JP2010047216A - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スレーブシリンダの異常時に、第1系統のホイールシリンダに連なる液路が失陥した場合に、第2系統のホイールシリンダに連なる液路のブレーキ液圧の減圧を防止する。
【解決手段】 スレーブシリンダ23が作動不能になってマスタシリンダが発生するブレーキ液圧で制動を行う異常時に、スレーブシリンダ23の後部液圧室39Aおよび第1系統のホイールシリンダを接続する液路Pcが失陥すると、後部液圧室39Aの液圧が失われて後部ピストン38Aに対して前部ピストン38Bが後退してしまい、前部液圧室39Bの容積が拡大して第2系統のホイールシリンダに供給するブレーキ液圧が低下してしまう虞がある。しかしながら、スレーブシリンダ23の非作動時に前部ピストン38Bの後退がピン61と長孔38dとの当接により規制されているため、前部ピストン38Bは全く後退せず、前部液圧室39Bの容積拡大を完全に防止することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、運転者の制動操作によりブレーキ液圧を発生するタンデム式のマスタシリンダと、前記制動操作に応じてアクチュエータを電気的に制御してブレーキ液圧を発生するタンデム式のスレーブシリンダとを備えた車両用ブレーキ装置に関する。
かかるブレーキ装置において、スレーブシリンダが作動不能になってマスタシリンダが発生するブレーキ液圧で制動を行っているとき、2系統ある制動系の一系統が失陥してブレーキ液が漏れた場合に、タンデム式のスレーブシリンダの前後のピストンの間隔が拡大して他系統のホイールシリンダが充分な制動力を発生できなくなるのを防止すべく、スレーブシリンダの前後のピストンの最大間隔を規制する規制手段を備えたものが、下記特許文献1により公知である。
図5は、上記特許文献1に記載された車両用ブレーキ装置のスレーブシリンダ23の断面図である。
シリンダ本体36に後部ピストン38Aおよび前部ピストン38Bが摺動自在に嵌合し、後部ピストン38Aおよび前部ピストン38B間に区画された後部液圧室39Aに後部リターンスプリング37Aが配置され、前部ピストン38Bの前側に区画された前部液圧室39Bに前部リターンスプリング37Bが配置される。後部ピストン38Aと前部ピストン38Bとは、ばね座63およびボルト64よりなる規制手段62により、その最大間隔が規制されている。
スレーブシリンダ23が作動可能な正常時には、アクチュエータ31で後部ピストン38Aを前方に押圧することで、後部ピストン38Aおよび前部ピストン38Bを前進させ、後部液圧室39Aおよび前部液圧室39Bにブレーキ液圧を発生させ、液路Pcを介して第1系統のホイールシリンダを作動させ、液路Qcを介して第2系統のホイールシリンダを作動させる。
スレーブシリンダ23が作動不能な異常時には、マスタシリンダの一方の液圧室が発生したブレーキ液圧を、液路Pb、スレーブシリンダ23の後部液圧室39Aおよび液路Pcを介して第1系統のホイールシリンダに伝達し、マスタシリンダの他方の液圧室が発生したブレーキ液圧を、液路Qb、スレーブシリンダ23の前部液圧室39Bおよび液路Qcを介して第2系統のホイールシリンダに伝達することで、制動力を確保するようになっている。
この異常時に、第2系統のホイールシリンダの液路QcがF2位置で失陥して前部液圧室39Bのブレーキ液圧が解放した場合、その前部液圧室39Bに前端を臨ませた前部ピストン38Bが前進してしまうと、後部液圧室39Aの容積が拡大してブレーキ液圧が低下することで、液路Pcに連なる第1系統のホイールシリンダの制動力も失われてしまう問題がある。しかしながらが、規制手段62で後部ピストン38Aおよび前部ピストン38Bの最大間隔を規制したことで、後部液圧室39Aの容積の拡大を阻止して第1系統のホイールシリンダの制動力を確保することができる。
特開2008−143419号公報
