JP2009142057A - テンションバランサー - Google Patents

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Abstract

【課題】設置スペースが小さく、組み立てが容易で、高張力を保持することができる電力線用テンションバランサーを提供すること。
【解決手段】少なくとも2組以上のばねユニットと、中軸体と、第1貫通孔と取付部とを有する底部と側面部と上部とを有する柱状の本体と、前記ばねユニットの一端を収容する凹型の複数の第1収容部と少なくとも2つの前記第1収容部の中央に設けられた第2貫通孔とを有するばね台座と、前記ばねユニットの他端を収容する凹型の複数の第2収容部と少なくとも2つの前記第2収容部の中央に設けられた第3貫通孔とを有する上蓋と、を備え、前記ばねユニットは、前記本体に収容された前記ばね台座の前記第1収容部と前記上蓋の前記第2収容部との間に挟装され、前記本体と前記上蓋とは、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を貫通したボルトとナットとによって螺着されることを特徴とするテンションバランサー。
【選択図】 図2

Description

本発明は、変電施設の電力線等の張力を保持するためのテンションバランサーに関する。
変電施設等の電力線(母線)3は、鉄構2間を一定の張力で架線されている。このときの張力は、一般的に、500kgf程度の高張力である。従って、余張をあまりとらない母線3は地震時の揺れ方で架線の素線切れ、鉄構部材の変形、耐張碍子の破損などが生じるおそれがある。ここで、高張力の状態を安定させる機器として、テンションバランサーがある。変電施設では使用されていないが、鉄道会社の電車用の架線(以下、電車線という。)の張力を保持するために用いられている一般的なテンションバランサー(例えば、特許文献1参照。)について、図を基に説明する。図9は、電車線の張力を保持するために用いられている一般的な電車線用テンションバランサー100の構成を示す図である。また、図10は、該電車線用テンションバランサー100の支柱側連結部分の概略構成図である。
電車線用テンションバランサー100は、複数の中筒103をテレスコピック状に配設し、余分な張力が掛かった場合に複数の中筒103のストローク運動が生じるため、十分な設置スペースを必要とする。
また、本電車線用テンションバランサー100は、電車線の支柱と電車線との間に配設されて、電車線が一定の張力を保持するために使用される。ここで、電車線等は屋外に架線されるため、風等の影響を受ける。強風下では、電車線が風で煽られてよじれが生じる場合もある。この場合、設置した電車線用テンションバランサー100には、このよじれが伝わり、電車線用テンションバランサー100内の中筒103や中空ロッド104を回転させる。この回転を防止するために、ブロック状ストッパ113等の部材を必要とする。かかる部材がない場合、電車線のよじれが中筒103の回転となって、電車線のよじれを停止させることができなくなる。よじれ停止のためには、テレスコピック状に配設される複数の中筒103にそれぞれ回転防止部材が必要になり、どうしてもコスト増及び組み立てが複雑となってしまう。
特開2000−158981号公報
電車線用テンションバランサーは、電車線に適した構造をとっており、送電鉄構2と電力線3間にあまり余裕のない変電施設で使用するためには支障が生じる。また、支柱側固定部材117をケーシング101に固定する必要があるが、図9に示すように、複数の中筒103をテレスコピック状に配設したケーシング101に支柱側固定部材117を挿入してU字ボルト119で固定するため、組み立てが複雑となり、高価となる。また、コイルばねを複数本配設しているが、それぞれのコイルばねが複数の中筒103とそれぞれ1対1の関係であり、いわゆる直列に配列した状態であるため、高張力に耐えることができない。上述のとおり、電力線に一般的な電車線用テンションバランサーをそのまま用いることは困難であり、また、取り付け等においても、支障が生じる。そこで、研究を重ね、本発明に至ったものである。
本発明は、小型で且つ設置スペースが小さく、組み立てが容易で、高張力を保持することができるテンションバランサーを提供することを目的とする。また、張力の調整が可能で、設置するだけで架線のよじれを防止できるテンションバランサーを提供することを目的とする。
