して50〜1,500質量部とすることが好ましい。また、二塩基性酸エステルは(C)樹脂100質量部に対して100〜9,500質量部含有することが望ましい。
なお、前記混合溶媒に加えて、処理液(1)にはオレフィン系溶剤を添加することができる。オレフィン系溶剤は、エチルセルロース、ニトロセルロースなどの熱分解性セルロースを溶解しない有機溶剤であるが、処理液(1)に添加することで、処理液(1)の塗布適性を改善するとともに、最終的に得られる膜の抵抗値をさらに低下させることが可能である。その添加量は、フェノール類、二塩基性酸エステル、そして(C)樹脂の種類や含有量などにより決定されるが、具体的には処理液(1)中に1〜20質量%含有させることで顕著な効果が得られる。オレフィン系溶剤としては、例えば、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、デセン、ドデセンなどが挙げられる。
また、フェノール類と二塩基性酸エステルの混合溶媒以外の(D)有機溶剤としては、アセチルアセトンとカルビトールおよび/またはエステル類との混合溶媒が挙げられる。アセチルアセトンがインジウム化合物を溶解し、カルビトールおよび/またはエステル類がバインダー兼増粘剤であるエチルセルロース、ニトロセルロースなどの熱分解性セルロースを溶解させる。カルビトール類としては、例えば、エチルカルビトール、ブチルカルビトールなどが挙げられるが、なかでもより高沸点を有するエチルカルビトールが好ましく用いられる。
エステル類としては、低級脂肪酸の低級アルキルエステル、例えば、酢酸エステル、乳酸エステルが好ましく、さらに具体的には酢酸エチル、乳酸ブチル、乳酸エチルなどが挙げられる。なかでもより高沸点を有する乳酸ブチルが好ましい。
アセチルアセトンとカルビトールおよび/またはエステル類の混合溶剤の処理液(1)における両者の含有量は、(A)インジウム化合物、(C)樹脂の種類や含有量などにより決定されるが、アセチルアセトンは(A)インジウム化合物100質量部に対して500〜3,000質量部含有することが好ましく、カルビトールまたはエステル類の含有量は(C)樹脂100質量部に対して200〜8,000質量部含有することが好ましい。
上記成分を含む処理液(1)の調製方法は限定されるものではないが、(D)有機溶剤に、(A)インジウム化合物および(B)錫化合物を溶解させ、この溶液にバインダー兼増粘剤となる(C)樹脂を溶解させて目的の処理液(1)とすることが好ましい。なお、オレフィン系溶剤を添加する場合は、(C)樹脂を添加した後に添加することが望ましい。
本発明の処理液(2)は、(E)珪素化合物、(F)100〜400℃で熱分解する樹脂、そして(G)有機溶剤を含有する。
本発明に使用する(E)珪素化合物は、例えば、珪素のエトキシド、プロポキシド、ブトキシドなどのアルコキシド類、ポリシロキサン骨格を持つ各種シリコンオイル、シリコンワニスを挙げることができる。これらの珪素化合物は、処理液(2)中に0.5〜30.0質量%含有されることが望ましい。
本発明で使用する(F)樹脂は100〜400℃で熱分解するものが用いられる。熱分解温度が100℃未満では、処理液(2)からなる塗布膜の乾燥工程で、樹脂が熱分解する場合がある。一方、熱分解温度が400℃を超えると、焼成後の膜強度が充分ではなくなる場合がある。なお、ここで樹脂の熱分解温度とは、樹脂の90質量%以上が焼失する温度(℃)をいう。
(F)樹脂として具体的には、エチルセルロース、ニトロセルロースなどの熱分解性のセルロース類、ポリ塩化ビニル類、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル類などの樹脂などがあるが、好ましくはニトロセルロースおよび/またはエチルセルロースであり、透明度が高く、高い低反射特性を有する膜が得られるといった効果がある。(F)樹脂の処理液(2)中における含有量は使用する樹脂の分子量や後述する(G)有機溶剤種などにより異なるが、処理液(2)中に1〜30質量%含有されることが好ましい。1質量%未満では、形成される膜の厚膜化が困難であり、また、焼成後に得られる膜の低反射特性が充分でなくなる場合がある。30質量%を超えると塗布膜の焼成時に樹脂の熱分解性が悪くなり、焼成後に得られる膜の物性が悪化しやすくなる。
