JP2009146888A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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    • H01J9/00Apparatus or processes specially adapted for the manufacture, installation, removal, maintenance of electric discharge tubes, discharge lamps, or parts thereof; Recovery of material from discharge tubes or lamps
    • H01J9/02Manufacture of electrodes or electrode systems

Abstract

【課題】本発明は、高精細表示でも、高輝度、高信頼性を確保し、さらに環境問題に配慮したPDPを低コストで実現することを目的としている。
【解決手段】前面ガラス基板3上に少なくとも表示電極6と誘電体層8とが形成された前面板2と、基板上に電極と隔壁と蛍光体層が形成された背面板とを対向配置するとともに周囲を封着して放電空間を形成したPDPであって、誘電体層8を複数層で構成するとともに誘電体層8の各層を同一材料で構成し、かつ、誘電体層8にはCaOとBaOを含有し、CaOのモル%で表現される含有量が、BaOのモル%で表現される含有量よりも多くしている。
【選択図】図2

Description

本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネルに関するものである。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、100インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、PDPは従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフィニションテレビへの適用が進んでいるとともに、環境問題に配慮して鉛成分を含まないPDPも製品化されている。
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、この表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、この誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とで構成されている。一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色および青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にネオン(Ne)−キセノン(Xe)の放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入されている。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
表示電極のバス電極には導電性を確保するための銀電極が用いられ、誘電体層としては酸化鉛を主成分とする低融点ガラスが用いられているが、近年の環境問題への配慮から誘電体層として鉛成分を含まない例が開示されている(例えば、特許文献1、2、3、4など参照)。
特開2003−128430号公報 特開2002−053342号公報 特開2001−045877号公報 特開平9−050769号公報
しかしながら、このようなPDPの前面板を形成する工程において、表示電極を構成する銀電極から誘電体層やガラス基板へ銀イオンが拡散する。誘電体層中のアルカリ金属イオンやガラス基板中に含まれる2価のスズイオンによって銀イオンが還元作用を受け、銀のコロイドを形成する。その結果、誘電体層やガラス基板が、黄色や褐色により強く着色する(以下、黄変とする)とともに、酸化銀が還元作用を受けて酸素を発生して誘電体層中に気泡を発生させるという課題が見られた。このような黄変が生じると色度を変化させるために画像品質を著しく損ない、さらに誘電体層中の気泡は誘電体層の絶縁不良を発生させる。
このような黄変の低減や気泡発生の低減のために、ガラス組成の異なる二層構成の誘電体層とし、各層それぞれの形成工程において焼成工程を有することで、いずれかの層に気泡が発生したとしても誘電体層の電気的耐圧性を確保して絶縁不良の発生を低減することが可能となる。
また、誘電体層各層それぞれの効果を異ならせることで、上記黄変などの課題を解消することが可能となる。具体的には前面板の電極と接する下層誘電体層には黄変抑制や気泡の発生低減を目的にしたガラス組成を用い、下層誘電体層上に形成される上層誘電体層は透過率が高いガラス組成を用いて形成している。
しかしながら、複数の異なる誘電体層材料を用いることは、材料管理の増加など工数が増え、製造コストが増加するという課題や、材料使用間違いを誘発する虞があるなどの課題を有している。これに対し、下層誘電体層に用いられるガラス材料のみで誘電体層を複数層形成すると十分な透過率が得られなくなる。一方、上層誘電体層に用いられるガラス材料のみで誘電体層を複数層形成すると、黄変や気泡が発生するといった課題が生じてしまう。