本発明の一実施形態によれば、少なくとも2組以上のばねユニットと、係止部を有する中軸体と、中心から同心円上に等間隔で少なくとも2個以上設けられた第1貫通孔と外部と接続するための取付部とを有する底部と、所定の位置に穴が配設された側面部と、開口された上部とを有する柱状の本体と、中心に前記中軸体の先端を接合するための開口を有し、前記中心から同心円上に等間隔で配設され前記ばねユニットの一端を収容する凹型の複数の第1収容部と、少なくとも2つの前記第1収容部の中央に設けられた第2貫通孔とを有するばね台座と、中心に前記中軸体の本体を貫通させるための開口を有し、前記中心から同心円上に等間隔で配設され前記ばねユニットの他端を収容する凹型の複数の第2収容部と、少なくとも2つの前記第2収容部の中央に設けられた第3貫通孔とを有する上蓋と、を備え、前記ばね台座は前記本体の内部に収容され、前記ばねユニットは、前記本体に収容された前記ばね台座の前記第1収容部と前記上蓋の前記第2収容部との間に挟装され、前記本体と前記上蓋とは、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を貫通したボルトとナットとによって螺着されることを特徴とするテンションバランサーが提供される。かかる構成により、高張力を保持でき、小型で組み立てが容易なテンションバランサーが提供される。
本発明によれば、小型で且つ設置スペースが小さく、また、組み立てが容易で、高張力を保持することができる電力線用テンションバランサーが提供される。また、張力の調整が可能で、設置するだけで架線のよじれを防止できるテンションバランサーが提供される。
(本発明に係るテンションバランサーの構成)
以下、本発明の一実施形態に係るテンションバランサー1について、電力線用に用いた例(即ち、電力線用テンションバランサーとした例。)を、図1乃至図6を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるわけではない。また、実施形態において、同様の構成については同じ符号を付し、改めて説明しない場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1の概略構成図である。図2は、図1に示したX‐X間の一部断面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーの下面及び前面の概略構成図であり、図3(A)は、下部平面図、図3(B)は、前部平面図である。図1乃至図3に示すように、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、概略、中軸体10、本体ケース30、上蓋40、本体ケース30内に収容されるばね台座20及びばねユニット60から構成され、本体ケース30と上蓋40とは、ボルト50、大小2つのナット(ダブルナット)51、52及び平座金53によって螺着される。
本体ケース30は、底部にシャックル状の取付部33を有する。取付部33中央にはボルト73を貫通させる貫通孔が配設されている。電力線用テンションバランサー1は、鉄構2の支柱に巻回されたワイヤ70の両端にナット71で取り付けられたU字ボルト72叉は鉄構取付部材6に取り付けられたU字ボルト72を、取付部33に挿入し、ボルト73を貫通孔に貫通させて支柱に固定する。取付部33の貫通孔は、この固定用のボルトを貫通させるために使用する貫通孔である。
かかる構成による本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1について、図2及び図3を用いながら、より具体的に説明する。まず、本体ケース30について説明する。本体ケース30は、概略、ケース底部31、ケース側面部32及び取付部33から構成される断面形状がn角形(nは、3以上の自然数。)又は楕円形の上部が開口した柱状のケースである。ケース底部31は、所定の位置にボルト貫通孔35(以下、第1貫通孔ということがある。)が設けられた鋼材からなり、角部が切り落とされた略n角形(nは、3以上の自然数。)又は楕円形の平板である。本実施形態においては、鋼材として一般構造用圧延鋼材SS400を用い、4角形としている。また、ボルト貫通孔35は、少なくとも2個、ケース底部31の中心から同心円上に等間隔で配設される。本実施形態においては、ボルト貫通孔35は、等間隔で4個配設されている。本実施形態においては、ボルト50として皿ボルトを使用するため、ボルト貫通孔35は、内側(ケース側面部32を取り付ける側)から、外側(取付部33を取り付ける側)に向けて拡開するようにテーパ状に開口されている。
