JP2010205641A - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents
プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010205641A JP2010205641A JP2009051713A JP2009051713A JP2010205641A JP 2010205641 A JP2010205641 A JP 2010205641A JP 2009051713 A JP2009051713 A JP 2009051713A JP 2009051713 A JP2009051713 A JP 2009051713A JP 2010205641 A JP2010205641 A JP 2010205641A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- dielectric layer
- glass
- dielectric
- temperature
- sintering
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
Abstract
【課題】本発明は、高精細表示でも、高輝度、高信頼性を確保し、さらに環境問題に配慮したPDPを実現することを目的としている。
【解決手段】本発明のPDPの製造方法は、一方の基板上に表示電極と誘電体層とを形成する工程と、他方の基板上に電極と隔壁と蛍光体層とを形成する工程と、両基板を対向配置するとともに周囲を封着する工程とを有するPDPの製造方法であって、誘電体層を形成する工程では、ガラス成分を含む誘電体ペーストを前面板に塗布する工程と、塗布した前記誘電体ペーストを焼成する工程を有し、かつ焼成する工程ではガラス成分の焼結開始温度よりも低い温度で保持するステップを含むことを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】本発明のPDPの製造方法は、一方の基板上に表示電極と誘電体層とを形成する工程と、他方の基板上に電極と隔壁と蛍光体層とを形成する工程と、両基板を対向配置するとともに周囲を封着する工程とを有するPDPの製造方法であって、誘電体層を形成する工程では、ガラス成分を含む誘電体ペーストを前面板に塗布する工程と、塗布した前記誘電体ペーストを焼成する工程を有し、かつ焼成する工程ではガラス成分の焼結開始温度よりも低い温度で保持するステップを含むことを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネルとその製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、100インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、PDPは従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフィニションテレビへの適用が進んでいるとともに、環境問題に配慮して鉛成分を含まないPDPも製品化されている。
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、この表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、この誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とで構成されている。一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色および青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にNe−Xeの放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入されている。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
表示電極のバス電極には導電性を確保するための銀電極が用いられ、誘電体層としては酸化鉛を主成分とする低融点ガラスが用いられているが、近年の環境問題への配慮から誘電体層として鉛成分を含まない例が開示されている(例えば、特許文献1、2、3、4など参照)。
特開2003−128430号公報
特開2002−053342号公報
特開2001−045877号公報
特開平9−050769号公報
近年、PDPは従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフィニションテレビへの適用が進んでいる。
このようなハイビジョン化によって、走査線数が増加して表示電極の数が増加し、さらに表示電極間隔が小さくなる。そのため、表示電極を構成する銀電極から誘電体層やガラス基板への銀イオンの拡散が多くなる。銀イオンが誘電体層やガラス基板に拡散すると、誘電体層中のアルカリ金属イオンやガラス基板中に含まれる2価のスズイオンによって還元作用を受け、銀のコロイドを形成する。その結果、誘電体層やガラス基板が、黄色や褐色により強く着色するとともに、酸化銀が還元作用を受けて酸素を発生して誘電体層中に気泡を発生させる。
したがって、走査線の数が増加することによって、ガラス基板の黄変や誘電体層中の気泡発生がより顕著になり、画像品質を著しく損なうとともに誘電体層の絶縁不良を発生させる。
