JP2005190963A - 透明導電性被膜付基材、該基材用透明導電性被膜形成用塗布液および該基材の製造方法、表示装置 - Google Patents

透明導電性被膜付基材、該基材用透明導電性被膜形成用塗布液および該基材の製造方法、表示装置 Download PDF

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Yuji Hiyouhaku
祐二 俵迫
Toshiharu Hirai
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Abstract

【課題】帯電防止性、電磁遮蔽性等に優れた透明導電性被膜付基材を提供する。
【解決手段】基材と、基材上の前記インジウム系酸化物微粒子を含む透明導電性微粒子層と、透明導電性微粒子層上に設けられ該透明導電性微粒子層よりも屈折率が低い透明被膜とからなり、
(i)透明導電性微粒子層および/または透明被膜中に(微粒子層および透明被膜双方の含
まれる場合は合計量に対して)、硝酸根を0.1〜2重量%の範囲で含み、
(ii)前記インジウム系酸化物微粒子の粉体抵抗値が0.5〜20Ω・cmの範囲にあり、
平均粒子径が10〜100nmの範囲にあることを特徴とする透明導電性被膜付基材;
【選択図】 なし

Description

本発明は、透明導電性被膜付基材の表面抵抗値が経時的に変化することがなく、初期の帯電防止性能、電磁波遮蔽能等を長期にわたって維持することのできる透明導電性被膜付基材および該透明導電性被膜形成用塗布液、透明被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材で構成された前面板を備えた表示装置に関する。
従来より、陰極線管、蛍光表示管、液晶表示板などの表示パネルのような透明基材の表面の帯電防止および反射防止を目的として、これらの表面に帯電防止機能および反射防止機能を有する透明被膜を形成することが行われていた。
また、陰極線管などから電磁波が放出されること知られており、従来の帯電防止、反射防止に加えてこれらの電磁波および電磁波の放出に伴って形成される電磁場を遮蔽することが望まれている。
これらの電磁波などを遮蔽する方法の一つとして、陰極線管などの表示パネルの表面に電磁波遮断用の導電性被膜を形成する方法がある。帯電防止用導電性被膜であれば表面抵抗が少なくとも108Ω/□程度の表面抵抗を有していれば十分であるのに対し、電磁遮
蔽用の導電性被膜では102〜104Ω/□のような低い表面抵抗を有することが必要であった。
このように、所定の表面抵抗値を有する導電性被膜を形成しても、長期にわたって使用した場合、経時的に変化し、通常、抵抗値が上昇して、初期の帯電防止性能、電磁波遮蔽性能が得られなくなることがあった。また、場合によっては、抵抗値が減少して問題となることもあった。
このため、帯電防止性、電磁遮蔽性等に優れた透明導電性被膜付基材、該基材用透明導電性被膜形成用塗布液および透明被膜形成用塗布液、表示装置を提供することが望まれていた。
本発明者らは鋭意検討した結果、導電性微粒子として、粉体抵抗が大きく、特定の抵抗値を有するインジウム系酸化物微粒子を使用し、透明導電性微粒子層および/または透明被膜に所定量の硝酸根を含ませることによって表面抵抗値の経時変化を抑制できることを見出して本発明を完成するに至った。
(1)すなわち本発明に係る透明導電性被膜付基材は、
基材と、
基材上の前記インジウム系酸化物微粒子を含む透明導電性微粒子層と、
透明導電性微粒子層上に設けられ該透明導電性微粒子層よりも屈折率が低い透明被膜とからなり、
(i)透明導電性微粒子層および/または透明被膜中に(微粒子層および透明被膜双方の含
まれる場合は合計量に対して)、硝酸根を0.1〜2重量%の範囲で含み、
(ii)前記インジウム系酸化物微粒子の粉体抵抗値が0.5〜20Ω・cmの範囲にあり、
平均粒子径が10〜100nmの範囲にあることを特徴としている。
(2)前記インジウム系酸化物微粒子が、インジウム系水酸化物を酸化雰囲気下、350〜700℃の温度範囲で加熱処理し、硝酸存在下で粉砕処理したインジウム系酸化物微粒子である。
(3)前記インジウム系酸化物微粒子の粉体抵抗値(RO)と、同じインジウム系酸化物微粒子(またはインジウム系水酸化物)を不活性雰囲気または還元雰囲気で加熱処理したときの粉体抵抗値(RR)との比(RO/RR)が1.2〜100の範囲にある。
(4)粉体抵抗値が0.5〜20Ω・cmの範囲にあり、平均粒子径が10〜100nm
の範囲にあるインジウム系酸化物微粒子と、極性溶媒とからなり、さらに硝酸根を10〜200ppmの範囲で含有することを特徴とする透明導電性被膜形成用塗布液。
(5)前記記載の透明導電性被膜形成用塗布液を塗布・乾燥して、透明導電性微粒子層を形成したのち、
該微粒子層上に加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸液と極性溶媒とからなり透明被膜形成用塗布液を塗布・乾燥して透明被膜を形成することを特徴とする透明導電性被膜付基材の製造方法。
(6)粉体抵抗値が0.5〜20Ω・cmの範囲にあり、平均粒子径が10〜100nm
の範囲にあるインジウム系酸化物微粒子と、極性溶媒とからなる透明導電性被膜形成用塗布液を塗布・乾燥して、導電性微粒子層を形成したのち、
該微粒子層上に、加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸液と極性溶媒とからなり、硝酸根を50〜1000ppmの範囲で含有する透明被膜形成用塗布液を塗布・乾燥する透明導電性被膜付基材の製造方法。
(7)前記記載の透明導電性被膜付基材で構成された前面板を備え、透明導電性被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴とする表示装置。
本発明によれば、透明導電性被膜が、特定の粉体抵抗を有するインジウム系酸化物微粒子を含むとともに、所定量の硝酸根を含んでいるので、透明導電性被膜付基材の表面抵抗値の経時変化が小さく、このため初期の帯電防止性能、電磁遮蔽性能を長期にわたって維持することが可能となる。そして、このような基材を前面板に用いると、帯電防止性能、電磁遮蔽性能に優れるとともにコントラスト、反射防止性能等に優れ、さらに耐塩水性や耐酸化性にも優れることから耐久性に優れた表示装置を提供することができる。