ケース底部31の一方の面には、2個のシャックル状の取付部33が、所定の位置に平行して配設される。それぞれの取付部33の所定の位置には、上述したようにそれぞれ貫通孔が設けられている。図3(A)に示すように、電力線用テンションバランサー1を設置対象物に取り付ける場合、ワイヤ70に接続されてナット71で固定されたU字ボルト72を、該貫通孔に貫通させたボルト73によって係止することで固定する。
ケース底部31の他方の面には、両端が開口し、ケース底部31の一辺の長さより小さい径を有する、断面形状がn角形(nは、3以上の自然数。)又は楕円形のパイプからなるケース側面部32が配設される。本実施形態においては、ケース底部31の形状に対応して、一般構造用角型鋼管STKR400からなる4角柱の角パイプを用いている。ケース側面部32は、ケース底部31にろう付け又は溶接されて接合される。なお、ケース側面部32の四面のうちの一面(製品化段階で下面に該当する面)には、図3(A)に示すように、先端側(上部側)に半円形の切り欠きが設けられている。この切り欠きは、ケース本体30内部に溜まった雨水等を放出するための水抜き穴34である。
図2に示すように、本体ケース30の内部には、ばね台座20が収容される。ばね台座20について図を用いて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1のばね台座20の概略構成図であり、図4(A)は断面図、図4(B)は平面図である。図4に示すように、ばね台座20は、中心及び中心から同心円上の所定の位置にそれぞれ貫通孔が設けられた、断面形状がn角形(nは、3以上の自然数。)又は楕円形の、鋼材からなる平板である。本実施形態においては、鋼材として一般構造用圧延鋼材SS400を用い、4角形としている。形状は本体ケース30に合わせて設定される。
図4(B)に示すように、ばね台座20の中心に設けられた孔は、後述する中軸体10の本体11先端部を挿入するための孔であり、以下、中軸体挿入孔22という。中軸体挿入孔22は、図4(A)に示すように、外部側から内部側に向かって(図4(A)に向かって、左側から右側に向かって。)所定の位置までテーパ状に形成される。即ち、内部側から所定の位置まで同一の径で形成され、所定の位置から外部方向に向かって拡開するように形成される。これは、後述するように、中軸体10を該中軸体挿入孔22に挿入してろう付け又は溶接する際に、ろう材を注入し易くして加工の容易性を確保するためである。また、この中心から同心円上の所定の位置に配設される貫通孔は、上述したケース本体30と上蓋40とを螺着するボルト50を貫通させるための孔であり、以下、ボルト貫通孔23という(又は、第2貫通孔ということがある。)。本実施形態においては、4個のボルト貫通孔23が、同心円上に等間隔で設けられ、該ボルト貫通孔23の径は、ボルト50の径に応じて設定される。また、ボルト貫通孔23の配設する位置は、ばね台座20を本体ケース30に収容した場合に、該ボルト貫通孔23が、ケース底部31に配設したボルト貫通孔35と同軸上となる位置に配設される。
ばね台座20内側(図4(A)に向かって右側、本体ケース30に収容された状態で上蓋40側。)の所定の位置には、ばねユニット60の先端を収容するための窪みである、凹状の円形の台座ばねユニット収容部21(以下、第1収容部ということがある。)が形成される。台座ばねユニット収容部21は、ばねユニット60の配設個数に対応する数が形成される。従って、本実施形態においては4個形成される。また、台座ばねユニット収容部21の径は、ばねユニット60の外径よりも大きく設定され、従って、ばねユニット60の先端が該台座ばねユニット収容部21に収容され左右にずれることがない。なお、本実施形態においては、台座ばねユニット収容部21の中心と、上述したボルト貫通孔23の中心は一致する。従って、ボルト50は、台座ばねユニット収容部21に収容されたばねユニット60の中心を貫通することになる。但し、これに限定されるわけではなく、台座ばねユニット収容部21の個数とボルト貫通孔23の個数とが異なってもよい。
図2に示したように、本体ケース30には、上蓋40が冠着されて、ボルト50によって螺着される。図5を用いて、上蓋40について具体的に説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1の上蓋40の概略構成図であり、図5(A)は、断面図、図5(B)は、平面図である。図5(B)に示すように、上蓋40は、中心及び中心から同心円上の所定の位置に貫通孔が設けられた、鋼材からなる断面形状がn角形(nは、3以上の自然数。)又は楕円形の平板である。本実施形態においては、鋼材として一般構造用圧延鋼材SS400を用い、4角形としている。形状は本体ケース30に合わせて設定される。
