JP5703549B2 - アルミナドープジルコニアナノ粒子及びその製造方法 - Google Patents

アルミナドープジルコニアナノ粒子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミナドープジルコニアナノ粒子及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、セラミックス原料、触媒、高屈折率材料、各種樹脂、プラスチックフィルム、プラスチック板等の熱膨張係数やガラス転移点等の熱的性質を改良するためのフィラー、あるいは、これらの機械的性質を改良するためのフィラーに用いて好適なアルミナドープジルコニアナノ粒子、及び、粒子が融着し難く、かつ分散性に優れたアルミナドープジルコニアナノ粒子を大量にかつ安価に製造することが可能な製造方法に関するものである。
従来、ジルコニア微粒子が、触媒用途の他、セラミックスやプラスチック等の高機能化あるいは高性能化のためのフィラーとして用いられていることは、よく知られており、近年では、透明性と、より一層の高性能化・高機能化とを両立させるために、平均粒子径が1nm〜20nmのナノメートル級のジルコニア微粒子が提案されている(特許文献1)。
このジルコニア微粒子は、各種樹脂等のフィラーとして用いることで、高い透明性、高屈折率化等の樹脂材料の高機能化、という2つの機能を両立させることを目的としている。
一方、ジルコニアとそれ以外の金属酸化物を含むジルコニア系微粒子としては、ナノメートル級の粒子径のジルコニア粒子と他の酸化物粒子との混合物、ジルコニアと他の酸化物とを複合したナノメートル級の粒子径の複合粒子、ジルコニア及び他の酸化物を含むゾル等、様々な提案がなされており、これらの製造方法についても様々な提案がなされている。
例えば、ジルコニウムとカルシウム等の2価金属との水酸化物を共沈させ、この共沈物を2価金属水酸化物が溶解しない程度に濃厚な2価金属水酸化物水溶液にて洗浄し、得られた共沈水酸化物と2価金属水酸化物とを含む混合懸濁液を20〜200℃の温度にて加熱熟成し、2価金属イオンを含むジルコニア系単結晶微粒子を分散させたゾルを製造する方法が提案されている(特許文献2)。
また、ジルコニウム塩水溶液またはジルコニウム塩とイットリウム、カルシウム、およびマグネシウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属元素の塩とを含む水溶液を加水分解することによりコロイド溶液を生成させ、次いで、このコロイド溶液を濾過膜を使用して洗浄し、高純度のジルコニア系コロイド溶液を製造する方法が提案されている(特許文献3)。
また、水和微粒子の懸濁液に、Y3+、Ca2+、Mg2+、Ce4+を含む化合物の1種または2種以上を溶解させ、得られた溶液にアンモニア水またはアンモニウム塩の水溶液を加えて沈殿物を生成させ、この沈殿物を濾過し、得られた固形物を水洗し、その後、仮焼、粉砕し、高結晶性のジルコニア系微粒子を得る方法が提案されている(特許文献4)。
さらに、イットリウム等の希土類元素イオンとジルコニウムイオンとを含む混合水溶液をアルカリ水溶液でpH8以上に調整し、亜臨界もしくは超臨界状態の水を媒体として、300〜400℃の温度範囲内で短時間水熱反応させることにより、1次粒子径が10nm以下の結晶性の高い安定化ジルコニア微粒子を得る方法が提案されている(特許文献5)。
特開2007−99931号公報 特開昭60−176920号公報 特開昭62−226815号公報 特開昭63−129017号公報 特開2008−184339号公報
しかしながら、特許文献1に記載された平均粒子径が1nm〜20nmのジルコニア微粒子は、超強酸性触媒材料して知られているように酸化性が強く、したがって、このようなジルコニア微粒子をフィラーとして樹脂に含有させた場合、樹脂の種類によっては変色等の変質が生じる虞があるという問題点があった。
また、特許文献2、3に記載された方法では、得られたジルコニア系微粒子がいわゆる水和ジルコニア粒子であるから、極めて結晶性が悪いジルコニア系微粒子しか得られないという問題点があった。また、この微粒子内及び微粒子の表面に多量の水酸基を有するので、このジルコニア系微粒子と各種樹脂との複合体を作製する場合に、樹脂との相溶性が悪く混合が不均一になったり、あるいは、高屈折率等の光学的機能や耐熱性等の熱的機能が低下するという問題点があった。
また、特許文献4に記載された方法では、高結晶性のジルコニア系微粒子は得
られるものの、1300℃以上で仮焼しているために、粒成長等が生じてしまい微粒子化が難しいという問題点があった。また、得られた仮焼物を粉砕により微粒子化しているために粒子径の制御にも限度があり、シングルナノメートル級の粒子径のジルコニア系微粒子を得ることができないという問題点があった。