本発明はこのような課題を解決し、PDPの製造管理やコストのロスを低減し、信頼性と高画質を確保したPDPを実現することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明のPDPは、基板上に少なくとも表示電極と誘電体層とが形成された前面板と、基板上に電極と隔壁と蛍光体層が形成された背面板とを対向配置するとともに周囲を封着して放電空間を形成したPDPであって、誘電体層を複数層で構成するとともに誘電体層の各層を同一材料で構成し、誘電体層にはCaOとBaOを含有し、CaOのモル%で表現される含有量が、BaOのモル%で表現される含有量よりも多くしている。
このような構成によれば、黄変の発生を抑制しつつ、誘電体層の直線透過率を向上させることができ、かつ誘電体層が複数層で形成されるため信頼性の高いPDPを実現することができる。
さらに、誘電体層が、Biと、2種類以上のRO(RはLi、Na、Kから選ばれる1種類)と、CoOと、CuOとを含有することが望ましい。このような構成によれば、誘電体層を構成するガラス材料の軟化点を下げて製造が容易で、画像品質を高めたPDPを実現することができる。
さらに、CuOとCoOとのモル%で表現される含有量の合計が0.3%以下であることが望ましい。このような構成によれば、青色発色は最適な範囲となり、PDPの画像品質をさらに高めるPDPを実現することができる。
さらに、誘電体層がKOと1種類以上のRO(RはLi、Naから選ばれる少なくとも1種類)を含むことが望ましい。このような構成によれば、誘電体層を形成した前面ガラス基板の反りを抑制し、形状精度に優れたPDPを実現することができる。
さらに、KOのモル%で表現される含有量が、LiOとNaOのモル%で表現される含有量の合計よりも多いことが望ましい。このような構成によれば、誘電体層の形成による前面ガラス基板の反りをさらに抑制することができる。
さらに、誘電体層がMoOを含有し、MoOのモル%で表現される含有量が2%以下であることが望ましい。このような構成によれば、銀コロイドの生成を抑制して誘電体層中への気泡の発生のない信頼性の高い誘電体層を有するPDPを実現することができる。
さらに、Biのモル%で表現される含有量が5%以下であることが望ましい。このような構成によれば、Bi系の材料の含有量を低減させつつ、ガラスの軟化点を下げて製造プロセスに様々な利点を与えることが可能である。
以上のように本発明によれば、誘電体層の耐圧特性などの高い信頼性を確保し、かつ黄変などの不具合を抑制して高品質の画像表示を実現したPDPを製造コストの増加を抑えて実現することができる。
以下、本発明の実施の形態におけるPDPについて図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態におけるPDP1の構造を示す斜視図である。PDP1の基本構造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面板10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたPDP1内部の放電空間16には、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)などの放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入されている。
前面板2の前面ガラス基板3上には、走査電極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7とを覆うようにコンデンサとしての働きをする誘電体層8が形成され、さらにその表面に酸化マグネシウム(MgO)などからなる保護層9が形成されている。
また、背面板10の背面ガラス基板11上には、前面板2の走査電極4および維持電極5と直交する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層13が被覆している。さらに、アドレス電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14間の溝にアドレス電極12毎に、紫外線によって赤色、青色および緑色にそれぞれ発光する蛍光体層15が順次塗布して形成されている。走査電極4および維持電極5とアドレス電極12とが交差する位置に放電セルが形成され、表示電極6方向に並んだ赤色、青色、緑色の蛍光体層15を有する放電セルがカラー表示のための画素になる。
