本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたもので、高さが比較的低く、製作コストの安い作業台を複数台積み重ねることで、例えば鉄骨梁回り耐火被覆作業のような天井作業等、その他の高所作業に有効に使用できるようにすると共に、作業台の積み重ね時に上下に隣り合う作業台どうしを連結することにより安全に使用できる作業台を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、天板1の下面側の四隅に夫々脚柱を取り付けてなる作業台において、一つの作業台Tの天板1上に他の作業台Tの脚柱2を載せて積み重ねた時に上下に隣り合う作業台Tの上下に対応する脚柱2どうしを連結する連結装置3,3′を備えてなることを特徴とする。
請求項2は、請求項1に記載の作業台において、連結装置3,3′は、脚柱2の所要部に固定された取付金具4と、この取付金具4に一端部5aが上下方向回動可能に枢着された連結杆5と、この連結杆5の他端部5bに上下方向回動可能に枢着され、脚柱2に対し着脱自在なクランプ6とからなるもので、通常時は、連結杆5を脚柱2とほぼ平行するように折り畳んで、クランプ6を当該作業台Tの脚柱2に取着することによって連結装置3を収納状態とし、複数の作業台Tを積み重ねた時は、上下に隣り合う作業台Tの一方の作業台Tの連結装置3のクランプ6を脚柱2から外して反転し、他方の作業台Tの対応する脚柱2に取着することによって連結装置3を連結状態とするようにしたことを特徴とする。
請求項3は、請求項1又は2に記載の作業台において、連結装置3,3′は、取付金具4が各脚柱2の下端部に固定され、この脚柱2の上部側にクランプ6が取り付けられるようになっていることを特徴とする。
請求項4は、請求項2又は3に記載の作業台において、連結装置3,3′の取付金具4は脚柱2回りに回動可能に取り付けられることを特徴とする。
請求項5は、請求項2〜4の何れかに記載の作業台において、連結装置3′のクランプ6その本体部6oが長さ変更可能であることを特徴とする。
請求項6は、請求項1〜5の何れかに記載の作業台において、連結装置3,3′のクランプ6はパイプクランプからなることを特徴とする。
請求項7は、請求項1〜6の何れかに記載の作業台において、各脚柱2の下端部にキャスター14を取り付けると共に、天板1の上面側の四隅にキャスター14の車輪止め26,27を設けてなることを特徴とする。
請求項8は、請求項1〜7の何れかに記載の作業台において、一つの作業台Tの天板1上に他の作業台Tの脚柱2を載せて積み重ね、上下に隣り合う作業台Tの上下に対応する脚柱2どうしを連結装置3により連結したものを複数組間隔をおいて並置した時に各組の上段側作業台Tの天板1どうしを連結用天板28で連結するようにしたことを特徴とする。
請求項9は、請求項8に記載の作業台において、各組の上段側作業台Tの天板1どうしを連結用天板28で連結すると共に、各組の下段側作業台Tの天板1どうしを連結用天板28で連結するようにしたことを特徴とする。
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の作業台Tは、一つの作業台Tの天板1上に他の作業台Tの脚柱2を載せて積み重ねた時に上下に隣り合う作業台Tの上下に対応する脚柱2どうしを連結する連結装置3,3′を備えているから、高さが比較的低く、比較的安価な作業台を複数台積み重ねることによって、例えば鉄骨梁回り耐火被覆作業のように比較的高所での作業に使用できると共に、上下に隣り合う作業台どうしを連結することによって安全に使用でき、それにより高所作業用の特別な作業台が不要となり、設備費用の軽減を図ることができる。
