JP2020033541A - セルロース複合樹脂及びその製造方法 - Google Patents

セルロース複合樹脂及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020033541A
JP2020033541A JP2019102327A JP2019102327A JP2020033541A JP 2020033541 A JP2020033541 A JP 2020033541A JP 2019102327 A JP2019102327 A JP 2019102327A JP 2019102327 A JP2019102327 A JP 2019102327A JP 2020033541 A JP2020033541 A JP 2020033541A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose
rubber
composite resin
mass
containing polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019102327A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7349264B2 (ja
Inventor
正義 今西
Masayoshi Imanishi
正義 今西
俊文 名木野
Toshibumi Nagino
俊文 名木野
理史 浜辺
Michifumi Hamabe
理史 浜辺
彰馬 西野
Shoma Nishino
彰馬 西野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to US16/545,182 priority Critical patent/US20200062930A1/en
Priority to CN201910771275.8A priority patent/CN110857351B/zh
Priority to EP19193407.4A priority patent/EP3613805B1/en
Publication of JP2020033541A publication Critical patent/JP2020033541A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7349264B2 publication Critical patent/JP7349264B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】衝撃強度が高く、所望の色への着色に問題ない程度に樹脂の着色が抑制されたセルロース複合樹脂を提供する。【解決手段】セルロース複合樹脂は、主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーを含み、セルロース繊維におけるαセルロース含有率が50質量%以上80質量%未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、セルロース複合樹脂とその製造方法に関する。
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)等のいわゆる「汎用プラスチック」は、比較的安価であり、金属、またはセラミックスに比べて重さが数分の一と軽量であり、成形などの加工が容易であるという特徴を有する。そのため、汎用プラスチックは、袋、各種包装、各種容器、シート類等の多様な生活用品の材料として、また、自動車部品、電気部品等の工業部品、及び日用品、雑貨用品等に利用されている。
しかしながら、汎用プラスチックは、機械的強度が不十分であること等の欠点を有している。そのため、汎用プラスチックは、自動車等の機械製品、及び電気・電子・情報製品をはじめとする各種工業製品に用いられる材料に対して要求される十分な特性を有しておらず、その適用範囲が制限されているのが現状である。
一方、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、フッ素樹脂等のいわゆる「エンジニアリングプラスチック」は、機械的特性に優れており、自動車等の機械製品、及び電気・電子・情報製品をはじめとする各種工業製品に用いられている。しかしながら、エンジニアプラスチックは、高価であり、モノマーリサイクルが難しく、環境負荷が大きいといった課題を有している。
そこで、汎用プラスチックの材料特性(機械的強度等)を大幅に改善することが要望されている。汎用プラスチックの材料特性を改善する方法として、2種類以上の樹脂またはフィラーなどの添加剤を配合して複合樹脂を製造する技術が知られている。特に機械的強度を向上させることを目的に、繊維状フィラーである天然繊維やガラス繊維、炭素繊維などが使用されている。中でもセルロースなどの有機繊維状フィラーは、安価であり、かつ廃棄時の環境性にも優れていることから、強化用繊維として近年注目されている。
複合樹脂の使用用途の一つとして家電筐体や自動車の内装、外装部品などの外観部品に用いられている。外観部品に要求される特性として剛性や衝撃強度などの機械的強度に加えて、所望の色に着色が可能なことなどが挙げられる。所望の色への着色には、材料が透明もしくは白色に近い色が適している。そのため、着色には明度を表すL値(明度指数値)が大きい材料が好ましい。しかしながら、セルロース繊維は製造時の加熱により着色(L値が減少)するという特徴があるため、セルロース複合樹脂も着色(L値が減少)している。そのため、セルロース複合樹脂を着色する際に、複合樹脂が有する色により所望の色への着色が困難であるという問題点がある。特許文献1では、αセルロース含有率80質量%以上のセルロース繊維を使用し、複合樹脂の着色(L値の減少)を抑制することにより、複合樹脂の着色性を向上させている。
特開2011−231237号公報
しかしながら、特許文献1に記載のセルロース複合樹脂では、結晶化度の高いαセルロースを80質量%以上も含有するセルロース繊維を使用するため、セルロース繊維が結晶核剤として効果的に機能し、樹脂の結晶化度が高くなる。その結果、エラストマーの衝撃強度の補強効果が十分に発揮されず、衝撃強度が低下するという課題が存在する。
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、衝撃強度が高く、所望の色への着色に問題ない程度に樹脂の着色((L値の減少))が抑制されたセルロース複合樹脂を提供することを目的とする。
本発明に係るセルロース複合樹脂は、主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーを含み、