さらに、特許文献5に記載された方法では、1次粒子径が小さく、結晶性の高いジルコニア系微粒子が得られるものの、ジルコニア中に固溶できる成分はイットリウム等の希土類元素の酸化物に限定されてしまい、ジルコニア粒子の表面の高い酸性度を抑制するという点に対しては効果が不十分であるという問題点があった。さらには、亜臨界または超臨界という過酷な条件下で粒子合成反応を行うので、装置が腐食する虞があり、また、装置自体が極めて高額であるという問題点があり、工業的には不適なものであった。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであって、表面の酸性度が低く、樹脂に含有させた場合においても樹脂を変質させる虞が無く、しかも、シャープな粒度分布を有し、結晶性も高いシングルナノメートル級のアルミナドープジルコニアナノ粒子、及び、このアルミナドープジルコニアナノ粒子を大量にかつ安価に作製することが可能な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、アルミナを正方晶ジルコニアに固溶した粒子の平均粒子径を1nm以上かつ20nm以下とし、さらに、この粒子のアルミナの含有率を、このアルミナとジルコニアの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下であり、粉末X線回折法による測定において、アルミナ及び正方晶ジルコニア以外の回折線が認められないものであれば、表面の酸性度が低く、樹脂に含有させた場合においても樹脂を変質させる虞が無く、かつ、光学的機能、機械的機能、あるいは熱的機能を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のアルミナドープジルコニアナノ粒子は、アルミナを正方晶ジルコニアに固溶してなるナノ粒子であって、平均粒子径が1nm以上かつ20nm以下であり、前記アルミナの含有率は、このアルミナと前記正方晶ジルコニアの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下であり、前記アルミナの含有率は、このアルミナと前記正方晶ジルコニアの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下であることを特徴とする。
本発明のアルミナドープジルコニアナノ粒子の製造方法は、アルミナを正方晶ジルコニアに固溶してなるナノ粒子であって、平均粒子径が1nm以上かつ20nm以下であり、
前記アルミナの含有率は、このアルミナと前記正方晶ジルコニアの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下であるアルミナドープジルコニアナノ粒子を製造する方法であって、ジルコニウム塩溶液に塩基性溶液を加えて前記ジルコニウム塩溶液のpHを4未満に調整する工程と、このpHを調整した溶液にアルミニウム塩溶液を加えて、このアルミニウム塩をアルミナに、前記ジルコニウム塩をジルコニアに、それぞれ換算したときの前記アルミナの含有率が、該アルミナと前記ジルコニアとの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下の混合溶液とする工程と、この混合溶液に炭酸アルカリ溶液を加えてpHを7以上とするとともに、沈殿物を生成させる工程と、この沈殿物を400℃以上に加熱し、アルミナを正方晶ジルコニアに固溶してなるアルミナドープジルコニアナノ粒子を生成する工程と、を備えてなることを特徴とする。
前記加熱工程の後に、生成した前記アルミナドープジルコニアナノ粒子から不純物を除去する工程を備えてなることが好ましい。
本発明のアルミナドープジルコニアナノ粒子によれば、アルミナを正方晶ジルコニアに固溶してなるナノ粒子の平均粒子径を1nm以上かつ20nm以下とし、アルミナの含有率を、このアルミナと正方晶ジルコニアの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下としたので、表面の酸性度を低下させることができる。また、樹脂に含有させた場合においても樹脂を変質させる虞が無く、光学的機能、機械的機能、あるいは熱的機能を付与することができる。
本発明のアルミナドープジルコニアナノ粒子の製造方法によれば、ジルコニウム塩溶液に塩基性溶液を加えてジルコニウム塩溶液のpHを4未満に調整し、次いで、このpHを調整した溶液にアルミニウム塩溶液を加えてアルミナ換算で1mol%以上かつ15mol%以下含有する混合溶液とし、この混合溶液に炭酸アルカリ溶液を加えてpHを7以上とするとともに、沈殿物を生成させ、この沈殿物を400℃以上に加熱するので、粒子同士の融着がなく、高結晶性であり、表面の酸性度が低く、樹脂に含有させた場合においても樹脂を変質させる虞が無い、アルミナを正方晶ジルコニアに固溶してなるアルミナドープジルコニアナノ粒子を、大量にかつ安価に作製することができる。
本発明の実施例1のアルミナドープジルコニアナノ粒子を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像である。
本発明のアルミナドープジルコニアナノ粒子及びその製造方法を実施するための形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「アルミナドープジルコニアナノ粒子」
本実施形態のアルミナドープジルコニアナノ粒子は、アルミナ(Al)をジルコニア(ZrO)に固溶してなるナノ粒子であり、平均粒子径が1nm以上かつ20nm以下であり、前記アルミナの含有率は、このアルミナと前記ジルコニアの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下である。
