JP2011018542A - 透明導電性基材及びその製造方法 - Google Patents

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雅也 行延
Yoshihiro Otsuka
良広 大塚
Takahito Nagano
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Abstract

【課題】低コストかつ簡便なインク塗布法を用いて形成される良好な透明性と高い導電性を兼ね備え、かつ膜強度と膜抵抗安定性に優れ、パターンが目立たず、視認しにくいパターン透明導電層を有する透明導電性基材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材上にパターン透明導電層を形成後、その上に透明異方性導電オーバーコート層を形成した透明導電性基材であって、そのパターン透明導電層は、焼成された導電性酸化物を主成分とし、透明異方性導電オーバーコート層は、導電性酸化物微粒子を含有するバインダーマトリックスを主成分とし、導電性酸化物微粒子の平均粒径の1〜3倍の範囲の厚みを有し、その導電性酸化物微粒子とバインダーマトリックスの体積含有割合が5:95〜25:75で、かつ透明導電層と垂直方向には導電性を示すが、水平方向には導電性を示さない導電性の異方性を有することを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、基材上にパターン透明導電層を有する透明導電性基材及びその透明導電性基材の製造方法に関するものである。詳しくは、ガラスやセラミックス等の耐熱性基板上に塗布法により形成された、透明性と導電性を兼ね備え、かつ膜強度と膜抵抗安定性に優れ、パターンが目立たず、視認しにくいパターン透明導電層を有する透明導電性基材、及びその製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレイ等の表示素子用透明電極、タッチパネル、太陽電池等の透明電極、熱線反射、電磁波シールド、帯電防止、防曇等の機能性コーティングに用いられる透明導電膜の形成材料として、錫ドープ酸化インジウム(Indium Tin Oxide、以下、ITOと表記する場合がある)が知られている。
ITO透明導電膜の製造方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法等の物理的手法が広く用いられている。これらの方法は、透明性と導電性に優れた均一なITO透明導電膜を基板上に形成することができる。
しかしながら、これに使用する膜形成装置は真空容器をベースとするため非常に高価であり、また基板成膜毎に製造装置内の成分ガス圧を精密に制御しなければならないため、製造コストと量産性に問題がある。
更に、上記物理的手法によるITO透明導電膜のパターニングでは、フォトエッチングプロセス(エッチングレジストの露光・現像によるパターニング、酸溶液エッチング、レジスト剥離の工程を有する)が必要であり、プロセスコスト面や廃液等の環境面での問題もある。
また、上記パターニングで得られたパターンITO透明導電膜は、ITOの屈折率(約2.0)が通常基材としてよく用いられるガラス基板の屈折率(約1.53)比べて大きいため、上記パターンITO透明導電膜部分の外光反射が基板の外光反射と大きく異なって、ITO透明導電膜のパターン部分が目立ち易い、視認し易いという問題もある。
これらの問題を解決する製造方法として、インジウム化合物と錫化合物を溶剤に溶解させた透明導電膜形成用塗布液を用いて、基板上に塗布する、あるいは、パターン塗布する方法(以下、「塗布法」と表記する場合がある)が検討されている。
この塗布方法では、透明導電膜形成用塗布液の基板上への塗布、乾燥、焼成という簡素な製造工程でITO透明導電膜を形成するもので、その塗布液の基板上への塗布法には、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、スリットコート法、ダイコート法、ドクターブレードコート法、ワイヤーバーコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等が知られている。
このような塗布法に用いられる塗布液として、インジウム化合物及び錫化合物を含む塗布液が、従来種々開発されており、例えば、ハロゲンイオンまたはカルボキシル基を含む硝酸インジウムとアルキル硝酸錫の混合液(例えば、特許文献1参照)、アルコキシル基などを含む有機インジウム化合物と有機錫化合物の混合物(例えば、特許文献2参照)、硝酸インジウムと有機錫化合物の混合物(例えば、特許文献3参照)、硝酸インジウム、硝酸錫等の無機化合物混合物(例えば、特許文献4参照)、ジカルボン酸硝酸インジウムなどの有機硝酸インジウムとアルキル硝酸錫などの有機硝酸錫の混合物(例えば、特許文献5参照)、アセチルアセトンを配位した有機インジウム錯体と錫錯体からなる有機化合物混合溶液(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8参照)が開示されている。
これらの従来知られている塗布液の多くはインジウムや錫の硝酸塩、ハロゲン化物からなる有機または無機化合物、あるいは金属アルコキシドなどの有機金属化合物等が用いられている。
しかし、硝酸塩やハロゲン化物を用いた塗布液は、焼成時に窒素酸化物や塩素などの腐食性ガスが発生するため、設備腐食や環境汚染を生ずるといった問題があり、金属アルコキシドを用いた塗布液では、原料が加水分解し易いため、塗布液の安定性に問題がある。又、特許文献に記載された有機金属化合物を用いた塗布液の多くは、基板に対する濡れ性が悪く、不均一膜が形成され易いといった問題もあった。
そこで、これらの問題点を改良した塗布液として、アセチルアセトンインジウム(正式名称:トリス(アセチルアセトナト)インジウム:In(C)、アセチルアセトン錫(正式名称:ジ−n−ブトキシド ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫:[Sn(C(C])、ヒドロキシプロピルセルロース、アルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと二塩基酸エステル及び/又は酢酸ベンジルを含有する透明導電膜形成用塗布液(例えば、特許文献9参照)が開示されている。
この塗布液は、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトン錫の混合溶液にヒドロキシプロピルセルロースを含有させることによって塗布液の基板に対する濡れ性を改善すると同時に、粘性剤であるヒドロキシプロピルセルロースの含有量によって塗布液の粘度を調整し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷、ワイヤーバーコート等の各種塗布法の採用を可能にするものである。
又、スピンコート用の改良塗布液として、アセチルアセトンインジウム、オクチル酸インジウム等の有機インジウム化合物と、アセチルアセトン錫、オクチル酸錫等の有機錫と、有機溶剤とを含み、その有機溶剤にアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールを溶解したアセチルアセトン溶液、アルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールを溶解したアセチルアセトン溶液をアルコールで希釈した液を用いる透明導電膜形成用塗布液(例えば、特許文献10参照)が開示されている。
この塗布液は、低粘度であり、スピンコートのほかスプレーコート、ディップコートにも使用可能であり、更にはディスペンサによるパターン塗布も可能と考えられる。
特開昭57−138708号公報 特開昭61−26679号公報 特開平4−255768号公報 特開昭57−36714号公報 特開昭57−212268号公報 特公昭63−25448号公報 特公平2−20706号公報 特公昭63−19046号公報 特開平6−203658号公報 特開平6−325637号公報
しかしながら、このような各種ITO透明導電膜形成用塗布液を基板上にパターン塗布、乾燥、焼成して形成されるパターン透明導電膜(以下、パターンITO膜と記す場合がある)は、その塗布液中の有機インジウム化合物等が、焼成時における熱分解や酸化によってITO膜に転化する過程において、生じたITO微粒子が密に充填し、互いに点接触で結合した膜構造を形成しているため、上記ITO膜には微細な開空孔(オープンポアとも言う)が生じており、ITO膜に接する雰囲気、例えば、湿度等の影響を受け易くなる。そのため得られたパターン透明導電膜は、膜抵抗値が時間と共に変化(経時変化)するという抵抗安定性の問題を生じていた。
更に、上記ITO微粒子が粗に充填したITO膜の場合には、膜強度が低下するという問題もあった。
また、前述の透明導電膜のパターン部分が目立ち易い、視認し易いという問題は、上記ITO透明導電膜形成用塗布液をパターン塗布して得られたパターン透明導電膜においても、同様であった。
従って、ディスプレイ、タッチパネル等の透明電極に利用するには、抵抗安定性がより良好で、パターンが目立たない、視認しにくいパターン透明導電膜が要望されていた。
本発明は、低コストかつ簡便な透明導電膜の製造方法であるインク塗布法を用いて形成される良好な透明性と高い導電性を兼ね備え、かつ膜強度と膜抵抗安定性に優れ、パターンが目立たない、即ち、視認しにくいパターン透明導電層を有する透明導電性基材、及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
このような課題に鑑み、発明者らは透明導電層形成用塗布液を耐熱性基材上にパターン塗布、乾燥、焼成して得られる導電性酸化物を主成分とするパターン透明導電層について鋭意研究を重ねた結果、上記パターン透明導電層上に、塗布法により導電性酸化物微粒子を含有するバインダーマトリックスを主成分とする透明異方性導電オーバーコート層を形成すると、パターン透明導電層が透明異方性導電オーバーコート層のバインダーマトリックスで保護され、かつパターン透明導電層部分と基材部分の外光反射の違いが小さくなり、良好な透明性と高い導電性を兼ね備え、かつ膜強度と膜抵抗安定性に優れ、パターンが目立たない、視認しにくいパターン透明導電層を有する透明導電性基材が得られることを発明したものである。