前記セルロース繊維におけるαセルロース含有率が50質量%以上80質量%未満である。
また、本発明に係るセルロース複合樹脂の製造方法は、主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤の第1の混合物を作製し、
前記第1の混合物にゴム含有ポリマーを添加して第2の混合物を混練することを含み、
前記第1の混合物を作製する時間が、ゴム含有ポリマーを添加して第2の混合物を混練する時間の0.1倍以上である。
本発明に係るセルロース複合樹脂は、αセルロース含有率が50質量%以上80質量%未満のセルロース繊維を含有しているため、セルロース複合樹脂の着色を抑制し、かつ樹脂の結晶化度の増大も抑制することが出来る。そのため、セルロース複合樹脂は、着色、つまり、L値の減少を抑制しながらも衝撃強度が高くなる。
実施の形態1におけるセルロース複合樹脂の模式図である。 実施の形態1におけるセルロース複合樹脂のαセルロース含有率が50質量%未満の場合の結晶化状態を示す模式図である。 実施の形態1におけるセルロース複合樹脂のαセルロース含有率が50質量%以上80質量%未満の場合の結晶化状態を示す模式図である。 実施の形態1におけるセルロース複合樹脂のαセルロース含有率が80質量%以上の場合の結晶化状態を示す模式図である。 実施例1〜5および比較例1〜8における条件と測定結果を示す表である。
第1の態様に係るセルロース複合樹脂は、主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーを含み、
前記セルロース繊維におけるαセルロース含有率が50質量%以上80質量%未満である。
第2の態様に係るセルロース複合樹脂は、上記第1の態様において、前記セルロース複合樹脂中の主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーの合計量を100質量%としたときに、セルロース繊維の含有量が5質量%以上25質量%以下であってもよい。
第3の態様に係るセルロース複合樹脂は、上記第1又は第2の態様において、前記セルロース複合樹脂中の主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーの合計量を100質量%としたときに、分散剤の含有量が0.1質量%以上15質量%以下であってもよい。
第4の態様に係るセルロース複合樹脂は、上記第1から第3のいずれかの態様において、前記セルロース複合樹脂中の主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーの合計量を100質量%としたときに、ゴム含有ポリマーの含有量が1質量%以上20質量%以下であってもよい。
第5の態様に係るセルロース複合樹脂は、上記第1から第4のいずれかの態様において、前記ゴム含有ポリマーが、ポーリングの電気陰性度で2.7以下の原子から構成され、隣接する原子間の電気陰性度の差が0.8以下となる構造の官能基のみを有する脂肪族炭化水素もしくは芳香族炭化水素から構成されるゴム含有ポリマーであってもよい。
第6の態様に係るセルロース複合樹脂は、上記第1から第5のいずれかの態様において、さらに着色剤を含有してもよい。
第7の態様に係るセルロース複合樹脂は、上記第1から第6のいずれかの態様において、前記主剤樹脂がオレフィン系樹脂であってもよい。
第8の態様に係るセルロース複合樹脂の製造方法は、主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤の第1の混合物を作製し、
前記第1の混合物にゴム含有ポリマーを添加して第2の混合物を混練することを含み、
前記第1の混合物を作製する時間が、ゴム含有ポリマーを添加して第2の混合物を混練する時間の0.1倍以上である。
以下、本発明の実施の形態におけるセルロース複合樹脂とその製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、同じ構成部分には同じ符号を付して、適宜説明を省略している。
(実施の形態1)
実施の形態1におけるセルロース複合樹脂は、非結晶部11と結晶部12とのマトリックスから構成される主剤樹脂1、セルロース繊維2、分散剤3、ゴム含有ポリマー4からなる。セルロース複合樹脂は、図1に示すように、主剤樹脂のマトリックス中にセルロース繊維2、分散剤3、ゴム含有ポリマー4が分散されており、分散剤3はセルロース繊維2と主剤樹脂1との界面などに存在している。
実施の形態1における主剤樹脂1としては、良好な成形性を確保するために、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂(環状オレフィン系樹脂を含む)、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂またはその誘導体、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴムまたはエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが挙げられる。上記の樹脂は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用されてもよい。なお、樹脂は熱可塑性を有していれば上記の材料に限定されるものではない。
これらの熱可塑性樹脂のうち、主剤樹脂は、比較的低融点であるオレフィン系樹脂であることが好ましい。オレフィン系樹脂としては、オレフィン系単量体の単独重合体の他、オレフィン系単量体の共重合体や、オレフィン系単量体と他の共重合性単量体との共重合体が含まれる。オレフィン系単量体としては、例えば、鎖状オレフィン類(エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどのα−C2−20オレフィンなど)、環状オレフィン類などが挙げられる。これらのオレフィン系単量体は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用されてもよい。上記オレフィン系単量体のうち、エチレン、プロピレンなどの鎖状オレフィン類が好ましい。他の共重合性単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体;マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物;カルボン酸のビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);ノルボルネン、シクロペンタジエンなどの環状オレフィン;およびブタジエン、イソプレンなどのジエン類などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用されてもよい。オレフィン系樹脂の具体例としては、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度または線状低密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1などの三元共重合体などの鎖状オレフィン類(特にα−C2−4オレフィン)の共重合体などが挙げられる。