上蓋40の一辺の長さは、本体ケース30の側面部32の四角形の断面の一辺の長さより大きく設定される。従って、上蓋40を本体ケース30上部に取付けた場合、上蓋40が本体ケース30の側面部32先端の開口を被覆することとなる。
上蓋40の中心に設けられた孔は、後述する中軸体10の本体11を挿入するための孔であり、以下、中軸体貫通孔43という。貫通される中軸体10の動きに支障がないように、中軸体貫通孔43の径は、中軸体10の本体11の径よりも大きく設定される。また、本実施形態においては、中軸体貫通孔43は矩形に形成されているが、これは貫通される中軸体10の本体11の断面形状に合わせて設定された形状である。但し、これに限定されるわけではなく、中軸体10の本体11の断面形状が円形であれば、中軸体貫通孔43の形状も円形であっても良い。また、中軸体10の本体11の形状と異なる形状であっても良い。
この中心から同心円上の所定の位置に配設される貫通孔は、上述したケース底部31及びばね台座20に設けられた第2貫通孔23、第1貫通孔35と同様に、ケース本体30と上蓋40とを螺着するボルト50を貫通させるための孔であり、以下、ボルト貫通孔44という(又は、第3貫通孔ということがある。)。本実施形態においては、4個のボルト貫通孔44が、同心円上に等間隔で設けられ、該ボルト貫通孔44の径は、ボルト50の径に応じて設定される。ボルト貫通孔44の配設される位置は、本体ケース30に上蓋40を取付けた場合に、上述したケース底部31のボルト貫通孔35及び本体ケース30内に収容されたばね台座20に設けられたボルト貫通孔23と同軸上になる位置に配設される。したがって、配設される個数も、ボルト貫通孔35及びボルト貫通孔23と同数配設される。
上蓋40の内側(図5に向かって、左側。本体ケース30に接する側。)には、上述したばね台座20と同様に、所定の位置にばねユニット60の先端を収容するための窪みである凹状の円形の上蓋ばねユニット収容部41(以下、第2収容部ということがある。)が形成される。上蓋ばねユニット収容部41は、ばねユニット60の配設個数に対応する数が形成され、従って、本実施形態においては4個形成される。また、上蓋ばねユニット収容部41の径は、ばねユニット60の外径よりも大きく設定され、従って、ばねユニット60の先端が該上蓋ばねユニット収容部41に収容され左右にずれることがない。なお、上蓋ばねユニット収容部41の中心と、上述したボルト貫通孔44の中心は一致し、従って、後述するボルト50は、上蓋ばねユニット収容部41に収容されたばねユニット60の中心を貫通することになる。
図2に示したように、上述した上蓋40とばね台座20とを接続するために、中軸体10が配設される。中軸体10は、長手方向に直交する方向の断面が矩形の棒状の本体11と、中央部に円形の開口を有する略円形の中軸体係止部12とから構成される。
図6を基に、ばね台座20、上蓋40及び中軸体10の接続状態を説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1のばね台座20、上蓋40及び中軸体10の接続関係を示す概略構成図であり、図6(A)は、断面図、図6(B)は、前部平面図である。図6(A)に示すように、上蓋40の外部側(図6に向かって右側。第2収容部41が形成されていない側。)から中軸体貫通孔43を貫通して挿入された中軸体10の先端は、ばね台座20の内側(図6に向かって右側。第1収容部21が形成されている側。)から中軸体挿入孔43に挿入され、接合部24においてろう付け又は溶接されてばね台座20に固定される。従って、この状態においては、上蓋40は、中軸体係止部12と、該中軸体10に接合されたばね台座20との間を、中軸体10の本体11に沿って摺動可能な状態となる。図6(B)に示すように、前方(上蓋40外側。)から見た場合、上蓋40に中軸体10が挿入されているのが理解される。
