JP2005295785A - 長幹支持がいしの固定構造 - Google Patents

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郁夫 横井
Yasuo Matsumoto
康夫 松本
Toshiaki Mori
利昭 森
Kazumi Nakayama
一身 中山
Yukio Akanegawa
幸男 赤根川
Takayoshi Masuda
隆良 増田
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Abstract

【課題】大きな振動に対しても長幹支持がいしが破損することなく、従って大きな振動が発生した後でもその機能を維持できる長幹支持がいしの固定構造を提供すること。
【解決手段】 送電鉄塔12のアームに固定された取付プレート20と長幹支持がいし11の送電鉄塔側の端部プレート18とを、端部プレート18のボルト孔19及び取付プレート20のボルト孔21にボルト22を貫通してナット27により固定した長幹支持がいしの固定構造である。ボルト22は、ボルト孔19,21に遊嵌され、ボルト22には、弾性部材24(24A,24B)が介在され、これらの弾性部材24(24A,24B)は所定の圧縮力で締め付けられた状態でボルト22に螺合するナット27により締結されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、地震など外部からの異常振動によっても破損することのない長幹支持がいしの固定構造に関する。
長幹支持がいしとは、送電線の電線を引き止めている一対の耐張装置の間で電線を連絡しているジャンパ線と送電鉄塔との間を所要の絶縁間隔に保つためにジャンパ線と送電鉄塔の支持アーム(取付プレート)との間を懸垂して設置されるものであり、ジャンパ支持がいしとも呼称されている。
このような長幹支持がいしでは、大型の台風を想定して長幹支持がいしが破損しないような片持ち梁曲げ強度を有するように設計されているが、地震に対する対策は十分ではない。例えば、直下型の大きな地震に対しては一般的に使用されている長幹支持がいしは鉄塔側の端部プレートの際(きわ)の磁器部で折損する可能性がある。このため、このような長幹支持がいしの耐震性を高めるための試みが提案されている(例えば、特許文献1又は非特許文献1参照)。
特許文献1では、長幹支持がいしを取り付けるための脆弱な取付部材が提案されている。この取付部材1は、図19に示すように、不図示の送電鉄塔に突設されたアーム3と長幹支持がいし4との間に介在される部材であり、長幹支持がいし4の端部金具4aに固定される端部側金具1aと、アーム3に固定されるアーム側金具1bとを備え、端部側金具1aとアーム側金具1bとの間に細径部2aを有する柱状部材2が形成され、その端部側金具1aとアーム側金具1bとの間に補助具である複数の金属鎖5が掛け渡されている。
これにより、長幹支持がいし4は、この取付部材1を介して送電鉄塔のアーム3に取り付けられ、大きな揺れが発生した場合には、長幹支持がいし4が破損する以前にこの細径部2aが破損することにより、長幹支持がいし4の破損が防止される。また、この取付部材1が破損した場合にも、金属鎖5に支えられて、長幹支持がいし4が地上に落下することが防止されている。
また非特許文献1では、長幹支持がいし(ジャンパー支持がいし)の地震対策として、ロックピンによるヒューズ機構を採用した取付部材が提案されている。この取付部材では、ロックピンを備えた免震アダプターが採用され、この免震アダプターは、特許文献1に記載の取付部材1と同様に、アーム3と長幹支持がいし4との間に介在される部材であり、大きな振動に対してはこのロックピンが破損するように設計されている。
特開平9−46868号公報(図4) R&D News Kansai、関西電力株式会社電力システム室架空送電課著「154kV送電ジャンパー支持がいしの地震対策」、関西電力株式会社出版、1997年4月号、P.5-7
しかしながら、この取付部材を既設の長幹支持がいしの対策のために利用しようとすると、アームと長幹支持がいしとの間に取付部材を介在させる構成なので、長幹支持がいしの設計寸法を維持することが困難となる。取付部材の全長を極力短く設計するのは構造上の限界があり、取付部材の長さを短くすることが困難である。また、従来の取付部材は構造が複雑であり、従って取付部材の価格が高くなる。また、従来の取付部材を取り付ける
場合に、一旦、支持がいしを取り外してから取り付ける必要があり、手間がかかる。
さらに、従来の取付部材では、取付部材自身が破損することにより長幹支持がいしの破損を防止する構成であるので、大きな揺れにより取付部材が破損した場合には、長幹支持がいしの機能が発揮できなくなり、取付部材の補修又は交換作業が必要となる。
そこで、本発明は、大きな振動に対しても長幹支持がいしが破損することなく、従って大きな振動が発生した後でもその機能を維持できる長幹支持がいしの固定構造を提供することを課題とする。
また、本発明の他の課題は、既設の長幹支持がいしの対策に用いた場合にも、取り付ける手間がかからない長幹支持がいしの固定構造を提供することにある。
また、本発明の更なる課題は、長幹支持がいし自体の設計寸法を極力維持できる長幹支持がいしの固定構造を提供することにある。
請求項1記載の発明は、送電鉄塔のアームに固定された取付プレートと長幹支持がいしの送電鉄塔側の端部プレートとを、前記端部プレートのボルト孔及び前記取付プレートのボルト孔にボルトを貫通してナットにより固定した長幹支持がいしの固定構造であって、