請求項2に係る作業台Tによれば、連結装置3,3′は、脚柱2の所要部に固定された取付金具4と、取付金具4に一端部5aが上下方向回動可能に枢着された連結杆5と、連結杆5の他端部5bに上下方向回動可能に枢着され、脚柱2に対し着脱自在なクランプ6とからなるもので、通常時は、連結杆5を脚柱2とほぼ平行するように折り畳んで、クランプ6を当該作業台Tの脚柱2に取着することによって連結装置3を収納状態としているため嵩張らず、当該作業台Tを通常の積み重ねない状態で使用する時に連結装置3,3′が作業台Tから殆ど突出しないので作業に支障を来すことがない。また、作業台を積み重ねて使用する際に、下段側の作業台は連結装置3,3′を設けない通常の作業台でもよいが、その場合には連結装置3,3′を設けない通常の作業台と、連結装置3,3′を設けた作業台Tとを選り分けて積み重ね作業を行う必要がある。然るに、連結装置3,3′を設けた作業台Tのみを図3に示すようにランダムに同じ構造の作業台T,Tを積み重ねればよく、積み重ね作業を迅速に行なうことができ、また同じ構造の作業台Tのみを量産すればよいから、製作費を低減することができる。また同じ作業台Tを積み重ねる時は、上下に隣り合う作業台T,Tの上下何れか一方の作業台Tの連結装置3,3′のクランプ6を脚柱2から外して反転し、他方の作業台Tの対応する脚柱2に取着することにより連結装置3,3′が連結状態となるから、連結装置3,3′の連結操作が簡単となり、上下に隣り合う作業台Tの上下に対応する脚柱2,2どうしを迅速容易に連結することができて、作業性が良好となる。
請求項3に係る発明のように、連結装置3,3′の取付金具4を各脚柱2の下端部に固定し、脚柱2の上部側にクランプ6を取り付けるようにした場合は、作業台Tの積み重ね時に、上下に隣り合う上段側作業台Tにある各連結装置3のクランプ6をこの上段側作業台Tの脚柱2の主脚柱2aから外して、連結杆5を下向きに180°反転し、下段側の作業台Tの対応する脚柱2の主脚柱2aの上端部に取着して連結装置3,3′を連結状態とすることにより、各連結装置3,3′のクランプ6の最終的な取着作業を下段の作業台T側、つまり低い位置で行なえるため、作業性が一層良くなる。
請求項4に係る発明のように、連結装置3,3′の取付金具4が脚柱2回りに回動可能に取り付けられるようにすれば、取付金具4を脚柱2の天板桁側対応位置に取り付けた場合は、取付金具4が天板1の妻側からは突出しないから、作業台Tを並べるときに図6の(a) に示すように作業台Tの妻側端部どうしが突き合うように縦列状態に並べることができ、また取付金具4を脚柱2の天板妻側対応位置に取り付けた場合は、取付金具4が天板1の桁側からは突出しないから、図6の(b) に示すように作業台Tの桁側端部どうしが突き合うように横列状態に並べることができる。
請求項5に係る発明のように、連結装置3′のクランプ6はその本体部6oを長さ変更可能とすれば、図7及び図8に例示するように作業台Tの上に天板幅の狭い作業台T′を載せた時に、連結装置3′によって下段側作業台Tの脚柱2と上段側幅狭作業台T′の脚柱2とを連結することができる。このように、クランプ6の本体部6oが長さ変更可能な連結装置3′を備えた作業台Tによれば、作業台Tの上に天板幅の狭い作業台、つまり作業台Tよりも重量の軽い作業台T′を載せて連結できるから、積み重ね作業が非常に楽となる。
請求項6に係る発明によれば、連結装置3,3′のクランプ6がパイプクランプからなるため、脚柱2に対するクランプ6の取付け及び取外しを簡単容易に行なうことができる。
