JP2000327416A - 酸化ジルコニウム原料粉末およびその製造方法 - Google Patents

酸化ジルコニウム原料粉末およびその製造方法

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JP2000327416A
JP2000327416A JP11137158A JP13715899A JP2000327416A JP 2000327416 A JP2000327416 A JP 2000327416A JP 11137158 A JP11137158 A JP 11137158A JP 13715899 A JP13715899 A JP 13715899A JP 2000327416 A JP2000327416 A JP 2000327416A
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Takuya Matsubara
拓也 松原
Toru Tsurumi
徹 鶴見
Shoichiro Goto
昭一郎 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ジルコニア系セラミックスの中でも、特に高強
度・高靱性を必要とする構造材料に用いることを目的と
した均一性の高い正方晶部分安定化ジルコニア焼結体お
よび原料粉末を提供することにある。 【解決手段】酸化ジルコニウムに第2成分として酸化イ
ットリウムまたは酸化セリウムが固溶され、第3成分と
して酸化ジルコニウムに対して酸化アルミニウム換算で
0.1〜3重量%のアルミニウム元素と酸化ナトリウム
換算で0.005〜0.05重量%のナトリウム元素が
存在しており、平均1次粒子径が0.02〜0.15μ
mであり、この1次粒子の凝集体として構成されること
を特徴とする酸化ジルコニウム原料粉末。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジルコニア系セラミ
ックスの中でも、特に高強度・高靱性を必要とする構造
材料に用いることを目的とした均一性の高い正方晶部分
安定化ジルコニア焼結体および原料粉末とその製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】高強度・高靱性ジルコニア焼結体として
ジルコニアに酸化イットリウムや酸化セリウム等の3価
以上の金属酸化物を固溶させた部分安定化ジルコニア焼
結体は既に知られている。この部分安定化ジルコニア焼
結体は耐腐食性、耐摩耗性であり、セラミックスの中で
高い強度と靱性を持つことから、刃物や治工具、粉砕メ
ディア、摺動部材、機械部品等のさまざまな構造材料と
して用いられている。しかし、現状の技術では素材の持
つ高強度、高靱性を引き出すためにホットプレス焼結な
どの加圧焼結を行う必要があり、コスト面における欠点
を持っている。また粒子径を細かくすることで焼結性を
高めた粉末も存在するが、常圧焼結では酸化イットリウ
ム系で3点曲げ強度120kgf/mm2 程度が最高で
ある。
【0003】またこれら原料粉末の製造法として共沈
法、加水分解法、ゾル−ゲル法、熱分解法等が既に知ら
れている(「ジルコニアセラミックス1」p1〜19、
内田老鶴圃(1983))。このうち液相法である共沈
法、加水分解法、ゾル−ゲル法においては、水和ジルコ
ニアが生成するときの安定化剤と第3成分との均一性を
保持することが非常に難しいこと、製造工程が多くコス
トがかかることが挙げられる。
【0004】また熱分解法については噴霧乾燥−焼成法
や噴霧焙焼法があり、これらの方法では上記の液相法に
比べ安定化剤の均一性は得られやすく安価に粉末を製造
できることを特徴とする。しかし熱分解法で得られた粉
末では、焼結体の強度があまり高くならない傾向があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これまで得られている
酸化イットリウムを安定化剤とするジルコニア粉末はア
ルミナを微量添加することで常圧焼結における焼結体の
