JP2009161130A - ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 二つの液圧系統を有するBBW式ブレーキ装置において、一方の液圧系統の失陥時に他方の液圧系統の機能を確保する。
【解決手段】 モータシリンダ23が作動不能になったとき、その後部液室39Aに連なる第1の液圧系統が失陥して大気開放すると、マスタシリンダから前部液室39Bを経てホイールシリンダに伝達される第2の液圧系統のブレーキ液圧で制動が行われる。このとき、マスタシリンダが発生したブレーキ液圧が前部サプライポート49Bから後部液室39Aを介して漏れるのを前向きの前部第3カップシールC5により阻止するとともに、前部液室39Bの圧力で前部ピストン38Bが後退するのをストッパ51により阻止することで、モータシリンダ23の前部液室39Bに連なる第2の液圧系統による制動を確保することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、運転者の制動操作によりブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、電気的に制御可能なアクチュエータによりブレーキ液圧を発生する電気的液圧発生手段とを備えたブレーキ装置に関する。
運転者の制動操作を電気信号に変換して電気的液圧発生手段を作動させ、この電気的液圧発生手段が発生するブレーキ液圧でホイールシリンダを作動させる、いわゆるBBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ)式ブレーキ装置が、下記特許文献1により公知である。
ところで、この種のBBW式ブレーキ装置では、電気的液圧発生手段が失陥した場合に、マスタシリンダが発生するブレーキ液圧を直接ホイールシリンダに伝達して車輪を制動することで、フェールセーフ機能を発揮させるようになっている。しかも、マスタシリンダは二つの液圧系統に別個にブレーキ液圧を供給するタンデム式とされ、一方の液圧系統に漏れが発生した場合でも、他方の液圧系統で何れかの車輪を制動できるようになっている。
図4は、従来の電気的液圧発生手段(モータシリンダ23)の構造を示すもので、シリンダ本体36の内部に一対のリターンスプリング37A,37Bで後退方向に付勢された後部ピストン38Aおよび前部ピストン38Bが摺動自在に配置されており、後部ピストン38Aの前面に後部液室39Aが区画されるとともに、前部ピストン38Bの前面に前部液室39Bが区画される。
後部ピストン38Aの外周には後部液室39Aへの空気の侵入を防止するための後部リザーバ室38aが形成され、前部ピストン38Bの外周には前部液室39Bへの空気の侵入を防止するための前部リザーバ室38bが形成される。後部液室39Aの後部入口ポート40Aと後部リザーバ室38aの後部サプライポート49Aとはマスタシリンダに連通し、後部液室39Aの後部出口ポート41Aはホイールシリンダに連通する。また前部液室39Bの前部入口ポート40Bと前部リザーバ室38bの前部サプライポート49Bとはマスタシリンダに連通し、前部液室39Bの前部出口ポート41Bはホイールシリンダに連通する。
後部ピストン38Aの前端には後部第1カップシールC1が前向き(前進時にシール機能を発揮するように)に設けられ、後部ピストン38Aの後端には後部第2カップシールC2が前向きに設けられる。前部ピストン38Bの前端には前部第1カップシールC3が前向きに設けられ、前部ピストン38Bの後端には前部第2カップシールC4が後向き(後進時にシール機能を発揮するように)に設けられる。
特開2003−137084号公報
ところで上記従来のモータシリンダ23の構造では、モータシリンダ23が失陥してマスタシリンダが発生するブレーキ液圧でホイールシリンダを作動させるとき、前部サプライポート49Bがマスタシリンダに接続されているため、第1の液圧系統が失陥してモータシリンダ23の後部液室39Aが大気開放してしまうと、マスタシリンダで発生したブレーキ液圧が前部サプライポート49B→前部リザーバ室38b→前部第2カップシールC4→後部液室39Aの経路で漏洩してしまい、前部液室39Bに連なる第2の液圧系統も同時に失陥してしまう可能性がある。