JP2009280781A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2009280781A
JP2009280781A JP2008175044A JP2008175044A JP2009280781A JP 2009280781 A JP2009280781 A JP 2009280781A JP 2008175044 A JP2008175044 A JP 2008175044A JP 2008175044 A JP2008175044 A JP 2008175044A JP 2009280781 A JP2009280781 A JP 2009280781A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
polypropylene
polypropylene resin
mass
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008175044A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Inoue
隆 井上
Motonobu Furuta
元信 古田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2008175044A priority Critical patent/JP2009280781A/ja
Publication of JP2009280781A publication Critical patent/JP2009280781A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】耐熱性、強度、耐衝撃性、延性などに優れたポリプロピレン系樹脂組成物を提供する
【解決手段】(A)ポリプロピレン、(B)アルキルフェノール樹脂、(C)フェノールと反応可能な官能基を有する熱可塑性樹脂、(D)ラジカル開始剤、および(F)ガラス繊維を、好ましくは溶融混練してポリプロピレン系樹脂組成物を得る。
【選択図】なし

Description

本発明はポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレンは、耐熱性、成形加工性、機械的性質、耐薬品性などに優れ、しかも安価であることから電気・電子部品、家庭電化製品、ハウジング、包装材料、自動車部品など、工業的に幅広く用いられている。さらに近年、自動車軽量化の要望から、ポリプロピレンは、バンパー、内外装部品など自動車用途にも幅広く用いられている。
これまでポリプロピレンは、以下の例に示すように、耐熱性、耐衝撃性などの改良が施されてきた。
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン、グリシジルメタクリレートをグラフト共重合した樹脂、およびガラス繊維からなる樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、ポリプロピレン、不飽和カルボン酸変性ポリプロピレン、メチロール基含有フェノール樹脂からなる組成物が開示されている。
特許文献3には、ポリプロピレン、カルボン酸無水物基がグラフトされた変性ポリプロピレン、エポキシ基含有エチレン共重合体、および多官能性化合物からなる組成物が開示されている。
特許文献4には、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、および変性剤としてアミノ基かエポキシ基を含むエチレン性不飽和化合物またはエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物を用いた組成物が開示されている。
特許文献5には、ポリプロピレン、官能基をグラフト重合したポリプロピレン、特定のカルボキシル基含有エチレン系混合物、グリシジル基かヒドロキシル基を有するエチレン系共重合体、および反応促進剤からなる樹脂組成物が開示されている。
特許文献6には、ポリプロピレン、ヒドロキシル基変性ポリプロピレン、エチレンープロピレンゴム、不飽和カルボン酸変性エチレンープロピレンゴムなどから構成される組成物が開示されている。
特許文献7には、(A)ポリプロピレン等のポリオレフィン、(B)エチレン−αオレフィン共重合体ゴム、(C)フェノールノボラック樹脂、および(D)エポキシ変性ポリオレフィンからなる組成物が開示されている。
しかしながら特許文献1〜7に記載の組成物においては、その物性は必ずしも十分なものではなく、特に強度は不十分なものであった。
自動車、電機・電子部品、通信部品等のなかには、耐衝撃性、耐熱性、延性などの他に、ポリプロピレンの一層の強度が必要とされる分野がある。 ポリプロピレンの強度を向上させるためには、ポリプロピレンにガラス繊維を配合した組成物に関しても従来から幅広く検討がなされてきた。 上記の特許文献以外にも、例えば、
特許文献8には、ポリプロピレンに径や集束剤付着量などを規定したガラス繊維、着色剤などを配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物に関して記載されている。
特許文献9には、ポリプロピレンに有機シラン系化合物で表面処理したガラス繊維、無水マレイン酸変成ポリプロピレンなどを配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物に関して記載されている。
特許文献10には、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体またはエチレン−α、β−不飽和カルボン酸エステル共重合体および繊維状無機充填材などを配合してなる強度などに優れたポリプロピレン系樹脂組成物に関して記載されている。
特許文献11には、ポリプロピレン、無水マレイン酸変成ポリプロピレンに樹脂被覆ガラス繊維などを配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物に関して記載されている。
特許文献12には、ポリオレフィン、不飽和カルボン酸変成ポリオレフィン、表面に官能基を有するガラス繊維、炭酸化合物などに関して記載されている。
しかしながら特許文献7〜12に記載されているポリプロピレン系樹脂組成物においても、ポリプロピレンにガラス繊維などを配合して、主として強度、具体的には曲げ弾性率などの向上を意図したものであるが、曲げ弾性率は向上しても、衝撃強度、耐熱性および延性などの特性のいずれをも満足させた例は無かった。
曲げ弾性率や衝撃強度が高く、耐熱性に優れ、しかも延性を示すポリプロピレン系樹脂組成物が得られたならば、例えば射出成形、シート成形や押し出し成形法を該組成物に適用することが可能となり、自動車部品、電子・電気部品、家電部品、通信機器部品など幅広い分野へ該組成物を用いることができる。 特にこのようなポリプロピレン系樹脂組成物を自動車部品に適用した場合には、衝突時などに該組成物からなる部品が衝撃を吸収し、人体への直接の衝撃を緩和できることから、人体への安全性に多大に貢献できる。
