JP2009149823A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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【課題】素地外観、塗装外観品質を向上させた、低線膨張係数で且つ寸法安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体の提供。
【解決手段】(A)メタロセン触媒を用いて重合され、メルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分、融解ピーク温度が121〜150℃であるポリプロピレン樹脂40〜85重量%、
(B)融解ピーク温度が155〜170℃であるプロピレンブロック共重合体14.5〜59.5重量%、及び
(C)炭素繊維0.5〜20重量%
を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、素地外観、塗装外観品質を向上させた、寸法安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物とその成形体に関する。
射出成形用途で特に自動車用途や一般日用品用途において、ポリプロピレン樹脂材料が多く使用されている。自動車用途として多くの内外装部品に使用されており、その理由としてはポリプロピレン樹脂が近年の触媒、重合、複合化技術の進歩により性能が向上している点、リサイクル性が容易で環境に優しい点、易成形性の点、鋼材と比較し低比重である点、形状の自由度(意匠性の自由度)が高い点などが挙げられる。
自動車の各外装部品を上記特性を利用して、現行の金属材料(鉄、アルミニウム等)からポリプロピレン系樹脂組成物に材質を変更することを考える際、例えば、バンパーとフェンダー、フェンダーとドア、フェンダーとフードなどは、各部品が熱膨張した際、互いが干渉しないように、部品間にある程度の隙間があるが、線膨張係数が大きい材質ではその隙間を大きく取る必要がある。意匠性の観点から、この隙間をより少なくすることが望ましく、その手法の一つとして各部品を構成するポリプロピレン系樹脂組成物の線膨張係数を現行の鋼材レベル程度に抑えることが要求されている。因みに、材料の線膨張係数を見るに、通常のポリプロピレン材は14×10-5/℃レベル、アルミニウム材は3×10-5/℃レベルである。PPバンパー材は8×10-5/℃レベルのものが多い。
また近年バンパーはポリプロピレン系樹脂組成物製の物が多い。近年問題となっている地球環境を考えれば、比重が現行のバンパー材料よりも小さく、尚且つ現行材料と同等以下の線膨張係数を有する材料も必要とされる。バンパーの線膨張係数は一般のポリプロピレン樹脂よりも小さいが鋼材よりも大きいのが現状である。
ポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形体において、線膨張係数を抑制する手法として、ポリプロピレンにエチレン系エラストマー、スチレン系エラストマー等のエラストマー成分、タルク等のフィラー成分を添加することが知られている。しかしながら上記は添加前のポリプロピレン単体に対しては効果があるが鉄やアルミニウム材レベル程度までは及ばない。更なる改良添加材として炭素繊維等の繊維状フィラーを複合化することが提案されている。(例えば、特許文献1)
炭素繊維等の繊維状フィラー、タルク等の非繊維状無機フィラー、更に、エラストマー成分を配合することにより、線膨張係数を3×10-5/℃レベル近傍に低減させることが可能である。しかし、射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に繊維状フィラーを使用した際、繊維状フィラーの添加量によっては、成形製品の素地表面や塗装表面に繊維形状が浮き出てくるため、自動車外装部品としての凄艶性(光沢・色相・表面平滑性等の外観)や質感を著しく失ってしまうという問題点がある。
特開2006−124454号公報
素地外観、塗装外観品質を向上させた、低線膨張係数で且つ寸法安定性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく炭素繊維を含有したポリプロピレン系樹脂組成物を、自動車外装部品に適応すべく鋭意検討した結果、メタロセン触媒を用いて重合した特定のポリプロピレン樹脂と特定のポリプロピレンブロック共重合体とを組み合わせ、これに炭素繊維、さらに必要に応じてオレフィン系エラストマー及び/又はスチレン系エラストマー、炭素繊維以外の無機フィラー(例えば、タルク)等を配合した樹脂組成物が、素地外観、塗装外観品質を顕著に改善できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨とするところは、
(A)メタロセン触媒を用いて重合され、メルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分、融解ピーク温度が121〜150℃であるポリプロピレン樹脂40〜85重量%、
(B)融解ピーク温度が155〜170℃であるプロピレンブロック共重合体14.5〜59.5重量%、及び
(C)炭素繊維0.5〜20重量%
を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨とするところは、メタロセン触媒が
[A]下記一般式(I)で表される遷移金属化合物
Figure 2009149823
[式中、A1 及びA2 は共役五員環配位子(同一化合物内においてA1 及びA2は同一でも異なっていてもよい)を示し、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。]