透明導電性被膜付基材
本発明に係る透明導電性被膜付基材は、
基材と、
基材上の前記インジウム系酸化物微粒子を含む透明導電性微粒子層と、
透明導電性微粒子層上に設けられ該透明導電性微粒子層よりも屈折率が低い透明被膜とからなる。
基材
本発明に用いる基材としては、ガラス、プラスチック、セラミックなどからなるフィルム、シートあるいはその他の成形体などが挙げられる。
インジウム系酸化物微粒子
また、インジウム系酸化物微粒子としては従来公知の酸化インジウム微粒子、錫またはフッ素等の異種元素を含む酸化インジウム微粒子等が挙げられる。
本発明に用いる前記インジウム系酸化物微粒子は、該微粒子の粉体抵抗値が0.5〜2
0Ω・cm、さらには0.5〜10Ω・cmの範囲にあるものが好ましい。このような範
囲にあると、表面抵抗値の経時変化を小さいとともの、硝酸根を併用する効果がより顕現される。
なお粉体抵抗値は、セラミック製セル(内部に円柱状のくりぬき(断面積:0.5cm2)を有する)を用い、まず、架台電極上にセルを置き、内部に試料粉体0.6gを充填し
、円柱状突起を有する上部電極の突起を挿入し、油圧機にて上下電極を加圧し、100kg/cm2加圧時の抵抗値(Ω)と試料の高さ(cm)を測定し、抵抗値を高さで乗する
ことによって求めた。
インジウム系酸化物微粒子の粉体抵抗値が0.5Ω・cm未満の場合は、これを用いて
得られる透明導電膜の表面抵抗値が経時変化により、通常大きく上昇することがある。
インジウム系酸化物微粒子の粉体抵抗値が20Ω・cmを越えると、これを用いて得られる透明導電膜の表面抵抗値の経時変化は抑制できるものの、表面抵抗値が高いために帯電防止性能、電磁波遮蔽能が不充分となる。
インジウム系酸化物微粒子の平均粒子径が10〜100nm、さらには15〜50の範囲にあることが好ましい。平均粒子径が10nm未満の場合は、粒界抵抗が大きくなり、得られる透明導電膜の表面抵抗値が高くなり帯電防止性能、電磁波遮蔽能が不充分となることがある。平均粒子径が100nmを越えると、緻密な透明導電膜が得られないことがあり、長期使用に際して経時変化により表面抵抗値が上昇する傾向にある。
このようなインジウム系酸化物微粒子の平均粒子径はTEM写真を撮影し、20個の粒子について粒子径を測定しこの平均値を平均粒子径とした。
本発明では、上記したような粉体抵抗の高いインジウム系酸化物微粒子が使用される。なお、通常、インジウム系酸化物微粒子の粉体抵抗は0.01〜0.5Ω・cmの範囲にある。
このような特定の粉体抵抗を有するインジウム系酸化物微粒子は、インジウム系水酸化物を酸化雰囲気下で加熱処理して酸化物としたものが好ましい。好適にはインジウム系水酸化物を350〜700℃の温度範囲で加熱処理したものが好ましい。
酸化雰囲気下とは、酸素、空気、オゾン、NOx等の存在下を意味する。
加熱処理温度が350℃未満の場合は、インジウム系水酸化物の結晶化が不充分となり充分な導電性が得られないことがあり、またSn、F等のドープ材を含む場合は、充分な
ドーピング効果が得られず、このため充分な導電性が得られないことがある。
加熱処理温度が700℃を越えると粒子の焼結や粒子成長を伴うことがあり、緻密な透明導電膜が得られないことがあり、長期使用に際して経時変化により表面抵抗値が上昇する傾向にある。
なお、加熱処理を還元雰囲気下あるいは不活性雰囲気下で行うと、格子欠陥、ホール等が生成し、導電性は高くなるものの、このようなインジウム系酸化物微粒子を用いた透明導電性被膜は経時的に抵抗が大きく変化し、通常抵抗値が上昇し、初期の帯電防止性能、電磁波遮蔽性能が得られないことがある。
加熱処理して得られたインジウム系酸化物微粒子を分散媒に分散させ、硝酸存在下に粉砕したものが、本発明では好適である。
分散媒としては水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール等が好ましく用いられる。
このとき、硝酸の使用量は、インジウム系酸化物微粒子をIn23に換算した場合のモ
ル数(MIn)とHNO3のモル数(MHN)との比(MHN)/(MIn)が0.001〜0.01、さらには0.001〜0.005の範囲にあることが好ましい。
前記モル比(MHN)/(MIn)が0.001未満の場合は、後述する粉砕処理にお
いて、加熱処理した凝集粒子あるいは粒子径の大きな粒子を分散させたり粒子径を小さくする効果が不充分となることがある。
前記モル比(MHN)/(MIn)が0.01を越えると、インジウム系酸化物の一部
が溶解したり、結晶性が低下することがあり、また分散性が低下して凝集粒子となることがあり、得られる透明導電膜の導電性が低下したり、緻密性が低下することがある。
インジウム系酸化物微粒子分散液の濃度は特に制限はないが、インジウム系酸化物微粒子をIn23に換算した濃度が10〜45重量%、さらには20〜40重量%の範囲にあ
ることが好ましい。
インジウム系酸化物微粒子分散液の濃度がIn23に換算して10重量%未満の場合は
、濃度が低く、分散効果、粉砕効果が充分得られないことがある。
インジウム系酸化物微粒子分散液の濃度がIn23に換算して45重量%を越えると、
粉砕時に分散液の粘度が上昇し、同様に充分な分散効果、粉砕効果が充分得られないことがある。
粉砕処理装置としては、加熱処理後のインジウム系酸化物微粒子を微粒子化できるとともに高分散することができれば特に制限はなく、従来公知の粉砕処理装置を使用することができる。例えば、ボールミル、サンドミル、ジェットミル、ペイントシェーカー等は好適に用いることができる。
このようにして得られたインジウム系酸化物微粒子は上記したような粉体抵抗値(Ro)を有している。
また、このRoと、同じ温度加熱処理を不活性雰囲気または還元ガス雰囲気で行ったときに得られるインジウム系酸化物微粒子の粉体抵抗値(Rr)との抵抗比(Ro/Rr)が1.2〜500、さらには1.2〜100の範囲にある。前記粉体抵抗比が1.2未満の場合は、これを用いて得られる透明導電膜の表面抵抗値が経時変化により、通常大きく上昇することがある。前記粉体抵抗比が100を越えると、これを用いて得られる透明導電膜の表面抵抗値の経時変化は抑制できるものの、帯電防止性能、電磁波遮蔽能が不充分となることがある。