ジルコニアには、正方晶(tetragonal)ジルコニア、立方晶(cubic)ジルコニア及び単斜晶(monoclinic)ジルコニアがあるが、高屈折率及び高透明性を確保するためには、結晶軸に対して対称性を有する正方晶ジルコニアまたは立方晶ジルコニアが好ましい。
また、正方晶ジルコニアは、単斜晶ジルコニアと比べてマルテンサイト変態による靱性値の向上が期待でき、しかも、靱性及び硬度が高く、樹脂中に分散させて得られた透明複合体の機械的特性の向上に適している。
このアルミナドープジルコニアナノ粒子の特徴は、平均粒子径が1nm以上かつ20nm以下と粒径範囲が非常に狭くシャープな粒度分布を有し、しかも、結晶性の高い単結晶の1次粒子であり、凝集状態にないことである。
ここで、平均粒子径を1nm以上かつ20nm以下としたのは、このアルミナドープジルコニアナノ粒子の平均粒子径を上記の範囲に限定することで、樹脂との複合体を作製した場合に、粒子を高充填することができ、しかも高い透明性を維持することができ、高屈折率の光学機能複合体や耐熱性に優れた有機無機複合体が得られるからである。
平均粒子径が1nm未満では、粒子の充填密度が低下し、高充填することができなくなり、一方、平均粒子径が20nmを超えると、透明性が低下し、機械的特性等も低下する等、特性の低下を招くので好ましくない。
このアルミナドープジルコニアナノ粒子におけるアルミナの含有率は、このアルミナとジルコニアの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下が好ましく、より好ましくは2mol%以上かつ10mol%以下である。
アルミナの含有率が1mol%未満では、ジルコニア微粒子の表面の酸性活性を抑制することができず、一方、15mol%を超えると、ジルコニア微粒子に固溶しない粗大なアルミナ微粒子が出現し、ジルコニア微粒子とアルミナ微粒子とが混在してしまうので好ましくない。
「アルミナドープジルコニアナノ粒子の製造方法」
本実施形態のアルミナドープジルコニアナノ粒子の製造方法は、
ジルコニウム塩溶液に塩基性溶液を加えて前記ジルコニウム塩溶液のpHを4未満に調整する工程と、
このpHを調整した溶液にアルミニウム塩溶液を加えて、このアルミニウム塩をアルミナに、前記ジルコニウム塩をジルコニアに、それぞれ換算したときの前記アルミナの含有率が、該アルミナと前記ジルコニアとの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下の混合溶液とする工程と、
この混合溶液に炭酸アルカリ溶液を加えてpHを7以上とするとともに、沈殿物を生成させる工程と、
この沈殿物を400℃以上に加熱し、アルミナドープジルコニアナノ粒子を生成する工程と、
を備えている。
次に、本実施形態のアルミナドープジルコニアナノ粒子の製造方法について、詳細に説明する。
まず、ジルコニウム塩溶液に塩基性溶液を加え、このジルコニウム塩溶液のpHを4未満に調整する。
ジルコニウム塩溶液としては、その種類に制限はないが、ジルコニウムイオンと、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等の無機酸イオン、あるいは酢酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、乳酸イオン等の有機酸イオンとから構成される溶液が好適に用いられる。
塩基性溶液としては、ジルコニウム塩溶液を中和することのできる溶液であればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の水溶液、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ炭酸塩やアルカリ炭酸水素塩を含む水溶液、あるいはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール溶液、ホルムアミド等のアミド溶液、テトラメチルアンモニウム等の有機アンモニウム溶液、等の塩基性有機化合物を含む溶液を用いることができる。
本実施形態では、ジルコニウム塩溶液に塩基性溶液を加えた後のジルコニウム塩溶液のpHを酸性である4未満、好ましくは1.5以上かつ3.5以下の範囲に調整する。
その理由は、塩基性溶液を加えて中和したことにより生成したジルコニア前駆体が、溶液中に均一にナノメートルサイズで分散された状態とするためである。
ここで、塩基性溶液を加えた後のジルコニウム塩溶液のpHが4以上では、生成したジルコニア前駆体が凝集し、粗大化してしまうので好ましくない。なお、塩基性溶液を加えた後のジルコニウム塩溶液のpHが1.5未満では、中和が不十分になる虞があり、得られるジルコニア前駆体の収率も悪くなる虞がある。
このpH調整により、ジルコニウム塩溶液は、ジルコニウム前駆体が溶液中に均一分散したジルコニウム前駆体コロイド溶液となる。
