JP2009132647A - (e3,z5)−3,5−アルカジエニルアセタートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】5,5−ジエトキシ−(Z3)−3−ペンテニル−メトキシメチルエーテルを酸の存在下で加水分解して、4−ホルミル−(E3)−3−ブテニル−メトキシメチルエーテルを得るステップと、上記4−ホルミル−(E3)−3−ブテニルメトキシメチルエーテルをウィッティッヒ反応を用いてアルキリデントリフェニルホスホランと反応させて(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルメトキシメチルエーテルを得るステップと、上記(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルメトキシメチルエーテルを出発物質として(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタートを得るステップとを含む(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタートの製造方法を提供する。
【選択図】なし
Description
C. R. Unelius et.al., Tettrahedron Lett., 37, 1505 (1996) M. D. A. Coracini, J. Appl. Ent., 127, 427 (2003) Protecting Groups. P. J. Kocienski, , Georg Thieme Verlag Stuttgart: New York, P22 (1994) Protecting Groups. P. J. Kocienski, , Georg Thieme Verlag Stuttgart: New York, P84 (1994) Protecting Groups. P. J. Kocienski, , Georg Thieme Verlag Stuttgart: New York, P83 (1994)
本発明者は、3−ブチン−1−オールを出発物質として、このアルコール部分を安価で大量入手可能なジメトキシメタンによりメトキシメチル基で保護することで得られる5,5−ジエトキシ−(Z3)−3−ペンテニル−メトキシメチルエーテルのアセタール部分をアルコール保護基の脱離無く選択的に酸加水分解することができ、得られる4−ホルミル−(E3)−3−ブテニル−メトキシメチルエーテルとアルキリデンホスホランとをウィッティッヒ反応を行っても脱離反応による1,3,5−アルカトリエンの生成は極めて少ないことを見出した。また、その後の脱保護反応も極めて良好な収率で進行し、目的とする(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタートを効率よく製造できることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
上記4−ホルミル−(E3)−3−ブテニルメトキシメチルエーテルをウィッティッヒ反応を用いてアルキリデントリフェニルホスホランと反応させて(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルメトキシメチルエーテルを得るステップと、
上記(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルメトキシメチルエーテルから(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタートを得るステップと
を含む(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタートの製造方法を提供する。
アルキリデントリフェニルホスホランは、好ましくは、
RCH=PPh3
(上式中、Rは炭素数4〜12、特に炭素数6又は8を表し、Phはフェニル基を表す。)で表され、
(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルメトキシメチルエーテルは、好ましくは、
RCH=C−C=C−C−C−OCH2OCH3
で表される。
まず、出発物質である5,5−ジエトキシ−(Z3)−3−ペンテニル−メトキシメチルエーテルは、例えば、3−ブチン−1−オールをジメトキシメタンと反応させて3−ブチニル−メトキシメチルエーテルを得た後、これをメチルマグネシウムクロリド、続いてオルトギ酸エチルと反応させて5,5−ジエトキシ−3−ペンチニル−メトキシメチルエーテルとし、これを接触水素添加して得られる。
具体的には、3−ブチン−1−オールは、例えば下記に示す公知の方法により容易に製造することができる。