本発明で使用する(G)有機溶剤は、(E)珪素化合物および(F)樹脂を溶解できるものであれば特に制限はなく、処理液(2)の塗布方法などにより適宜選択される。具体的には、アルコール類、ケトン類、乳酸エチルや乳酸ブチルなどのエステル類、二塩基性酸エステル類、エチルカルビトールやブチルカルビトールなどのカルビトール類、セロソルブ類、メタクレゾールなどのフェノール類、アセチルアセトン類などを単独または混合して用いられるものであり、例えば、スクリーン印刷法により処理液(2)を塗布する場合、これらの有機溶剤から高沸点溶剤を選択することが好ましい。
また、処理液(2)には所望に応じて、着色剤として(H)貴金属微粒子を配合することができる。
(H)貴金属微粒子としては、Au(金)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Rh(ロジウム)、Ag(銀)などから選ばれた貴金属の微粒子を用いることができる。なかでも好ましくは金微粒子が用いられる。金微粒子を配合することにより、波長;530〜550nm付近に金微粒子の表面プラズモン共鳴吸収による吸収効果を付与できる。金微粒子は、例えば、特開平11−76800号公報に開示された発明により作製したものを用いることができる。すなわち、上記公報に記載された通り金化合物を溶媒中に溶解した後、溶媒中の金イオンを高分子顔料分散剤の存在下で還元させると、粒子径が1〜100nm、好ましくは1〜50nmの金微粒子が得られる。該金微粒子は、高分子顔料分散剤で保護され、アルコール、ケトン、エーテル、トルエンなどの溶剤に分散可能である。
上記の金微粒子を製造する工程で使用する高分子顔料分散剤は、特に限定されないが、(1)顔料親和性基を主鎖および/または複数の側鎖に有し、かつ溶剤親和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子、(2)主鎖中に顔料親和性基からなる複数の顔料親和部分を有する高分子、(3)主鎖の片末端に顔料親和性基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子などである。具体的な市販品としては、例えば、ソルスパースシリーズ(ゼネカ社製)、ディスパービックシリーズ(ビックケミー社製)、EFKAシリーズ(EFKAケミカル社製)、アジスパーPB711、アジスパーPA111(味の素社製)などが挙げられる。
また、例えば、特開平3−34211号公報に開示されているようなガス中蒸発法と呼ばれる方法によって、金微粒子を有機溶剤中に独立分散させた溶液が作製される。すなわち、チャンバ内にヘリウム不活性ガスを導入して上記金属を蒸発させ、不活性ガスとの衝突により冷却され凝縮して得られるが、この場合、生成直後の粒子が孤立状態にある段階で有機溶剤の蒸気を導入して粒子表面の被覆を行っている。有機溶剤としては、例えば、p−キシレン、トルエン、α−テレピネオールなどの溶剤が用いられ、粒子径が好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは1〜50nmを有する、有機溶剤中に独立分散させた金微粒子が得られる。
また、アルコール、ケトン、エーテル、トルエンなどに可溶な高分子内に粒子径が好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは1〜50nmの金微粒子を分散させることにより分散液を作製することもできる。詳しくは、高分子として分子の末端あるいは側鎖にシアノ基(−CN)、アミノ基(−NH2)、そしてチオール基(−SH)から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する高分子あるいはオリゴマーを用いる。具体的には、分子の末端あるいは側鎖に上記シアノ基(−CN)、アミノ基(−NH2)、そしてチオール基(−SH)から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するもので、その骨格にはポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド6.10、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンなどからなり、その融点あるいは軟化点は40〜100℃である。オリゴマーの数平均分子量は特に制限はないが、500〜6,000程度である。上記官能基は特に金微粒子の表面の金原子と共有結合や配位結合を形成しやすく、粒成長を抑制し、金微粒子の分散性を高めることになる。