請求項6に係る発明によれば、各脚柱2の下端部にキャスター14を取り付けることによって各作業台Tの移動が容易になると共に、天板1の上面側の四隅にキャスター14の車輪止め26,27を設けたことにより、作業台Tを積み重ねた時に上段側作業台Tの移動が阻止されて、作業台Tのより安定した段積みが可能となる。
請求項8に係る発明によれば、作業床面積が広くなって、作業性が格段に向上することになり、そして連結用天板28の下方にスペースができるため、資材等を跨ぐことができる。
請求項9に係る発明によれば、下段側連結用天板28の上に資材等を載せたまま移動させることができる利点がある。
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1の(a) は本発明に係る作業台Tの正面図、(b) は平面図、図2の(a) は縦断面図であり、図3は作業台Tを2台積み重ねた状態の側面図である。この作業台Tは、作業者が乗って天井等における作業を行なう天板1と、この天板1の下面側の前後左右の四隅に取り付けられた4本の脚柱2とからなり、各脚柱2には、図3に示すように2台の作業台T,Tを積み重ねた時に上下の作業台T,Tの上下に対応する脚柱2,2どうしを連結する連結装置3が設けられている。この実施形態の作業台Tでは、天板1は、図1の(b) に示すように左右二つに分割され、両分割天板部1a,1aは、枢着部20で枢着されて、図1の(a) に示すような使用状態から山形をなして二つ折り可能となっており、また各脚柱3は、伸縮可能にして且つ図1の(a) に示すような使用状態から天板1の下面側に折り畳み可能となっている。
天板1の下面側の前後左右の四隅には軸取付部材(図示せず)が取り付けられ、左側及び右側の夫々前後軸取付部材間に脚取付軸12が取り付けられている。一方、各脚柱2は、主脚柱2aと、この主脚柱2a内に嵌挿されて伸縮可能に接続された伸縮脚柱2bとからなるもので、各主脚柱2aは、その上端部が取付ブラケット11内において左右各脚取付軸12の前後端部に、天板1に対し垂直な直立姿勢と天板1の下面側に折り畳まれる折畳姿勢とに姿勢変更可能に枢着されている。脚柱2の伸縮脚柱2bは、主脚柱2a内にその下方より嵌挿されて、所要伸縮位置でストッパー13により主脚柱2aに固定されるようになっている。主脚柱2a内には伸縮脚柱2bの伸張操作を容易にするためのコイルバネ21が挿入され、また伸縮脚柱2bの下端部にキャスター14が取り付けられている。主脚柱2a及び伸縮脚柱2bは夫々金属パイプからなる。
また、左側及び右側の夫々前後一対の主脚柱2a,2aは、その下方部側で金属パイプからなる連結材15によって連結され(図2の(a) 参照)、これら前後一対の主脚柱2a,2aに嵌挿された前後一対の伸縮脚柱2b,2bは、その下端部で金属パイプからなる連結材16によって連結されている(図2の(a) ,図4参照)。また、天板1の下面側中央部と、左右の連結材15,15との間には補強桟17,17が介装され、各補強桟17の中間所要部には、当該補強桟17を二つ折りするための関節部材22(図1の(a) 参照)が設けられていて、この関節部材18を中心に補強桟17を二つ折りすることにより、これに連動して左側及び右側の前後一対の主脚柱2a,2aを天板1の下面側に折り畳み収納できるようになっている。図1(a) ,(b) において、23はリンク部材、24はショックアブソーバーを示す。