まず、公知の方法によりテトラヒドロフラン中において、メチルクロリドと金属マグネシウムより、メチルマグネシウムクロリドのテトラヒドロフラン溶液を調製する。これに3−ブチニル−メトキシメチルエーテル(2)を滴下し、好ましくは60〜80℃で反応させる。続いて、オルトギ酸エチル及びトルエンを添加、昇温してテトラヒドロフランを留去し、好ましくは80〜95℃にて反応させると5,5−ジエトキシ−3−ペンチニル−メトキシメチルエーテル(3)が得られる。この反応において、3−ブチニル−メトキシメチルエーテル(2)1molに対し、メチルマグネシウムクロリドは1.1〜1.3mol、オルソギ酸エチルは1.2〜1.4molが好ましく、テトラヒドロフランは300〜500g、トルエンは250〜300gが好ましい。
この反応に使用する触媒は、パラジウム−炭素、パラジウム−アルミナ、リンドラー触媒、ラネーニッケル、P2−ニッケル等の触媒を挙げることができるが、特にP2−ニッケルが好ましい。また、反応には過水添を防止する目的で、ピリジン、キノリン、エチレンジアミン等のアミン類を添加してもよい。水素圧は、常圧〜0.5MPaが好ましく、反応温度は30〜50℃が好ましい。
例えば、公知の方法によりジメチルホルムアミド中、臭化アルキルとトリフェニルホスフィンとを反応しアルキルトリフェニルホスホニウムブロミド(6)のジメチルホルムアミド溶液を合成し、これにテトラヒドロフランを添加した後、カリウムt−ブトキシドを添加することにより、アルキリデントリフェニルホスホラン(7)を合成する。続いて、4−ホルミル−(E3)−3−ブテニル−メトキシメチルエーテル(5)を滴下して、ウィッティッヒ反応により(Z)−二重結合を構築し(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルメトキシメチルエーテル(8)を得る。また、この反応において脱離反応により副成する1,3,5−アルカトリエンは、2.0%以下と低い。
例えば、(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルメトキシメチルエーテル(8)をメタノール中、塩化水素水を反応させることにより、メトキシメチル基は脱保護され(E3,Z5)−3,5−アルカジエノール(9)が得られる。反応は副生するジメトキシメタンを反応器に付属する蒸留塔を用いて留去することにより良好に進行し、反応中EZ体の異性化も確認できない。
例えば、(E3,Z5)−3,5−アルカジエノール(9)を、トルエン中、各種触媒下、無水酢酸と反応させて、目的とする(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタート(10)が得られる。
<4−ホルミル−(E3)−3−ブテニル−メトキシメチルエーテルの製造>
5,5−ジメトキシ−(Z)−3−ペンテニル−メトキシメチルエーテルの濃縮液は、そのままトルエン(80.0g)に溶解し反応器に入れ、10〜15℃で撹拌した。これに8質量%塩化水素水を15〜20℃にて滴下し、そのまま1時間撹拌した。撹拌後、トルエン(200g)を添加し抽出し、水層を除去、有機層は食塩水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。
得られた有機層は、減圧下溶媒を除去濃縮し残渣を減圧蒸留すると、4−ホルミル−(E3)−3−ブテニル−メトキシメチルエーテル(bp:65〜66℃[2mmHg]、152.16g、1.06mol)が収率84.0%で得られた。
[核磁気共鳴スペクトル] 1H-NMR (300MHz,CDCl3):δ2.60(2H,dt), 3.32(3H, s), 3.67(2H, t), 4.60(2H, s), 6.16(12H, dd), 6.85(1H, dt), 9.49(1H, d) ; 13C-NMR (75.6MHz, CDCl3):δ32.94, 55.27, 65.42, 96.41, 134.20, 154.81, 193.71
[マススペクトル] EI-マススペクトル(70eV):m/z 114(M+), 83, 75, 55, 45; CIマススペクトル (イソブタン): 115(M+H)
反応器にトリフェニルホスフィン(105.02g、0.40mol)、臭化n−ヘプチル(76.93g、0.43mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(82.0g)を添加し、105〜110℃で26〜30時間撹拌する。撹拌後、反応液は20℃まで冷却してテトラヒドロフラン(370.0g)を添加し、続いてカリウムt-ブトキシド(42.10g、0.375mol)を10〜15℃で添加、20℃において1時間撹拌した。撹拌後反応液は−20℃まで冷却して4−ホルミル−(E3)−3−ブテニル−メトキシメチルエーテル(52.47g、0.364mol)を−15〜−5℃にて滴下した。