上記成分を含む処理液(2)の調製方法は限定されるものではないが、(G)有機溶剤に(E)珪素化合物を溶解した溶液に、バインダー兼増粘剤となる(F)樹脂を溶解させて目的の処理液(2)とすることが好ましい。なお、(H)貴金属微粒子を配合する場合は、(F)樹脂を溶解させた後に添加することが好ましい。
本発明に使用する基板は、特に限定されないが、熱線吸収ガラスまたはさらに熱線カット効果を高めた高熱線吸収ガラスなどの透明ガラスを使用することが好ましい。また、無色のフロートガラスも用いることができる。例えば、自動車用窓ガラスなどの如く、熱線カット効果が要求される用途には、基板としてグリーンガラス板を用いることによって、低反射性とともに熱線遮断効果を有する着色ガラス板が得られるので好ましい。
グリーンガラス板としては、グリーン色を呈しているものであればいずれでもよく、例えば、ソーダ石灰シリカ系ガラス成分を基礎成分とし、Fe23、NiO、TiO2などを適宜配合したグリーンガラス板、ガラス成分中にFe23、CoO、Seなどを配合したグリーンガラス板などが挙げられる。また、ガラス基板としては、フロートガラス、アルカリガラスなどがある。上記ガラス板の厚さは、0.4〜3.0mmであることが好ましい。上記ガラス板の可視光透過率は90%以上、特に95%以上であることが好ましい。
前記処理液を基板に塗布する方法としては、スプレー、ディップ、ロールコート、スピンコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷などの方法が挙げられる。本発明の低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法は、例えば、ガラス基板上に、処理液(1)を塗布し、50〜250℃で1〜30分間乾燥して有機溶剤を除去した後、さらに処理液(2)を塗布し、50〜250℃で1〜30分間乾燥して有機溶剤を除去した後、400〜800℃の炉中で1〜30分間焼成し、冷却を経て本発明の低反射機能付導電膜を有する基板とする方法である。上記方法により、1層目および2層目はその界面が明確でなくなり、あたかも1層のような層構成となる。
このようにして得られた低反射機能付導電膜は、処理液(1)から形成された酸化インジウムおよび酸化錫を含む透明導電層と、この透明導電層の上に、処理液(2)から形成された酸化珪素を含む低屈折率層で構成されるとともに、この両層はその間に明確な界面がなく、構成成分が膜の深さ方向に連続的に変化している。
処理液(1)からなる透明導電層の焼成後膜厚は、5〜50nmになるように設定することが望ましい。焼成後膜厚が5nm未満になると低反射機能付導電膜の導電性が低くなり、一方で、50nmを超えると低反射機能付導電膜の低反射特性が低くなる。従って、本発明では優れた導電性と優れた低反射特性を得るためにも、処理液(1)からなる透明導電層の焼成後膜厚を5〜50nmになるように設定することが好ましい。
処理液(2)からなる低屈折率層の焼成後膜厚は、50〜350nmになるように設定することが望ましい。焼成後膜厚が50nm未満になると低反射機能付導電膜の低反射特性が低くなり、一方で、350nmを超えると低反射機能付導電膜の膜強度が低くなる。従って、本発明では優れた低反射特性と優れた膜強度を得るためにも、処理液(2)からなる低屈折率層の焼成後膜厚を50〜350nmになるように設定することが好ましい。
以上の如き本発明の製造方法により得られる低反射機能付導電膜を有する基板は、種々の用途に有用であるが、特に低反射性と帯電防止性が同時に要求される用途、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、FEディスプレイなどのガラス基板やカバーガラスとして有用である。
実施例1〜10、比較例1〜5