特開昭47−23438号公報 特開昭62−167341号公報 特開平5−170988号公報 特開平5−222254号公報 特開平6−166777号公報 特開平8−283488号公報 特開平7−33915号公報 特開昭60−69146号公報 特開昭62−64864号公報 特開平7−48481号公報 特開平11−222544号公報 特開平2005−126601号公報
これまでにポリプロピレンの耐熱性、曲げ弾性率などの特性向上を目的とした提案は多数存在するが、曲げ弾性率が高く、耐熱性、耐衝撃性に優れ、しかも延性であり安価なポリプロピレン系樹脂組成物は従来得られていなかった。
上記事情に鑑み、本発明は、耐熱性、曲げ弾性率および耐衝撃性に優れ、しかも延性であり安価なポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン、アルキルフェノール樹脂、エポキシ基含有エチレン共重合体およびラジカル発生剤に特定のガラス繊維を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち前記課題は以下の本発明により解決される。
[1](A)ポリプロピレン樹脂、
(B)アルキルフェノール樹脂、
(C)フェノールと反応可能な官能基を有する熱可塑性樹脂、および
(D)ラジカル開始剤
(F)ガラス繊維
を、配合して成る、ポリプロピレン系樹脂組成物。
[2](E)エチレン−αオレフィン共重合体ゴムをさらに配合して成る、[1]記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[3]前記(A)ポリプロピレンは、マトリックスを形成する樹脂である、[1]または[2]記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[4]前記(B)アルキルフェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂であり、かつその融点または軟化点は、20〜165℃である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[5]前記(C)フェノールと反応可能な官能基を有する熱可塑性樹脂の官能基は、エポキシ基である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[6]前記(C)フェノールと反応可能な官能基を有する熱可塑性樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレート−エチレン共重合体である、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[7]前記(E)エチレン−αオレフィン共重合体ゴムは、エチレン−プロピレン共重合体またはエチレン−プロピレン−ジエン共重合体である、[2]〜[6]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[8]前記(F)ガラス繊維が、ポリプロピレン樹脂組成物中で20〜1000μmの繊維長で分散していることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[9]前記(A)と前記(B)の配合比は、質量比にして(A)/(B)=99.8〜70/0.2〜30であり、
前記(C)の配合比は、(A)と(B)の合計量100質量部に対し、1〜60質量部であり、
前記(D)の配合比は、(A)と(B)の合計量100質量部に対し、0.001〜10質量部であり、
前記(E)の配合比は、(A)と(B)の合計量100質量部に対し、1〜100質量部であり、
前記(F)の配合比は、(A)〜(C)および(E)の合計量100質量部に対して、3〜100質量部であり、(E)を含まない場合には、(A)〜(B)および(C)の合計量100質量部に対して、3〜100質量部であることを特徴とする、
[1]〜[8]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
[10]前記[1]〜「9]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を含む成形体。
[11]前記成形体は、射出成形体、押し出し成形体、熱プレス成形体、シート、ボトルまたはケーブルである、[10]記載の成形体。
[12]前記「1]〜[11]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた電気・電子機器部品、通信部品、家電部品、または自動車部品。
[13]前記自動車内部品は、自動車外板、バンパー、インスツルメンツパネル、ドア、ピラー、またはエアバッグ周辺部品である、[12]記載の自動車部品。
[14]前記[1]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、前記(A)〜(D)および(F)を、供給機を用いて二軸押出し機に供給する工程、および前記二軸押出し機のシリンダーおよびダイ温度を130〜290℃に設定して、前記二軸押出し機内を真空脱気装置で真空脱気しながら溶融混練する工程、を含む、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
[15]前記[2]〜[9]のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、前記(A)〜(E)を、供給機を用いて二軸押出し機に供給する工程、および前記二軸押出し機のシリンダーおよびダイ温度を130〜290℃に設定して、前記二軸押出し機内を真空脱気装置で真空脱気しながら溶融混練する工程、を含む、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
本発明により、耐熱性、耐衝撃性、曲げ弾性率に優れ、延性を有し、しかも安価なポリプロピレン系樹脂組成物を提供できる。
1.ポリプロピレン系樹脂組成物
(A)ポリプロピレン
本発明は成分(A)として、ポリプロピレンを含む。ポリプロピレンは、プロピレンの重合体であるが、本発明においては、他のモノマーとの共重合体も含む。本発明のポリプロピレンの例には、ホモポリプロピレン、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のαオレフィンとのブロック共重合体(「ブロックポリプロピレン」ともいう)、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のαオレフィンとのランダム共重合体(「ランダムポリプロピレン」ともいう)が含まれる。「ブロックポリプロピレン」と「ランダムポリプロピレン」を合わせて、「ポリプロピレン共重合体」ともいう。
本発明においては、ポリプロピレンとして上記のホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンの1種あるいは2種以上を使用してよい。中でも本発明のポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレンやブロックポリプロピレンが好ましい。
ポリプロピレン共重合体に用いられる炭素数4〜10のαオレフィンの例には、1−ブテン、1−ペンテン、イソブチレン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンが含まれる。
ポリプロピレン共重合体中のエチレンの含有量は、全モノマー中、5質量%以下であることが好ましい。ポリプロピレン共重合体中の炭素数4〜10のαオレフィンの含有量は、全モノマー中20質量%以下であることが好ましい。
ポリプロピレン共重合体は、プロピレンとエチレンとの共重合体、またはプロピレンと1−ブテンとの共重合体であることが好ましく、特にプロピレンとエチレンとの共重合体が好ましい。
本発明におけるポリプロピレンのメルトフローレシオ(230℃、2.16kg、10分間)は、0.05〜60gであることが好ましく、1〜30gであることがより好ましい。ポリプロピレンのメルトフローレシオが上記の範囲外であるとポリプロピレン系樹脂組成物の物性が不十分になることがある。メルトフローレシオは「MFR」とも呼ばれる。
(B)アルキルフェノール樹脂
本発明は、成分(B)としてアルキルフェノール樹脂を含む。アルキルフェノール樹脂とは、ノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂をいう。
アルキルフェノール樹脂は、成分(A)のポリプロピレンと反応し、ポリプロピレンを変性する役割を担うと考えられる。この反応については後で詳しく述べる。
本発明におけるノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)を、酸触媒下で縮合させて得られる樹脂である。ノボラック型フェノール樹脂は、1)配合モル比(F/P)が0.5〜1.0となるような配合比率で反応容器に仕込み、2)触媒として塩酸、硫酸、燐酸、パラトルエンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、蓚酸、マレイン酸、蟻酸、酢酸などから選ばれた1種または2種以上を添加し、3)適当な時間還流反応を行った後、4)反応によって生成した縮合水を除去するため真空脱水あるいは常圧脱水し、5)さらに残っている水と未反応のフェノール類を除去する方法によって得られる。必要に応じて、3)工程の前に変性剤を添加して加熱する工程を加えてもよい。
本発明におけるレゾール型フェノール樹脂は、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)を、アルカリ触媒下で縮合して得られる樹脂をいう。レゾール型フェノール樹脂は、1)配合モル比(F/P)が1.0〜2.0となるような配合比率で反応容器に仕込み、2)さらに樹脂化触媒として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ類、アンモニア、トリエチルアミン等のアミン類の中から選ばれた1種または2種以上を添加し、3)適当な時間還流反応を行った後、4)反応によって生成した縮合水を除去するため真空脱水あるいは常圧脱水する方法によって得られる。必要に応じて、3)工程の前に変性剤を添加して加熱する工程を加えてもよい。
フェノール樹脂の原料となるフェノール類の例には、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、プロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールが含まれる。これらは、単独で用いてもよく、または2種以上を用いてよい。
フェノール樹脂の原料となるアルデヒド類の例には、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒドが含まれる。これらは、単独で用いてもよく、または2種以上を用いてよい。
また、変性剤として、アルキルベンゼン(キシレン系樹脂)、カシューオイル、ロジンなどのテルペン類およびホウ酸を用いてよい。
本発明においては、成分(B)として、ノボラック型フェノール樹脂を単独で用いてもよく、または異なる種類のノボラック型フェノール樹脂を二種類以上用いてもよい。あるいは、成分(B)として、レゾール型フェノール樹脂を単独で用いてもよく、または異なる種類のレゾール型フェノール樹脂を二種類以上用いてもよい。
さらに、成分(B)として、ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂を併用してもよい。
本発明のアルキルフェノール樹脂は、融点または軟化点が30〜165℃であることが好ましく、40〜130℃であることがさらに好ましい。融点はDSC等により、軟化点は環球法等の周知の方法で求めてよい。本発明のアルキルフェノール樹脂が、結晶性である場合には融点を、非晶性である場合には軟化点を測定することが好ましい。
本発明で使用するアルキルフェノール樹脂は、熱を加えると硬化する、熱硬化タイプのアルキルフェノール樹脂が好ましい。
アルキルフェノール樹脂のうち、(A)ポリプロピレンと反応できなかったものは、組成物中に残留することになる。アルキルフェノール樹脂は比較的低分子量であるため、組成物の耐熱性等を低下させることがある。しかし、アルキルフェノール樹脂が、自硬化性のアルキルフェノール樹脂であると、自己硬化により分子量が向上するため、組成物中に低分子の物質が残留することを低減させることができる。
(C)フェノールと反応可能な官能基を有する熱可塑性樹脂
本発明は、成分(C)として、フェノールと反応可能な官能基を有する熱可塑性樹脂(以下単に「官能基含有熱可塑性樹脂」という)を含む。
フェノールと反応可能な官能基とは、フェノールの水酸基、またはフェノールのベンゼン環と反応しうる基をいう。このような官能基の例には、エポキシ基、オキサゾリン基、酸無水物基、イソシアネート基、アミノ基、スルホン酸基が含まれる。この中でも官能基としては、エポキシ基が好ましい。
成分(B)のアルキルフェノール樹脂のフェノールは、前述のとおり成分(A)のポリプロピレンと反応する。さらに成分(B)は、本発明の組成物の成分(C)とも反応できる。よって、本発明の組成物は、(A)、(B)および(C)が反応してなる成分を含むことができる。当該成分は、成分(A)と成分(C)に対して相溶化剤のようにふるまうことが可能になると考えられる。 さらに成分(F)が樹脂中に分散することにより、本発明の組成物が優れた特性を発現するものと考えられる。
官能基含有熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、エチレン共重合体、ポリアミド、ABS、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を変性して得られる。また、官能基含有熱可塑性樹脂は、オレフィン、スチレン、アクリル酸等の重合性モノマーと、官能基を有する重合性モノマーと共重合しても得られる。中でも、官能基含有熱可塑性樹脂としては、オレフィンまたはエチレンと、官能基を有する重合性モノマーとを共重合体させたものが好ましく、特に、エチレンと官能基を有する重合性モノマーとを共重合体させたものが好ましい。