[B]アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩からなる群より選ばれる一種以上の物質、及び
[C]有機アルミニウム化合物
の接触物であることを特徴とする前記のポリプロピレン系樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨とするところは、プロピレンブロック共重合体が、結晶性ポリプロピレン成分を製造する前段重合工程及び該前段重合工程で生成した結晶性ポリプロピレン成分の存在下、二種以上のα−オレフィン間のランダム共重合体成分を製造する後段重合工程により製造されることを特徴とする前記のポリプロピレン系樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨とするところは、(C)炭素繊維は、繊維径が2〜15μm、繊維長が0.1〜20mmであることを特徴とする前記のポリプロピレン系樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨とするところは、ポリプロピレン系樹脂組成物が、炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体エラストマー、及び/又は炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンとの共重合体エラストマーを含有することを特徴とする前記のポリプロピレン系樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨とするところは、ポリプロピレン系樹脂組成物が、(A)〜(C)3成分の合計100重量部に対して、炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体エラストマー、及び/又は炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンとの共重合体エラストマーを10〜60重量部含有することを特徴とする前記のポリプロピレン系樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨とするところは、ポリプロピレン系樹脂組成物が、炭素繊維以外の無機フィラーを含有することを特徴とする前記のポリプロピレン系樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨とするところは、前記のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形、圧縮射出成形又は圧縮成形してなるポリプロピレン系樹脂成形体に存する。
本発明の炭素繊維含有ポリプロピレン系樹脂組成物は、低線膨張係数で且つ製品素地及び塗装表面の凄艶性(光沢・色相・表面平滑性等の外観)が従来よりも改善されるため、自動車外装部品などに使用が期待される。本塗装成形体をバンパーやフェンダーなどの自動車外装垂直部品に組み込んだ際、ドアパネルやボンネットのような水平部材との隙間を狭くできるので、優れた意匠性を付与することが可能である。
先ず本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の一成分として、(A)メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン樹脂が使用される。
メタロセン触媒としては、具体的には、
[A]下記一般式(I)で表される遷移金属化合物
Figure 2009149823
[式中、A1 及びA2 は共役五員環配位子(同一化合物内においてA1 及びA2は同一でも異なっていてもよい)を示し、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。]に、
[B]アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩、からなる群より選ばれる一種以上の物質、及び
[C]有機アルミニウム化合物
を接触させて得られる触媒が使用される。
一般式(I)中、A1 及びA2 は、共役五員環配位子(同一化合物内においてA1及びA2 は同一でも異なっていてもよい)を示し、好ましくはそのうち少なくとも一方は、共役五員環配位子上の隣接した置換基が結合し五員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を有する。そして、A1 及びA2 の共役五員環配位子は、結合性基Qに結合していない炭素に置換基を有していてもよい。上記の共役五員環配位子の典型例としては、例えば、シクロペンタジエニル基を挙げることが出来る。このシクロペンタジエニル基は、水素原子を4個有するもの[C54−]であってもよく、また、上記した通り、その水素原子の幾つかが置換基で置換されているものであってもよい。
上記の置換基の1つの具体例は、炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜15の炭化水素基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基、トリフェニルカルビル基などが挙げられる。上記の炭化水素基は、一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していてもよく、その置換基の末端で2種が結合して縮合環を形成してもよい。縮合環を形成したシクロペンタジエニル基の典型例としては、インデン、フルオレン、アズレン等の化合物やその誘導体である。