表1および表2に示す配合に従い処理液(1)および処理液(2)を調製した。処理液(1)は、有機溶剤に、インジウム化合物および錫化合物を溶解させた後、バインダー兼増粘剤となる樹脂を溶解させて処理液(1)とした。また、処理液(2)は、有機溶剤に珪素化合物を溶解した溶液に、バインダー兼増粘剤となる樹脂を溶解させて処理液(2)とした。また、実施例7、8ではニトロセルロースを溶解させた後に金微粒子分散溶液(金としての固形分濃度5質量%、金粒子の平均一次粒径7nm)を添加した。なお、実施例1〜10の処理液(1)ではインジウム化合物が良溶解しているのが確認された。
厚み3.0mmの無色フロートガラス板上に処理液(1)をスクリーン印刷法で塗布した後、150℃の熱風循環式オーブンで大気雰囲気下で5分間乾燥した。次いで、処理液(2)をスクリーン印刷法で塗布し、150℃の熱風循環式オーブンで5分間乾燥した後、640℃のマッフル炉中で10分間焼成し、実施例1〜10、比較例1〜3の試料を得た。
比較例1はインジウム化合物および錫化合物を含まず、珪素化合物を含有する処理液(1)を用いたものであり、比較例2はインジウム化合物および錫化合物を含まず、チタン化合物を含有する処理液(1)を用いたものであり、比較例3は、珪素化合物を含まず、チタン化合物を含有する処理液(2)を用いたものである。また、比較例4は処理液(1)を上記方法で塗布および乾燥させた後、640℃のマッフル炉中で10分間焼成した基板を室温まで冷却し、次いで、前記焼成膜の上に処理液(2)を上記方法で塗布および乾燥の後、焼成させたものである。なお、比較例5は無色フロートガラス板そのものである。なお、表1および表2に記載の処理液(1)および処理液(2)の配合%は質量%である。
表1および表2に、実施例1〜10、比較例1〜4の処理液(1)および処理液(2)の配合、および実施例1〜10、比較例1〜5で得られた試料の耐アルカリ試験、耐酸性試験、Hz(ヘイズ)率、可視光線透過率(Tv)、可視光線反射率(Rv)、製膜性評価、電気特性評価の結果を示す。なお、各評価方法は以下の通りである。なお、上記実施例1〜10および比較例1〜3の試料の膜の1層目および2層目はその界面が明確ではなく、焼成して膜形成後には各層の膜厚の測定が困難である。そこで、図1に示すようにガラス基板の上に処理液(1)と処理液(2)との一部が重複するように塗布し、前記と同一の条件で乾燥および焼成し、処理液が重複していない部分の膜厚を触針式膜厚計で測定して、1層目および2層目の膜厚とした。
Figure 0004317487
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Figure 0004317487
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1.光学特性
濁度計ZE2000(日本電色(株)製)を使用して、各試料のHz率(JIS K6714(1994年))の測定を行い、分光光度計UV3100PC(SIMADZU製)により各試料の透過率および反射率を測定し、各試料の可視光線透過率(Tv)および可視光線反射率(Rv)(JIS−R3106(1999年))を算出した。
2.耐薬品性
(1)耐アルカリ性
各試料を3質量%の水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し、膜の剥離の有無を目視で確認した。
(2)耐酸性
各試料を3質量%の硫酸水溶液に2時間浸漬し、膜の剥離の有無を目視で確認した。
3.製膜性
試料の膜面を布で擦って、膜の剥離の有無を目視で確認した。
4.電気特性
ハイレスタUP(MCP−HT400)を用いて、リング電極法により電気特性(シート抵抗値)を測定した。
表1および表2より、実施例1〜10は比較例5に示す基材ガラスよりも可視光線反射率が低い結果を示しているため、低反射性能を有していることが確認された。実施例7〜8は処理液(2)に着色剤となる金微粒子を配合しているため、比較例5に示す基材ガラスよりも可視光線透過率が低いものの、可視光線反射率が低く、低反射性能を有することが判る。
また、電気特性については、比較例5に示す基材ガラスは1012Ω/□超であるのに対して、実施例1〜8、10は105Ω/□オーダーの電気特性を示しており、導電性が高く帯電防止効果があることが確認される。なお、実施例9は他の実施例に比べて電気特性は劣るが、帯電防止効果としては充分である。一方、比較例1、2は、基材ガラスと比較すると、低反射性能は認められるが、電気特性はいずれも1012Ω/□超を示し、導電性に乏しく、帯電防止効果がないことが確認された。
