JP2019172802A - ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)23℃での曲げ弾性率が100〜1600MPaであること
(2)230℃、21.18N(2.16kg)で測定した場合のメルトマスフローレイト(MFR)が5〜150g/10minであること
(3)上記ポリオレフィン系樹脂と混合したときのモルフォロジーが、ポリオレフィン系樹脂を連続相(海)とし、オレフィン系軟質樹脂成分を分散相(島)とした海島構造を形成し、かつ分散相の平均長さが0.1〜10μmであること。
また、上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレンホモポリマーが適する。
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂を(A)成分ともいい、オレフィン系軟質樹脂成分を(B)成分ともいい、密着性付与剤を(C)成分ともいう。
オレフィン系軟質樹脂成分を構成するオレフィンの具体的な例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、1−オクテン等を挙げることができる。
この海島構造とは、ポリオレフィン系樹脂からなる相が連続相をなし、オレフィン系軟樹脂質成分からなる相が連続相中に分散して分散相となっている構造を意味する。海島構造となることは、両者は完全には相溶しないことを意味する。
ポリオレフィン系樹脂は単純なエチレンやプロピレン等のオレフィンを含むモノマーから得られる樹脂であり、酸変性等の変性や異相共重合等の反応が行われていない未変性タイプのものが適する。
これらのオレフィンを1種類だけ重合させた単独重合体(ホモポリマー)でもよいし、2種類以上を共重合させた共重合体(コポリマー)でもよい。共重合体の例としては、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ペンテン共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体のような二元共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ヘキセン共重合体のような三元共重合体等が挙げられる。この中でもプロピレンの単独重合体であるプロピレンホモポリマーが特に好ましい。
本明細書において、MFRの測定条件は特に断らない限り、(B)成分の条件と同じである。
密着性付与剤は、樹脂と繊維の密着性を改善する作用を有する。したがって、ポリオレフィン系樹脂と相溶性を有する単位と、繊維との接着性を高める単位、好ましくは水酸基のような極性基含有単位とを有するものであればよい。しかし、(B)成分のオレフィン系軟質樹脂成分であることはない。
より好ましくは、酸変性ポリオレフィン系樹脂単位及びエポキシ樹脂単位を有し、酸変性ポリオレフィン系樹脂単位とエポキシ樹脂単位がエステル構造で結合されていて、しかもエポキシ樹脂単位中に2級水酸基が含有される樹脂である。
酸変性ポリオレフィン系樹脂の好ましい変性内容は上記の酸変性PPに対するものと同様であり、無水マレイン酸が特に好ましい。
ポリグリシジルアミン化合物としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、メタキシレンジアミン型エポキシ樹脂、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリグリシジルエステル化合物としては、例えば、ダイマー酸型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、トリメリット酸型エポキシ樹脂等が挙げられる。
脂環式エポキシ化合物としては、セロキサイド2021(ダイセル化学工業株式会社製)等の脂肪族環状エポキシ樹脂等が挙げられる。
その他変性エポキシ樹脂としては、例えば、ウレタン変性エポキシ樹脂、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、エポキシ変性メラミン樹脂、ポリビニルアレーンポリオキシド(例えば、ジビニルベンゼンジオキシド、トリビニルナフタレントリオキシド等)、リン含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
エステル結合は、IR吸収スペクトルを測定することで、C=O伸縮による吸収が1735〜1750cm−1に観測できることで確認できる。
エポキシ樹脂単位中に含まれる2級水酸基の有無は、IR吸収スペクトルを測定することで、O−H伸縮による吸収が3200〜3600cm−1にブロードなピークとして観測できることで確認できる。