前記ボルトは、前記ボルト孔に遊嵌され、前記ボルトには、弾性部材が介在され、前記弾性部材は所定の圧縮力で締め付けられた状態で前記ボルトに螺合するナットにより締結されていることを特徴とする長幹支持がいしの固定構造である。
このように構成すれば、弾性部材の復元力により取付プレートと端部プレートとは強固に直接又は弾性部材が介在されて所定の圧縮力を維持しつつ固定される。ジャンパ線や長幹支持がいし等に横揺れ振動などの外力が作用して長幹支持がいしに強い曲げ応力が発生すると、この強い曲げ応力は、遊嵌されてボルト孔を貫通するボルトを介して弾性部材に作用する。弾性部材は、所定の圧縮力よりも強い応力を受けた場合には、弾性により強い応力を吸収することで、例えば、振動を減衰させることができ、長幹支持がいしの強い曲げ応力の負担が軽減でき、長幹支持がいしの破損を防止することができる。
これにより、大きな振動に対しても長幹支持がいしが破損することなく、従って大きな振動が発生した後でもその機能を維持できる長幹支持がいしの固定構造を提供することができる。
請求項2記載の発明は、前記ナット及び/又はボルト頭部と取付プレートとの間には、所定の大きさの係止プレートが介在され、前記弾性部材は、前記係止プレートと前記取付プレートとの間及び/又は前記取付プレートと前記端部プレートとの間に介在されていることを特徴とする請求項1記載の長幹支持がいしの固定構造である。
このように構成すれば、係止プレートを用いるので、振動を吸収・減衰させるために弾性部材が変形しても係止プレートがこの弾性部材を安定して保持することができる。
ここで、ナット及び/又はボルト頭部と取付プレートとの間には、所定の大きさの係止プレートが介在され、弾性部材が係止プレートと取付プレートとの間のみに介在されていてもよい。
このように構成すれば、取付プレートと端部プレートとは密着したまま、弾性部材を取り付けることができるので、作業性が良好である。
また、この弾性部材は、取付プレートとナット及び/又はボルト頭部との間に介在されるので、長幹支持がいしの設計寸法を維持することができる。これにより、本発明の長幹支持がいしの固定構造を既設の長幹支持がいしの対策に用いた場合には取り付けに要する工数を低減させることができる。
さらに、このように構成すれば、弾性部材の復元力により取付プレートと端部プレートとは強固に固定されている。ジャンパ線や長幹支持がいし等に風力が作用してこの取付プレートと端部プレートとの間を離反させる離反力が作用しても、この離反力が弾性部材の復元力よりも小さい場合には端部プレートは取付プレートとは離反されずに、取付プレートと端部プレートとの固定が維持される。
これに対して、大きな直下型地震等に起因してこの離反力が弾性部材の復元力よりも大きい場合には、端部プレートは取付プレートとから離反してこの離反力を吸収して長幹支持がいしに掛かる曲げ応力を吸収させることができる。また、地震等の揺れが小さくなってこの離反力が弾性部材の復元力よりも小さくなると弾性部材の復元力が離反力に抗して強くなるので、離反した端部プレートと取付プレートとの隙間は閉鎖した元の状態に戻り、端部プレートは取付プレートに強固に固定される。
これにより、一時的に長幹支持がいしに振動などの外部応力が強く作用して曲げ応力が発生すると、その曲げ応力は遊嵌されたボルトを通して弾性部材に導入されるので、弾性部材の圧縮変形に基づいてこの外部応力が吸収され、長幹支持がいしの破損を防止することができる。
請求項4記載の発明は、前記ボルトは、取付プレート側から尾部を端部プレートから突出して挿嵌され、該尾部の突出長さを調整するためのスペーサが、前記取付プレートと前記ボルト頭部との間に介在されていることを特徴とする請求項1に記載の長幹支持がいしの固定構造である。
このように構成すれば、ボルト尾部の突出長さが調整できるので、長さの長いボルトを用いても、ボルト尾部のがいし本体との干渉を防ぐことができる。
請求項5記載の発明では、弾性部材として皿ばねを選択することにより、皿ばねは、荷重の方向に比較的容積の小さい割合に大きな容量を確保することができ、また、重ねて使用する並列使用により、板間の摩擦も利用できるので、小サイズで大荷重に対応できる長幹支持がいしの固定構造を提供することができる。
また、取付プレートと端部プレートとの間に皿ばねを介在させる場合には、皿ばねの厚みを薄くできるので、長幹支持がいしの設計長さをそれほど変更することがなく弾性部材を介在させることができる。これにより、例えば、取付プレートの両面に弾性部材を介在させることができ、振動吸収効率の良好な長幹支持がいしの固定構造を得ることができる。
また、請求項6記載の発明は、係止プレートと取付プレートとの間に圧縮力を調整するための長さ調整部材が介在されているので、係止プレートと取付プレートとの間の距離をこの長さ調整部材に基づいて調整することによりナットの締め付け力を調整することができる。
請求項7記載の発明は、この長さ調整部材は、前記圧縮力よりも小さい荷重で変形可能であり、前記弾性部材の周囲を覆う環状部材であることを特徴とする請求項4記載の長幹支持がいしの固定構造である。
このように構成すれば、弾性部材が圧縮された場合に所定の圧縮力となる変形量に相当する寸法の環状部材を弾性部材の周囲に配設すれば、外部から視認しつつ常に所定の圧縮力により弾性部材を圧縮した状態で取付固定することができる。また、この長さ調整部材が圧縮力よりも小さい荷重で変形可能で有れば、弾性部材の衝撃吸収機能を損なうことがない。さらに地震の後、長さ調整部材の変形状況を確認することにより、地震により作用した荷重のレベルを把握することができ、地震後の点検の参考とすることもできる。