図1〜図3において、11及び11′は各分割天板部1aの四隅に設けられた手摺ブラケットで、手摺ブラケット11には2つの手摺支柱差込部11a,11aが設けてあり、手摺ブラケット11′には1つの手摺支柱差込部11aが設けてある。しかして、作業台Tを積み重ねた時には上段側作業台Tの高さが2mを越えて、作業上の危険を伴うため、上段側作業台Tの天板1上に手摺り25を設置することができる。この手摺り25の設置にあたっては、例えば図1の(a) ,(b) 及び図2の(a) を参照すると、天板1の桁側では、図1の(a) に示すように各分割天板部1aの左右両端にある手摺ブラケット11′の手摺支柱差込部11aと手摺ブラケット11の一つの手摺支柱差込部11aとに手摺り25の左右支柱25a,25aの夫々下端部を差し込めばよく、また天板1の妻側では、図2の(a) に示すように分割天板部1aの両端にある手摺ブラケット11,11の夫々一つの手摺支柱差込部11a,11aに、手摺り25の左右支柱25a,25aの夫々下端部を差し込めばよい。
また作業台Tの脚柱2の下端部に取り付けられたキャスター14には車輪の回転を阻止するロック装置(図示省略)が設けてあるが、このロック装置だけでは、作業台Tを積み重ねた時に上段側作業台Tのキャスター14が下段側作業台Tの天板1上で滑りを生じて移動するおそれがあるため、下段側作業台Tの天板1の上面側四隅部に図2の(b) 〜(d) に示すようにキャスター14の移動を阻止する車輪止め26,27を設けることができる。(b) 及び(c) に示す車輪止め26は、天板1の上面に凹設された凹所26aからなるもの、また(d) に示す車輪止め27は、天板1の上面に突設された矩形状枠27bによって形成される凹所27aからなるものであり、何れの車輪止め26,27も、凹所26a,27aに車輪14aを係合させることによって、キャスター14の移動を阻止することができる。このようなキャスター14の車輪止め26,27を設けることによって、より一層安定した作業台Tの段積みが可能となる。
次に連結装置3について説明すると、この連結装置3は、図4から分かるように、各脚柱2を構成する伸縮脚柱2bの下端部に取り付けられる取付金具4と、この取付金具4に一端部5aが上下方向回動可能に枢着される金属パイプ製の連結杆5と、この連結杆5の他端部5bに上下方向回動可能に枢着され、脚柱2の主脚柱2aに対して着脱自在なクランプ6とからなるもので、通常時は、図3及び図5に示すように、連結杆5を脚柱2と平行になるように上向きに折り畳んで、クランプ6を作業台Tの脚柱2の主脚柱2aに取着することにより連結装置3を収納状態とし、しかして図3及び図5に示すように、一つの作業台Tの上に他の作業台Tを載せた時は、上段側作業台Tに設けてある各連結装置3のクランプ6をこの上段側作業台Tの脚柱2の主脚柱2aから外して、連結杆5を図3及び図5の矢印Pで示すような下向き方向に180°反転し、そのクランプ6を下段側の作業台Tの対応する脚柱2の主脚柱2aの上端部に取着することによって連結装置3を連結状態とし、これにより上段側の作業台Tを下段側の作業台T上の定位置に固定するようにしたものである。
上記連結装置3の取付金具4は、図4及び図5に示すように、金具本体部4oの一端側に設けられた筒状部4aを脚柱2の伸縮脚柱2bの下端部に回転可能に嵌合して所定の回動位置で固定用ビス19により固定するようにし、また他端部の連結部片4bを連結杆5の一端部5aに枢着ピン7(天板1の長手方向に延びる)によって枢着するようにしたものである。またクランプ6は、単管パイプを用いた鋼管足場の組み立てなどに使用される周知構造のパイプクランプからなるもので、図4に簡単に示すように、連結杆5の他端部5bに枢着ピン8によって一端部が枢着されたクランプ本体部6oと、このクランプ本体部6oの他端部に連設された円弧状パイプ受け6aの一端側に開閉自在に枢着された円弧状の掴持アーム6bと、円弧状パイプ受け6aの他端側に枢着されて、掴持アーム6bの遊端部に取り付けられる締付ボルト6cとから構成される。このようなパイプクランプ6によれば、脚柱2に対するクランプ6の取付け及び取外しを簡単容易に行なうことができる。