即ち、本発明の第1の発明は、基材上に塗布法によりパターン透明導電層を形成した後、更にこのパターン透明導電層上に同じく塗布法により透明異方性導電オーバーコート層を形成して得られるパターン透明導電層と透明異方性導電オーバーコート層を有する透明導電性基材で、そのパターン透明導電層は、少なくとも透明導電成分と溶剤を主成分として含有する透明導電層形成用塗布液をパターン塗布、乾燥焼成して形成した導電性酸化物を主成分とし、透明異方性導電オーバーコート層は、平均粒径0.01〜0.05μmの導電性酸化物微粒子とバインダー成分を少なくとも含有する透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液を塗布して形成された導電性酸化物微粒子を含有するバインダーマトリックスを主成分とし、導電性酸化物微粒子の平均粒径の1〜3倍の範囲の厚みを有し、更に導電性酸化物微粒子とバインダーマトリックスの体積含有割合が導電性酸化物微粒子:バインダーマトリックス=5:95〜25:75の範囲で、かつ透明導電層と垂直方向には導電性を示すが、水平方向には導電性を示さない導電性の異方性を有することを特徴とする透明導電性基材を提供する。
本発明の第2の発明は、透明導電成分が、有機インジウム化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物のいずれか一つ以上を主成分とすることを特徴とする第1の発明に記載の透明導電性基材を提供する。
本発明の第3の発明は、導電性酸化物、及び導電性酸化物微粒子が、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛のいずれか一つ以上を主成分としていることを特徴とする第1または第2の発明に記載の透明導電性基材を提供する。
本発明の第4の発明は、酸化インジウムを主成分とする導電性酸化物微粒子が、インジウム錫酸化物微粒子であることを特徴とする第3の発明に記載の透明導電性基材を提供する。
本発明の第5の発明は、バインダー成分が無機バインダー成分で、バインダーマトリックスが無機バインダーマトリックスであることを特徴とする第1〜第4の発明のいずれかに記載の透明導電性基材を提供する。
本発明の第6の発明は、無機バインダーがシリカゾルを主成分とし、無機バインダーマトリックスはシリカゾルが架橋して形成された酸化ケイ素(シリカ)マトリックスを主成分とすることを特徴とする第5の発明に記載の透明導電性基材を提供する。
本発明の第7の発明は、前記基材が、セラミック基材、ガラス基材のいずれかであることを特徴とする第1〜第6の発明のいずれかに記載の透明導電性基材を提供する。
本発明の第8の発明は、基材上に塗布法によりパターン透明導電層を形成後、そのパターン透明導電層上に同じく塗布法により透明異方性導電オーバーコート層を形成して得られるパターン透明導電層と透明異方性導電オーバーコート層を有する透明導電性基材の製造方法で、そのパターン透明導電層は、基材表面に、少なくとも透明導電成分と溶剤を主成分として含有する透明導電層形成用塗布液をパターン塗布、乾燥、焼成して形成され、透明異方性導電オーバーコート層は、そのパターン透明導電層上に、平均粒径0.01〜0.05μmの導電性酸化物微粒子とバインダー成分を少なくとも含有し、この導電性酸化物微粒子とバインダーマトリックス換算された値としてのバインダー成分の体積含有割合は、導電性酸化物微粒子:バインダーマトリックス換算されたバインダー成分=5:95〜25:75である透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液を塗布して、厚さが導電性酸化物微粒子の平均粒径の1〜3倍の範囲で、透明導電層と垂直方向には導電性を有するが水平方向には導電性を有しない異方性導電を示すように形成されたこと、を特徴とする透明導電性基材の製造方法を提供する。
本発明の第9の発明は、透明導電成分が、有機インジウム化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物のいずれか一つ以上を主成分とすることを特徴とする第8の発明に記載の透明導電性基材の製造方法を提供する。
本発明の第10の発明は、導電性酸化物微粒子が、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛のいずれか一つ以上を主成分としていることを特徴とする第8または第9の発明に記載の透明導電性基材の製造方法を提供する。
本発明の第11の発明は、酸化インジウムを主成分とする前記導電性酸化物微粒子が、インジウム錫酸化物微粒子であることを特徴とする第10の発明に記載の透明導電性基材の製造方法を提供する。
本発明の第12の発明は、バインダー成分が無機バインダー成分であることを特徴とする第8〜第11の発明に記載の透明導電性基材の製造方法を提供する。
本発明の第13の発明は、無機バインダーがシリカゾルを主成分とすることを特徴とする第12の発明に記載の透明導電性基材の製造方法を提供する。
本発明の第14の発明は、基材が、セラミック基材、ガラス基材のいずれかであることを特徴とする第8〜第13の発明に記載の透明導電性基材の製造方法を提供する。
本発明の透明導電性基材の製造方法によれば、透明導電層形成用塗布液を耐熱性基材上にパターン塗布、乾燥、焼成して得られる導電性酸化物を主成分とするパターン透明導電層上に、塗布法により導電性酸化物微粒子を含有するバインダーマトリックスを主成分とする透明異方性導電オーバーコート層を形成しているため、得られるパターン透明導電層を有する透明導電性基材は、透明性と導電性を兼ね備え、かつ膜強度と膜抵抗安定性に優れ、透明導電層のパターンを目立たなく、視認しにくくできる。そのため、この透明導電性基材は、LED、エレクトロルミネッセンスランプ、フィールドエミッションランプ等の発光デバイス、太陽電池等の発電デバイス、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子ペーパー等の表示デバイス、及びタッチパネル等の入力デバイス等に好適である。
従来の透明導電性基材の基本的構造を示す断面図である。 本発明に係る透明導電性基材の基本構造を示す断面図である。 実施例で用いた透明導電層のパターンを示す模式図である。 実施例1に係る透明導電性基材の断面を示す透過電子顕微鏡写真(TEM像)である。 実施例1に係る透明導電性基材の透明異方性導電オーバーコート層における導電性酸化物微粒子の面内分布を示す走査電子顕微鏡写真(SEM像)である。 実施例2に係る透明導電性基材の断面を示す透過電子顕微鏡写真(TEM像)である。 実施例2に係る透明導電性基材の透明異方性導電オーバーコート層における導電性酸化物微粒子の面内分布を示す走査電子顕微鏡写真(SEM像)である。 比較例2に係る透明導電性基材の断面を示す透過電子顕微鏡写真(TEM像)である。 比較例2に係る透明導電性基材の透明異方性導電オーバーコート層における導電性酸化物微粒子の面内分布を示す走査電子顕微鏡写真(SEM像)である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、透明導電層形成用塗布液を耐熱性基材上にパターン塗布、乾燥、焼成して得られる導電性酸化物を主成分とするパターン透明導電層上に、透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液を塗布して、導電性酸化物微粒子を含有するバインダーマトリックスを主成分とする透明異方性導電オーバーコート層を形成しているため、パターン透明導電層が透明異方性導電オーバーコート層のバインダーマトリックスで保護され、かつパターン透明導電層部分と基材部分の外光反射の違いが小さくなり、好適な透明性と高い導電性に加えて、膜強度と膜抵抗安定性が向上でき、透明導電層のパターンを目立たなく、視認しにくくできている。
[パターン透明導電層/透明異方性導電オーバーコート層構造]
先ず、パターン透明導電層構造を説明する。
例えば、スパッタリング法等の気相成長法を用いてITOからなる透明導電膜(以下、スパッタITO膜と記す場合がある)を形成した場合、通常ITO結晶粒が粒界を介して配列した膜構造である多結晶のITO膜構造が形成され、膜構造においてITO微粒子はほとんど観察されない。このスパッタITO膜をフォトエッチングして得られるパターンスパッタITO膜でも上記膜構造は維持されており、変化は見られない。
一方で、有機インジウム化合物と有機錫化合物を主成分とする透明導電層形成用塗布液を耐熱性基板上にパターン塗布、乾燥、焼成する塗布法で形成されるITOからなるパターン透明導電層では、通常ITO微粒子同士が結合した膜構造を有しており、ITO微粒子の粒子径やITO微粒子間に存在する空隙の大きさは、焼成条件などで異なるが、少なからず微細な開空孔(オープンポア)を有するITO微粒子で構成される透明導電層となることが知られている。
そして、この塗布法で形成されたITO微粒子同士が結合した透明導電層は、その導電機構が、ITO微粒子の接触部分(結合部分も含む)を介在するものであるため、ITO微粒子同士が微小面積で接触するため、接触部分で導電性低下する、開空孔を通して大気中の酸素や水蒸気が膜内に進入しITO微粒子同士の接触を劣化させるため、導電性が経時劣化する。特に、ITO微粒子が粗に充填した場合には膜強度が低下する等の現象を引き起こすと考えられている。
このような塗布法で形成された従来のパターン透明導電層(図1参照)に対して、本発明は、導電性酸化物微粒子とバインダー成分を含む透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液をオーバーコートして、パターン透明導電層の導電性酸化物微粒子同士の空隙を上記バインダー成分で埋めながら、図2に示すように基材1上およびパターン透明導電層2上に導電性酸化物微粒子4を含有するバインダーマトリックスを主成分とする透明異方性導電オーバーコート層3を形成したものである。