強度が向上する効果があることがすでに報告されてい
る。(日本セラミックス協会学術論文誌、96[6]、
643−653(1988))しかし、常圧焼結体の3
点曲げ強度は110kgf/mm2 強程度が最高値であ
る。また酸化ジルコニウム粉末を製造しているメーカー
のカタログ値を見ても常圧焼結における3点曲げ強度値
が120kgf/mm2 を超えるものはほとんど見あた
らない。
【0006】また酸化セリウムを安定化剤とする場合は
酸化イットリウム系より強度は低く安価な製法を用いた
場合、3点曲げ強度値70kgf/mm2 を超えるもの
はほとんど見あたらない。
【0007】酸化ジルコニウム粉末の製造法として、噴
霧乾燥−焼成または噴霧焙焼して得る方法は特公昭58
−176127号公報や特公昭60−86025号公報
に述べられている。しかし、3点曲げ強度に関しては最
大で100kgf/mm2 を超える条件の報告は見られ
ない。その他熱分解法を用いた公知の方法においても満
足できる値が得られていないことが実状である。
【0008】そこで本発明では、酸化ジルコニウムと安
定化剤からなる粉末にアルミニウム元素とナトリウム元
素を微量含有する粉末を用いることで、従来よりもさら
に高強度の構造材料用酸化ジルコニア焼結体が得られる
ことを見いだした。
【0009】また、この粉末を熱分解法、特に噴霧乾燥
−焼成法や噴霧焙焼法で安価に提供することを課題とし
た。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するために下記の構成を有する。
【0011】酸化ジルコニウムに第2成分として酸化イ
ットリウムまたは酸化セリウムが固溶され、第3成分と
して酸化ジルコニウムに対して酸化アルミニウム換算で
0.1〜3重量%のアルミニウム元素と酸化ナトリウム
換算で0.005〜0.05重量%のナトリウム元素が
存在しており、平均1次粒子径が0.02〜0.15μ
mであり、この1次粒子の凝集体として構成されること
を特徴とする酸化ジルコニウム原料粉末であり、その製
造方法として、ジルコニウム塩に第2成分としてイット
リウムまたはセリウムの塩からなる水溶液に第3成分と
してアルミニウム塩を酸化アルミニウム換算で酸化ジル
コニウムに対して0.1〜3重量%とナトリウム塩をナ
トリウム元素換算で酸化ジルコニウムに対して0.00
5重量%以上溶解し、この水溶液を急速乾燥した後、酸
素存在の雰囲気中で450℃〜1100℃に焼成し、こ
の焼成体を湿式粉砕し、水洗し、さらに乾燥することを
特徴とするものである。
【0012】さらに、酸化ジルコニウムに第2成分とし
て酸化イットリウムまたは酸化セリウムが固溶され、第
3成分として酸化ジルコニウムに対して0.1〜3重量
%の酸化アルミニウムと酸化ナトリウム換算で0.00
5〜0.05重量%のナトリウム元素を含有し、全ての
酸化ジルコニウム結晶の中で単斜晶の割合が3%以下、
立方晶の割合が10%以下で、結晶粒子径の平均値が
0.7μm以下であることを特徴とする酸化ジルコニウ
ム焼結体である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の酸化ジルコニア粉末は安
定化剤として酸化イットリウムまたは酸化セリウムが固
溶した一次粒子を持ち、さらに第3成分としてアルミニ
ウム元素を酸化ジルコニウムに対して酸化アルミニウム
換算で0.1〜3重量%含有し、ナトリウム元素を酸化
ジルコニウムに対し酸化ナトリウム換算で0.005〜
0.05重量%含有することが必要で、安定化剤の量は
ジルコニア焼結体を正方晶に部分安定化するために、通
常は酸化イットリウムが1〜5mol%または酸化セリ
ウムが7〜14mol%であることが好ましい。特に酸
化イットリウムが2〜4mol%または酸化セリウムが
9〜11mol%であることがさらに好ましい。酸化イ
ットリウムが1mol%未満になると焼結体における単
斜晶がかなり多くなる。また5mol%を超えると立方
晶の量が多くなり、それぞれ強度に悪影響を及ぼしてし
まい強度向上の効果が見られなくなる。酸化セリウムも
