JP2009149285A - 乗員保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアバッグの膨張により単に大腿部を押し上げるものよりも乗員の腰部の前方移動を確実に抑制することのできる乗員保護装置を提供する。
【解決手段】乗員保護装置は、車両用シートSの座部10内にエアバッグ40を配置し、インフレータ61から噴出された高圧の膨張用ガスGにてエアバッグ40を膨張させて座部10の座面10Aを隆起させることにより、座部10に着座し、かつシートベルト装置30により車両用シートSに拘束された乗員Pの腰部Ppの前方移動を拘束する。エアバッグ40の外殻部分はエアバッグ本体41により構成され、そのエアバッグ本体41は、乗員Pの大腿部Pfの下方近傍で膨張する後側膨張部48と、膝部Pnの下方近傍で後側膨張部48よりも高い位置まで膨張する前側膨張部47とを含む。
【選択図】図9

Description

本発明は車両用シートの座部内に配置されたエアバッグを膨張用ガス等の膨張流体により膨張させて座面を隆起させ、座部に着座し、かつシートベルト装置により車両用シートに拘束された乗員の腰部が前方へ移動するのを抑制するようにした乗員保護装置に関するものである。
車両では、前突等により同車両に前方から衝撃が加わった場合、シートベルト装置によって車両用シートに拘束された乗員の腰部が、同シートベルト装置のラップベルト部から外れて前方へ移動してしまう現象(サブマリン現象)が問題となる。そこで、このサブマリン現象を抑制するために種々の対策が考えられている。
例えば、特許文献1には、車両用シートの座部内にエアバッグを配置するとともに、エアバッグ内の前部にインフレータ(膨張流体発生源)を配置し、インフレータから噴出された膨張用ガス(膨張流体)によりエアバッグを膨張させて座面を隆起させるようにした乗員保護装置が記載されている。この乗員保護装置は、上記座面の隆起により、乗員の大腿部を上方へ押圧してシートベルト装置のラップベルト部に押し付け、同ラップベルト部の拘束力を高め、腰部の前方への動きを規制しようとするものである。
また、上記エアバッグの内部空間は、シームにより、車両前後方向に複数の膨張部に仕切られている。これらの膨張部のうち、最も前側に位置するものの内部にインフレータが配置されている。さらに、隣り合う膨張部は互いに連通されていて、インフレータから噴出された膨張用ガスが、連通部分を通じて全ての膨張部に供給される。この乗員保護装置は、膨張したエアバッグが乗員によって前方へ押圧されても、シームにより膨張部の移動を抑制してエアバッグ自体の形状の大きな変化を抑制し、もって乗員の腰部の前方移動を抑制しようとするものである。
特開2007−168599号公報
ところが、上記特許文献1に記載された乗員保護装置では、エアバッグのうち後側の大容量の膨張部によって乗員の大腿部を上方へ押圧して腰部の前方への動きを規制しているにすぎず、膝部の持ち上げ量が少なく、乗員の腰部の前方移動を充分に抑制できないおそれがある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エアバッグの膨張により単に大腿部を押し上げるものよりも乗員の腰部の前方移動を確実に抑制することのできる乗員保護装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、車両用シートの座部内にエアバッグを配置し、膨張流体発生源から噴出された高圧の膨張流体にて前記エアバッグを膨張させて前記座部の座面を隆起させることにより、前記座部に着座し、かつシートベルト装置により前記車両用シートに拘束された乗員の腰部の前方移動を抑制するようにした乗員保護装置において、前記エアバッグの外殻部分はエアバッグ本体により構成され、前記エアバッグ本体は、前記乗員の大腿部の下方近傍で膨張する後側膨張部と、前記乗員の膝部の下方近傍で前記後側膨張部よりも高い位置まで膨張する前側膨張部とを含むことを要旨とする。
上記の構成によれば、膨張流体発生源から高圧の膨張流体が噴出されると、その膨張流体がエアバッグ本体に供給される。この供給された膨張流体により、エアバッグ本体の後側膨張部が乗員の大腿部の下方近傍で膨張し、前側膨張部が乗員の膝部の下方近傍で膨張する。
上記膨張したエアバッグ本体により、座部において同エアバッグ本体よりも上側の部分が押し上げられて座面が隆起させられる。この隆起により、座部に着座した乗員の膝部及び大腿部が押し上げられる。この押上げにより乗員の腰部がシートベルト装置のラップベルト部に押し付けられ、同ラップベルト部の拘束力が高められ、腰部の前方への動きが規制される。
さらに、エアバッグ本体では、前側膨張部が後側膨張部よりも高い位置まで膨張する。そのため、隆起した座面の高さは一様ではなく、前側膨張部に対応する箇所が、後側膨張部に対応する箇所よりも高くなって、乗員の膝部を大腿部よりも高く押上げ、腰部の前方移動を妨げる機能を発揮する。その結果、エアバッグの膨張により単に乗員の大腿部を押し上げるものよりも腰部の前方移動を確実に抑制することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エアバッグは、前記膨張流体発生源を包み込んだ状態で前記前側膨張部内に配置されたインナバッグを備え、前記インナバッグは、前記膨張流体発生源からの前記膨張流体を略上方へ向けて放出する放出孔を有することを要旨とする。