具体的には、シクロペンタジエニル、n−ブチルシクロペンタジエニル、インデニル、2−メチルインデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル、テトラヒドロインデニル、2−メチルテトラヒドロインデニル、2−メチルベンゾインデニル、2,4−ジメチルアズレニル、2−メチル−4−フェニルアズレニル、2−メチル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−フェニルアズレニル、2−メチル−4−(4ークロロフェニル)アズレニル等が挙げられる。
炭化水素基以外の置換基としては、珪素、酸素、窒素、燐、硼素、硫黄などの原子を含有する炭化水素残が挙げられる。その典型例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニル硼素基、ジメトキシ硼素基、チエニル基などが挙げられる。その他の置換基としては、ハロゲン原子又はハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。その典型的例としては、塩素、臭素、沃素、フッ素、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。成分[A]として使用する遷移金属化合物は、A1 及びA2 のうち少なくとも一方が、共役五員環配位子上の隣接した置換基が結合し五員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を有するものが好ましい。すなわち、A1及びA2のどちらか一方は、少なくとも共役五員環の隣接する炭素2原子を含めた7〜10の縮合環を形成しているものが好ましい。
Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示す。すなわち、Qは、2価の結合性基であり、A1とA2とを架橋する。Qの種類は特に制限されないが、その具体例としては、(イ)炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の2価の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、具体的には、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン等の不飽和炭化水素基、ハロアルキレン基、ハロシクロアルキレン基、(ロ)無置換または炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはオリゴシリレン基、(ハ)無置換または炭素数が通常1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基や、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基などが挙げられる。これらの中では、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはゲルミレン基が好ましい。
Mは、周期表第4〜6族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムの4族遷移金属、更に好ましくは、ジルコニウム又はハフニウムである。X及びYは、それぞれ独立して、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示す。上記の各炭化水素基における炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜12である。これらの中では、水素原子、塩素原子、メチル基、イソブチル基、フェニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等のケイ素含有炭化水素基が好ましい。
[B]成分としては、アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩、からなる群より選ばれる一種以上の物質を用いる。
[C]成分としては、下記一般式で表される有機アルミニウム化合物が好適に使用される。
AlRa3-a
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Pは、水素、ハロゲン、アルコキシ基またはシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。)有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシド等のハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられる。これらの中では、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、成分[C]として、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類なども使用できる。(尚、成分[B]がアルミノキサンの場合は成分[C]の例示としてアルミノキサンは除く。)