これにより、長幹支持がいしに大きな振動が作用しても、弾性部材によりその振動が吸収されるので長幹支持がいしが破損することがない。
請求項8記載の発明は、前記ボルト孔と前記ボルトとの間及び/又は前記弾性部材と前記ボルトとの間には、ボルトの進退をスムースとするガイド部材が介在されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の長幹支持がいしの固定構造である。
このように構成すれば、取り付ける手間が低減できる。
また、請求項9に記載の発明は、ナットが弾性部材を所定の圧縮力で締め付けた状態でナットの緩みが防止されているので、長期間に亘ってもこの締め付け状態を維持することができる。
このようなナットとしてはもどり止めナット又はロックナットが例示でき、また、このようなナット及び係止プレートとしては、ナットと係止プレートとが一体となった座金付きナットが例示できる。
本発明によれば、大きな振動に対しても長幹支持がいしが破損することなく、従って大きな振動が発生した後でもその機能を維持できる長幹支持がいしの固定構造を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1は、本発明が適用される最良の形態に係る長幹支持がいし11の機能と、地震時の長幹支持がいしに掛かる荷重との関係を説明する説明図である。
この図においては符号12は送電鉄塔であり、多数の送電鉄塔12…間(図では1塔のみ図示)を電線13が架空され、その電線13は送電鉄塔12付近で耐張装置としてのがいし14、14により絶縁されつつジャンパ線15により連絡されている。
このジャンパ線15の適宜の位置(例えば略中央部)には、先端部16をジャンパ線15に固定した長幹支持がいし11が架設されている。この長幹支持がいし11は、図2〜図4に示すように、基部17の端部プレート(フランジ部18)において、送電鉄塔12のアームに固定された取付プレート20(図1では、不図示)にボルト及びナット(いずれも図1では不図示)により固定されている。
ここで、本発明の長幹支持がいしの固定構造では、この端部プレート18のボルト孔19及び取付プレート20のボルト孔21にボルト22が遊嵌されて貫通されている。またこのボルト22は弾性部材24を介在させた状態で、尾部22bからナット27により所定の圧縮力(軸力)で締め付け固定されている。
ここで、図2の長幹支持がいしの固定構造では、弾性部材24は、取付プレート20の上下の両側に設けられている。上側(ボルト頭部22a側又は送電鉄塔12側)の弾性部材24Aは、押さえ座金(係止プレート)26Aと押さえ座金26Bとの間に挟持され、下側(がいし側)の弾性部材24Bは,一対の押さえ座金26C、26Cを介して取付プレート20とフランジ部18との間に挟持されている。ここで、いずれの弾性部材24A、24Bも皿ばねが採用され、弾性部材24Bの厚みは弾性部材24Aの厚みよりも薄く設計されている。
また、図3の長幹支持がいしの固定構造では、図2の弾性部材24Bとして、皿ばねに代えてフランジ部18と略同一径の円盤状のゴム(防振ゴム)が用いられている。
また、図4の長幹支持がいしの固定構造では、弾性部材24としては、ゴム素材からなる弾性部材24Bのみからなり、送電鉄塔12側の弾性部材24Aが省略されている。また、この例では、ボルト22の尾部22bは送電鉄塔12側に突出されている。
いずれの長幹支持がいしの固定構造においても、弾性部材24(24A、24B)が所定の圧縮力(軸力)で圧縮されて固定されている。これにより、ジャンパ線15や長幹支持がいし11等に横揺れ振動などの大きな外力が作用して長幹支持がいし11に強い曲げ応力が発生すると、この強い曲げ応力は、遊嵌されてボルト孔19,21を貫通するボルト22を介して弾性部材24に作用する。弾性部材24は、所定値以上の強い応力に対しては、弾性により応力を吸収することで、振動を減衰させる。これにより、長幹支持がいし11の曲げ応力の負担が軽減でき、長幹支持がいし11の破損を防止することができる。この間、ボルト22は貫通孔19,21に遊嵌されているので、弾性部材24の変形を阻害することがない。
なお、この弾性部材が振動を吸収する所定値以上の強い応力は、弾性部材を締め付けられる軸力(弾性部材の圧縮力)に依存する。すなわち、軸力を適宜に決定すれば、風などによっては影響を受けないが、大きな地震の場合だけ、振動を吸収させるように設定することができる。また、この軸力は、直接締め付け圧力として測定できるほか、弾性部材の変形量として、把握することもできる。
このような弾性部材としては、鉄塔などに敷設されて耐久性を有する弾性素材であれば特には限定されない。上述の一例で示した、皿ばね、ゴムなどに加えて、後述する実施例で採用されているコイルスプリングなどが一例として提示される。
なお、図2及び図3において、符号23aは、高さ調整用の座金(高さ調整座金)であり、座金の枚数を増加させたり厚みを増加させることにより、ボルトの尾部22bが長幹支持がいし11と干渉しないように調整するためのものである。
また、符号26A〜26Cは、押さえ座金(係止プレート)であり、弾性部材24A及び24Bと同等の直径若しくはより大きな直径を有する環状プレートである。図2、図3に示すように、弾性部材24A、24Bとしての皿ばねの上下に押さえ座金26A〜26Cを配設させることにより、振動を吸収・減衰させるための皿ばねの変形をスムースにしている。
これらの弾性部材24A、24Bの変形を安定させたり、ボルト22の移動をスムースに行うための他の部材が設けられていてもよい。その一例は、後述する実施例に用いられるガイド部材(センターガイドなど)などにより詳細に説明されている。