この構造は、透明導電層と垂直方向への導電性は保ちながら水平方向は絶縁性を示すという導電異方性により、パターン透明導電層間の絶縁性は維持しながら、パターン透明導電層の導電性の安定化(経時変化抑制)を図り、膜強度を向上させ、透明導電層のパターンを目立たなく、視認しにくくするものである。
[透明導電層形成用塗布液]
次に、本発明で用いられる透明導電層形成用塗布液について詳細する。
本発明では、有機インジウム化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物のいずれか一つ以上を主成分とする透明導電成分と溶剤を主成分として含有する透明導電層形成用塗布液を用いて酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛のいずれか一つ以上を主成分とする導電性酸化物を主成分とする透明導電層を形成するが、一般に、透明導電層の導電性は高い方が望ましく、そのような場合には酸化インジウムを主成分とし、更にインジウム以外の金属化合物、主として金属酸化物をドーピングすることで導電性を向上させることが好ましい。これは、ドーパント金属化合物を含む酸化インジウムを導電性酸化物として用いれば、ドーパント金属化合物が導電性酸化物において、キャリアとしての電子の濃度(キャリア密度と記す場合がある)を高める働きによって透明導電層の導電性を向上させるからである。
その具体的なドーピングの方法としては、有機インジウム化合物を主成分とする透明導電層形成用塗布液に、ドーパント用有機金属化合物を所定量配合する方法がある。
本発明で用いる有機インジウム化合物には、アセチルアセトンインジウム(正式名称:トリス(アセチルアセトナト)インジウム)[In(C]、2−エチルヘキサン酸インジウム、蟻酸インジウム、インジウムアルコキシド等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機インジウム化合物であれば良い。これらの中でもアセチルアセトンインジウムは有機溶剤への溶解性が高く、200〜250℃程度の温度で熱分解して酸化物となるため好ましい。
次に、導電性を向上させるドーパント用有機金属化合物としては、有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機タングステン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機タンタル化合物、有機ニオブ化合物、有機ハフニウム化合物、有機バナジウム化合物のいずれか一種以上が好ましい。
尚、透明導電膜を適用するデバイスによっては導電性がある程度低い(抵抗値が高い)ことが必要とされる場合もあるため、透明導電層形成用塗布液へのドーパント用有機金属化合物の添加は、必要に応じて適宜実施すればよい。
ドーパント用有機金属化合物の有機錫化合物(化合物中の錫の価数は2価、4価にこだわらない)としては、例えば、アセチルアセトン錫(正式名称:ジ−n−ブトキシド ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫、[Sn(C(C]、オクチル酸錫、2−エチルヘキサン酸錫、酢酸錫(II)[Sn(CHCOO)]、酢酸錫(IV)[Sn(CHCOO)]、ジ−n−ブチル錫ジアセテート[Sn(C(CHCOO)] 、蟻酸錫、錫アルコキシドとしての錫−tert−ブトキシド[Sn(CO)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機錫化合物であれば良い。これらの中でも、アセチルアセトン錫は、比較的安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機チタン化合物としては、例えば、チタンアセチルアセトン錯体としてのアセチルアセトンチタン(正式名称:チタンジ−n−ブトキシド ビス(2,4−ペンタンジオネート)[Ti(CO)(C] )、チタニル(IV)アセチルアセトネート[(CTiO]、チタンジイソプロポキシド ビス(2,4−ペンタンジオネート)[C1636Ti]等や、チタンアルコキシドとしてのチタンテトラエトキシド[Ti(CO)]、チタン(IV)−tert−ブトキシド[Ti(CO)]、チタンテトラ−n−ブトキシド[Ti(CO)]、チタンテトライソプロポキシド[Ti(CO)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機チタン化合物であれば良い。これらの中でも、アセチルアセトンチタン、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトライソプロポシドは、安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機ゲルマニウム化合物としては、例えば、ゲルマニウムアルコキシドとしてのゲルマニウムテトラエトキシド[Ge(CO)]、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド[Ge(CO)]、ゲルマニウムテトライソプロポキシド[Ge(CO)]等や、β−カルボキシエチルゲルマニウムオキシド[(GeCHCHCOOH)]、テトラエチルゲルマニウム[Ge(C]、テトラブチルゲルマニウム[Ge(C]、トリブチルゲルマニウム[Ge(C]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ゲルマニウム化合物であれば良い。これらの中でも、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラ−n−ブトキシド、ゲルマニウムテトライソプロポキシドは、比較的安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機亜鉛化合物としては、例えば、亜鉛アセチルアセトン錯体としてのアセチルアセトン亜鉛(正式名称:亜鉛−2,4−ペンタンジオネート)[Zn(C]、亜鉛−2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート[Zn(C1119]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機亜鉛化合物であれば良い。これらの中でも、アセチルアセトン亜鉛は、安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機タングステン化合物としては、例えば、タングステンアルコキシドとしてのタングステン(V)エトキシド[W(CO)]、タングステン(VI)エトキシド[W(CO)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機タングステン化合物であれば良い。
ドーパント用有機金属化合物の有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムアルコキシドとしてのジルコニウムエトキシド[Zr(CO)]、ジルコニウム−n−プロポキシド[Zr(CO)]、ジルコニウムイソプロポキシド[Zr(CO)]、ジルコニウム−n−ブトキシド[Zr(CO)]、ジルコニウム−tert−ブトキシド[Zr(CO)]、ジルコニウム−2−メチル−2−ブトキシド[Zr(C11O)]、ジルコニウム−2−メトキシメチル−2−プロポキシド[Zr(C11]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ジルコニウム化合物であれば良い。これらの中でも、ジルコニウム−n−プロポキシド、ジルコニウム−n−ブトキシドは、比較的安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機タンタル化合物としては、例えば、タンタルアルコキシドとしてのタンタルメトキシド[Ta(CHO)]、タンタルエトキシド[Ta(CO)]、タンタルイソプロポキシド[Ta(CO)]、タンタル−n−ブトキシド[Ta(CO)]、テトラエトキシアセチルアセトナトタンタル[Ta(CO)(C)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機タンタル化合物であれば良い。
ドーパント用有機金属化合物の有機ニオブ化合物としては、例えば、ニオブアルコキシドとしてのニオブエトキシド[Nb(CO)]、ニオブ−n−ブトキシド[Nb(CO)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ニオブ化合物であれば良い。
ドーパント用有機金属化合物の有機ハフニウム化合物としては、例えば、ハフニウムアルコキシドとしてのハフニウムエトキシド[Hf(CO)]、ハフニウム−n−ブトキシド[Hf(CO)]、ハフニウム−tert−ブトキシド[Hf(CO)]、ハフニウム(VI)イソプロポキドモノイソプロピレート[Hf(CO)(COH)]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機ハフニウム化合物であれば良い。これらの中でも、ハフニウム−n−ブトキシドは、比較的安価で入手し易いので好ましい。
ドーパント用有機金属化合物の有機バナジウム化合物としては、例えば、バナジウムアセチルアセトン錯体としてのバナジウムオキサイドビス−2,4−ペンタンジオネート[VO(C]、アセチルアセトンバナジウム(正式名称:バナジウム−2,4−ペンタンジオネート)[V(C]等が挙げられるが、基本的には、溶剤に溶解し、焼成時において塩素ガスや窒素酸化物ガスなどの有害ガスが発生せずに酸化物に分解する有機バナジウム化合物であれば良い。
透明導電層形成用塗布液における有機インジウム化合物、又は有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物は、基板上に透明導電膜を形成させるための主たる化合物原料であり、その合計含有量は1〜30重量%の範囲であることが好ましく、更に好ましくは5〜20重量%とするのが良い。