比較例3は可視光線反射率が比較例5の基材ガラスよりも高く、低反射性能に劣ることが確認された。また、電気特性は108Ω/□オーダーを示し、帯電防止効果を若干示すものの充分とはいえなかった。これは2層目を構成するチタン化合物が、錫ドープした酸化インジウムに混じった状態となり、珪素化合物と比較して電子の流れを強く阻害するためであると推察される。さらに、比較例4は比較例5の基材ガラスと比較して可視光線反射率が低いため、低反射性能を有していることがわかる。しかし、2回焼成を行ったために膜の密着性が低く、耐アルカリ性試験において2層目の剥離が確認された。また、電気特性は106Ω/□オーダーであり、実施例1〜8、10と比較すると電気特性に劣る。これは錫ドープした酸化インジウムの大半が2層目の酸化珪素に覆われた状態となっているため、表層まで分散されず、その結果、導電性が低くなったものと考えられる。
また、実施例1、2、比較例4、5の反射率スペクトルを図2に示す。この反射率スペクトルは、JIS R 3106に従い分光光度計で380〜780nmの範囲で測定した。図2から、実施例1、2は比較例5に示す基材ガラスに対して反射率が大幅に低減できていることが確認できた。ところが比較例4は実施例1、2と比較して、反射率のボトム形状がシャープになっており、特定の波長には優れた低反射特性を示すものの、可視光域全体でみた場合は低反射化が不十分であることが確認された。
本発明によれば、生産性良く、低反射特性、導電性、耐薬品性に優れた低反射機能付導電膜を有する基板を製造する方法を提供することができる。
処理液(1)からなる層と処理液(2)からなる層の膜厚の測定方法を説明する図。 実施例1、2、比較例4、5の反射率スペクトルを示す図。

Claims (7)

  1. (A)インジウム化合物と(B)錫化合物と(C)100〜400℃で熱分解する樹脂と(D)有機溶剤とを含む処理液(1)と、(E)珪素化合物と(F)100〜400℃で熱分解する樹脂と(G)有機溶剤とを含む処理液(2)とを用い、上記処理液(1)を透明基板の表面に塗布し、その後、50〜250℃で乾燥して有機溶剤を除去し、次いで、さらにその上に処理液(2)を塗布し、その後、50〜250℃で乾燥して有機溶剤を除去し、次いで、処理された透明基板を400〜800℃で焼成することを特徴とする低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法。
  2. (C)100〜400℃で熱分解する樹脂がセルロース類であって、(D)有機溶剤がフェノール類と二塩基性酸エステルとの混合溶剤である請求項1に記載の低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法。
  3. (C)100〜400℃で熱分解する樹脂がセルロース類であって、(D)有機溶剤がアセチルアセトンとカルビトールおよび/またはエステル類との混合溶剤である請求項1に記載の低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法。
  4. (C)100〜400℃で熱分解する樹脂が、ニトロセルロースである請求項1〜3のいずれか1項に記載の低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法。
  5. (F)100〜400℃で熱分解する樹脂が、ニトロセルロースおよび/またはエチルセルロースである請求項1〜4のいずれか1項に記載の低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法。
  6. 処理液(2)が、さらに(H)貴金属微粒子を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法。
  7. 処理液(1)からなる焼成後膜厚が5〜50nmであり、処理液(2)からなる焼成後膜厚が50〜350nmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の低反射機能付導電膜を有する基板の製造方法。
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