本発明の透明導電性被膜付基材は、前記した基材上に、前記した導電性微粒子としてのインジウム系酸化物微粒子からなる透明導電性微粒子層と、該透明導電性微粒子層上に透明被膜が形成されている。
透明導電性微粒子層
透明導電性微粒子層の膜厚は、5〜200nm、好ましくは10〜150nmの範囲にあることが好ましく、この範囲の膜厚であれば帯電防止性、電磁遮蔽性に優れた透明導電
性被膜付基材を得ることができる。
このような透明導電性微粒子層には、必要に応じて、金属微粒子、着色剤、マトリックス成分、有機系安定剤等を含んでいてもよく、具体的には、後述するものと同様のものが挙げられる。
透明被膜
本発明に係る透明導電性被膜付基材では、前記透明導電性微粒子層の上に、前記透明導電性微粒子層よりも屈折率の低い透明被膜が形成されている。
このときの透明被膜の膜厚は、50〜300nm、好ましくは80〜200nmの範囲にあることが好ましい。
透明被膜の膜厚が50nm未満の場合は、膜の強度や反射防止性能が劣ることがある。
透明被膜の膜厚が300nmを越えると、膜にクラックが発生したり膜の強度が低下することがあり、また膜が厚すぎて反射防止性能が不充分となることがある。
このような透明被膜は、たとえば、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物、およびこれらの複合酸化物などから形成される。本発明では、透明被膜として、特に加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸重縮合物からなるシリカ系被膜が好ましい。このような透明被膜が形成された透明導電性被膜付基材は、反射防止性能に優れている。
前記透明被膜には、さらに平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあり屈折率が1.28〜1.42の範囲、好ましくは1.28〜1.40の範囲にある低屈折率粒子を含むことが望ましい。
使用される低屈折率粒子の平均粒子径は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択される。
低屈折率粒子の屈折率が1.42以下であれば、得られる透明導電性被膜付基材は、ボ
トム反射率および視感反射率が低く、優れた反射防止性能を発揮することができる。
透明被膜中の低屈折率粒子の含有量は酸化物に換算して、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の範囲にあることが望ましい。
本発明に用いる低屈折率粒子としては、平均粒子径および屈折率が上記範囲にあれば特に制限はなく従来公知の粒子を用いることができる。例えば本願出願人の出願による特開平7−133105号公報に開示した複合酸化物ゾル、WO00/37359号公報に開示した被覆層を有する多孔質の複合酸化物粒子は好適に用いることができる。
さらに、上記透明被膜中には、必要に応じて、フッ化マグネシウムなどの低屈折率材料で構成された微粒子、染料、顔料などの添加剤が含まれていてもよい。
本発明に係る透明導電性被膜付基材は、前記した透明導電性微粒子層および/または透明被膜が硝酸根を0.1〜2重量%、さらには0.1〜1.5重量%の範囲で含むことが好
ましい。硝酸根は、導電性微粒子層に含まれていても、透明被膜に含まれていてもよく、さらに、両方に含まれていてもよい。このような硝酸根を含むことで、その理由は明確ではないものの、透明導電性被膜の表面抵抗値の変化を少なくすることができる。
また、透明被膜に含有されていても、そのまま導電性微粒子層に硝酸根は浸透するものと思料される。
透明導電性微粒子層および/または透明被膜中の硝酸根が0.1重量%未満の場合は、
透明導電性被膜の表面抵抗値の経時変化が大きく、初期の表面抵抗値を長期にわたって維持することが困難となることがある。また、透明導電性微粒子層および/または透明被膜中の硝酸根が2重量%を越えると、被膜の強度、耐水性等が低下することがある。
なお、本発明でいう初期の表面抵抗値とは、透明導電性被膜を形成した1日(24時間)後の表面抵抗値をいい、表面抵抗値を維持できるとは、少なくとも90日後に初期の表面抵抗値の±20%以内に維持できることをいうものとする。
透明導電性被膜付基材の製造方法
上記透明導電性被膜付基材の製造方法について説明する。
上記透明導電性被膜付基材は、前記したインジウム系酸化物微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布・乾燥して透明導電性微粒子層を形成し、次いで該微粒子層上に透明被膜形成用塗布液を塗布して前記透明導電性微粒子層上に該微粒子層よりも屈折率の低い透明被膜を形成することによって製造することができる。
透明導電性微粒子層の形成
まず、上記透明導電性被膜形成用塗布液を、基材上に塗布し・乾燥して、透明導電性微粒子層を基材上に形成する。
本発明に用いる透明導電性被膜形成用塗布液は導電性微粒子としての前記インジウム系酸化物微粒子と極性溶媒とからなっている。
極性溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液には、被膜形成後のインジウム系酸化物微粒子のバインダーとして作用するマトリックス形成成分成分が含まれていてもよい。このようなマトリックス形成成分としては、シリカからなるものが好ましく、具体的には、アルコキシシランなどの有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸重縮合物、あるいは塗料用樹脂などが挙げられる。このマトリックス形成成分は、固形分として導電性微粒子1重量部当たり、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.03〜0.3重量部の量で含まれていればよい。
つぎに、透明導電性被膜形成用塗布液中には、インジウム系酸化物微粒子が0.1〜7
重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲で含まれていることが望ましい。
