JP2010027475A - プラズマディスプレイパネル、誘電体ペーストおよび誘電体ペーストの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル、誘電体ペーストおよび誘電体ペーストの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高精細表示でも、高輝度、高信頼性、高強度を確保し、さらに環境問題に配慮したプラズマディスプレイパネルを実現することを目的としている。
【解決手段】本発明のプラズマディスプレイパネルは、基板上に表示電極と誘電体層とが形成された前面板と、基板上に隔壁とが形成された背面板とを対向配置して放電空間を形成したPDPであって、誘電体層が、異なる組成からなる複数のガラス材料を粉砕したガラス材料粉末を混合して形成され、異なる組成からなる複数のガラス材料の内、少なくとも2つのガラス材料に同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネル、およびそれに用いる誘電体ペーストさらにその誘電体ペーストの製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPとする)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、100インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、PDPは従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフィニションテレビへの適用が進んでいるとともに、環境問題に配慮して鉛成分を含まないPDPも製品化されている。
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法による硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、この表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、この誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とで構成されている。一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色および青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にNe−Xeの放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入されている。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
表示電極のバス電極には導電性を確保するための銀電極が用いられ、誘電体層としては酸化鉛を主成分とする低融点ガラスが用いられているが、近年の環境問題への配慮から誘電体層として鉛成分を含まない例が開示されている(例えば、特許文献1、2、3、4など参照)。
特開2003−128430号公報 特開2002−053342号公報 特開2001−045877号公報 特開平9−050769号公報
近年、PDPは従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上のハイディフィニションテレビへの適用が進んでいる。
このようなハイビジョン化によって、走査線数が増加して表示電極の数が増加し、さらに表示電極間隔が小さくなる。そのように非常に高精細にPDPが構成された場合には前面板と背面板が接触する箇所が非常に多くなる。その場合にPDPに衝撃が加えられたりした際に、背面板に構成された隔壁が前面板に構成された保護層を積層した誘電体層に衝突し、誘電体層が破損しそのまま前面板が破損に至る。破損に至った場合、前記放電ガスが漏れてしまうためPDPは発光することが出来なくなる。
従来使用されていた酸化鉛を主成分とした低融点ガラスは、衝撃に非常に強い材料であった。しかしながら環境問題への配慮から現在では酸化鉛を用いた低融点ガラスの使用は望ましくない。
また一方でPDPはガラス基板をより薄くすることで、ディスプレイとしての薄さを求められてきている。ガラス基板が薄くなると、より一層誘電体層には強度が求められる。
本発明は、このような課題を解決して、酸化鉛を含有せずとも十分に衝撃に対する強度を有した誘電体層を実現し、高精細表示でありながら、高輝度、高信頼性、高強度を確保し、さらに環境問題に配慮したPDPを提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明のPDPは、基板上に表示電極と誘電体層とが形成された前面板と、基板上に隔壁とが形成された背面板とを対向配置して放電空間を形成したPDPであって、誘電体層が、異なる組成からなる複数のガラス材料を粉砕したガラス材料粉末を混合して形成され、異なる組成からなる複数のガラス材料の内、少なくとも2つのガラス材料に同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有することを特徴とする。