図2に示したように、本実施形態に係る電力線用テンションバランサー1においては、中軸体10がろう付け又は溶接されて固定されたばね台座20と、中軸体10が貫通された上蓋40との間に、ばねユニット60が配設される。ばねユニット60は、m個(mは、2以上の自然数。)のコイルばねから構成される。本実施形態においては、3個のコイルばねが、1組のばねユニットを構成するが、これに限定されるわけでなく、電力線3に求められる張力に応じて、コイルばねの個数が増減される。m個のコイルばねは、入れ子状に組み合わされて1組のばねユニット60を構成する。即ち、複数のばねが、並列に配設されることになる。このとき、隣接するコイルばねは、ばねの巻きの方向が相互に異なる方向のコイルばねを配設する。本実施形態においては、3個のコイルばねは、一番大きな外ばね63の内部に2番目に大きな中ばね62が配設され、中ばねの内部に一番小さな内ばね61が配設される。本実施形態においては、外ばね63と内ばね61は、コイルの巻きが右巻きで、中ばね62が左巻きである。但し、これに限定されるわけではなく、隣接するコイルばねの巻きの方向が同一であっても良い。
ばねユニット60は、図6(A)に示した、ばね台座20と、該ばね台座20と接合された中軸体10に沿って摺動可能に配設された上蓋40との間に配設される。ばねユニット60は、上蓋40を中軸体10の係止部12方向に最大限摺動させてばね台座20と上蓋40との間隔を最大限に開き、該ばねユニット60を圧縮した状態で横方向から前記間隔に挿入される。挿入後、ばねユニット60は復元力で伸張し、該ばねユニット60の一方の端部がばね台座20の第1収容部21に収容され、該ばねユニット60の他方の端部が上蓋40の第2収容部41に収容される。第1収容部21及び第2収容部41は凹状であるため、ばねユニット60は両端が第1収容部21及び第2収容部41で挟まれ、左右にずれることはない。従って、ばねユニット60をろう付け又は溶接して接合する必要がなく、本実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、組み立てが容易である。
所定の数のばねユニット60が配設された後、上蓋40及び中軸体10が連結されたばね台座20は、本体ケース30内部に収容される。このとき、本体ケース30の底部31にろう付け又は溶接されて平行に接合された2個の取付部33と、ばね台座20にろう付け又は溶接されて接合された中軸体10の係止部12の開口とが、直交する方向に位置するように、ばね台座20を本体ケース30内に収容する。これによって、電力線用テンションバランサー1を設置した場合に、鉄構2側のワイヤ70と中軸体係止部12に係止される電力線3側の碍子5(図示しない)のフックとが直線状となり、よじれを生じることなく電力線用テンションバランサー1を設置できる。上蓋40及び中軸体10が連結されたばね台座20を本体ケース30に収容した状態においては、本体ケース30のボルト貫通孔35と、ばね台座20のボルト貫通孔23と、上蓋40のボルト貫通孔43とが、それぞれ同軸上に直列に並んだ状態となる。
上蓋40及び中軸体10が連結されたばね台座20を、本体ケース30に収容した後、本体ケース30の底部31側から、ボルト貫通孔35にボルト50を挿入する。上述したように、ボルト貫通孔35、ボルト貫通孔23、ボルト貫通孔43は同軸上に位置するため、ボルト50は、本体ケース30、ばね台座20及び上蓋40を貫通し、上蓋40の外部側に突出する。突出したボルト50の先端に、平座金53を挿入したうえで、六角ナット(大)51及び六角ナット(小)52によって、本体ケース30と上蓋40とを螺着する。いわゆるダブルナットとすることで、両者間の強固な螺着を得ることができる。なお、本実施形態においては、ボルト50に皿ボルトを使用しているが、これに限定されるわけではない。しかし、強固な螺着が得られ、また、本体ケース30の取付部33側にボルト50の頭が突出せず、取付部33にボルト73を挿入してU字ボルト72を係止して鉄構2に取付ける際に支障とならないことから、皿ボルトを好適に用いる。また、ボルト50を、本体ケース30の底部31側から貫通させているが、上蓋40側から貫通させても良い。但し、鉄構2等の対象物に取り付ける際に、ナットを締める際に作業が難しくなる場合があり、本実施形態のように、本体ケース30の底部31側からボルト50を貫通させることが好適である。
(本発明に係るテンションバランサーの作動態様と機能)