(A)メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン樹脂は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体であってもよい。共重合させる他のα−オレフィンは、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等の任意のα−オレフィンを使用することができるが、とりわけ、エチレンが最も好ましい。かかるα−オレフィンは、後述するMFRや融解ピーク温度を考慮して適宜の範囲から選択できるが、通常0〜10重量%、好ましくは0〜8重量%である。
(A)メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン樹脂は、JIS K−7210に準拠して230℃、21.18Nで測定されるメルトフローレート(MFR)が、1〜100g/10分、特に2〜80g/10分のものが好ましい。この範囲のものは成形時の流動性やゲートシール性が良好であり、衝撃強度等の機械物性にも優れる。メルトフローレートが1g/10分未満の場合、成形時の流動性が損なわれることがあり、又10g/10分を超えると、成形時のゲートシール性、衝撃強度等の機械物性が損なわれることがある。
(A)メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン樹脂の融解ピーク温度(Tm)は、121〜150℃の範囲から選択される。この温度は成形加工後の塗装工程と密接な関係にある。現在、溶媒フリーな塗料として水性塗料が広がりつつあり、実際の塗装焼付け温度が溶媒系塗料に対し上昇している。融点が120℃以下の場合、製品表面の融解が懸念される。また型転写の優位性が150℃以上では損なわれてしまう。上記の事情を考えれば融解ピーク温度(Tm)の範囲は125〜145℃が好ましい。なお、融解ピーク温度は示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製DSC6200)を使用し、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、50℃から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で40℃まで降温して結晶化させ1分間保持した後、10℃/分で200℃まで昇温させた時の融解最大ピーク温度として求めた。
次に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の他の一成分として、(B)プロピレンブロック共重合体が使用される。
(B)プロピレンブロック共重合体の製造方法について説明するに、プロピレンブロック共重合体は、結晶性ポリプロピレン成分を重合する工程と、前記結晶性ポリプロピレン成分の存在下で二種以上のα−オレフィン間のランダム共重合体成分を重合する工程とを含む重合工程により得られる共重合体である。結晶性ポリプロピレン成分としては、プロピレン単独重合体や、結晶性を著しく損なわない範囲でエチレン、1−ブテン等のコモノマーが共重合されたランダム共重合体が挙げられる。コモノマーの量は0.5重量%未満程度である。α−オレフィン間のランダム共重合体成分を構成する、α−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等を挙げることができる。これらのα−オレフィンの中から適宜二種以上が選択されていればよいが、好ましい組み合わせとしては、エチレンとプロピレン、エチレンとブテン−1、エチレンとヘキセン−1、エチレンとプロピレンとブテン−1、エチレンとプロピレンとヘキセン−1等が挙げられる。より好ましい組み合わせとしては、エチレンとプロピレンである。
結晶性ポリプロピレン成分とエチレンとプロピレンとのランダム共重合体成分からなるプロピレンブロック共重合体は、プロピレン・エチレンブロック共重合体と称する。
本発明のプロピレンブロック共重合体の製造には、通常、高立体規則性触媒として知られているチーグラー触媒、メタロセン触媒等が用いられる。チーグラー触媒には、例えば、チタン化合物として有機アルミニウム等で還元して得られた三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物を電子供与性化合物で処理し更に活性化したもの(例えば特開昭47−34478号、特開昭58−23806号、特開昭63−146906号)、塩化マグネシウム等の担体に四塩化チタンを担持させることにより得られるいわゆる担持型触媒(例えば、特開昭57−63310号、特開昭58−157808号、特開昭58−83006号、特開昭58−5310号、特開昭61−218606号、特開昭63−43915号、特開昭63−83116号の各公報参照)等が含まれる。これらの触媒は特に制限なく公知の触媒はいずれも使用可能である。
また、助触媒として有機アルミニウム化合物を使用する。例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、メチルアルモキサン、テトラブチルアルモキサンなどのアルモキサン、メチルボロン酸ジブチル、リチウムアルミニウムテトラエチルなどの複合有機アルミニウム化合物などが挙げられる。また、これらを2種類以上混合して使用することも可能である。
また、上述の触媒には、立体規則性改良や粒子性状制御、可溶性成分の制御、分子量分布の制御等を目的とする各種重合添加剤を使用することが出来る。例えば、ジフェニルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、酢酸エチル、安息香酸ブチル、p−トルイル酸メチル、ジブチルフタレートなどのエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、安息香酸、プロピオン酸などの有機酸類、エタノール、ブタノールなどのアルコール類等の電子供与性化合物を挙げることができる。