以下、実施例により本発明の構成を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
187kV設計の送電鉄塔12では、地震時に送電鉄塔12に最大水平加速度αが0.5G程度作用した場合には、ジャンパ線15が架設されている付近の高所では、例えば地上の約10倍の水平加速度α´が加わり、片持ち梁構造として取り付けられた長幹支持がいし11に曲げモーメントが働き、長幹支持がいし11の基部17に掛かる応力により基部17の破損が懸念される。
本発明の実施例1では、このような大きな振動に対して長幹支持がいし自体の設計寸法を変えることなく、長幹支持がいし11の基部17に掛かる応力を吸収できる振動吸収機構を設けている。このような振動吸収機構を備えた長幹支持がいしの固定構造の一例は図5〜図7に示されている。
まず本発明の187kV設計用の長幹支持がいしの固定構造に用いられる各部材について図5を参照しつつ説明する。
符号11は長幹支持がいし11であり設計寸法は略2mである。この長幹支持がいし11の端部11aには取付プレート20へ取り付けるためのフランジ状の端部プレート18が固定され、この端部プレート18には4個のボルト孔19…が貫通され、このボルト孔19の内径は、略18mmである。
このボルト孔19…の位置に対応して送電鉄塔12から水平に突き出したアーム(不図
示)に固定された取付プレート20側にも4個のボルト孔21…が貫通して設けられている。このボルト孔21の内径も同様に略18mmである。これらの取付プレート20及び長幹支持がいし11、並びにそれらのボルト孔19,21は既設のものがそのまま採用されている。
つぎに、この実施例1では、ボルト22としては、既設のM16ボルトに換えて軸径は小さいが長さの長い高張力M12が用いられている。これにより、このボルト22は、各ボルト孔19,21に対して6mm程度の遊びを有して遊嵌され、また、ボルト22の先端(尾部)22bの飛び出し部が大きくなるように設定されている。
また、このボルト22は、図示するとおり、頭部22a側の数cm程度はねじ切り部(雄ねじ部)を有していない平滑部22cを備えている。
また、符号23はボルト頭部22aとボルト孔19との間に介在される座金である。
次に、符号24は、ボルト22の飛び出し部の周囲に配置される弾性部材である。この弾性部材24は、圧縮力などの応力により変形し、その変形量が増すほどその変形(歪み)を元に戻そうとする力(復元力)が増大する部材であり、図において符号t1は荷重が零の場合の長さであり、例えば、6cm程度に設計されている。この弾性部材24は、例えば、皿ばね、耐震ばね又は耐震ゴム(防振ゴム)などが一例として例示され、ボルト22の胴部の周囲を覆うように環状に配設されて構成されるのが好ましい。
次に符号25は弾性部材24の圧縮変形の程度が所定の変形量となるように調整する長さ調整部材である。この長さ調整部材25の形態は自由であるが、この一例では弾性部材24の周囲に配設されるように環状に形成されている。この長さ調整部材25は、弾性部材24の長さt1に比べて長さt2が短い、所定の長さt2(例えば、5.5cm)を備えている。この長さ調整部材25は、肉厚の薄いアルミスリーブなどからなり、所定の圧縮力よりも小さい荷重で容易に変形可能である。
次に符号26は、この弾性部材24を圧縮するための係止プレートであり、符号27は、下ナット27aと上ナット27bとから構成されるロックナットなどのナットである。また、符号29は、このナット27の緩みを防止するための緩み防止部材(又は回り止め部材)としての割ピンである。
次に、以上に説明した各部材を用いた長幹支持がいしの固定構造について、その固定手順に従って図5〜図7を参照しつつ説明する。
まず、座金23をボルト22の胴部に挿嵌した状態でボルト孔19,21の相互の位置合わせを行いつつボルト孔19,ボルト孔21を貫通させて尾部22bを取付プレート20から飛び出させる。ついで、この尾部22bから弾性部材24を挿嵌し、その上に長さ調整部材25を挿嵌する。次いで係止プレート26を挿嵌した後に座金23を介して下ナット27aを螺合させる。下ナット27aの螺合により係止プレート26は弾性部材24を押圧して弾性部材24は圧縮変形されてその厚みが下ナット27aの締め付け圧に応じて減じる。
この弾性部材24の厚みが長さ調整部材25の長さt2と等しくなった状態で、上ナット27bを螺合させて下ナット27aを固定する。さらにその位置を固定するために割ピン29を付す。
このように長さ調整部材25の長さt2を目安として係止プレート26と取付プレート20との間隔が長さt2に等しくなるようにナット27を締め付けることにより、係止プレート26による弾性部材24の圧縮力を所定の圧縮力に調整することができる。
ナット27の締め付けにより弾性部材24を長さ調整部材25の長さt2と等しくなるまで圧縮した場合、その変形量Δtは、Δt=t1−t2=6cm−5.5cm=0.5cmと常に一定となる。これにより、弾性部材24のばね定数をkとすると、弾性部材はフックの法則によりk*Δtだけの応力で常に圧縮されることになる。ここで、このばね定数kの設計例の一例は、国内最大級の台風などの強風が吹き荒れた場合に弾性部材24に掛かる荷重が復元力と同程度になるか又はそれよりも小さい程度になるように設計する。この締め付け圧が本発明でいう所定の圧縮力に該当する。
このように長さ調整部材25の長さを目安としてナット27を締め付ければ、締め付け圧力を調整しなくても弾性部材24の圧縮力が常に所定の圧縮力になるようにナット締めを行うことができる。また、この締め付け圧は、割ピン29により緩み止めがなされる。
