JP2005200614A - ポリプロピレン系樹脂組成物及びその射出成形体 - Google Patents

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Koichi Murakami
幸一 村上
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健治 飯西
Naoto Ishii
直人 石井
Takeshi Watanabe
毅 渡辺
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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れた射出成形用の木質系材料を含有するポリオレフィン系樹脂組成物およびその射出成形体を提供すること。
【解決手段】(A)230℃での2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR:JIS−K−6758)が20〜200g/10分であるポリオレフィン16〜35重量部、(B)リグノセルロース系またはセルロース系物質40〜80重量部、(C)変性ポリオレフィン1〜10重量部、および(D)密度が0.875以下であるエチレン/α−オレフィンエラストマー3〜25重量部からなる、木質系材料を含有するポリプロピレン系樹脂組成物及びその射出成形体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、木質系材料を含有するポリオレフィン系樹脂組成物およびそれからなる射出成形体に関し、さらに詳しくは射出成形用の、耐衝撃性に優れた木質系材料を含有するポリプロピレン系樹脂組成物およびその射出成形体に関する。
メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂に、充填剤として木質系材料を配合し、外観や弾性を改善した複合材を得ることは広く行われている。一方、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂に木質系材料を配合することも行われるが、この場合は樹脂組成物の熱流動性が低下して成形加工性が低下したり、場合によっては機械強度が低下したりすることもある。
このような問題点を解決するため、木質系材料をエステル化処理したり、変性ポリオレフィン樹脂、有機過酸化物を配合したりすることが行われている。例えば、特許文献1には、プロピレン系樹脂、エステル化した木質系材料、有機過酸化物及び、任意に変性ポリオレフィンを含有する複合樹脂組成物を加熱下に反応させて複合材を得ることが記載されている。しかし、上記樹脂複合材においては、剛性は高いが、耐衝撃強度が低いという問題点がある。
また、特許文献2には、ポリプロピレン、ポリエチレン、変性ポリオレフィン、滑剤、およびセルロース系物質からなる樹脂複合材を加熱下に反応させて複合材を得ることが記載されているが、これらの樹脂複合材は耐衝撃性が低いという問題点がある。
一方、特許文献3、特許文献4、には、ポリオレフィン、セルロース系物質、および滑剤からなる樹脂複合材を加熱下に反応させて複合材を得ることが記載されているが、これらの樹脂複合材は耐衝撃性が低いという問題点がある。
特開平9−316248号公報 特開平11−12401号公報 特開2002−138202号公報 特開2002−347009号公報
本発明の目的は、木質系材料を含有する樹脂組成物であって、耐衝撃強度に優れたポリオレフィン系樹脂組成物を提供することである。本発明の他の目的は、該木質系材料を含有する樹脂組成物からなる射出成形体を提供することである。
本発明者は、かかる実状に鑑み、鋭意研究の結果、重量割合が一定の範囲にある、230℃での2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR:JIS−K−6758)が20〜200g/10分であるポリオレフィン、リグノセルロース系またはセルロース系物質、変性ポリオレフィン、及び密度が0.875以下であるエチレン/α−オレフィンエラストマーからなる樹脂組成物、および、上記成分および、滑剤および/または中和剤からなる樹脂組成物が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の1つは、
(A)230℃での2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR:JIS−K−6758)が20〜200g/10分であるポリオレフィン16〜35重量部、(B)リグノセルロース系またはセルロース系物質40〜80重量部、(C)変性ポリオレフィン1〜10重量部、および(D)密度が0.875以下であるエチレン/α−オレフィンエラストマー3〜25重量部であり、(A)、(B)、(C)、(D)の合計が100重量部であるポリオレフィン系樹脂組成物に係わるものである。
そして、本発明の1つは、
(A)230℃での2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR:JIS−K−6758)が20〜200g/10分であるポリオレフィン16〜35重量部、(B)リグノセルロース系またはセルロース系物質40〜80重量部、(C)変性ポリオレフィン1〜10重量部、(D)密度が0.875以下であるエチレン/α−オレフィンエラストマー3〜25重量部、および(E)滑剤0.1〜10重量部と(F)中和剤0.1〜5重量部の少なくとも1種からなり、(A)、(B)、(C)、(D)の合計が100重量部であるポリオレフィン系樹脂組成物に係わるものである。
さらに、本発明の1つは、
上記いずれかの木質系材料を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなる射出成形体に係るものである。
本発明の木質系材料を含有するポリオレフィン系樹脂組成物は、耐衝撃性に優れている。本発明により提供されるポリプロピレン樹脂組成物はかかる物性を利用して射出成形品に好適に用いられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の(A)成分として用いられるポリオレフィン(A)には、α−オレフィンの単独重合体および共重合体が使用できる。具体的なものとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等の単独重合体;エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の共重合体などがあげられる。好ましくは、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体のいずれかである。ポリオレフィン(A)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を任意の混合比で混合して使用することもできる。