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、二つの液圧系統を有するBBW式ブレーキ装置において、一方の液圧系統の失陥時に他方の液圧系統の機能を確保することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、運転者の制動操作によりブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、マスタシリンダに連通するとともに、電気的に制御可能なアクチュエータによりブレーキ液圧を発生する後部液室および前部液室を有する電気的液圧発生手段と、後部液室および前部液室にそれぞれ連通して車輪を制動する制動力を発生する複数のホイールシリンダとを備え、電気的液圧発生手段の失陥時にはマスタシリンダが発生するブレーキ液圧でホイールシリンダを作動させるブレーキ装置であって、電気的液圧発生手段は、アクチュエータにより前進して後部液室および前部液室にそれぞれブレーキ液圧を発生する後部ピストンおよび前部ピストンと、後部液室に形成されてマスタシリンダに接続する後部入口ポートおよびホイールシリンダに接続する後部出口ポートと、後部入口ポートの後方に隣接して形成されてマスタシリンダに接続する後部サプライポートと、前部液室に形成されてマスタシリンダに接続する前部入口ポートおよびホイールシリンダに接続する前部出口ポートと、前部入口ポートの後方に隣接して形成されてマスタシリンダに接続する前部サプライポートと、後部ピストンの前端に前向きに配置された後部第1カップシールと、後部ピストンの後端に前向きに配置された後部第2カップシールと、前部ピストンの前端に前向きに配置された前部第1カップシールと、前部ピストンの後端に後向きに配置された前部第2カップシールとを備えたものにおいて、前部ピストンの前部第2カップシールの前方に隣接して前向きに配置された前部第3カップシールと、前部ピストンの後退限を規制するストッパとを備えたことを特徴とするブレーキ装置が提案される。
尚、実施の形態のモータシリンダ23は本発明の電気的液圧発生手段に対応する。
請求項1の構成によれば、電気的液圧発生手段が失陥してマスタシリンダが発生するブレーキ液圧でホイールシリンダを作動させる際に、電気的液圧発生手段の後部液室に連なる第1の液圧系統が失陥して大気開放すると、マスタシリンダから電気的液圧発生手段の前部液室を経てホイールシリンダに伝達される第2の液圧系統のブレーキ液圧で制動が行われる。このとき、マスタシリンダに連通する前部サプライポートと失陥により大気開放した後部液室との間に前向きの前部第3カップシールが配置されるとともに、後部ピストンの後退限を規制するストッパが配置されるので、前記マスタシリンダが発生したブレーキ液圧が前部サプライポートから後部液室を介して漏れるのを前部第3カップシールにより阻止するとともに、前部液室の圧力で前部ピストンが後退するのをストッパにより阻止し、電気的液圧発生手段の前部液室に連なる第2の液圧系統による制動を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図3は本発明の実施の形態を示すもので、図1は車両用ブレーキ装置の正常時の液圧回路図、図2は図1に対応する異常時の液圧回路図、図3は図1の要部拡大図である。
図1に示すように、タンデム型のマスタシリンダ11は、運転者がブレーキペダル12を踏む踏力に応じたブレーキ液圧を出力する二つの液室13A,13Bを備えており、一方の液室13Aは液路Pa,Pc,Pd,Peを介して例えば左前輪および右後輪のディスクブレーキ装置14,15のホイールシリンダ16,17に接続されるとともに、他方の液室13Bは液路Qa,Qc,Qd,Qeを介して例えば右前輪および左後輪のディスクブレーキ装置18,19のホイールシリンダ20,21に接続される。
液路Pa,Qaと液路Pc,Qcとの間にモータシリンダ23が配置され、液路Pc,Qcと液路Pd,Pe;Qd,Qeとの間にABS装置24が配置される。
液路Qaから分岐する液路Ra,Rbには、常閉型電磁弁である反力許可弁25を介してストロークシミュレータ26が接続される。ストロークシミュレータ26は、シリンダ27にスプリング28で付勢されたピストン29を摺動自在に嵌合させたもので、ピストン29の反スプリング28側に形成された液室30が液路Rbに連通する。
モータシリンダ23のアクチュエータ31は、電動モータ32の出力軸に設けた駆動ベベルギヤ33と、駆動ベベルギヤ33に噛合する従動ベベルギヤ34と、従動ベベルギヤ34により作動するボールねじ機構35とを備える。モータシリンダ23のシリンダ本体36の内部に一対のリターンスプリング37A,37Bで後退方向に付勢された一対のピストン38A,38Bが摺動自在に配置されており、後部ピストン38Aの前面に後部液室39Aが区画されるとともに、前部ピストン38Bの前面に前部液室39Bが区画される。