透明導電性被膜形成用塗布液中のインジウム系酸化物微粒子が0.1重量%未満の場合
は、得られる被膜の膜厚が薄くなることがあり、このため充分な導電性が得られないことがある。またインジウム系酸化物微粒子が7重量%を越えると、塗布液中でインジウム系酸化物微粒子が2次粒子(凝集粒子)を形成することがあり、この2次粒子が多くなると基材との密着性や膜の稠密性が低下し、膜強度が低下することがあり、また充分な導電性が得られないことがある。さらに、被膜が厚くなり、光透過率が低下して透明性が悪化したり、被膜表面の平坦性が低下し筋やムラ等が発生し外観が悪くなることがある。
つぎに、透明導電性被膜形成用塗布液中の固形分濃度(導電性微粒子と必要に応じて添加される微粒子カーボン、染料、顔料などの添加剤の総量)は、液の流動性、塗布液中の導電性微粒子などの粒状成分の分散性などの点から、15重量%以下、好ましくは0.1
5〜5重量%であることが好ましい。
上記したような透明導電性被膜形成用塗布液を用いれば、インジウム系酸化物微粒子が均一に分散しており、得られる透明導電性被膜はインジウム系酸化物微粒子が緻密に充填し、基材との密着性に優れ、また、概ね103〜104Ω/□の低表面抵抗を有する透明導電性微粒子層を形成することができるので、帯電を防止できたり、電磁波および電磁波の放出に伴って生じる電磁場を効果的に遮蔽することができる。
また、導電性微粒子が前記インジウム系酸化物微粒子であるので得られる透明導電性被膜付基材は抵抗変化が小さく、耐塩水性や耐酸化性、透明性に優れている。
使用される透明導電性被膜形成用塗布液には硝酸根を10〜200ppm、さらには20〜100ppmの範囲で含んでいることが好ましい。
透明導電性被膜形成用塗布液中の硝酸根の含有量が10ppm未満の場合は、得られる透明導電膜の表面抵抗値の経時変化を抑制することが困難な場合があり、透明導電性被膜形成用塗布液中の硝酸根の含有量が200ppmを越えると透明導電性被膜形成用塗布液の安定性が低下し、得られる透明導電膜のヘーズが低下したり、強度が低下することがある。
透明導電性被膜形成用塗布液に硝酸根を含有させるには硝酸を添加すればよい。
なお、透明被膜形成用塗布液中に、硝酸根を含有させる場合、透明導電性被膜形成用塗布液中には硝酸根は含んでいなくともよい。また、インジウム系酸化物微粒子があらかじめ硝酸根を含んでいる場合、上記した濃度となるように、硝酸を添加したり、イオン交換などの手段によって、調整すればよい。
透明導電性微粒子層を形成する方法としては、たとえば、透明導電性被膜形成用塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法などの方法で、基材上に塗布したのち、常温〜約90℃の範囲の温度で乾燥する。
透明導電性被膜形成用塗布液中に上記のようなマトリックス形成成分が含まれている場合には、マトリックス形成成分の硬化処理を行ってもよい。
例えば、透明導電性被膜形成用塗布液を塗布して形成した被膜を、乾燥時、または乾燥後に、150℃以上で加熱するか、未硬化の被膜に可視光線よりも波長の短い紫外線、電子線、X線、γ線などの電磁波を照射するか、あるいはアンモニアなどの活性ガス雰囲気中に晒してもよい。このようにすると、被膜形成成分の硬化が促進され、得られる被膜の硬度が高くなる。
上記のような方法によって形成された透明導電性微粒子層の膜厚は5〜200nm、さらには10〜150nmの範囲が望ましく、この範囲の膜厚であれば帯電防止性および電磁遮蔽性に優れた透明導電性被膜付基材を得ることができる。
透明被膜の形成
本発明では、上記のようにして形成された透明導電性微粒子層の上に、該微粒子層よりも屈折率の低い透明被膜を形成する。
透明被膜の膜厚は、50〜300nm、好ましくは80〜200nmの範囲であることが好ましく、このような範囲の膜厚であると優れた反射防止性を発揮する。
透明被膜の形成方法としては、特に制限はなく、この透明被膜の材質に応じて、真空蒸発法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式薄膜形成方法、あるいは上述したようなディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法などの湿式薄膜形成方法を採用することができる。
上記透明被膜を湿式薄膜形成方法で形成する場合、従来公知の透明被膜形成用塗布液を塗布乾燥する。このような透明被膜形成用塗布液としては、具体的に、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物、またはこれらの複合酸化物を透明被膜形成成分として含む塗布液が用いられる。
本発明では、透明被膜形成用塗布液として加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸液を含むシリカ系透明被膜形成用塗布液が好ましく、特に下記一般式[1]で表されるアルコキシシランの加水分解重縮合物を含有していることが好ましい。このような塗布液から形成されるシリカ系被膜は、インジウム系酸化物微粒子含有の導電性微粒子層よりも屈折率が小さく、得られる透明導電性被膜付基材は反射防止性に優れている。
aSi(OR')4-a [1]
(式中、Rはビニル基、アリール基、アクリル基、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子またはハロゲン原子であり、R'はビニル基、アリール基、アクリル基、炭系数1〜8の
アルキル基、−C24OCn2n+1(n=1〜4)または水素 原子であり、aは1〜3の整数である。)
このようなアルコキシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
上記のアルコキシシランの1種または2種以上を、たとえば水−アルコール混合溶媒中で酸触媒の存在下、加水分解すると、アルコキシシランの加水分解重縮合物を含む透明被膜形成用塗布液が得られる。
上記導電性被膜形成用塗布液中に、硝酸根が含まれていない場合、透明被膜形成用塗布液には硝酸根が50〜1000ppm、さらには70〜800ppmの範囲にあることが好ましい。