図1の下側には、伸縮脚柱2bを適宜伸張操作することによって各脚柱2の高さを適当に高くした状態を仮想線で示している。
この実施形態に示す作業台Tでは、床面から天板1上面までの高さHは、伸縮脚柱2bを最大限収縮した状態で約1.0mであり、また伸縮脚柱2bを最大限伸張した状態では約1.3mであるから、一つの作業台Tの上に他の作業台Tを載せることによって、床面から上段側作業台Tの天板1上面までの高さは2Hで、約2.0〜2.6m(具体的には事務所ビルであれば、2.2〜2.5m程度)である。従って、例えば鉄骨梁回りの耐火被覆作業には作業高さが約2.5m程度必要とする場合が多いが、この場合にはきわめて有用である。このような鉄骨梁回り耐火被覆作業時は使用数量も少ないが、軽天作業を行なう時には、積み重ねていた作業台Tを降ろすことにより、作業高さが約1.0〜1.3m程度の作業台として使用することができる。また、作業台Tを2台積み重ねて使用することにより、上記のような耐火被覆作業時に使用していた作業台数量で、軽天作業台とした場合(作業台Tを積み重ねることなくそのままで使用する場合)は、同じ数量で軽天作業時の床面積は2倍の広さを有することができる。
図12の(b) には、上記作業台Tを二つ積み重ねて、鉄骨梁H回りの耐火被覆作業を行なっている状態を示す。この場合、鉄骨H梁回りの耐火被覆作業には作業高さが約2.5m程度必要とするが、天板高さ約1.0〜1.3mの作業台Tを2台積み重ねると、床面から上段側作業台Tの天板1上面までの高さが約2.0〜2.6mとなるから、これによって鉄骨梁回りの耐火被覆作業を行なうことができる。天井下地への天井板Sの取付作業は作業床面高さが比較的低いため、上記作業台Tをそのまま使用すればよいことになる。また、上段側作業台Tの天板1上面までの高さが2.0mを越える場合には、図1及び図2の仮想線図示のように天板1の周縁部に沿って着脱可能な手摺り25を設置することができる。
図1〜図5に示す実施形態では、作業台Tの各脚柱2に取り付ける連結装置3は、作業台Tの天板1の桁側からその側方へ張り出すように(図1の(b) 及び図2の(a) 参照)取付金具4を脚柱2の天板桁側対応位置に取り付けているが、そうすると、作業台Tを並べる場合には、図6の(a) に示すように作業台Tの妻側端部どうしが突き合うように縦列状態でしか並べることができない。しかして、図6の(b) に示すように作業台Tを桁側どうしが突き合うように横列状態に並べる必要がある場合は、各連結装置3の取付金具4を脚柱2に対し図6の(a) の状態から90度回動した天板妻側対応位置に取り付けて、各連結装置3が作業台Tの天板1の妻側からその側方へ張り出すように取り付ければよい。
また図1〜図5に示す実施形態では、同じ大きさの作業台Tを上下に積み重ねる場合について説明したが、図7には作業台Tの上に、天板1の長さは同じであるが、天板1の幅が下段側作業台Tの例えば5分の3程度と狭い作業台T′を積み重ねる場合につき説明する。図7の(a) は作業台Tの上に幅狭の作業台T′を載せて上下作業台T,T′の上下に対応する脚柱2,2どうしを下段側作業台Tの脚柱2に設けた連結装置3′により連結した状態の平面図、(b) は正面図、(c) は側面図である。尚、上段側の幅狭作業台T′は、(a) から分かるように下段側作業台Tに対して天板1の両端妻側ラインを揃えると共に、下段側作業台Tの天板1の幅方向中央側寄りに載せるものとする。尚、ここでは図示を省略しているが、作業台T,T′の各脚柱2の下端にはキャスターが取り付けられているものとする。