同様に7mol%未満では単斜晶が多くなり、14mo
l%を超えると立方晶が多くなるため強度が低くなり強
度向上の効果が見られなくなる。
【0014】粉末中の酸化ジルコニウムに対して酸化ア
ルミニウム換算で0.1〜3重量%のアルミニウム元素
が必要で、好ましくは0.5〜1.5重量%がよい。
0.1重量%未満であると酸化アルミニウム添加による
焼結密度、強度の向上が見られない。また3重量%を超
えると、結晶粒界に現れる酸化アルミニウム量が多くな
り、強度低下の原因となる。
【0015】粉末中の酸化ジルコニウムに対して酸化ナ
トリウム換算で0.005〜0.05重量%のナトリウ
ム元素が必要で、好ましくは0.01〜0.03重量%
がよい。0.005重量%未満であるとナトリウム元素
が存在することによる強度向上の効果が見られない。ま
た0.05重量%を超えると結晶粒界に異物として析出
してしまい、強度低下の原因となる。
【0016】ナトリウム元素の存在による強度向上の効
果については諸説考えられるが、特にジルコニアとアル
ミナに固溶することで焼結時の結晶表面拡散を活発にさ
せ、結晶粒子同士の結合力を増大させる効果があると推
測している。これらの効果を顕著に発現させるためには
ナトリウム元素およびアルミニウム元素が1次粒子の単
位で全てに存在することが好ましいが、8割以上あれば
問題はない。
【0017】粉末の1次粒子にナトリウム元素とアルミ
ニウム元素があることを調べる方法として、HRTEM
を用いたAEM分析が好ましい。この方法は、HRTE
Mにより1次粒子を選択し、それをX線点分析すること
により、各元素を検出する方法である。この方法を用い
て測定することにより、各1次粒子からナトリウムとア
ルミニウムが検出される。よって各1次粒子にはナトリ
ウム元素とアルミニウム元素が存在していることが確認
される。
【0018】しかしHRTEM−AEM法では各元素の
含有量を定量することが実質的に難しいことから、これ
らはICP発光分析や原子吸光分析を行うことで測定さ
れる。
【0019】また上記粉末の平均1次粒子径は0.02
〜0.15μmであり、好ましくは0.08〜0.12
μmのものがよい。通常の方法では1次粒子径を0.0
2μm未満にすることは難しく、もし小さかったとして
も成形体の密度がかなり小さくなり焼結時の収縮率が大
きくなることにより構造部材用の材料として機能しな
い。また0.15μmを超えると、焼結性が悪くなり、
焼結密度および強度が低い材料となってしまう。
【0020】次に本発明の酸化ジルコニウム原料粉末の
製造方法について述べる。
【0021】まずジルコニウム塩としては特に限定しな
いが、水溶性かつ熱分解反応で酸化ジルコニウムを生成
できるものとする。特にオキシ塩化ジルコニウムが好ま
しい。安定化剤となるイットリウム塩またはセリウム塩
は特に限定しないが水溶性の塩化物、硝酸塩が好まし
い。これらを酸化物換算で酸化ジルコニウムに対してイ
ットリウム塩1〜5mol%またはセリウム塩7〜14
mol%添加する。
【0022】アルミニウム塩も水溶性のものが好ましく
塩化物が特によい。添加量は酸化アルミニウム換算で
0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜1.5重量%添
加する。
【0023】添加するナトリウム塩としては水に溶解す
る中性のものがよい。特に塩化ナトリウムが適してい
る。添加するナトリウム塩の量はジルコニウム塩水溶液
中の酸化ジルコニウムに対して酸化ナトリウムに換算し
て0.005〜0.05重量%であり、0.005重量
%未満であると、ナトリウム塩の存在による強度の向上
が起こらなくなる。過剰に添加した場合においては、1
次粒子に実質的に取り込まれる量は0.05重量%以下
となり、過剰分を水洗等の手段で取り除くことができ
る。
【0024】水溶液を乾燥する方法は乾燥時間がなるべ
く短い方法であれば制限はないが、好ましくは噴霧乾燥
法及び噴霧焙焼法がよい。噴霧乾燥法および噴霧焙焼法
は熱風雰囲気中に高速回転ディスクや二流体ノズルで液
を噴霧して急速に乾燥する方法であり、粉末として得ら