これにより、弾性部材24の復元力により取付プレート20と端部プレート18とは所定の圧縮力により強固に固定されている。ジャンパ線13や長幹支持がいし11等に台風などに起因する風力や地震エネルギーなどの外力が作用してこの取付プレート20と端部プレート18との間を離反させる離反力fが作用しても、この離反力fが弾性部材24の復元力(所定の圧縮力に相当する力)よりも小さい場合には端部プレート18は取付プレート20とは離反されずに、取付プレートと端部プレートとの固定が維持される。
これにより、国内最大級の台風などによる風害では、この長幹支持がいしの固定構造は従来と同様に強固に固定されており、振動吸収機構は作用せず、所定の絶縁間隔も保持される。
次に、このような長幹支持がいしの固定構造において、直下型地震などの大きな振動があった場合の振動吸収機構について図6及び図8を参照しつつ説明する。
図6において符号Fは、長幹支持がいし11の基部17との対比で、先端部16に掛かる相対荷重を示している。先端部16に相対荷重Fが掛かった状態ではその相対荷重Fが基部17に作用して基部17の破損が懸念される。
ここで、本発明の振動吸収機構では、基部17の破損が懸念される程度の相対荷重Fが作用した場合には、弾性部材24が更に圧縮変形されることにより相対荷重Fが作用する方向に先端部16が弾性的に振動を吸収しながら移動できるように構成されている。
即ち、図6に示すように、先端部16に矢印Fで示した方向に掛かった相対荷重Fは、符号30で示す位置のボルト固定部分を支点として先端部16を矢印方向に移動する回転力として作用し、符号31で示すボルト固定部分(各部材符号の後に「´」により示されている。)の端部プレート18が取付プレート20の取付面20aから離反する方向の離反力fとして作用する。
この離反力fが弾性部材24の復元力(圧縮力)よりも強い場合にはボルト頭部22a´が離反力fの方向に引っ張られ、係止プレート26´が弾性部材24´及び長さ調整部材25´を圧縮する。これにより、長さ調整部材25´は変形し、また、弾性部材24´はさらに圧縮変形され、取付プレート20の取付面20aと端部プレート18の取付面18aとが離反する。
また、本実施例1では、ボルト孔19,21の位置に相当するボルト22´の周囲にはねじ切り部(雄ネジ部)を有しない平滑部22cが形成されているので、ボルト孔19,21内でのボルト22´の進退がスムースに行える。
ここで、この圧縮変形後の長さt3が3.5cmであり、長さt2に対して2cm程度減少(t2−t3=2cm)する場合には、取付面20aと取付面18aとの成す角度θは略6.5゜となり、基部17と略2m離間している先端部16では片側23cm程度の位置ずれ吸収を行える。
これにより、初期の弾性部材24の長さt1を6cm程度に設計し、固定時の長さt2を5.5cmとして設計すれば、国内最大級の台風が発生した場合には、固定部は固定された状態が維持されるが、大きな地震による横揺れなどにより、それよりも大きな荷重が掛かった場合のみ振動吸収機構が作用して、例えば、国内最大級の台風の場合に掛かる荷重に4倍の荷重が基部17に掛かる場合には、弾性部材24の長さt3が最大3.5cmまでに圧縮変形されて先端部16では片側最大約23cm程度の位置ズレとともに振動を吸収することができる。
また、地震等の揺れが小さくなってこの離反力fが弾性部材24´の復元力よりも小さくなると弾性部材24´の復元力が離反力に抗して強くなるので、離反した端部プレート18と取付プレート20との隙間は閉鎖して端部プレート18は取付プレート20に強固に固定され、元の状態に戻る。この場合にも、本実施例では、ボルト孔19,21内に位置するボルト22´の周囲はねじ切り部(雄ネジ部)を有さないので、ボルト22´の進退がスムースに行える。
このように本発明に係る長幹支持がいしの固定構造では、取付プレート20とナット27との間に弾性部材24を圧縮変形させた状態で介在させることにより、所定以上の振動があった場合のみに、弾性部材24の作用により取付プレート20を貫通しているボルト22が取付プレート20のボルト孔21を進退してその振動を吸収することに特徴がある。
さらに、この実施例によれば、ボルト22として、既設のM16ボルトに換えて高張力M12を用いることにより、既設の設備(貫通孔の軸径)などを変更することなく本発明を実施できるという、実用的な作用効果を有していることが理解される。
以下、本発明を実施するための実施例2にかかる長幹支持がいしの固定構造について説明する。実施例1と同一乃至は均等な部位部材は、同一番号を付して詳細な説明は省略することがある。
先ず、図9は、本発明に係る長幹支持がいしの固定構造を断面により説明する部分断面図である。この実施例2に係る長幹支持がいしの固定構造では、弾性部材24としてコイルスプリングが採用されている。
この図9において、符号26aはこのコイルばね24を内側から支える環状のばね支持部26aであり、このばね支持部26aは係止プレート26に一体に形成されている。
また、符号32は、環状のアルミスリーブにより形成されたばね支持部であり、施工時には、ばね支持部32は、コイルばね24の内側に配設される。
これにより、これらのばね支持部26a及び32は、貫通するボルト22とコイルばね24との間に介在されて、コイルばね24のセンターずれを防止している。