上記ポリオレフィン(A)としては、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR:JIS−K−6758)が20〜200g/10分であるホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体が好ましく、さらに好ましくは50〜150g/10分であるものが望ましい。
本発明で使用されるリグノセルロース系またはセルロース系物質(B)は、リグノセルロース、セルロースまたはこれらの誘導体を含む物質であって、従来から樹脂の充填剤として使用されているものが制限なく使用できる。リグノセルロース系またはセルロース系物質は、いわゆる木質系材料であり(以下、リグノセルロース系またはセルロース系物質を木質系材料と称する場合がある)、具体的なものとしては木粉、木質パルプなどがあげられる。これらの木質系材料の原木や樹種は特に制限されない。また木質系材料としては、木材工業における工業廃棄物としての木質材や未利用の木質材から得られる木質系材料を使用することもでき、資源の有効利用を図ることもできる。さらに尿素等で木酸(レプリン酸、酢酸、ギ酸等)を中和処理したものを使用することもできる。
本発明で用いられる変性ポリオレフィン(C)としては、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、アクリル酸、メタクリル酸、テトラヒドロフタル酸、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート等の変性用化合物で変性されたポリオレフィンがあげられる。変性前のポリオレフィンとしては、前記ポリオレフィン(A)と同様のものがあげられる。好ましくは、無水マレイン酸で変性されたポリプロピレンが挙げられる。変性前のポリオレフィン100重量%に対する導入された変性用化合物の量(変性量)は通常0.1〜3重量%であり、好ましくは0.3〜2重量%である。
変性ポリオレフィン(C)の230℃、2.16kg荷重のMFRは、木質系材料を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を混練、射出成形するときの発熱の観点から、10〜500g/10分が好ましく、さらに好ましくは20〜200g/10分である。
本発明のエチレン/α−オレフィンエラストマー(D)には、エチレンとα−オレフィンの共重合体が使用できる。α−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンがあり、これらは単独で用いても、併用しても良く、好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
エチレン/α−オレフィンエラストマー(D)の密度は0.85〜0.875g/cmであり、好ましくは0.85〜0.87g/cmであり、より好ましくは0.855〜0.87g/cmである。密度が0.875g/cmを超えた場合、衝撃強度が低くなることがある。密度が0.85g/cm未満の場合、柔らかくなりすぎ、剛性が不足する場合がある。
エチレン/α−オレフィンエラストマー(D)の190℃、2.16kg荷重のMFRは、衝撃強度の観点から、通常、0.3〜25g/10分であり、好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは、1〜10g/10分である。
エチレン/α−オレフィンエラストマー(D)の製造方法としては、特に制限されるものではなく、公知の重合触媒を用いて、公知の重合方法による製造方法が挙げられる。公知の重合触媒としては、例えば、バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物およびハロゲン化エステル化合物からなるチーグラー・ナッタ触媒系や、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子に少なくとも1種以上のシクロペンタジエニルアニオン骨格を有する基が配位したメタロセン化合物とアルモキサンあるいはホウ素化合物とを組み合わせた触媒系、いわゆるメタロセン触媒系が挙げられる。
公知の重合方法としては、例えば、炭化水素化合物のような不活性有機溶媒中でエチレンとα−オレフィンを共重合させる方法が挙げられる。
本発明の滑剤(E)としては、ポリオレフィンワックスや流動パラフィン等の炭化水素系外部滑剤、金属石鹸やエステル系滑剤などの外部滑剤、脂肪酸アミド等の内部滑剤が挙げられるが、好ましくはポリオレフィンワックスおよび脂肪酸アミドである。さらに好ましくはこの脂肪酸アミドは、一般式RCONH(式中、Rは炭素数5〜21のアルキル基またはアルケニル基を示す。)で表される化合物であり、例えば、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ペヘニン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられ、もっとも好ましくは、エルカ酸アミドである。また、さらに好ましくは、このポリオレフィンワックスは、ポリエチレンもしくは、ポリプロピレンのワックスであり、平均分子量(Mn)が15000以下のものである。もっとも好ましくは、ポリプロピレンワックスであり、平均分子量(Mn)が10000以下のものである。また、これらの滑剤は、ポリオレフィンワックスと脂肪酸アミドの組み合わせなど、複数種を併用して用いても良い。
本発明の中和剤(F)としては、金属石鹸や、無機酸化物、無機水酸化物、アニオン交換性層状化合物等が挙げられるが、好ましくは、無機水酸化物、アニオン交換性層状化合物であり、さらに好ましくは、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイトである。