図1および図3から明らかなように、後部液室39Aは、後部入口ポート40Aおよび後部サプライポート49Aを介して液路Paに連通するとともに、後部出口ポート41Aを介して液路Pcに連通する。また前部液室39Bは、前部入口ポート40Bおよび前部サプライポート49Bを介して液路Qaに連通するとともに、前部出口ポート41Bを介して液路Qcに連通する。
後部ピストン38Aの前端には後部第1カップシールC1が前向き(前進時にシール機能を発揮するように)に設けられ、後部ピストン38Aの後端には後部第2カップシールC2が前向きに設けられる。前部ピストン38Bの前端には前部第1カップシールC3が前向きに設けられ、前部ピストン38Bの後端には前部第2カップシールC4が後向き(後進時にシール機能を発揮するように)に設けられる。更に、前部ピストン38Bの前部第2カップシールC4の直前に前向きの前部第3カップシールC5が設けられる。
後部ピストン38Aの中間部には後部第1、第2カップシールC1,C2に挟まれた後部リザーバ室38aが形成されており、この後部リザーバ室38aに後部サプライポート49Aが連通する。前部ピストン38Bの中間部には前部第1、第3カップシールC3,C5に挟まれた前部リザーバ室38bが形成されており、この前部リザーバ室38bに前部サプライポート49Bが連通する。
後部液室39Aは前向きの後部第1カップシールC1と後向きの前部第2カップシールC4とに挟まれて液密が確保され、また後部リザーバ室38aからの後方への液漏れは前向きの後部第2カップシールC2により阻止される。前部液室39Bは前向きの前部第1カップシールC3により液密が確保され、また前部リザーバ室38bからの後方への液漏れは前向きの前部第3カップシールC5により阻止される。
前部ピストン38Bには前後方向に延びる長孔38cが形成されており、シリンダ本体36に固定したピンよりなるストッパ51が前記長孔38cに摺動自在に貫通する。長孔38cの長さは、モータシリンダ23の通常の作動時においてストッパ51と接触しない長さ、つまり前部ピストン38Bの移動を阻害しない長さに設定される。
モータシリンダ23の非作動時に後部ピストン38Aの後部第1カップシールC1は後部入口ポート40Aの直後方に位置しており、後部ピストン38Aが僅かに前進すると後部第1カップシールC1が後部入口ポート40Aを通過して第1液室39Aにブレーキ液圧が発生する。モータシリンダ23の非作動時に前部ピストン38Bの前部第1カップシールC3は前部入口ポート40Bの直後方に位置しており、前部ピストン38Bが僅かに前進すると前部第1カップシールC3が前部入口ポート40Bを通過して前部液室39Bにブレーキ液圧が発生する。
しかして、電動モータ32を一方向に駆動すると、駆動ベベルギヤ33、従動ベベルギヤ34およびボールねじ機構35を介して後部、前部ピストン38A,38Bが前進し、液路Pa,Qaに連なる後部、前部入口ポート40A,40Bが閉塞された瞬間に後部、前部液室39A,39Bにブレーキ液圧を発生させ、そのブレーキ液圧を後部、前部出口ポート41A,41Bを介して液路Pc,Qcに出力することができる。
図1に示すように、ABS装置24の構造は周知のもので、左前輪および右後輪のディスクブレーキ装置14,15の系統と、右前輪および左後輪のディスクブレーキ装置18,19の系統とに同じ構造のものが設けられる。その代表として左前輪および右後輪のディスクブレーキ装置14,15の系統について説明すると、液路Pcと液路Pd,Peとの間に一対の常開型電磁弁よりなるインバルブ42,42が配置され、インバルブ42,42の下流側の液路Pd,Peとリザーバ43との間に常閉型電磁弁よりなるアウトバルブ44,44が配置される。リザーバ43と液路Pcとの間に、一対のチェックバルブ45,46に挟まれた液圧ポンプ47が配置されており、この液圧ポンプ47は電動モータ48により駆動される。
反力許可弁25、モータシリンダ23およびABS装置24の作動を制御する不図示の電子制御ユニットには、マスタシリンダ11が発生するブレーキ液圧を検出する液圧センサSaと、ディスクブレーキ装置18,19に伝達されるブレーキ液圧を検出する液圧センサSbと、各車輪の車輪速を検出する車輪速センサSc…とが接続される。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用について説明する。