ここで、誘電体層に発生している残留応力が圧縮応力であってもよい。また誘電体層には実質的に酸化鉛成分が含まれていなくてもよい。
また、本発明の誘電体ペーストの製造方法は、異なる組成からなる複数のガラス材料であって、少なくとも2つのガラス材料に同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有するガラス材料を粉砕してガラス材料粉末を作製する工程と、前記ガラス材料粉末を混合する工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の誘電体ペーストは、異なる組成からなる複数のガラス材料であって、少なくとも2つのガラス材料に同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有するガラス材料を粉砕して、そのガラス材料粉末を混合したことを特徴とする。
本発明は以上のような構成によって、誘電体層が高強度でありかつ可視光透過率が高くて環境に優しい表示品質に優れたPDPを実現することができる。
以上のように、本発明によれば、酸化鉛を含有せずとも十分に衝撃に対する強度を有した誘電体層を実現し、高精細表示においても、高輝度、高信頼性を確保し、さらに環境問題に配慮したPDPを実現することができる。
以下、本発明の実施の形態におけるPDPについて図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態におけるPDPの構造を示す斜視図である。PDPの基本構造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面板10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたPDP1内部の放電空間16には、NeおよびXeなどの放電ガスが55kPa〜80kPaの圧力で封入されている。
前面板2の前面ガラス基板3上には、走査電極4および維持電極5よりなる一対の帯状の表示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7とを覆うようにコンデンサとしての働きをする誘電体層8が形成され、さらにその表面に酸化マグネシウム(MgO)などからなる保護層9が形成されている。
また、背面板10の背面ガラス基板11上には、前面板2の走査電極4および維持電極5と直交する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層13が被覆している。さらに、アドレス電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14間の溝にアドレス電極12毎に、紫外線によって赤色、青色および緑色にそれぞれ発光する蛍光体層15が順次塗布して形成されている。走査電極4および維持電極5とアドレス電極12とが交差する位置に放電セルが形成され、表示電極6方向に並んだ赤色、青色、緑色の蛍光体層15を有する放電セルがカラー表示のための画素になる。
図2は、本発明の実施の形態におけるPDPの誘電体層8の構成を示す前面板2の断面図である。図2は図1と上下反転させて示している。図2に示すように、フロート法などにより製造された前面ガラス基板3に、走査電極4と維持電極5よりなる表示電極6とブラックストライプ7がパターン形成されている。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO2)などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a、5a上に形成された金属バス電極4b、5bとにより構成されている。金属バス電極4b、5bは透明電極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目的として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする導電性材料によって形成されている。
誘電体層8は、前面ガラス基板3上に形成されたこれらの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bとブラックストライプ7を覆って設けた誘電体層8、誘電体層8上に保護層9を形成している。
次に、PDPの製造方法について説明する。まず、前面ガラス基板3上に、走査電極4および維持電極5と遮光層7とを形成する。これらの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bは、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングして形成される。透明電極4a、5aは薄膜プロセスなどを用いて形成され、金属バス電極4b、5bは銀(Ag)材料を含むペーストを所望の温度で焼成して固化している。また、遮光層7も同様に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料をガラス基板の全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することにより形成される。