上記連結装置3′は、(c) から分かるように、下段側作業台Tの脚柱2の上端部に取り付けられる取付金具4と、取付金具4に一端部が上下方向回動可能に枢着されるの連結杆5と、この連結杆5の他端部に上下方向回動可能に枢着され、上段側作業台T′の脚柱2に対して着脱自在なクランプ6とから構成される。取付金具4は、金具本体部4oの一端側の筒状部4aを脚柱2の下端部に固定し、他端部を連結杆5の一端部に枢着したものである。クランプ6は、実質的に図4の(b) に示されるような構造であるが、このクランプ6は、クランプ本体部6oが長さ変更可能な構造、例えば所要長さに伸縮できる構造となって いる。
この連結装置3′は、通常時は、(c) の仮想線で示すように、連結杆5を脚柱2と平行になるように下向きに折り畳むと共に、クランプ6のクランプ本体部6oを収縮状態にして脚柱2に取着することにより連結装置3を収納状態とし、そして作業台Tの上に幅狭の作業台T′を載せた時に、各連結装置3のクランプ6を脚柱2から外し、連結杆5を上向きに180°反転して、クランプ6を上段側の幅狭作業台T′の対応する脚柱2の下端部に取着することによって連結装置3′を連結状態とし、これによって上段側の幅狭作業台T′を下段側の作業台T上の定位置に固定するようにしたものである。
この連結装置3′のクランプ6は、クランプ本体部6oが長さ変更可能であって、ここでは例えば所要長さに伸縮できる構造としているが、これ以外にクランプ本体部6oの長さを変更できる構造であれば、どのような構造でもよく、例えば所要長さのクランプ本体部6oを適宜に取り換えできるようにしたものでもよい。また、取付金具4は、脚柱2回りに回動可能に取り付けることができる。このように、クランプ6の本体部6oが長さ変更可能な連結装置3′を備えた作業台Tによれば、作業台Tの上に天板幅の狭い作業台、つまり作業台Tよりも軽量の作業台T′を載せて連結できるから、積み重ね作業が非常に楽となる。
図7に示す実施形態は、一つの作業台Tの上に一つの幅狭作業台T′を載せた場合であるが、図8は二つの作業台T,T上に二つの幅狭作業台T′,T′を載せた実施形態を示し、(a) はその平面図、(b) は(a) のX−X線断面図、(c) は側面図である。即ち、この実施形態では、幅が作業台Tの5分の3程度の作業台T′を作業台Tの上に載せて、天板1の妻側ラインどうしを揃えると共に、桁側ラインは片側のみが上下方向に揃うようにした上下二つの作業台T,T′の二組を背中合わせに突き合わせたような状態としたもので、下段側作業台Tの脚柱2と上段側作業台T′の脚柱2とを天板1の妻側ラインで上下直線状に対向するものどうし連結装置3によって連結し、また天板1の桁側ラインで上下に段違い状に対向する脚柱2,2どうしを図7の実施形態で示したものと同様な構成の連結装置3′によって連結するようにしたものである。
以上、図1〜図7に示すような作業台Tの連結装置3は、各脚柱2の所要部に固定される取付金具4と、取付金具4に一端部5aが上下方向回動可能に枢着された連結杆5と、連結杆5の他端部5bに上下方向回動可能に枢着され、脚柱2に対し着脱自在なクランプ6とからなるもので、通常時は、連結杆5を脚柱2とほぼ平行するように折り畳んで、クランプ6を脚柱2に取着することによって連結装置3を収納状態としているから、嵩張らず、作業台Tを通常の積み重ねない状態で使用する時に連結装置3が作業台Tから殆ど突出しないので作業に支障を来すことがない。