システムが正常に機能する正常時には、常閉型電磁弁よりなる反力許可弁25が励磁されて開弁する。この状態で液路Qaに設けた液圧センサSaが運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検出すると、モータシリンダ23のアクチュエータ31が作動して後部、前部ピストン38A,38Bが前進することで、後部、前部液室39A,39Bにブレーキ液圧が発生する。このブレーキ液圧はABS装置24の開弁したインバルブ42…を介してディスクブレーキ装置14,15,18,19のホイールシリンダ16,17,20,21に伝達され、各車輪を制動する。
モータシリンダ23の後部、前部ピストン38A,38Bが僅かに前進すると、後部、前部入口ポート40A,40Bが閉塞されて液路Pa,Qaと後部、前部液室39A,39Bとの連通が遮断されるため、マスタシリンダ11が発生したブレーキ液圧はディスクブレーキ装置14,15,18,19に伝達されることはない。このとき、マスタシリンダ11の他方の液室13Bが発生したブレーキ液圧は開弁した反力許可弁25を介してストロークシミュレータ26の液室30に伝達され、そのピストン29をスプリング28に抗して移動させることで、ブレーキペダル12のストロークを許容するとともに擬似的なペダル反力を発生させて運転者の違和感を解消することができる。
そして液路Qcに設けた液圧センサSbで検出したモータシリンダ23によるブレーキ液圧が、液路Qaに設けた液圧センサSaで検出したマスタシリンダ11によるブレーキ液圧に応じた大きさになるように、モータシリンダ23のアクチュエータ31の作動を制御することで、運転者がブレーキペダル12に入力する踏力に応じた制動力をディスクブレーキ装置14,15,18,19に発生させることができる。
上述した制動中に、車輪速センサSc…の出力に基づいて何れかの車輪のスリップ率が増加してロック傾向になったことが検出されると、モータシリンダ23を作動状態に維持し、この状態でABS装置24を作動させて車輪のロックを防止する。
即ち、所定の車輪がロック傾向になると、その車輪のディスクブレーキ装置のホイールシリンダに連なるインバルブ42を閉弁してモータシリンダ23からのブレーキ液圧の伝達を遮断した状態で、アウトバルブ44を開弁してホイールシリンダのブレーキ液圧をリザーバ43に逃がす減圧作用と、それに続いてアウトバルブ44を閉弁してホイールシリンダのブレーキ液圧を保持する保持作用とを行うことで、車輪がロックしないように制動力を低下させる。
その結果、車輪速度が回復してスリップ率が低下すると、インバルブ42を開弁してホイールシリンダのブレーキ液圧が増加させる増圧作用を行うことで、車輪の制動力を増加させる。この増圧作用により車輪が再びロック傾向になると、前記減圧、保持、増圧を再び実行し、その繰り返しにより車輪のロックを抑制しながら最大限の制動力を発生させることができる。その間にリザーバ43に流入したブレーキ液は、液圧ポンプ47により上流側の液路Pc,Qcに戻される。
さて、電源の失陥等によりモータシリンダ23が作動不能になると、モータシリンダ23が発生するブレーキ液圧に代えて、マスタシリンダ11が発生するブレーキ液圧による制動が行われる。
電源が失陥すると、図2に示すように、常閉型電磁弁よりなる反力許可弁25は自動的に閉弁し、常開型電磁弁よりなるインバルブ42…は自動的に開弁し、常閉型電磁弁よりなるアウトバルブ44…は自動的に閉弁する。この状態では、マスタシリンダ11の液室13A,13Bにおいて発生したブレーキ液圧は、ストロークシミュレータ26に吸収されることなく、モータシリンダ23の後部、前部液室39A,39Bおよびインバルブ42…を通過して各車輪のディスクブレーキ装置14,15,18,19のホイールシリンダ16,17,20,21を作動させ、支障なく制動力を発生させることができる。
上述した異常時において、マスタシリンダ11の一方の液室13Aから液路Pa、モータシリンダ23の後部液室39A、液路Pcおよび液路Pd,Peを介して左前輪および右後輪のディスクブレーキ装置14,15のホイールシリンダ16,17に連なる第1の液圧系統が失陥してブレーキ液が漏れた場合、マスタシリンダ11の他方の液室13Bから液路Qa、モータシリンダ23の前部液室39B、液路Qcおよび液路Qd,Qeを介して右前輪および左後輪のディスクブレーキ装置18,19のホイールシリンダ20,21に連なる第2の液圧系統を作動させ、四輪のうちの少なくとも二輪に制動力を発生させてフェールセーフを可能にすることができる。
このとき、図4に示す従来例では、第1の液圧系統が失陥してモータシリンダ23の後部液室39Aが大気開放してしまうと、マスタシリンダ11の液室13Bに発生したブレーキ液圧が前部サプライポート49B→前部リザーバ室38b→前部第2カップシールC4→後部液室39Aの経路で漏洩してしまい、前部液室39Bに連なる第2の液圧系統も同時に失陥してしまう可能性がある。