また、符号33は、環状のアルミスリーブ又はゴムスリーブにより形成されたセンターガイド(ガイド部材)であり、このガイド部材33は、ボルト22の胴部に挿嵌されて用いられ、ボルト22とボルト孔19との隙間に介在されて、取付時の施工性を良好とするとともにボルト孔19内のボルト22の進退をスムースにする。このガイド部材33は、ボルト22とボルト孔19との大きな圧縮応力が掛かった場合には変形する。
このようなコイルばねを用いた場合には、防振ゴムに比べて耐候性、耐久性に優れ、大振動時の減衰効果を十分に得ることができる。
その他の構成及び作用効果は図5〜図8に示す長幹支持がいしの固定構造と同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
以上説明したように、本発明に従えば、最大級の地震により長幹支持がいしに曲げ荷重がかかったときに、弾性部材が長幹支持がいしの曲げ荷重を吸収する方向に変形して振動を吸収するので、長幹支持がいし自体の破損を効果的に防止することができる。
また、振動が治まった場合には弾性部材の厚みが元に復元(長さt2まで復元)するので、元の状態に復帰することができる。
また、このような振動吸収機構は、長幹支持がいし11の設計寸法を維持することができるので、既設の設備にそのまま適用できるという特徴を備えている。
また、従来の取付部材に比べて構造が簡単であり、従って価格も廉価にできる可能性がある。
また、既設の支持がいしに取り付ける場合には、ボルトを一本ずつ交換するだけでよく、工事も簡単である。これに対して、従来の取付部材を取り付ける場合には、一旦、支持がいしを取り外してから取り付ける必要がある。
また、地震に遭遇した場合には、弾性部材24が変形して振動を吸収するので、長幹支持がいしの基部が破損することがなく、維持費等も低減することが可能である。
以下、本発明を実施するための実施例3にかかる長幹支持がいしの固定構造について説明する。この実施例3では、187kV設計の送電鉄塔において震度6強の地震が発生した場合にも、支持がいしの折損が発生しない長幹支持がいしの固定構造の設計例の一例を実験に基づいて提供するものである。実施例1又は2と同一乃至は均等な部位部材は、同一番号を付して詳細な説明は省略することがある。
先ず、表1は、長幹支持がいしの耐震強度を説明するためのものである。
Figure 2005295785
この表1において、電圧66kV,110kV,187kV設計の各送電鉄塔において地震が発生した場合のそれぞれの震度における加速度(地震時加速度)、加速度応答倍率、地震時に発生する曲げモーメント(地震時曲げモーメントA)が計算されている。ここで、それぞれの送電鉄塔に用いられている長幹支持がいしが破壊する曲げモーメント(破壊曲げモーメントB)は、それぞれ表に記載のとおりであるので、110kV設計の送電鉄塔では、震度6強以上、187kV設計の送電鉄塔では、震度6弱以上の地震が発生した場合、安全率が1未満となり、破壊が想定される。
また、187kV設計の送電鉄塔において、震度6強の地震が発生した場合、1/SFで演算される耐震性能倍率は、3.3培であり、長幹支持がいし11が破損しないためには通常の支持がいしの3.3培以上の耐震性能を保持する必要があることが理解される。
次に、図3〜図4に示す長幹支持がいしの固定構造を用い、ボルト軸力および使用するゴムの硬度と振動減衰性能の関係を調べた。
皿ばねとしては、「JIS B 2706:2001皿ばね」に示される「皿ばね H35.5(重荷重用)」を用いた。この皿ばねは、図10に示すように、外形φD:35.5mm、内径φd:18.3mm、板厚t:2.0mm、全たわみ量h0:0.8mm、自由高さH0:2.8mmである。
まず、図3の長幹支持がいしの固定構造(以下、これを試作品案1という。)において、供試がいしとして普通ひだタイプの長幹支持がいし(187kV用)を用い、弾性部材24Aとしての皿ばねを1重8段の組み合わせとし、初期高さ(ボルトにより軸力を導入するため)を17mm及び20mmとし、弾性部材24Bとしてのゴムを硬度60及び90の防振ゴムを用いた。
このようにして得られた試作品案1に係る長幹支持がいしの固定構造に対して、0.2Gの振動を導入し、振動実験を行い、結果を図11に示した。この結果から、皿ばね20mm−ゴム90系が最も加速度Gを低下でき、歪みを小さくできることが確認された。
次に、図4の長幹支持がいしの固定構造(以下、これを試作品案2という。)において、供試がいしとして普通ひだタイプの長幹支持がいし(187kV用)を用い、硬度60のゴムを一枚、及び硬度90のゴムを一枚及び2枚重ねして用いた。
このようにして得られた試作品案2に係る長幹支持がいしの固定構造に対して、0.2Gの振動を導入し、振動実験を行い、結果を図12に示した。この結果から、ゴムを重ねて使用しても十分な振動減衰の効果を得ることができず、また、図11との比較から皿ばねを上部に用いる方が、硬度90のゴムを単独で用いるよりも振動減衰効果が優れていることが確認された。
以上の結果から、皿ばねを利用した方が、振動減衰性能が良かったことから、弾性部材としては皿ばねを用いた図2の長幹支持がいしの固定構造(以下、これを試作品案3という。)により、さらに最適設計を行うことにした。
ここで、皿ばねは、直列に組み合わせることにより、図13に示すように、同一荷重Nに対しても、組み合わせ枚数mを1段から、増大させることにより、その枚数mに応じて変位量(たわみ=h0×m)を増大させることができる。
また、皿ばねは並列に重ね合わせることにより、図14に示すように、同一変位量(同一たわみ)に対しても、組み合わせ重ね枚数nを1枚から、増大させることにより、その重ね枚数nに応じて荷重Nを増大させることができる。
そこで、最適な皿ばねの組み合わせを把握するために、皿ばねを多段の直列に組み合わせて同様な性能確認試験を行った。