(A)〜(F)成分の配合量は、ポリオレフィン(A)16〜35重量部、リグノセルロース系またはセルロース系物質(B)40〜80重量部、変性ポリオレフィン(C)1〜10重量部、エチレン/α−オレフィンエラストマー(D)3〜25重量部であり、(A)、(B)、(C)、(D)の合計は100重量部である。
滑剤(E)は、混練時、射出成形時の発熱抑制のために添加する場合があり、上記(A)、(B)、(C)および(D)の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部である。
また、中和剤(F)は成形時に発生する酸成分の抑制のために添加する場合があり、上記(A)、(B)、(C)および(D)の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部である。
ポリオレフィン(A)の量が16重量部未満であると、射出成形時に固化しにくく、成形が困難になり、35重量部を超えた場合、剛性が低くなる。好ましくは、20〜30重量部である。
リグノセルロース系またはセルロース系物質(B)の量が40重量部未満であると、剛性が不十分であり、80重量部を超えた場合、混練時、成形時の発熱が大きくなり、混練、成形ができなくなる。また、発熱によるリグノセルロース系またはセルロース系物質の劣化により、物性バランスが悪化する。好ましくは、50〜80重量部であり、さらに好ましくは60〜70重量部である。
変性ポリオレフィン(C)の量が1重量部未満であると、相溶化剤としての効果が小さくなり、耐衝撃性が低くなる。また、10重量部を超えた場合、剛性及び耐衝撃性が低下する。好ましくは、3〜8重量部である。
エチレン/α−オレフィンエラストマー(D)の量が3重量部未満であると、耐衝撃性が低下する。25重量部を超えた場合、混練時の発熱が大きくなり、リグノセルロース系またはセルロース系物質の劣化が起こり、剛性も低下する。好ましくは、5〜20重量部である。
滑剤(E)は混練時、射出成形時の発熱抑制のために添加する場合があるが、0.1重量部未満であると、発熱抑制効果が小さく、10重量部を超えた場合、ガラス霞性等に悪影響を与える。好ましくは、1〜8重量部であり、さらに好ましくは、1〜5重量部である。複数種の滑剤を用いる場合は、合計量が上記範囲になるように用いる。
中和剤(F)は成形時に発生する酸成分の抑制のために添加する場合があり、0.1重量部未満の場合は酸抑制効果が小さく、5重量部を超えて添加しても効果はあまり変化がなく、また、中和剤の分散不良になる。好ましくは、0.5〜3重量部である。
(A)〜(F)成分は、上記一般的な範囲にある量で配合することができるが、全ての成分が好ましい範囲にある量で配合するのが最も好ましい。しかし、ある成分が好ましい範囲にあり、かつ他の成分が一般的な範囲にある量で配合するものも好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、前記(A)〜(D)成分、ならびに必要により追加する(E)および/または(F)成分を前記配合量で配合した組成物である。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物には、無機系の充填剤、例えばタルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊維等、あるいは有機系の充填剤、例えばポリエステル、ポリアミド繊維等、その他に難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、銅害防止剤、発泡剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤、可塑剤等の各種添加剤や染料、顔料等の着色剤などの添加剤を添加することができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は前記(A)〜(D)成分、および必要により添加される他の成分を、前記配合量で混合し、この混合物を150〜200℃、好ましくは160〜190℃で、30秒〜30分間、好ましくは1〜20分間加熱混練して反応させることにより製造することができる。
各成分の混合方法は特に限定されず、ヘンシェルミキサーなどの混合機により混合することができ、均一化しておくのが好ましい。加熱混練方法も前記条件で加熱混練できる方法であれば特に限定されず、例えばブレンダー、ニーダー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、1軸もしくは2軸の押出機などにより行うことができる。
好ましい製造方法としては、次の製造方法が例示できる。すなわち、各成分を室温でヘンシェルミキサーにより混合して均一化した後、得られた混合物を2軸押出機で混練ゾーンの設定温度を前記温度に設定して混練し、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を得る。なお、温度が200℃以上では木質系材料(B)の分解によるガスが発生するため、造粒温度が200℃を超えないように注意する必要がある。そのため、冷却コントロールの効く2軸押出機等を使用するのが好ましい。
このようにして得られた本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、耐衝撃性に優れた材料であり、木質系材料を配合しているにもかかわらず熱流動性に優れ、このため成形加工性に優れており、射出成形などの成形法により任意の形状に容易に成形することができる。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、変性ポリオレフィン(C)が添加されていることにより、ポリオレフィン(A)と木質系材料(B)との界面接合性が改善されており、成形により得られた成形品は機械強度、例えば引張強度、曲げ強度、耐衝撃強度などに優れている。
本発明の射出成形体は、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を、公知の射出成形方法によって、成形して得られるものである。
次に本発明の実施例について説明する。各例で使用した組成物の製造方法、成形品の成形方法、物性の測定方法は次の通りであるが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例における物性値の測定法を以下に示した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS−K−6758に規定された方法に従い、測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃であり、荷重は2.16kgであった。