その合計含有量が、1重量%未満であると膜厚の薄い透明導電膜しか得られなくなるため十分な導電性が得られない。又、その合計含有量が30重量%より多いと透明導電層形成用塗布液中の有機インジウム化合物が析出し易くなって塗布液の安定性が低下し、また、得られる透明導電膜が厚くなり過ぎて亀裂(クラック)が発生して導電性が損なわれる場合がある。
更に、透明導電層形成用塗布液にドーパント用有機金属化合物を配合する場合、即ち高い導電性を得ようとする場合には、有機インジウム化合物とド−パント用有機金属化合物の含有割合は、有機インジウム化合物:ドーパント用有機金属化合物のモル比換算で100:0.1〜100;50が好ましい。詳しくは、有機亜鉛化合物を除いて、有機インジウム化合物:ドーパント用有機金属化合物のモル比換算で100:0.1〜100:15が良く、好ましくは100:1〜100:10である。
有機亜鉛化合物の場合は、有機インジウム化合物:ドーパント用有機金属化合物のモル比換算で100:5〜100:50が良く、好ましくは100:10〜100:40である。
このモル比範囲を外れてド−パント用有機金属化合物が少なくても、或いは、多すぎても、透明導電膜のキャリア密度が減少して透明導電膜の導電性が急激に悪化する場合があり、また、上記モル比範囲を外れてド−パント用有機金属化合物が多い場合には、導電性酸化物微粒子の結晶成長が進みにくくなって導電性が悪化する場合があるため好ましくない。
又、透明導電層形成用塗布液には、必要に応じてバインダーを添加しても良い。バインダーを加えることで、基板に対する濡れ性が改善されると同時に、塗布液の粘度調整を行うことができる。上記バインダーは焼成時において燃焼や熱分解する材料が好ましく、このような材料として、セルロース誘導体、アクリル樹脂等が有効である。
このバインダーに用いられるセルロース誘導体としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース 、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース 、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース 、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、ニトロセルロース等が挙げられるが、これらの中でもヒドロキシプロピルセルロース(以下、「HPC」と表記する場合がある)が好ましい。
HPCを用いれば、5重量%以下の含有量で十分な濡れ性が得られると同時に、大幅な粘度調整を行うことができる。またHPCの燃焼開始温度は300℃程度であり、焼成を300℃以上、好ましくは350℃以上の温度で行えば燃焼するので、生成する導電性粒子の粒成長を阻害せず、導電性が良好な透明導電膜を作製することができる。HPCの含有量が5重量%より多くなると、ゲル状になって塗布液中に残留し易くなり、多孔質の透明導電膜を形成して透明性や導電性が損なわれる。
また、セルロース誘導体として、例えばHPCの代わりにエチルセルロースを用いた場合は、HPCを用いた場合よりも塗布液の粘度が低く設定できるが、高粘度塗布液が好適であるスクリーン印刷法等ではパターン印刷性が若干低下する。
ニトロセルロースは、熱分解性は優れているが、焼成時において有害な窒素酸化物ガスの発生があり、焼成炉の劣化や排ガス処理に問題を生じる場合があるため、状況に応じて適宜選択する必要がある。
また、アクリル樹脂としては、比較的低温で燃焼するアクリル樹脂が好ましい。
透明導電層形成用塗布液に用いる溶剤としては、アセチルアセトンインジウム、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンバナジウム等のアセチルアセトン錯体を高濃度で溶解できるアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと二塩基酸エステル、あるいはアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと酢酸ベンジル、又はこれらの混合溶液を用いるのが好ましい。アルキルフェノール及びアルケニルフェノールとしては、クレゾール類、キシレノール、エチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カシューナット殻液[3ペンタデカデシールフェノール]等が挙げられ、二塩基酸エステル(例えば二塩基酸ジメチル、二塩基酸ジエチル等)としては、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、アジピン酸エステル、マロン酸エステル、フタル酸エステル等が用いられる。
更に、塗布液の粘度を低下さたり、塗布性を改善させるために透明導電層形成用塗布液に配合する溶剤としては、有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、及びセルロース誘導体及び/又はアクリル樹脂を溶解させた溶液と相溶性があれば良く、水、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1−プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール(DAA)等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等のエステル系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、エチレングリコールモノブチルエーテル(BCS)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGM−AC)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PE−AC)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール誘導体、トルエン、キシレン、メシチレン、ドデシルベンゼン等のベンゼン誘導体、ホルムアミド(FA)、N−メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1、3−オクチレングリコール、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ミネラルスピリッツ、ターピネオール等、及びこれらのいくつかの混合液が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塗布液の安定性や成膜性を考慮すると、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が好ましい。
本発明で用いる透明導電層形成用塗布液は、前記の有機インジウム化合物、必要に応じてドーパント用有機金属化合物の有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ゲルマニウム化合物、有機亜鉛化合物、有機タングステン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機タンタル化合物、有機ニオブ化合物、有機ハフニウム化合物、有機バナジウム化合物のいずれか一種以上、更に、必要に応じてバインダーを加えた混合物を溶剤に加熱溶解させることによって製造する。
その加熱溶解は、加熱温度を60〜200℃とし、0.5〜12時間攪拌することにより行われる。加熱温度が60℃よりも低いと十分に溶解せず、アセチルアセトンインジウムの析出分離が起って塗布液の安定性が低下してしまい、200℃よりも高いと溶剤の蒸発が顕著となり塗布液の組成が変化してしまうので好ましくない。
透明導電層形成用塗布液の粘度は、前記したバインダーの分子量や含有量、溶剤の種類によって調整することができるので、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法等の各種パターン塗布法に対応することができる。
高粘度(5000〜50000mPa・s程度)の塗布液は、高分子量のバインダーを5重量%以下、好ましくは2〜4重量%含有させることで作製でき、低粘度(5〜500mPa・s程度)は、低分子量のバインダーを5重量%以下、好ましくは0.1〜2重量%含有させ、かつ低粘度の希釈用溶剤で希釈することで作製できる。また、中粘度(500〜5000mPa・s)の塗布液は、高粘度の塗布液と低粘度の塗布液を混合することで作製できる。
[パターン透明導電層の製造方法]
本発明のパターン透明導電層の製造方法について詳細する。
本発明の透明導電層は、透明導電層形成用塗布液を耐熱性基板上に塗布するパターン塗布工程、乾燥する乾燥工程、焼成する焼成工程の各工程を経て形成される。
(a)パターン塗布工程
耐熱性基材上への透明導電層形成用塗布液のパターン塗布は、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法等の各種パターン塗布法を用いて塗布される。
(b)乾燥工程
乾燥工程では、透明導電層形成用塗布液をパターン塗布した基板を80〜180℃で10〜60分間保持して塗布膜の乾燥を行って、塗布乾燥膜を作製する。
この塗布乾燥膜は、透明導電層形成用塗布液から有機溶剤が揮発除去されたものであって、有機インジウム化合物、(ドーパント用有機金属化合物)、バインダー等の成分で構成されている。
(c)焼成工程
焼成工程では、酸素含有雰囲気ガスを供給しながら昇温し加熱・焼成することで、焼成工程で生じる導電性酸化物微粒子が密に充填した膜構造が得ることができる。この酸素含有雰囲気ガスでの焼成に引き続いて、中性雰囲気又は還元性雰囲気ガスを供給しながら焼成を行うことが好ましい。
酸素含有雰囲気ガスは、空気、あるいは、酸素と中性・不活性ガス(窒素、アルゴン等)の混合ガスが挙げられるが、安価で入手しやすい空気が好ましい。