膨張流体発生源からの膨張流体の噴出量は、一般に、噴出開始後時間の経過とともに増加する。同噴出量は、最大となった後に増加から減少に転じ、時間の経過とともに少なくなる。このような特性で膨張流体の噴出量が時間の経過とともに変化することから、上記噴出量とインナバッグの放出孔からの膨張流体の放出量との関係を適切に設定することにより、前側膨張部を後側膨張部よりも高い位置まで膨張させることが可能となる。例えば、膨張流体発生源から膨張流体の噴出される期間を次の3つ(期間I〜III )に分けた場合、各期間I〜III では乗員保護装置が次のように作動して、前側膨張部が後側膨張部よりも高く膨張するものと考えられる。
<膨張流体の噴出開始後、噴出量が放出量よりも少ない期間I>
膨張流体発生源から高圧の膨張流体が噴出され始めると、その膨張流体はインナバッグにまず供給されて、同インナバッグが膨張を開始する。それに伴いエアバッグ本体、特に前側膨張部が間接的に膨張させられる。膨張流体発生源からの膨張流体の多くは、インナバッグが完全に膨張しきる前に放出孔から前側膨張部内の略上方へ向けて放出される。この膨張流体により前側膨張部が膨張させられて高圧となり、座面において乗員の膝部の下方部分が最初に隆起させられ、乗員の膝部が押し上げられる。
上記膨張流体は、前側膨張部をある程度膨張させ座面を隆起させた後に車両後方へ向かって流れるようになる。この膨張流体により後側膨張部が膨張し、エアバッグ本体の全体の内圧が徐々に均等になろうとする。
<期間Iの後、噴出量が放出量以上になる期間II>
期間IIでは、膨張流体が放出孔から略上方へ勢いよく放出される。このため、前側膨張部の上部が集中的に膨張させられて高圧となる。その結果、座面において乗員の膝部の下方部分がさらに高く隆起させられ、乗員の膝部がより高い位置まで押し上げられる。
<期間IIの後、再び噴出量が放出量よりも少なくなる期間III >
期間III では、膨張流体の噴出量が再び放出量よりも少なくなって、放出孔からの膨張流体の放出の勢いが弱まる。このことから、エアバッグ本体の内圧が再び均一になろうとする。
上記の期間I〜III を経ることで、前側膨張部を後側膨張部よりも高い位置まで膨張させることが可能となり、上記請求項1に記載の発明の効果が確実に得られるようになる。
本発明によれば、エアバッグの外殻部分を、前側膨張部と後側膨張部とを含むエアバッグ本体により構成し、エアバッグ本体の膨張に際し前側膨張部を後側膨張部よりも高い位置まで膨張させるようにしたため、単に大腿部を押し上げるものよりも乗員の腰部の前方移動を確実に抑制することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。なお、以下の説明では、車両の前進方向を前方と記載し、それを基準に前、後、上、下、左、右を規定している。また、各図において、「前」は車両前側を、「後」は車両後側を、「内」は車両内側を、「外」は車両外側をそれぞれ示している。
まず、本実施形態の乗員保護装置が適用される車両用シートの概略構成について説明する。
図1及び図3の少なくとも一方に示すように、車両用シートSは、座部(シートクッション)10と、座部10の後端側に傾き調整可能に配置された背もたれ部(シートバック)21と、背もたれ部21の上側に配置されたヘッドレスト22とを備えて構成されている。
座部10は、乗員保護装置の拘束対象物である乗員Pが着座する箇所である。座部10は、座クッション11と、その座クッション11を下側から支える鋼板製のシートパン13とを備えている。座クッション11は、布帛製又は皮革製のカバー12によって被覆されている。シートパン13の前部には、後述するエアバッグモジュールAMの一部を収容するための収容凹部14が形成されている。収容凹部14は、上面が開放された状態で車幅方向に延びている。
車両には、車両用シートSに着座した乗員Pを拘束するためのシートベルト装置30が装備されている。
シートベルト装置30は、乗員Pを拘束する帯状のウェビング31と、ウェビング31に対しその長手方向への移動可能に取り付けられたタング32と、座部10の一方の側方に配置されてタング32が係脱可能に装着されるバックル33とを備えている。ウェビング31は、その一端部が、座部10においてバックル33の配設されていない側に固定され、他端部がベルト巻取り装置(図示略)により巻き取られる構成とされている。シートベルト装置30では、ウェビング31に対してタング32を摺動させることで、ラップベルト部34及びショルダベルト部35の各長さを変更可能である。
ラップベルト部34は、ウェビング31において、タング32からウェビング31の端部までの部分であり、着座した乗員Pの腰部Ppの一側方から水平方向に腰部Ppの前を経由して他側方に架け渡され、主として腰部Ppを拘束する部分である。ショルダベルト部35は、ウェビング31において、タング32からベルト巻取り装置までの部分であり、着座した乗員Pの肩部Psから斜めに胸部Ptの前を経由して腰部Ppの側方に架け渡され、主として乗員Pの肩部Psを拘束する部分である。