以下に、上述した電力線用テンションバランサーが電力線に設置された場合の作動態様と機能について説明する。ばね台座20は本体ケース30に収容されただけで、本体ケース30とばね台座20とは接着されていない。従って、中軸体10がろう付け又は溶接されて接合されたばね台座20と、上蓋40がボルト50及び大小2つのナット51、52によって螺着された本体ケース30とは、別個に移動可能な状態である。但し、本体ケース30と螺着された上蓋40には、ばね台座20に接合された中軸体10が貫通しており、一方、ばね台座20には、本体ケース30と上蓋40とを螺着している4本のボルト50が貫通している。従って、ばね台座20と本体ケース30のそれぞれが移動する場合は、それぞれがボルト50又は中軸体10に沿って摺動することになる。そして、上述したように、ばね台座20と上蓋40との間には、4組のばねユニット60が配設されているため、ばね台座20と本体ケース30のそれぞれが移動する場合、いずれが移動する場合であっても、4組のばねユニット60を圧縮しながら移動することになる。勿論、双方が移動する場合には、4組のばねユニット60をより強く圧縮することになる。上述の説明のとおり、電力線3に掛かる張力は、これら4組のばねユニット60のばねの圧縮のバランスにより、中軸体10と本体ケース30との間で解消されることとなる。
なお、電力線3が強風で煽られてよじれが生じた場合に、電力線用テンションバランサー1に該よじれが伝達する。本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、電力線3に接続された碍子5のフックが係止される中軸体10が、角を有するばね台座20にろう付け又は溶接されて接合されている。ばね台座20は同様に角を有する本体ケース30に収容されるため、中軸体10を回転させる力が働いても、ばね台座20の角が本体ケース30の角に当接し、中軸体10の回転が防止される。さらに、ばね台座20は、本体ケース30に収容されたうえで、ボルト貫通孔35、23、43を貫通したボルト50によって本体ケース30及び上蓋40と一体化されるため、これによっても中軸体10の回転が防止される機能が発揮される。
次に、本発明に係る電力線用テンションバランサー1が、鉄構2と、電力線3に接続された碍子5との間に設置された場合に張力を保持する仕組みについて、図7及び図8を基に説明する。図7は、変電施設の電力線について、本発明に係る電力線用テンションバランサーを設置しない場合(A)と設置した場合(B)を示す模式図であり、図8は、図7(B)に示した部分Aの拡大図である。図7(B)に示すように、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーは、鉄構2と、電力線3に接続された碍子5との間に配設される。より詳細には、図8に示すように、設置対象物である鉄構2に取り付けられた鉄構取付部材6に接続されたU字ボルト72に、電力線用テンションバランサー1の本体ケース30の取付部33を、該U字ボルト72を挟み込むように装着し、ボルト73を挿入して螺着する。一方、電力線3に接続された碍子5のシャックルが、中軸体10の係止部12にボルトで螺着されて係止され、これによって、鉄構2と、碍子5が接続された電力線3との間に電力線用テンションバランサー1が介在する状態となる。取付け時には、ばねユニット60(図示せず)がボルト50(図示せず)の中間位置程度まで圧縮された状態で取付ける。従ってこのとき、ケース底部31(図示せず)とばね台座20(図示せず)との間には、間隙が生じることになる。電力線3の両端において、電力線用テンションバランサー1が上述の取付け方法によって鉄構2に取り付けられる。
本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1をこのように配設した場合、地震時において鉄構2が左右に揺れて電力線3に張力が掛かると電力線3の両端に取り付けた電力線用テンションバランサー1に張力が掛かることになる。しかし、この張力は、電力線用テンションバランサー1内のばねユニット60の圧縮、伸張によって吸収され、電力線3及びアレスタ4には、余分な張力が掛からず、アレスタ4の切断を防止できる。
(本発明に係るテンションバランサーの効果)
本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1の効果について説明する。上述したように、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、3個のコイルばねから構成されるばねユニット60を、本体ケース30内に並列して配設している。そして本体ケース30に螺着された上蓋40と、中軸体10が固定されたばね台座20との間に、前記4組のばねユニット60を配設しているため、電力線用テンションバランサー1のストロークは、ばねユニット60の圧縮される長さと同等であり、ストロークが非常に短い。また、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、複数の中筒103をテレスコピック状に配設するものではないため、該電力線用テンションバランサー1自体の全長も短い。従って、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、小型であり、また、設置スペースが小さくて済む。本実施形態においては、図1に示した中軸体係止部12から取付部33に接続されたU字ボルト72の両端のナット71までの電力線用テンションバランサー1の全長が、185mmと非常に短くなっている。