次に、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペーストをダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト層(誘電体材料層)を形成する。誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することによって塗布された誘電体ペースト表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成固化することにより、走査電極4、維持電極5および遮光層7を覆う誘電体層8が形成される。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料、バインダおよび溶剤を含む塗料である。次に、誘電体層8上に酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層9を真空蒸着法により形成する。以上の工程により前面ガラス基板3上に所定の構成物(走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘電体層8、保護層9)が形成され、前面板2が完成する。
一方、背面板10は次のようにして形成される。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極12用の構成物となる材料層を形成し、それを所望の温度で焼成することによりアドレス電極12を形成する。次に、アドレス電極12が形成された背面ガラス基板11上にダイコート法などによりアドレス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより下地誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料とバインダおよび溶剤を含んだ塗料である。
次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布して所定の形状にパターニングすることにより、隔壁材料層を形成した後、焼成することにより隔壁14を形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布した隔壁用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法を用いることができる。次に、隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上および隔壁14の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成することにより蛍光体層15が形成される。以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
このようにして所定の構成部材を備えた前面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電極12とが直交するように対向配置して、その周囲をガラスフリットで封着し、放電空間16にNe、Xeなどを含む放電ガスを封入することによりPDP1が完成する。
次に、前面板2の誘電体層8について詳細に説明する。前述したように、誘電体層は、高耐電圧を要求されるが、一方で高光透過率および高強度を有することが要求される。この特性は誘電体層に含まれるガラス成分の組成、形成方法に大きく左右される。
このような誘電体層を形成する方法として、誘電体ガラス粉体成分と樹脂を含む溶剤、可塑剤、分散剤などから成るバインダ成分で構成されたペーストをスクリーン印刷法やダイコート法などを用いて、電極を形成した前面ガラス基板上に塗布し、乾燥後450℃から600℃程度で焼成する方法や、前記ペーストをフィルム上に塗布、乾燥して、電極を形成した前面板に転写し、450℃から600℃程度で焼成する方法が用いられる。
そして、これまでは前記450℃から600℃程度での焼成を可能にするために、誘電体層に含まれる誘電体ガラス成分には20重量%以上の酸化鉛が含まれていたが、近年、環境への配慮のため、ガラス中に酸化鉛を含有しない材料も実用されている。
ところが先に述べたように、酸化鉛を含有しない誘電体層では、強度が不十分で破損し易いという課題があった。これに対して、本発明では以下のようにして誘電体ペーストおよび誘電体層を形成する。
つまり、本発明の誘電体ペーストは異なる組成からなる複数のガラス材料を粉砕し、そのガラス材料粉末を混合したことを特徴とする。そして本発明の誘電体ペーストの製造方法は異なる組成からなる複数のガラス材料を粉砕してガラス材料粉末を作製する工程と、前記複数のガラス材料を粉砕したガラス材料粉末を混合する工程とを有することを特徴とする。また本発明のPDPは誘電体層が、異なる組成からなる複数のガラス材料を粉砕したガラス材料粉末を混合して形成されていることを特徴とする。
以下、具体的に説明する。まず酸化鉛を含有せずに酸化ビスマス等からなる組成であって異なる組成の複数のガラス材料を形成する。そしてこれらを湿式ジェットミルやボールミルで平均粒径が0.5μm〜3.0μmとなるように粉砕してガラス材料粉末を作製する。このようにして異なる組成のガラス材料粉末が複数種類作製されたことになる。