この膜構造における、導電性酸化物微粒子の粒径(結晶子径)や膜の緻密度合いは、焼成条件(雰囲気ガスの種類・流量、焼成温度、焼成時間等)に応じて決定される。
尚、焼成条件は、焼成温度(ピーク温度)が300℃以上、より好ましくは350℃以上の温度で5〜120分間、より好ましくは15〜60分間である。
300℃よりも低い焼成温度では、乾燥塗布膜に含まれる有機成分(有機インジウム化合物、ドーパント用有機金属化合物、バインダー等に含まれる有機成分)の熱分解或いは燃焼が不十分となり、それら有機成分が透明導電膜に残留して膜の透明性や導電性を悪化させる恐れがある。
また、焼成温度の上限は特に限定されないが、焼成工程で用いる焼成装置の種類や耐熱性基材の耐熱性に影響受け、安価で最も一般的に用いられるソーダライムガラス基板では、歪点が約510℃であるので、この温度よりも低い温度で焼成することが好ましい。ただし、ソーダライムガラス基板をより耐熱性の高い耐熱性基材上で焼成すれば、基板の歪みを比較的少なくできるため、約600℃程度での焼成も可能である。もちろん、石英ガラス基板、無アルカリガラス基板、高歪点ガラス基板等のより耐熱性が高いガラス基板を用いる場合は、更に高い焼成温度が適用できる。
この酸素含有雰囲気下での焼成に引き続き、中性雰囲気又は還元性雰囲気下での焼成を行うと、導電性酸化物微粒子に酸素空孔が形成されてキャリア濃度が増加し、透明導電層の導電性が向上するため好ましい。尚、この中性雰囲気又は還元性雰囲気下での焼成は、膜中に形成された酸素空孔が導電性酸化物微粒子の成分元素(インジウム、酸素等)を拡散しやすくするため、導電性酸化物微粒子同士の結晶成長促進効果を有しており、透明導電層の導電性向上だけでなく、導電性の安定化、即ち経時変化の抑制にも有効である点からも好ましい。
この中性雰囲気は、窒素ガス、不活性ガス(アルゴン、ヘリウム等)のいずれか1種以上からなり、還元性雰囲気は、水素ガス又は該中性雰囲気に水素又は有機溶剤蒸気(メタノール等の有機ガス)の少なくとも1種以上が含まれる雰囲気などが挙げられるが、緻密に充填した導電性酸化物微粒子から酸素原子を奪い酸素空孔を形成して導電キャリア濃度を高めることができれば良く、これらに限定されない。但し、還元性が強すぎる雰囲気だと酸化インジウムが金属インジウムまで還元される場合があるため、好ましくない。
焼成温度が250〜450℃程度であれば、1〜2%水素−99〜98%窒素の混合ガスは、大気に漏洩しても爆発の恐れがなく、酸化インジウムを金属インジウムまで還元し難いため好ましい雰囲気、焼成温度である。
中性雰囲気又は還元性雰囲気下での焼成の焼成条件は、焼成温度が250℃以上、より好ましくは350℃以上の温度で5〜120分間、より好ましくは15〜60分間である。尚、前述の導電性酸化物微粒子同士の結晶成長をより促進させるという観点からすると、焼成温度は350℃以上、更に好ましくは450℃以上が望ましい。
250℃よりも低い焼成温度では、導電性酸化物微粒子に酸素空孔が十分に形成できず、キャリア濃度の増加による透明導電層の導電性向上が期待できないため好ましくない。
また、この焼成温度の上限は特に限定されないが、焼成工程で用いる焼成装置の種類や耐熱基材の耐熱性に影響受ける点は、酸素含有雰囲気下での焼成と同様である。更に、還元性雰囲気下の焼成では、焼成温度が高くなり過ぎると、透明導電層を構成する導電性酸化物が過度に還元される場合があり注意を要する。例えば600℃を超える焼成温度の場合には、水素ガス等のように強い還元性を有する還元性雰囲気を用いると、酸化インジウムが金属インジウムまで短時間で還元されてしまう場合があるため、適切な還元性雰囲気の選定や還元時間の設定が必要となる。
尚、酸素含有雰囲気下の焼成、及び、中性雰囲気又は還元性雰囲気下の焼成は、連続して行うことができる。即ち、乾燥塗布膜が形成された耐熱性基材の焼成において、基材の温度を300℃以上に昇温した後、その焼成温度を保ったまま、雰囲気だけを酸素含有雰囲気から中性雰囲気又は還元性雰囲気に切替えればよい。
前述のように、中性雰囲気又は還元性雰囲気下での焼成は、導電性酸化物に酸素空孔を形成してキャリア濃度を増加させる働きに加え、酸素空孔の存在により透明導電層の構成元素を移動し易くして結晶成長を促進する働きも有しており、透明導電層の強度や導電性の一層の向上に寄与している。
[透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液]
次に、本発明で用いる透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液について詳細に説明する。この透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液は、導電性酸化物微粒子、バインダー成分、および溶剤を主成分としている。
その透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液中の導電性酸化物微粒子とバインダー成分(バインダーマトリックス換算された値としてのバインダー成分)の体積含有割合は、導電性酸化物微粒子:バインダーマトリックス換算された値としてのバインダー成分=5:95〜25:75、好ましくは7:93〜15:85が好ましい。その理由は、5:95よりバインダー成分が多いと透明異方性導電オーバーコート層の膜垂直方向の抵抗が高くなり、25:75よりバインダー成分が少ないと、透明異方性導電オーバーコート層の膜強度が低下するからである。
(a)導電性酸化物微粒子
本発明で用いる透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液に適用される導電性酸化物微粒子としては、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛のいずれか一つ以上を主成分とする導電性酸化物微粒子であって、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)微粒子、インジウム亜鉛酸化物(IZO)微粒子、インジウム−タングステン酸化物(IWO)微粒子、インジウム−チタン酸化物(ITiO)微粒子、インジウムジルコニウム酸化物微粒子、錫アンチモン酸化物(ATO)微粒子、フッ素錫酸化物(FTO)微粒子、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)微粒子、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)微粒子等が挙げられるが、透明性と導電性を具備していれば良く、これらに限定されない。ただし、上記中でもITO微粒子が最も高特性であり、好ましい。
この導電性酸化物微粒子の平均粒径は、0.01〜0.05μmが好ましく、0.02〜0.04μmが更に好ましい。平均粒径が0.01μm未満では導電性酸化物微粒子層形成用塗布液の製造が困難となり、また得られる透明異方性導電オーバーコート層の膜垂直(膜厚み)方向の抵抗値が高くなりやすい。一方、0.05μmを超えると、透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液中で導電性酸化物微粒子が沈降し易く取扱いが容易でなくなると同時に、透明異方性導電オーバーコート層において高い透明性と膜垂直方向の低抵抗値を同時に達成することが困難になるからである。
尚、上記導電性酸化物微粒子の平均粒径は、透過電子顕微鏡(TEM)で観察された値を示している。導電性酸化物微粒子の形状については特に制約はなく、球状、粒状、針状、棒状、ワイヤ状、板状、りん片状等が適用できる。球状や粒状であると、透明異方性導電オーバーコート層で高い透明性を確保しやすいため、より好ましい。尚、ここで、針状、棒状、ワイヤ状、板状、りん片状等の導電性酸化物微粒子の平均粒径とは、針状、棒状、ワイヤ状では太さ、板状、りん片状では厚さのことである。
(b)バインダー成分
次に、透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液中のバインダー成分は、パターン透明導電層の導電性酸化物微粒子の微細開空孔中に染込んで抵抗安定化する働きや、透明異方性導電オーバーコート層中の導電性酸化物微粒子をパターン透明導電層と接触するように固定して膜垂直方向への異方性導電性を発現させると同時に透明異方性導電オーバーコート層自体の強度を高める働きや、透明異方性導電オーバーコート層とパターン透明導電層の密着力を高める働きを有している。
このようなバインダーとしては、有機バインダーあるいは無機バインダーを用いることが可能であり、上記役割を満たすように、基材の種類、パターン透明導電層や透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液の膜形成条件等を考慮して、適宜選定することができる。
また、上記バインダー成分で透明異方性導電オーバーコート層の強度や硬度、耐溶剤擦過性等の特性が決まるため、バインダーは架橋性で耐溶剤性を有し、かつハードコート機能を有する硬度のものが好ましい。
本発明で用いる有機バインダーとしては、アクリル樹脂やポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂も適用できなくはないが、一般的には耐溶剤性を有することが好ましく、そのために架橋可能な樹脂であることが必要で、熱硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等から選定することができる。例えば、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、フッ素樹脂など、常温硬化性樹脂としては2液性のエポキシ樹脂やウレタン樹脂など、紫外線硬化性樹脂としては各種オリゴマー、モノマー、光開始剤を含有する樹脂など、電子線硬化性樹脂としては各種オリゴマー、モノマーを含有する樹脂などが挙げられるが、これら樹脂に限定されるものではない。
