JP2009155541A - ハードコート組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハードコートの光干渉を抑えるという特性を高屈折レンズに対して維持したまま紫外線に対する黒化現象や膜剥がれ現象を抑え、またカラーレンズの変色、脱色を抑え、環境負荷をもたらすおそれがほとんどなく、かつ、長期使用した場合も美観を損なわない屈折率1.55以上のハードコートを形成可能なハードコーティング組成物を提供する。
【解決手段】アルコキシシラン加水分解物中に、平均粒径5〜30nmのジルコニアコロイド粒子が分散剤を介して分散されてなり、屈折率1.55以上のハードコートを形成可能とされていることを特徴とするハードコーティング組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハードコート組成物に関し、特に高屈折の有機ガラス製の光学要素(有機ガラス成型品)に好適なものである。ここで、光学要素とは、眼鏡レンズ、カメラ用レンズ等のレンズの他に、照明器具用カバー、反射鏡、プリズム、フィルター、を含む有機ガラス成形品を含む概念である。
以下、眼鏡用レンズを主として例に採り説明するがこれに限られるものではない。
本願特許請求の範囲・明細書における、配合単位(混合単位)は、特に断らない限り質量単位を意味する。
光学レンズとして用いられる有機ガラスは従来の無機ガラスと比較して軽量かつ耐衝撃性に優れ可染性で加工も容易であるという特徴より一般に普及してきている。
但し、有機ガラスの状態では無機ガラスと比較して耐磨耗性が低く傷がつきやすい。このため、耐磨耗性の向上を目的として有機ガラス表面にシリコーン系のハードコートを施すことが一般的に行われている。そして、本願出願人は、先にエポキシ基含有シラン化合物、カルボン酸、硬化剤からなる可染性のハードコート組成物(コーティング組成物)を提案し、一部実用化している(特許文献1)。
また、有機ガラスは無機ガラスに比して相対的に屈折率が低く光学レンズに用いた場合レンズ端面が厚くなってしまい強度の視力矯正用には適さないとされていた。しかし、近年に至っては技術革新によって、有機ガラスにおいても屈折率1.60以上の高屈折率を有する有機ガラスが実用化されてきている。
本発明者(ら)は、このような高屈折の有機ガラスに対して適用可能なように、例えば、酸化鉄/酸化チタン複合微粒子を添加した高屈折のハードコート組成物(光学プラスチック成形品用塗料組成物)を特許文献2において提案し、一部実用化している(特許請求の範囲等)。
近年の動向としてはファッション性がより重視され、より多種のカラーリングレンズに対応しなければならなくなってきている。さらに、有機ガラスレンズの高屈折化に伴いレンズ自身の着色性(着色スピード)が低下するという問題が発生してきた。
特許文献2に記載の塗料組成物で形成するハードコートは、1.60までの屈折率を有する有機ガラス製のレンズにおける光干渉を抑えるという特性は優れている。しかし、本発明者(ら)は、これを長期使用した場合、塗膜成分として用いた酸化鉄/酸化チタン複合酸化微粒子中の酸化鉄の部分が紫外線によって黒化現象を起こし美観を損ねることがあることを知見した(表2比較例1参照)。
さらに、同酸化鉄/酸化チタン複合酸化微粒子中の酸化チタンの光触媒作用により、紫外線が照射されるとハードコートが著しく劣化したり(例えば、全面クラック)、同組成物に着色した場合、紫外線照射後変色、脱色を起こしたりすることを知見した(同上)。
そこで、本発明者(ら)は、特許文献2におけるハードコート組成物の光干渉を抑えるという特性を高屈折レンズに対して維持したまま紫外線に対する黒化現象を抑え、またカラーレンズの変色、脱色を抑え長期使用した場合も美観を損なわないハードコート組成物を提供することを目的として下記構成のハードコート組成物を特許文献3において提案し、一部実用化している(特許請求の範囲等)。
「アルコキシシラン加水分解物中に、五酸化二ニオブ(Nb25:以下単に「酸化ニオブ」という。)微粒子がコロイド状態で分散されていることを特徴とするハードコート組成物。」
また、本発明者(ら)は、最近になって、特許文献3のハードコート組成物で形成したハードコートは、長時間熱水処理試験において、該組成物の必須成分である酸化ニオブ微粒子を分散させるために使用するアニオン系界面活性剤が溶出することを知見した(表2比較例2参照)。
アニオン系界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム類、ステアリン酸ナトリウムは、人体への影響は実質的に無いが、環境負荷(湖沼の富栄養化等)を与えるおそれがある。このため、アニオン系界面活性剤を使用しないハードコート組成物の開発が要望されてきている。
なお、特許文献4は、本発明で使用する有機分散ジルコニアゾルの製造方法を記載した公知文献である。
特公昭57-42665号公報(特許請求の範囲等) 特許第2577670号(特許請求の範囲等) 特開2006-249351号公報(特許請求の範囲等) 特開2007-238422号公報(特許請求の範囲等)