メタロセン触媒としては、前述の(A)ポリプロピレン樹脂の製造用として例示したものを用いることができる。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン若しくはトルエン等の不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合、また原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合が可能である。また、これらの重合形式を組み合わせて行うことも可能である。例えば、結晶性ポリプロピレン成分の重合をバルク重合で行い、α−オレフィン間のランダム共重合体成分の重合を気相重合で行う方法や、結晶性ポリプロピレン成分の重合を気相重合で行い、α−オレフィン間のランダム共重合体成分の重合を気相重合で行う方法などが挙げられる。
結晶性ポリプロピレン成分の製造を行う前段の重合工程では、プロピレン及び必要に応じて水素等の連鎖移動剤を供給して、前記触媒の存在下で重合を行い、結晶性ポリプロピレン成分を製造する。この際、本発明の(B)プロピレンブロック共重合体における結晶性ポリプロピレン成分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、10〜550g/10分となるように調整する。また、(B)の剛性と耐衝撃性を考慮して前段重合工程での重合体の生成量は、(B)全体に対して通常50〜95重量%、好ましくは65〜95重量%の範囲となるように調節される。
α−オレフィン間のランダム共重合体成分の製造を行う後段の重合工程では、二種以上のα−オレフィンと必要に応じて水素を連続的に供給して、前記触媒(前段の重合工程で使用した当該触媒)の存在下にα−オレフィン間の共重合を行い、α−オレフィン間のランダム共重合体成分を製造し、最終的な生成物として、(B)プロピレンブロック共重合体を得る。なお、後段工程での共重合体の生成量は、(B)全体に対して通常50〜5重量%、好ましくは35〜5重量%の範囲となるように調節される。
(B)プロピレンブロック共重合体は、その融解ピーク温度(Tm)が155〜170℃、好ましくは160〜165℃である。この共重合体は、結晶性ポリプロピレン成分と二種以上のα−オレフィンを共重合したエラストマー成分とを含有する、所謂ブロックポリプロピレン樹脂であり、成形品に耐衝撃性と剛性を付与するうえに不可欠な成分である。自動車の外装部品等での使用環境(太陽光の輻射熱等)を考えると材料の耐熱性は高いほどよいと考えられる。そのため(B)プロピレンブロック共重合体は(A)メタロセン触媒で重合されたポリプロピレン樹脂の融解ピーク温度よりも高いものが好ましく、入手のしやすさ等も考慮して155〜170℃の範囲から選択される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、第3の必須成分として、(C)炭素繊維を含有する。(C)炭素繊維はその繊維径は2〜15μm、好ましくは5〜10μmであり、繊維長が0.1〜20mm、好ましくは1〜15mmのものが用いられる。繊維径が上記の範囲にある場合、補強効果に優れ、成形品の外観もよい。線膨張を抑える効果も大きく好ましい。繊維径が2μmを下回るものはコスト的に有利ではない。繊維径が15μmを超えるとアスペクト比が低下することに伴い、本発明の樹脂配合系では補強効率の低下が起きるおそれがある。繊維長が20mmを超えると成形体表面の外観が低下することがある。
なお、ここで繊維径は、繊維を繊維長さ方向に垂直に裁断し、その断面を顕微鏡観察して直径を計測し、100本以上の繊維の直径の数平均を算出することにより求める。また、繊維状フィラーのアスペクト比は、平均繊維長/平均繊維径により算出する。ここで、平均繊維長(単位μm)は顕微鏡で拡大観察し、視野中の50粒の粒子の厚さを計測し、算術平均した値である。
炭素繊維は、界面活性剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤、金属石鹸等で表面処理を施したものを使用することができる。これにより、ポリプロピレン系樹脂との接着性を向上させることができる。シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、γ−グリシキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(2,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン等のビニルシランが好ましい。これらのカップリング剤は単独で用いても、複数種組み合わせて用いてもよい。
また、炭素繊維は、通常、サイジング剤(集束剤)により集束処理されている。集束剤の繊維状フィラー表面への最終付着量は、繊維の解繊性及び製品外観から一般に0.01〜1.5重量%、好ましくは0.1〜0.4重量%である。集束成分としては、通常、ウレタン系樹脂、変性又は未変性のオレフィン樹脂等が使用される。市販されている炭素繊維としては、三菱化学産資社製「ダイアリード」、呉羽化学社製「クレカチョップ」、東レ社製「トレカチョップ」、三菱レーヨン社製「パイロフィル」(いずれも商品名)が挙げられ、これらはいずれも良好に使用可能である。また、炭素繊維は予め樹脂成分と予備混合して、いわゆるマスターバッチとして使用することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、必須成分として、前述の(A)メタロセン触媒を用いて重合された特定のポリプロピレン樹脂、(B)特定のプロピレンブロック共重合体、及び(C)炭素繊維を含有する。