実施の形態1におけるセルロース繊維2としては、セルロース繊維、リグノセルロース繊維等が挙げられる。セルロース繊維、リグノセルロース繊維の原料としては木材(針葉樹、広葉樹)、コットンリンター、ケナフ、マニラ麻(アバカ)、サイザル麻、ジュート、サバイグラス、エスパルト草、バガス、稲わら、麦わら、葦、竹などの天然素材が挙げられる。また、酸もしくはアミン、エポキシ等を含む官能性単量体により変性したセルロース繊維を用いてもよい。
実施の形態1における分散剤3としては、各種のチタネート系カップリング剤、シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、またはその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルなどが挙げられる。上記シランカップリング剤は、不飽和炭化水素系やエポキシ系のものが好ましい。分散剤の表面は、熱硬化性もしくは熱可塑性のポリマー成分で処理され変性処理されても問題ない。分散剤3は、主剤樹脂1とセルロース繊維2の組み合わせにより適切に選択される。
実施の形態1におけるゴム含有ポリマーとしては、室温で弾性体である天然及び合成の重合体等のゴム様物質であることが好ましく、0℃以下においても弾性体であることがより好ましい。具体的には、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブテン−1ゴム、エチレン−ブテン−1−非共役ジエンゴム、エチレン−オクテンゴム等のエチレン−αオレフィン共重合体ゴム;ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、部分水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、部分水添スチレン−イソプレンブロック共重合ゴム、ポリウレタンゴム、スチレングラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、スチレン−グラフト−エチレン−プロピレンゴム、スチレン/アクリロニトリル−グラフト−エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、スチレン/アクリロニトリル−グラフト−エチレン−プロピレンゴム等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。また、他の酸もしくはアミン、エポキシ等をふくむ官能性単量体により変性した変性ゴムを用いてもよい。ポーリングの電気陰性度で2.7以下の原子から構成され、隣接する原子間の電気陰性度の差が0.8以下となる構造の官能基のみを有する脂肪族炭化水素もしくは芳香族炭化水素から構成されるゴム含有ポリマーがより好ましい。
実施の形態1で用いるセルロース繊維は、セルロース複合樹脂の着色(L値の減少)の抑制と衝撃強度の観点から、αセルロース含有率が50質量%以上80質量%未満であることが好ましく、60質量%以上80質量%未満であることがより好ましい。図1に示すように本発明のセルロース複合樹脂は、主剤樹脂1、セルロース繊維2、分散剤3、ゴム含有ポリマー4から構成されている。主剤樹脂1がマトリックスとして機能しており、主剤樹脂1中にセルロース繊維2、分散剤3、ゴム含有ポリマー4が分散した構造となっている。セルロース複合樹脂中でセルロース繊維2は、繊維補強効果によりセルロース複合樹脂の機械的強度を向上する効果に加えて、結晶核剤としても機能することにより主剤樹脂の結晶化度を向上させる効果を有している。セルロース繊維2は、結晶化度と熱安定性の高いαセルロースと、αセルロースに比べて結晶化度と熱安定性の低い成分から構成されており、αセルロース含有率が高いほどセルロース繊維の結晶化度と熱安定性が向上する。そのため、αセルロース含有率が高いセルロース繊維を含むセルロース複合樹脂は、着色、つまり、L値の減少が抑制される。しかしながら、αセルロース含有率が高いセルロース繊維2は、結晶化度が高く、結晶核剤効果が大きくなるため、主剤樹脂成分の結晶化度が向上することにより、衝撃強度が減少する。エラストマーは、エラストマーの衝撃吸収メカニズムから主剤樹脂の結晶部よりも非晶部に存在することで効果的に衝撃を吸収することが出来る。そのため、主剤樹脂の結晶化度が増大することにより、主剤樹脂の非晶部が減少すると、エラストマーの衝撃強度の補強効果は減少する。
図2A、図2B、図2Cは、実施の形態1におけるセルロース複合樹脂のαセルロース含有量による結晶化状態の変化を表した模式図である。図2Aは、セルロース繊維におけるαセルロース含有率が50質量%未満の場合の結晶化状態を示す模式図である。図2Bは、セルロース繊維におけるαセルロース含有率が50質量%以上80質量%未満の場合の結晶化状態を示す模式図である。図2Cは、セルロース繊維におけるαセルロース含有率が80質量%以上の場合の結晶化状態を示す模式図である。
図2Aに示すように、セルロース繊維におけるαセルロース含有率が50質量%よりも小さい場合、衝撃強度は高いものの、セルロース繊維2の熱安定性が低いため、セルロース複合樹脂の製造時に熱分解が進み、着色、つまり、L値の減少が大きくなり、剛性が減少する。セルロース繊維におけるαセルロース含有率が80質量%以上の場合、図2Cに示すように、主剤樹脂の結晶化度が増大するため、衝撃強度が大きく減少する。なお、この場合、着色、つまりL値の低下は少ない。そのため、セルロース複合樹脂中のセルロース繊維におけるαセルロース含有率は、図2Bに示すように、50質量%以上80質量%未満であることが好ましい。この場合、衝撃強度が高く、且つ、着色、つまりL値の低下は少ない。
本実施の形態1のセルロース複合樹脂中の主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーは合計で100質量%となる量である。