図2は、本発明の実施の形態におけるPDP1の誘電体層8の構成を示す前面板2の断面図である。図2は図1と上下反転させて示している。図2に示すように、フロート法などにより製造された前面ガラス基板3に、走査電極4と維持電極5よりなる表示電極6とブラックストライプ7がパターン形成されている。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO)などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a、5a上に形成された金属バス電極4b、5bとにより構成されている。金属バス電極4b、5bは透明電極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目的として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする導電性材料によって形成されている。
誘電体層8は、前面ガラス基板3上に形成されたこれらの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bとブラックストライプ7を覆って設けた下層誘電体層8aと、下層誘電体層8a上に形成された上層誘電体層8bとの複数層によって構成されている。そして誘電体層8上に保護層9が形成されている。
次に、本発明の実施の形態のPDP1を実施するための製造方法について説明する。まず、前面ガラス基板3上に、走査電極4および維持電極5と遮光層7とを形成する。透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bは、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングして形成される。透明電極4a、5aは薄膜プロセスなどを用いて形成され、金属バス電極4b、5bは銀(Ag)材料を含むペーストを所望の温度で焼成して固化している。また、遮光層7も同様に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料を前面ガラス基板3の全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することにより形成される。
次に、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペーストをスクリーン印刷などにより塗布して誘電体ペースト層を形成する。塗布した後、所定の時間放置することによって誘電体ペースト層表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成固化することにより、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆う下層誘電体層8aが形成される。なお誘電体ペーストは、ガラス粉末などの誘電体層材料、バインダおよび溶剤を含む塗料である。
次に、下層誘電体層8a上に下層誘電体層8aと同一組成の誘電体層材料の誘電体ペーストを、ダイコート法などの下層誘電体層8aの形成方法と異なる塗布方法により塗布して誘電体ペースト層を形成する。そして塗布した後、所定の時間放置することによって塗布された誘電体ペースト層の表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成硬化することにより下層誘電体層8a上に上層誘電体層8bが形成される。
次に、上層誘電体層8b上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層9を真空蒸着法などにより形成する。以上の工程により前面ガラス基板3上に所定の構成物である走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘電体層8、保護層9が形成され、前面板2が完成する。
一方、背面板10は次のようにして形成される。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極12用の構成物となる材料層を形成する。この材料層を所定の温度で焼成することによりアドレス電極12を形成する。次に、アドレス電極12が形成された背面ガラス基板11上にダイコート法などによりアドレス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、焼成することにより下地誘電体層13を形成する。なお、誘電体層ペーストはガラス粉末などの誘電体層材料、バインダおよび溶剤を含んだ塗料である。
次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成した後、焼成することにより隔壁14を形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布した隔壁用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法を用いることができる。次に、隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成することにより蛍光体層15が形成される。以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板2と背面板10とを、走査電極4とアドレス電極12とが直交するように対向配置して、その周囲をガラスフリットで封着し、放電空間16にネオン(Ne)、キセノン(Xe)などを含む放電ガスを封入することによりPDP1が完成する。