次にこの誘電体ガラス材料粉末を合計で50重量%〜65重量%と、バインダ成分35重量%〜50重量%とを三本ロールでよく混練してダイコート用あるいは印刷用の誘電体層用ペーストを作製する。
バインダ成分はエチルセルロースあるいはアクリル樹脂1重量%〜20重量%を含むターピネオールあるいはブチルカルビトールアセテートである。また、ペースト中には、必要に応じて可塑剤としてフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチルを添加し、分散剤としてグリセロールモノオレート、ソルビタンセスキオレヘート、ホモゲノール(Kaoコーポレーション社製品名)、アルキルアリル基のリン酸エステルなどを添加して印刷性を向上させてもよい。
次に、この誘電体層用ペーストを用い、表示電極6を覆うように前面ガラス基板3にダイコート法あるいはスクリーン印刷法で印刷して乾燥させ、その後、誘電体材料の軟化点より少し高い温度の575℃〜600℃で焼成する。
なお、誘電体層8の膜厚が小さいほどパネル輝度の向上と放電電圧を低減するという効果は顕著になるので、絶縁耐圧が低下しない範囲内であればできるだけ膜厚を小さく設定するのが望ましい。このような条件と可視光透過率の観点から、本発明の実施の形態では、誘電体層8の膜厚を41μm以下に設定している。
従来の誘電体ペーストの場合、同一の組成からなる誘電体ガラス材料粉末を1種類のみ用いている。このため誘電体層にクラックが発生した場合、そのクラックが伝播する速度は大きくなる。これに対し本発明の実施の形態においては、異なる組成の複数の誘電体ガラス材料粉末を作製し、これらを混合する。つまり本発明の実施の形態における誘電体ペーストには異なる組成の誘電体ガラス材料粉末を含むことになる。このため誘電体層を形成した際、同一の組成からなる誘電体層と比較して、異なる組成の箇所が混在し、クラックが伝播する速度が低下すると考えられる。この効果について後の実施例において検証する。
ところで本発明のように、異なる誘電体ガラス材料粉末を混合して誘電体層を形成した場合、失透と呼ばれる白濁現象が起こりやすい。これは材料の相互の影響を受けて生じる現象と考えられ、失透が発生すると誘電体層は透明性を失うため、画像表示品位を低下させることになる。これに対して、発明者等は以下の2つの手法によって、この失透の課題が解消されることを見出した。
第1の手法による誘電体ペーストは、軟化点が600℃以上となる組成のガラス材料と、前記軟化点が600℃以上となる組成のガラス材料とは異なる組成であって、軟化点が600℃以下となる組成のガラス材料とを粉砕し、これらガラス材料粉末を混合したことを特徴とする。またこの誘電体ペーストの製造方法は、軟化点が600℃以上となる組成のガラス材料を粉砕する工程と、前記軟化点が600℃以上となる組成のガラス材料とは異なる組成であって、軟化点が600℃以下となる組成のガラス材料を粉砕する工程と、これら粉砕したガラス材料粉末を混合する工程とを有することを特徴とする。そして、このPDPは誘電体層が異なる組成からなる複数のガラス材料を粉砕したガラス材料粉末を混合して形成され、かつ前記異なる組成からなる複数のガラス材料の内、少なくとも一つのガラス材料の軟化点が600℃以上であって、少なくとも1つのガラス材料の軟化点が600℃以下であることを特徴とする。
これによって、上記の失透の現象が発生せず、誘電体層の透過率と強度を保つことができる。この効果についての詳細な原理現象は不明であるが、後の実施例においてその効果の検証をする。
そして、失透を解消する第2の手法を用いた誘電体ペーストは、異なる組成からなる複数のガラス材料であって、少なくとも2つのガラス材料に同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有するガラス材料を粉砕して、そのガラス材料粉末を混合したことを特徴とする。またこの誘電体ペーストの製造方法は、異なる組成からなる複数のガラス材料であって、少なくとも2つのガラス材料に同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有するガラス材料を粉砕してガラス材料粉末を作製する工程と、前記ガラス材料粉末を混合する工程とを有することを特徴とする。そして、このPDPは誘電体層が、異なる組成からなる複数のガラス材料を粉砕したガラス材料粉末を混合して形成され、前記異なる組成からなる複数のガラス材料の内、少なくとも2つのガラス材料に同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有することを特徴とする。
このように異なる組成のガラス材料に同一の元素Mを含有させることによって、誘電体層中において添加元素Mが網目形成元素となり、失透の程度を低減することができる。この効果についても、後の実施例において検証する。
本発明の実施の形態ではこのような構成を有することで、高精細表示でも、高輝度、高信頼性および高強度を確保し、さらに環境問題に配慮したPDPを実現することができる。
(実施例)