(2)曲げ弾性率(単位:MPa)
JIS−K−7203に規定された方法に従い、測定した。射出成形により成形された試験片を用いた。試験片の厚みは6.4mmであり、スパン長さ100mm、荷重速度30mm/minの条件で曲げ弾性率を評価した。測定温度は23℃で行った。
(3)アイゾット衝撃強度(単位:KJ/m2
JIS−K−7110に規定された方法に従い、測定した。射出成形により成形された試験片を用いた。試験片の厚みは3.2mmであり、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きの衝撃強度を評価した。測定温度は23℃および−30℃で行った。
(4)エチレン含量(単位:重量%)
エチレン含量は、プレスシートを作製し、赤外吸収スペクトルを測定して得られるメチル基(−CH3)およびメチレン基(−CH2−)の特性吸収の吸光度を用いて検量線法により求めた。
(5)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。ポリプロピレンについては、溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で評価した。
(6)分子量分布(Q値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下に示した条件で測定した。
GPC:Waters社製 150C型
カラム:昭和電工社製 Shodex 80 MA 2本
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.2wt%)
流量:1ml/min
温度:135℃
溶媒:o−ジクロルベンゼン
東洋曹達社製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積と分子量の検量線を作成した。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を求め分子量分布の尺度としてQ値=重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を求めた。
(7)アイソタクチックペンタッド分率(単位:%)
アイソタクチック・ペンタッド分率は、A.Zambelliらによって、Macromolecules,6,925(1973)に発表、記載されている方法に従って測定した。すなわち、13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すれば、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率を求めた。ただし、NMRの吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行った。
具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定した。この方法により英国NATIONAL PHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質 CRM No.M19−14 PolypropylenePP/MWD/2のアイソタクチックペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
(8)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全ブロック共重合体に対する重量比率(X、重量%)
プロピレン−エチレンブロック共重合体において、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分の全ブロック共重合体に対する重量比率X(重量%)は、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の結晶融解熱量を測定することにより、次式から計算で求めた。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:ブロック共重合体全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレンホモポリマー部分の融解熱量(cal/g)
(9)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(単位:重量%)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は、赤外線吸収スペクトル法により全ブロック共重合体におけるエチレン含量(重量%)で測定し、次式から計算で求めた。
(C2')EP=(C2')T/X
(C2')T:全ブロック共重合体におけるエチレン含量(重量%)
(C2')EP:プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量(重量%)
(10)プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度([η]EP、単位:dl/g)
プロピレン−エチレンブロック共重合体におけるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分の極限粘度[η]EPは、プロピレン単独重合体部分と全ブロック共重合体の各々の極限粘度を測定することにより、次式から計算で求めた。
[η]EP=[η]T/X−(1/X−1)[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体部分の極限粘度(dl/g)
[η]T:ブロック共重合体全体の極限粘度(dl/g)
なお、プロピレン−エチレンブロック共重合体の第1セグメントであるプロピレン単独重合体部分の極限粘度[η]Pは、その製造時に、第一工程であるプロピレン単独重合体部分の製造後に重合槽内より取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体から[η]Pを求めた。
(試料)
(A)ポリオレフィン
(1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−1)
