JP2007238422A - 有機溶媒分散ジルコニアゾル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水分散ジルコニアゾルに有機溶媒とジルコニアゾル安定化剤を加え、水を有機溶媒に置換して得られる有機溶媒分散ジルコニアゾル。
ジルコニアゾル安定化剤として、好ましくは、酢酸、β−ジケトン、サリチル酸及びこれらの誘導体から選ばれる1種以上を用いる。
【選択図】なし
Description
ジルコニア粉体を原料として機能性材料を得ようとするとき、多くの場合他の原料と混合して使用される。ジルコニアの平均粒子径が小さく単分散であるほど、ジルコニアは他原料とよく混合されると共に機能性材料の性能を大きく左右する局所的な組成の偏りは解消される。
したがって、機能性材料を均質なものとするためにより小さい平均粒子径で単分散しているジルコニアが求められているが、ジルコニア粉末をはじめとする金属酸化物粉末は常に制御困難な凝集の問題がつきまとい、特に数100nm以下の平均粒子径を持ち単分散しているジルコニア粉体を得ることは困難である。
すなわち、本発明は、
(1)水分散ジルコニアゾルに有機溶媒とジルコニアゾル安定化剤を加え、水を有機溶媒に置換して得られる有機溶媒分散ジルコニアゾル。
(2)ジルコニアゾル安定化剤が酢酸、β−ジケトン、サリチル酸及びこれらの誘導体から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記(1)記載の有機溶媒分散ジルコニアゾル。
(3)有機溶媒分散ジルコニアゾル中のジルコニアゾルの平均粒径が100nm以下であることを特徴とする前記(1)又は前記(2)記載の有機溶媒分散ジルコニアゾル。
(4)水分散ジルコニアゾルに有機溶媒とジルコニアゾル安定化剤を加え、ろ過により水を有機溶媒に置換することを特徴とする有機溶媒分散ジルコニアゾルの製造方法。
を提供する。
なお、本発明において、平均粒子径とは動的光散乱法で測定した粒子径分布の累積頻度が50体積%となる粒子径を言う。
本発明の有機溶媒分散ジルコニアゾルは、水分散ジルコニアゾルに有機溶媒とジルコニアゾル安定化剤を加え、水を有機溶媒に置換して得られる有機溶媒分散ジルコニアゾルである。
有機溶媒分散ジルコニアゾル中のジルコニアゾルの平均粒径は、100nm以下、好ましくは20〜80nmである。平均粒径が100nmを超えると静電気的反発により分散されているジルコニア粒子が沈降してしまい、液中のジルコニア粒子の均一性にかける。さらに、光学材料に無機フィラーとして有機分散ジルコニアゾルを用いた場合、100nmを超える粒子が多く存在するとジルコニア粒子によって光散乱を起こし、膜を形成した場合の透明性に欠けるので好ましくない。
なお、ジルコニアゾルの結晶性は、非晶質或いは結晶質のいずれであっても良いが、樹脂等と混練して用いる場合には、高温での熱処理ができず、ジルコニア粒子を結晶化させることが困難なことから、ジルコニア本来の特性を得るためには、結晶質のものが好ましい。
又、水分散ジルコニアゾル中のジルコニア(ZrO2換算)濃度は、特に限定されないが、通常、5〜50%である。
なお、これらの有機溶媒は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
さらにジルコニアゾル表面への配位・吸着作用及びその経時安定性に優れているという観点から、酢酸、β−ジケトン及びサリチル酸及びこれらの誘導体が好ましい。
β−ジケトン及びこれらの誘導体としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエステル等を例示することができる。
β−ジケトン及びサリチル酸及びこれらの誘導体の共通点としては、その構造内に
−C(=O)−C(−X、−Y)−C(OH)−(X、Yは、C、H又はOで、どちらか一方が、無配位(すなわち、−C(=O)−C(−Y)=C(OH)−)であっても良い)という、原子配列を持っていることであり、サリチル酸のように、これらが芳香族環の一部を構成していても良い。なお、β−ジケトン及びその誘導体は、互変異性により、この原子配列となる。