本実施の形態1のセルロース複合樹脂中のセルロース繊維の量は、5質量%以上25質量%以下であることが好ましい。セルロース繊維量が5質量%よりも少ない場合、セルロース繊維による繊維補強効果が小さいため、剛性が小さくなる。セルロース繊維量が25質量%よりも大きい場合、セルロース繊維におけるαセルロース含有量が少なくてもαセルロースの総量が多く、結晶核剤効果が大きくなるため、衝撃強度が減少する。そのため、セルロース複合樹脂中のセルロース繊維量は前記範囲内であることが好ましい。
本実施の形態1のセルロース複合樹脂中の分散剤の量は、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。分散剤はセルロース繊維と主剤樹脂もしくはゴム含有ポリマーの界面に存在することで相溶性を向上させている。分散剤量が0.1質量%よりも少ない場合、セルロース繊維と主剤樹脂の界面に分散剤が十分な量存在しないため、界面の密着性が悪く、部分的に空隙などが存在し、セルロース繊維による機械的強度の向上の効果がほとんど発現されない。また、セルロース繊維の分散不良が発生する。分散剤量が15質量%よりも多い場合、分散剤が過剰に存在するため、セルロース複合樹脂の強度が低下する。そのため、セルロース複合樹脂中の分散剤量は前記範囲内であることが好ましい。
本実施の形態1のセルロース複合樹脂中のゴム含有ポリマーの量は、1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。ゴム含有ポリマー量が1質量%よりも少ない場合、ゴム含有ポリマー量が少なすぎるため、セルロース複合樹脂の衝撃強度の向上がほとんど見込めない。ゴム含有ポリマー量が15質量%よりも多い場合、ゴム含有ポリマー量が多すぎるため、衝撃強度は大きく向上する一方で剛性も大きく減少してしまう問題がある。また、極端にゴム含有ポリマーの量が多い場合、マトリックスが主剤樹脂からゴム含有ポリマーへと変更してしまう問題も存在する。そのため、セルロース複合樹脂中のゴム含有ポリマー量は前記範囲内であることが好ましい。
本実施の形態1のゴム含有ポリマーは、ポーリングの電気陰性度で2.7以下の原子から構成され、隣接する原子間の電気陰性度の差が0.8以下となる構造の官能基のみを有する脂肪族炭化水素もしくは芳香族炭化水素から構成されるゴム含有ポリマーであることが好ましい。ポーリングの電気陰性度で2.7を超える原子も含めた原子から構成され、隣接する原子間の電気陰性度の差が0.8を超える部分も含まれる構造の官能基の場合、前記官能基は高い極性を有するため、セルロース中の極性基であるヒドロキシ基との間で強い相互作用が生じるかもしくは結合を形成する。セルロース繊維とゴム含有ポリマー間で強い相互作用が生じるかもしくは結合が形成されてしまうと、セルロース繊維と主剤樹脂の界面が減少するため、主剤樹脂に対する繊維補強効果が減少する。そのため、ポーリングの電気陰性度で2.7以下の原子から構成され、隣接する原子間の電気陰性度の差が0.8以下となる構造の官能基のみを有する脂肪族炭化水素もしくは芳香族炭化水素から構成されるゴム含有ポリマーであることが好ましい。
本実施の形態1のセルロース複合樹脂は、着色剤を含有することが可能である。着色剤としては具体的に有機顔料、無機顔料、染料が挙げられる。着色剤の種類、色、濃度に関しては、用途と材料の組み合わせにより適切に選択される。
本実施の形態1のセルロース複合樹脂の製造方法では、主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤の第1の混合物の混練時間がゴム含有ポリマー添加後の第2の混合物の混練時間に比べて0.1倍以上であることが好ましい。一方、主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーを同時に混練して第2の混合物とした場合、他の材料に比べてゴム含有ポリマーの粘性が高いため、第2の混合物の粘性も高くなる。このため、セルロース繊維や分散剤が樹脂マトリックス中に均一に分散できず、セルロース複合樹脂の機械的強度の増加率が低くなる。これに対して、主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤のみを混合して第1の混合物とする場合であって、さらに、第1の混合物の混練時間がゴム含有ポリマー添加後の第2の混合物の混練時間に比べて0.1倍未満の場合、主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤の混練時間が短いため、十分にセルロース繊維や分散剤が分散できていない第1の混合物中にゴム含有ポリマーを添加することになるため、セルロース複合樹脂中でも分散できていない状態となり、機械的強度の増加率が低くなる。そのため、第1の混合物の混練時間がゴム含有ポリマー添加後の第2の混合物の混練時間に比べて0.1倍以上であることが好ましい。
本実施の形態1のセルロース複合樹脂の製造方法で用いる混練装置としては、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機、ロール混練機が好ましい。その中でも、二軸混練機とロール混錬機を使用するのがより好ましい。なお、混練装置は混練手段として回転体を有していれば上記の装置に限定されるものではない。
図3に、実施例1〜5および比較例1〜8の条件および測定結果を示す。
(実施例1)
以下の製造方法によってセルロース複合樹脂を製造した。前記したように、混練装置にはニーダー、バンバリーミキサー、押出機、ロール混練機などを用いることができるが、実施例1では二軸混練機を使用している。
主剤樹脂としてポリプロピレン(株式会社プライムポリマー社製 商品名:J108M)と、セルロース繊維として針葉樹パルプ(三菱製紙株式会社製 商品名:NBKP Celgar)を粉砕機で粉砕したαセルロース含有率が75質量%のセルロース繊維と、分散剤として無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三洋化成工業株式会社製 商品名:ユーメックス)と、エラストマーとしてSEBS(旭化成株式会社製 商品名:タフテック)を重量比で72:15:5:8となるよう秤量し、ドライブレンドした。
ドライブレンドした原材料を重量フィーダーにより、2kg/hで混練装置に供給した。前記したように、混練装置には二軸混練機(株式会社JSW TEX30a)を使用した。スクリューは中せん断タイプの仕様とした。二軸混練機から排出されたセルロース複合樹脂はホットカットし、セルロース複合樹脂ペレットを作製した。