硝酸根は、上記アルコキシシランの加水分解触媒として硝酸を用いるか、得られた塗布液に硝酸を加える等して含有させることができる。
透明被膜形成用塗布液中の硝酸根が50ppm未満の場合は、透明導電膜の表面抵抗値
の経時変化を充分抑制することができない場合があり、透明被膜形成用塗布液中の硝酸根が1000ppmを越えると、透明導電膜の耐水性が低下する問題がある。
なお、上記導電性被膜形成用塗布液中に硝酸根を含む場合であっても、透明被膜系施用塗布液中に硝酸根を含んでいてもよい。
本発明で使用される透明被膜形成用塗布液には、平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあり屈折率が1.28〜1.42、さらには1.28〜1.40の範囲にある低屈折率粒子を含むことが望ましい。
本発明では、このような透明被膜形成用塗布液を塗布して形成した被膜を、乾燥時、または乾燥後に、150℃以上で加熱するか、未硬化の被膜に可視光線よりも波長の短い紫外線、電子線、X線、γ線などの電磁波を照射するか、あるいはアンモニアなどの活性ガス雰囲気中に晒してもよい。このようにすると、被膜形成成分の硬化が促進され、得られる透明被膜の硬度が高くなる。
さらに、透明被膜形成用塗布液を塗布して被膜を形成する際に、透明導電性微粒子層を約40〜90℃に保持しながら透明被膜形成用塗布液を塗布して、前記のような処理を行うと、透明被膜の表面にリング状の凹凸が形成し、ギラツキの少ないアンチグレアの透明被膜付基材が得られる。
表示装置
本発明に係る透明導電性被膜付基材は、帯電防止、電磁遮蔽に必要な概ね103〜104Ω/□の範囲の表面抵抗を有し、この表面抵抗値の経時変化が小さく、また透明性に優れるとともに可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能を有し、表示装置の前面板として好適に用いられる。
本発明に係る表示装置は、ブラウン管(CRT)、蛍光表示管(FIP)、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶用ディスプレイ(LCD)などのような電気的に画像を表示する装置であり、上記のような透明導電性被膜付基材で構成された前面板を備えている。
従来の前面板を備えた表示装置を作動させると、前面板に画像が表示されると同時に前面板が帯電したり、電磁波が前面板から放出されるが、本発明に係る表示装置では、前面板が前記した概ね103〜104Ω/□の表面抵抗を有し、酸化剤あるいは還元抑制剤としての硝酸根を所定量含む透明導電性被膜付基材で構成されているので、前記表面抵抗値を一定に保持することができ、このため長期にわたって安定的に帯電を防止したり、電磁波およびこの電磁波の放出に伴って生じる電磁場を効果的に遮蔽することができる。
また、表示装置の前面板で反射光が生じると、この反射光によって表示画像が見にくくなるが、本発明に係る表示装置では、前面板が可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能を有する透明導電性被膜付基材で構成されているので、このような反射光を効果的に防止することができる。
さらに、ブラウン管の前面板が、本発明に係る透明導電性被膜付基材で構成され、この透明導電性被膜のうち、透明導電性微粒子層、その上に形成された透明被膜の少なくとも一方に少量の染料または顔料が含まれている場合には、これらの染料または顔料がそれぞれ固有な波長の光を吸収し、これによりブラウン管から放映される表示画像のコントラストを向上させることができる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
インジウム系酸化物微粒子(ITO-1)分散液の調製
硝酸インジウム79.9gを水686gに溶解して得られた溶液と、錫酸カリウム12.7gを濃度10重量%の水酸化カリウム溶液に溶解して得られた溶液とを調製し、これらの溶液を、50℃に保持された1000gの純水に2時間かけて添加した。この間、系内のpHを11に保持して、錫を含むインジウム水酸化物を調製した。
ついで、錫を含むインジウム水酸化物を濾過分離し、温水を充分かけた後、酸化物としての濃度が4重量%の錫を含むインジウム水酸化物の分散液を調製し、先ず陽イオン交換樹脂を用いてアルカリ金属の除去を行い、次いで陰イオン交換樹脂を用いてアニオンを除去した。このとき酸化物中のアルカリ金属含有量は0.002重量%、アニオン含有量は
0.007重量%であった。
ついで、洗浄した濃度が4重量%の錫を含むインジウム水酸化物の分散液を、限外濾過装置(限外膜:旭化成(株)製マイクローザSIP−1013)にてエタノールに溶媒置換してインジウム水酸化物アルコール分散液を得た。分散液の固形分濃度は4重量%、水分は3重量%であった。
得られた錫含有インジウム水酸化物エタノール分散液から錫含有インジウム水酸化物を分離し、ついで、100℃で20時間乾燥した。ついで、空気中、550℃で2時間加熱処理した。
加熱処理して得たインジウム酸化物粉体を固形分濃度が30重量%となるようにエタノールに分散し、これに濃度6.2重量%の硝酸を、インジウム系酸化物微粒子をIn23に換算した場合のモル数(MIn)とHNO3のモル数(MHN)との比(MHN)/(M
In)が0.003となるように滴下して分散液のpHを3.5に調製した。
分散液を、サンドミルを用いて15分間処理し、インジウム酸化物粉体を分散させてインジウム系酸化物微粒子分散液を調製した。
これにエタノールを加えて固形分濃度20重量%のインジウム系酸化物微粒子(ITO-1
)分散液を調製した。
インジウム系酸化物微粒子(ITO-1)の平均粒子径、硝酸根の含有量を表1に示した。(硝酸根は、透明被膜と透明導電性微粒子層中の合計量)
また、インジウム系酸化物微粒子の一部を分離し、乾燥し、空気中、550℃で2時間加熱処理した後の粉体抵抗値を測定し、結果を表1に示した。
透明導電性被膜形成用塗布液(C-1)の調製
上記で得たインジウム系酸化物微粒子(ITO-1)分散液をインジウム系酸化物微粒子濃度
が固形分として2.0重量%となるように、エタノール/イソプロピルグリコール/ジア
セトンアルコール(81:16:3重量混合比)の混合溶媒とを混合し、これに濃度0.