また、本発明で用いる無機バインダーとしては、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、チタニアゾル等を主成分とするバインダーを挙げることができる。例えば、上記シリカゾルとしては、テトラアルキルシリケートに水や酸触媒を加えて加水分解し、脱水縮重合を進ませた重合物、あるいは既に4〜5量体まで重合を進ませた市販のアルキルシリケート溶液を、更に加水分解と脱水縮重合を進行させた重合物等を利用することができる。
尚、脱水縮重合が進行し過ぎると、溶液粘度が上昇して最終的に固化してしまうので、脱水縮重合の度合いについては、透明基板上に塗布可能な上限粘度以下に調整する。ただし、脱水縮重合の度合いは上記上限粘度以下のレベルであれば特に限定されないが、膜強度、耐候性等を考慮すると、重量平均分子量で500〜50000程度が好ましい。そして、このアルキルシリケート加水分解重合物(シリカゾル)は、透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液の塗布、乾燥後の加熱時において脱水縮重合反応(架橋反応)がほぼ完結し、硬いシリケートバインダーマトリックス(酸化ケイ素を主成分とするバインダーマトリックス)となる。
また、上記シリカゾルに、弗化マグネシウム微粒子、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル等を加え、透明異方性導電オーバーコート層の屈折率を調節して外光反射率を微調整することも可能である。
本発明で用いるバインダーには、有機バインダーと無機バインダーとからなるハイブリッドバインダーを用いることもできる。例えば、前述のシリカゾルを一部有機官能基で修飾したバインダーや、シリコンカップリング剤等の各種カップリング剤を主成分とするバインダーが挙げられる。
本発明で用いる無機バインダーや上記ハイブリッドバインダーを用いる透明異方性導電オーバーコート層は、必然的に優れた耐溶剤性を有しているが、基材やパターン透明導電層との密着力等を考慮して、適宜選定する必要がある。
(c)溶剤
透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液に用いる溶媒としては、特に制限はなく、塗布方法、成膜条件、基材の材質により適宜に選定することができる。
例えば、水、メタノール(MA)、エタノール(EA)、1−プロパノール(NPA)、イソプロパノール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール(DAA)等のアルコール系溶剤、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル(MCS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(ECS)、エチレングリコールイソプロピルエーテル(IPC)、エチレングリコールモノブチルエーテル(BCS)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGM−AC)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート(PE−AC)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール誘導体、トルエン、キシレン、メシチレン、ドデシルベンゼン等のベンゼン誘導体、ホルムアミド(FA)、N−メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1、3−オクチレングリコール、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ミネラルスピリッツ、ターピネオール等の中から適宜選択できるが、これらに限定されるものではない。
[透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液の製造方法]
本発明で用いる透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液の製造方法を説明するが、以下の方法に限定される訳ではない。
まず、導電性酸化物微粒子を溶剤、及び必要に応じて分散剤、と混合した後、分散処理を行い導電性酸化物微粒子分散液を得る。
分散剤としては、シリコンカップリング剤等の各種カップリング剤、各種高分子分散剤、アニオン系・ノニオン系・カチオン系等の各種界面活性剤が挙げられる。これら分散剤は、用いる導電性酸化物微粒子の種類や分散処理方法に応じて適宜選定することができる。また、分散剤を全く用いなくても、適用する導電性酸化物微粒子と溶剤の組合せ、及び分散方法の如何によっては、良好な分散状態を得ることができる場合がある。分散処理としては、超音波処理、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等の汎用の方法を適用することができる。
得られた導電性酸化物微粒子分散液に、バインダー成分を添加し、更に導電性酸化物微粒子濃度、バインダー成分濃度、溶剤組成等の成分調整を行うことにより、透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液を作製する。そのバインダー成分は、導電性酸化物微粒子の分散液に加えても良いし、前述の導電性酸化物微粒子の分散工程前に予め加えてもよく、特に制約はない。導電性酸化物微粒子濃度は、用いる塗布方法や塗布条件に応じて、適宜設定すればよい。
[透明異方性導電オーバーコート層、透明異方性導電オーバーコート層の形成方法]
本発明では、パターン透明導電層上に、上記透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液を塗布し、それを硬化させることにより透明異方性導電オーバーコート層を形成する。
形成された透明異方性導電オーバーコート層の厚みは、導電性酸化物微粒子の平均粒径の1〜3倍の範囲が好ましい。1倍未満での膜厚制御は困難であると同時に膜が薄すぎて膜強度が低下すると共に導電性酸化物微粒子による凹凸が生じやすくなり、膜強度や膜光学特性(ヘイズ値)が悪化する可能性がある。一方、3倍を越えると透明異方性導電オーバーコート層自体の抵抗値が大きくなって、ひどい場合には透明導電層からのオーミック接続が取れなくなるため好ましくない。
そして、パターン透明導電層上に透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液を塗布する方法としては、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、スプレーコート、スピンコート、ワイヤーバーコート、ドクターブレードコート等の汎用の方法が適用できる。
形成された塗布膜は、乾燥された後、透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液に用いたバインダーの種類によって適宜選択される加熱硬化、紫外線硬化等の硬化処理を行えば良い。
例えば、シリカゾルバインダー(シリケートバインダー)を用いた場合には、例えば100〜250℃程度の温度で加熱処理することで硬化させることができる。
本発明による透明導電性基材は、透明性と導電性を兼ね備え、かつ膜強度と膜抵抗安定性に優れ、透明導電層のパターンが目立たず、即ち視認しにくいパターン透明導電層を有しているため、LED、エレクトロルミネッセンスランプ、フィールドエミッションランプ等の発光デバイス、太陽電池等の発電デバイス、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子ペーパー等の表示デバイス、及びタッチパネル等の入力デバイス等の透明電極等へ適用できる。
(実施例)
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、本文中の「%」は、可視光線透過率、ヘイズ値の値を除いて「重量%」を示すものである。
[透明導電層形成用塗布液の作製]
アセチルアセトンインジウム[In(C)](分子量=412.15)9.10g、アセチルアセトン錫(正式名称:ジ−n−ブトキシド ビス(2,4−ペンタンジオナト)錫、[Sn(C(C])(分子量=431.14)0.90g、p−tert−ブチルフェノール34.96g、二塩基酸エステル(デュポンジャパン製)52.44g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)2.60gを混合し、130℃に加温して90分間攪拌して溶解させて、褐色透明で均一なペースト状溶液の透明導電層形成用塗布液(アセチルアセトンインジウム:9.10%[酸化インジウム換算で3.07%]、アセチルアセトン錫:0.90%[酸化錫換算で0.31%]、HPC:2.60%、溶剤:残部)を作製した。この透明導電層形成用塗布液の粘度(25℃)は、約20Pa・sであった。
[透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液Aの作製]
平均粒径30nmの粒状のITO微粒子(住友金属鉱山(株)製、SUFP−HX、還元処理された青色系のITO微粒子)0.6gを、シリカゾル液17.4g、エタノール(EA)44.4g、イソプロピルアルコール(IPA)7.2g、ジアセトンアルコール(DAA)10.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)20.0g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)0.4gと混合した後、ペイントシェーカーを用いて分散処理を行い、透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液A(ITO:0.6%、シリカ(酸化ケイ素):1.74%、水:3.3%、EA:54.5%、IPA:7.2%、DAA:10.0%、PGM:20.0%、NMP:0.4%、その他:2.26%)を作製した。