本発明は、上記にかんがみて、塗料組成物の光干渉を抑えるという特性を高屈折レンズに対して維持したまま紫外線に対する黒化現象や膜剥がれ現象を抑え、またカラーレンズの変色、脱色を抑え、環境負荷を与えるおそれがほとんどないとともに、長期使用後も美観を損なわないハードコートを形成可能なハードコート組成物を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、特許文献4に記載の有機溶媒分散ジルコニアゾルに着目して、鋭意、開発に努力をした結果、下記構成のハードコート組成物に想到した。
アルコキシシラン加水分解物中に、5〜30nmの有機溶媒分散ジルコニアゾルが酢酸、β−ジケトン、サリチル酸及びこれらの誘導体の群から選択される1種又は2種以上の安定剤を用いて分散されてなることを特徴とするハードコート組成物。
以下、本発明の各構成(発明特定事項)の望ましい形態について詳細に説明する。
(1)本組成物の母材(マトリックス)とする、アルコキシシラン加水分解物は、
(A)成分:一般式
Figure 2009155541
(但し、R1はHまたはCH3、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、R3は炭素数1〜4のアルキル基)
で示されるトリアルコキシシランの加水分解物と、
(B)成分:一般式
Si(OR4)4
(但し、R4は炭素数1〜4のアルキル基で表されるケイ素化合物の加水分解物)
で示されるテトラアルコキシシランとの混合物とすることが望ましい。
(1-1)上記(A)成分(トリアルコキシシラン)としては、具体的には下記のもののうちから1種または2種以上を選択して使用できる。特にR2(アルキレン基)の炭素数3〜4のものが望ましい。
グリシドキシメチルトリメトキシシラン,グリシドキシメチルトリエトキシシラン,グリシドキシメチルトリプロポキシシラン,グリシドキシメチルトリブトキシシラン,αグリシドキシエチルトリメトキシシラン,αグリシドキシエチルトリエトキシシラン,αグリシドキシエチルトリプロポキシシラン,αグリシドキシエチルトリブトキシシラン,βグリシドキシエチルトリメトキシシラン,βグリシドキシエチルトリエトキシシラン,βグリシドキシエチルトリプロポキシシラン,βグリシドキシエチルトリブトキシシラン,αグリシドキシプロピルトリメトキシシラン,αグリシドキシプロピルトリエトキシシラン,αグリシドキシプロピルトリプロポキシシラン,αグリシドキシプロピルトリブトキシシラン,βグリシドキシプロピルトリメトキシシラン,βグリシドキシプロピルトリエトキシシラン,βグリシドキシプロピルトリプロポキシシラン,βグリシドキシプロピルトリブトキシシラン,γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン,γグリシドキシプロピルトリエトキシシラン,γグリシドキシプロピルトリプロポキシシラン,γグリシドキシプロピルトリブトキシシラン,αグリシドキシブチルトリメトキシシラン,αグリシドキシブチルトリエトキシシラン,αグリシドキシブチルトリプロポキシシラン,αグリシドキシブチルトリブトキシシラン,βグリシドキシブチルトリメトキシシラン,βグリシドキシブチルトリエトキシシラン,βグリシドキシブチルトリプロポキシシラン,βグリシドキシブチルトリブトキシシラン,γグリシドキシブチルトリメトキシシラン,γグリシドキシブチルトリエトキシシラン,γグリシドキシブチルトリプロポキシシラン,γグリシドキシブチルトリブトキシシラン,δグリシドキシブチルトリメトキシシラン,δグリシドキシブチルトリエトキシシラン,δグリシドキシブチルトリプロポキシシラン,δグリシドキシブチルトリブトキシシラン,βメチルグリシドキシメチルトリメトキシシラン,βメチルグリシドキシメチルトリエトキシシラン,βメチルグリシドキシメチルトリプロポキシシラン,βメチルグリシドキシメチルトリブトキシシラン,βメチルαグリシドキシエチルトリメトキシシラン,βメチルαグリシドキシエチルトリエトキシシラン,βメチルアルファグリシドキシエチルトリプロポキシシラン,βメチルαグリシドキシエチルトリブトキシシラン,βメチルβグリシドキシエチルトリメトキシシラン,βメチルβグリシドキシエチルトリエトキシシラン,βメチルβグリシドキシエチルトリプロポキシシラン,βメチルβグリシドキシエチルトリブトキシシラン,βメチルαグリシドキシプロピルトリメトキシシラン,βメチルαグリシドキシプロピルトリエトキシシラン,βメチルαグリシドキシプロピルトリプロポキシシラン,βメチルαグリシドキシプロピルトリブトキシシラン,βメチルβグリシドキシプロピルトリメトキシシラン,βメチルβグリシドキシプロピルトリエトキシシラン,βメチルβグリシドキシプロピルトリプロポキシシラン,βメチルβグリシドキシプロピルトリブトキシシラン,βメチルγグリシドキシプロピルトリメトキシシラン,βメチルγグリシドキシプロピルトリエトキシシラン,βメチルγグリシドキシプロピルトリプロポキシシラン,βメチルγグリシドキシプロピルトリブトキシシラン,βメチルαグリシドキシブチルトリメトキシシラン,βメチルαグリシドキシブチルトリエトキシシラン,βメチルαグリシドキシブチルトリプロポキシシラン,βメチルαグリシドキシブチルトリブトキシシラン,βメチルβグリシドキシブチルトリメトキシシラン,βメチルβグリシドキシブチルトリエトキシシラン,βメチルβグリシドキシブチルトリプロポキシシラン,βメチルβグリシドキシブチルトリブトキシシラン,βメチルγグリシドキシブチルトリメトキシシラン,βメチルγグリシドキシブチルトリエトキシシラン,βメチルγグリシドキシブチルトリプロポキシシラン,βメチルγグリシドキシブチルトリブトキシシラン,βメチルδグリシドキシブチルトリメトキシシラン,βメチルδグリシドキシブチルトリエトキシシラン,βメチルδグリシドキシブチルトリプロポキシシラン,βメチルδグリシドキシブチルトリブトキシシラン等を挙げることができる。
(1-2)上記(B)成分(トリアルコキシシラン)としては、具体的にはテトラエトキシシラン(ケイ酸エチル),テトラメトキシシラン,テトラプロキシシラン,テトラブトキシシラン等を挙げることができる。これらは単独でも又2種以上併用することも可能である。
上記(A)成分及び(B)成分のシラン化合物(トリ・テトラアルコキシシラン)の加水分解物は、シラン化合物を低級アルコールの存在下で希酸(0.01〜0.1N)を滴下し加水分解を行って得る。希酸としては、塩酸,硫酸,リン酸,酢酸,ギ酸,シュウ酸,スルホン酸等の希釈水溶液を使用できる。
(1-3)上記(A)成分と(B)成分との混合比は、(A)成分/(B)成分=95/5〜65/35、さらには、75/25〜70/30とする。この混合比の数値範囲外では、十分な塗膜硬度と良好な外観を得難い。すなわち、(A)成分であるトリアルコキシシランが多いと、有機レンズ塗膜後熱重合時にクラックによる外観不良が発生し易く、少ないと十分な塗膜硬度を得難い。
(2)本発明のハードコート組成物には、平均粒径約5〜30nm、望ましくは約10〜20nmのジルコニアコロイド粒子(以下「ジルコニア微粒子」という。)は、分散剤(安定化剤)を介して分散されていることを特徴的要件とする。
平均粒径が小いとハードコート(塗膜)に耐摩耗性が低下する傾向にあるとともにZrO2微粒子の凝集(flocculation)が発生し易い傾向にある。この凝集は、塗膜の均一性を阻害する一因となり、さらには、塗膜の屈折率を低下させる一因となる。
平均粒径が大きいと、乱反射による塗膜が白化して透明性が低下する傾向にあり、レンズ特性の低下につながる。
上記アルコキシシラン加水分解物へのジルコニア微粒子の添加は、ジルコニア微粒子の添加は、通常、ジルコニアゾルを介して行うが、水分散ジルコニアゾルより有機溶媒分散ジルコニアゾルを介して行うことが安定性に優れており望ましい。
該有機溶媒分散ジルコニアゾルは、特許文献4に記載の製造方法で調製したもの、すなわち、水分散ジルコニアゾルに、有機溶剤と安定剤を添加して水を有機溶剤に置換したものを使用することが望ましい。
特許文献4では、有機溶媒分散ジルコニアゾルを屈折率調整材として使用することが示唆されている(段落0002)。しかし、アルコキシシラン加水分解物を塗膜形成樹脂(マトリックス)とするハードコート組成物に添加して使用することは記載されていない。また、平均粒径の望ましい範囲も、特許文献4:20〜80nmであるに対し本発明:約5〜30nmと部分重複するも大きくシフトしており、さらに、実施例レベルでは、特許文献4:56〜60nmであるのに対し本発明:10〜20nmと異質である。
すなわち、本発明者らは、平均粒径30nm以下のような超微粒子ではゾル安定性を確保し難く凝集が発生し易いと思われていたが、アルコキシシランと組み合わせた場合、良好な分散性が得られ、ハードコートにジルコニア微粒子の添加による良好な機能性付与が可能となることを知見した。
上記水分散ジルコニアゾルは特に限定されるものでなく、公知の方法で製造されたものを使用できる。
すなわち、ジルコニウム塩水溶液を加熱、加水分解することにより得られたもの(加水分解法);ジルコニウム塩水溶液にアルカリを加えてジルコニウム水酸化物としこれを解膠したもの(中和共沈法);ジルコニウム水酸化物に酸およびアルカリを加えた後、オートクレーブ等を用いて水熱処理することにより得られるもの(水熱合成法);及び金属アルコキシド法で得られたもの等が例示される。
なおジルコニアは非晶質でも使用可能であるが、屈折率調整を目的とする本発明の場合、結晶質のものが好ましい。
また、水分散ジルコニアゾル中のジルコニア(Zr02換算)濃度は特に限定されないが通常5〜50%である。
前記水分散ジルコニアゾルを有機溶媒分散化させるに際して用いる有機溶媒としては、アルコキシシラン加水分解物と自由混和性を有するものなら特に限定されない。