プロピレン単独重合体部分(第1セグメント)の分子量分布(Q値)は4.5であり、極限粘度([η]P)は1.0dl/gであり、アイソタクチックペンタッド分率は0.99であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の極限粘度([η]EP)は2.5dl/gであり、プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−1)に対する重量割合は26.0重量%であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は34.2重量%であった。MFR(230℃):30g/10min
(2)プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−2)
プロピレン単独重合体部分(第1セグメント)の分子量分布(Q値)は4.0であり、極限粘度([η]P)は0.81dl/gであり、アイソタクチックペンタッド分率は0.99であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分(第2セグメント)の極限粘度([η]EP)は6.1dl/gであり、プロピレン−エチレンブロック共重合体(BC−2)に対する重量割合は12.4重量%であり、プロピレン−エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は31.5重量%であった。MFR(230℃):80g/10min
(B)リグノセルロース系またはセルロース系物質
木粉(ドイツ国レッテンマイヤー社製、商品名:Pスーパー)を用いた。
(C)変性ポリオレフィン
(1)マレイン酸変性ポリプロピレン(MPP−1)
特開2002−308947号公報記載の方法で製造したマレイン酸変性ポリプロピレン(マレイン酸変性度:0.6重量%、MFR(230℃):70g/10分)
(D)エチレン/α−オレフィンエラストマー
エチレン/α−オレフィンエラストマーとしては、デュポンダウエラストマー社製のエンゲージ8200(エチレン/1−オクテン共重合体 密度:0.87g/cm、MFR(190℃):5g/10分)を用いた。
(E)滑剤 日本精化社製 エルカ酸アミド NewS を用いた。
(F)中和剤 協和化学社製 ハイドロタルサイト DHT−4A を用いた。
《ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法》
(A)〜(D)成分、ならびに他の成分をそれぞれ時間当たり供給重量で制御したフィーダーにより、2軸押出機のホッパーに投入し、バレル設定温度:190℃スクリュー回転数:120rpmで樹脂温度が押出機出口で180〜190℃の条件で加熱混練してポリオレフィン系樹脂組成物を得た。滞留時間(加熱混練時間)は1分であった。
《物性評価のための成形品成形方法》
(射出成形体)
物性評価用試験片は、次の射出成形条件下で作製した。上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を熱風乾燥器で120℃で4時間乾燥後、東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用いて、成形温度180℃、金型冷却温度70℃、射出時間15sec、冷却時間30secで射出成形を行った。得られた射出成形体の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度を測定した。その結果を表1に示した。
実施例1〜3、比較例1〜3
表1に示す配合割合のポリプロピレン、木粉、変性ポリオレフィン、エチレン/α−オレフィンエラストマー及びその他成分を2軸押出機から押出して成形用ポリオレフィン系樹脂組成物を得た。この組成物を乾燥機により120℃で4時間乾燥した後、物性を測定した。結果を同じく表1に示す。
Figure 2005200614
表1からも明らかなように、本発明にかかるポリオレフィン系樹脂組成物は比較例にかかる樹脂組成物に比べて、衝撃強度が60J/m以上であり、優れた耐衝撃性を示した。一方、本発明の範囲外である変性ポリオレフィン及びエチレン/α−オレフィンエラストマーを抜いた比較例1にかかる樹脂組成物、エチレン/α−オレフィンエラストマーを抜いた比較例2にかかる樹脂組成物及び変性ポリオレフィンを抜いた比較例3にかかる樹脂組成物は、衝撃強度が著しく低下し、耐衝撃性が悪かった。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の利用分野は特に制限されず、従来から熱可塑性樹脂が用いられている電気絶縁材料、工業用部品材料、建築用材料、自動車用部品等の分野に好適に使用することができ、中でも射出成形によって得られる自動車用部品の原料として特に好適に利用できる。
具体的には、自動車内装材としての利用が好ましく、ドアトリム、フロア、ステアリング、ピラー、インストラメントパネル、インストラメントパネル廻り小物等の材料として利用できるが、さらに好ましくは、ステアリング、インストラメントパネル廻り小物、フロア材として利用できる。

Claims (4)

  1. (A)230℃での2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR:JIS−K−6758)が20〜200g/10分であるポリオレフィン16〜35重量部、(B)リグノセルロース系またはセルロース系物質40〜80重量部、(C)変性ポリオレフィン1〜10重量部、および(D)密度が0.875以下であるエチレン/α−オレフィンエラストマー3〜25重量部であり、(A)、(B)、(C)、(D)の合計が100重量部であるポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の(A)、(B)、(C)、(D)の合計100重量部に対して、(E)滑剤0.1〜10重量部を添加したポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. 請求項1もしくは2記載の(A)、(B)、(C)、(D)の合計100重量部に対して、(F)中和剤0.1〜5重量部を添加したポリオレフィン系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物からなる射出成形体。
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