本発明は、このような上記の課題を解決して、高精細表示でも、高輝度、高信頼性を確保し、さらに環境問題に配慮したPDPを実現することを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明のPDPの製造方法は、一方の基板上に表示電極と誘電体層とを形成する工程と、他方の基板上に電極と隔壁と蛍光体層とを形成する工程と、両基板を対向配置するとともに周囲を封着する工程とを有するPDPの製造方法であって、誘電体層を形成する工程では、ガラス成分を含む誘電体ペーストを前面板に塗布する工程と、塗布した前記誘電体ペーストを焼成する工程を有し、かつ焼成する工程ではガラス成分の焼結開始温度よりも低い温度で保持するステップを含むことを特徴とする。
ここで、ガラス成分の焼結開始温度よりも低い温度で保持するステップの保持する時間は、基板の面内温度差が±5℃以下となる時間であってもよい。また誘電体ペーストを焼成する工程において、ガラス成分を焼結するガラス焼結ゾーンを有し、ガラス焼結ゾーンでは入口温度が出口温度よりも5℃以上低くてもよい。
また本発明のPDPは、基板上に表示電極と誘電体層とを形成した前面板と、基板上に電極と隔壁と蛍光体層とを形成した背面板とを対向配置するとともに周囲を封着して放電空間を形成したPDPであって、誘電体層を形成する工程では、ガラス成分を含む誘電体ペーストを前面板に塗布する工程と、塗布した誘電体ペーストを焼成する工程を有し、かつ焼成する工程ではガラス成分の焼結開始温度よりも低い温度で保持するステップを含み、かつ誘電体層の焼成後の表面粗さRaが0.18μm〜0.28μmであることを特徴とする。ここで、誘電体層のBi2O3のモル%で表現される含有量が5%以下であってもよい。
本発明は以上のような構成によって、誘電体層の絶縁信頼性が高くて環境に優しい表示品質に優れたPDPを実現することができる。
以上のように、本発明によれば、高精細表示においても、高輝度、高信頼性を確保し、さらに環境問題に配慮したPDPを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態におけるPDPについて図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態におけるPDPの構造を示す斜視図である。PDPの基本構造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面板10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたPDP1内部の放電空間16には、NeおよびXeなどの放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入されている。
図1は本発明の実施の形態におけるPDPの構造を示す斜視図である。PDPの基本構造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面板10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたPDP1内部の放電空間16には、NeおよびXeなどの放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入されている。
前面板2の前面ガラス基板3上には、走査電極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7とを覆うようにコンデンサとしての働きをする誘電体層8が形成され、さらにその表面に酸化マグネシウム(MgO)などからなる保護層9が形成されている。
また、背面板10の背面ガラス基板11上には、前面板2の走査電極4および維持電極5と直交する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層13が被覆している。さらに、アドレス電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14間の溝にアドレス電極12毎に、紫外線によって赤色、青色および緑色にそれぞれ発光する蛍光体層15が順次塗布して形成されている。走査電極4および維持電極5とアドレス電極12とが交差する位置に放電セルが形成され、表示電極6方向に並んだ赤色、青色、緑色の蛍光体層15を有する放電セルがカラー表示のための画素になる。
次に、PDPの製造方法について説明する。まず、前面ガラス基板3上に、走査電極4および維持電極5と遮光層7とを形成する。走査電極4および維持電極5は、銀材料を含み導電性を確保するための白色電極4b、5bと、画像表示面のコントラストを向上するため黒色顔料を含む黒色電極4a、5aとで構成される。いずれもこれらの材料を含むペーストをスクリーン印刷法等によってガラス基板全面に塗布した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することにより形成される。図2は前面板2の部分断面図である。