作製したセルロース複合樹脂ペレットを用いて射出成形機(日本製鋼所製 180AD)によりセルロース複合樹脂成形体の試験片を作製した。試験片の作製条件は、主剤樹脂の温度190℃、金型温度60℃、射出速度60mm/s、保圧80Paとした。ペレットは、ホッパーを介して成形機のスクリューへ噛み込んでいくが、その際の侵入性を時間当たりのペレット減少量で測定しており、一定であることを確認した。試験片の形状は、下記に述べる評価項目によって変更し、弾性率測定用に1号サイズのダンベルを作製し、落下衝撃試験用に60mm角、厚さ1.2mmの平板を作製した。得られたセルロース複合樹脂成形体の試験片を以下の方法により評価を行った。
<セルロース複合樹脂成形体の評価項目>
(繊維状フィラーの比表面積)
得られたセルロース複合樹脂ペレットをキシレン溶媒に浸漬して、ポリプロピレンを溶解させ、残ったセルロース繊維について比表面積の測定を実施した。原材料のときに比べて比表面積が150%未満であったものを×とし、150%以上200%未満であったものを△とし、200%以上であったものを○とした。同セルロース繊維の比表面積は220%で、その評価は〇であった。
(セルロース複合樹脂成形体の弾性率)
得られた1号ダンベル形状の試験片を用いて、引張試験を実施した。ここで、弾性率の評価方法として、その数値が1.7GPa未満のものを×とし、1.7GPa以上2.0GPa未満のものを△とし、2.0GPa以上のものを〇とした。同試験片の弾性率は2.1GPaで、その評価は〇であった。
(セルロース複合樹脂成形体の落下衝撃強度)
得られた平板形状の試験片を用いて、落下衝撃試験を実施した。具体的には、重さ250gの重錐を高さ80cmから試験片の板面に向けて落下させ、ヒビが入るかどうかを確認した。この評価方法として、ヒビが確認されなかったものを〇とし、表面にのみヒビが確認され、かつ、そのヒビの長さが10mm未満であったものを△とし、貫通したヒビが確認された、または、ヒビの長さが10mm以上であったものを×とした。同試験片は、ヒビが確認されず、その評価は〇であった。
(セルロース複合樹脂の色差L値(明度指数値))
色差計(コニカミノルタジャパン株式会社製 色彩色差計CR−400)を用いて、1号ダンベル形状の試験片のL値(明度指数値)の測定を実施した。ここで、弾性率の評価方法として、その数値が50未満のであれば×とし、50以上であれば○とした。同試験片は、L値が60で、その評価結果が○であった。
(セルロース複合樹脂の結晶化度)
DSC測定により、結晶化ピークを測定し、そのピーク面積を積分した。XRDの測定結果から得られた結晶化度の値とDSC測定で得られた結晶化ピーク面積には相関関係があることを確認している。ここで、結晶化度の評価方法として、主剤樹脂のみの結晶化度の値を1としたとき、1.5以上であるものを×、1.5未満であるものを○とした。同セルロース複合樹脂は、1.4で、その評価が○であった。
(繊維状フィラーの凝集度合い)
得られた平板形状の試験片を用いて、光学顕微鏡により繊維状フィラーの凝集物の数とサイズを観察した。ここで、凝集度合いの評価方法として10mm四方の領域に1000μm以上のサイズの凝集物が10個以上のものを×とし、3個以上10個未満のものを△とし、3個未満のものを○とした。同試験片の1000μm凝集物の数は2個で、その評価は○であった。
(分子量)
セルロース複合樹脂ペレットの分子量の測定を実施した。セルロース複合樹脂ペレットの平均分子量が原材料に比べて20%より大きければ×とし、20%以下であれば○とした。同ペレットは、その評価が○であった。
(実施例2)
実施例2では、セルロース繊維と分散剤の量を増加させ、主剤樹脂:セルロース繊維:分散剤:ゴム含有ポリマーの重量比を65.5:20:6.5:8に変更した。それ以外の条件は実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例3)
実施例3では、実施例1に比べて分散剤の量を増加させ、主剤樹脂:セルロース繊維:分散剤:ゴム含有ポリマーの重量比を70:15:7:8に変更した。それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例4)
実施例4では、実施例1に比べてゴム含有ポリマーの量を増加させ、主剤樹脂:セルロース繊維:分散剤:ゴム含有ポリマーの重量比を68:15:5:12に変更した。それ以外の材料条件、およびプロセス条件については実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例5)
実施例5では、主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤をドライブレンドした第1の混合物をメインフィーダーから供給し、ゴム含有ポリマーはサイドフィードする方式に変更した。つまり、第1の混合物にゴム含有ポリマーを混練して第2の混合物とした。それ以外の材料条件、およびプロセス条件については実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例1)
比較例1では、αセルロース含有率が30%のセルロース繊維を使用し、それ以外の材料条件、およびプロセス条件については実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例2)
比較例2では、αセルロース含有率が90%のセルロース繊維を使用し、それ以外の材料条件、およびプロセス条件については実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例3)
比較例3では、実施例1に比べてセルロース繊維量を減少させ、主剤樹脂:セルロース繊維:分散剤:ゴム含有ポリマーの重量比を90.5:1:0.5:8に変更した。それ以外の材料条件、およびプロセス条件については実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例4)
比較例4では、実施例1に比べてセルロース繊維量を増加させ、主剤樹脂:セルロース繊維:分散剤:ゴム含有ポリマーの重量比を22:60:10:8に変更した。それ以外の材料条件、およびプロセス条件については実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例5)
比較例5では、実施例1に比べて分散剤量を減少させ、主剤樹脂:セルロース繊維:分散剤:ゴム含有ポリマーの重量比を76.99:15:0.01:8に変更した。それ以外の材料条件、およびプロセス条件については実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例6)
比較例6では、実施例1に比べて分散剤量を増加させ、主剤樹脂:セルロース繊維:分散剤:ゴム含有ポリマーの重量比を47:15:30:8に変更した。それ以外の材料条件、およびプロセス条件については実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例7)