上記車両には、サブマリン現象を抑制するための乗員保護装置が装備されている。サブマリン現象は、前突等により、車両に対し前方から衝撃が加わった場合に、シートベルト装置30によって車両用シートSに拘束されている乗員Pの腰部Ppが、ラップベルト部34から外れて前方へ移動してしまう現象である。
図2に示すように、乗員保護装置は、エアバッグモジュールAM、衝撃センサ81及び制御装置82を備えている。
エアバッグモジュールAMは、エアバッグ40及びインフレータアセンブリ60を備えている。次に、これらの各構成部材について説明する。
<エアバッグ40の構成>
エアバッグ40は、その外殻部分を構成し、かつ膨張により座部10の座面10Aを隆起させるためのエアバッグ本体41を備えている。エアバッグ本体41は、図7及び図8の少なくとも一方に示すように、前後方向に細長い平面長方形状をなす1枚の布帛(以下「基布42」という)を、その中央部分に設定した折り線43に沿って折り返して上下方向に重ね合わせ、図7中太い破線で示す結合線50に沿って結合することによって形成されている。
基布42は、ポリエステル糸、ポリアミド糸等を経糸及び緯糸とした織布によって形成されており、高い強度と可撓性とを有している。展開した状態(図8参照)の基布42の前端部であって、車幅方向に互いに離間した複数箇所(図8では2箇所)には、後述するリテーナ63のボルト65を挿通するためのボルト挿通孔44があけられている。また、展開状態の上記基布42の前端部において、各ボルト挿通孔44の前方近傍には、基布42を上記ボルト65に係止するための係止孔45があけられている。さらに、上記基布42の後端部において、同基布42が折り返されたときに上記係止孔45上に重なる箇所にも係止孔46があけられている。
結合線50は、互いに車幅方向に離間した状態で前後方向に延びる一対の第1結合部51,51と、車幅方向に延びて両第1結合部51,51の後端部を繋ぐ第2結合部52と、各第1結合部51の前端部から対向する第1結合部51へ向けて延びる一対の第3結合部53,53とを有している。結合線50に沿った結合により形成された上記エアバッグ本体41では、その結合線50によって囲まれた箇所が膨張用ガスGにより膨張する箇所となる。また、このエアバッグ本体41の前端部は結合されておらず、第3結合部53,53間は開口54となっている。この開口54は、インフレータアセンブリ60をエアバッグ本体41内に挿入したり、その挿入されたインフレータアセンブリ60のハーネス(図示略)をエアバッグ本体41の外部へ引き出したりするために必要なものである。
結合線50に沿った結合の態様としては、例えば、縫合糸を用いた縫合、接着剤を用いた接着、溶着等があるが、ここでは、縫合糸によって基布42が縫合されている。なお、本実施形態では、基布42として1枚の布帛を用い、これを折り返す構成を採っているため、折り線43の近傍における第2結合部52に沿った布帛の結合(縫合)は割愛可能である。
上記エアバッグ本体41は、その膨張の形態の観点から、図9及び図10の少なくとも一方に示すように、乗員Pの大腿部Pfの下方近傍で膨張する後側膨張部48と、乗員Pの膝部Pnの下方近傍で後側膨張部48よりも高い位置まで膨張する前側膨張部47とを含む構成を有している。
<インフレータアセンブリ60の構成>
インフレータアセンブリ60は、上記エアバッグ本体41に膨張流体としての膨張用ガスGを供給するためのものであり、膨張流体発生源としてのインフレータ61と、そのインフレータ61の外側に装着されたリテーナ63とを備えて構成されている。インフレータ61は略円柱状をなしており、その内部には高圧の膨張用ガスGが充填されている。図5及び図6の少なくとも一方に示すように、インフレータ61の長さ方向について所定の領域には、その円周方向及び長さ方向に互いに離間した状態で多数のガス噴出口62が設けられている。また、インフレータ61の一方の端部には、同インフレータ61への制御信号の印加配線となるハーネス(図示略)が接続されている。このタイプ(ストアードガスタイプ)のインフレータ61では、ハーネスを通じて制御信号が入力されると、火薬に着火されて高圧の膨張用ガスGが加熱膨張される。この膨張用ガスGによって、インフレータ61内の隔壁が破断されて、上記ガス噴出口62から膨張用ガスGが噴出される。
なお、インフレータとしては、上記ストアードガスタイプに代えて、インフレータ内部に収容されたガス発生剤を燃焼させて膨張用ガスGを生成し、ガス噴出口から噴出させるようにしたタイプ(パイロタイプ)や、パイロタイプとストアードガスタイプの両者を組み合わせた形態のハイブリッドタイプが用いられてもよい。
一方、リテーナ63は、その大部分が金属板等の板材を曲げ加工等することによって車幅方向に細長い略筒状に形成されている。リテーナ63の一部には、上記多数のガス噴出口62の一部を露出させる窓部64が形成されている。また、リテーナ63の下面において、車幅方向に互いに離間した複数箇所(本実施形態では2箇所)には、下方へ延びるボルト65が固定されている(図8参照)。