次に、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペーストをダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層(誘電体材料層)を形成する。誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することによって塗布された誘電体ペースト表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成固化することにより、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆う誘電体層8が形成される。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料、バインダおよび溶剤を含む塗料である。次に、誘電体層8上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層9を真空蒸着法により形成する。以上の工程により前面ガラス基板3上に所定の構成物(走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘電体層8、保護層9)が形成され、前面板2が完成する。
一方、背面板10は次のようにして形成される。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極12用の構成物となる材料層を形成し、それを所望の温度で焼成することによりアドレス電極12を形成する。次に、アドレス電極12が形成された背面ガラス基板11上にダイコート法などによりアドレス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより下地誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料とバインダおよび溶剤を含んだ塗料である。
次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成した後、焼成することにより隔壁14を形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布した隔壁用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法を用いることができる。次に、隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成することにより蛍光体層15が形成される。以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電極12とが直交するように対向配置して、その周囲をガラスフリットで封着し、放電空間16にNe、Xeなどを含む放電ガスを封入することによりPDP1が完成する。
次に、前面板2の誘電体層8について詳細に説明する。前述したように、誘電体層は、高耐電圧を要求されるが、一方で高光透過率を有することを要求される。この特性は誘電体層に含まれるガラス成分の組成に大きく左右される。
従来、このような誘電体層を形成する方法として、ガラス粉体成分と樹脂を含む溶剤、可塑剤、分散剤などから成るバインダ成分で構成されたペーストをスクリーン印刷法やダイコート法などを用いて、電極を形成した前面ガラス基板上に塗布し、乾燥後450℃から600℃程度で焼成する方法や、前記ペーストをフィルム上に塗布、乾燥して、電極を形成した前面板に転写し、450℃から600℃程度で焼成する方法が知られている。
これまでは、前記450℃から600℃程度での焼成を可能にするために、誘電体層に含まれるガラス成分には20重量%以上の酸化鉛が含まれていたが、近年、環境への配慮のため、ガラス中に酸化鉛を含有せず、0.5から40重量%程度のBi2O3を含有している。
本発明の実施の形態では誘電体層8のガラス材料としては、Bi2O3とCaOとBaOと2種類以上のR2O(RはLi、Na、Kから選ばれる少なくとも1種類)とCoOとCuOとMoO3を含有するガラス材料によって構成されている。
また、上記ガラス材料はCaOのモル%で表現される含有量が前記誘電体層のガラス材料のBaOのモル%で表現される含有量よりも多く含まれる。そして、上記ガラス材料はCuOとCoOのモル%で表現される含有量の合計が0.3%以下である。さらに上記ガラス材料はK2Oと1種類以上のR2O(RはLi、Naから選ばれる少なくとも1種類)を含む。さらに上記ガラス材料に含まれるK2Oのモル%で表現される含有量が上記のガラス材料のLi2OとNa2Oのモル%で表現される含有量の合計よりも多く含む。さらに上記ガラス材料に含まれるMoO3のモル%で表現される含有量が2%以下である。さらに上記ガラス材料に含まれるBi2O3のモル%で表現される含有量が5%以下である。
これらの組成成分からなる誘電体材料を、湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径が0.5μm〜3.0μmとなるように粉砕して誘電体材料粉末を作製する。次にこの誘電体材料粉末50重量%〜65重量%と、バインダ成分35重量%〜50重量%とを三本ロールでよく混練してダイコート用あるいは印刷用の誘電体層用ペーストを作製する。
バインダ成分はエチルセルロースあるいはアクリル樹脂1重量%〜20重量%を含むターピネオールあるいはブチルカルビトールアセテートである。また、ペースト中には、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチルを添加し、分散剤としてグリセロールモノオレート、ソルビタンセスキオレヘート、ホモゲノール(Kaoコーポレーション社製品名)、アルキルアリル基のリン酸エステルなどを添加して印刷性を向上させてもよい。
次に、この誘電体層用ペーストを用い、表示電極6を覆うように前面ガラス基板3にダイコート法あるいはスクリーン印刷法で印刷して乾燥させ、その後、誘電体ガラスを焼結誘電体材料の軟化点より少し高い温度の550℃〜590℃で焼成する。