また、上述したように4組のばねユニット60を配設しているため、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーは、高張力を保持することができる。電力線(母線)3は一定の張力(一般的に、500kgf。)で架線されているが、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、かかる高張力を十分保持することができる。また、地震時における鉄構2の左右の揺れは、上述したシミュレーションにおいては、±6mmであったが、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、上述した構成でシミュレーションによって計測したところ、±12mmの揺れに対応できることが判明した。従って、地震時においても、アレスタ4の切断を適切に防止することができる。
さらに、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、組み立てが容易であり、また、鉄構2への設置が容易である。上述したように、第2収容部41を有する上蓋40を貫通した中軸体10を、第1収容部21を有するばね台座20にろう付け又は溶接して接合し、上蓋40とばね台座20との間に、圧縮したばねユニット60を配設して第1収容部21と第2収容部41とでばねユニット60を挟装する。従って、ばねユニット60のろう付けが不要である。さらに、ばねユニット60を挟装し、上蓋40及び中軸体10と一体化されたばね台座20を、本体ケース30に収容して、本体ケース30と上蓋40とをボルト50で螺着して形成する。従って、組み立てが非常に容易である。また、皿ボルトを使用いているため、鉄構2に取付ける側にボルトの頭が突出することがない。従って、鉄構2に設置する場合、取付部33にボルト73を装着する際に、ボルト50の頭が障害となることがないため、狭いスペースにおいても容易に設置できる。
またさらに、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、電力線3の張力を、本体ケース30内部に配設されるばねユニット60の弾性復元力によって保持する。ばねユニット60は、該ばねユニット60を構成するコイルばねの数を調整することができる。また、電力線用テンションバランサー1は、本体ケース30内部に配設するばねユニット60の組数を調整することもできる。従って、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、ばねユニット60を構成するコイルばねの数、及び該電力線用テンションバランサー1内に配設するばねユニット60の組数を調整することで、電力線3が必要とする張力を、余裕をもって確保することができる。
なおさらに、本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサー1は、ばね台座20が本体ケース30と当接し、且つ本体ケース30とばね台座20及び上蓋40とがボルト50を貫通して螺着されている。従って、強風で電力線によじれが生じても、該電力線用テンションバランサー1でよじれを抑制することができる。しかも、かかるよじれ防止のために、ブロック状ストッパや回り止めブロックの別部材を必要とすることもない。なお、本発明の一実施形態に係るテンションバランサーは、上記例に限定されることはない。
本発明に係るテンションバランサーは、高張力の保持が必要とされる架線の取り付けに使用することができ、変電施設等の電力線のみならず、電車線等においても好適に利用することが期待できる。