エチレンと官能基を有する重合性モノマーの共重合体の例には、(c1)エチレン70〜99質量%、(c2)不飽和カルボン酸グリシジルエステルまたは不飽和グリシジルエーテル化合物30〜1質量%を共重合して得られるエポキシ基含有エチレン共重合体が含まれる。
成分(c2)の一つである不飽和カルボン酸グリシジルエステルは、下記一般式(1)で表される。
Figure 2009280781
一般式(1)において、Rはエチレン系不飽和結合を有する炭素数2〜13の炭化水素基である。
不飽和グリシジルエーテル化合物は、下記一般式(2)で表される。
Figure 2009280781
一般式(2)において、Rは一般式(1)と同様に定義される。Xは−CH−O−、または式(3)で表される基である。
Figure 2009280781
成分(c2)の一つである不飽和カルボン酸グリシジルエステルの例には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステルが含まれる。
成分(c2)の一つである不飽和グリシジルエーテル化合物の例には、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテルが含まれる。
また、エポキシ基含有エチレン共重合体には、(c1)、(c2)に、さらに(c3)エチレン系不飽和エステル化合物を共重合した、3元以上の多元共重合体を用いてもよい。(c3)エチレン系不飽和エステル化合物の例には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステル、α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルが含まれる。エチレン系不飽和エステル化合物としては、特に酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
成分(c1)〜(c3)の比率(質量比)は、35〜94/25〜1/40〜5とすることが好ましい。
本発明において記号「〜」はその両端の値を含む。
本発明の成分(C)である、官能基含有熱可塑性樹脂の具体例には、エチレンとグリシジルメタクリレートからなる二元系エポキシ基含有エチレン共重合体、エチレンとグリシジルメタクリレートとメチルアクリレートからなる三元系エポキシ基含有エチレン共重合体、エチレンとグリシジルメタクリレートとエチルアクリレートからなる三元系エポキシ基含有エチレン共重合体、エチレンとグリシジルメタクリレートと酢酸ビニルからなる三元系エポキシ基含有エチレン共重合体が含まれる。
中でも本発明の官能基含有熱可塑性樹脂としては、三元のエポキシ基含有エチレン共重合体が好ましく用いられる。また、当該エポキシ基含有エチレン共重合体のMFR(JIS K6760、190℃、2.16kg荷重にて測定)は、0.5〜100g/10分であることが好ましく、2〜50g/10分であることがさらに好ましい。MFRが上記の範囲外の場合には、組成物の機械的物性が低下する場合がある。
当該エポキシ基含有エチレン共重合体は、得られる成形品の機械的性質を向上させるために、曲げ剛性率が10〜1300kg/cmのものが好ましく、20〜1100kg/cmのものがさらに好ましい。
エポキシ基含有エチレン共重合体は、通常不飽和エポキシ化合物とエチレンをラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下または不存在下に共重合させる方法により製造される。またポリエチレンに不飽和エポキシ化合物およびラジカル発生剤を混合し、押出機の中で溶融グラフト共重合させる方法によっても製造することができる。
本発明は成分(D)としてラジカル開始剤を含む。本発明で使用するラジカル重合開始剤は、公知のものが用いられるが、成分(A)と成分(B)間の反応を起こさせるものが好ましい。成分(A)と成分(B)を反応させる方法は特に限定されず、成分(A)〜(B)を溶媒中で加熱して反応させてもよいし、成分(A)〜(B)を溶融混練して反応させてもよい。本発明においては、成分(A)〜(B)を溶融混練させることが好ましいので、成分(D)は、これらの溶融混練時の温度において分解し、ラジカルを発生させるものが好ましい。このため、ラジカル開始剤としては、半減期が1分となるための温度が、130〜270℃であるラジカル開始剤が好ましい。
ラジカル開始剤が成分(A)と成分(B)を反応させるメカニズムは明らかではないが、ラジカル開始剤が分解されて生じたラジカルが、(A)ポリプロピレンの側鎖のメチル基、あるいは主鎖のメチレン基またはメチン基の水素原子を引き抜き、ポリプロピレン上に炭素ラジカルを発生させ、この炭素ラジカルが、(B)アルキルフェノール樹脂のベンゼン環を攻撃すると推察される。その結果、成分(A)に成分(B)が結合したポリマーが生成されると考えられる。ただし、メカニズムはこれに限定されない。
本発明における成分(D)のラジカル開始剤の例には、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;n−ブチル4,4ービス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−i−プロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3等のジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパ−オキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル類;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシi−プロピルカーボネート等のパーオキシエステル類が含まれる。この中でも、ジーt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。
本発明の組成物は、成分(E)として、エチレン−αオレフィン共重合体ゴム(以下単に「ゴム」ともいう)をさらに含んでいてもよい。本発明におけるエチレン−αオレフィン共重合体ゴムとは、室温(20〜25℃)において弾性体であるエチレン−αオレフィンの共重合体を意味する。その具体例には、エチレン−プロピレン共重合体ゴムおよびエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−ヘキセン共重合体ゴムが含まれる。また、成分(E)として、これらの共重合体ゴムを各種変性したものを用いてもよい。なかでも、成分(E)としては、エチレン/プロピレン共重合体ゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムが好ましく用いられる。
