JP2009160261A - シート表皮 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シート表皮22の裏面側に一体的状態として配設された線状部材50が係止部材52を介してシートパッド20に係止される吊り込み構造に適用されるシート表皮22において、原反から裁断される裁断ピース30を、2区画に分けてシートパッド20の外表面を被覆することのできる区分位置においてシート表皮22の裏面側となる裁断ピース30の面方向にループ形状を形成するように折り曲げて該ループ形状の基端部32aを縫製し、該ループ形状箇所を線状部材50が挿通して配設される線状部材配設部位32とする。線状部材配設部位32には係止部材52を線状部材50に係止するための開口部を形成する。
【選択図】図2
Description
第2の発明によれば、所定の位置に容易に線状部材配設部位を設定することができる。
第3の発明によれば、吊り込み構造で区画された裁断ピースの表皮模様を統一性のある模様として表現することが可能である。
図1〜5を参照しながら実施形態1について説明する。図1に示されるように、本実施形態に係るシート10は、背もたれとなるシートバック12、座面となるシートクッション14、着座者の頭を支えるヘッドレスト(図示省略)を主体として構成されており、シートバック12に本発明が適用されている。シートバック12は、着座者の背中が当る中央位置が略平らで両側部が盛り上がった外形形状とされている。シートバック12は、その外形形状として形成されたシートパッド20(図2参照)がシート表皮で表装されている。シート表皮は、シートパッド20の立体的な外形形状に追従可能なように、異なる形状に裁断された複数のシート表皮を縫製して袋状とされている。すなわち、中央に位置するシート表皮22、側部に位置するシート表皮23,24、側面に位置するシート表皮25等が縫製されて袋状とされている。本発明は、シートバック12の中央の略平らな部分の外表面を構成するシート表皮22に適用されている。その他の位置のシート表皮については特に変更を要するものではないので詳細な説明を省略し、以下、シートバック12の中央の略平らな部分の外表面を構成するシート表皮22のことを単に「シート表皮」という。また、以下の説明では、シート10の着座者からみた上下左右方向を基準としてシート表皮22上下左右方向を定めることとする。図中に矢印で示すU,Lはシート表皮22の上方,左方を示している。
先ず、図3に示されるように、原反から裁断ピース30を裁断する。シート表皮22は原反から裁断される1枚の裁断ピース30で形成されている。つまり、両パッド被覆部位38a,38bと線状部材配設部位32とがこの1枚の裁断ピース30から形成されている。裁断ピース30は略長方形であり、長方形の上下方向の略中央の左右対称位置が三角形に切り欠かれ、切り欠き部42a,42bが形成されている。この切り欠き部42a,42bはそれぞれ上下対称形状である。裁断ピース30の上下方向でみて切り欠き部42a,42bと同位置の内側には左右に位置のずらされた二つの孔部36a,36bが形成されている。孔部36a,36bはそれぞれ上下対称の円形である。切り欠き部42a,42bと孔部36a,36bとが形成された上下方向位置が当該裁断ピース30の区分位置、すなわち両パッド被覆部位38a,38bの区分位置となる。また、この裁断ピース30の上方にはヘッドレストのステーを挿通するための2つの丸孔49a,49bが左右対称に形成されている。
以上のように作成されたシート表皮22においては、裏面側の線状部材配設部位32に線状部材50が挿通され両端が折り返されて抜け留めされることで線状部材50が一体的状態として配設される。線状部材配設部位32に挿通された線状部材50は、その一部が開口部40a,40bから露出することとなる。線状部材50は開口部40a,40bから露出した箇所が係止部材52を介してシートパッド20のインサートワイヤ54に係止される(図2参照)。
線状部材50を線状部材配設部位32に挿通させることにより線状部材50をシート表皮22と一体的状態として容易に配設することができる。
また、吊り込み構造28の位置で区分された2区画の外表面を構成する2つのパッド被覆部位38a,38bと裏面側の線状部材配設部位32とが1枚の裁断ピース30より形成されているため、シート表皮22を構成する部品点数が少ない。
また、裁断ピース30には、線状部材配設部位32を形成するためのループ形状の先端32bの仮想折り線34に関して対称な孔部36a,36bおよび切り欠き部42a,42bが予め形成されている。そのため、孔部36a,36bおよび切り欠き部42a,42bをそれぞれ半分に折り曲げてその形状を合わせることで、裁断ピース30を所定の位置で折り曲げることができる。したがって、線状部材配設部位32を所定の正確な位置に形成することができる。
また、このシート表皮22には吊り込み構造28の位置で区分された両区画に跨って統一性のある同じ表皮模様が付されているが、その表皮模様がずれにくい点でも有利である。すなわち、シート表皮が区分位置で完全に分割されている場合は、図1に二点鎖線で示されるように、表皮模様が左右方向(吊り込み構造28の長手方向)にずれやすく両区画の表皮模様を合わせるのが困難である。これに対し、シート表皮22は1枚の裁断ピース30で形成されており、更にその1枚の裁断ピース30を折り線34に関して対称に形成された孔部36a,36bおよび切り欠き部42a,42bの形状を半分に折り重ねるように折り曲げるようになっている。そのため、両区画のパッド被覆部位38a,38bの相対位置を正確に設定して容易に表皮模様を合わせることができる。