次いで、このpHを調整した溶液、すなわちジルコニウム前駆体コロイド溶液にアルミニウム塩溶液を加え、このアルミニウム塩をアルミナに、ジルコニウム塩をジルコニアに、それぞれ換算したときのアルミナの含有率が、アルミナとジルコニアとの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下、好ましくは2mol%以上かつ10mol%以下の混合溶液を調整する。
アルミニウム塩溶液としては、その種類に制限はないが、アルミニウムイオンと、塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン等の無機酸イオン、あるいは酢酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、乳酸イオン等の有機酸イオンとから構成される溶液が好適に用いられる。
ここで、アルミニウム塩をアルミナに換算したときのアルミナの含有率が1mol%未満では、ジルコニア微粒子の表面の酸性活性を抑制することができないので好ましくなく、また、15mol%を超えると、ジルコニア微粒子に固溶しない粗大なアルミナ粒子が出現し、ジルコニア微粒子とアルミナ微粒子とが混在してしまうので好ましくない。
次いで、この混合溶液に炭酸アルカリ溶液を加えてpHを7以上とするとともに、沈殿物を生成させる。
炭酸アルカリとしては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムの群から選択される1種または2種以上を用いることができ、特に、炭酸カリウムは、水への溶解度が最も高いので好ましい。
この炭酸アルカリ塩溶液を添加することにより、混合溶液中のアルミニウム塩からアルミナ前駆体を析出させることができ、また、炭酸アルカリによるジルコニア前駆体同士の融着を防止することができる。
この炭酸アルカリ塩の添加量としては、混合溶液中の酸化物換算値に対して50質量%以上であることが好ましい。
その理由は、添加量が50質量%未満では、ジルコニア前駆体同士の融着防止効果が小さくなり、その結果、ジルコニア前駆体同士が融着して粗大化するからである。
この炭酸アルカリ塩は、回収・再利用が可能であるから、その添加量に上限はないが、概ね400質量%以下である。
次いで、この沈殿物を乾燥し、さらに、所定の温度にて加熱し、アルミナドープジルコニアナノ粒子を得る。
乾燥方法としては、混合溶液(懸濁液状)中の溶媒を散逸させることができればよく、ヒーター等による加熱乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥、赤外線加熱乾燥等、通常の乾燥方法を利用することができる。
また、加熱方法としては、ヒーター等による加熱、減圧加熱、噴霧加熱、赤外線加熱等、通常の加熱方法を利用することができる。
ヒーター等による加熱としては、例えば、所定温度の電気炉中に静置して加熱する方法、流動床式の電気炉にて加熱する方法等がある。
加熱温度の範囲としては、400℃以上かつ800℃以下が好ましい。
加熱温度が400℃未満では、ジルコニア前駆体からジルコニア微粒子が生成されず、また、800℃を超えると、ジルコニア微粒子同士の融着を防止することができず、粗大なジルコニア粒子が生成することとなり、好ましくない。
これら乾燥と加熱とを同時に行ってもよく、さらに、上記の沈殿物を乾燥することなく、そのまま加熱してもよい。
この混合溶液(懸濁状液)では、クラスターサイズのジルコニア前駆体粒子にアルミナ前駆体が析出し、さらに乾燥時にアルミナ前駆体が析出したジルコニア前駆体粒子間には、融着防止剤として作用する炭酸アルカリ塩が析出した状態となる。そこで、この状態で加熱処理すれば、微粒子同士の融着がないナノメートル級の粒子径のアルミナドープジルコニアナノ粒子を、容易にかつ大量に作製することができる。
加熱処理により得られたアルミナドープジルコニアナノ粒子には、炭酸アルカリ塩が残留しているので、ナノ粒子を高純度化するために、このアルミナドープジルコニアナノ粒子から不純物を除去する。
具体的には、アルミナドープジルコニアナノ粒子を純水または酸性溶液中に分散させ、このアルミナドープジルコニアナノ粒子に含まれている炭酸アルカリ塩等の不純物を純水や酸性溶液中に溶解させて除去する。
これにより、炭酸アルカリ塩等の不純物を含まない高純度のアルミナドープジルコニアナノ粒子を得ることができる。
本実施形態のアルミナドープジルコニアナノ粒子によれば、平均粒子径を1nm以上かつ20nm以下とし、アルミナの含有率を、このアルミナとジルコニアの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下としたので、このナノ粒子の表面の酸性度を低下させることができる。また、このナノ粒子を樹脂に含有させた場合においても、樹脂が変質する虞が無く、樹脂に光学的機能、機械的機能、あるいは熱的機能を付与することができる。
本実施形態のアルミナドープジルコニアナノ粒子の製造方法によれば、ジルコニウム塩溶液に塩基性溶液を加えてジルコニウム塩溶液のpHを4未満に調整し、次いで、このpHを調整した溶液にアルミニウム塩溶液を加えてアルミナ換算で1mol%以上かつ15mol%以下含有する混合溶液とし、この混合溶液に炭酸アルカリ溶液を加えてpHを7以上とするとともに、沈殿物を生成させ、この沈殿物を濾液から分離した後、乾燥、400℃以上かつ800℃以下の温度にて加熱するので、粒子同士の融着がなく、高結晶性であり、表面の酸性度が低く、樹脂に含有させた場合においても樹脂を変質させる虞が無い、高純度のアルミナドープジルコニアナノ粒子を、大量にかつ安価に作製することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