比較例7では、実施例1に比べてゴム含有ポリマーの量を減少させ、主剤樹脂:セルロース繊維:分散剤:ゴム含有ポリマーの重量比を79.5:15:5:0.5に変更した。それ以外の材料条件、およびプロセス条件については実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例8)
比較例8では、実施例1に比べてゴム含有ポリマーの量を減少させ、主剤樹脂:セルロース繊維:分散剤:ゴム含有ポリマーの重量比を50:15:5:30に変更した。それ以外の材料条件、およびプロセス条件については実施例1と同様にセルロース複合樹脂ペレット、ならびに成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
各実施例1〜5および各比較例1〜8における測定結果を図3の表に示す。
セルロース繊維量を増加させた実施例2では、実施例に1に比べてセルロース繊維による繊維補強効果が増大するため、弾性率は2.3GPaであった。分散剤量を増加させた実施例3では、実施例1にくらべて、分散剤を増加させたことによりセルロース繊維と主剤樹脂もしくはゴム含有ポリマーの密着性が向上するため、弾性率が増大し、2.2GPaとなった。また、衝撃強度に関しても90cmで評価が○となった。ゴム含有ポリマーを増加させた実施例4では、実施例1にくらべて、ゴム含有ポリマーによる衝撃強度補強効果が効果的に機能するため、衝撃強度が増大し、100cmでもヒビが生じない結果となった。主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤をメインフィーダーから供給し、ゴム含有ポリマーをサイドフィーダーから供給して混練する方式に変更した実施例5では、全原材料が同時に供給されて混練された実施例1に比べて、サイドフィーダーからゴム含有ポリマーが供給されるまでの間の材料にかかるせん断応力が大きくなる。全原材料を同時供給した場合、柔らかいゴム含有ポリマーによりせん断応力のエネルギーが吸収されるため、他の原材料にかかるエネルギーが低下する。そのため、実施例5では、原材料の分散、セルロース繊維の解繊が進み、弾性率と衝撃強度が向上した。以上より、実施例2、3、4および5は全ての試験で実施例1と同等以上の結果となった。
αセルロース含有率が30質量%のセルロース繊維を使用した比較例1では、セルロース繊維中に熱安定性の低い成分が多量に存在するため、せん断発熱などによりセルロース繊維の熱分解が生じる。そのため、セルロース複合樹脂が着色し、L値が低下し、その評価結果は×であった。
αセルロース含有率が90質量%のセルロース繊維を使用した比較例2では、セルロース繊維において結晶化度の高いαセルロースが90質量%含まれており、主剤樹脂の結晶化度が増大するため、主剤樹脂の非晶部分が減少し、ゴム含有ポリマーによる衝撃強度補強効果も減少した。そのため、衝撃強度が低下し、落下衝撃試験にて割れる結果になった。
全原材料に対してセルロース繊維の重量比率を小さくした比較例3では、セルロース繊維の量が少ないため、粘度が低くなり、原材料の分散、セルロース繊維の解繊が進まず、セルロース繊維の比表面積の評価結果が△となった。また、セルロース繊維の量が少なすぎるため、繊維補強効果によるセルロース複合樹脂の機械的特性の向上が現れず、1.4GPaと弾性率が下がる結果となった。
全原材料に対してセルロース繊維の重量比率を大きくした比較例4では、セルロース繊維の量が多いため、粘度が高くなりすぎ、原材料に対するせん断応力が強くかかるため、原材料の劣化が生じた。その結果、主剤樹脂の分子量が大きく減少し、その評価結果は×となった。また、セルロース繊維量が多すぎるため、衝撃強度が低下し、落下衝撃試験にて割れる結果になった。
全原材料に対して分散剤の重量比率を小さくした比較例5では、分散材料が少なすぎることにより、セルロース繊維と主剤樹脂との界面に十分な分散剤が存在しないため、界面に空隙などが生じ、繊維補強効果によるセルロース複合樹脂の機械的特性の向上が減少し、1.8GPaと弾性率が下がる結果となった。また、分散剤の量が少ないため、セルロース繊維の凝集が増加した。その結果、落下衝撃試験時に空隙部分もしくはセルロース繊維の凝集物を基点としてヒビ割れが形成されやすくなり、衝撃強度が低下し、落下衝撃試験にて割れる結果になった。
全原材料に対して分散剤の重量比率を大きくした比較例6では、分散剤が過剰に存在するため、セルロース複合樹脂の弾性率が低下し、1.6GPaになった。
全原材料に対してゴム含有ポリマーの重量比率を小さくした比較例7では、ゴム含有ポリマーが少なすぎることにより、十分な衝撃強度補強効果が現れず、衝撃強度が低下し、落下衝撃試験にて割れる結果になった。
全原材料に対してゴム含有ポリマーの重量比率を大きくした比較例8は、弾性率の低いゴム含有ポリマーの量が多すぎるため、セルロース複合樹脂全体としての弾性率が低下し、1.4GPaになった。
以上の評価から、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーの量を大きくしすぎたもしくは小さくしすぎた場合、弾性率もしくは衝撃強度が著しく低下した。また、セルロース繊維におけるαセルロース含有率を高くしすぎた場合、衝撃強度が大きく減少した。一方、セルロース繊維におけるαセルロース含有率を低くしすぎた場合、熱分解による着色が大きく、着色性に問題が生じた。しかし、セルロース繊維におけるαセルロース含有率を50質量%以上80質量%未満とした場合、各成分の効果が適切に発現し、組み合わされるため、機械的強度が高く、着色性の良いセルロース複合樹脂を作製することができる。以上より、50質量%以上80質量%未満のαセルロース含有率のセルロース繊維を使用し、原材料を規定の範囲の重量比にすることで、各材料の効果が相殺しあうことなく適切に発揮されるため、セルロース複合樹脂は、L値が高く、着色性がよく、高い弾性率と高い衝撃性を有することがわかった。
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
本発明に係るセルロース複合樹脂は、従来の汎用樹脂よりも機械的強度に優れ、かつ着色性も良好な成形体を提供することができる。本発明に係るセルロース複合樹脂により、主剤樹脂の特性を向上させることができるので、エンジニアリングプラスチックの代替物、または金属材料の代替物として利用され得る。従って、エンジニアリングプラスチック製または金属製の各種工業製品、または生活用品の製造コストを大幅に削減し得る。さらには家電筐体、建材、自動車部材への利用が可能である。
1 主剤樹脂
2 セルロース繊維
3 分散剤
4 ゴム含有ポリマー
11 非結晶部
12 結晶部

