JP2011008927A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Shinsuke Yoshida
信介 吉田
Satoru Kawase
覚 河瀬
Kazuhiro Morioka
一裕 森岡
Naoto Haji
直人 土師
Yoshiyuki Ota
由士行 太田
Morio Fujitani
守男 藤谷
Hiroshi Ito
宏 伊藤
Tatsuo Mifune
達雄 三舩
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Abstract

【課題】本発明は、高信頼性を確保し、さらに環境問題に配慮したプラズマディスプレイパネルを実現することを目的としているものである。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明のプラズマディスプレイパネルは、一方の基板上に表示電極と誘電体層とが形成されたプラズマディスプレイパネルであって、前記前面板の前記誘電体層が、Bi23、K2O、Li2O、Na2O、SiO2およびB23を含有することを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネルに関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、100インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、PDPは従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフィニションテレビへの適用が進んでいるとともに、環境問題に配慮して鉛成分を含まないPDPも製品化されている。
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、この表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、この誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とで構成されている。一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色および青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にNe−Xeの放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入されている。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
表示電極のバス電極には導電性を確保するための銀電極が用いられ、誘電体層としては酸化鉛を主成分とする低融点ガラスが用いられているが、近年の環境問題への配慮から誘電体層として鉛成分を含まない例が開示されている(例えば、特許文献1など参照)。
特開2003−128430号公報
PDPにおける信頼性面での訴求事項の一つとして、PDPとしての高い強度を有することが挙げられる。とりわけ、製品における外部衝撃に対する前面板の強度は重要な信頼性面での評価項目となっており、前面板の外部衝撃に対する強度向上は重要な課題となっている。
本発明は、このような上記の課題を解決して、高信頼性を確保し、かつ環境問題に配慮したPDPを実現することを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明のPDPは、一方の基板上に表示電極と誘電体層とが形成されたPDPであって、誘電体層が、Bi23、K2O、Li2O、Na2O、SiO2およびB23を含有することを特徴とする。ここで誘電体層は、SiO2およびB23の重量%で表現される含有量の合計が、45%以上65%以下であってもよい。また誘電体層は、SiO2の重量%で表現される含有量が、B23の重量%で表現される含有量よりも多くてもよい。
以上のように、本発明によれば、高信頼性を確保し、さらに環境問題に配慮したPDPを実現することができる。
本発明の実施の形態におけるPDPの構造を示す斜視図 同PDPの前面板の構成を示す断面図
以下、本発明の実施の形態におけるPDPについて図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態におけるPDPの構造を示す斜視図である。PDPの基本構造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面板10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたPDP1内部の放電空間16には、NeおよびXeなどの放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入されている。
前面板2の前面ガラス基板3上には、走査電極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7とを覆うようにコンデンサとしての働きをする誘電体層8が形成され、さらにその表面に酸化マグネシウム(MgO)などからなる保護層9が形成されている。
また、背面板10の背面ガラス基板11上には、前面板2の走査電極4および維持電極5と直交する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層13が被覆している。さらに、アドレス電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14間の溝にアドレス電極12毎に、紫外線によって赤色、青色および緑色にそれぞれ発光する蛍光体層15が順次塗布して形成されている。走査電極4および維持電極5とアドレス電極12とが交差する位置に放電セルが形成され、表示電極6方向に並んだ赤色、青色、緑色の蛍光体層15を有する放電セルがカラー表示のための画素になる。