なお、上記インフレータ61は、リテーナ63と一体に設けられた構成を有するものであってもよい。
<インフレータアセンブリ60の取付け態様>
図7に示すように、インフレータアセンブリ60は、上記開口54を通じてエアバッグ本体41の内部に挿入され、同エアバッグ本体41の前部(膨張時に前側膨張部47となる箇所)に配置されている。そして、図2及び図4の少なくとも一方に示すようにリテーナ63のボルト65が、エアバッグ本体41の対応するボルト挿通孔44に対し上方から下方へ挿通されている。さらに、エアバッグ本体41の前部がインフレータアセンブリ60の外周面に沿って前下方へ巻き付けられ、エアバッグ本体41の係止孔45,46がインフレータアセンブリ60の下方に位置している。そして、係止孔45,46にリテーナ63の対応するボルト65が挿通されることにより、エアバッグ本体41の巻き付け部分がボルト65に係止されている。この係止により、エアバッグ本体41の上記開口54が閉じられている。
各ボルト65は、上記収容凹部14の底部15に挿通されている。そして、各ボルト65にナット66が螺合されることにより、インフレータアセンブリ60がエアバッグ本体41と一緒に収容凹部14に締結されている。この締結により、エアバッグ本体41の前下部が収容凹部14の底部15に押し付けられ、上記開口54が実質的に閉塞された状態となっている。
<エアバッグ本体41の配置態様>
エアバッグ本体41において、収容凹部14内に収容された前部を除く箇所は、膨張用ガスGを充填されることなく展開させられた状態で、座部10内の座面10Aよりも下方側、より詳しくは座クッション11とシートパン13との間に配置されている。この展開状態のエアバッグ本体41の後端部41Rは、座部10に着座した乗員Pの大腿部Pfと臀部Pbとの境界部分の下方近傍に位置している。
上述した事項が、エアバッグモジュールAMの基本的な構成である。本実施形態では、この基本構成に加え、以下の構成が採用されている。
<インナバッグ71の追加>
エアバッグ40は、上述したエアバッグ本体41のほかにインナバッグ71を備えている。
インナバッグ71は、エアバッグ本体41内でインフレータアセンブリ60を包み込んでいる。インナバッグ71は図7及び図8の少なくとも一方に示すように、平面矩形状をなす1枚の布帛(以下「基布72」という)を、その中央部分に設定した折り線73に沿って折り返して上下方向に重ね合わせ、その上下両側部分を図7中太い破線で示す一対の結合線74,74に沿って結合することによって形成されている。基布72は、上記エアバッグ本体41と同様の素材からなる織布によって形成されており、高い強度と可撓性とを有している。展開した状態(図8参照)の基布72の前端部及び後端部には、上記エアバッグ本体41の基布42と同様に、ボルト挿通孔75及び係止孔76,77がそれぞれ一対ずつあけられている。
両結合線74,74は、互いに車幅方向に離間した状態で前後方向に延びている。なお、両結合線74,74の間隔は、上記両第1結合部51,51の間隔よりも小さく設定されている。結合線74,74に沿った結合により形成された上記インナバッグ71では、それらの結合線74,74によって囲まれた箇所が膨張用ガスGによって膨張する箇所となる。
結合線74に沿った結合の態様としては、上述した結合線50と同様、縫合糸を用いた縫合、接着剤を用いた接着、溶着等が採用可能である。ここでは、縫合糸によって基布72の上下両側部分が縫合されている。なお、本実施形態では、基布72として1枚の布帛を用い、これを折り返す構成を採っているが、上記両結合線74,74に加え、折り線73の近傍にその折り線73に沿って結合線を設定し、この新たな結合線に沿って基布72を結合してもよい。
インナバッグ71の前端部は縫合されておらず、両結合線74,74の前端部間は開口78となっている。この開口78は、インフレータアセンブリ60をインナバッグ71内に挿入したり、そのインフレータアセンブリ60のハーネス(図示略)をインナバッグ71の外部へ引き出したりするために必要なものである。
<インナバッグ71の取付け態様>
インナバッグ71は、そのボルト挿通孔75及び係止孔76,77を、上記エアバッグ本体41におけるボルト挿通孔44及び係止孔45,46にそれぞれ合致させた状態で同エアバッグ本体41内の前端部(膨張時に前側膨張部47となる箇所)に配置されている。そして、インナバッグ71は、エアバッグ本体41の上記両第3結合部53,53等において、同エアバッグ本体41と一緒に結合(共縫い)されている。
インナバッグ71内には、開口78を通じて上記インフレータアセンブリ60が挿入及び配置されている。そして、図2及び図4の少なくとも一方に示すようにリテーナ63のボルト65が、エアバッグ本体41の対応するボルト挿通孔44とともに、インナバッグ71の対応するボルト挿通孔75に対し上方から下方へ向けて挿通されている。さらに、インナバッグ71の前部が、エアバッグ本体41の前部とともにインフレータアセンブリ60の外周面に沿って前下方へ巻き付けられている。この巻き付けにより、インナバッグ71の係止孔76,77がエアバッグ本体41の係止孔45,46とともにインフレータアセンブリ60の下方に位置している。これらの係止孔76,77に上記ボルト65が挿通されることにより、インナバッグ71の巻き付け部分がエアバッグ本体41の巻き付け部分とともにボルト65に係止されている。この係止により、インナバッグ71の上記開口78(図7参照)が閉じられている。