「実施例1」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸アルミニウム61.5gを加えて溶解させ、アルミニウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに炭酸カリウム1000gを35Lの純水に溶解させた炭酸カリウム水溶液を攪拌しながら加え、混合物を得た。このときの炭酸カリウムの添加量は、ジルコニア前駆体ゾル中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して100質量%であった。また、炭酸カリウム添加後のpHは11.5であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、450℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、実施例1のアルミナドープジルコニアナノ粒子を得た。
「実施例2」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40Lに溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸アルミニウム320.5gを加えて溶解させ、アルミニウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに炭酸カリウム1000gを35Lの純水に溶解させた炭酸カリウム水溶液を攪拌しながら加え、混合物を得た。このときの炭酸カリウムの添加量は、ジルコニア前駆体ゾル中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して100質量%であった。また、炭酸カリウム添加後のpHは11.5であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、550℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、実施例2のアルミナドープジルコニアナノ粒子を得た。
「実施例3」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40Lに溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸アルミニウム320.5gを加えて溶解させ、アルミニウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに炭酸カリウム500gを35Lの純水に溶解させた炭酸カリウム水溶液を攪拌しながら加え、混合物を得た。このときの炭酸カリウムの添加量は、ジルコニア前駆体ゾル中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して50質量%であった。また、炭酸カリウム添加後のpHは11.3であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、550℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、実施例3のアルミナドープジルコニアナノ粒子を得た。
「実施例4」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40Lに溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸アルミニウム320.5gを加えて溶解させ、アルミニウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに炭酸カリウム1000gを35Lの純水に溶解させた炭酸カリウム水溶液を攪拌しながら加え、混合物を得た。このときの炭酸カリウムの添加量は、ジルコニア前駆体ゾル中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して100質量%であった。また、炭酸カリウム添加後のpHは11.5であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、650℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、実施例4のアルミナドープジルコニアナノ粒子を得た。