本発明に用いるゴムは、ムーニー粘度が15〜75のものが好ましく、20〜70のものがより好ましい。ここでいうムーニー粘度は、JIS K6300に準じて100℃ラージローターを用いて測定した値をいう。
また、本発明に用いるゴムは、硬度が25〜80のものが好ましく、30〜65のものがさらに好ましい。ここでいう硬度は測定温度23℃で、JIS−K7215に準じてデュロメータにより測定した値である。
本発明に用いるゴムは、プロピレン含量が30〜85質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがさらに好ましい。また、本発明におけるゴムはペレット形状であると取り扱い性が良好であるので特に好ましい。
(F)ガラス繊維
本発明の成分(F)に用いられるガラス繊維のタイプは特に限定するものではなく、通常のガラスを使用することが出来る。 例えば、タイプAガラス(アルカリガラス)、タイプEガラス(ボロアルミノシリケート)、タイプCガラス(カルシウムアルミノシリケート)、タイプS(強化ガラス)などを挙げることができる。
本発明に用いられるガラス繊維は、得られたポリプロピレン系樹脂組成物中において、平均繊維長が20〜1000μmの範囲のものが好ましく用いられる。 さらに好ましくは40〜700μmのものである。 ポリプロピレン系樹脂組成物中におけるガラス繊維の平均長が上記の範囲外であるとポリプロピレン系樹脂組成物の強度が充分でない場合があり好ましくない。
該樹脂組成物におけるガラス繊維の平均長が上記の範囲内であれば、ガラス繊維の種類は特に規定せず、チョップドストランド、ミルドファイバー、長繊維など、いずれも使用することが出来るが、なかでもチョップドストランドが好ましい。 チョップドストランドのガラス繊維としては、その径が3〜30μmの範囲のものが好ましく用いられ、5〜20μmの範囲のものがさらに好ましく用いられる。 また、このような原料のチョップドストランドの長さは、1mm〜7mmの範囲のものが好ましく用いられ、1mm〜5mmの範囲のものがさらに好ましく用いられる。
本発明におけるガラス繊維は、その表面処理を特に規定するものではなく、表面処理をしなくても良いし、表面処理を施してもよいが、表面処理をしたガラス繊維が好ましく用いられる。 ガラス繊維の表面処理は、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシランなどにより表面をシラン処理したガラス繊維も用いることができる。 なかでもシランカップリング剤で表面処理をしたガラス繊維が本発明においては好ましく用いられる。 シランカップリング剤はアミノ基、エポキシ基、メタクリル基、メルカプト基などの有機官能基を含有するシランカップリング剤が好ましい。なかでもエポキシ基、アミノ基を含有するシランカップリング剤が好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物の形態は、該組成物を酸化ルテニウムなどで染色処理したのち、ミクロトームなどを使用してその超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡で観察できる。
本発明の組成物は、樹脂成分としては、(A)ポリプロピレンがマトリックス樹脂を形成し、成分(D)を除く他の成分や、成分(A)〜(C)が反応して生成された生成物などが、ドメインとして分散している構造が好ましい。ポリプロピレンがマトリックス樹脂となることにより、ポリプロピレン本来の耐熱性や機械的性質を維持することができる。
成分(F)はポリプロピレン系樹脂組成物中でその平均繊維長が20〜1000μmの範囲で分散するのが好ましい形態である。
ポリプロピレンがマトリックス樹脂である組成物は、各種成分の比率や各成分の粘度、あるいは混練条件などを調整することにより得られる。本発明においては、各種成分の比率を調整することによりポリプロピレンがマトリックス樹脂となる組成物を得ることが好ましい。
そのため、(A)/(B)の質量比は、99.8〜70/0.2〜30が好ましく、99.5〜80/0.5〜20であることがさらに好ましい。
成分(C)は、成分(A)と成分(B)の合計量100質量部に対し、1〜60質量部であることが好ましく、2〜40質量部であることがより好ましい。
成分(D)は、成分(A)と成分(B)の合計量100質量部に対し、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.01〜5質量部であることがより好ましい。
成分(E)は、五成分系組成物の場合は添加されないが、六成分系組成物の場合は、成分(A)と成分(B)の合計量100質量部に対し、1〜100質量部であることが好ましく、2〜90質量部であることがより好ましい。
成分(F)は、成分(E)を含まない五成分系組成物の場合は、成分(A)と成分(B)、および成分(C)の合計量100質量部に対して、3〜100質量部、好ましくは、5〜90質量部である。
成分(F)は、成分(E)を含む六成分系組成物の場合は、成分(A)と成分(B)、成分(C)および成分(E)の合計量100質量部に対して、3〜100質量部、好ましくは、5〜90質量部である。
ポリプロピレン系樹脂組成物の組成が上記の範囲外であると、該組成物の優れた特性が発現できない場合が有り、好ましくない。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂組成物が優れた特性を発現する理由は必ずしも明らかではない。しかしながら、本発明の組成物は、前述のとおり(A)、(B)および(C)が反応してなる成分を含むことができ、かかる樹脂組成物中にガラス繊維(F)が分散することにより、優れた特性を発現しうる構造が形成されるものと考えられる。
本発明の組成物は、無機充填剤を含んでいてもよい。無機充填剤の例には、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、石膏、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウム繊維が含まれる。
また、本発明の組成物は、必要に応じてさらに、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機または有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの添加剤を含んでいてもよい。
2.本発明の組成物の製造方法
本発明の組成物は、各成分を配合して得られる。配合の例には、溶融混練することや、溶媒中で各種成分を混合することが含まれる。本発明の組成物は、発明の効果を損なわない範囲で任意に製造してよいが、高混練の二軸押し出し機を用いて溶融混練して製造されることが好ましい。以下、その製造方法について説明する。
本発明の組成物は、
1)各種成分を供給機を用いて二軸押出し機に供給する工程、
2)二軸押出し機のシリンダーおよびダイ設定温度130〜290℃に設定して、前記二軸押出し機内を真空脱気装置で真空脱気しながら溶融混練する工程、を経て製造されることが好ましい。