この透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液Aにおける、ITO微粒子とシリカ(バインダー成分)の体積含有割合は、ITO微粒子とシリカ(バインダー成分)の比重をそれぞれ7.2と2.2と仮定して、ITO微粒子:シリカ(バインダー成分)=9.5:90.5であった。レーザー散乱法で測定した透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液A中のITO微粒子の分散粒径は約140nmであった。
尚、使用したシリカゾル液は、メチルシリケート51(コルコート社製商品名)を19.6g、エタノール57.8g、純水14.7g、1重量%硝酸水溶液7.9gと混合し、SiO(酸化ケイ素)固形分濃度が10%で、重量平均分子量が2500のものを調製して得ている。
[パターン透明導電層の作製]
次に、作製した透明導電層形成用塗布液を、ソーダライムガラス基板(10cm×10cm×2mm厚さ、可視光線透過率:91.1%、ヘイズ値:0.26%、屈折率:1.53)上にスクリーン印刷(東京プロセスサービス(株)製、200メッシュ版T200S)により、図3(30mm×60mmサイズの塗布膜を0.15mmの間隔で配置)の様にパターン印刷した後、180℃で10分間乾燥し、更に大気中450℃で30分間焼成し、そのまま雰囲気を1%水素−99%窒素に切替えて400℃で30分間の還元処理を施してパターン透明導電層を形成した。
このパターン透明導電層の可視光線透過率は91.1%、ヘイズ値は0.21%、表面抵抗値は140Ω/□(オーム・パー・スクエアと読む)で、膜厚は約0.14μmであった。尚、パターン透明導電層の透過率(可視光)及びヘイズ値は、パターン透明導電層だけの値であり、それぞれ下記数1、数2の計算式により求められる。
[透明異方性導電オーバーコート層の作製]
上記ガラス基板、およびその上に形成されたパターン透明導電層の全面に透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液Aをスピンコート(1000prm×60秒)し、150℃で10分間乾燥、硬化させて、バインダーマトリックス中にITO微粒子が点在した構造を有する透明異方性導電オーバーコート層(膜厚:0.07μm)を形成し、基材/パターン透明導電層/透明異方性導電オーバーコート層からなる実施例1に係る透明導電性基材を作製した。
尚、図3に示される2つのパターン透明導電層(30mm×60mm)間の抵抗をテスターで測定したところ、パターン透明導電層間には導電性が無く、即ち絶縁性を示し、上記透明異方性導電オーバーコート層が導電異方性を有することを確認した。
得られた透明導電性基材の表面抵抗、可視光線透過率及びヘイズ値の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
更に、実施例1の透明導電性基材の断面を観察した透過電子顕微鏡写真(TEM像)を図4に示し、透明導電性基材の表面を観察した走査電子顕微鏡写真(SEM像)を図5に示す。
尚、透明導電性基材の(可視光)透過率及びヘイズ値は、透明異方性導電オーバーコートされたパターン透明導電層だけの値であり、それぞれ下記数3、数4の計算式により求められる。
透明導電膜の表面抵抗は、三菱化学(株)製の表面抵抗計ロレスタAP(MCP−T400)を用い測定した。
可視光線透過率とヘイズ値は、日本電色(株)社製のヘイズメーター(NDH5000)を用いJIS K7136(ヘイズ値)、JISK7361−1(透過率)に基づいて測定した。
[透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液Bの作製]
平均粒径30nmの粒状のITO微粒子(住友金属鉱山(株)製、SUFP−HX、還元処理された青色系のITO微粒子)0.4gを、シリカゾル液8.25g、エタノール(EA)52.5g、イソプロピルアルコール(IPA)8.6g、ジアセトンアルコール(DAA)10.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)20.0g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)0.25gと混合した後、ペイントシェーカーを用いて分散処理を行い、透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液B(ITO:0.4%、シリカ(酸化ケイ素):0.825%、水:1.6%、EA:57.3%、IPA:8.6%、DAA:10.0%、PGM:20.0%、NMP:0.25%、その他:1.025%)を作製した。
この透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液Bにおける、ITO微粒子とシリカ(バインダー成分)の体積含有割合は、ITO微粒子とシリカ(バインダー成分)の比重をそれぞれ7.2と2.2と仮定して、ITO微粒子:シリカ(バインダー成分)=12.9:87.1であった。レーザー散乱法で測定した透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液B中のITO微粒子の分散粒径は約140nmであった。
尚、使用した上記シリカゾル液は、メチルシリケート51(コルコート社製商品名)を19.6g、エタノール57.8g、純水14.7g、1重量%硝酸水溶液7.9gと混合し、SiO(酸化ケイ素)固形分濃度が10%で、重量平均分子量が2500のものを調製して得ている。
実施例2では、この作製した透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液Bを用いて透明異方性導電オーバーコート層を形成した以外は、実施例1と同様にして、バインダーマトリックス中にITO微粒子が点在した構造を有する透明異方性導電オーバーコート層(膜厚:0.01〜0.04μm[ITO微粒子が点在している部分及びその近傍の膜厚が厚い])を形成し、基材/パターン透明導電層/透明異方性導電オーバーコート層からなる実施例2に係る透明導電性基材を作製した。
尚、図3に示される2つのパターン透明導電層(30mm×60mm)間の抵抗をテスターで測定したところ、実施例1と同様にパターン透明導電層間には導電性が無く、即ち絶縁性を示し、上記透明異方性導電オーバーコート層が導電異方性を有することを確認した。
この透明導電性基材の表面抵抗、可視光線透過率及びヘイズ値の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
更に、実施例2の透明導電性基材の断面を観察した透過電子顕微鏡写真(TEM像)を図6に示し、透明導電性基材の表面を観察した走査電子顕微鏡写真(SEM像)を図7に示す。
(比較例1)
実施例1と同じ基材、パターン透明導電層を用い、透明異方性導電オーバーコート層を形成せずに、基材/パターン透明導電層からなる比較例1に係る透明導電性基材を作製した。
比較例1で得られた透明導電性基材の表面抵抗、可視光線透過率及びヘイズ値の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。尚、比較例1では、透明異方性導電オーバーコート層を形成していないため、透明導電性基材の可視光線透過率及びヘイズ値は、パターン透明導電層だけの値であり、それぞれ実施例1の数1、数2の計算式により求められる。
(比較例2)
[透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液Cの作製]
平均粒径30nmの粒状のITO微粒子(住友金属鉱山(株)製、SUFP−HX、還元処理された青色系のITO微粒子)0.2gを、シリカゾル液19.1g、エタノール(EA)43.4g、イソプロピルアルコール(IPA)7.1g、ジアセトンアルコール(DAA)10.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)20.0g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)0.2gと混合した後、ペイントシェーカーを用いて分散処理を行い、透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液C(ITO:0.2%、シリカ(酸化ケイ素):1.91%、水:3.6%、EA:54.4%、IPA:7.1%、DAA:10.0%、PGM:20.0%、NMP:0.2%、その他:2.59%)を作製した。
この透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液Cにおける、ITO微粒子とシリカ(バインダー成分)の体積含有割合は、ITO微粒子とシリカ(バインダー成分)の比重をそれぞれ7.2と2.2と仮定して、ITO微粒子:シリカ(バインダー成分)=3.1:96.9であった。レーザー散乱法で測定した透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液C中のITO微粒子の分散粒径は約140nmであった。
尚、使用したシリカゾル液は、メチルシリケート51(コルコート社製商品名)を19.6g、エタノール57.8g、純水14.7g、1重量%硝酸水溶液7.9gと混合し、SiO(酸化ケイ素)固形分濃度が10%で、重量平均分子量が2500のものを調製して用いている。
比較例2では、この透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液Cを用いて透明異方性導電オーバーコート層を形成した以外は、実施例1と同様にして、バインダーマトリックス中にITO微粒子が点在した構造を有する透明異方性導電オーバーコート層(膜厚:0.07μm)を形成し、基材/パターン透明導電層/透明異方性導電オーバーコート層からなる比較例2に係る透明導電性基材を作製した。
尚、図3に示される2つのパターン透明導電層(30mm×60mm)間の抵抗をテスターで測定したところ、パターン透明導電層間には導電性がなく(絶縁性で)、上記透明異方性導電オーバーコート層が導電異方性を有することが確認された。
この透明導電性基材の表面抵抗、可視光線透過率及びヘイズ値の諸特性を測定し、その結果を表1に示す。