また、コスト的には(A)成分を主成分とし、(B)成分を50質量%未満、好ましくは2質量%以上、30質量%未満とし、(C)成分を10質量%未満、好ましくは2質量%以上、10質量%未満とすることが有利である。
JIS K 7210−1999に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
(2)引張降伏強さ、引張破壊強さ、引張弾性率、引張破壊歪:
万能材料試験機(インストロン社製、5582型)を使用した。室温にて、掴み部を含めた全長215mm、幅10mm、厚み4mmの寸法のダンベル試験片を、チャック間114mm、速度50mm/min.で引張試験を行い、得られた応力−歪線図から引張降伏強さ、引張破壊強さ、引張弾性率、引張破壊歪を求めた。
(3)曲げ強さ、曲げ弾性率:
全自動曲げ試験機(株式会社東洋精機製作所製、ベンドグラフ試験機)を使用した。室温にて、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの寸法の棒状試験片を速度2mm/min.で3点曲げ試験を行い、得られた応力−歪線図から曲げ強さ、曲げ弾性率を求めた。
(4)衝撃強さ:
シャルピー衝撃試験機(株式会社安田精機製作所製、No.258PC−S)を使用した。室温にて、試験片長手方向をMD方向とし、板厚を貫通する深さ2mmのVノッチを有した、長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの衝撃試験片でシャルピー衝撃試験を行った。試験片の破壊前後でのハンマー位置エネルギーの差から吸収エネルギーを求め、シャルピー衝撃値とした。
(5)荷重たわみ温度:
荷重たわみ温度試験機(株式会社安田精機製作所製、No.148−HDPC−3)を使用した。長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの多目的試験片に対し、スパン64mmで曲げ応力を与えた状態で油槽の温度を120℃/min.の速度で昇温し、規定のたわみ量(0.34mm)に達した時の温度を荷重たわみ温度とした。
(A−1):ポリプロピレンホモポリマー、日本ポリプロ株式会社製、SA08(MFR85g/10min)
(B−1):ブロックPP、日本ポリプロ株式会社製、BC10HRF(曲げ弾性率1100MPa、MFR111g/10min)
(B−2):無水マレイン酸変性PP、三菱ケミカル株式会社製、モディックP565(曲げ弾性率600MPa、MFR5.7g/10min)
(B−3):無水マレイン酸変性PP、三菱ケミカル株式会社製、モディックP555(曲げ弾性率1200MPa、MFR6.2g/10min)
(B−4):水添スチレン系熱可塑性エラストマー、旭化成株式会社製、タフテックH1062(曲げ弾性率26MPa、MFR4.5g/10min)
PMA−H1000P:無水マレイン酸変性PP、東洋紡株式会社製、PMA−H1000P(曲げ弾性率1400MPa、MFR200g/10min以上)
YP−70:BPA/BPF共重合型フェノキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製、フェノトートYP−70
2E4MZ−A:イミダゾール系触媒、四国化成工業株式会社製、キュアゾール2E4MZ−A
オレフィン系軟質樹脂成分(B−1)〜(B−4)20部とポリオレフィン系樹脂(A−1)80部とをそれぞれドライブレンドした混合物を、2軸混錬押出成形機(日本製鋼所製、TEM26SS)に投入した後、200℃での溶融混合を行った。バレル先端のダイス口から吐出されたストランドを水槽で冷却した後、ペレタイザーで凡そ3mm長にカットし、さらに放冷してオレフィン系軟質樹脂成分とポリオレフィン系樹脂の混合物のペレットを得た。得られたペレットを、射出成形機(株式会社日本製鋼所製、J180AD)を用い、シリンダー温度230℃、金型温度40℃で射出成型して成形物を得た。得られた成形物の表面を、ミクロトームを使って平滑化する面出しを行って、モルフォロジー観察用及び分散相長さ測定用の試験片を得た。得られた試験片をBrukerAXS製Dimension Icon型SPM装置を用いて、23℃にて観察を行った。なおプローブには先端曲率半径が10nm、ばね定数42N/mのBruker製TESPA NCHVをセットしタッピングモードでスキャンして観察した。観察の結果得られた位相イメージから100個の分散相長さを測定し、各分散相長さを算術平均して平均長さを算出した。その結果を表1に示した。
ここで、モルフォロジーを模式的に表した図1で説明する。100が海島構造であり、110が連続相を、120が分散相を表している。また、分散相の最大長さ及び最小長さとは、121及び122でそれぞれ表した距離のことである。