例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールとそのエーテル類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環式エーテル類、等の水に対して混和性乃至易溶性を有するものを単独又は組み合わせて使用できる。さらには、それらの有機溶媒と混和性を有するベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類も適宜併用することができる。
これらのうち、炭素数1〜3の低級アルコール類が望ましい。当該低級アルコール類は、水およびアルコキシシラン加水分解物との混和性が高く、容易に水分散ジルコニアゾルを有機分散ジルコニアゾルに置換することが可能である。また、炭素数1〜3の低級アルコール類を用いることでそれ以上の炭素数のアルコール類に比して環境負荷をもたらすおそれが小さいとともに、成膜時において、低温で溶媒を除去することができるという点で好ましい。
次に、分散剤(安定剤)としては、特に限定されるものではない。
ジルコニア表面への配位・吸着作用及びその経時安定性に優れているという観点から、酢酸、β一ジケトン及びサリチル酸及びこれらの誘導体が好ましい。
β一ジケトン及びこれらの誘導体としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエステル等を例示することができる。
β一ジケトン及びサリチル酸及びこれらの誘導体の共通点は、その分子内に基構造「−C(=O)−C(−X、−Y)−C(OH)−(X、Yは、C、H又はOで、どちらか一方が、無配位(すなわち、−C(=O)−C(−Y)=C(OH)−)であってもよい。)」を有していることにある。サリチル酸のように、当該基構造が芳香族環の一部で構成されていてもよい。
なお、β一ジケトン及びその誘導体は、互変異性により、この原子配列構造を有する。
上記分散剤の他に、例えば、ピロリン酸及びそのアルカリ金属塩、他トリポリ、ヘキメタアルカリ金属塩、過酸化水素、ジカルボン酸類(マロン酸、フマル酸等)、アミノ酸類(グリシン等)、ヒドロキシカルボン酸塩(リンゴ酸、クエン酸等)、ヒドロキシルアルデヒド類(アセチルアセトン等)、ヒドロキシ脂肪族化合物(ソルビトール等)、フェノールカルボン酸類(サリチル酸、フタル酸等)、ポリアミノ酸塩(ジエタノールアミノメタンホスホネート等)、リグニンスルホン酸の塩類(EDTAのNa塩など)等のジルコニア表面への配位・吸着作用のあるものを用いることができる。
そして、分散剤(安定剤)の有機溶媒分散ジルコニアゾル中の含有量は、0.01〜5%、好ましくは0.1〜3%とする。
分散剤が少ないと、有機溶媒を用いて置換を行う場合に分散剤が不足するために、ジルコニア粒子の凝集及びゲル化を引き起こして置換効率が低下する傾向にある。分散剤が多くなると、ジルコニア粒子の静電気的反発による粒子の安定性を阻害しジルコニア粒子表面すべてに分散剤が表面吸着し、粒子の沈降を引き起こし易く、量的効果も期待できない。
これらの分散剤はジルコニアに配位・吸着しジルコニアゾル中で部分的に錯体を形成することにより有機溶媒分散ジルコニアゾルの経時安定性に貢献しているとともに分散剤の官能基に含まれる親油基が有機溶媒との親和性を高め、水分散から有機溶媒に分散した場合においても、ジルコニア粒子のゲル化、凝集を抑制する効果がある。
また、有機溶媒分散ジルコニアゾル中のジルコニア(Zr02)濃度は、安定して分散可能であれば特に限定されない。
通常、10〜50%、望ましくは、15〜30%の範囲から選定する。
当該有機溶媒ゾル中のジルコニア濃度が低いと、アルコキシシラン加水分解物に添加して本発明のハードコート組成物(親液性コロイド溶液)を製造するに際して、相対的に多量のジルコニアゾルを添加する必要があり生産性低下の一因となる。逆に、ジルコニア濃度が高いと、有機溶媒分散ジルコニアゾルの安定性(分散性)を確保し難く、結果的に、安定したハードコート組成物のコロイド溶液を製造し難くなる。
アルコキシシラン100部に対するジルコニアゾルの添加量は、固形分であるジルコニアZr02(微粒子)換算値で、通常、ジルコニア微粒子が40〜100部となるような量とする。ジルコニア添加量が少ないと、十分な塗膜硬度を得難く、多くなると塗膜白化現象や有機レンズ塗膜後熱重合時にクラックによる外観不良が発生し易くなる。
(3)本発明のハードコート組成物には、更に、塗膜性及び外観性能を改良するために、適宜、微量の紫外線吸収剤,酸化防止剤,分散染料,界面活性剤を添加することは可能である。
例えば、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系とベンゾフェノン系等が用いることが可能で、ヒンダードアミン系は酸化防止剤との併用が有効である。
分散染料として、水分散染料を用いる。
界面活性剤としては、疎水基がジメチルシリコーンオイル、親水基がポリエーテルから構成されるノニオン型の界面活性剤は平滑性を向上させる目的で使用することが望ましい。なお、このノニオン型界面活性剤は、前述のアニオン型界面活性剤に比して環境負荷が小さく、且つ、配合量は1/10以下である。