2重量%の硝酸2gを添加して透明導電性被膜形成用塗布液(C-1)100gを調製した。
透明被膜形成用塗布液(T-1)の調製
正珪酸エチル(SiO2:28.8重量%)50g、エタノール194.6g、濃度62重量%の硝酸1.5gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌してSiO2濃度5重
量%のマトリックス形成成分を含む液を調製した。これに、エタノール/ブタノール/ジアセ トンアルコール/イソプロパノール(2:1:1:4重量混合比)の混合溶媒を加
え、SiO2濃度1重量%の透明被膜形成用塗布液(T)を調製した。このときの硝酸根の濃
度を表1に示した。
透明導電性被膜付パネルガラス(P-1)の製造
ブラウン管用パネルガラス(17")の表面を40℃で保持しながら、スピナー 法で150rpm、90秒の条件で上記透明導電性被膜形成用塗布液(C-1)を塗布し乾燥した。このときの導電性微粒子層の膜厚を測定し、結果を表に示した。
次いで、このようにして形成された透明導電性微粒子層上に、同じように、スピナー法で150rpm、90秒の条件で透明被膜形成用塗布液(T-1)を塗布・乾燥し、160℃で30分間焼成して透明導電性被膜付パネルガラス(P-1)を得た。このときの透明被膜の膜
厚はいずれも50nmとなるように形成した。
透明被膜を形成した24時間後に、透明導電性被膜付パネルガラス(P-1)の表面抵抗
値(1)を表面抵抗計(三菱油化(株)製:LORESTA)で測定し、ヘーズをへーズコンピュータ
ー(日本電色(株)製:3000A)で測定した。反射率は反射率計(大塚電子(株)製:MCPD-2000)を用いて測定し、波長400〜700nmの範囲で反射率が最も低い波長のでの反射率をボトム反射率とし、また波長400〜700nmの平均反射率を視感反射率として求め、結果を表に示した。
また、透明被膜を形成した90日後に、透明導電性被膜付パネルガラス(P-1)の表面
抵抗値(2)を測定し、結果を表1に示した。さらに、別途透明導電性被膜中の硝酸根を測
定し、結果を表1に示した。
実施例2
インジウム系酸化物微粒子(ITO-2)分散液の調製
実施例1と同様にして錫含有インジウム水酸化物エタノール分散液から錫含有インジウム水酸化物を分離し、ついで100℃で20時間乾燥した。
ついで、空気中、650℃で2時間加熱処理した。
加熱処理して得たインジウム酸化物粉体を固形分濃度が30重量%となるようにエタノールに分散し、これに濃度6.2重量%の硝酸を、インジウム系酸化物微粒子をIn23に換算した場合のモル数(MIn)とHNO3のモル数(MHN)との比(MHN)/(M
In)が0.003となるように滴下して分散液のpHを3.5に調製した。
分散液をサンドミルを用いて15分間処理し、インジウム酸化物粉体を分散させてインジウム系酸化物微粒子分散液を調製した。
これにエタノールを加えて固形分濃度20重量%のインジウム系酸化物微粒子(ITO-2
)分散液を調製した。
インジウム系酸化物微粒子(ITO-2)の平均粒子径、硝酸根の含有量を表1に示した。
また、一部乾燥し、空気中、650℃で2時間加熱処理した後の粉体抵抗値を測定し、結果を表に示した。
透明導電性被膜形成用塗布液(C-2)の調製
実施例1において、インジウム系酸化物微粒子(ITO-2)分散液を用いた以外は同様にし
て透明導電性被膜形成用塗布液(C-2)を調製した。このときの硝酸根の濃度を表1に示し
た。
透明導電性被膜付パネルガラス(P-2)の製造
実施例1において、透明導電性被膜形成用塗布液(C-2)および透明被膜形成用塗布液(T-2)を用いた以外は同様にして透明導電性被膜付パネルガラス(P-2)を得た。
得られた透明導電性被膜付パネルガラス(P-2)について、表面抵抗値(1)、表面抵抗値(2)、透過率、ボトム反射率、視感反射率、硝酸根を測定し、結果を表1に示した。
実施例3
透明被膜形成用塗布液(T-2)の調製
実施例1において、濃度62重量%の硝酸2.2gを用いた以外は同様にしてSiO2
度1重量%の透明被膜形成用塗布液(T-2)を調製した。このときの硝酸根の濃度を表に示
した。
透明導電性被膜付パネルガラス(P-3)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(T-2)を用いた以外は同様にして透明導電性
被膜付パネルガラス(P-3)を得た。
得られた透明導電性被膜付パネルガラス(P-3)について、表面抵抗値(1)、表面抵抗値(2)、透過率、ボトム反射率、視感反射率、硝酸根を測定し、結果を表1に示した。
実施例4
透明被膜形成用塗布液(T-3)の調製
実施例1において、濃度62重量%の硝酸0.23gを用いた以外は同様にしてSiO2
濃度1重量%の透明被膜形成用塗布液(T-3)を調製した。このときの硝酸根の濃度を表に
示した。
透明導電性被膜付パネルガラス(P-4)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(T-3)を用いた以外は同様にして透明導電性
被膜付パネルガラス(P-4)を得た。