次に、前面板2の誘電体層8について詳細に説明する。前述したように、誘電体層8は高耐電圧が要求されるが、一方で高透過率を有することを要求される。すなわち下層誘電体層8aと上層誘電体層8bを同一材料にするためには高透過率を有するとともに黄変抑制や気泡の発生の抑制が要求される。この特性は誘電体層に含まれるガラス成分の組成に大きく左右される。
従来、このような誘電体層を形成する方法としては、ガラス粉体成分と樹脂を含む溶剤、可塑剤、分散剤などからなるバインダ成分で構成されたペーストを、スクリーン印刷法などを用いて、電極を形成した前面ガラス基板上に塗布する。そして乾燥させた後、450℃から600℃程度で焼成し下層誘電体層を形成する。さらに下層誘電体層上に下層誘電体層と異なるガラス粉体成分と樹脂を含む溶剤、可塑剤、分散剤などからなるバインダ成分で構成されたペーストをスクリーン印刷やダイコート法などで塗布する。そして、乾燥させた後450℃から600℃程度で焼成し上層誘電体層を形成する。またこの方法以外にも下層誘電体層および上層誘電体層用ペーストをフィルム上に塗布、乾燥して、電極を形成した前面板に転写し、450℃から600℃程度で焼成する方法が知られている。
なお従来では、450℃から600℃程度での焼成を可能にするため、誘電体層のガラス成分には20重量%以上の酸化鉛を含有していた。ところが近年環境への配慮のため、ガラス成分中に酸化鉛を含有せず、0.5重量%から40重量%程度のBiを含有している技術が開示されている。
これに対して、本発明の実施の形態におけるPDP1では、誘電体層8を複数層で構成するとともに誘電体層8の各層を同一組成で構成し、誘電体層8にはCaOとBaOを含有し、CaOのモル%で表現される含有量が、BaOのモル%で表現される含有量よりも多いことを特徴とする。
このように誘電体層8を複数層で構成することで、各誘電体層形成工程に、それぞれ焼成ステップを含むようにしている。これにより誘電体層8の各層の膜厚を薄くすることができ、下層誘電体層8aの焼成中に表示電極6などの有機成分の残渣などから気泡が発生しても、下層誘電体層8a表層に気泡が抜けやすくなる。さらに、その上に上層誘電体層8bを形成することで、気泡が抜けた部分の補償を行うことができるため、誘電体層8の絶縁耐圧性能を高めて信頼性を向上させることができる。また誘電体層8の各層を同一組成で構成することで、製造管理・コストのロスを低減することもできる。
以下、本発明の実施の形態における誘電体層8の形成方法と構成材料について詳細に説明する。
まず、所定の組成成分のガラス材料を、湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径が0.5μm〜3.0μm程度となるように粉砕して誘電体層材料粉末を作製する。次にこれらの誘電体層材料粉末50重量%〜65重量%と、バインダ成分35重量%〜50重量%とを三本ロールでよく混練してダイコート用あるいは印刷用の誘電体ペーストを作製する。
ここでバインダ成分は、エチルセルロース、あるいはアクリル樹脂1重量%〜20重量%を含むターピネオールあるいはブチルカルビトールアセテートである。また、このペースト中には、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチルなどを添加し、分散剤としてグリセロールモノオレート、ソルビタンセスキオレヘート、ホモゲノール(Kaoコーポレーション社製品名)、アルキルアリル基のリン酸エステルなどを添加して印刷性を向上させてもよい。
次に、この誘電体ペーストを用いて、表示電極6を覆うように前面ガラス基板3にスクリーン印刷法などで塗布して乾燥させ、その後、誘電体層材料の軟化点より少し高い温度の575℃〜590℃で焼成し下層誘電体層8aを形成する。その後、その上にダイコート法など下層誘電体層8aと異なる方法で下層誘電体層8aと同じ組成の誘電体ペーストを塗布して乾燥させ、その後、誘電体層材料の軟化点より少し高い温度の575℃〜590℃で焼成し上層誘電体層8bを形成する。
なお、誘電体層8の膜厚が小さいほど画像表示時の輝度を向上させ、放電電圧を低減させるという効果が顕著になるので、絶縁耐圧が低下しない範囲内であればできるだけ膜厚を小さく設定するのが望ましい。このような条件と可視光透過率の観点から、本発明の実施の形態では、下層誘電体層8aと上層誘電体層8bとの総膜厚を41μm以下に設定している。
ここから本発明の実施の形態における誘電体層8の構成材料について詳細に述べる。
本発明の実施の形態におけるPDP1では、誘電体層8を下層誘電体層8aと上層誘電体層8bとで構成し、下層誘電体層8aと上層誘電体層8bとが、CaOとBaOを含有し、CaOのモル%で表現される含有量が、BaOのモル%で表現される含有量よりも多くなるようにしている。
CaOは銀イオン(Ag)の還元を抑制して黄変の発生を抑制することが可能である。CaOの効果は酸化剤としての役割である。しかしながらCaOを含有する誘電体ガラスは可視光透過率、特にディスプレイの精細さに寄与する直線透過率が低くなるといった課題がある。そこで本発明の実施の形態では直線透過率を高める効果があるBaOをCaOの代わりに一部置換するという形で加えている。