なお、これらの特性は、フッ素系界面活性剤等によっても得られるがフッ素系界面活性剤の特に高分子のものでは(C)成分であるジルコニアゾルと組合わせて使用した場合、ジルコニアゾルが凝集されやすくする特性もあるため、使用を避けた方が望ましい。
また、界面活性剤の添加量としては、ハードコート組成物におけるアルコキシシラン+ジルコニアの合計量100部に対して、0.1〜0.5部(望ましくは0.03〜0.3部)とする。当該界面活性剤の添加量が少ないと所要の平滑性を得難く、多いと上記シリコーン系界面活性剤を用いる場合でも、成膜時にクモリが発生し易くなる。
また低温硬化剤として金属キレート、有機多価カルボン酸、窒素含有有機化合物を用いる。
1)金属キレート(錯体)としては、下記多座配位子(キレート剤)が下記例示の中心金属に配位したものを適宜使用できる。
キレート化剤:エチレンジアミン四酢酸,ヘキサフルオロアセチルアセトン,トリフルオロアセチルアセトン,アセチルアセトン,アセト酢酸メチル,アセト酢酸メチル、等。
中心金属:Cr(III),Co(III),Fe(III),Zn(II),In(III),Zr(IV),Y(III),Al(III),Sn,V,Ti(II)、等。
より具体的には、アセチルアセトン鉄(III),ヘキサフルオロアセチルアセトン鉄(III),アセチルアセトン錫,アセチルアセトンバナジル,アセチルアセトンインジウム(III),アセチルアセトンジルコニウム(IV),アセチルアセトン第二コバルト(III),アセチルアセトンチタン(II),アセチルアセトンアルミニウム(III)、等を挙げることができる。
金属キレートの添加量は、加水分解物の種類、要求物性により異なる。例えば、 アルコキシシラン((A)成分+(B)成分:以下同じ)100部に対して、0.1〜10部の範囲から適宜選定し、通常、0.3〜5部の範囲とする。
2)有機多価カルボン酸としては、トリメリト酸、無水トリメリト酸、イタコン酸、ピロメリト酸、無水ピロメリト酸、等を上げることができる。
有機多価カルボン酸の添加量は、加水分解物の種類、多価カルボン酸の種類により異なる。例えば、アルコキシシラン100部に対して5〜40部の範囲から適宜選定し、通常、15〜25部とする。
3)窒素含有有機化合物としては、メチルイミダゾール、ジシアンジアミド、等を使用できる。この化合物の添加量はアルコキシシラン100部に対して、1〜20部の範囲から適宜選定し、通常、5〜10部とする。
(4)被塗布物として使用する光学基材としては、光学要素をレンズ基材とする場合は、下記のような屈折率1.50〜1.74の市販有機ガラスから適宜選択する。有機ガラスとしては、アクリル樹脂系、ポリカーボネート系、ポリチオウレタン系、ポリチオエポキシ系等を挙げることができる。
上記光学基材(被塗布物)への塗布は、適宜、刷毛塗り、浸漬塗り、ローラ塗り、スプレー塗装、スピン塗装、フローコート等のうちから選択して行なう。
また、乾燥硬化条件は、コート剤の種類、光学基材の種類等により異なる。例えば、雰囲気温度:80〜150℃の範囲から適宜選択し、通常は、100〜120℃×1〜5hとする。硬化(乾燥)塗膜厚は、コート剤の種類、基材の種類により異なるが、通常、塗膜厚0.5〜20μmとなるように塗布量を設定する。
被塗布物は、通常、酸アルカリ洗浄溶剤による脱脂洗浄、プラズマ処理、超音波洗浄などの前処理を適宜施しておく。
(5)ハードコート12とレンズ基材14との間には、耐衝撃性,密着性向上等を目的として単層乃至複層のプライマーコート(下塗り)16を形成しておくことが望ましい。
具体的なプライマー組成物としては、ウレタン(TPU)系やエステル(TPEE)系の熱可塑性エラストマーをベース樹脂(塗膜形成要素)とするものを使用できる。これらのプライマーには、水性エマルション(水分散系)の形態で供されるものであり、さらには、ジルコニアゾル(ハードコート組成物で用いたもの。)を添加して屈折率を1.55以上に調整しておくことが望ましい。
上記TPUは、長鎖ポリオールとポリイソシアネートからなるソフトセグメントと短鎖ポリオールとポリイソシアネートからなるハードセグメントとで構成されるものである。
上記TPEE系プライマーは、ハードセグメントにポリエステル、ソフトセグメントにポリエーテル又はポリエステルを使用したマルチブロック共重合体で構成されるものである。このハードセグメントとソフトセグメントとの質量比率が前者/後者=30/70〜10/90のものが望ましい。
さらに、下記のようなハードコートの上にはマルチコート(反射防止等の機能性多層膜)18を施しておくことが望ましい。
マルチコート(反射防止多層膜)とする場合は、金属、金属酸化物、金属フッ化物等の無機粉体を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法により複数成膜して形成する。
ここで、酸化物としては二酸化ケイ素、酸化チタン(IV)、酸化タンタル(V)、酸化アンチモン(III)、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等を挙げることができ、金属フッ化物としてはフッ化マグネシウム等を挙げることができる。