PMA−H1000Pを70部、YP−70を30部、2E4MZ−Aを1部ドライブレンドして混合物を得た後、その混合物を予めバレル内を170〜200℃に予備加熱しておいた2軸混錬押出成形機(上記)に投入して溶融混合を行った。溶融混合終了後、バレル先端のダイス口から吐出されたストランドを水槽で冷却したあと、ペレタイザーで凡そ3mm長にカットし、さらに放冷して、密着性付与剤(C−1)を得た。得られた密着性付与剤のエステル結合に由来するピーク、及び密着性付与剤の原料であるエポキシ樹脂の2級水酸基に由来するピークが有ることをFT−IRで確認した。
ポリオレフィン系樹脂として(A−1)72部、オレフィン系軟質樹脂成分として(B−1)23部、密着性付与剤として(C−1)5部をドライブレンドして混合物を得た後、その混合物を用いて、合成例1と同様な装置に、同様な操作を行い、組成物(P1)を得た。得られた組成物の機械物性を表2に示した。
表2に示した配合比に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、組成物(P2)〜(P10)を得た。得られた組成物の機械物性を表2に示した。
表3に示した配合比に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、組成物(HP1)〜(HP6)を得た。得られた組成物の機械物性を表3に示した。
予めバレル内を170〜230℃に予備加熱しておいた2軸混錬押出成形機(上記)に、メーンホッパーからポリオレフィン系樹脂組成物として(P1)を70部供給し、次いでその下流のサイドホッパーから炭素繊維を30部となるよう供給し、溶融混合を行った。バレル先端のダイス口から吐出されたストランドを水槽で冷却したあと、ペレタイザーで凡そ3mm長にカットし、さらに放冷して、炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを、射出成形機(上記)を用い、シリンダー温度230℃、金型温度40℃で射出成型することで成形物を得た。得られた成形物の機械物性を表4に示した。
表4に示した組成物に変更した以外は実施例11と同様な操作を行い、成形物を得た。得られた成形物の機械物性を表4に示した。
表5に示した組成物に変更した以外は実施例11と同様な操作を行い、成形物を得た。得られた成形物の機械物性を表5に示した。
110 連続相
120 分散相
Claims (6)
- ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系軟質樹脂成分、及び密着性付与剤を必須成分とするポリオレフィン系樹脂組成物であって、上記オレフィン系軟質樹脂成分が、下記条件
(1)23℃での曲げ弾性率が100〜1600MPaであること、
(2)230℃、21.18Nにおけるメルトマスフローレイトが5〜150g/10minであること、及び
(3)上記ポリオレフィン系樹脂と混合したときのモルフォロジーが、ポリオレフィン系樹脂を連続相とし、オレフィン系軟質樹脂成分を分散相とした海島構造を形成し、かつ分散相の平均長さが0.1〜10μmであること、
を満たすことを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。 - 上記密着性付与剤が、酸変性ポリオレフィン系樹脂単位及びエポキシ樹脂単位を有し、酸変性ポリオレフィン系樹脂単位とエポキシ樹脂単位がエステル構造で結合されていること、及びエポキシ樹脂単位中に2級水酸基が含有されている請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 上記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンホモポリマーである請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 上記オレフィン系軟質樹脂成分が、エチレン−プロピレンブロックコポリマー及び/又は酸変性ポリプロピレンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 上記ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系軟質樹脂成分、及び密着性付与剤を、それぞれ(A)、(B)、及び(C)とするとき、それぞれの配合率が、(A)、(B)、及び(C)の合計に対し、(A)0.1〜97.5質量%、(B)2〜75質量%、及び(C)0.5〜70質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 上記配合率が、(A)、(B)、及び(C)の合計に対し、(A)40〜97質量%、(B)2〜49質量%、及び(C)1〜20質量%である請求項5に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
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