そして、収容凹部14の底部15に挿通されたボルト65にナット66が螺合されることにより、インナバッグ71がインフレータアセンブリ60及びエアバッグ本体41と一緒に収容凹部14に締結されている。この締結により、インナバッグ71の下部が収容凹部14の底部15に押し付けられ、上記開口78(図7参照)が実質的に閉塞された状態となっている。
<インナバッグ71の放出孔79>
図2及び図8の少なくとも一方に示すように、インナバッグ71の車幅方向についての両端部近傍には、同インナバッグ71の内外を連通させ、かつ上記インフレータ61のガス噴出口62から噴出された膨張用ガスGを略上方へ向けて放出する一対の放出孔79が設けられている。これらの放出孔79は、展開状態(図8参照)の基布72では、折り線73と係止孔77との間に位置している。また、両放出孔79は、上下に折り重ねられた基布72では、その上側となる部分に位置している。
上述したように、乗員保護装置は、上記エアバッグ40のほかに図2に示す衝撃センサ81及び制御装置82を備えている。衝撃センサ81は加速度センサ等からなり、車両のフロントバンパ(図示略)等に取付けられており、フロントバンパ等に前方から加わる衝撃を検出する。制御装置82は、衝撃センサ81からの検出信号に基づきインフレータ61の作動を制御する。
上記のようにして、本実施形態の乗員保護装置が構成されている。次に、この乗員保護装置の作用について説明する。
車両が正面前突(前突)する等してフロントバンパに所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサ81によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置82からハーネスを通じてインフレータ61に制御信号が出力される。インフレータ61では、この制御信号に応じて火薬に着火されて高圧の膨張用ガスが加熱膨張される。この膨張用ガスGによって、インフレータ61内の隔壁が破断されて、ガス噴出口62から高圧の膨張用ガスGが噴出される。この膨張用ガスGはインナバッグ71を膨張させるほか、そのインナバッグ71の放出孔79から放出されてエアバッグ本体41を膨張させる。従って、インフレータ61から噴出される膨張用ガスGの量(以下「噴出量Q1」という)と、放出孔79から放出される膨張用ガスGの量(以下「放出量Q2」という)との関係により、インナバッグ71及びエアバッグ本体41の膨張態様が異なってくる。
上記噴出量Q1は、一般に、噴出開始後から時間の経過とともに増加する。同噴出量Q1は、最大となった後に増加から減少に転じ、時間の経過とともに少なくなる。このような噴出特性でインフレータ61から膨張用ガスGが噴出されることを考慮し、本実施形態では、上記噴出量Q1と放出量Q2との関係を適切に設定することにより、前側膨張部47を後側膨張部48よりも高い位置まで膨張させるようにしている。
ここで、インフレータ61から膨張用ガスGの噴出される期間は、次の3つに分けることができる。
期間I:膨張用ガスGの噴出開始後、噴出量Q1が放出量Q2よりも少ない期間
期間II:期間Iに続く期間であり、噴出量Q1が放出量Q2以上になる期間
期間III :期間IIに続く期間であり、噴出量Q1が再び放出量Q2よりも少なくなる期間
そして、上記各期間I〜III では乗員保護装置が次のように作動するものと考えられる。
<期間I>
インフレータ61から高圧の膨張用ガスGが噴出され始めると、その膨張用ガスGは図9及び図10に示すように、インフレータ61を包み込んでいるインナバッグ71にまず供給される。この膨張用ガスGによりインナバッグ71が膨張を開始し、それに伴いインナバッグ71の外側のエアバッグ本体41、特にインフレータ61及びインナバッグ71の配置された前側膨張部47が間接的に膨張させられる。この膨張に際しては、上記エアバッグ本体41が座クッション11と鋼板製のシートパン13との間に配置されていることから、エアバッグ本体41は下方へ膨張することなく専ら上方へ膨張する。
期間Iでは、膨張用ガスGの噴出量Q1が放出量Q2よりも少ない(Q1<Q2)ことから、インフレータ61からの膨張用ガスGの多くは、インナバッグ71が完全に膨張しきる前に放出孔79から放出され始める。この際、インフレータ61及びインナバッグ71が上述したようにともに前側膨張部47に配置されていること、及び折り重ねられた基布72の上側部分に放出孔79が開口されていることから、膨張用ガスGは放出孔79を通じ前側膨張部47内の略上方へ向けて放出される。この膨張用ガスGにより前側膨張部47が膨張させられて高圧となり、座面10Aにおいて乗員Pの膝部Pnの下方部分が最初に隆起させられる。この隆起により乗員Pの膝部Pnが押し上げられる。上記前側膨張部47の膨張により、インナバッグ71の外面と前側膨張部47の内面との間に空隙AGが生ずる。