各必須成分の含有量は、(A)が40〜85重量%、(B)が14.5〜59.5重量%、(C)が0.5〜20重量%、好ましくは(A)が45〜80重量%、(B)が15〜50重量%、(C)が1〜15重量%、更に好ましくは(A)が50〜75重量%、(B)が20〜40重量%、(C)が2〜10重量%の範囲から選択される。上記の範囲内において本発明の効果はいずれも良好に達成される。(A)が少ないと本発明の効果、特に良好な成形品外観を充分に享受することができず、多すぎる場合は成形品の剛性や耐衝撃性に問題を生じるおそれがある。(B)が少ないと剛性や耐衝撃性に問題があり、多すぎる場合は素地外観上好ましくない。また、(C)が少ないと線膨張率の改善効果に乏しく、成形品の寸法安定性に問題を生じる。多すぎる場合は素地外観上の問題に加えて成形性に劣る。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、更に、本発明の目的範囲内で任意成分を使用することができる。かかる成分として、炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体エラストマー、及び/又は炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンの共重合体エラストマーを挙げることができる。
α−オレフィンの共重合体エラストマーは、15〜70重量%、好ましくは20〜55重量%程度のα−オレフィンセグメントを含有するエチレンとα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。エチレンと共重合するα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜20のものが挙げられ、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等を挙げることができる。なかでも、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンが好ましい。
上記エチレン系エラストマーのMFR(JIS−K7210、230℃、2.16kg荷重)は、0.01〜100g/10分のものが好ましく、とりわけ0.1〜100g/10分のものが好ましい。さらに、密度(JIS−K7112)は0.850〜0.900g/cm3のものが好ましく、とりわけ0.860〜0.890g/cm3のものが好ましい。エチレン系エラストマーの製造方法は特に制限されるものではないが、塗料との密着性の点でメタロセン触媒により製造されたものが好ましい。好ましいエチレン系エラストマーとしては、ダウエラストマーズ製のエンゲージEG8180、EG8150、三井化学製のタフマーA4050S、A1050S(いずれも商品名)等が挙げられる。
スチレン系エラストマーは、5〜60重量%、好ましくは10〜30重量%のポリスチレンセグメントを含有するブロック共重合体であることが好ましい。かかるブロック共重合体としては、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン系ブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン系ブロック共重合体(SEPS)、スチレン・ブタジエン系ブロック共重合体(SBR)、スチレン・ブタジエン・スチレン系ブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレン系ブロック共重合体(SIS)等のブロック共重合体又はこれらのゴム成分を水添したブロック共重合体等を挙げることができる。
スチレン系エラストマーのMFR(230℃、2.16kg荷重)は、0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分の範囲のものが用いられる。好ましいスチレン系エラストマーとしては、シェル化学社製のクレイトン(Kraton)G1650、G1652、G1657、旭化成社製のタフテック(いずれも商品名)などが挙げられる。
上記の2種の任意成分の含有量は、(A)(B)(C)3成分のポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体エラストマー、及び/又は炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンとの共重合体エラストマーを、通常10〜60重量部含有する。自動車外板材料では衝撃性、剛性、耐熱性のバランスより、上記エラストマーを20〜55重量部含有することが好ましい。これらエラストマーを添加すると耐衝撃性を増加する効果が期待できる。添加量が多すぎる場合は、相対的に他の成分が少なくなり、剛性や耐熱性に問題が生じるおそれがあるので、成形品の用途を考量のうえ適宜に選択できる。
更に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、本発明の目的範囲内で炭素繊維以外の無機フィラーを含有することができる。かかる無機フィラーの形状としては、粒状、板状、バルーン状、繊維状等が挙げられ、好ましくは板状フィラーである。無機フィラーを配合することにより、線膨張係数を低減させることができる。さらに剛性や耐熱性の向上にも寄与する。