しかしながら、BaOは銀イオン(Ag)の還元を促進して黄変の発生を生じさせる弊害も併せ持つ。したがってBaOのモル%で表記した含有量をCaOのモル%で表記した含有量よりも少なくすることが重要となる。これによって、黄変を発生させずに、直線透過率を維持することができる。
またさらに本発明の実施の形態では、誘電体層8が下層誘電体層8aと上層誘電体層8bとの複数層で形成されているため、単層で形成した場合よりも相対的に直線透過率が低下してしまう。しかしながら、上記のようにBaOとCaOとの含有量を制御することで、直線透過率を維持しつつ、誘電体層8の信頼性を向上することができる。
次に、Biの含有量とRO(RはLi、Na、Kから選ばれる一種類)の添加について述べる。本発明の実施の形態では、誘電体ガラスにおいて鉛成分の代替材料としてBiを用いている。誘電体ガラス中のBiの含有量を増加させると、誘電体ガラスの軟化点を下げることができて製造プロセスに様々な利点がある。しかしながら、Bi系の材料が高価であることから、Biの含有量を増加させることは、使用する原材料のコスト増加を招くことになる。
Bi系の材料の含有量を減少させると、誘電体ガラスの軟化点が上昇するために焼成温度が上昇する。焼成温度が上昇すると表示電極6を構成する金属バス電極4b、5bの銀電極から拡散する銀イオン(Ag)の拡散量がより増加する。そのために、コロイド化する銀(Ag)の量がより多くなり誘電体層8の着色や気泡の発生という現象が起こり、PDP1の画像品質の劣化や誘電体層8の絶縁不良の発生に至るという課題が発生する。
そこで、本発明はBi系の材料の代替材料として、Li、Na、K、などから選ばれるアルカリ金属に着目した。アルカリ金属の酸化物を含有させると、ガラスの軟化点を下げることができるため、Bi系の材料の含有量を低減させつつ、ガラスの軟化点を下げて製造プロセスに様々な利点を与えることが可能である。
しかしながら、アルカリ金属の酸化物を過剰に含有した場合、表示電極6を構成する銀電極から拡散する銀イオン(Ag)の還元作用がより促進されて、銀(Ag)のコロイドがより多く形成され、誘電体層8の着色や気泡の発生という現象が起こる。その結果、PDP1の画像品質の劣化や誘電体層8の絶縁不良の発生に至るという弊害が発生する。
このようなROによる還元作用を抑制させるために、本発明の実施の形態では誘電体ガラスにCoOとCuOとを添加している。さらに、銀(Ag)のコロイドの形成を抑制させるために、MoOを添加している。以下にそれぞれの作用効果について述べる。
まず、CuOの添加について述べる。CuOは誘電体層8を焼成する際に、CuOからCuOへと還元作用を起こす。その結果、銀イオン(Ag)の還元を抑制して黄変の発生を抑制することが可能となる。
しかしながら、CuOは誘電体ガラスを青色に発色させる作用がある一方で、CuOは誘電体ガラスを緑色に発色させる作用があることが判明したため、以下に示すように発色作用の発生原因を解明することによりその改善方法を見出したものである。
PDP1を製造する工程では、アセンブリ工程も含めて焼成工程を複数回行う必要がある。CuOからCuOへの還元作用は、それらの焼成時における酸素濃度などの周囲の雰囲気条件によって影響を受けやすく、かつその還元度合いの制御が困難であるという性質を併せ持っている。その結果、PDP1を製造する際には、CuOの還元作用がより多く進行して青色発色が強い部分と、還元作用の進行が少なく緑色発色が強い部分とがPDP1面内に混在して着色度合いのバラツキが生じ、PDP1の画像表示時の輝度、色度の不均一が発生して画像表示品質を損なう。
このようなCuOの還元作用による着色バラツキを抑制するために、本発明の実施の形態では誘電体ガラスにCoOを加えている。CoOはCuOと同様に誘電体ガラスを青色に発色させる効果があるが、CoOを加えることで誘電体ガラスはより安定して青色発色させることが可能となり、PDP1の画像品質を高めることが可能となる。
また、その添加量についても最適値がある。CuOとCoOのモル%で表記した含有量の合計が0.03%〜0.3%の範囲であることが望ましい。0.03%を含有するだけで、上記の効果は現出するが、含有量の合計が0.3%を超えると、誘電体ガラスの青色発色が強すぎる結果となり、逆にPDP1の画像品質を劣化させてしまうこととなる。さらにCoOのみを添加した場合は、上記に述べた銀イオン(Ag)の還元作用を抑制できないだけでなく、誘電体層8の直線透過率が低下するという弊害も発生する。これに対して、CuOとCoOのモル%で表記した含有量の合計が0.3%以下であれば上記の青色発色は最適な範囲となり、PDP1の画像品質も良好となる。
そしてさらに、本発明の実施の形態においては、RO(RはLi、Na、Kから選ばれる1種類)のRが2種類以上含有するようにしている。これは以下の理由に基づいている。一般的なPDP1の前面ガラス基板3にはKOとNaOが多く含まれている。そして誘電体層8を550℃以上といった高温で焼成すると、誘電体ガラスに含まれるROと前面ガラス基板3に含まれるNaOとでアルカリ金属のイオン(Li、Na、K)の交換作用が起こる。