なお、誘電体層8の膜厚が小さいほどパネル輝度の向上と放電電圧を低減するという効果は顕著になるので、絶縁耐圧が低下しない範囲内であればできるだけ膜厚を小さく設定するのが望ましい。このような条件と可視光透過率の観点から、本発明の実施の形態では、誘電体層8の膜厚を41μm以下に設定している。
ここから、本発明の実施形態における誘電体層8の焼成方法について詳しく説明する。誘電体ペーストに含まれるガラス材料の焼成温度は、ガラスの軟化点が目安にされることがある。しかしながら、ガラスはその組成成分により、軟化点付近での粘度特性が異なることがある。また、ガラス粉末の粒度分布により軟化状態が異なるため、実際の焼成状態の目安として必ずしも最適であるとは言えない。
そこで、本発明の実施形態では、ペースト化する前のガラス粉末を用いてDTA測定を行い、焼結開始温度を新たに定義した。そのDTA測定結果とその時のガラス粉末の変化を図3に示す。図3(a)はDTAの測定結果を示し、同図(b)はガラス粉末の変化を模式的に断面図として示した。
通常、ガラス粉末のDTA測定では、第1の吸熱ピーク部分はガラス転移に伴う吸熱でありガラス転移温度として定義される(図中「ガラス転移点」で示す)。次に第2の吸熱ピーク部分はガラスの軟化流動に伴う比熱の増大でありガラス軟化温度として定義される(図中「ガラス軟化点」で示す)。
さらに、発明者等が検討した結果、ガラス粉末のDTA測定の場合、第1ピークと第2ピークの間に第3の吸熱ピークが現れることが判明した。これは測定カプセル中で粉末が焼結を開始すると、粉末がカプセル中央部に偏っていくため、粉末とカプセル周囲の壁面の間に空気が入る。このとき、見かけ上の比熱が大きくなるためDTAチャートには吸熱ピークとして記録される。この温度を焼結開始温度として定義した(図中「焼結開始温度」で示す)。
図4にPDPの熱処理炉における、模式的なガラス基板の温度プロファイルを示す。横軸に時間、縦軸に温度を示しており、この温度はK熱電対を使用し、基板端の直角部より各30mm基板内に入った点を最端部の基準点とし、さらに最端部の4点を基準としてその間の4×5の面内計20点の基板ガラスの温度を測定した結果の平均値を示している。
同図に示したように、本発明の実施形態ではガラスの軟化点近傍で温度を保持しており、誘電体ガラスを焼結固化させるステップを焼結ゾーンと称する。このようにPDPの熱処理炉においては、ガラス焼結時の基板ガラスの温度分布の面内均一性を確保することが重要である。このため本発明の実施形態では、焼結ゾーン以降のステップでは、焼成炉内における被焼成基板の搬送方式を、連続搬送方式ではなく、各焼成炉ポジションをタクト搬送するタクト搬送方式としている。
また本発明の実施形態では、焼結ゾーンに移行する直前に被焼成基板搬送方向前後での被焼成基板面内温度をある一定温度に保持させるために、被焼成基板を待機させるステップを設けている。これを焼結待機ゾーンと称し、この部分の温度を焼結待機温度と呼ぶ。
この焼結待機ゾーンまでに、前面ガラス基板3上に塗布された誘電体ペースト中のバインダ成分は分解が終了し、誘電体ガラスのみの状態となっている。
ところが、焼結待機温度が、図3で述べた焼結開始温度よりも高い場合、焼結ゾーンに入る前に誘電体ガラスが焼結を開始してしまうことになる。このような状態では誘電体層がポーラスな状態が短くなってしまい、表示電極中の有機残渣や誘電体ガラス中の残留異物から発生するガスが、誘電体層の内部から抜けにくくなる。この結果、焼結ゾーンに入ってガラスが軟化して焼結膜となるときに、上記ガスが気泡として閉じ込められて誘電体層に残留し、結果として誘電体層の絶縁耐圧を低下させ、信頼性を低下させることになる。
そこで、本発明の実施形態では焼結待機温度は焼結開始温度よりも低くして、誘電体層がポーラスとなる時間を十分に確保し、ガスの残留を防止している。
次に、焼結ゾーンの入口温度と出口温度について述べる。本発明の実施形態では、図4に示す焼結ゾーンでの被焼成基板の温度を相対的に制御している。
具体的には焼結ゾーンの入口における被焼成基板の温度を出口の温度よりも5℃以上低くしている。焼結ゾーンの出口における被焼成基板の温度は、誘電体ペースト内のガラスの種類に応じて当該ガラス軟化点付近の温度を選択する。一方入口の温度は、先に述べたようにガスの残留を防止する観点から、出口での温度に対して5℃以上低くして焼成する。またこの差が5℃未満ではガス抜け性の向上が見られなかった。
また一方で、入口温度が低すぎる場合、誘電体ガラスの焼結の度合いが低下し(焼結不足となり)誘電体層の透過率が低下してしまうことも確認された。これに対し、発明者等が検討した結果、焼結の度合いは誘電体層の表面粗さRaと相関があることを見出した。そこで本発明の実施形態では、これを測定することで誘電体層の焼結度合いを評価する。
表面粗さRaの評価は小型表面粗さ測定機(ハンディサーフE−35A:東京精密)を使用し、基板面内40点を測定した平均値で評価した。誘電体層の透過率の観点から、表面粗さRaが0.28μmよりも大きい場合、焼結不足であると判断した。また一方でRaが0.18μmよりも小さい場合は、ガス抜け性が不十分であり気泡が誘電体層に残留し、絶縁信頼性が低下するため好ましくない。そこで本発明の実施形態では表面粗さRaが0.18μm以上0.28μm以下としている。
次に、Bi2O3の添加量ついて述べる。先に述べたように誘電体ガラスにおいて鉛成分の代替材料として、Bi2O3を加えているが、Bi2O3の添加量を増加させることで誘電体ガラスの軟化点を下げることができ、製造プロセスに様々な利点がある。しかしながら、Bi系の材料が高価であることから、Bi2O3の添加量を増加させることは、使用する原材料のコスト増加を招くことになる。