1)各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合してもよいし、必要な場合には混合を省き、供給機に供給される。供給機とは、一定量の原料を、二軸押出し機(以下「混練装置」という)に供給しうる装置であり、混練装置に装備される。供給機の例には、定量フィーダー、一軸押出し機、または混練装置とは異なる二軸押出し機が含まれる。
2)の工程の溶融混練においては、混練装置のシリンダーおよびダイの設定温度は130〜290℃とすることが好ましく、170〜260℃とすることがより好ましい。また、溶融混練の時間は、各成分の配合割合、溶融混練温度等により異なり一概には限定されるものではないが、1〜30分程度とすることが好ましい。本工程における混練装置は、高混練の二軸押出し機であることが好ましい。
混練は、総ての成分を、一カ所に設けられた供給機から、混練装置に供給して行ってよいが、まず成分(A)、(B)および(D)を混連装置で混練し、一次ペレットを得て、その後、一次ペレットと成分(C)、(E)および(F)を混練装置に供給して、二段階で混練して本発明の組成物のペレットを得てもよい。
また、混練装置の上流側と下流側に供給機を配置し、上流側の供給機に成分(A)、(B)、(D)を供給し、下流側の供給機へ成分(C)、(E)、(F)を供給して混練を行ってもよい。
本工程の溶融混練時においては、混練装置に真空脱気装置を設置し、真空脱気を行いながら溶融混練する方法が好ましい。既に述べたとおり、各成分を溶融混練することで、成分(D)のラジカル発生作用により、成分(A)と(B)が反応したポリマーが生成される。さらに当該ポリマーは成分(C)と反応すると考えられる。この際、真空脱気により、混練装置内での揮発成分、未反応成分などを除去すると、組成物の物性を一層向上させられる。特に、(B)アルキルフェノールのうち、(A)ポリプロピレンと反応しなかったものは、組成物中に比較的低分子量の物質として残留することがある。低分子量の物質が、組成物中に残留すると、組成物の耐熱性の低下等を招くことがある。よって、真空脱気により、混練装置内での揮発成分、未反応成分などを除去する方法は有効である。
3.本発明の組成物の用途
本発明の組成物は、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、中空成形、回転成形、トランスファー成形、熱プレス成形、チューブ成形等の周知の加工方法により、射出成形体、押し出し成形体、ブロー成形体、中空成形体、回転成形体、トランスファー成形体、プレス成形体、チューブ成形体等に成形することができる。
また、上記本発明の樹脂組成物を、例えば、Tダイから溶融樹脂を押出し巻き取るTダイ法、環状ダイスを設置した押出し機から溶融樹脂を円筒状に押出し、冷却し巻き取るインフレーション成膜法、あるいは、熱プレス法や溶媒キャスト法により、フィルムまたはシートとして成形品を得ることもできる。
本発明の組成物は、耐熱性、耐高速衝撃性に優れ、しかも軽量で安価である。そのため、本発明の組成物は、電気・電子機器部品、家電部品、通信機器部品、家電部品または自動車部品として好適である。
特に、本発明の組成物を自動車部品に適用する場合には、衝突時などに該組成物からなる部品が衝撃を吸収し、しかも延性があるために、人体への直接の衝撃を緩和できることから、人体への安全性に多大に貢献できる。
自動車部品の例には、自動車外板、ドア、ドアトリム、クォータートリム、バンパー、インスツルメンツパネル、フロントエンドモジュール、エアバッグ周辺部品、コックピット、ファンシュラウド、ラジエータークーリングファン、リザーブタンク、自動車用ホイールカバー、カウジング、ウインドウオッシャー液タンク、スポイラー、インスツルメントパネル、ボンネット、燃料ポンプハウジング、エアクリーナー、スロットボディ、インテークマニフィールド、ヒーターハウジング、ボンネット、ピラー、安全ベルト部品などの自動車部品が含まれる。中でも、自動車外板、ドア、バンパー、自動車用ホイールカバー、ドア、ドアトリム、ピラー、インスツルメンツパネル、エアバッグ周辺部品が、特に好ましい。
その他にも、本発明の組成物は、電気・電子部品、通信機器部品、家電部品、包装材、建築用内装材、コンテナ、フィルム、シート、ボトル、ケーブル、ハウジング、機械部品などへ幅広く適用することができる。
特に、本発明の組成物は、耐熱性、耐衝撃性、曲げ弾性率、延性などに優れておりしかも安価である。 このため、従来ポリプロピレンが適用できなかった新しい用途にも有用である。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらによって限定されない。
(1)ポリプロピレン系樹脂組成物
成分(A)のポリプロピレンとして以下のものを使用した。
a−1:プライムポリマー株式会社製ポリプロピレン(ランダムポリプロピレン)
プライムポリプロ F227D
MFR(230℃、2.16kg荷重)=7g/10min
比重0.9
a−2:住友化学株式会社製ポリプロピレン(ブロックポリプロピレン)
ノーブレンAH561
MFR(230℃、2.16kg荷重)=3g/10min
比重0.9
成分(B)のアルキルフェノール樹脂として以下のものを使用した。
b−1:旭有機材工業株式会社製のアルキルフェノール樹脂(レゾール型、熱硬化タイ プ) SP456A
融点65℃
b−2:荒川化学株式会社製のアルキルフェノール樹脂(レゾール型、熱硬化タイプ)タマノル1010R
軟化点(環球法による)87.5℃、酸価79.0
成分(C)の官能基含有熱可塑性樹脂として以下のものを使用した。
c−1:住友化学株式会社製 ボンドファースト 2B
MFR(190℃、2.16kg荷重)=3g/10min
融点95℃
表面硬度(ASTM D2240に基づくShore D)39
組成:エチレン/グリシジルメタクリレート/酢酸ビニル=83/12/5(質量比 )
c−2:住友化学株式会社製 ボンドファースト7L
MFR(190℃、2.16kg荷重)=7g/10min
融点60℃
表面硬度(ASTM D2240に基づくShore D)18
組成:エチレン/グリシジルメタクリレート/アクリル酸メチル=70/27/3( 質量比)
成分(D)のラジカル開始剤として以下のものを使用した。
d−1: 日本油脂株式会社製 ジクミルパーオキサイド
1min分解温度(半減期が1分となる温度) 171℃
成分(E)のエチレン−αオレフィン共重合体ゴムとして以下のものを使用した。
e−1:住友化学株式会社製 エチレンープロピレン共重合体ゴム エスプレンSPO V0141
ムーニー粘度 ML1+4(100℃)=52
MFR(190℃、2.16kg荷重)=0.7g/10min
表面硬度(ASTM D2240に基づくShore D)57
プロピレン含量 57質量%
ペレット形状
成分(F)のガラス繊維として以下のものを使用した。
f−1:セントラル硝子株式会社製 チョップドストランド ECS03−350
13μm径、平均繊維長 3mm
シラン処理品
f−2:セントラル硝子株式会社製 チョップドストランド ECS03−630
9μm径、平均繊維長 3mm
シラン処理品
(2)物性測定
(i)荷重たわみ温度(HDT)