Claims (8)

  1. 主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーを含み、
    前記セルロース繊維におけるαセルロース含有率が50質量%以上80質量%未満であることを特徴とするセルロース複合樹脂。
  2. 前記セルロース複合樹脂中の主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーの合計量を100質量%としたときに、セルロース繊維の含有量が5質量%以上25質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のセルロース複合樹脂。
  3. 前記セルロース複合樹脂中の主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーの合計量を100質量%としたときに、分散剤の含有量が0.1質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセルロース複合樹脂。
  4. 前記セルロース複合樹脂中の主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤、ゴム含有ポリマーの合計量を100質量%としたときに、ゴム含有ポリマーの含有量が1質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のセルロース複合樹脂。
  5. 前記ゴム含有ポリマーが、ポーリングの電気陰性度で2.7以下の原子から構成され、隣接する原子間の電気陰性度の差が0.8以下となる構造の官能基のみを有する脂肪族炭化水素もしくは芳香族炭化水素から構成されるゴム含有ポリマーであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のセルロース複合樹脂。
  6. さらに着色剤を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のセルロース複合樹脂。
  7. 前記主剤樹脂がオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のセルロース複合樹脂。
  8. 主剤樹脂、セルロース繊維、分散剤の第1の混合物を作製し、
    前記第1の混合物にゴム含有ポリマーを添加して第2の混合物を混練することを含み、
    前記第1の混合物を作製する時間が、ゴム含有ポリマーを添加して第2の混合物を混練する時間の0.1倍以上であることを特徴とするセルロース複合樹脂の製造方法。
JP2019102327A 2018-08-24 2019-05-31 セルロース複合樹脂及びその製造方法 Active JP7349264B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US16/545,182 US20200062930A1 (en) 2018-08-24 2019-08-20 Cellulose composite resin and method for the production thereof
CN201910771275.8A CN110857351B (zh) 2018-08-24 2019-08-20 纤维素复合树脂及其制造方法
EP19193407.4A EP3613805B1 (en) 2018-08-24 2019-08-23 Cellulose composite resin and method for the production thereof