上記膨張用ガスGは、前側膨張部47をある程度膨張させ座面10Aを隆起させた後に、上記空隙AGを通って車両後方へ向かって流れるようになる。この膨張用ガスGにより後側膨張部48が膨張し、エアバッグ本体41の全体の内圧が徐々に均一になろうとする。
上記前側膨張部47及び後側膨張部48の膨張に伴い、座面10Aが上記のように前側から後側に向けて順に隆起する。この隆起により、座部10に着座した乗員Pの膝部Pnから大腿部Pfの後端(臀部Pbの前)にかけての領域が上記の順で上方へ押圧される。この押圧により乗員Pの上記領域が、上記順に押し上げられ、乗員Pの腰部Ppがシートベルト装置30のラップベルト部34に押し付けられる。この押し付けにより、ラップベルト部34の拘束力が高められ、腰部Ppの前方移動が規制される。
しかも、前側膨張部47が後側膨張部48よりも高い位置まで膨張して座面10Aが前側の箇所において他の箇所よりも高く隆起させられる。そのため、乗員Pの膝部Pnが大腿部Pfよりも高い箇所まで押し上げられ、腰部Ppの前方移動が一層規制される。
<期間II>
期間IIでは、膨張用ガスGの噴出量Q1が放出量Q2以上になる(Q1≧Q2)ことから、膨張用ガスGが放出孔79から上方へ勢いよく放出される。このため、上記期間Iでは、上述したようにエアバッグ本体41の内圧が均一になろうとしていたが、エアバッグ本体41内の前側膨張部47の上部が集中的に膨張させられて、高圧となる。その結果、座面10Aにおいて乗員Pの膝部Pnの下方部分がさらに高く隆起させられ、乗員Pの膝部Pnがより高い位置まで押し上げられる。乗員Pの膝部Pnがさらに押上げられ、腰部Ppの前方移動が確実に規制される。
<期間III >
期間III では、膨張用ガスGの噴出量Q1が再び放出量Q2よりも少なくなって(Q1<Q2)、放出孔79からの膨張用ガスGの放出の勢いが弱まる。このことから、エアバッグ本体41の内圧が再び均一になろうとする。
上記の期間I〜III を経ることで、前側膨張部47が後側膨張部48よりも高い位置まで膨張するものと考えられる。
ここで、仮に膨張前にエアバッグ本体41が折り畳まれた状態で座部10内に配置されていると、その折り畳み部分は展開膨張の抵抗となり、その折りの解消に膨張用ガスGのエネルギーが消費される。この点、本実施形態ではエアバッグ本体41が折り畳まれておらず、予め展開させられた状態で配置されている。このため、折り畳まれている場合よりも展開膨張の抵抗となる要素が少なく、エアバッグ本体41(前側膨張部47及び後側膨張部48)が早く膨張する。
また、上記のように膨張するエアバッグ本体41には、乗員Pの荷重によって生じる負荷が作用するところ、その負荷は、乗員Pの膝部Pnから大腿部Pfの後端部にかけての広い領域で受け止められる。そのため、エアバッグ本体41の膨張に伴い生じる衝撃は分散されて乗員Pに作用することとなり、特定の部位に偏って作用することはない。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)エアバッグ40の外殻部分を構成するエアバッグ本体41が、乗員Pの大腿部Pfの下方近傍で膨張する後側膨張部48と、乗員Pの膝部Pnの下方近傍で膨張する前側膨張部47とを含んでいる。そのため、エアバッグ本体41により座部10の座面10Aを隆起させて、乗員Pの膝部Pn及び大腿部Pfを押し上げ、腰部Ppをシートベルト装置30のラップベルト部34に押し付けて同ラップベルト部34の拘束力を高め、腰部Ppの前方への動きを規制することができる。
さらに、エアバッグ本体41の膨張に際し前側膨張部47を後側膨張部48よりも高い位置まで膨張させるようにしている。そのため、隆起した座面10Aにおいて、前側膨張部47に対応する箇所を、後側膨張部48に対応する箇所よりも高くして、乗員Pの膝部Pnを大腿部Pfよりも高く押上げ、腰部Ppの前方移動を規制することができる。
その結果、エアバッグ40の膨張により単に乗員Pの大腿部Pfを押し上げるもの(特許文献1がこれに該当する)よりも腰部Ppの前方移動、すなわちサブマリン現象の発生を確実に抑制することができる。
(2)エアバッグ40の一部としてインナバッグ71を用い、インフレータ61を包み込んだインナバッグ71をエアバッグ本体41の前側膨張部47内に配置している。そして、インナバッグ71には、インフレータ61からの膨張用ガスGを略上方へ向けて放出する放出孔79を設けている。このため、放出孔79からの膨張用ガスGの放出により、前側膨張部47及び後側膨張部48をともに膨張させるとともに、前側膨張部47を後側膨張部48よりも高い位置まで確実に膨張させることができる。その結果、上記(1)の効果が確実に得られるようになる。
また、インフレータ61等の上記配置により、エアバッグ本体41はその前側から後側に向けて膨張されることから、着座した乗員Pの膝部Pnを大腿部Pfよりも先に押上げることができる。このこともまた、乗員Pの腰部Ppの前方移動を規制するうえで有効である。