れることから次の工程以降での取り扱いが非常に簡便に
なる。乾燥時間が長くなるとジルコニウム塩、安定化剤
及びナトリウム塩の偏析が起こり、均一性が悪くなる。
安定化剤が不均一になると焼結時に単斜晶が局在的に発
生してしまうことから密度、強度が低くなる恐れがあ
る。またナトリウム塩が偏析すると高濃度部分が異物と
なり強度の低下を引き起こしてしまう。
【0025】乾燥雰囲気温度については特に制限はしな
いが、次工程に焼成を行うため、品温が焼成温度より低
い温度で乾燥することが好ましい。
【0026】焼成温度は空気中で通常450℃〜110
0℃で行い、好ましくは800℃〜1100℃、さらに
好ましくは900℃〜1000℃で行う。保持時間は1
0時間以下でよいが、2〜5時間が好ましい。保持時間
があまり長いと、エネルギーの無駄となる。熱分解反応
による酸化ジルコニウム微粒子は450℃付近で発生
し、さらに温度を上げると成長が起こる。そこで450
℃より低い場合は酸化ジルコニウムは1次粒子を形成し
ておらず、また1100℃を超えると得られる酸化ジル
コニウム1次粒子の凝集が激しくなり、得られた粉末を
焼結する場合の焼結性が悪くなることから、焼結体の密
度が低くなる。この影響により強度も低下する。
【0027】本発明中でアルミニウム元素およびナトリ
ウム元素とした理由は800℃以下の焼成温度ではアル
ミニウム塩が完全に酸化アルミニウムになっておらず、
また同様の理由でナトリウム塩も完全に酸化ナトリウム
になっていないことが考えられるためである。
【0028】過剰に存在するナトリウム塩は湿式粉砕後
のスラリーを濾過水洗することにより、除去する。この
際スラリーを構成する水中のナトリウム塩濃度を0.0
2重量%以下にすることが望ましい。もし残留ナトリウ
ム塩濃度が0.02重量%を超えると乾燥粉末中に単独
で析出するナトリウム塩粒子の影響により焼結体内に異
物として残存してしまい、強度低下を引き起こす。
【0029】このスラリーを乾燥することにより粉末が
えられるが、この際一般的に噴霧乾燥により球状に顆粒
を形成させる方が好ましく、一般的なバインダなどを添
加してもよい。
【0030】次に焼結体について述べる。
【0031】焼結体は主に酸化ジルコニウムからなり、
第2成分として酸化イットリウムまたは酸化セリウムが
固溶した結晶相を持ち、第3成分として酸化ジルコニウ
ムに対して酸化アルミニウムが0.1〜3重量%、好ま
しくは0.5〜1.5重量%と、ナトリウム元素を酸化
ナトリウム換算で0.005〜0.05重量%、好まし
くは0.01〜0.03重量%含有する。この範囲外で
ある場合、先にも述べたが酸化アルミニウムの場合は
0.1重量%未満であるとより低いと密度・強度の向上
がみられず、3重量%を超えると結晶粒界に現れる量が
多くなり強度の低下を引き起こす。ナトリウム元素の場
合も0.005重量%未満であると強度向上の効果がみ
られず、0.05重量%を超えると結晶粒界に異物とし
て働き強度の低下を引き起こす。
【0032】第2成分の量は酸化イットリウムが1〜5
mol%または酸化セリウムが7〜14mol%が好ま
しい。特に酸化イットリウムが2〜4mol%または酸
化セリウムが9〜11mol%であることがさらに好ま
しい。
【0033】酸化イットリウムの場合、1mol%未満
であると単斜晶の割合が多くなり密度・強度が低下す
る。5mol%を超えると立方晶の割合が多くなり密度
・強度の低下を引き起こす。
【0034】焼結体中の単斜晶と立方晶の割合はX線分
析で次のように測定する。
【0035】まず単斜晶の割合は2θ=28.2゜付近
のピークの回折強度Im1(111)と2θ=31.4゜
付近のIm2(111- )と2θ=30.6゜付近の正方
晶と立方晶の合成ピークIt+c(111)をそれぞれ求
め、下式 単斜晶の割合(%)=(Im1+Im2)/(Im1+Im2+It+c)×100 ・・・・(1) で算出する。
【0036】また立方晶の割合はX線分析の回折強度に
おいて2θ=73.0゜付近にピークを持つ正方晶It1
(004)と2θ=74.4゜付近の正方晶It2(40
