JP4644593B2 - E,z−1,3,5−アルカトリエンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化水素系化合物E,Z−1,3,5−アルカトリエンの製造方法に関するものであり、特に、調合香料に用いられる野菜、果樹およびミート系香気成分の1種であるE,Z−1,3,5−ウンデカトリエンや、海藻の香気成分の1種であるE,Z−1,3,5−オクタトリエンなどに代表されるE,Z−1,3,5−アルカトリエンの製造方法に関するものである。
本発明の目的化合物の1つであるE,Z−1,3,5−ウンデカトリエンは、カルバナム油などから見出されている炭化水素系の香料である。特に、E,Z体のものが強いカルバナム香気を有しており、ミートや野菜、果物系の調合フレーバーとしてその少量が用いられている。また、海藻の褐藻Fucus serratusの香気成分としてE,Z−1,3,5−オクタトリエンが知られている。当該化合物は、海藻の雄性配偶子を誘引活性化するなどの生理作用を有し、その有効利用が水産業界などから注目されている。
これらの化合物の合成法として、いくつかの香料メーカーがその製造方法を報告している。例えば、E,Z−1,3,5−ウンデカトリエンが、E,Z−2,4−デカジエナールとCHBrのトリフェニルホスホニウム塩(PhCHBr)とのウィッティッヒ反応(Wittig反応)により得られることが報告されている(非特許文献1参照)。しかしながら、当該方法では、E,Z−2,4−デカジエナールを合成すること自体が大変難しい。このように、当該方法は、一般には容易に合成または入手することができない中間体を用いるものである。特に、共役するトリエン化合物を合成するために、例えばホルミルメチレントリフェニルホスホラン(PhP=CHCHO)などの比較的高価なホスホラニリデン(アルキリデントリフェニルホスホラン)を使用して、複数回のウィッティッヒ反応を実施する場合が多く、このような方法は、必ずしも簡便で経済的な合成方法とはいえない。従って、より短い反応工程で、合理的にE,Z−1,3,5−アルカトリエンを合成する方法が求められていた。
印藤元一著、「合成香料−化学と商品知識」、化学工業日報社、p34−35
本発明は、百kg以上のレベルで量産化できるように、より短工程で、効率よく、かつ純度良く、E,Z−1,3,5−アルカトリエンを合成できる方法を提供することを目的とする。
本発明の一の側面によると、一般式 X−CHCHCH=CHCHO (式中、Xはハロゲンを示す。)で示される5−ハロ−E−2−ペンテナールと、一般式 RCH−P(Ph)・X (式中、Xはハロゲンを示し、Rはアルキル基を示し、Phはフェニル基を示す。)で示されるトリフェニルホスホニウム塩とのウィッティッヒ反応を行うことを特徴とするE,Z−1,3,5−アルカトリエンの製造方法が提供される。
以下に詳細に説明するように、本発明によると、直接、一工程で目的化合物であるE,Z−1,3,5−アルカトリエンが合成できる。この場合、常識的には、ウィッティッヒ反応後の生成物は、1−ハロ−E,Z−3,5−アルカジエンであると考えられ、事実、一旦はこのジエン体が生成していると思われる。しかしながら、ウィッティッヒ反応が塩基性条件であるため、末端のハロゲン基がハロゲン化水素として脱離することで、意外にも一工程でトリエン体が生成するものと考えられる。
以下に、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。もっとも、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
上記したように、本発明にかかるE,Z−1,3,5−アルカトリエンの製造方法は、5−ハロ−E−2−ペンテナールと上記トリフェニルホスホニウム塩とのウィッティッヒ反応を行うステップを含む。図1に、本発明にかかるE,Z−1,3,5−アルカトリエンの製造方法の1例の反応式を示す。
ここで、E,Z−1,3,5−アルカトリエンは、以下の一般式で示される。
CH=CHCH=CHCH=CHCHR ・・・(1)
式中、Rはアルキル基を示す。具体的には、Rは、飽和または不飽和、直鎖または分岐、置換または非置換、環状または非環状のアルキル基である。Rの炭素数は、好ましくは
1〜6であり、さらに好ましくは3〜6である。より具体的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基およびn−ヘキシル基からなる群から選ばれることが好ましく、プロピル基、またはn−ヘキシル基であることがさらに好ましい。
さらに具体的には、E,Z−1,3,5−アルカトリエンは、E,Z−1,3,5−オクタトリエン、またはE,Z−1,3,5−ウンデカトリエンであることが好ましい。上記したように、E,Z−1,3,5−オクタトリエンは海藻の香気成分の1種として、E,Z−1,3,5−ウンデカトリエンは野菜、果樹およびミート系香気成分の1種として有用であるためである。