「実施例5」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40Lに溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸アルミニウム676.5gを加えて溶解させ、アルミニウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに炭酸カリウム1000gを35Lの純水に溶解させた炭酸カリウム水溶液を攪拌しながら加え、混合物を得た。このときの炭酸カリウムの添加量は、ジルコニア前駆体ゾル中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して100質量%であった。また、炭酸カリウム添加後のpHは11.5であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、550℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、実施例5のアルミナドープジルコニアナノ粒子を得た。
「実施例6」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40Lに溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸アルミニウム1074.5gを加えて溶解させ、アルミニウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに炭酸カリウム1000gを35Lの純水に溶解させた炭酸カリウム水溶液を攪拌しながら加え、混合物を得た。このときの炭酸カリウムの添加量は、ジルコニア前駆体ゾル中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して100質量%であった。また、炭酸カリウム添加後のpHは11.5であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、550℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、実施例6のアルミナドープジルコニアナノ粒子を得た。
「比較例1」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40Lに溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに炭酸カリウム1000gを35Lの純水に溶解させた炭酸カリウム水溶液を攪拌しながら加え、混合物を得た。このときの炭酸カリウムの添加量は、ジルコニア前駆体ゾル中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して100質量%であった。また、炭酸カリウム添加後のpHは11.5であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、550℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、比較例1の粒子を得た。
「比較例2」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40Lに溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸アルミニウム1336.6gを加えて溶解させ、アルミニウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに炭酸カリウム1000gを35Lの純水に溶解させた炭酸カリウム水溶液を攪拌しながら加え、混合物を得た。このときの炭酸カリウムの添加量は、ジルコニア前駆体ゾル中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して100質量%であった。また、炭酸カリウム添加後のpHは11.5であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、550℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、比較例2の粒子を得た。
「比較例3」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40Lに溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸アルミニウム320.5gを加えて溶解させ、アルミニウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに炭酸カリウム200gを35Lの純水に溶解させた炭酸カリウム水溶液を攪拌しながら加え、混合物を得た。このときの炭酸カリウムの添加量は、ジルコニア前駆体ゾル中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して20質量%であった。また、炭酸カリウム添加後のpHは10.8であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、550℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、比較例3の粒子を得た。