0)、2θ=73.8゜付近の立方晶Ic(400)か
ら下式 立方晶の割合(%)=Ic/(It1+It2+Ic)×100 ・・・・(2) で算出する。
【0037】本発明の焼結体は式(1)及び(2)で算
出された単斜晶の割合が3%以下、立方晶の割合が10
%以下であることを特徴とし、単斜晶の割合が3%を超
え、立方晶の割合が10%を超えると、部分安定化ジル
コニアの強度発現機構である正方晶から単斜晶への応力
誘起変態が阻害され、強度が低くなる。また焼結体密度
も低下する。
【0038】結晶粒子径は平均値が0.7μm以下であ
り、好ましくは0.5μm以下となることを特徴とす
る。結晶粒子径が0.7μmを超えると、全体の粒子同
士の接触面積が小さくなり、結晶粒界の結合力が弱まる
ため強度が低くなってしまう。
【0039】本発明の焼結体は酸化アルミニウムとナト
リウム元素の効果を発現するために均一性が必要であ
り、用いる粉末は特に限定しないが、先に述べた粉末を
用いることが好ましい。
【0040】
【実施例】以下に本発明を実施例によって説明するが、
本発明はこれによって限定されるものではない。
【0041】オキシ塩化ジルコニウム22重量%水溶液
に安定化剤として塩化イットリウムを酸化物の割合で
2.7mol%入れた。これに塩化アルミニウムと塩化
ナトリウムを酸化物換算でそれぞれ酸化ジルコニウムに
対して0.4重量%、4重量%添加して180℃で噴霧
乾燥した。この粉末を1000℃で5時間焼成した後、
平均粒径0.6μmになるよう湿式粉砕した。濾過水洗
でスラリーのNaCl濃度を80ppmにして乾燥造粒
することで酸化ジルコニウム粉末を得た。この粉末を1
ton/cm2 で等方圧成形し1450℃で常圧焼結し
た。
【0042】これを標準条件(実施例1)として、諸条
件の一部を表1の実施例2〜7、比較例1〜8のように
変更した。
【0043】それぞれについて、粉末の平均1次粒子
径、焼結体結晶平均粒径、単斜晶の割合、立方晶の割
合、焼結体中の酸化アルミニウム濃度および酸化ナトリ
ウム濃度、焼結体密度、3点曲げ強度を測定した結果を
表2、表3に示した。
【0044】粉末の平均1次粒子径はTEM画像分析、
結晶粒径はSEM画像分析、酸化アルミニウム濃度はI
CP発光分析法、酸化ナトリウム濃度は原子吸光法、焼
結体密度はJIS−Z−8807のアルキメデス法、焼
結体の3点曲げ強度はJIS−Z−1601でそれぞれ
求めた。
【0045】また実施例1と比較例1の粉末についてそ
れぞれHR−AEM法による微少部元素分析で各10個
の1次粒子について分析したところ、実施例1ではすべ
ての粒子からAlとNaが検出されたが、比較例1から
は全く検出されなかった。破壊靱性についても測定した
ところ、実施例1が5.9MN/m1.5 、比較例1で
5.8MN/m1.5 とほとんど変わらなかった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】酸化イットリウム及び酸化セリウムが固
溶した酸化ジルコニウムの粉末に微量のアルミニウム元
素とナトリウム元素を含有する粉末を用いることで焼結
体の強度が向上する特性を見いだした。特にジルコニウ
ム塩とイットリウム及びセリウムからなる塩の水溶液中
にアルミニウム塩と中性のナトリウム塩を添加し、熱分
解法で粉末を製造することで上記の粉末が得られた。こ
のような粉末を用いることでイットリア系の部分安定化
ジルコニアにおいて条件によっては常圧焼結後の3点曲
げ強度で130kgf/mm2 以上になる焼結体が得ら
れた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA03 AA12 AA14 AA17 AA36 BA20 CA01 CA04 GA03 GA04 GA05 GA11 GA25 GA27 4G031 AA01 AA07 AA08 AA12 AA29 BA20 CA01 CA04 GA01 GA03 GA09 GA11 4G048 AA03 AB02 AB06 AC08 AD03 AE06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ジルコニウムに第2成分として酸化