上述したように、上記特許文献1に記載されたものは、第2系統のホイールシリンダの液路QcがF2位置で失陥した場合に、第1系統のホイールシリンダの制動力を確保することができる。逆に、第1系統のホイールシリンダの液路PcがF1位置で失陥した場合、失陥により減圧した後部液圧室39Aに後端を臨ませた前部ピストン38Bが後退してしまうと、前部液圧室39Bの容積が拡大してブレーキ液圧が低下することで第2系統のホイールシリンダの制動力も失われてしまう問題がある。しかしながらが、前部ピストン38Bの長孔38aがピン57に係合して該前部ピストン38Bの後退が規制されることで、前部液圧室39Bの容積拡大を阻止して第2系統のホイールシリンダの制動力を一応確保することができる。
スレーブシリンダ23の非作動時に、前部ピストン38Bの長孔38aの前端にピン57が当接していれば、第1系統のホイールシリンダの液路PcがF1位置で失陥した場合に前部ピストン38Bは全く後退することがないため、前部液圧室39Bの容積拡大を阻止して第2系統のホイールシリンダの制動力を完全に確保することができる。しかしながら、実際には、スレーブシリンダ23の非作動時に、前部ピストン38Bの長孔38aの前端にピン57を当接させることは困難であり、隙間αが発生することが避けられず、その隙間α分だけ前部ピストン38Bが後退することとで、第2系統のホイールシリンダの制動力が減少してしまう問題がある。
前記隙間αが発生する理由は以下の通りである。
スレーブシリンダ23の非作動時における後部ピストン38Aの位置は、その後端が後部リターンスプリング37Aでサークリップ53に押し付けられることで規制される。前部ピストン38Bの位置は後部ピストン38Aの位置を基準に規制されるもので、後部リターンスプリング37Aで前方に付勢された前部ピストン38Bは、規制手段62が伸びきった位置に停止する。このとき、前部ピストン38Bは前部リターンスプリング37Bで後方に付勢されるが、後部リターンスプリング37Aの前向きのばね力が前部リターンスプリング37Bの後向きのばね力よりも大きく設定されているため、規制手段62が伸びきった状態になる。
この状態で、前部ピストン38Bの長孔38aの前端がピン57の前端よりも後方にあると、前部ピストン38Bは組付不能になる。従って、各部品の寸法誤差を考慮して前部ピストン38Bを確実に組付可能にするには、サークリップ53からピン57の前端までの距離よりも、サークリップ53から前部ピストン38Bの長孔38aの前端までの距離の方が大きくなるように設定する必要があり、その余裕分が前部ピストン38Bの長孔38aの前端とピン57の前端との間の隙間αとなる。
しかして、第1系統のホイールシリンダの液路PcがF1位置で失陥した場合に、前部ピストン38Bは前記隙間αの分だけ後退することになり、前部ピストン38Bが後退する分だけ前部液圧室39Bの容積が拡大して第2系統のホイールシリンダの制動力が減少することになる。
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、スレーブシリンダの異常時に、第1系統のホイールシリンダに連なる液路が失陥した場合に、第2系統のホイールシリンダに連なる液路のブレーキ液圧の減圧を防止することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、運転者の制動操作によりブレーキ液圧を発生する二つの液圧室を有するタンデム式のマスタシリンダと、車輪を制動する制動力を発生するホイールシリンダと、前記制動操作に応じて電気的にブレーキ液圧を発生する後部液圧室および前部液圧室を有するタンデム式のスレーブシリンダと、前記マスタシリンダの一方の液圧室に前記スレーブシリンダの後部液圧室を介して接続された第1系統のホイールシリンダと、前記マスタシリンダの他方の液圧室に前記スレーブシリンダの前部液圧室を介して接続された第2系統のホイールシリンダとを備え、前記スレーブシリンダは、前記後部液圧室の後側および前記前部液圧室の後側にそれぞれ摺動自在に嵌合する後部ピストンおよび前部ピストンを備え、アクチュエータで後部ピストンを前進させることで前記後部液圧室および前記前部液圧室にブレーキ液圧を発生可能であり、正常時には前記スレーブシリンダが発生したブレーキ液圧で前記第1、第2系統のホイールシリンダを作動させ、異常時には前記マスタシリンダが発生したブレーキ液圧で前記第1、第2系統のホイールシリンダを作動させる車両用ブレーキ装置において、前記前部ピストンの後退を規制するストッパを備え、前記スレーブシリンダの非作動時に前記ストッパは前記前部ピストンに当接して該前部ピストンの後退を規制することを特徴とする車両用ブレーキ装置が提案される。