これに対して、本発明の実施の形態では誘電体ガラスに含まれるBi2O3のモル%で表現した量は5%以下に低減させることが可能となった。
以上のように、本発明の実施の形態におけるPDPの誘電体層8は、上記の構成とすることで、銀(Ag)材料よりなる白色電極4b、5bと接しても気泡発生を抑制し、なおかつ均一な誘電体ガラスの焼結を実現している。その結果、気泡の発生が極めて少なく絶縁信頼性の高いPDPを実現することが可能となる。
(実施例)
本発明の実施の形態におけるPDPとして、放電セルとして42インチクラスのハイビジョンテレビに適合するように、隔壁の高さを0.15mm、隔壁の間隔(セルピッチ)を0.15mm、表示電極の電極間距離を0.06mmとし、Xeの含有量が15体積%のNe−Xe系の混合ガスを封入圧60kPaに封入したPDPを作製した。そしてPDPの特性を評価するために以下の項目について評価を行った。その評価結果を表1に示す。
本発明の実施の形態におけるPDPとして、放電セルとして42インチクラスのハイビジョンテレビに適合するように、隔壁の高さを0.15mm、隔壁の間隔(セルピッチ)を0.15mm、表示電極の電極間距離を0.06mmとし、Xeの含有量が15体積%のNe−Xe系の混合ガスを封入圧60kPaに封入したPDPを作製した。そしてPDPの特性を評価するために以下の項目について評価を行った。その評価結果を表1に示す。
まず、誘電体層の表面粗さを上記手法により測定し、同前面板にてPDPを作製し、試料数20中での絶縁破壊発生数を測定した。焼成の条件は同表に示した焼結開始温度、待機温度によって行われた。
この結果からわかるように、比較例3では、待機温度が焼結開始温度よりも高いために絶縁破壊数が多くなっている。また比較例2は、焼結ゾーンの出口−入口での温度差が大きいために焼結不足となり表面粗さRaが大きくなり、結果として誘電体層の透過率が低下して画像表示装置として好ましくない。そして比較例1では、焼結ゾーンの出口−入口温度差が小さいために脱ガス性が低下し、絶縁破壊が発生している。
これらに対して、実施例1では、前記の要望を満たしているため評価結果もすべて好ましい。
以上のように、本発明の実施の形態におけるPDPによれば、誘電体層として絶縁信頼性が高くて、鉛(Pb)成分を含まない環境に優しいPDPを実現することができる。
以上述べてきたように、本発明のPDPは、誘電体層の絶縁信頼性が高く、さらに、環境に優しく表示品質に優れたPDPを実現して大画面の表示デバイスなどに有用である。
1 プラズマディスプレイパネル(PDP)
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a,5a 黒色電極
4b,5b 白色電極
5 維持電極
6 表示電極
7 ブラックストライプ(遮光層)
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a,5a 黒色電極
4b,5b 白色電極
5 維持電極
6 表示電極
7 ブラックストライプ(遮光層)
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
Claims (5)
- 一方の基板上に表示電極と誘電体層とを形成する工程と、他方の基板上に電極と隔壁と蛍光体層とを形成する工程と、前記両基板を対向配置するとともに周囲を封着する工程とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記誘電体層を形成する工程では、ガラス成分を含む誘電体ペーストを前面板に塗布する工程と、塗布した前記誘電体ペーストを焼成する工程を有し、
かつ前記焼成する工程では前記ガラス成分の焼結開始温度よりも低い温度で保持するステップを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 前記ガラス成分の焼結開始温度よりも低い温度で保持するステップの前記保持する時間は、前記基板の面内温度差が±5℃以下となる時間であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 前記誘電体ペーストを焼成する工程において、前記ガラス成分を焼結するガラス焼結ゾーンを有し、前記ガラス焼結ゾーンでは入口温度が出口温度よりも5℃以上低いことを特徴とする請求項1および請求項2に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 基板上に表示電極と誘電体層とを形成した前面板と、基板上に電極と隔壁と蛍光体層とを形成した背面板とを対向配置するとともに周囲を封着して放電空間を形成したプラズマディスプレイパネルであって、
前記誘電体層を形成する工程では、ガラス成分を含む誘電体ペーストを前面板に塗布する工程と、塗布した前記誘電体ペーストを焼成する工程を有し、
かつ前記焼成する工程では前記ガラス成分の焼結開始温度よりも低い温度で保持するステップを含み、かつ前記誘電体層の焼成後の表面粗さRaが0.18μm〜0.28μmであることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 前記誘電体層のBi2O3のモル%で表現される含有量が5%以下であることを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイパネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009051713A JP2010205641A (ja) | 2009-03-05 | 2009-03-05 | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009051713A JP2010205641A (ja) | 2009-03-05 | 2009-03-05 | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010205641A true JP2010205641A (ja) | 2010-09-16 |