ここから、本発明の実施の形態において、誘電体層8を上記の構成とする理由について述べる。
本発明の実施の形態におけるPDPとして、放電セルとして42インチクラスのハイビジョンテレビに適合するように、隔壁の高さを0.15mm、隔壁の間隔(セルピッチ)を0.15mm、表示電極の電極間距離を0.06mmとし、Xeの含有量が15体積%のNe−Xe系の混合ガスを封入圧60kPaに封入したPDPを作製してその性能を評価した。なおガラス基板の厚みは1.8mmのものを使用し、誘電体層の膜厚は30μmとした。
表1には本発明で使用した誘電体ガラス材料の成分含有量を重量%で示す。
Figure 2010027475
試料No.1、2、3は酸化鉛を含有する誘電体ガラス材料であり、それ以外は酸化鉛を含有しない誘電体ガラスである。また、試料No.10、11、12は軟化点が600℃以上の誘電体ガラスである。
表1内に示した以外の材料組成の項目とは、Li2OやK2Oその他金属酸化物であり、これら材料組成の含有量は特に限定はなく、従来技術程度の材料組成の含有量範囲である。
表2には表1で示した誘電体ガラスを混合して誘電体層8を形成し、その特性を評価した結果を示す。ここで実施例1−8は本発明の実施例の特性結果であり、一方比較例1−9は従来技術の特性結果である。ここで誘電体ガラス混合比については同表の誘電体ガラス種で示した試料番号についての混合比をその順で重量%を用いて示している。
Figure 2010027475
まず前面板2の透過率を、ヘイズメーターを用いて測定した。測定については、前面ガラス基板3の透過率と走査電極4等の他の部位の影響を差し引いて、誘電体層8の実際の全光線透過率を用いて比較した。なお、PDPにおける誘電体の全光線透過率は85%以上あることが望ましく、85%以下となればパネルの輝度が低下してしまうため好ましくない。
さらに残留応力の評価には偏光歪み計を用いた。偏光歪み計ではガラス成分による歪みが原因で前面ガラス基板3に存在している残留応力を測定することができる。こうした残留応力の測定方法は特開2004−067416号公報など広く知られている。測定した残留応力は前面ガラス基板3に圧縮応力が存在していれば、(+)の値、前面ガラス基板3に引張応力が存在していれば、(−)の値として、表2に示した。なお、PDPにおける上記残留応力は(+)であれば、誘電体層には逆に引張応力が発生していることとなり、誘電体層の強度が低下することになる。よってPDPにおける上記残留応力は(−)であることが望ましい。ただし−2.0MPa以下となれば今度は残留応力の絶対値が大きすぎることとなり、基板が反ってしまうため望ましくない。したがって好ましいのは−2.0MPa以上0.0Mpa以下となる。
さらに、上記の本発明の効果を評価すべく誘電体層の脆性指標値B(単位:m-1/2)について評価した。
前記脆性指標値Bはガラスの割れやすさを表す数値であり、数字が大きければその対象物は割れやすく、小さければ割れにくいことを示す。この評価にはビッカース硬度試験機が用いられるが、実質的な評価はビッカース圧子を押し込んだ際に試験片に残る圧痕の大きさ2a(以下、圧痕2aとする)とその際に発生するクラックの長さ2c(以下、クラック2cとする)の比c/aが比較されている。圧痕2aが大きければ大きいほど、前記クラック2cが小さければ小さいほど対象物は割れにくいということになる。
従来の誘電体層には酸化鉛が含まれていた。酸化鉛を多く含む誘電体ガラス材料を用いた誘電体層は脆性指標値Bが小さく割れにくいという特性も持っていた。一方、酸化鉛を実質的に含まない組成からなる誘電体層では、この脆性指標値Bが大きくなり、誘電体層が破損し易くなる。
PDPにおいてはこの脆性指標値Bは6000m-1/2以下であることが望ましい。6000m-1/2以下であれば後述する直径10mmの鉄球を用いた破壊試験における破壊高さが40cm以上を確保でき、PDPは充分な強度をもつ。6000m-1/2より大きければ前記破壊高さは40cm以下となりPDPの強度が低下してしまう。
クラック2cは誘電体ガラス組成だけでなく、誘電体層に発生している残留応力にも左右される。残留応力は誘電体ガラスのもつ熱膨張係数やガラス転移点と前記ガラス基板のもつ熱膨張係数の相関で変化する。この残留応力が誘電体ガラスに圧縮応力で存在していれば前記クラック2cは小さくなる。一方で残留応力が引張応力で存在していれば前記クラック2cは大きくなり、これらの結果でも脆性指標値Bは変化する。
脆性指標値Bを評価するためにマイクロビッカース試験機(JIS Z2244)を用い、誘電体層を構成した前面板2の誘電体層8に直接荷重した。その際の試験荷重は1000gとした。表2には脆性指標値Bの他にマイクロビッカース試験機で評価した際の圧痕2aおよびクラック2cも併記している。
また誘電体層と隔壁の衝突による誘電体層およびガラス基板の破壊強度の評価には、前記作製したPDPの前面板に直径10mmの鉄球を低い高さから順次落下させて、前面板が破損した高さを記録して破壊高さとして示した。この破壊高さは35cm以上、望ましくは40cm以上あることが必要である。