本発明で用いる無機フィラーとしては、具体的には、タルク、ガラス、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、ワラストナイト、硫酸バリウム、ベントナイト、モンモリロナイト、グラファイト、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ藻土、ガラスファイバー、ワラストナイト、硼酸アルミニウム繊維、チタン酸カリウム繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、炭酸カルシウム繊維等の無機繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリエーテルケトン繊維等の有機合成樹脂繊維等が挙げられる。好ましくはタルク、マイカ、ワラストナイト、モンモリロナイトであり、特に好ましくはタルクである。これら無機フィラーは、必要に応じて、その表面をポリプロピレンとの親和性を高める目的で親油化処理していてもよい。市販品として、富士タルク工業社製の「MT7」、(商品名)が挙げられる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物においては、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、或いは、更に性能の向上を計るために、上記した任意成分以外に、以下に示す添加剤や配合材成分を配合することができる。具体的には、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、分散剤、光安定剤等の各種添加剤、上記成分以外の各種の樹脂、ポリプロピレン樹脂と相溶性を向上させる変性プロピレン系重合体、各種エラストマー、各種フィラー等の各種配合材を挙げることができる。
上記した本発明の各成分を一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機を用いて混練・造粒することによって本発明のプロピレン系樹脂組成物を得ることができる。この場合、各成分の分散を良好にすることができる混練・造粒方法を選択することが好ましく、通常は二軸押出機を用いて混練・造粒が行なわれる。この混練・造粒の際には、全ての配合物を同時に混練しても良く、また性能の向上を計るべく各成分を適宜に分割することができる。例えば、先ず(A)メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン樹脂、(B)プロピレンブロック共重合体、エラストマー、無機フィラー(炭素繊維除く)の一部又は全部を混練し、得られた溶融樹脂に対して、サイドフィーダ等で炭素繊維成分を混練・造粒することもできる。
実施例及び比較例において、原材料として以下のものを使用した。
(A)メタロセン系プロピレン系樹脂(PP−1〜PP−2)
(B)プロピレンブロック共重合体(PP−3)
・その他のポリプロピレン系樹脂(PP−4〜PP−5)
PP−1〜PP−5を[表1]にまとめた。
Figure 2009149823
(C)炭素繊維
東レ社製、炭素繊維、トレカTS12(商品名)
繊維径7μm、 繊維長7mm
(D)その他の原材料成分
・無機フィラー:林化成社製、タルク、「ミクロンホワイト5000SMA」(商品名)
・エラストマー:デュポンダウ社製、エチレン・オクテン共重合体、「EG8180」(商品名)
また、安定剤及び添加剤成分として以下のものを使用した。
・フェノール系酸化防止剤:チバスペシャリティケミカルズ社製、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、「イルガノックス1010」(商品名)
・リン系安定剤:チバスペシャリティケミカルズ社製、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、「イルガホス168」(商品名)
・硫黄系安定剤:吉冨製薬社製、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、「DMTP」(商品名)
・滑剤:日東化成工業社製、ステアリン酸カルシウム、「カルシウム・ステアレート」(商品名)
[実施例1〜5]
上記原材料(A〜D)を、タンブラーミキサーを用いて表2に示す割合で各々配合した。さらに原材料の合計100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤0.1重量部、リン系安定剤0.1重量部、硫黄系安定剤0.10重量部、滑剤0.05重量部を充分に混合した。但し、上記のタンブラーミキサーでの混合に際して、炭素繊維(C)を加えることなく、後段押出機にてサイドフィーダにより途中より供給を行なった。得られた混合物を2軸押出機(日本製鋼所製:TEX30α)、樹脂温度210℃の条件下にて混練造粒し、ペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を得た。上記樹脂組成物を用いて射出成形により各評価用試験片を得た。各材料の配合及び評価結果を表2に示した。
<評価試験片>
射出成形機:東芝機械社製、IS170、型締め力:170トン
金型:120×120×3(mm)、鏡面仕上げ
成形条件:樹脂温度220℃、金型温度40℃
<線膨張測定評価>
流動方向と流動方向に対して垂直方向に切削(10mm×10mm)してサンプルを作成し、サーモメカニカルアナライザー(島津製作所製、TMA−50)を用いて各線膨張係数を測定した。測定温度範囲は23℃から80℃までとし、昇温速度は2℃/分とした。測定結果は各2方向の平均値として示した。
<成形品表面の外観評価>
(1)評価試験片の表面に蛍光灯の光を当てて、試験片に写りこむ像を目視で判断した。