図2は、本発明の実施の形態におけるPDPの誘電体層8の構成を示す前面板2の断面図である。図2は図1と上下反転させて示している。図2に示すように、フロート法などにより製造された前面ガラス基板3に、走査電極4と維持電極5よりなる表示電極6とブラックストライプ7がパターン形成されている。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO2)などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a、5a上に形成された金属バス電極4b、5bとにより構成されている。金属バス電極4b、5bは透明電極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目的として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする導電性材料によって形成されている。
誘電体層8は、前面ガラス基板3上に形成されたこれらの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bとブラックストライプ7を覆って設けられ、誘電体層8上に保護層9を形成している。
次に、PDPの製造方法について説明する。まず、前面ガラス基板3上に、走査電極4および維持電極5と遮光層7とを形成する。これらの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bは、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングして形成される。透明電極4a、5aは薄膜プロセスなどを用いて形成され、金属バス電極4b、5bは銀(Ag)材料を含むペーストを所望の温度で焼成して固化している。また、遮光層7も同様に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料をガラス基板の全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することにより形成される。
次に、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペーストをダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層(誘電体材料層)を形成する。誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することによって塗布された誘電体ペースト表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成固化することにより、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆う誘電体層8が形成される。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料、バインダおよび溶剤を含む塗料である。次に、誘電体層8上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層9を真空蒸着法により形成する。以上の工程により前面ガラス基板3上に所定の構成物(走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘電体層8、保護層9)が形成され、前面板2が完成する。
一方、背面板10は次のようにして形成される。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極12用の構成物となる材料層を形成し、それを所望の温度で焼成することによりアドレス電極12を形成する。次に、アドレス電極12が形成された背面ガラス基板11上にダイコート法などによりアドレス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより下地誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料とバインダおよび溶剤を含んだ塗料である。
次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成した後、焼成することにより隔壁14を形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布した隔壁用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法を用いることができる。次に、隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成することにより蛍光体層15が形成される。以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電極12とが直交するように対向配置して、その周囲をガラスフリットで封着し、放電空間16にNe、Xeなどを含む放電ガスを封入することによりPDP1が完成する。
次に、前面板2の誘電体層8について詳細に説明する。前述したように、誘電体層は、高耐電圧を要求されるが、一方で高光透過率を有することを要求される。この特性は誘電体層に含まれるガラス成分の組成に大きく左右される。
従来、このような誘電体層を形成する方法として、ガラス粉体成分と樹脂を含む溶剤、可塑剤、分散剤などから成るバインダ成分で構成されたペーストをスクリーン印刷法やダイコート法などを用いて、電極を形成した前面ガラス基板上に塗布し、乾燥後450℃から600℃程度で焼成する方法や、前記ペーストをフィルム上に塗布、乾燥して、電極を形成した前面板に転写し、450℃から600℃程度で焼成する方法が知られている。
これまでは、前記450℃から600℃程度での焼成を可能にするために、誘電体層に含まれるガラス成分には20重量%以上の酸化鉛が含まれていたが、近年、環境への配慮のため、ガラス中に酸化鉛を含有せず、0.5から40重量%程度のBi23を含有している。
また本発明の実施の形態では、誘電体層8のガラス材料としては、Bi23、K2O、Li2O、Na2O、SiO2およびB23を含有することを特徴とする。ここで誘電体層8は、SiO2およびB23の重量%で表現される含有量の合計が、45%以上65%以下であることが望ましく、またSiO2の重量%で表現される含有量が、B23の重量%で表現される含有量よりも多いことが望ましい。