以下、本発明の効果を確認するために、比較例とともに行った実施例について説明する。各実施例・比較例のハードコート組成物及びプライマー組成物は、それぞれ下記の処方に従って調製した。
[実施例1]
(1)ハードコート組成物の調製
1)オルガノアルコキシシラン加水分解物の調製
γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン100部に対してテトラエトキシシラン20部及びメチルアルコール25部を加えて撹拌しながら希塩酸(0.01N)の35部を滴下して一昼夜加水分解を行う。
2)ハードコート組成物の調製
上記1)で調製した加水分解物に2−エトキシエタノール50部と、エチルアルコール分散ジルコニアゾル(不揮発分20%、平均粒子径10nm、分散剤:酢酸)200部と低温硬化触媒として無水トリメリト酸24部、ジシアンジアミド7.5部を加え一昼夜撹拌し1μmフィルターで濾過し屈折率1.55のハードコート組成物塗料を調製した。
(2)プライマー組成物の調製
(2-1)TPU系プライマー組成物の調製
市販のTPU水分散エマルション液 (「スーパーフレックス170」第一工業製薬株式会社製、不揮発分33%)70部、メチルアルコール400部、純水100部、混合後撹拌しつつ、エチルアルコール分散ジルコニアゾル(不揮発分20%、平均粒子径10nm、分散剤:酢酸)40部加え2h撹拌し1μmフィルターで濾過し屈折率1.55のプライマー組成物塗料を調製した。
(2-2)TPEE系プライマー組成物の調製
市販のTPEE水分散エマルション(「ベスレジンA−160P」高松油脂株式会社製、不揮発分27%)100部、メチルアルコール400部、純水100部、エチルアルコール分散ジルコニアゾル(不揮発分20%、平均粒子径10nm、分散剤:酢酸)40部、2h撹拌し1μmフィルターで濾過し屈折率1.55のプライマー組成物を調製した。
[実施例2]
(1)ハードコート組成物の調製
実施例1において、オルガノアルコキシシラン加水分解物のテトラエトキシシラン(ケイ酸エチル)20部を50部に変更するとともに、メチルアルコール分散ジルコニアゾル(不揮発分25%、平均粒子径20nm、分散剤:β−ジケトン)230部に置換して、屈折率1.60のハードコート組成物を調製した。
(2)プライマー組成物の調製
TPU/TPEプライマーの各組成物は、実施例1において、メチルアルコール分散ジルコニアゾル(不揮発分25%、粒子径20nm、分散剤:β−ジケトン)65部に置換して、屈折率1.60のプライマー組成物塗料を調製した。
[実施例3]
(1)ハードコート組成物の調製
実施例1において、オルガノアルコキシシラン加水分解物のテトラエトキシシラン20部を7部に変更するとともに、メチルアルコール分散ジルコニアゾル(不揮発分25%、平均粒子径20nm、分散剤:サリチル酸)400部に置換して、屈折率1.63のハードコート組成物塗料を調製した。
(2)プライマー組成物の調製
実施例2と同様にして調製した。
[比較例1]
(1)ハードコート組成物の調製
(1-1)γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン125部、テトラエトキシシラン110部、メタノール92部、メチルエチルケトン200部、メタノール分散チタニア複合微粒子(SiO2/TiO2=0.235,Fe2O3/TiO2=0.008 不揮発分30%、平均粒子径11nm)180部を加え撹拌しながら希塩酸(0.01N)54部を滴下して一昼夜加水分解を行う。これによって加水分解物を調製する。この加水分解物に界面活性剤として(商品名「L7002」日本ユニカ社製)1.5部と低温硬化触媒としてイタコン酸12部、ジシアンジアミド5部を加え一昼夜撹拌し濾過してハードコート組成物塗料を調製した。
[比較例2]
γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン200部、テトラエトキシシラン40部、メチルアルコール50部を加え撹拌しながらの希塩酸(0.01N)70部を滴下して一昼夜加水分解を行う。これによって加水分解物を調製する。この加水分解物にエタノール分散Nbゾル(多木化学株式会社製「Nd−AC25E」、不揮発分25%、平均粒子径5nm)480部、2−エトキシエタノール100部と低温硬化触媒として無水トリメリット48部、ジシアンジアミド15部を加え一昼夜撹拌し1μmフィルターで濾過し屈折率1.60のハードコート組成物を調製した。
[試料の作成]
上記で調製した実施例・比較例の各塗料(組成物)を用いて、表2・3に示す塗膜(コート)・基材レンズの組合わせで、かつ、下記方法に従って作成した。
表中における基材レンズの符号は、下記のものに対応する。
(a)市販アクリル樹脂系レンズ:屈折率1.55(ne値)
(b)市販ポリカーボネート系レンズ:屈折率1.60(ne値)
(c)市販ポリチオウレタン系レンズ:屈折率1.61(ne値)
(d)市販ポリチオウレタン系レンズ:屈折率1.67(ne値)
(e)市販ポリチオエポキシ樹脂系レンズ:屈折率1.74(ne値)