(3)エアバッグ本体41において、インフレータアセンブリ60が配置される箇所である前端部を除く大部分を、膨張用ガスGを充填されることなく展開させられた状態で座部10内に配置している(図2参照)。そのため、エアバッグ本体41の前側膨張部47及び後側膨張部48を、エアバッグ本体41を折り畳んだ状態で配置した場合よりも早期に膨張させることができる。
(4)エアバッグ本体41を単一の袋体によって構成し、同袋体の前側部分を前側膨張部47とし、後側部分を後側膨張部48としている。さらに、インフレータ61を包み込んだインナバッグ71を前側膨張部47内に配置している。そのため、インフレータ61からの高圧の膨張用ガスGをインナバッグ71の放出孔79から前側膨張部47に吹き付けて、エアバッグ本体41の膨張に際し、前側膨張部47を後側膨張部48よりも高い位置まで膨張させることができる。同様の目的を達成するために、エアバッグ本体41を複数の袋体から構成したり、エアバッグ本体41の内部にテザー等を設けたりしなくてもすむ。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
(a)エアバッグ本体41における前側膨張部47及び後側膨張部48として、上記実施形態とは異なる形態を有するものを採用してもよい。図11(A)及び(B)にその一例を示す。
図11(A)は、エアバッグ本体41が、相互に連通された状態で前後方向に連結された2つの袋体91,92によって構成され、前側の袋体91が前側膨張部47とされ、後側の袋体92が後側膨張部48とされた例を示している。袋体91は、膨張したときの高さが、膨張したときの袋体92の高さよりも高くなるように形成されている。
なお、折り重ねられた基布の上側部分及び下側部分の周縁部同士を縫合することによってエアバッグ本体41が形成されていることについては先述した。これに加え、基布の上側部分及び下側部分をそれらの中間部分で結合(縫合)することによって、上記の2つの袋体91,92を形成することができる。
このようにすれば、インフレータ61からの高圧の膨張用ガスGにより、前側の袋体91及び後側の袋体92がともに膨張させられる。この際、両袋体91,92は連通部90を通じて相互に連通されていることから、インフレータ61がいずれの袋体91,92内に配置されている場合であっても、膨張用ガスGが両方の袋体91,92に供給される。そして、両袋体91,92が膨張すると、前側の袋体91が前側膨張部47として機能するとともに、後側の袋体92が後側膨張部48として機能する。その結果、エアバッグ本体41の膨張に際し、インナバッグ71を用いなくても前側膨張部47を後側膨張部48よりも高い位置まで膨張させることができる。
図11(B)は、エアバッグ本体41内に、その上下方向の膨張を規制することにより、膨張時における前側膨張部47の高さよりも後側膨張部48の高さを低くするテザー93が配置された例を示している。テザー93は例えば布帛によって筒状に形成され、エアバッグ本体41の内壁面に沿って配置され、縫合等の手段によってエアバッグ本体41に結合される。
このようにすれば、インフレータ61からの膨張用ガスGがエアバッグ本体41内に供給されて同エアバッグ本体41が膨張する場合、テザー93の設けられた箇所では上下方向の膨張が規制される。この規制により、膨張時における前側膨張部47の高さよりも後側膨張部48の高さが低くなる。その結果、エアバッグ本体41の膨張に際し、インナバッグ71を用いなくても前側膨張部47を後側膨張部48よりも高い位置まで膨張させることができる。
(b)インナバッグの放出孔79は、インフレータ61からの膨張用ガスGを厳密に上方へ向けて放出するものでなくてもよく、前側膨張部47を上方へ膨張させることのできる範囲内で多少傾いた方向へ放出するものであってもよい。
(c)エアバッグ本体41を折り畳んだ状態で座部10内(座クッション11及びシートパン13間)に配置してもよい。
(d)本発明は、シートパン13に代えて、シートフレームの一部を、張設されたワイヤフレーム部によって構成したタイプの車両用シートにも適用可能である。
(e)エアバッグ本体41は、上下方向に重ねられた複数枚の布帛を、それらの中央部分に設定した共通の折り線に沿って折り返して上下方向に積層し、結合線50に沿って結合することによって形成されたものであってもよい。用いられる布帛の数が多くなるに従い、エアバッグ本体41の強度が高くなる。インナバッグ71についても同様である。
(f)エアバッグ本体41は、上下方向に重ねられた複数枚の布帛を、結合線50に沿って結合することによって形成されたものであってもよい。上記(e)との相違点は、布帛が中央部分で折り返されることがないことである。インナバッグ71についても同様である。
(g)インナバッグ71及びインフレータアセンブリ60は、エアバッグ本体41内の上記実施形態とは異なる箇所、例えば車両前後方向についての中間部分や、後端部に配置されてもよい。
(h)インフレータアセンブリ60のボルト65は、収容凹部14であって底部15とは異なる箇所、例えば前壁部に挿通されてナット66によって締結されてもよい。
(i)インナバッグ71における放出孔79の数を1又は3以上に変更してもよい。また、インナバッグ71における放出孔79の車幅方向についての位置を、両端部以外の箇所に変更してもよい。