「比較例4」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40Lに溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸アルミニウム320.5gを加えて溶解させ、アルミニウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに炭酸カリウム1000gを35Lの純水に溶解させた炭酸カリウム水溶液を攪拌しながら加え、混合物を得た。このときの炭酸カリウムの添加量は、ジルコニア前駆体ゾル中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して100質量%であった。また、炭酸カリウム添加後のpHは11.5であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、380℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、比較例4の粒子を得た。
「評価」
このようにして得られた実施例1〜6各々のアルミナドープジルコニアナノ粒子及び比較例1〜4各々の粒子について、結晶子径及び粒子径を測定し、結晶相の同定を行った。測定方法は、下記のとおりである。
(1)結晶子径
粉末X線回折法(XRD)により粒子の特定の回折線のプロファイルを測定し、このプロファイルの広がりから結晶子の大きさ(結晶子径)を求めた。
(2)平均粒子径
粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)像を撮影し、このTEM像から50個の粒子の粒子径を測定し、平均粒子径を算出した。
(3)結晶相の同定
粉末X線回折法(XRD)により粒子の結晶相の同定を行った。
実施例1〜6各々のアルミナドープジルコニアナノ粒子及び比較例1〜4各々の粒子の結晶子径、粒子径及び結晶相を表1に示す。
また、実施例1のアルミナドープジルコニアナノ粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)像を図1に示す。
実施例1〜6のアルミナドープジルコニアナノ粒子では、アルミナ及び正方晶ジルコニア以外の回折線が認められず、結晶性に優れていることが分かった。
また、結晶子径が2nm〜10nmの範囲内であり、平均粒子径も1nm以上かつ20nm以下の範囲内であり、粒子同士の融着が無く、粒度分布もシャープであることが分かった。
一方、比較例1の粒子では、アルミナを固溶させていないために表面の酸性度が高いことが分かった。
比較例2の粒子では、アルミナ及びジルコニアの回折線が正規の位置からずれており、また、アルミナ及びジルコニア以外に、アルミニウムの水酸化物(AlOOH)の回折線が認められ、ジルコニア粒子中にアルミニウムの水酸化物(AlOOH)が混在し、結晶性も低下していることが分かった。
比較例3の粒子では、アルミナ及びジルコニア以外の回折線は認められなかったものの、粒子同士の融着が激しく、粒子径を測定することができなかった。
比較例4の粒子では、アルミナ及びジルコニアの回折線がブロードで、半値幅も広いことから、非晶質であることが確認され、結晶性が著しく低下したものであった。したがって、結晶性のアルミナドープジルコニアナノ粒子を得ることができなかった。

Claims (3)

  1. アルミナを正方晶ジルコニアに固溶してなるナノ粒子であって、
    平均粒子径が1nm以上かつ20nm以下であり、
    前記アルミナの含有率は、このアルミナと前記正方晶ジルコニアの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下であり、
    粉末X線回折法による測定において、アルミナ及び正方晶ジルコニア以外の回折線が認められないことを特徴とするアルミナドープジルコニアナノ粒子。
  2. アルミナを正方晶ジルコニアに固溶してなるナノ粒子であって、
    平均粒子径が1nm以上かつ20nm以下であり、
    前記アルミナの含有率は、このアルミナと前記正方晶ジルコニアの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下であるアルミナドープジルコニアナノ粒子を製造する方法であって、
    ジルコニウム塩溶液に塩基性溶液を加えて前記ジルコニウム塩溶液のpHを4未満に調整する工程と、
    このpHを調整した溶液にアルミニウム塩溶液を加えて、このアルミニウム塩をアルミナに、前記ジルコニウム塩をジルコニアに、それぞれ換算したときの前記アルミナの含有率が、該アルミナと前記ジルコニアとの合計量に対して1mol%以上かつ15mol%以下の混合溶液とする工程と、
    この混合溶液に炭酸アルカリ溶液を加えてpHを11.3以上とするとともに、沈殿物を生成させる工程と、
    この沈殿物を400℃以上に加熱し、アルミナを正方晶ジルコニアに固溶してなるアルミナドープジルコニアナノ粒子を生成する工程と、を備えてなることを特徴とするアルミナドープジルコニアナノ粒子の製造方法。
  3. 前記加熱工程の後に、生成した前記アルミナドープジルコニアナノ粒子から不純物を除去する工程を備えてなることを特徴とする請求項2記載のアルミナドープジルコニアナノ粒子の製造方法。
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