表2において示したように、本発明の実施例1−8は全て誘電体ガラスを複数混合しているためクラックサイズが非常に小さく、脆性指標値Bも小さく良好である。そのため破壊高さがそれぞれ高く良好である。さらに光学特性においても全て86%以上であり良好な結果を示しており、かつ酸化鉛も含まないため環境問題といった観点からも望ましい。
そして実施例6−8は、軟化点が600℃以上の誘電体ガラスと600℃より低い誘電体ガラスとを混合した実施例であるが、こちらも良好な結果を示している。
また実施例1−5は、同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有している実施例であるが、こちらも良好な結果を示している。
一方で比較例1から7の中で破壊高さが40cm以上と良好なのは比較例2、6、7、8である。比較例1、3、4、9は脆性指標値Bが大きく、かつ残留応力も(+)であるため破壊高さが低い。比較例5は残留応力が(−)で良好であるが脆性指標値Bが6800m-1/2と大きいため破壊高さが低い。
比較例2と比較例5は同等の残留応力値とクラックサイズ2cを示しているが、圧痕サイズ2aが比較例5の方が小さい。これは酸化鉛を含有しない従来の誘電体ガラスの特徴であり、このため比較例5の脆性指標値Bが大きくなっている。
比較例2は脆性指標値、破壊高さともに良好な数値が得られているが酸化鉛を多く含むため全光線透過率が低い上に、環境問題という観点からも望ましくない。
比較例8、9はともに軟化点が600℃以下の複数の誘電体ガラスを混合した誘電体層であるが、網目形成元素が異なる誘電体ガラスを混合しているため前述した失透現象が発現し全光線透過率が低下してしまっている。
このように酸化鉛を多く含む場合は、圧痕2aが酸化鉛を多く含まない場合に比べて大きくなるため、脆性指標値Bが小さくなる。圧痕2aはビッカース硬度試験機の本来の試験目的である材料の硬度を評価するための測定値である。圧痕2aが大きいということはすなわち硬度が小さい、やわらかいということである。すなわち従来の酸化鉛を多く含む誘電体層はやわらかい材料であったため脆性指標値Bが小さく割れにくかったということである。
これに対して、本発明の誘電体層8はガラスの2種類以上が混合されて形成されていることとした。そのように2種以上のガラスが存在する場合、誘電体層にクラックが発生してもクラックは大きく成長することが出来なくなるため前面板の破損に至る確率が非常に低くなる。
以上のように、本発明の実施の形態におけるPDPによれば、誘電体層として全光線透過率が高くて、強度が高く、鉛(Pb)成分を含まない環境に優しいPDPを実現することができる。
以上述べてきたように、本発明のPDPは、誘電体層の全光線透過率と強度が高く、さらに、環境に優しく表示品質に優れたPDPを実現して大画面の表示デバイスなどに有用である。
本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの構造を示す斜視図 同パネルの前面板の構成を示す断面図
符号の説明
1 プラズマディスプレイパネル
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a,5a 透明電極
4b,5b 金属バス電極
5 維持電極
6 表示電極
7 ブラックストライプ(遮光層)
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間

Claims (5)

  1. 基板上に表示電極と誘電体層とが形成された前面板と、基板上に隔壁とが形成された背面板とを対向配置して放電空間を形成したプラズマディスプレイパネルであって、前記誘電体層が、異なる組成からなる複数のガラス材料を粉砕したガラス材料粉末を混合して形成され、前記異なる組成からなる複数のガラス材料の内、少なくとも2つのガラス材料に同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記誘電体層に発生している残留応力が圧縮応力であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記誘電体層には実質的に酸化鉛成分が含まれないことを特徴とする請求項1および2記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 異なる組成からなる複数のガラス材料であって、少なくとも2つのガラス材料に同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有するガラス材料を粉砕してガラス材料粉末を作製する工程と、前記ガラス材料粉末を混合する工程とを有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの誘電体ペーストの製造方法。
  5. 異なる組成からなる複数のガラス材料であって、少なくとも2つのガラス材料に同一の元素M(MはBi、Al、Zn、Si、Bから選ばれる少なくとも1つ)を含有するガラス材料を粉砕して、そのガラス材料粉末を混合したことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの誘電体ペースト。
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