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018157637 2018-08-24
JP2018157637 2018-08-24

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020033541A true JP2020033541A (ja) 2020-03-05
JP7349264B2 JP7349264B2 (ja) 2023-09-22

Family

ID=69667240

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019102327A Active JP7349264B2 (ja) 2018-08-24 2019-05-31 セルロース複合樹脂及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7349264B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023018030A1 (ko) * 2021-08-13 2023-02-16 주식회사 엘지화학 고분자 복합체 및 이를 포함하는 성형품
WO2023018033A1 (ko) * 2021-08-13 2023-02-16 주식회사 엘지화학 고분자 복합체 및 이를 포함하는 성형품
WO2023018031A1 (ko) * 2021-08-13 2023-02-16 주식회사 엘지화학 고분자 복합체 및 이를 포함하는 성형품
US11945142B2 (en) 2020-06-17 2024-04-02 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Composite resin molded product for acoustic member

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003191229A (ja) * 2001-12-26 2003-07-08 Daicel Chem Ind Ltd セルロース繊維強化樹脂の製造方法
JP2005200614A (ja) * 2004-01-19 2005-07-28 Okura Ind Co Ltd ポリプロピレン系樹脂組成物及びその射出成形体
JP2005206639A (ja) * 2004-01-20 2005-08-04 Riken Technos Corp 有機充填剤を含む樹脂組成物
EP1990362A1 (en) * 2007-05-09 2008-11-12 Borealis Technology Oy Polyolefin compositions with highly crystalline cellulose regenerate fibers
JP2011231237A (ja) * 2010-04-28 2011-11-17 Daicel Polymer Ltd ポリプロピレン組成物とその製造方法
JP2016079311A (ja) * 2014-10-20 2016-05-16 出光ライオンコンポジット株式会社 ポリオレフィン樹脂組成物
JP2017210595A (ja) * 2016-05-20 2017-11-30 パナソニック株式会社 複合樹脂成型体

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003191229A (ja) * 2001-12-26 2003-07-08 Daicel Chem Ind Ltd セルロース繊維強化樹脂の製造方法
JP2005200614A (ja) * 2004-01-19 2005-07-28 Okura Ind Co Ltd ポリプロピレン系樹脂組成物及びその射出成形体
JP2005206639A (ja) * 2004-01-20 2005-08-04 Riken Technos Corp 有機充填剤を含む樹脂組成物
EP1990362A1 (en) * 2007-05-09 2008-11-12 Borealis Technology Oy Polyolefin compositions with highly crystalline cellulose regenerate fibers
JP2011231237A (ja) * 2010-04-28 2011-11-17 Daicel Polymer Ltd ポリプロピレン組成物とその製造方法
JP2016079311A (ja) * 2014-10-20 2016-05-16 出光ライオンコンポジット株式会社 ポリオレフィン樹脂組成物
JP2017210595A (ja) * 2016-05-20 2017-11-30 パナソニック株式会社 複合樹脂成型体

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
A. ASHORI ET AL.: "Evaluation of Calotropis gigantea as a Promising Raw Material for Fiber-reinforced Composite", JOURNAL OF COMPOSITE MATERIALS, vol. 43, #11, JPN7023000441, 2009, pages 1297 - 1304, ISSN: 0004982367 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11945142B2 (en) 2020-06-17 2024-04-02 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Composite resin molded product for acoustic member
WO2023018030A1 (ko) * 2021-08-13 2023-02-16 주식회사 엘지화학 고분자 복합체 및 이를 포함하는 성형품
WO2023018033A1 (ko) * 2021-08-13 2023-02-16 주식회사 엘지화학 고분자 복합체 및 이를 포함하는 성형품
WO2023018031A1 (ko) * 2021-08-13 2023-02-16 주식회사 엘지화학 고분자 복합체 및 이를 포함하는 성형품

Also Published As

Publication number Publication date
JP7349264B2 (ja) 2023-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7349264B2 (ja) セルロース複合樹脂及びその製造方法
JP5717643B2 (ja) ミクロフィブリル化植物繊維を含む組成物
CN110857351B (zh) 纤维素复合树脂及其制造方法
KR101459951B1 (ko) 촉감 및 내스크래치성이 우수한 폴리프로필렌 복합 수지 조성물
JP4818662B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
GB2090849A (en) A composite resin composition
CN101300299A (zh) 纤维增强的聚丙烯组合物
JP2018515643A (ja) ポリプロピレン複合材
CN110857350B (zh) 复合树脂成形体
US20200283607A1 (en) Hydrophilic cellulose composite resin molded body
Yao et al. Rice straw fiber reinforced high density polyethylene composite: Effect of coupled compatibilizating and toughening treatment
JP6937160B2 (ja) 繊維複合樹脂成形部品
US20240101767A1 (en) Antibacterial and antiviral composite resin molded body
JP2010215887A (ja) 熱可塑性材料組成物
JP3893071B2 (ja) 相溶化剤を用いた再生プラスチック材料及び成形体
JP2020122050A (ja) 繊維複合樹脂成形部品
WO2023243281A1 (ja) 複合樹脂組成物及び複合樹脂成形体
US11945142B2 (en) Composite resin molded product for acoustic member
KR100513621B1 (ko) 폴리프로필렌 수지조성물
CN108570203A (zh) 聚丙烯树脂组合物及其成型产品
JP2006249211A (ja) 無機充填材強化ポリエステル樹脂組成物
TW201908393A (zh) 一種輕量化高韌性高剛性聚丙烯組合物及其製法
JP2006265420A (ja) オレフィン系樹脂組成物及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220303

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230207

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230605

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230822

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230911

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7349264

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151