    イットリウムまたは酸化セリウムが固溶され、第3成分
    として酸化ジルコニウムに対して酸化アルミニウム換算
    で0.1〜3重量%のアルミニウム元素と酸化ナトリウ
    ム換算で0.005〜0.05重量%のナトリウム元素
    が存在しており、平均1次粒子径が0.02〜0.15
    μmであり、この1次粒子の凝集体として構成されるこ
    とを特徴とする酸化ジルコニウム原料粉末。
  2. 【請求項2】 ジルコニウム塩と安定化剤の混合割合が
    酸化ジルコニウムに対して酸化イットリウム1〜5mo
    l%または酸化セリウム7〜14mol%であることを
    特徴とする請求項1に記載の酸化ジルコニウム原料粉
    末。
  3. 【請求項3】 ジルコニウム塩に第2成分としてイット
    リウムまたはセリウムの塩からなる水溶液に第3成分と
    してアルミニウム塩を酸化アルミニウム換算で酸化ジル
    コニウムに対して0.1〜3重量%とナトリウム塩をナ
    トリウム元素換算で酸化ジルコニウムに対して0.00
    5重量%以上溶解し、この水溶液を急速乾燥した後、酸
    素存在の雰囲気中で450℃〜1100℃に焼成し、こ
    の焼成体を湿式粉砕し、水洗し、さらに乾燥することを
    特徴とする請求項1に記載の酸化ジルコニウム原料粉末
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 ジルコニウム塩と安定化剤の混合割合が
    酸化ジルコニウムに対して酸化イットリウム1〜5mo
    l%または酸化セリウム7〜14mol%であることを
    特徴とする請求項3に記載の酸化ジルコニウム原料粉末
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 ジルコニウム塩と安定化剤、第3成分の
    塩の混合水溶液の乾燥方法が噴霧乾燥法および噴霧焙焼
    法であることを特徴とする請求項3に記載の酸化ジルコ
    ニウム原料粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 酸化ジルコニウムに第2成分として酸化
    イットリウムまたは酸化セリウムが固溶され、第3成分
    として酸化ジルコニウムに対して0.1〜3重量%の酸
    化アルミニウムと酸化ナトリウム換算で0.005〜
    0.05重量%のナトリウム元素を含有し、全ての酸化
    ジルコニウム結晶の中で単斜晶の割合が3%以下、立方
    晶の割合が10%以下で、結晶粒子径の平均値が0.7
    μm以下であることを特徴とする酸化ジルコニウム焼結
    体。
  7. 【請求項7】 ジルコニウム塩と安定化剤の混合割合が
    酸化ジルコニウムに対して酸化イットリウム1〜5mo
    l%または酸化セリウム7〜14mol%であることを
    特徴とする請求項6に記載の酸化ジルコニウム焼結体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006143551A (ja) * 2004-11-24 2006-06-08 Toray Ind Inc ジルコニア粉末
JP2011057529A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd アルミナドープジルコニアナノ粒子及びその製造方法
JP2015078091A (ja) * 2013-10-16 2015-04-23 日揮触媒化成株式会社 安定化ジルコニアの製造方法
WO2018062452A1 (ja) 2016-09-30 2018-04-05 国立大学法人九州大学 酸化セリウム安定化酸化ジルコニウム系組成物及びその製造方法

Cited By (4)

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