しかしながら、図3に示す第1の実施の形態では、異常時に第1の液圧系統が失陥してブレーキ液が漏れた場合、マスタシリンダ11の他方の液室13Bから液路Qaを介してモータシリンダ23の前部液室39Bおよび前部リザーバ室38bにブレーキ液圧が伝達される。このとき、前部リザーバ室38bは前部第3カップシールC5により大気開放した後部液室39Aとの連通を遮断されているため、前部液室39Bのブレーキ液圧が後部液室39Aを介して漏れることが防止され、かつ前部ピストン38Bは長孔38cとストッパ51の前端との当接によって後退を阻止されるため、前部液室39Bの容積が無制限に拡大することが防止される。よって、前部液室39Bには正常にブレーキ液圧が発生し、前部液室39Bに連なる第2の液圧系統が第1の液圧系統と同時に失陥することはない。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施の形態のブレーキ装置はABS装置24を備えているが、本発明はABS装置24を持たないブレーキ装置に対しても適用可能である。
またストッパ51は前部ピストン38Bの長孔38cに係合するものに限定されず、適宜の構造のものを採用することができる。
車両用ブレーキ装置の正常時の液圧回路図 図1に対応する異常時の液圧回路図 図1の要部拡大図 従来のモータシリンダの断面図
符号の説明
11 マスタシリンダ
16 ホイールシリンダ
17 ホイールシリンダ
20 ホイールシリンダ
21 ホイールシリンダ
23 モータシリンダ(電気的液圧発生手段)
38A 後部ピストン
38B 前部ピストン
39A 後部液室
39B 前部液室
40A 後部入口ポート
40B 前部入口ポート
41A 後部出口ポート
41B 前部出口ポート
49A 後部サプライポート
49B 前部サプライポート
51 ストッッパ
C1 後部第1カップシール
C2 後部第2カップシール
C3 前部第1カップシール
C4 前部第2カップシール
C5 前部第3カップシール

Claims (1)

  1. 運転者の制動操作によりブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ(11)と、
    マスタシリンダ(11)に連通するとともに、電気的に制御可能なアクチュエータ(31)によりブレーキ液圧を発生する後部液室(39A)および前部液室(39B)を有する電気的液圧発生手段(23)と、
    後部液室(39A)および前部液室(39B)にそれぞれ連通して車輪を制動する制動力を発生する複数のホイールシリンダ(16,17,20,21)とを備え、
    電気的液圧発生手段(23)の失陥時にはマスタシリンダ(11)が発生するブレーキ液圧でホイールシリンダ(16,17,20,21)を作動させるブレーキ装置であって、
    電気的液圧発生手段(23)は、
    アクチュエータ(31)により前進して後部液室(39A)および前部液室(39B)にそれぞれブレーキ液圧を発生する後部ピストン(38A)および前部ピストン(38B)と、
    後部液室(39A)に形成されてマスタシリンダ(11)に接続する後部入口ポート(40A)およびホイールシリンダ(16,17)に接続する後部出口ポート(41A)と、
    後部入口ポート(40A)の後方に隣接して形成されてマスタシリンダ(11)に接続する後部サプライポート(49A)と、
    前部液室(39B)に形成されてマスタシリンダ(11)に接続する前部入口ポート(40B)およびホイールシリンダ(20,21)に接続する前部出口ポート(41B)と、
    前部入口ポート(40B)の後方に隣接して形成されてマスタシリンダ(11)に接続する前部サプライポート(49B)と、
    後部ピストン(38A)の前端に前向きに配置された後部第1カップシール(C1)と、
    後部ピストン(38A)の後端に前向きに配置された後部第2カップシール(C2)と、
    前部ピストン(38B)の前端に前向きに配置された前部第1カップシール(C3)と、
    前部ピストン(38B)の後端に後向きに配置された前部第2カップシール(C4)と、
    を備えたものにおいて、
    前部ピストン(38B)の前部第2カップシール(C4)の前方に隣接して前向きに配置された前部第3カップシール(C5)と、前部ピストン(38B)の後退限を規制するストッパ(51)とを備えたことを特徴とするブレーキ装置。
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