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、シリンダ本体に対する前記前部ピストンの後退限が前記ストッパにより規制され、かつ前記前部ピストンに対する前記後部ピストンの後退限が規制手段により規制されることを特徴とする車両用ブレーキ装置が提案される。
尚、実施の形態のピン61は本発明のストッパに対応する。
請求項1の構成によれば、スレーブシリンダが作動不能になる異常時には、マスタシリンダの一方の液圧室が発生したブレーキ液圧がスレーブシリンダの後部液圧室を通過して第1系統のホイールシリンダを作動させ、マスタシリンダの他方の液圧室が発生したブレーキ液圧がスレーブシリンダの前部液圧室を通過して第2系統のホイールシリンダを作動させる。このとき、スレーブシリンダの後部液圧室および第1系統のホイールシリンダを接続する液路が失陥すると、後部液圧室のブレーキ液圧が失われて後部ピストンに対して前部ピストンが後退してしまい、前部液圧室の容積が拡大して第2系統のホイールシリンダのブレーキ液圧が低下してしまう虞がある。しかしながら、スレーブシリンダの非作動時に前部ピストンの後退がストッパとの当接により規制されているため、第1系統のホイールシリンダに接続する液路が失陥しても前部ピストンは全く後退せず、よって前部液圧室の容積拡大を完全に防止し、第2系統のホイールシリンダを確実に作動させて制動力を確保することができる。
また請求項2の構成によれば、シリンダ本体に対する前部ピストンの後退限をストッパにより規制し、かつ前部ピストンに対する後部ピストンの後退限を規制手段により規制するので、シリンダ本体に対する前部ピストンおよび後部ピストンの後退限を共に精度良く管理することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明の実施の形態を示すもので、図1は車両用ブレーキ装置の正常時の液圧回路図、図2は図1に対応する異常時の液圧回路図、図3はスレーブシリンダの縦断面図、図4は後部ピストンおよび前部ピストンの斜視図である。
図1に示すように、タンデム型のマスタシリンダ11は、運転者がブレーキペダル12を踏む踏力に応じたブレーキ液圧を出力する二つの液圧室13A,13Bを備えており、一方の液圧室13Aは液路Pa,Pb,Pc,Pd,Pe(第1系統)を介して例えば左前輪および右後輪のディスクブレーキ装置14,15のホイールシリンダ16,17に接続されるとともに、他方の液圧室13Bは液路Qa,Qb,Qc,Qd,Qe(第2系統)を介して例えば右前輪および左後輪のディスクブレーキ装置18,19のホイールシリンダ20,21に接続される。
液路Pa,Pb間に常開型電磁弁である遮断弁22Aが配置され、液路Qa,Qb間に常開型電磁弁である遮断弁22Bが配置され、液路Pb,Qbと液路Pc,Qcとの間にスレーブシリンダ23が配置され、液路Pc,Qcと液路Pd,Pe;Qd,Qeとの間にABS装置24が配置される。
液路Qaから分岐する液路Ra,Rbには、常閉型電磁弁である反力許可弁25を介してストロークシミュレータ26が接続される。ストロークシミュレータ26は、シリンダ27にスプリング28で付勢されたピストン29を摺動自在に嵌合させたもので、ピストン29の反スプリング28側に形成された液圧室30が液路Rbに連通する。