射出成形した短冊状樹脂試験片を用いて、荷重4.6kgで、JIS K7191に準拠して、測定した。
(ii)アイゾット衝撃試験
射出成形した短冊状試験片にノッチ加工を施した後、JIS K7110に準拠して室温で行った。
(iii)引張試験
ダンベル形状の射出成形片を用いて、島津製作所株式会社製、引張試験機AG100Kng型を使用して、引張速度10mm/minで行った。
(iv)曲げ弾性率
射出成形した短冊状試験片を用いて、JIS K7171に準拠して測定した。
(3)実施例1〜4および比較例1〜4
成分(A)および成分(F)はあらかじめ熱風型乾燥機を使用して、120℃で8時間予備乾燥を行った。また、成分(B)は乳鉢を使用して粉末化した。成分(B)、(C)、(D)および(E)に関しては予備乾燥を行わずに使用した。
スクリューが同方向に回転する東芝機械株式会社製TEM−35BS型二軸押出機(スクリュー径35mm)のフィード口に供給機を設置した。
表1〜2に示す組成で各成分の所定量を室温で十分にドライブレンドした。このドライブレンド物を前記供給機に供給した。
TEM−35BSのシリンダー設定温度205℃、スクリュー回転数100rpmとして、真空脱気装置により系内を真空にしながら混練を行い、組成物をストランド状に押し出した。当該ストランドは定法により切断されペレットとされた。このようにしてペレット形状の本発明の組成物を得た。
このようにして得られたペレットは、熱風型乾燥機を使用して、120℃で4時間乾燥された。乾燥ペレットは、射出成形されて、各種試験片に成形された。
射出成形には日精樹脂工業株式会社製、NP7型Real Mini射出成形機を使用し、射出時間9秒、冷却時間30秒、金型温度40℃、シリンダー設定温度220℃でダンベル形状試験片と短冊状試験片の射出成形を行った。
引張り試験に用いたダンベル形状試験片は、長さ74mm、厚さ2mm、くびれ部の幅4mmとした。また、HDT測定およびアイゾット衝撃試験に用いた短冊状試験片は厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmとした。
得られた結果を表1〜2に示す。
実施例1〜4と比較例1〜4からアルキルフェノール樹脂、特定のガラス繊維などを配合して成る本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性、曲げ弾性率、延性などに優れることが明らかである。
Figure 2009280781
Figure 2009280781
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン本来の特性を損なわず、耐熱性、耐衝撃性、曲げ弾性率、延性などに優れ、しかも安価である。よって本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、電機・電子部品、通信機器部品、家電部品、自動車部品などに好適である。

Claims (15)

  1. (A)ポリプロピレン、
    (B)アルキルフェノール樹脂、
    (C)フェノールと反応可能な官能基を有する熱可塑性樹脂、
    (D)ラジカル開始剤,および
    (F)ガラス繊維
    を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. (E)エチレン−αオレフィン共重合体ゴムをさらに配合して成る、請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記(A)ポリプロピレンは、マトリックスを形成する樹脂である、請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記(B)アルキルフェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂であり、かつその融点または軟化点は、20〜165℃である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. 前記(C)フェノールと反応可能な官能基を有する熱可塑性樹脂の官能基は、エポキシ基である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 前記(C)フェノールと反応可能な官能基を有する熱可塑性樹脂は、グリシジル(メタ)アクリレート−エチレン共重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. 前記(E)エチレン−αオレフィン共重合体ゴムは、エチレン−プロピレン共重合体またはエチレン−プロピレン−ジエン共重合体である、請求項2〜6のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  8. 前記(F)ガラス繊維が、ポリプロピレン系樹脂組成物中で20〜1000μmの繊維長さで分散していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物
  9. 前記(A)と前記(B)の配合比は、質量比にして(A)/(B)=99.8〜70/0.2〜30であり、
    前記(C)の配合比は、(A)と(B)の合計量100質量部に対し、1〜60質量部であり、
    前記(D)の配合比は、(A)と(B)の合計量100質量部に対し、0.001〜10質量部であり、
    前記(E)の配合比は、(A)と(B)の合計量100質量部に対し、1〜100質量部であり、
    前記(F)の配合比は、成分(A)と(B)、(C)および成分(E)の合計量100質量部に対して、3〜100質量部であり、成分(E)を含まない場合には、成分(A)と(B)、および成分(C)の合計量100質量部に対して、3〜100質量部であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を含む成形体。
  11. 前記成形体は、射出成形体、押し出し成形体、熱プレス成形体、シート、ボトルまたはケーブルである、請求項10記載の成形体。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた電気・電子機器部品、通信部品、家電部品または自動車部品。
  13. 前記自動車部品は、自動車外板、バンパー、インスツルメンツパネル、ドア、ピラー、またはエアバッグ周辺部品である、請求項12記載の自動車部品。
  14. 請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、
    前記(A)〜(D)および(F)を、供給機を用いて二軸押出し機に供給する工程、
    ならびに前記二軸押出し機のシリンダーおよびダイ温度を130〜290℃に設定して、
    前記二軸押出し機内を真空脱気装置により真空脱気しながら溶融混練する工程、
    を含む、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  15. 請求項2〜9のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、