また、図1〜図5の実施形態のように、同じ構造の作業台を積み重ねて使用する際に、下段側の作業台は連結装置3を設けない通常の作業台でもよいが、その場合には連結装置3を設けない通常の作業台と、連結装置3を設けた作業台Tとを選り分けて積み重ね作業を行なわねばならない。然るに、連結装置3を設けた作業台Tのみを図3に示すようにランダムに同じ構造の作業台T,Tを積み重ねればよく、積み重ね作業を迅速に行なうことができ、また同じ構造の作業台Tのみを量産すればよいから、製作費を低減することができる。また同じ作業台Tを積み重ねる時は、上下作業台T,Tの何れか一方の作業台Tの連結装置3のクランプ6を脚柱2から外して反転し、他方の作業台Tの対向する脚柱2に取着することにより連結装置3が連結状態となるから、連結装置3の連結操作が簡単となり、上下の作業台T,Tの上下に対向する脚柱2,2どうしを迅速容易に連結することができて、作業性が良好となる。
また図1〜図5によって説明した実施形態の作業台Tの連結装置3では、取付金具4が各脚柱2の下端部に固定され、この脚柱2の上部側にクランプ6が取り付けられているため、2台の作業台T,Tを積み重ねた時に、上段側作業台Tに設けてある各連結装置3のクランプ6をこの上段側作業台Tの脚柱2の主脚柱2aから外して、連結杆5を下向きに180°反転し、そのクランプ6を下段側の作業台Tの対向する脚柱2の主脚柱2aの上端部に取着することによって連結装置3を連結状態としているが、取付金具4を各脚柱2の上端部に固定し、この脚柱2の下部側にクランプ6を取り付けておいて、2台の作業台T,Tを積み重ねた時に、下段側作業台Tに設けてある各連結装置3のクランプ6をこの下段側作業台Tの脚柱2の主脚柱2aから外して、連結杆5を上向きに180°反転し、そのクランプ6を上段側の作業台Tの対向する脚柱2の主脚柱2aの下端部に取着することによって連結装置3を連結状態とするようにしてもよい。その場合には、上段側の作業台Tは、連結装置3を設けない通常の作業台としてもよく、そうすることにより上に積み重ねる作業台の重量を軽くすることができる。
但し、この実施形態のように、取付金具4を各脚柱2の下端部に固定し、この脚柱2の上部側にクランプ6を取り付けておいて、2台の作業台T,Tの積み重ね時に、上段側作業台Tにある各連結装置3のクランプ6をこの上段側作業台Tの脚柱2の主脚柱2aから外して、連結杆5を下向きに180°反転し、下段側の作業台Tの対向する脚柱2の主脚柱2aの上端部に取着して連結装置3を連結状態とするようにした場合は、各連結装置3のクランプ6の最終的な取着作業を下段の作業台T側、つまり低い位置で行なえるため、作業性が一層良好となる。
また、上述した実施形態の連結装置3では、作業台Tを積み重ねた時に、例えば図5に示すように、上段側作業台Tにある連結装置3のクランプ6をこの上段側作業台Tの脚柱2から外して、連結杆5を、天板1の長手方向に延びる枢着ピン8を中心に図5の矢印Pで示す下向きに180°反転し、下段側の作業台Tの対向する脚柱2の上端部に取着して連結装置3を連結状態とするようにしているが、連結杆5を反転させるのに、図9に示す実施形態のように天板1の長手方向と直交する方向に延びる枢着ピン8′を中心に連結杆5を反転させるようにしてもよい。
即ち、図9の実施形態にあっては、連結装置3の取付金具4をその長手方向の中央部で二分割して、一方の分割体4aを脚柱2の下端部に取り付け、他方の分割体4bを連結杆5の一端部5aに固定すると共に、両分割体4a,4bを天板1の長手方向と直交する方向に延びる枢着ピン8′で枢支連結して、連結杆5が枢着ピン8′を中心として図9の矢印Q方向又はその逆方向に回転できるようにしたもので、作業台Tを積み重ねた時には、図9の仮想線で示すように、上段側作業台Tにある連結装置3のクランプ6を上段側作業台Tの脚柱2から外し、連結杆5を、天板1の長手方向と直交する方向に延びる枢着ピン8′を中心に矢印Qで示す方向(又は逆方向)に180°反転し、そのクランプ6を下段側の作業台Tの対向する脚柱2の上端部に取着して連結装置3を連結状態としている。