なお、各レンズ基材は、カセイソーダ水溶液に浸漬洗浄乾燥後、プラズマ処理を施す前処理を行ったものを使用した。
そして、各レンズ基材に対して、それぞれ下記処方に従って、適宜、プライマーコート(PR)を施した後、ハードコート(HD)、さらには、適宜、マルチコート(MC)を施した。
(1)プライマーコート
レンズ基材をプライマー塗料に、浸漬後130mm/minで引き上げて塗布後、90℃×20minの条件で予備乾燥を行う。
(2)ハードコート
シリコーン硬化塗料に浸漬後130mm/minで引き上げて塗布後、100℃×20minの条件で予備乾燥後、120℃×3hの条件で加熱処理をする。プライマーコートの有無に関係なく同様に行う。
(3)マルチコート(多層反射防止膜)
実施例1・2及び比較例1・2は、それぞれ、SiO2/ZrO2:1/4λ,ZrO2:1/2λ,SiO2:1/4λの3層膜構成とし、実施例3は、SiO2/TiO2:1/4λ,TiO2:1/2λ,SiO2:1/4λの3層膜構成とした。いずれも、慣用の真空蒸着法により成膜した。
[評価方法]
上記各実施例・比較例で調製した各試料について、実施例・比較例について、下記効果(作用)をそれぞれ確認するために、後述の各項目の評価試験を行った。
<実施例1〜3>
1)請求項内下記の混合比率で目的の性能が得られるかの確認:
・トリアルコキシシラン((A)成分)/テトラアルコキシシラン((B)成分)
=95/5〜65/35
・アルコキシシラン100部に対してジルコニアゾル(固形分):40〜100部
2)有機溶媒分散ジルコニアゾルの特徴であるゾル分散剤(酢酸、β−ジケトン、サリチル酸)の比較検討
<比較例1(特許文献2記載の発明に対応)>
酸化鉄/酸化チタン複合微粒子ゾルを用いた場合と、本発明のジルコニア微粒子ゾルを用いた場合とのハードコートレンズ特性の比較。
<比較例2(特許文献3記載の発明に対応)>
ハードコート組成物(コロイド溶液)において、酸化ニオブ微粒子ゾルを用いた場合と、本発明の特定ジルコニア微粒子ゾルを用いた場合のハードコートレンズ特性の比較。
1)光学物性評価
オリンパス社製反射率測定機「型式:USPM−RU−2」を用いて測定を行いハード膜厚と屈折率を求める。
2)外観
肉眼観察により干渉縞、透明度、着色、表面状態を書き基準に従って評価する。
(判定基準)
・干渉縞・・・◎:まったく無し良好
○:良好
△:若干目立つ
×:非常に目立つ
・透明度・・・○:透明性良好
×:若干クモリ有り(○に対して透過率が1%落ちる)
3)密着性
塗膜面に1mmの基材に達するゴバン目を塗膜の上から鋼ナイフで100個入れてセロハン粘着テープ(ニチバン製)を強くはりつけ90度方向に急速にはがし、下記の基準にて評価を行う。
(判定基準)
A:10回以上剥離無し
AB:キザミ線に添い点状もしくは線状剥離
B:キザミ線に添い面状剥離(20%以下)但し1升目の剥離面積1/2以下
C:キザミ線に添い面状剥離(20%以上)但し1升目の剥離面積1/2以下
D:キザミ線に添い面状剥離但し1升目の剥離面積全面
二次密着性に関しては80℃×10分間の温水に浸漬後上記と同様の方法で判定を行う。
4)擦傷性
ハード膜加工までのものにはJIS#502の砂消しゴムに200g荷重にて判定する。
その結果を肉眼により判定評価を行う。
(判定基準)
3A:キズの面積が0%
2A:キズの面積が1%を超え3%未満
A:キズの面積が3%を超え10%未満
AB:キズの面積が10%を超え30%未満
B:キズの面積が30%を超え60%未満
C:キズの面積が60%以上
D:キズの面積が全面
なお、塗膜無しの状態で擦った判定はCであった。
5)染色性
Seiko−Brown分散染料2部、分散剤:ダイヤポンT0.5部を純水1Lに溶かして液温92℃の条件下でハードコート組成物を塗布したレンズを5min浸漬して着色の度合いを透過率で測定を行う。
さらに、1時間液温92℃の染料に浸漬して界面活性剤の溶け出しの有無についても確認を行う。
(判定基準)
○:溶け出し無し、塗膜表面良好
×:溶け出し有り、塗膜表面がオレンジピール状に変化
6)耐候性試験
促進耐候性試験(スガ試験機株式会社製「サンシャイン・スーパーロングライフ・ウェザーメーター」)で200時間暴露して、3)での一次密着性試験と同様の方法にて剥離状況を判定する。
また暴露後の透明度、着色、表面状態を調査する。
7)耐光性試験
Q-PANEL社製「Q-SUN/Xe-1キセノン促進耐光性試験機」を用いて、UVA340nm×温度60℃×40hの条件で連続照射する。
サンプルレンズはハードコート組成物を塗布後50%着色まで染色を施し(上記5)染色性試験における染料と同じ)後に反射防止膜を施したものを用い、紫外線照射前と照射後で透過率の測定を行う。
8)耐衝撃性
16.2gの鋼球を1.27mの高さより試験サンプルの中心部に落下させ貫通するか否かの判定を行う。
○貫通無し,×貫通。
試験レンズサンプルとして中心厚2mmコバ厚8mm球面のものを用い室温25℃×湿度(RH)45%の条件下で試験を実施した。
[評価結果及び考察]