また、線状部材配設部位32が裁断ピース30を折り曲げて形成されたループ形状箇所であるため、挿通された線状部材50が係止部材52を介してシートパッド20に埋設されたインサートワイヤ54に係止されると、両パッド被覆部位38a,38bを均等に吊り込むことができる。そのため、シート表皮22が吊り込み構造28により弛んだり引き攣ったりしにくく、シートバック12の表面形状を安定させることができる。
図6〜10を参照しながら実施形態2について説明する。なお、上記実施形態1から変更を要しない部材については図中に同じ符号で示し、詳細な説明を省略する。
本実施形態のシート表皮72は、シートバック60の中央の略平らな部分の外表面を構成している。シートバック60は、中央の略平らな部分を上下に区画する吊り込み構造62を有している。シート表皮72は、この吊り込み構造62で区分された両区画に跨って配設されており、シートパッド20の外表面を被覆するパッド被覆部位74a,74bが吊り込み構造62の位置で区分されている。そして、シート表皮72は、パッド被覆部位74a,74bの区分位置の裏面側に線状部材配設部位76を有している。線状部材配設部位76に線状部材50が挿通され、線状部材50がシートパッド20に埋設されたインサートワイヤ54にC字状のリングからなる係止部材52でかしめられている。以上の基本的構成は上記実施形態1と同様である。
シート表皮72は、シートパッド20の溝部56にパッド被覆部位74a,74bの一部が引き込まれており、その結果、シートバック12の表面形状として吊り込み構造62の設定箇所で溝状に凹んだ形状となっている。この点が上記実施形態1とは異なっている。
図8に示されるように、シート表皮72を形成する裁断ピース80は、略長方形であり、線状部材配設部位76を形成するために当該裁断ピース80を折り曲げて形成するループ形状の先端76bとなる仮想折り線78上の左右対称位置が切り欠かれ、切り欠き部82a,82bが形成されている。切り欠き部82a,82bは折り線78に関して対称形状でありベース形状が横転したような形である。折り線78上の内側には、左右(折り線78の長手方向)に位置がずらされて孔部84a,84bが形成されている。孔部84a,84bは折り線78に関して対称な円形である。この裁断ピース80の上方にはヘッドレストのステーを挿通するための2つの丸孔86a,86bが左右対称に形成されている。
例えば、裁断ピース30に孔部36a,36bを設けずに線状部材配設部位32に後から開口部40a,40bを形成してもよい。しかし、線状部材配設部位32を形成するための折り線34に関して対称形状の孔部36a,36bを裁断ピース30に予め設けておけば、折り曲げ位置(折り線34)の指標となる。また、切り欠き部42a,42bは必ずしも設ける必要はないが、設ければ折り曲げ位置(折り線34)の指標となる。少なくとも、線状部材配設部位32を形成するための折り線34に関して対称形状の切り欠き又は孔部を裁断ピース30に予め形成しておくのが好ましい。
また、本発明はシートバック12のみならずシートクッション14のシート表皮に適用してもよい。
また、本発明のシート表皮の使用形態は上記実施形態に限定されない。例えば図11に示されるように、円錐型のフック90を一体的に備えた線状部材92を線状部材配設部位32に配設し、シートパッド20に埋設された線状の部材94の溝に前記円錐型のフック90を抜け留め状態に嵌合させるようにしてもよい。この場合、円錐型のフック90が本発明の係止部材に相当する。このような使用形態では、図12に示されるように、線状部材配設部位32の開口部40a,40bに円錐型のフック90を挿通することで線状部材92を線状部材配設部位32に対して容易に位置決めすることができる。
20 シートパッド
22 シート表皮
28 吊り込み構造
30 裁断ピース
32 線状部材配設部位
32a ループ形状の基端部
32b ループ形状の先端
34 折り線
36a,36b 孔部
38a,38b パッド被覆部位
40a,40b 開口部
50 線状部材
52 係止部材
60 シートバック
62 吊り込み構造
72 シート表皮
74a,74b パッド被覆部位
76b ループ形状の先端
76a ループ形状の基端部
76 線状部材配設部位
78 折り線
80 裁断ピース
84a,84b 孔部
86a,86b 開口部
90 フック
92 線状部材
Claims (3)
- シートパッドの外表面にシート表皮をシートパッドへの吊り込み構造で被覆するに当って、シート表皮の裏面側に線状部材がシート表皮の吊り込み方向に対してシート表皮と一体的状態として配設され、該線状部材が係止部材を介してシートパッドに係止される構成となっている吊り込み構造に適用されるシート表皮であって、
前記線状部材のシート表皮の裏面側への配設位置を、シート表皮を形成するために原反から裁断される裁断ピースを2区画に分けて前記シートパッドの外表面を被覆することのできる区分位置とし、該裁断ピースの区分位置においてシート表皮の裏面側となる裁断ピースの面方向にループ形状を形成するように折り曲げて該ループ形状の基端部を縫製し、該ループ形状箇所を前記線状部材が挿通して配設される線状部材配設部位とし、該ループ形状の線状部材配設部位には前記係止部材を前記線状部材に係止するための開口部が形成されていることを特徴とするシート表皮。 - 請求項1に記載のシート表皮であって、
前記ループ形状の線状部材配設部位に形成される開口部は前記ループ形状の先端の折り線に関して対称な孔部として前記裁断ピースに予め形成されていることを特徴とするシート表皮。 - 請求項1または請求項2に記載のシート表皮であって、
前記裁断ピースには2区画に分けられる両区画に跨った統一性のある同じ表皮模様が付されていることを特徴とするシート表皮。
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