このようにして得られた直列組み合わせに係る長幹支持がいしの固定構造に対して、0.2Gの振動を導入し、振動実験を行い、結果を図15に示した。この結果から、取付プレート20の下部に皿ばね(弾性部材24B)がある方が、振動減衰性能が良好であることが確認された。
また、上部の皿ばね(弾性部材24A)の組み合わせは、2重2段(並列2枚を直列2段に重ねる)に比べて、2重4段又は2重6段(直列6枚)の方がやや良好な結果となった。
次に、皿ばねを多重に組み合わせる並列組み合わせを行った場合の性能確認試験を行い、結果を図16に示した。この結果から、並列組み合わせは、2重(並列2枚)よりも3重(並列3枚)などの多重(以下、並列に組み合わせる枚数を重数と表現することがある。)とすることにより耐震性能を高めることができることが理解された。
なお、図11〜図15の実験における供試がいしは、重畳が軽い普通ひだタイプの長幹支持がいしであるのに対して、図16の実験における供試がいしは、重畳が重い深ひだタイプの長幹支持がいしであるため、図16が大きなひずみになっている。
ついで、以上の結果を参考にして、図2に示す長幹支持がいしの固定構造の最適設計の一例を行った。
ここで、用いる皿ばねとしては、全たわみ量h0が0.8mmと変位量が少ないので、調整が困難であると思われる。それ故、用いる皿ばねとしては、直列の段数を多くすることにより、変形量が増大できるので調整が容易となる。その一方で、直列の段数を必要以上に多くしても、それに伴う調整誤差の改善効果は小さく、装置の大型化や構造が複雑となるという課題が生じる。
そこで、直列に組み合わせる場合には、2段(たわみ=1.6mm)乃至4段(たわみ=3.2mm)から選択することにし、長幹支持がいし11自体の設計寸法を極力維持するために、下部の皿ばね(弾性部材24B)は、2段を採用し、上部の皿ばね(弾性部材24A)は4段を採用した。
これにより、図17(b)に示すように、上部(送電鉄塔12側)の弾性部材24Aは、3枚が重ねられた並列組み合わせを一組の皿ばねとして、四組が直列に組み合わされた皿ばね24Aが用いられ、下部(がいし11側)の弾性部材24Bには、3枚重ねられた並列組み合わせを一組の皿ばねとして、二組が直列に組み合わされた皿ばね24Bが用いられた。
ここで、これらの皿ばね24A、24Bの中央には、筒状のセンターガイド33が挿嵌され、このセンターガイド33により、皿ばね24A、24Bのセンターがずれないように防止されている。
この実施例3の長幹支持がいしの固定構造(図17)では、ボルト22としては、ボルト長さL22が120mmであるM16ボルトが用いられている。
このボルト22には、頭部22a側から順に、高さ調整座金23a、押さえ座金26A、皿ばね24A、押さえ座金26Bを挿嵌した後、取付プレート20を挿嵌し、ついで、一対の押さえ座金26C、26Cに挟持された皿ばね24Bと共にフランジ部18を挿嵌する。
ここで、これらの皿ばね24A、24Bには、センターガイド33が挿嵌されているので、ボルト22の胴部に皿ばね24A、24Bを挿嵌する際の作業性が改善され、取付時の施工性が良好である。
これにより突出したボルト尾部22bから座金23を介してハードロックナット27Aにより固定する。さらに、このハードロックナット27Aは割ピン29により万一の脱落が防止されている。
このようにして得られた長幹支持がいしの固定構造を、震度6強相当の地震波形で、三次元振動試験を実施したが、長幹支持がいしの破損は発生しなかった。これに対して、本発明に従う長幹支持がいしの固定構造を用いない場合の同様の三次元振動試験では、長幹支持がいしは、破損してしまう。
これらの試験結果を図18に示したが、本発明に従う長幹支持がいしの固定構造では、最大歪みは427μであり、「通常」の耐震設備を備えない場合の破損時ひずみは1970μであった。これにより、この実施例3に従う長幹支持がいしの固定構造では、通常の長幹支持がいしの固定構造に比べて少なくとも3.7培(=1570μ/427μ)の耐震性能を有していることが理解される。また、この場合の長幹支持がいし11の先端部16の変位量は8cmと計算され、周囲の付帯設備(例えば、避雷装置など)と干渉することもない。
また、このような長幹支持がいしの固定構造によれば、従来の免震アダプターに比べて、既設鉄塔の改造などの施工手間が軽減できることから、実用上有効であることが理解される。
なお、実施例2では、弾性部材としてコイルばねを用いたが、コイルばねは、変位量が大きい、振動減衰能力を大きくすると大型化する、大荷重載荷後に縮みが発生するという特徴を備えている。これに対して、皿ばねは、一般的に荷重の方向に比較的容量が小さい割合に大きな容量を有するという特徴があり、小サイズで大荷重に対応できる、振動減衰能力が大きい、耐久性が良い、という特徴を備えている。
その他の構成及び作用効果は図5〜図8に示す長幹支持がいしの固定構造と同一乃至は均等であるので詳細な説明は省略する。
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。
例えば、以上の説明では係止プレートが別途に用いられていたが、この係止プレートの役割は弾性部材の保持の安定であるので、例えば、座金の大きさが適切であれば、座金付きナットなどのボルト及び/又はナットと一体となって形成されていてもよい。
以上説明したように、本発明に従えば、長幹支持がいしの設計寸法を維持することができ、かつ、廉価にできるので、既設の送電鉄塔の地震対策に応用することで実用的に有用な効果を奏すると期待される。