ところが、LiとNaとKではそれぞれ前面ガラス基板3の熱膨張係数への寄与が異なる。そのため、誘電体層8の焼成においてイオン交換が起こった場合、前面ガラス基板3の誘電体層8近傍の熱収縮量と、前面ガラス基板3の誘電体層8近傍以外の部分の熱収縮量とに差が生じ、その結果、誘電体層8を形成した前面ガラス基板3に大きく反りを発生させるといった課題がある。
ところが本発明の実施の形態のように、ROが2種類以上含まれると上記の交換作用が起こったとしても、熱収縮量に差が生じにくく、前面ガラス基板3の反りを低減することができる。この結果、誘電体ガラスに含まれるBiのモル%で表現した量を5%以下に低減させることが可能となり、かつ前面ガラス基板3の反りも低減させることが可能となった。
また、ROとして添加する酸化物としては、KOは必ず含み、かつLiOあるいはNaOのいずれかまたはその両者を含むことが望ましい。これによって、イオン交換が生じたとしても前面ガラス基板3の熱膨張係数が大きく変化することはなく、その結果、誘電体層8を形成した前面ガラス基板3が大きく反ることを防ぐことができる。
特に、誘電体ガラスに含まれるKOのモル%で表現される含有量が、誘電体ガラスに含まれるLiOとNaOのモル%で表現される含有量の合計よりも多くすることで、前面ガラス基板3の熱膨張係数の変化を確実に抑制して、前面ガラス基板3が大きく反ることを抑制することができる。
このように、ROは誘電体ガラスの軟化点を下げることが可能である。一方で、ROで表されるアルカリ金属の酸化物は、表示電極6を構成する銀電極から拡散される銀イオン(Ag)の還元作用を促進する。その結果、銀(Ag)のコロイドがより多く形成され、誘電体層8の着色や気泡の発生という現象が起こり、PDP1の画像品質の劣化や誘電体層8の絶縁不良の発生に至るという課題がある。
次に、MoOの添加について述べる。上述したように本発明の実施の形態では、銀(Ag)のコロイドの発生を抑制するためにMoOを添加している。Biを含む誘電体ガラスにMoOを添加することによって、AgMoO、AgMo、AgMo13、といった安定な化合物が580℃以下の低温で生成しやすいことが知られている。
本発明の実施の形態では、誘電体層8の焼成温度が550℃〜590℃であることから、焼成中に誘電体層8中に拡散した銀イオン(Ag)は誘電体層8中のMoOと反応し、安定な化合物を生成して安定化する。すなわち、銀イオン(Ag)が還元されることなく安定化されるために、凝集した銀(Ag)のコロイドを生成することがない。したがって、銀(Ag)のコロイドの生成に伴う酸素の発生も少なくなるため、誘電体層8中への気泡の発生も少なくなる。なおMoOの代わりにWOやCeOやMnOといった組成を加えても同様の効果を期待することができる。
また、MoOはモル%で表記した含有量が0.1%以上、2%以下であることが望ましい。0.1%以上含有することで、気泡数および黄変度合いが良化するが、2%以上となると誘電体ガラスの焼成時に誘電体ガラスが結晶化を起こしやすくなり、その結果、誘電体ガラスが白濁化して透明性を保てなくなり、可視光透過率が低下してPDP1の画像品質を劣化させる。2%以下であれば、結晶化は起こりにくく、PDP1の画像品質を劣化させることはない。
以上のように、本発明の実施の形態におけるPDP1の誘電体層8は、上記の構成とすることで、銀(Ag)材料よりなる金属バス電極4b、5bと接しても黄変現象と気泡発生を抑制し、なおかつ高い光透過率と均一な誘電体ガラスの着色を可能として、さらに前面ガラス基板3の反りの抑制を実現している。その結果、誘電体層8が複数層で構成されながらも、同一組成の材料とすることができるため、気泡や黄変の発生を抑制し、高透過率を維持しつつも、製造コストを低減させたPDP1を実現することが可能となる。
(実施例)
本発明の実施の形態におけるPDP1として、放電セルとして42インチクラスのハイビジョンテレビに適合するように、隔壁14の高さを0.15mm、隔壁14の間隔(セルピッチ)を0.15mm、表示電極6の電極間距離を0.06mmとし、放電ガスとしてキセノン(Xe)の含有量が15体積%のネオン(Ne)−キセノン(Xe)系の混合ガスを封入圧60kPaに封入したPDP1を作製してその性能を評価した。
表1に示す材料組成の誘電体ガラスを作製し、これらの誘電体ガラスから構成された異なるプロセスで作製される下層誘電体層8a、上層誘電体層8bからなる誘電体層8を含むPDP1を作製した。また、表1内に示したガラス組成の項目である「その他」とは、酸化亜鉛(ZnO)、酸化硼素(B)、酸化硅素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)など、鉛成分を含まない材料組成である。これら材料の含有量には特に限定はないが、従来技術程度の材料組成の含有量範囲である。