これらの組成成分からなる誘電体材料を、湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径が0.5μm〜3.0μmとなるように粉砕して誘電体材料粉末を作製する。次にこの誘電体材料粉末50重量%〜65重量%と、バインダ成分35重量%〜50重量%とを三本ロールでよく混練してダイコート用あるいは印刷用の誘電体層用ペーストを作製する。
バインダ成分はエチルセルロースあるいはアクリル樹脂1重量%〜20重量%を含むターピネオールあるいはブチルカルビトールアセテートである。また、ペースト中には、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチルを添加し、分散剤としてグリセロールモノオレート、ソルビタンセスキオレヘート、ホモゲノール(Kaoコーポレーション社製品名)、アルキルアリル基のリン酸エステルなどを添加して印刷性を向上させてもよい。
次に、この誘電体層用ペーストを用い、表示電極6を覆うように前面ガラス基板3にダイコート法あるいはスクリーン印刷法で印刷して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の575℃〜590℃で焼成する。
なお、誘電体層8の膜厚が小さいほどパネル輝度の向上と放電電圧を低減するという効果は顕著になるので、絶縁耐圧が低下しない範囲内であればできるだけ膜厚を小さく設定するのが望ましい。このような条件と可視光透過率の観点から、本発明の実施の形態では、誘電体層8の膜厚を41μm以下に設定している。
本発明の実施の形態ではこのような上記の構成を有することで、高精細表示でも、高輝度、高信頼性を確保し、さらに環境問題に配慮したPDPを実現することができる。
本発明の実施の形態において、誘電体層8を上記の構成とする理由は以下の通りである。誘電体層8の材料としては、SiO2などの4価の元素は誘電体ガラスの架橋構造を形成している主要素である。また、誘電体層8のガラス材料として、B23を加えており、B23は3価であるが、これもまたSiO2同様に、誘電体ガラスの架橋構造を形成している主要素である。本発明の実施の形態のようにSiO2とB23の重量%で表現される合計の含有量が45%以上にすることで、4価の元素が増大することにより、ガラスの架橋点が3から4となり誘電体ガラスの架橋構造がさらに強固になるため外部からの衝撃に対して高い強度を有する効果が期待できる。かつSiO2の重量%で表現される含有量がB23の重量%で表現される量よりも多いことでその効果の増大が期待できる。一方SiO2の重量%で表現される含有量が65%よりも大きくすると誘電体ガラスの焼成温度が高くなり好ましくない。
(実施例)
本発明の実施の形態におけるPDPとして、放電セルとして42インチクラスのハイビジョンテレビに適合するように、隔壁の高さを0.15mm、隔壁の間隔(セルピッチ)を0.15mm、表示電極の電極間距離を0.06mmとし、Xeの含有量が15体積%のNe−Xe系の混合ガスを封入圧60kPaに封入したPDPを作製してその性能を評価した。
表1に示す材料組成の誘電体ガラスを作製し、これらの誘電体ガラスから構成される誘電体層を含むPDPを作製し、以下の項目について評価を行った。ここで、表1内に示した材料組成の項目である「その他」とは、酸化硼素(B23)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ビスマス(Bi23)など、鉛成分を含まない材料組成であり、これら材料組成の含有量は特に限定はなく、従来技術程度の材料組成の含有量範囲である。
Figure 2011008927
誘電体ガラスの外部からの衝撃に対する強度を評価するために、PDP上に500gの鋼球を落下し、PDPが割れた高さの測定を行った(以下、鋼球落下試験とする)。ここでは比較例2の結果を1として相対値を示しており、1より大きくなる方が鋼球落下試験で良好な結果が得られたことになる。
表1における比較例1、2はそれぞれSiO2とB23の重量%で表現される合計の含有量が45%以上に満たないといった原因のため鋼球落下試験の際に低い高さでPDPが割れてしまい、好ましくない。一方、実施例1は、SiO2とB23の重量%で表現される合計の含有量が45%以上かつ、SiO2の含有量がB23の含有量よりも高いため、鋼球落下試験の際にパネルが割れる高さが高く、好ましい結果を示した。また、比較例3においては、SiO2とB23の重量%で表現される合計の含有量が45%以上であるが、SiO2の重量%で表される量がB23の重量%で表される含有量よりも低いために実施例1にくらべ強度が低い結果を示した。
以上のように、本発明の実施の形態におけるPDPによれば、誘電体層として外部からの衝撃に強い高信頼性を有するPDPを実現することができる。
以上述べてきたように、本発明のPDPは、強度の高い高信頼性を有するPDPを実現して大画面の表示デバイスなどに有用である。
1 PDP
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a,5a 透明電極
4b,5b 金属バス電極
5 維持電極
6 表示電極
7 ブラックストライプ(遮光層)
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間

Claims (3)

  1. 一方の基板上に表示電極と誘電体層とが形成されたプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層が、Bi23、K2O、Li2O、Na2O、SiO2およびB23を含有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記誘電体層は、SiO2およびB23の重量%で表現される含有量の合計が、45%以上65%以下であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記誘電体層は、SiO2の重量%で表現される含有量が、B23の重量%で表現される含有量よりも多いことを特徴とする請求項1、2記載のプラズマディスプレイパネル。
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