スレーブシリンダ23のアクチュエータ31は、電動モータ32と、その出力軸に設けた駆動ベベルギヤ33と、駆動ベベルギヤ33に噛合する従動ベベルギヤ34と、従動ベベルギヤ34により作動するボールねじ機構35とを備える。スレーブシリンダ23のシリンダ本体36の内部に、後部リターンスプリング37Aおよび前部リターンスプリング37Bでそれぞれ後退方向に付勢された後部ピストン38Aおよび前部ピストン38Bが摺動自在に配置されており、後部ピストン38Aおよび前部ピストン38Bの前面にそれぞれ後部液圧室39Aおよび前部液圧室39Bが区画される。
図3および図4から明らかなように、後部液圧室39Aは、後部入力ポート40Aおよび後部サプライポート49Aを介して液路Pbに連通するとともに、後部出力ポート41Aを介して液路Pcに連通する。また前部液圧室39Bは、前部入力ポート40Bおよび前部第1サプライポート49Bを介して液路Qbに連通するとともに、前部出力ポート41Bを介して液路Qcに連通する。
後部ピストン38Aの前端には後部第1カップシールC1が前向き(前進時にシール機能を発揮するように)に設けられ、後部ピストン38Aの後端には後部第2カップシールC2が前向きに設けられる。前部ピストン38Bの前端には前部第1カップシールC3が前向きに設けられ、前部ピストン38Bの後端には前部第2カップシールC4が後向き(後部液圧室39Aに発生するブレーキ液圧に対してシール機能を発揮するように)に設けられる。更に、前部ピストン38Bの中間部に前向きの前部第3カップシールC5が設けられる。
後部ピストン38Aの中間部には後部第1、第2カップシールC1,C2に挟まれた後部リザーバ室38aが形成されており、この後部リザーバ室38aに後部サプライポート49Aが連通する。前部ピストン38Bの前部には前部第1、第3カップシールC3,C5に挟まれた前部第1リザーバ室38bが形成されており、この前部第1リザーバ室38bに前部第1サプライポート49Bが連通する。また前部ピストン38Bの後部には前部第2、第3カップシールC4,C5に挟まれた前部第2リザーバ室38cが形成されており、この前部第2リザーバ室38cに前部第2サプライポート50が連通する。前部第2サプライポート50は、液路Rcを介してマスタシリンダ11のリザーバ51に連通する(図1参照)。
後部液圧室39Aは前向きの後部第1カップシールC1と後向きの前部第2カップシールC4とに挟まれて液密が確保され、また後部リザーバ室38aからの後方への液漏れは前向きの後部第2カップシールC2により阻止される。前部液圧室39Bは前向きの前部第1カップシールC3により液密が確保され、また前部第1リザーバ室38bからの後方への液漏れは前向きの前部第3カップシールC5により阻止される。
スレーブシリンダ23の非作動時に後部ピストン38Aの後部第1カップシールC1は後部入力ポート40Aの直後方に位置しており、前部ピストン38Bの前部第1カップシールC3は前部入力ポート40Bの直後方に位置している。従って、電動モータ32を一方向に駆動すると、駆動ベベルギヤ33、従動ベベルギヤ34およびボールねじ機構35を介して後部ピストン38Aが前進し、後部第1カップシールC1が後部入力ポート40Aを通過して後部液圧室39Aにブレーキ液圧が発生する。後部ピストン38Aの前進に応じて前部ピストン38Bが前進し、前部第1カップシールC3が前部入力ポート40Bを通過して前部液圧室39Bにブレーキ液圧が発生する。
スレーブシリンダ23の前部ピストン38Bは、前部第1カップシールC3と前部第3カップシールC5との間に直径方向に貫通する長孔38dを備えており、その長孔38dがシリンダ本体36に固定したピン61に摺動自在に嵌合する。前部ピストン38Bは前部リターンスプリング37Bで後方に付勢されているため、スレーブシリンダ23の非作動時に前記長孔38dの前端がピン61の前端に当接することで、前部ピストン38Bの後退が規制される。
後部液圧室39Aの容積を縮小してブレーキ液圧を発生させるべく、後部ピストン38Aは前部ピストン38Bに対して接近可能であるが、その最大距離が規制手段62により規制される。規制手段62は、前部ピストン38Bの後端に形成された環状突起38eにカシメ部63aにより固定されたばね座63と、カシメ部63aから後方に筒状に延びるガイド部63bの後端の孔63cに頭部64aを係合させ、その後端が後部ピストン38Aの前端に螺合するボルト64とで構成される。