得られた透明導電性被膜付パネルガラス(P-4)について、表面抵抗値(1)、表面抵抗値(2)、透過率、ボトム反射率、視感反射率、硝酸根を測定し、結果を表1に示した。
比較例1
インジウム系酸化物微粒子(ITO-R1)分散液の調製
実施例1と同様にして錫含有インジウム水酸化物調製し、分離し、ついで、100℃で20時間乾燥した。
ついで、窒素ガス雰囲気下、550℃で2時間加熱処理した。
加熱処理して得たインジウム酸化物粉体を固形分濃度が30重量%となるようにエタノールに分散し、これに濃度6.2重量%の硝酸を、インジウム系酸化物微粒子をIn23に換算した場合のモル数(MIn)とHNO3のモル数(MHN)との比(MHN)/(M
In)が0.003となるように滴下して分散液のpHを3.5に調製した。
分散液をサンドミルを用いて15分間処理し、インジウム酸化物粉体を分散させてイン
ジウム系酸化物微粒子分散液を調製した。
これにエタノールを加えて固形分濃度20重量%のインジウム系酸化物微粒子(ITO-R1)分散液を調製した。
インジウム系酸化物微粒子(ITO-R1)の平均粒子径、硝酸根の含有量を表1に示した。
また、インジウム系酸化物微粒子の一部を分離し、乾燥し、窒素ガス雰囲気下、550℃で2時間加熱処理した後の粉体抵抗値を測定し、結果を表1に示した。
透明導電性被膜形成用塗布液(RC-1)の調製
上記で得たインジウム系酸化物微粒子(ITO-R1)分散液をインジウム系酸化物微粒子濃度が固形分として3.5重量%となるように、エタノール/イソプロピルグリコール/ジア
セトンアルコール(81:16:6重量混合比)の混合溶媒とを混合し、透明導電性被膜形成用塗布液(RC-1)を調製した。このときの硝酸根の濃度を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(RT-1)の調製
正珪酸エチル(SiO2:28.8量%)50g、エタノール194.6g、濃度62重量%の硝酸1.5gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌してSiO2濃度5重量
%のマトリックス形成成分を含む液を調製した。これに、エタノール/ブタノール/ジアセ トンアルコール/イソプロパノール(2:1:1:4重量混合比)の混合溶媒を加え
、SiO2濃度1重量%の透明被膜形成用塗布液(RT-1)を調製した。このときの硝酸根の濃度を表1に示した。
透明導電性被膜付パネルガラス(RP-1)の製造
実施例1において、透明導電性被膜形成用塗布液(RC-1)および透明被膜形成用塗布液(RT-1)を用いた以外は同様にして透明導電性被膜付パネルガラス(RP-1)を得た。
得られた透明導電性被膜付パネルガラス(RP-1)について、表面抵抗値(1)、表面抵抗
値(2)、透過率、ボトム反射率、視感反射率、硝酸根を測定し、結果を表1に示した。
比較例2
インジウム系酸化物微粒子(ITO-R2)分散液の調製
実施例1と同様にして錫含有インジウム水酸化物調製し、分離し、ついで、100℃で20時間乾燥した。
ついで、窒素ガス雰囲気下、650℃で2時間加熱処理した。
加熱処理して得たインジウム酸化物粉体を固形分濃度が30重量%となるようにエタノールに分散し、これに濃度6.2重量%の硝酸を、インジウム系酸化物微粒子をIn23に換算した場合のモル数(MIn)とHNO3のモル数(MHN)との比(MHN)/(M
In)が0.003となるように滴下して分散液のpHを3.5に調製した。
分散液をサンドミルを用いて15分間処理し、インジウム酸化物粉体を分散させてインジウム系酸化物微粒子分散液を調製した。
これにエタノールを加えて固形分濃度20重量%のインジウム系酸化物微粒子(ITO-R2)分散液を調製した。
インジウム系酸化物微粒子(ITO-R2)の平均粒子径、硝酸根の含有量を表1に示した。
また、インジウム系酸化物微粒子の一部を分離し、乾燥し、窒素ガス雰囲気下、600℃で2時間加熱処理した後の粉体抵抗値を測定し、結果を表に示した。
透明導電性被膜形成用塗布液(RC-2)の調製
上記で得たインジウム系酸化物微粒子(ITO-R2)分散液をインジウム系酸化物微粒子濃度が固形分として3.5重量%となるように、エタノール/イソプロピルグリコール/ジア
セトンアルコール(81:16:3重量混合比)の混合溶媒とを混合し、透明導電性被膜形成用塗布液(RC-2)を調製した。このときの硝酸根の濃度を表に示した。
透明導電性被膜付パネルガラス(RP-2)の製造
実施例1において、透明導電性被膜形成用塗布液(RC-2)および比較例1と同様にして調製した透明被膜形成用塗布液(RT-1)を用いた以外は同様にして透明導電性被膜付パネルガラス(RP-2)を得た。
得られた透明導電性被膜付パネルガラス(RP-2)について、表面抵抗値(1)、表面抵抗
値(2)、透過率、ボトム反射率、視感反射率、硝酸根を測定し、結果を表1に示した。
比較例3
透明被膜形成用塗布液(RT-2)の調製
正珪酸エチル(SiO2:28.8重量%)50g、エタノール194.6g、濃度62重量%の硝酸(濃硝酸)5.1gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌してSiO2濃度5重量%のマトリックス形成成分を含む液を調製した。これに、エタノール/ブタ