滴下後、1時間かけ20〜25℃まで昇温、そのまま1時間撹拌した。その後反応液は、水(200g)を添加することで反応を停止し、トルエン(200g)を加え抽出、有機層は水で洗浄した後、減圧下トルエンを除去濃縮した。
濃縮後、n−ヘキサン(250g)を添加すると、トリフェニルホスフィンオキシドが析出するため、濾過して分離した。濾液は再度減圧下、濃縮して濃縮液を減圧蒸留すると、目的とする(E3,Z5)−3,5−ドデカジエニルメトキシメチルエーテル(bp:82〜86℃[1mmHg]、52.98g、0.23mol)が、収率65.2%で得られた。
また、ウィッティッヒ反応において、ガスクロマトグラフィー(DB−5:30m×0.25mmφ、150℃から10℃/分で280℃に昇温)より、1,3,5−アルカトリエンは1.32%、異性体比はEZ:EE=89.33:10.67であった。
[マススペクトル] EI-マススペクトル(70eV):m/z 226(M+), 164, 138, 110, 95, 81, 67, 55
(E3,Z5)−3,5−ドデカジエニルメトキシメチルエーテル(54.55g, 0.241mol)、メタノール(300.84g)を、蒸留塔を備えた反応器に仕込み、22〜25℃で撹拌し、これに20質量%塩化水素水(135g)を25〜30℃、1時間で滴下する。
滴下後、反応液は60℃まで昇温し1時間撹拌、徐々に450mmHgまで減圧して、蒸留塔より副成するジメトキシメタンとメタノールの混合物を留去、5時間撹拌した。撹拌後、反応液は25℃まで冷却しトルエン(200g)を加え抽出、有機層は食塩水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、減圧下溶媒を除去し(E3,Z5)−3,5−ドデカジエノールの濃縮液(62.82g、73.16%)を得た。この濃縮液は精製せずに、そのまま次工程に用いた。
異性体比はガスクロマトグラフィー(DB−5:30m×0.25mmφ、150℃から10℃/分で280℃に昇温)より求めるとEZ:EE=91.24:8.75であった。
[マススペクトル] EI-マススペクトル(70eV):m/z 182(M+), 109, 95, 79, 67; CIマススペクトル (イソブタン): 183(M+H)
反応器に(E3,Z5)−3,5−ドデカジエノールの濃縮液(62.82g、73.16%)、トルエン(150g)、無水酢酸(10g、0.098mol)、ジメチルアミノピリジン(1.0g)を入れ50〜60℃で撹拌する。これに無水酢酸(23.45g、0.23mol)を65〜70℃、30分で滴下し、75℃で1時間撹拌する。
撹拌後、反応液は30℃まで冷却し水(100g)で反応を停止した。分液した後、有機層は食塩水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧下溶媒を除去濃縮して残渣を減圧蒸留すると、(E3,Z5)−3,5−ドデカジエニルアセタート(bp:92〜96℃[1mmHg]、51.43g、0.23mol)が収率95.1%で得られた。
異性体比はガスクロマトグラフィー(DB−5:30m×0.25mmφ、150℃から10℃/分で280℃に昇温)より求めるとEZ:EE=89.65:10.35であった。
[核磁気共鳴スペクトル] 1H-NMR (300MHz, CDCl3):δ0.88(3H, t), 1.27-1.43(8H, m), 2.05(3H, s), 2.14(2H, dt), 2.43(2H, dt), 4.11(2H, t), 5.37(1H, dt), 5.60(1H, dt), 5.95(1H, dd), 6.39(1H, dd); 13C-NMR (75.6MHz,CDCl3):δ14.10, 20.97, 22.64, 27.70, 28.94, 29.66, 31.76, 32.17, 63.80, 128.09, 128.24, 128.65, 131.56, 171.07
[マススペクトル] EI-マススペクトル(70eV):m/z 165(M+-59), 138, 110, 93, 80, 67; CI-マススペクトル (イソブタン): 225(M+H)
[赤外吸収スペクトル] (NaCl): νmax 3020, 2956, 2927, 2856, 1743, 1457, 1382, 1363, 1236, 1035, 983, 948
<4−ホルミル−(E3)−3−ブテニルアセタートとアルキリデンホスホランの反応(アルコールをアセチル基により保護した場合)>
反応器にトリフェニルホスフィン(52.51g、0.20mol)、臭化n−ヘプタン(3847g、0.215mol)、N,N−ジメチルホルムアミド(41.0g)を添加し、105〜110℃で26〜30時間撹拌する。撹拌後、反応液は20℃まで冷却してテトラヒドロフラン(185.0g)を添加し、続いてカリウムt−ブトキシド(21.1g、0.188mol)を10〜15℃で添加、20℃において1時間撹拌した。撹拌後反応液は−20℃まで冷却して4−ホルミル−(E3)−3−ブテニルアセタート(25.87g、0.182mol)を−15〜−5℃にて滴下した。