更に、比較例2の透明導電性基材の断面を透過電子顕微鏡で観察した透過電子顕微鏡写真(TEM像)を図8に示し、走査電子顕微鏡写真(SEM像)を図9に示す。
表1から明らかなように、表面抵抗に関しては実施例1、2、および比較例1、2では、ほぼ同程度であるが、透明異方性導電オーバーコート層を有しない比較例1では、可視光線の透過率が著しく低くなっている。
ところで、表1に示した三菱化学(株)製の表面抵抗計ロレスタAP(MCP−T400)を用いた表面抵抗値の測定では、プローブへの印加電圧が高いこと、4探針プローブのため接触抵抗は抵抗測定値に含まれないこと、により、例えば透明導電層上に形成されたオーバーコート層が僅かでも導電性を有する場合には、オーバーコート層を介したオーミック接続が取れていない場合や透明導電層に垂直方向のオーバーコート層の抵抗値が著しく高い場合でも、透明導電層の測定値が測定できている可能性があり、そのような透明導電性基材を用いる場合、オーミック接続が不十分だったり、透明導電層に垂直方向のオーバーコート層の抵抗値が著しく高くなって、適用するデバイスによっては透明導電層から電流が流れなかったり、電圧印加が十分に行えなくなって、デバイスの動作に支障をきたす恐れがあり好ましくない。
そこで、実施例1、2および比較例1、2に係る透明導電性基材のパターン透明導電層内の2点間抵抗値(間隔1cm)を、テスタープローブ(直径:2mm、先端部曲率半径:約0.3mm)を用いたテスター(カスタム製、CDM−03D)で測定した。このテスターによる透明導電層の2点間の抵抗測定では、上記4探針プローブによる抵抗測定と異なり、透明導電層と垂直方向のオーバーコート層の抵抗値も測定値に含まれるため、オーバーコート層を介したオーミック接続やオーバーコート層の抵抗値を正しく評価できる。
透明異方性導電オーバーコート層を有する実施例1、2、及び比較例1の透明導電性基材では約300Ω程度の安定した抵抗値が得られ、パターン透明導電層は透明異方性導電オーバーコート層を介して容易にオーミック接続が可能で、透明導電層に垂直方向のオーバーコート層の抵抗値も極めて小さいことが判る。一方、透明異方性導電オーバーコート層においてITO微粒子の配合割合が少ない比較例2の透明導電性基材では測定箇所によって500〜600Ω程度とバラツキが大きく、また測定値が安定しなかったため、完全なオーミック接続が取れにくく、かつ透明導電層に垂直方向のオーバーコート層の抵抗値が高いことが判る。
次に、透明導電性基材のパターン透明導電層の抵抗値安定性を評価するために、実施例1、2に係る透明導電性基材と比較例1に係る透明導電性基材を、大気中[温度:23〜25℃、相対湿度:50〜70%]に2ヶ月間に放置して表面抵抗値の経時変化を調査した。
透明異方性導電オーバーコート層を有する実施例1、2の透明導電性基材では、ほぼ初期値抵抗値が維持されたが、透明異方性導電オーバーコート層を有しない比較例1の透明導電性基材では、初期値抵抗値の約2倍までの抵抗値の増加が観測された。
透明導電性基材のパターン透明導電層の視認性評価として、実施例1、2に係る透明導電性基材と比較例1に係る透明導電性基材のパターン透明導電層のパターンの見え易さを目視で確認した。
透明異方性導電オーバーコート層を有する実施例1、2の透明導電性基材では、透明導電層のパターンが見えにくかったのに対し、透明異方性導電オーバーコート層を有しない比較例1の透明導電性基材では、透明導電層のパターンが容易に視認された。この相違は、実施例1、2の透明導電性基材のパターン透明導電層の可視光線透過率が97.8〜99.2%と非常に高いのに対し、比較例1の透明導電性基材のパターン透明導電層の可視光線透過率が91.1%と低いことからも明白である。
本発明による透明導電性基材の製造方法では、パターン透明導電層を安価な各種塗布方法を用いて基材上へ形成することが可能であり、得られるパターン透明導電層は、透明性と導電性を兼ね備え、かつ膜強度と膜抵抗安定性に優れ、透明導電層のパターンを目立たなく(視認しにくく)できる。そして、この透明導電性基材は、LED、エレクトロルミネッセンスランプ、フィールドエミッションランプ等の発光デバイス、太陽電池等の発電デバイス、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、電子ペーパー等の表示デバイス、及びタッチパネル等の入力デバイス等の透明電極等への利用が期待できるものである。
1 基材
2 パターン透明導電層
3 透明異方性導電オーバーコート層
4 導電性酸化物微粒子

Claims (14)

  1. 基材上に塗布法によりパターン透明導電層を形成した後、前記パターン透明導電層上に同じく塗布法により透明異方性導電オーバーコート層を形成して得られるパターン透明導電層と透明異方性導電オーバーコート層を有する透明導電性基材であって、
    ・前記パターン透明導電層は、少なくとも透明導電成分と溶剤を主成分として含有する透明導電層形成用塗布液をパターン塗布、乾燥、焼成して形成された導電性酸化物を主成分とし、
    ・前記透明異方性導電オーバーコート層は、平均粒径0.01〜0.05μmの導電性酸化物微粒子とバインダー成分を少なくとも含有する透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液を塗布して形成された導電性酸化物微粒子を含有するバインダーマトリックスを主成分とし、導電性酸化物微粒子の平均粒径の1〜3倍の範囲の厚みを有し、前記導電性酸化物微粒子と前記バインダーマトリックスの体積含有割合が導電性酸化物微粒子:バインダーマトリックス=5:95〜25:75、かつ透明導電層と垂直方向には導電性を有するが、水平方向では導電性を示さない導電性の異方性を示すこと、
    を特徴とする透明導電性基材。
  2. 前記透明導電成分が、有機インジウム化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物のいずれか一つ以上を主成分とすることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性基材。
  3. 前記導電性酸化物、及び前記導電性酸化物微粒子が、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛のいずれか一つ以上を主成分としていることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性基材。
  4. 酸化インジウムを主成分とする前記導電性酸化物微粒子が、インジウム錫酸化物微粒子であることを特徴とする請求項3に記載の透明導電性基材。
  5. 前記バインダー成分が、無機バインダー成分からなり、かつ前記バインダーマトリックスが、無機バインダーマトリックスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性基材。
  6. 前記無機バインダーが、シリカゾルを主成分とし、
    前記無機バインダーマトリックスがシリカゾルを架橋して形成した酸化ケイ素(シリカ)マトリックスを主成分とすることを特徴とする請求項5に記載の透明導電性基材。
  7. 前記基材が、セラミック基材、ガラス基材のいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電性基材。
  8. 基材上に塗布法によりパターン透明導電層を形成した後、前記パターン透明導電層上に同じく塗布法により透明異方性導電オーバーコート層を形成して得られるパターン透明導電層と透明異方性導電オーバーコート層を有する透明導電性基材の製造方法であって、
    ・前記パターン透明導電層は、前記基材表面に、少なくとも透明導電成分と溶剤を主成分として含有する透明導電層形成用塗布液をパターン塗布、乾燥、焼成して形成され、
    ・前記透明異方性導電オーバーコート層は、前記パターン透明導電層上に、平均粒径0.01〜0.05μmの導電性酸化物微粒子とバインダー成分(最終的にバインダーマトリックスとなる。)を少なくとも含有し、前記導電性酸化物微粒子およびバインダーマトリックス換算された値としてのバインダー成分の体積含有割合が、導電性酸化物微粒子:バインダーマトリックス換算されたバインダー成分=5:95〜25:75となる透明異方性導電オーバーコート層形成用塗布液を塗布して、導電性酸化物微粒子の平均粒径の1〜3倍の範囲の厚みを有し、かつ透明導電層と垂直方向には導電性を有するが水平方向では導電性を示さない導電性の異方性を示すように形成すること、
    を特徴とする透明導電性基材の製造方法。
  9. 前記透明導電成分が、有機インジウム化合物、有機錫化合物、有機亜鉛化合物のいずれか一つ以上を主成分とすることを特徴とする請求項8に記載の透明導電性基材の製造方法。
  10. 前記導電性酸化物微粒子が、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛のいずれか一つ以上を主成分としていることを特徴とする請求項8または9に記載の透明導電性基材の製造方法。
  11. 酸化インジウムを主成分とする前記導電性酸化物微粒子が、インジウム錫酸化物微粒子であることを特徴とする請求項10に記載の透明導電性基材の製造方法。
  12. 前記バインダー成分が、無機バインダー成分であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の透明導電性基材の製造方法。
  13. 前記無機バインダーが、シリカゾルを主成分とすることを特徴とする請求項12に記載の透明導電性基材の製造方法。
  14. 前記基材が、セラミック基材、ガラス基材のいずれかであることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の透明導電性基材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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