通常は、ばね座63および後部ピストン38A間に縮設された後部リターンスプリング37Aの弾発力で後部ピストン38Aおよび前部ピストン38Bは相互に離反する方向に付勢されており、ボルト64の頭部64aがばね座63の孔63cの周囲に当接して後部ピストン38Aおよび前部ピストン38Bの距離が最大距離に規制されるが、ボルト64が孔63cに沿って摺動することで、後部ピストン38Aは前部ピストン38Bに対して接近可能である。
スレーブシリンダ23の非作動時に、前部リターンスプリング37Bで後方に付勢された前部ピストン38Bのシリンダ本体36に対する後退限をストッパピン61により規制し、かつ前部ピストン38Bに対して後部リターンスプリング37Aで後方に付勢された後部ピストン38Aの後退限を規制手段62により規制するので、シリンダ本体36に対する前部ピストン38Bおよび後部ピストン38Aの後退限を共に精度良く管理し、アクチュエータ31の作動と同時に後部液圧室39Aおよび前部液圧室39Bに応答性良くブレーキ液圧を発生させることができる。
図1に示すように、ABS装置24の構造は周知のもので、左前輪および右後輪のディスクブレーキ装置14,15の第1系統と、右前輪および左後輪のディスクブレーキ装置18,19の第2系統とに同じ構造のものが設けられる。その代表として左前輪および右後輪のディスクブレーキ装置14,15の第1系統について説明すると、液路Pcと液路Pd,Peとの間に一対の常開型電磁弁よりなるインバルブ42,42が配置され、インバルブ42,42の下流側の液路Pd,Peとリザーバ43との間に常閉型電磁弁よりなるアウトバルブ44,44が配置される。リザーバ43と液路Pcとの間に、一対のチェックバルブ45,46に挟まれた液圧ポンプ47が配置されており、この液圧ポンプ47は電動モータ48により駆動される。
遮断弁22A,22B、反力許可弁25、スレーブシリンダ23およびABS装置24の作動を制御する不図示の電子制御ユニットには、マスタシリンダ11が発生するブレーキ液圧を検出する液圧センサSaと、ディスクブレーキ装置18,19に伝達されるブレーキ液圧を検出する液圧センサSbと、各車輪の車輪速を検出する車輪速センサSc…とが接続される。
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用について説明する。
システムが正常に機能する正常時には、図1に示すように、常開型電磁弁よりなる遮断弁22A,22Bが消磁されて開弁し、常閉型電磁弁よりなる反力許可弁25が励磁されて開弁する。この状態で液路Qaに設けた液圧センサSaが運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検出すると、スレーブシリンダ23のアクチュエータ31が作動して後部および前部ピストン38A,38Bが前進することで、後部および前部液圧室39A,39Bにブレーキ液圧が発生する。このブレーキ液圧はABS装置24の開弁したインバルブ42…を介してディスクブレーキ装置14,15;18,19のホイールシリンダ16,17;20,21に伝達され、各車輪を制動する。
スレーブシリンダ23の後部および前部ピストン38A,38Bが僅かに前進すると、液路Pb,Qbと後部および前部液圧室39A,39Bとの連通が遮断されるため、マスタシリンダ11が発生したブレーキ液圧はディスクブレーキ装置14,15;18,19に伝達されることはない。このとき、マスタシリンダ11の他方の液圧室13Bが発生したブレーキ液圧は開弁した反力許可弁25を介してストロークシミュレータ26の液圧室30に伝達され、そのピストン29をスプリング28に抗して移動させることで、ブレーキペダル12のストロークを許容するとともに擬似的なペダル反力を発生させて運転者の違和感を解消することができる。