本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーの概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーの一部断面図である。 本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーの下面図及び前面図である。 本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーのばね台座の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーの上蓋の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーのばね台座、上蓋及び中軸体の接続関係を示す概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーを変電施設の電力線に設置しない場合と、設置した場合を示す模式図である。 図7に示した本発明の一実施形態に係る電力線用テンションバランサーの設置状況模式図の部分Aの拡大図である。 一般的な電車線用テンションバランサーの構成を示す断面図である。 図9に示す電力線用テンションバランサーの支柱側連結部分の概略構成図である。
符号の説明
1:電力線用テンションバランサー
2:鉄構
3:電力線(母線)
4:アレスタ(避雷針)
5:碍子
6:鉄構取付部材
10:中軸体
12:中軸体係止部
20:ばね台座
21:第1収容部(台座ばねユニット収容部)
22:中軸体挿入孔
23:ボルト貫通孔(第2貫通孔)
30:本体ケース
31:ケース底部
32:ケース側面部
33:取付部
34:水抜き穴
35:ボルト貫通孔(第1貫通孔)
40:上蓋
41:第2収容部(上蓋ばねユニット収容部)
43:中軸体貫通孔
44:ボルト貫通孔(第3貫通孔)
50:ボルト(皿ボルト)
60:ばねユニット
70:ワイヤ
71:ナット
72:U字ボルト
73:ボルト
100:電車線用テンションバランサー
101:ケーシング
103:中筒
104:中空ロッド
111:ガイドロッド
113:ブロック状ストッパ
117:シャックル状連結部B
118:回り止めブロック
119:U字ボルト

Claims (7)

  1. 少なくとも2組以上のばねユニットと、
    係止部を有する中軸体と、
    中心から同心円上に等間隔で少なくとも2個以上設けられた第1貫通孔と外部と接続するための取付部とを有する底部と、所定の位置に穴が配設された側面部と、開口された上部とを有する柱状の本体と、
    中心に前記中軸体の先端を接合するための開口を有し、前記中心から同心円上に等間隔で配設され前記ばねユニットの一端を収容する凹型の複数の第1収容部と、少なくとも2つの前記第1収容部の中央に設けられた第2貫通孔とを有するばね台座と、
    中心に前記中軸体の本体を貫通させるための開口を有し、前記中心から同心円上に等間隔で配設され前記ばねユニットの他端を収容する凹型の複数の第2収容部と、少なくとも2つの前記第2収容部の中央に設けられた第3貫通孔とを有する上蓋と、を備え、
    前記ばね台座は前記本体の内部に収容され、
    前記ばねユニットは、前記本体に収容された前記ばね台座の前記第1収容部と前記上蓋の前記第2収容部との間に挟装され、
    前記本体と前記上蓋とは、前記第1貫通孔、前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を貫通したボルトとナットとによって螺着されることを特徴とするテンションバランサー。
  2. 前記中軸体に荷重が負荷された場合、前記ばね台座は、前記ばねユニットを圧縮しながら、前記ボルトに沿って摺動することを特徴とする請求項1に記載のテンションバランサー。
  3. 前記中軸体は、該中軸体の本体が前記上蓋の前記開口を通されたうえで該中軸体の先端が前記ばね台座の開口に挿入されて接合されることを特徴とする請求項1に記載のテンションバランサー。
  4. 前記第1貫通孔は内部方向から前記本体底部に向かって拡開するようにテーパ状に形成され、
    前記ボルトは皿ボルトであることを特徴とする請求項1に記載のテンションバランサー。
  5. 前記第1収容部及び前記第2収容部の径は、前記ばねユニットの外径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のテンションバランサー。
  6. 前記ばねユニットは、m個(mは、2以上の自然数)のばねが入れ子状態で配設され、且つ隣接するばねの巻きの方向が相互に異なることを特徴とする請求項1に記載のテンションバランサー。
  7. 前記本体は、断面形状がn角形(nは、3以上の自然数)叉は楕円形であることを特徴とする請求項1に記載のテンションバランサー。
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