そして、表1・2に示す評価結果から下記のことが分かる。なお、表3は、各実施例・比較例における1)アルコキシシランの(A)成分/(B)成分比、2)金属酸化物(屈折率調整剤)の種類・添加量・分散剤(安定剤)、及び3)被塗布物(レンズ基材)を一覧表示したものである。
本発明が解決しようとする課題(塗料組成物の光干渉を抑えるという特性を高屈折レンズに対して維持したまま紫外線に対する黒化現象や膜剥がれ現象を抑え、またカラーレンズの変色、脱色を抑え、環境問題に十分に配慮し健康被害を発生させないこと。)は当然のこと、長期使用した場合も美観を損なわないハードコート組成物とこれを塗膜として有する1.55以上の屈折率を有する有機光学レンズを得るという点に関して、実施例1・2・3は、オルガノアルコキシシランの(A)成分/(B)成分=95/5〜65/35の範囲で、優れた眼鏡性能と耐候性、耐光性が得られ、かつ、界面活性剤の溶出現象が確認されなかった。
また、有機溶媒分散ジルコニアゾルに、分散剤として用いる酢酸、β−ジケトン、サリチル酸が有効に作用して設定の屈折率調整を達成できることも確認された。
比較例1は、各実施例に比して、酸化鉄/酸化チタン複合酸化微粒子の影響により紫外線による黒化現象が確認された。また酸化チタン系複合酸化物微粒子の影響で染色脱色性も確認された。
比較例2は、各実施例に比して、長時間の染色(熱水浸漬)作業でアニオン系界面活性剤の溶出がオレンジピールという外観不良によって確認された。
Figure 2009155541
Figure 2009155541
Figure 2009155541
本発明のハードコート組成物を適用してハードコートを設けた表面処理光学要素のモデル断面図である。
符号の説明
12 レンズ基材
14 ハードコート
16 プライマーコート
18 マルチコート


Claims (11)

  1. アルコキシシラン加水分解物中に、平均粒径5〜30nmのジルコニアコロイド粒子が分散剤を介して分散されてなり、屈折率1.55以上のハードコートを形成可能とされていることを特徴とするハードコート組成物。
  2. 前記分散剤が酢酸、β−ジケトン及びサリチル酸(誘導体を含む。)の群から選択されることを特徴とする請求項1記載のハードコート組成物。
  3. 該ジルコニアコロイド粒子の平均粒径が約10〜20nmであることを特徴とする請求項1又は2記載のハードコート組成物。
  4. 前記アルコキシシラン加水分解物が、
    (A)成分:一般式
    Figure 2009155541
    (但し、R1はHまたはCH3、R2は炭素数1〜4のアルキレン基、R3は炭素数1〜4のアルキル基)
    で示されるトリアルコキシシランの加水分解物と、
    (B)成分:一般式
    Si(OR4)4
    (但し、R4は炭素数1〜4のアルキル基で表されるケイ素化合物の加水分解物)
    で示されるテトラアルコキシシランの加水分解物との混合物であって、
    前記両成分の混合比が(A)成分/(B)成分=95/5〜65/35であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のハードコート組成物。
  5. 前記アルコキシシラン100部に対して前記ジルコニアコロイド粒子が25〜120部添加されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか一記載のハードコート組成物。
  6. 前記アルコキシシラン加水分解物に有機溶媒分散ジルコニアゾルを添加して請求項1〜5いずれか一記載のハードコート組成物を製造する方法であって、
    前記有機溶媒分散ジルコニアゾルとして、水分散ジルコニアゾルに、有機溶剤と安定剤を添加して水を有機溶剤に置換して作成したものを使用することを特徴とするハードコート組成物の製造方法。
  7. 屈折率1.55〜1.74の有機ガラス製のレンズ基材の片面又は両面に請求項1〜5いずれか一記載のハードコート組成物で形成されたハードコートを備えてなることを特徴とする光学要素。
  8. 前記ハードコートと前記レンズ基材との間に、更に、耐衝撃性,密着性向上等を目的とするプライマーコートを備えていることを特徴とする請求項7記載の光学要素。
  9. 前記プライマーコートが、5〜30nmのジルコニアコロイド粒子が分散剤を介して分散されてなり、屈折率1.55以上に調整されてなることを特徴とする請求項8記載の光学要素。
  10. 前記ハードコートの上面に機能性マルチコートを備えていることを特徴とする請求項8又は9記載の光学要素。
  11. 請求項8、9又は10における前記プライマーコートを形成するプライマー組成物の製造方法であって、
    熱可塑性エラストマーの分散液に有機溶媒分散ジルコニアゾルを添加して製造するに際して、該有機溶媒分散ジルコニアゾルとして、水分散ジルコニアゾルに、有機溶剤と安定剤を添加して水を有機溶剤に置換して作成したものを使用することを特徴とするプライマー組成物の製造方法。

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