そして液路Qcに設けた液圧センサSbで検出したスレーブシリンダ23によるブレーキ液圧が、液路Qaに設けた液圧センサSaで検出したマスタシリンダ11によるブレーキ液圧に応じた大きさになるように、スレーブシリンダ23のアクチュエータ31の作動を制御することで、運転者がブレーキペダル12に入力する踏力に応じた制動力をディスクブレーキ装置14,15;18,19に発生させることができる。
上述した制動中に、車輪速センサSc…の出力に基づいて何れかの車輪のスリップ率が増加してロック傾向になったことが検出されると、常開型電磁弁よりなる遮断弁22A,22Bを励磁して閉弁するとともにスレーブシリンダ23を作動状態に維持し、この状態でABS装置24を作動させて車輪のロックを防止する。
即ち、所定の車輪がロック傾向になると、その車輪のディスクブレーキ装置のホイールシリンダに連なるインバルブ42を閉弁してスレーブシリンダ23からのブレーキ液圧の伝達を遮断した状態で、アウトバルブ44を開弁してホイールシリンダのブレーキ液圧をリザーバ43に逃がす減圧作用と、それに続いてアウトバルブ44を閉弁してホイールシリンダのブレーキ液圧を保持する保持作用とを行うことで、車輪がロックしないように制動力を低下させる。
その結果、車輪速度が回復してスリップ率が低下すると、インバルブ42を開弁してホイールシリンダのブレーキ液圧が増加させる増圧作用を行うことで、車輪の制動力を増加させる。この増圧作用により車輪が再びロック傾向になると、前記減圧、保持、増圧を再び実行し、その繰り返しにより車輪のロックを抑制しながら最大限の制動力を発生させることができる。その間にリザーバ43に流入したブレーキ液は、液圧ポンプ47により上流側の液路Pc,Qcに戻される。
上述したABS制御を実行している間、遮断弁22A,22Bが閉弁状態に維持されることで、ABS装置24の作動による液圧変化がキックバックとなってマスタシリンダ11からブレーキペダル12に伝達されるのを防止することができる。
さて、電源が失陥すると、図2に示すように、常開型電磁弁よりなる遮断弁22A,22Bは自動的に開弁し、常閉型電磁弁よりなる反力許可弁25は自動的に閉弁し、常開型電磁弁よりなるインバルブ42…は自動的に開弁し、常閉型電磁弁よりなるアウトバルブ44…は自動的に閉弁する。この状態では、マスタシリンダ11の二つの液圧室13A,13Bにおいて発生したブレーキ液圧は、ストロークシミュレータ26に吸収されることなく、遮断弁22A,22B、スレーブシリンダ23の後部および前部液圧室39A,39Bおよびインバルブ42…を通過して各車輪のディスクブレーキ装置14,15;18,19のホイールシリンダ16,17;20,21を作動させ、支障なく制動力を発生させることができる。
ところで、上述した異常時にスレーブシリンダ23の前部液圧室39Bと第2系統のホイールシリンダ20,21とを接続する液路Qc,Qd,Qeの何れかの位置(例えば、図5に符号F2で示す位置)が失陥してブレーキ液が漏れると、従来は以下のような問題が発生していた。
例えば液路Qcが失陥すると前部液圧室39Bのブレーキ液圧が失われるため、マスタシリンダ10の一方の液圧室13Aから後部液圧室39Aに伝達されるブレーキ液圧で、前部ピストン38Bが前進限(前部ピストン38Bの前端がシリンダ本体36に当接する位置)まで前進する。その結果、後部液圧室39Aの容積が拡大し、後部液圧室39Aと第1系統のホイールシリンダ16,17とを接続する液路Pc,Pd,Peのブレーキ液圧が低下するため、ブレーキペダル12のペダルストロークが増加したり、第1系統のホイールシリンダ16,17の制動力が低下したりする可能性がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、図3に示すように、後部ピストン38Aと前部ピストン38Bとが規制手段62で接続されているため、前部ピストン38Bの前進が抑制されて後部液圧室39Aの容積拡大が防止され、マスタシリンダ11の一方の液圧室13Aで発生したブレーキ液圧で第1系統のホイールシリンダ16,17を確実に作動させることができる。
また上述した異常時にスレーブシリンダ23の後部液圧室39Aと第1系統のホイールシリンダ16,17とを接続する液路Pc,Pd,Peの何れかの位置(例えば、図5に符号F1で示す位置)が失陥してブレーキ液が漏れると、従来は以下のような問題が発生していた。