判断基準 ○:蛍光灯の写りがはっきり見える。
△:蛍光灯の写りが一部はっきり見えない箇所がある。
×:蛍光灯の写りが全体的にはっきり見えない。
(2)KEYENCE製、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500を用いて、倍率20倍でテストピースの表面を観察し、その像から表面荒れ具合を判断した。
判断基準 ○:試験片表面に炭素繊維による荒れが、ほとんど見られない
△:試験片表面の一部に炭素繊維による荒れが見られる
×:試験片表面の全体に荒れが見られる
<塗装表面鮮鋭性評価>
プライマ、ベース、クリアの各ウレタン系樹脂塗料で試験片に塗装を施し(乾燥膜厚の合計50μm)、90℃で焼付けを行なった。その後、その表面をマイクロウェーブ−スキャン(BYK−Gardner社製)を用いて測定した。測定値はdu、Wa、Wb、Wc、Wdの各値の平均値として表示した。
マイクロウェーブ−スキャン(BYK−Gardner社製)は多くの自動車製造会社の塗装評価で使用されており、塗装外観を客観的数値で評価できる。日本では東洋精機製作所が代理店となりこの機器の販売を行っている。du、Wa、Wb、Wc、Wdは塗装表面のストラクチャーの各波長範囲によって分けられ、
du<0.1mm、
Wa0.1〜0.3mm、
Wb0.3〜1mm、
Wc1〜3mm、
Wd3〜10mm
である。数値が高くなれば塗装表面の凄艶性(光沢・色相・表面平滑性等の外観)が低下する。
[比較例1〜4]
各材料の配合を表3に示すように変更した以外は実施例1〜5と同様に評価試験片を作成して評価した。その結果も表3に示した。
Figure 2009149823
Figure 2009149823
実施例1〜5及び比較例1〜4について、線膨張係数とウェブスキャン平均値との関係を図1に示した。実線は実施例データのプロット、破線は比較例データのプロットを示す。各実施例においては、線膨張係数が同一となるレベルで比較してウェブスキャン平均値が小さく、塗装表面鮮鋭性評価において優れていることが分かる。
実施例及び比較例における、線膨張係数とウェブスキャン平均値との関係を示す図である。
符号の説明
実線は実施例1〜5のプロット、破線は比較例1〜4のプロットを示す。

Claims (8)

  1. (A)メタロセン触媒を用いて重合され、メルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分、融解ピーク温度が121〜150℃であるポリプロピレン樹脂40〜85重量%、
    (B)融解ピーク温度が155〜170℃であるプロピレンブロック共重合体14.5〜59.5重量%、及び
    (C)炭素繊維0.5〜20重量%
    を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. メタロセン触媒が
    [A]下記一般式(I)で表される遷移金属化合物
    Figure 2009149823
    [式中、A1 及びA2 は共役五員環配位子(同一化合物内においてA1 及びA2は同一でも異なっていてもよい)を示し、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。]
    [B]アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩からなる群より選ばれる一種以上の物質、及び
    [C]有機アルミニウム化合物
    の接触物であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. プロピレンブロック共重合体が、結晶性ポリプロピレン成分を製造する前段重合工程及び該前段重合工程で生成した結晶性ポリプロピレン成分の存在下、二種以上のα−オレフィン間のランダム共重合体成分を製造する後段重合工程により製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. (C)炭素繊維は、繊維径が2〜15μm、繊維長が0.1〜20mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. ポリプロピレン系樹脂組成物が、炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体エラストマー、及び/又は炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンとの共重合体エラストマーを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. ポリプロピレン系樹脂組成物が、(A)〜(C)3成分の合計100重量部に対して、炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体エラストマー、及び/又は炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンとの共重合体エラストマーを10〜60重量部含有することを特徴とする請求項5に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. ポリプロピレン系樹脂組成物が、炭素繊維以外の無機フィラーを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形、圧縮射出成形又は圧縮成形してなるポリプロピレン系樹脂成形体。
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