また比較例1として、従来技術で用いられている誘電体ガラス組成、すなわちBaO、KO、NaO、CoOおよびCuOを含有しない材料を用いて下層誘電体層8a、上層誘電体層8bを異なる工法によって形成した試料を作製した。同じく比較例2として、従来技術で用いられる誘電体ガラス組成、すなわちCaO、KO、NaO、CoO、CuOおよびMoOを含有しない材料を用いて下層誘電体層8a、上層誘電体層8bを異なる工法によって形成した試料を作製した。すなわち、比較例1と比較例2において下層誘電体層8aと上層誘電体層8bとはガラス組成が同一であり、それぞれの膜厚は実施例1と同じである。また、比較例3は、下層誘電体層8aと上層誘電体層8bの材料組成を異ならせ、さらに下層誘電体層8a、上層誘電体層8bを異なる工法によって形成した試料である。
そして表1に示される誘電体ガラスから構成されるPDPの特性を評価するために、以下の項目について評価を行った。その評価結果を表2に示す。
Figure 2009146888
Figure 2009146888
まず、前面板2の透過率を、ヘイズメーターを用いて測定した。測定については、前面ガラス基板3の透過率と、走査電極4など他の部位の影響を差し引いて誘電体層8の実際の透過率とし、その直線成分である直線透過率を用いて比較した。なお、PDP1における誘電体層8の直線透過率は70%以上であることが望ましく、70%以下となればPDP1の輝度が低下してしまうため好ましくない。
また、銀(Ag)による黄変の度合いを色彩計(コニカミノルタセンシング株式会社;CR−300)で測定し、黄色の度合いを示すb*値を測定した。またb*値はPDP1の面内9点を測定して平均値と最大値によって比較した。その結果を同じく表2に示す。なお、黄変がPDP1の表示性能に影響を与えるb*値の目安は3以下であり、この値が大きければ大きいほど黄変が目立ちPDP1として色温度が低下し好ましくない。
次に、誘電体層8の着色度を評価するため、前面板2の透過率の波長依存性を、分光測色計(コニカミノルタセンシング株式会社;CM−3600)を用いて測定した。測定については、前面ガラス基板3の透過率と走査電極4など他の部位の影響を差し引いて、誘電体層8の実際の透過率とし、透過率の波長依存性として550nmの透過率から660nmの透過率を引いた値を比較対象とした。なお、PDP1における上記透過率の波長依存性は2%以下であることが望ましく、2%以上となれば発光の白色度が低下してしまうため好ましくない。
さらに、誘電体ガラスの基板への影響として、前面ガラス基板3の反りを評価するため、偏光歪み計を用いて前面ガラス基板3の残留応力を測定した。偏光歪み計を用いると、誘電体層8のガラス成分による歪みが原因となる前面ガラス基板3に存在している残留応力を測定することができる。
測定した残留応力は前面ガラス基板3に圧縮応力が存在していれば、(+)の値、前面ガラス基板3に引張応力が存在していれば(−)の値として表2に示した。なお、PDP1における上記残留応力は(+)であれば、誘電体層8には逆に引張応力が発生していることとなり、誘電体層8の強度が低下することになる。よってPDP1における上記残留応力は(−)であることが望ましい。
また、誘電体層8の絶縁耐圧試験として、作製したPDP1の表示電極6に電圧を印加して、誘電体層8が絶縁破壊を起こした枚数を計測した。なお、表2に示した枚数は、表1の材料組成の誘電体ガラスを作製し、これらの誘電体ガラスから構成された誘電体層8を有するPDP1を100枚作製してその内の誘電体層8が絶縁破壊現象を起こした枚数である。
表2の結果より、比較例1の直線透過率は70%を満たしておらず、これはBaOを含有していないためであると考えられる。また、比較例2のb*値は高く黄変度合いが大きい。これはCaOやCuO、CoOを含有していないためと考えられる。
そして比較例1、比較例2とも残留応力の値が高いが、これはKOを含有していないためと考えられる。一方、比較例3では透過率、黄変も良好な値であるが、下層誘電体層8aと上層誘電体層8bの材料が異なるため、本実施の形態の発明の効果である製造コストの低下を達成し得ない。また比較例1、2、3ではいずれも誘電体層8の耐圧試験で絶縁破壊現象が生じている。
これらに対して、本発明の実施の形態における実施例1では、直線透過率、黄変、波長依存性、残留応力、耐圧試験の全ての項目で良好な結果を得ていることがわかる。
次に、各誘電体ガラス組成の影響を調べるために、比較例として誘電体ガラス組成の異なる誘電体層8を有するPDP1を作製し、透過率、黄変の度合い、透過率の波長依存性、および基板の反りについて評価を行った。これらの誘電体ガラス組成を表3に、その誘電体ガラス組成による誘電体層8を有するPDP1の評価結果を表4に示す。
Figure 2009146888
Figure 2009146888
以下、表4における比較例4〜14の結果について説明する。表3に示すように、比較例6にはBaOが含まれず、比較例12はMoOの含有量が多過ぎ、比較例13はCuOが含まれていない。そのために、表4に示すように直線透過率が70%に満たない結果となっている。
また、BaOの含有量が多い比較例7では、直線透過率は82.7%と高いものの、b*値が5.6と高くなってしまい好ましくない。
また、CaOの含有がない比較例8は、b*値の平均値は2.6であり、3.0以下とはなるが、最大値が3.4とバラツキが大きくなってしまい好ましくない。
また、CoOとCuOの合計の含有量が0.5%と多い比較例9では、透過率波長依存性の値が3.1%と大きくなり好ましくない。