例えば液路Pcが失陥すると後部液圧室39Aのブレーキ液圧が失われるため、マスタシリンダ10の他方の液圧室13Bから前部液圧室39Bに伝達されるブレーキ液圧で、前部ピストン38Bが後方に向けて付勢される。このとき、図5で説明したように、前部ピストン38Bの長孔38dの前端とピン61の前端との間に隙間αが存在すると、その隙間α分だけ前部ピストン38Bが後退して前部液圧室39Bの容積が拡大し、第2系統のホイールシリンダ20,21の制動力が低下する可能性がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、図3に示すように、スレーブシリンダ23の非作動時に既に前部ピストン38Bの長孔38dの前端とピン61の前端とが当接しているために前部ピストン38Bは全く後退せず、前部液圧室39Bの容積拡大を防止して第2系統のホイールシリンダ20,21を確実に作動させることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、本発明のストッパは実施の形態のピン61に限定されず、任意の形状のものを採用することができる。
車両用ブレーキ装置の正常時の液圧回路図 図1に対応する異常時の液圧回路図 スレーブシリンダの縦断面図 後部ピストンおよび前部ピストンの斜視図 従来のスレーブシリンダの縦断面図
符号の説明
11 マスタシリンダ
13A 液圧室
13B 液圧室
16 ホイールシリンダ
17 ホイールシリンダ
20 ホイールシリンダ
21 ホイールシリンダ
23 スレーブシリンダ
31 アクチュエータ
36 シリンダ本体
38A 後部ピストン
38B 前部ピストン
39A 後部液圧室
39B 前部液圧室
61 ピン(ストッパ)
62 規制手段

Claims (2)

  1. 運転者の制動操作によりブレーキ液圧を発生する二つの液圧室(13A,13B)を有するタンデム式のマスタシリンダ(11)と、
    前記制動操作に応じて電気的にブレーキ液圧を発生する後部液圧室(39A)および前部液圧室(39B)を有するタンデム式のスレーブシリンダ(23)と、
    前記マスタシリンダ(11)の一方の液圧室(13A)に前記スレーブシリンダ(23)の後部液圧室(39A)を介して接続された第1系統のホイールシリンダ(16,17)と、
    前記マスタシリンダ(11)の他方の液圧室(13B)に前記スレーブシリンダ(23)の前部液圧室(39B)を介して接続された第2系統のホイールシリンダ(20,21)と、
    を備え、
    前記スレーブシリンダ(23)は、前記後部液圧室(39A)の後側および前記前部液圧室(39B)の後側にそれぞれ摺動自在に嵌合する後部ピストン(38A)および前部ピストン(38B)を備え、アクチュエータ(31)で後部ピストン(38A)を前進させることで前記後部液圧室(39A)および前記前部液圧室(39B)にブレーキ液圧を発生可能であり、
    正常時には前記スレーブシリンダ(23)が発生したブレーキ液圧で前記第1、第2系統のホイールシリンダ(16,17;20,21)を作動させ、異常時には前記マスタシリンダ(11)が発生したブレーキ液圧で前記第1、第2系統のホイールシリンダ(16,17;20,21)を作動させる車両用ブレーキ装置において、
    前記前部ピストン(38B)の後退を規制するストッパ(61)を備え、前記スレーブシリンダ(23)の非作動時に前記ストッパ(61)は前記前部ピストン(38B)に当接して該前部ピストン(38B)の後退を規制することを特徴とする車両用ブレーキ装置。
  2. シリンダ本体(36)に対する前記前部ピストン(38B)の後退限が前記ストッパ(61)により規制され、かつ前記前部ピストン(38B)に対する前記後部ピストン(38A)の後退限が規制手段(62)により規制されることを特徴とする、請求項1に記載の車両用ブレーキ装置。
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