本発明が適用される長幹支持がいしの機能を説明する説明図である。 本発明に係る長幹支持がいしの固定構造を断面により説明する断面図である。 本発明に係る長幹支持がいしの固定構造を断面により説明する部分断面図である。 本発明に係る長幹支持がいしの固定構造を断面により説明する部分断面図である。 本発明に係る長幹支持がいしの固定構造に用いられる各部材の分解組立図である。 本発明に係る長幹支持がいしの固定構造を断面により説明する断面図である。 図6のX−X線で切断した場合の断面図である。 本発明に係る長幹支持がいしの固定構造の振動吸収機構を説明するための断面図である。 本発明に係る長幹支持がいしの固定構造を断面により説明する部分断面図である。 本発明で用いる皿ばねを説明する断面図である。 長幹支持がいしの固定構造に対して振動を導入した場合の振動実験結果を表すグラフである。 長幹支持がいしの固定構造に対して振動を導入した場合の振動実験結果を表すグラフである。 本発明で用いる皿ばねを直列に組み合わせた場合の特性を説明する図である。 本発明で用いる皿ばねを並列に組み合わせた場合の特性を説明する図である。 長幹支持がいしの固定構造に対して振動を導入した場合の振動実験結果を表すグラフである。 長幹支持がいしの固定構造に対して振動を導入した場合の振動実験結果を表すグラフである。 本発明に係る長幹支持がいしの固定構造を断面により説明する部分断面図であり、図17(b)は、図17(a)の部分拡大図である。 長幹支持がいしの固定構造に対して振動を導入した場合の三次元振動試験結果を表す図である。 従来例に係る地震対策用の長幹支持がいしの固定構造を説明する説明図である。
符号の説明
11:長幹支持がいし
11a:端部金具
11b:胴部
11c:傘部
12:送電鉄塔
13:電線
14:がいし(耐張装置)
15:ジャンパ線
16:先端部
17:基部
18:フランジ(端部プレート)
19:貫通孔(ボルト孔)
20:取付プレート
21:貫通孔(ボルト孔)
22:ボルト
22a,22a´:頭部
22b,22b´:尾部
22c:平滑部
23,23´:座金
23a:高さ調整座金
24,24´:コイルばね(弾性部材)
24A,24B:皿ばね(弾性部材)
25,25´:アルミスリーブ(長さ調整部材)
26,26´(26A〜26C):押さえ座金(係止プレート)
27,27´:ナット
27a,27a´:下ナット
27b,27b´:上ナット
29:割ピン(緩み防止部材、回り止め部材)
30,31:ボルト固定部分
32:ばね支持部
33:センターガイド(ガイド部材)
33A:アウターガイド
t1:長さ(元の長さ)
t2:長さ(圧縮固定時の長さ)
t3:長さ(異常時の長さ)

Claims (10)

  1. 送電鉄塔のアームに固定された取付プレートと長幹支持がいしの送電鉄塔側の端部プレートとを、前記端部プレートのボルト孔及び前記取付プレートのボルト孔にボルトを貫通してナットにより固定した長幹支持がいしの固定構造であって、
    前記ボルトは、前記ボルト孔に遊嵌され、
    前記ボルトには、弾性部材が介在され、
    前記弾性部材は所定の圧縮力で締め付けられた状態で前記ボルトに螺合するナットにより締結されていることを特徴とする長幹支持がいしの固定構造。
  2. 前記ナット及び/又はボルト頭部と前記取付プレートとの間には、所定の大きさの係止プレートが介在され、
    前記弾性部材は、前記係止プレートと前記取付プレートとの間及び/又は前記取付プレートと前記端部プレートとの間に介在されていることを特徴とする請求項1記載の長幹支持がいしの固定構造。
  3. 前記ナットと前記取付プレートとの間には、所定の大きさの係止プレートが介在され、
    前記弾性部材は、前記係止プレートと前記取付プレートとの間に介在されていることを特徴とする請求項1記載の長幹支持がいしの固定構造。
  4. 前記ボルトは、取付プレート側から尾部を端部プレートから突出して挿嵌され、
    該尾部の突出長さを調整するためのスペーサが、前記取付プレートと前記ボルト頭部との間に介在されていることを特徴とする請求項1に記載の長幹支持がいしの固定構造。
  5. 前記弾性部材は、皿ばねであることを特徴とする請求項1に記載の長幹支持がいしの固定構造。
  6. 前記係止プレートと前記取付プレートとの間には、前記圧縮力を調整するための長さ調整部材が介在されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の長幹支持がいしの固定構造。
  7. 前記長さ調整部材は、前記圧縮力よりも小さい荷重で変形可能であり、前記弾性部材の周囲を覆う環状部材であることを特徴とする請求項4記載の長幹支持がいしの固定構造。
  8. 前記ボルト孔と前記ボルトとの間及び/又は前記弾性部材と前記ボルトとの間には、ボルトの進退をスムースとするガイド部材が介在されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の長幹支持がいしの固定構造。
  9. 前記ナットは該ナットの回り又は緩みを止める回り止め部材又は緩み止め部材により緩み防止がされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の長幹支持がいしの固定構造。
  10. 前記ナットはもどり止めナット又はロックナットであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の長幹支持がいしの固定構造。
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