ノール/ジアセトンアルコール/イソプロパノール(2:1:1:4重量混合比)の混合溶媒を加え、SiO2濃度1重量%の透明被膜形成用塗布液(RT-1)を調製した。このときの硝酸根の濃度を表1に示した。
透明導電性被膜付パネルガラス(RP-3)の製造
比較例1において、透明被膜形成用塗布液(RT-2)を用いた以外は同様にして透明導電性被膜付パネルガラス(RP-3)を得た。
得られた透明導電性被膜付パネルガラス(RP-3)について、表面抵抗値(1)、表面抵抗
値(2)、透過率、ボトム反射率、視感反射率、硝酸根を測定し、結果を表1に示した。
比較例4
透明被膜形成用塗布液(RT-3)の調製
実施例1において、濃度62重量%の硝酸6.5gを用いた以外は同様にしてSiO2
度1重量%の透明被膜形成用塗布液(RT-3)を調製した。このときの硝酸根の濃度を表に示した。
透明導電性被膜付パネルガラス(RP-4)の製造
比較例1において、透明被膜形成用塗布液(RT-3)を用いた以外は同様にして透明導電性被膜付パネルガラス(RP-4)を得た。
得られた透明導電性被膜付パネルガラス(RP-4)について、表面抵抗値(1)、表面抵抗
値(2)、透過率、ボトム反射率、視感反射率、硝酸根を測定し、結果を表1に示した。
比較例5
透明被膜形成用塗布液(RT-4)の調製
実施例1において、濃度62重量%の硝酸0.15gを用いた以外は同様にしてSiO2
濃度1重量%の透明被膜形成用塗布液(RT-4)を調製した。このときの硝酸根の濃度を表1に示した。
透明導電性被膜付パネルガラス(RP-5)の製造
比較例1において、透明被膜形成用塗布液(RT-4)を用いた以外は同様にして透明導電性被膜付パネルガラス(RP-5)を得た。
得られた透明導電性被膜付パネルガラス(RP-5)について、表面抵抗値(1)、表面抵抗
値(2)、透過率、ボトム反射率、視感反射率、硝酸根を測定し、結果を表1に示した。
Figure 2005190963

Claims (7)

  1. 基材と、
    基材上の前記インジウム系酸化物微粒子を含む透明導電性微粒子層と、
    透明導電性微粒子層上に設けられ該透明導電性微粒子層よりも屈折率が低い透明被膜とからなり、
    (i)透明導電性微粒子層および/または透明被膜中に(微粒子層および透明被膜双方の含
    まれる場合は合計量に対して)、硝酸根を0.1〜2重量%の範囲で含み、
    (ii)前記インジウム系酸化物微粒子の粉体抵抗値が0.5〜20Ω・cmの範囲にあり、
    平均粒子径が10〜100nmの範囲にあることを特徴とする透明導電性被膜付基材。
  2. 前記インジウム系酸化物微粒子が、インジウム系水酸化物を酸化雰囲気下、350〜700℃の温度範囲で加熱処理し、硝酸存在下で粉砕処理したインジウム系酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性被膜付基材。
  3. 前記インジウム系酸化物微粒子の粉体抵抗値(RO)と、同じインジウム系酸化物微粒子(またはインジウム系水酸化物)を不活性雰囲気または還元雰囲気で加熱処理したときの粉体抵抗値(RR)との比(RO/RR)が1.2〜100の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性被膜付基材。
  4. 粉体抵抗値が0.5〜20Ω・cmの範囲にあり、平均粒子径が10〜100nmの範
    囲にあるインジウム系酸化物微粒子と、極性溶媒とからなり、さらに硝酸根を10〜200ppmの範囲で含有することを特徴とする透明導電性被膜形成用塗布液。
  5. 請求項4に記載の透明導電性被膜形成用塗布液を塗布・乾燥して、透明導電性微粒子層を形成したのち、
    該微粒子層上に加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸液と極性溶媒とからなり透明被膜形成用塗布液を塗布・乾燥して透明被膜を形成することを特徴とする透明導電性被膜付基材の製造方法。
  6. 粉体抵抗値が0.5〜20Ω・cmの範囲にあり、平均粒子径が10〜100nmの範
    囲にあるインジウム系酸化物微粒子と、極性溶媒とからなる透明導電性被膜形成用塗布液を塗布・乾燥して、導電性微粒子層を形成したのち、
    該微粒子層上に、
    加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸液と極性溶媒とからなり、硝酸根を50〜1000ppmの範囲で含有する透明被膜形成用塗布液を塗布・乾燥することを特徴とする透明導電性被膜付基材の製造方法。
  7. 請求項1または2に記載の透明導電性被膜付基材で構成された前面板を備え、透明導電性被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴とする表示装置。
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