滴下後、1時間かけ20〜25℃まで昇温、そのまま1時間撹拌した。その後反応液は、水(100g)を添加することで反応を停止し、トルエン(100g)を加え抽出、有機層は水で洗浄した後、減圧下トルエンを除去濃縮した。
濃縮後、n−ヘキサン(120g)を添加すると、トリフェニルホスフィンオキシドが析出するため、濾過して分離した。濾液は再度減圧下、濃縮して濃縮液を減圧蒸留すると、目的とする(E3,Z5)−3,5−ドデカジエニルアセタート(9.80g、0.04mol)を収率24.0%で、1,3,5−デカトリエン(9.87g、0.06mol)を収率33.0%で得た。
<4−ホルミル−(E3)−3−ブテニル−1−エトキシエチルエーテルの製造(アルコールを1−エトキシエチル基により保護した場合)>
5,5−ジメトキシ−(Z3)−3−ペンテニル−1−エトキシエチルエーテル(30.0g、0.122mol)のトルエン(80.0g)溶液を反応器に入れ、5〜10℃で撹拌した。これに5質量%酢酸水溶液を10〜15℃にて滴下し、そのまま2時間撹拌した。撹拌後、トルエン(100g)を添加し分離し、水層を除去、有機層は食塩水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。
得られた有機層は、減圧下溶媒を除去濃縮し残渣を減圧蒸留すると、2−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロピラン(8.64g、0.09mol)が収率70.7%で得られ、目的とする4−ホルミル−3−ブテニル−1−エトキシエチルエーテルの生成は確認できなかった。
<4−ホルミル−(E3)−3−ブテニル−テトラヒドロピラニルエーテルの製造 (アルコールをテトラヒドロピラニル基により保護した場合)>
5,5−ジメトキシ−(Z3)−3−ペンテニル−1−テトラヒドロピラニルエーテル(51.7g、0.20mol)のn−ヘキサン(50.0g)溶液を反応器に入れ、10〜15℃で撹拌した。これに15質量%酢酸水溶液(30.0g)を15〜20℃にて滴下し、そのまま1時間撹拌した。撹拌後、n−ヘキサン(80g)を添加し分離し、水層を除去、有機層は食塩水、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。
得られた有機層は、減圧下溶媒を除去濃縮し残渣をガスクロマトグラフィー(DB−WAX:30m×0.25mmφ、150℃から10℃/分で280℃に昇温)にて分析を行なうと、4−ホルミル−(E3)−3−ブテニルテトラヒドロピラニルエーテルが9.8GC%得られた。
Claims (3)
- 5,5−ジエトキシ−(Z3)−3−ペンテニル−メトキシメチルエーテルを酸の存在下で加水分解して、4−ホルミル−(E3)−3−ブテニル−メトキシメチルエーテルを得るステップと、
上記4−ホルミル−(E3)−3−ブテニルメトキシメチルエーテルをウィッティッヒ反応を用いてアルキリデントリフェニルホスホランと反応させて(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルメトキシメチルエーテルを得るステップと、
上記(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルメトキシメチルエーテルから(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタートを得るステップと
を含む(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタートの製造方法。 - 上記アルキリデントリフェニルホスホランが、
RCH=PPh3
(上式中、Rは炭素数4〜12を表し、Phはフェニル基を表す。)
で表され、上記(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルメトキシメチルエーテルが、
RCH=C−C=C−C−C−OCH2OCH3
で表される請求項1に記載の(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタートの製造方法。 - 上記(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタートが、(E3,Z5)−3,5−ドデカジエニルアセタートである請求項1に記載の(E3,Z5)−3,5−アルカジエニルアセタートの製造方法。
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