さらに、KOを含まない比較例10や、KOがNaOとLiOの合計よりも少ない比較例11では残留応力が(+)となり好ましくない。
さらに、CoOとCuOを含まない比較例14では、b*値の値が大きくなって不適である。
一方、本発明の実施の形態におけるPDP1の誘電体層8を構成する誘電体ガラス組成の範囲内となる比較例4、5では、表4に示すように好ましい評価結果を得ている。したがって、このような誘電体ガラス組成とすることにより、誘電体層8として可視光直線透過率が高く、黄変が少なく、かつ、基板の反りを抑制できる鉛(Pb)成分を含まない環境に優しいPDP1を実現することができる。
次に、Biの含有量とROの含有量に対する黄変の度合いについて検討した実施例について述べる。
Figure 2009146888
表5では、各誘電体ガラス組成の影響を調べるために、比較例として誘電体ガラス組成の異なる誘電体層を有するPDP1を作製し、その組成と評価した結果を示す。なお、同表の誘電体ガラス組成はBiの含有量、ROの含有量および表1における「その他」の含有量のみが異なり、これら以外の組成を同一にした場合の結果を示す。
なお、表5中の比較例15、16、17は本発明の実施の形態の範囲内にある材料組成であり、比較例18、19は範囲外の材料組成である。
表5に示すように、比較例18はBiを含まないが、ROを多く含んでいるためb*値が5.1と大きい。また、比較例19はBiを含むが、ROを含まないためにb*値が7.0と大きくなっていることがわかる。
一方、比較例15、16、17では、BiとROを本発明の実施の形態とすることにより評価結果も全て好ましい結果となっている。なお、ROの含有量についてその下限値を検討したところ、1%以上含有することによって、誘電体ガラスの軟化点を下げつつ、基板となるガラス基板の反りを抑制できることを確認している。
以上のように、本発明の実施の形態におけるPDP1の誘電体層8を、複数層で構成しながら同一組成の材料とすることで、銀(Ag)材料よりなる金属バス電極4b、5bと接しても黄変現象と気泡発生を抑制し、なおかつ高い光透過率と均一な誘電体ガラスの着色を可能として、さらに前面ガラス基板3の反りの抑制を実現している。
以上述べてきたように、本発明のPDPは、誘電体層の黄変やガラス基板の反りがなく、さらに、環境に優しく表示品質に優れたPDPを、製造コストを抑えて実現することができるため大画面の表示デバイスなどに有用である。
本発明の実施の形態におけるPDPの構造を示す斜視図 同PDPの誘電体層の構成を示す前面板の断面図
符号の説明
1 PDP
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a,5a 透明電極
4b,5b 金属バス電極
5 維持電極
6 表示電極
7 ブラックストライプ(遮光層)
8 誘電体層
8a 下層誘電体層
8b 上層誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間

Claims (7)

  1. 基板上に少なくとも表示電極と誘電体層とが形成された前面板と、基板上に電極と隔壁と蛍光体層が形成された背面板とを対向配置するとともに周囲を封着して放電空間を形成したプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層を複数層で構成するとともに前記誘電体層の各層を同一材料で構成し、前記誘電体層にはCaOとBaOを含有し、前記CaOのモル%で表現される含有量が、前記BaOのモル%で表現される含有量よりも多いことを特徴とすることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記誘電体層が、Biと、2種類以上のRO(RはLi、Na、Kから選ばれる1種類)と、CoOと、CuOとを含有することを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記CuOと前記CoOとのモル%で表現される含有量の合計が0.3%以下であることを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記誘電体層がKOと1種類以上のRO(RはLi、Naから選ばれる少なくとも1種類)を含むことを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記KOのモル%で表現される含有量が、前記ROのモル%で表現される含有量の合計よりも多いことを特徴とする請求項4記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 前記誘電体層がMoOを含有し、前記MoOのモル%で表現される含有量が2%以下であることを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
  7. 前記Biのモル%で表現される含有量が5%以下であることを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイパネル。
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