(j)本発明は、車両の前席及び後席を含むいずれの座席についても適用可能である。
(k)膨張流体として膨張用ガスG以外の流体が用いられてもよい。
その他、前記各実施形態から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに記載する。
(A)請求項2に記載の乗員保護装置において、前記エアバッグ本体は単一の袋体からなり、同袋体の前側部分を前記前側膨張部とし、同袋体の後側部分を前記後側膨張部とするものである。
上記の構成によれば、エアバッグ本体は単一の袋体からなるが、膨張流体発生源からの高圧の膨張流体を前側膨張部に吹き付けて、エアバッグ本体の膨張に際し、前側膨張部を後側膨張部よりも高い位置まで膨張させることができる。
(B)請求項1に記載の乗員保護装置において、前記エアバッグ本体は、相互に連通された状態で前後方向に連結された2つの袋体からなり、前側の袋体を前記前側膨張部とし、後側の袋体を前記後側膨張部とするものである。
上記の構成によれば、膨張流体発生源からの高圧の膨張流体により、前側の袋体を前側膨張部として機能させるとともに、後側の袋体を後側膨張部として機能させ、前側の袋体(前側膨張部)を後側の袋体(後側膨張部)よりも高い位置まで膨張させることができる。
(C)請求項1に記載の乗員保護装置において、前記エアバッグ本体内には、その上下方向の膨張を規制することにより、膨張時における前記前側膨張部の高さよりも前記後側膨張部の高さを低くするテザーが配置されている。
上記の構成によれば、膨張流体発生源からの膨張流体によりエアバッグ本体を膨張させる場合、テザーによる上下方向の膨張規制により、前側膨張部の高さよりも後側膨張部の高さを低くする(前側膨張部を後側膨張部よりも高い位置まで膨張させる)ことができる。
(D)請求項1、及び上記(A)〜(C)のいずれか1つに記載の乗員保護装置において、前記膨張流体発生源は前記エアバッグ本体の前記前側膨張部内に配置されている。
上記の構成によれば、エアバッグ本体が前側から後側に向けて膨張されることから、座部に着座した乗員の膝部を大腿部よりも先に持ち上げることができ、乗員の腰部の前方移動をより一層効果的に抑制することができる。
(E)請求項1,2、及び上記(A)〜(D)のいずれか1つに記載の乗員保護装置において、前記エアバッグ本体は、前記膨張流体を充填されることなく展開させられた状態で前記座部内に配置されている。
エアバッグ本体が折り畳まれておらず、予め展開させられた状態で配置されている上記(E)に記載の発明によれば、折り畳まれている場合よりも展開膨張の抵抗となる要素を少なくでき、エアバッグ本体(前側膨張部及び後側膨張部)を早期に膨張させることができる。
本発明を具体化した一実施形態において、乗員保護装置が適用された車両用シートを示す側断面図。 図1におけるX部を拡大して示す部分側断面図。 車両用シート及びシートベルト装置を示す斜視図。 図2において、インナバッグの開口及びエアバッグ本体の開口がともにリテーナのボルトによって閉塞された状態を示す部分拡大側断面図。 エアバッグモジュールの平面図。 エアバッグモジュールの底面図。 エアバッグモジュールの各構成部材(エアバッグ本体、インナバッグ及びインフレータアセンブリ)の底面図。 エアバッグ本体及びインナバッグに用いられる各基布の展開図と、インフレータアセンブリの側面図。 図2の状態からインナバッグ及びエアバッグ本体が膨張して座部の座面が隆起させられた状態を示す乗員保護装置の部分側断面図。 図9におけるインナバッグ及びエアバッグ本体を取り出して示す部分側断面図。 (A),(B)はエアバッグ本体における前側膨張部及び後側膨張部の別の実施形態を示す側断面図。
符号の説明
10…座部、10A…座面、30…シートベルト装置、40…エアバッグ、41…エアバッグ本体、47…前側膨張部、48…後側膨張部、61…インフレータ(膨張流体発生源)、71…インナバッグ、79…放出孔、G…膨張用ガス(膨張流体)、P…乗員、Pf…大腿部、Pn…膝部、Pp…腰部、S…車両用シート。

Claims (2)

  1. 車両用シートの座部内にエアバッグを配置し、膨張流体発生源から噴出された高圧の膨張流体にて前記エアバッグを膨張させて前記座部の座面を隆起させることにより、前記座部に着座し、かつシートベルト装置により前記車両用シートに拘束された乗員の腰部の前方移動を抑制するようにした乗員保護装置において、
    前記エアバッグの外殻部分はエアバッグ本体により構成され、
    前記エアバッグ本体は、前記乗員の大腿部の下方近傍で膨張する後側膨張部と、前記乗員の膝部の下方近傍で前記後側膨張部よりも高い位置まで膨張する前側膨張部とを含むことを特徴とする乗員保護装置。
  2. 前記エアバッグは、前記膨張流体発生源を包み込んだ状態で前記前側膨張部内に配置されたインナバッグを備え、
    前記インナバッグは、前記膨張流体発生源からの前記膨張流体を略上方へ向けて放出する放出孔を有する請求項1に記載の乗員保護装置。
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