図10は本発明に係る作業台Tの他の実施形態を示すもので、作業台Tを上下2段に積み重ねたものを二組、所要間隔をおいて並置し、一方の組の上段側作業台Tの天板1と、他方の組の上段側作業台Tの天板1とを所要長さの連結用天板28により連結するようにした実施形態である。図11には連結用天板28を詳細に図示しており、(a) は連結用天板28を桁側側面から見た正面図、(b) は(a) に示す連結用天板28の一部平面図、(c) は連結用天板28を妻側側面から見た正面図、(d) は図10の(b) の矢印Yで示す部分の拡大平面図である。
上記連結用天板28の桁側側面の両端部には、作業台Tの天板1の上面側に形成された係合穴30(図11の(c) 参照)に係脱可能に係合する連結手段29が設けられている。この連結手段29は、図11の(a) に示すように、倒立L字状でその水平軸部31a先端から作業台Tの天板1の上面に形成された係合穴30に嵌入係合する係合部31bを垂下した連結部材31を備えている。この連結部材31は、その垂下軸部31oが取付ブラケット32にて連結用天板28の前後桁側側面に回転及び上下動自在に取付けられ、且つこの連結部材31の垂下軸部31oの下端と取付ブラケット32との間に介装されたばね33にて常時下方に付勢されている。また、取付ブラケット32には非連結時に係合部31bを連結用天板28の桁側側面に沿わせた状態で嵌入保持する保持部34が設けられている。
しかして、連結時には図11の(a) に矢印aで示すように連結手段29の連結部材31を引き上げて、係合部31bを保持部34から抜き出し、矢印bで示すように垂下軸部31o周りに回転させ、図11の(d) に示すように係合部31bを作業台Tの天板1の係合穴30に位置合わせして引上げを解除することにより、係合部31bを係合穴30に係合させて、連結用天板28と作業台Tの天板1とを所定間隔あけた状態で面一に(同じレベルに)互いに連結することができる。
上記のように作業台Tを上下2段に積み重ねたものを例えば2組、所要間隔をおいて並置し、一方の組の上段側作業台Tの天板1と、他方の組の上段側作業台Tの天板1とを連結用天板28によって連結することにより、作業床面積が広くなり、作業性が格段に向上することになる。また、この場合、連結用天板28の下方にスペースができるため、資材等を跨ぐことができるなどのメリットがある。
図10の(a) の実施形態では、各組の上段側作業台Tの天板1どうしを連結用天板28で連結しただけであるが、同図の(b) に示すように、各組の下段側作業台Tの天板1どうしも、下段側連結用天板28によって連結するようにしてもよく、そうすることによって下段側連結用天板28の上に資材等を載せたまま移動させることも可能となる。この下段側連結用天板28を各組下段側作業台Tの天板1に連結する方法は、上述したような上段側連結用天板28を各組上段側作業台Tの天板1に連結する場合と同様である。
尚、図10の(a) ,(b) では、上段側作業台Tと下段側作業台Tの脚柱2どうしを連結する連結装置3、及び各作業台Tの脚柱2下端部に設けられるキャスター14については図示を省略している。
以上の実施形態では、2台の作業台Tを積み重ねる場合について説明したが、3台以上の作業台Tを積み重ねる場合にも、連結装置3の操作は2台の作業台Tと同様であって、例えば3台の場合には、1段目の作業台Tの連結装置3はそのままにしておいて、2段目の作業台Tの各連結装置3によって2段目の作業台Tと1段目の作業台Tとを連結し、3段目の作業台Tの各連結装置3によって3段目の作業台Tと2段目の作業台Tとを連結すればよい。
また、以上説明した実施形態の作業台Tでは、各脚柱2が伸縮可能で、折り畳み可能に構成されているが、各脚柱2が伸縮不能で折り畳み不能な構造の作業台にも本発明は適用可能である。