    前記(A)〜(F)を、供給機を用いて二軸押出し機に供給する工程、ならびに 前記二軸押出し機のシリンダーおよびダイ温度を130〜290℃に設定して、前記二軸押出し機内を真空脱気装置により真空脱気しながら溶融混練する工程、含む、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
JP2008175044A 2008-05-23 2008-05-23 ポリプロピレン系樹脂組成物 Pending JP2009280781A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008175044A JP2009280781A (ja) 2008-05-23 2008-05-23 ポリプロピレン系樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008175044A JP2009280781A (ja) 2008-05-23 2008-05-23 ポリプロピレン系樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009280781A true JP2009280781A (ja) 2009-12-03

Family

ID=41451565

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008175044A Pending JP2009280781A (ja) 2008-05-23 2008-05-23 ポリプロピレン系樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009280781A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011178914A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Teijin Chem Ltd ポリプロピレン系炭素繊維強化樹脂組成物
WO2014088035A1 (ja) * 2012-12-07 2014-06-12 日本ポリプロ株式会社 繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体
JP2019111287A (ja) * 2017-12-26 2019-07-11 小林製薬株式会社 歯間清掃具

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011178914A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Teijin Chem Ltd ポリプロピレン系炭素繊維強化樹脂組成物
WO2014088035A1 (ja) * 2012-12-07 2014-06-12 日本ポリプロ株式会社 繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体
JP2019111287A (ja) * 2017-12-26 2019-07-11 小林製薬株式会社 歯間清掃具
JP7021936B2 (ja) 2017-12-26 2022-02-17 小林製薬株式会社 歯間清掃具

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI532767B (zh) Fiber-reinforced acrylic resin composition
US10385174B2 (en) Fiber reinforced thermoplastic resin molding material, and fiber reinforced thermoplastic resin molded article
EP0459766B1 (en) Modified polyolefincontaining thermoplastic resin composition
US20070066743A1 (en) Use of a thermoplastic vulcanizate as an impact modifier in blends of polyester and polycarbonate
JP2001329125A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物、および自動車用内装材の製造方法
JP2020033541A (ja) セルロース複合樹脂及びその製造方法
JP5056331B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP2009280781A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JP2007217679A (ja) ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品
JP2008007758A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP2016074866A (ja) 変性ポリプロピレンおよその製造方法
JP2014118525A (ja) 自動車部材用樹脂及び自動車部材
WO1991014717A1 (en) Modified polyolefin resin composition
JP5304120B2 (ja) 変性ポリプロピレンおよびその製造方法
JP5755597B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
RU2759148C1 (ru) Композиция динамически вулканизированного термоэластопласта, способ ее получения, а также изделие на ее основе и способ его получения
JP2016108521A (ja) 変性ポリプロピレンおよその製造方法
JP2011178914A (ja) ポリプロピレン系炭素繊維強化樹脂組成物
JP5846161B2 (ja) 変性ポリプロピレンおよびその製造方法
JP2007119609A (ja) ポリアルキレンカーボネート樹脂組成物およびその成形体
JP2014133901A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物
JPH10279800A (ja) ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
JP3893071B2 (ja) 相溶化剤を用いた再生プラスチック材料及び成形体
JP2016020467A (ja) 変性ポリプロピレンおよその製造方法
CN112280169A (zh) 一种高极性聚丙烯复合材料