Family
ID=42966922
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009051713A Pending JP2010205641A (ja) | 2009-03-05 | 2009-03-05 | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010205641A (ja) |
-
2009
- 2009-03-05 JP JP2009051713A patent/JP2010205641A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2007040120A1 (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP2007128855A (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP2007220329A (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP5233488B2 (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP5245224B2 (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP2008243522A (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP2010205641A (ja) | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 | |
JP5228821B2 (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP4329862B2 (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP2011165487A (ja) | プラズマディスプレイパネル誘電体層用のペースト、当該ペーストを用いたプラズマディスプレイパネル、および当該ペーストを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP2009283161A (ja) | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法および誘電体ペースト | |
JP2010027321A (ja) | プラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP2011171135A (ja) | プラズマディスプレイパネル誘電体層用のペースト、当該ペーストを用いたプラズマディスプレイパネル、および当該ペーストを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP2012174384A (ja) | プラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP2011165486A (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP2009283164A (ja) | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 | |
JP2011165365A (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP2010218702A (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP2011175885A (ja) | プラズマディスプレイパネル誘電体層用のペースト、当該ペーストを用いたプラズマディスプレイパネル、および当該ペーストを用いたプラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP2011204532A (ja) | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 | |
JP2009283162A (ja) | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法および誘電体ペースト | |
JP2010027320A (ja) | プラズマディスプレイパネルの製造方法 | |
JP2013073786A (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP2011014482A (ja) | プラズマディスプレイパネル | |
JP2009283163A (ja) | プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法および誘電体ペースト |