安定化剤の有機溶媒分散ジルコニアゾル中の含有量は、0.01〜5%、好ましくは0.1〜3%である。
0.01%未満では、有機溶媒を用いて置換を行う場合に、安定化剤が不足する為にジルコニア粒子の凝集及びゲル化を引き起こす為に置換効率が低下し、5%を超えると、ジルコニア粒子の静電気的反発による粒子の安定性を阻害し、ジルコニア粒子表面すべてに安定化剤が表面吸着し、粒子の沈降を引き起こすことがあり、又、さらにこれ以上の安定化剤を添加してもゾルの安定性への量的効果は乏しく経済的ではないので好ましくない。
又、有機溶媒分散ジルコニアゾル中のジルコニア(ZrO2換算)濃度は、特に限定されないが、通常、10〜50%である。
10%未満では、ジルコニア含有率が低く、樹脂と混練する場合に、希釈されてしまう、また、ジルコニア薄膜を得ようとする場合にも、均一な薄膜を得ることが困難となり、又、50%を超えると有機分散ジルコニアゾルの経時安定性にかけるので、好ましくない。
以下、本発明の有機溶媒分散ジルコニアゾルの製造方法について記載する。
先ず、公知の方法で製造された水分散ジルコニアゾルを用い、ろ過により、脱水、濃縮する。濃縮の度合いは、特に限定されるものでないが、通常、ZrO2として、20〜50%である。濃縮の度合いが高いほど、後で使用する有機溶媒の使用量が少なくなるため好ましい。
ろ過としては、水分散ジルコニアゾル中の水を有機溶媒に置換できるものであれば特に限定されないが、精密ろ過膜を用いた精密ろ過、限外ろ過膜を用いた限外ろ過及び逆浸透膜を用いた逆浸透ろ過が、置換時にゾルへの熱的エネルギーが加わらず(熱的エネルギーによるゾルの変性および三次元網目構造の発達によるゲル化)有機溶媒置換時にジルコニア濃度を高く保ちつつ、ろ過ができる為、作業効率が高く、好ましい。
有機溶媒の添加量(重量)は、特に限定されるものでないが、脱水、濃縮した水分散ジルコニアゾルの重量に対して、0.2〜2.0倍とするのが好ましい。
0.2倍未満では、ジルコニア濃度が高濃度な為に、ろ過効率が落ちる為に好ましくなく2.0倍を超えて置換を行っても多量の有機溶媒を用いるだけで、置換効率が上がらない為に好ましくない。
このような水と有機溶媒との置換操作を、2回以上、好ましくは3回以上行うことにより、水分散ジルコニアゾル中の水を有機溶媒に置換することが出来る。
なお、安定化剤の添加は、有機溶媒を添加するたびに行うことが好ましいが、最初に有機溶媒を添加する際にまとめて添加しておくことも出来る。
なお、本発明の有機溶媒分散ジルコニアゾル中のジルコニアゾル、有機溶媒及び安定化剤の含有量は、上記の通りである
次に、この溶液に、安定化剤であるアセチルアセトンを3g含有させたエタノール400gを添加混合し、精密ろ過することにより、300mlとした。
更に、同様の操作を2回繰り返すことにより、水を有機溶媒で置換した。
最後に、この溶液にエタノールを加えることにより、総液量を500gとすることにより、エタノール分散ジルコニアゾルを作製した。
そして、このエタノール分散ジルコニアゾルの経時安定性、平均粒径及びジルコニアゾルの収率を求めた。結果を表1に示す。
そして、このエタノール分散ジルコニアゾルの経時安定性、平均粒径及びジルコニアゾルの収率を求めた。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 水分散ジルコニアゾルに有機溶媒とジルコニアゾル安定化剤を加え、水を有機溶媒に置換して得られる有機溶媒分散ジルコニアゾル。
- ジルコニアゾル安定化剤が酢酸、β−ジケトン、サリチル酸及びこれらの誘導体から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1記載の有機溶媒分散ジルコニアゾル。
- 有機溶媒分散ジルコニアゾル中のジルコニアゾルの平均粒径が100nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の有機溶媒分散ジルコニアゾル。
- 水分散ジルコニアゾルに有機溶媒とジルコニアゾル安定化剤を加え、ろ過により水を有機溶媒に置換することを特徴とする有機溶媒分散ジルコニアゾルの製造方法。
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