また、5−ハロ−E−2−ペンテナールは、以下の一般式で示される。
−CHCHCH=CHCHO ・・・(2)
式中、Xはハロゲンを示す。具体的には、Xは、Cl,BrおよびIからなる群から選ばれることが好ましく、特に安定性が高い点で、ClまたはBrであることがさらに好ましい。
より具体的には、5−ハロ−E−2−ペンテナールは、5−クロロ−E−2−ペンテナール、5−ブロモ−E−2−ペンテナール、および5−ヨード−E−2−ペンテナールからなる群から選ばれることが好ましく、5−クロロ−E−2−ペンテナール、または5−ブロモ−E−2−ペンテナールであることがさらに好ましい。
また、トリフェニルホスホニウム塩は、以下の一般式で示される。
RCH−P(Ph)・X ・・・(3)
式中、Xはハロゲンを示し、Rはアルキル基を示し、Phはフェニル基を示す。具体的には、Xは、Cl,BrおよびIからなる群から選ばれることが好ましく、特に反応性が高い点で、BrまたはIであることがさらに好ましい。Rは、E,Z−1,3,5−アルカトリエン(1)におけるものと同様である。
より具体的には、トリフェニルホスホニウム塩は、(プロピル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(n−ヘキシル)トリフェニルホスホニウムクロリド、(プロピル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(n−ヘキシル)トリフェニルホスホニウムブロミド、(プロピル)トリフェニルホスホニウムヨーダイド、(n−ヘキシル)トリフェニルホスホニウムヨーダイドからなる群から選ばれることが好ましく、(プロピル)トリフェニルホスホニウムヨーダイド、(n−ヘキシル)トリフェニルホスホニウムヨーダイド、(プロピル)トリフェニルホスホニウムブロミド、および(n−ヘキシル)トリフェニルホスホニウムブロミドからなる群から選ばれることがさらに好ましい。なお、当業者には明らかなように、これらのトリフェニルホスホニウム塩は、公知の方法で調製でき、また、商業的に入手することができる。
上記したように、E,Z−1,3,5−アルカトリエン(1)は、5−ハロ−E−2−ペンテナール(2)と上記トリフェニルホスホニウム塩(3)とのウィッティッヒ反応を行うことで合成できる。すなわち、上記トリフェニルホスホニウム塩(3)を塩基で処理して得られるホスホラニリデン(アルキリデントリフェニルホスホラン)と、5−ハロ−E−2−ペンテナール(2)とを反応させると、ウィッティッヒ反応の進行と同時に、末端のハロゲン基がハロゲン化水素として脱離し、一気にE,Z−1,3,5−アルカトリエン(1)が生成する。
すなわち、本発明にあっては、ウィッティッヒ反応の進行と同時に末端のハロゲン基が瞬時にハロゲン化水素として脱離することが本発明の大きな特徴となっている。つまり、このハロゲン基は、共役トリエン体をわずか1回のウィッティッヒ反応で合成するための、より好ましい脱離基となっていることは明らかである。さらに、本発明にあっては、蒸留分離しにくい不純物は副生しないため、幾何異性体を含めた1,3,5−オクタトリエンは、95%以上の純度で収率も高く製造が可能である。
このウィッティッヒ反応における溶媒や塩基等の条件には、公知の一般的なウィッティッヒ反応における条件が適用できる。具体的には、本発明において、ウィッティッヒ反応は以下のように行うことができる。すなわち、ウィッティッヒ反応を行うステップは、トリフェニルホスホニウム塩(3)と塩基とを混合するステップを含む。これにより、トリフェニルホスホニウム塩(3)がホスホラニリデン化(アルキリデントリフェニルホスホラン化)される。ここで用いられる溶媒の例として、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテルなどの極性溶媒、およびヘキサン、トルエンなどの炭化水素系溶媒が挙げられる。溶媒の量は、トリフェニルホスホニウム塩(3)1モルあたり600〜1500g程度であることが好ましい。また、塩基の例として、n−ブチルリチウムなどの有機金属、およびカリウム−tert−ブトキシドなどの金属アルコラートなどが挙げられる。塩基の量は、トリフェニルホスホニウム塩(3)1モルあたり0.90〜1.05モルであることが好ましく、等モルであることがさらに好ましい。また、反応温度は、−10〜30℃であることが好ましい。また、反応時間は、10〜60分であることが好ましい。このステップは、窒素、アルゴン等の雰囲気下で行われることが好ましい。
ウィッティッヒ反応を行うステップは、得られた反応液に5−ハロ−E−2−ペンテナール(2)を添加するステップをさらに含む。これにより、ウィッティッヒ反応が進行するとともに、末端のハロゲン基の脱離が起こり、E,Z−1,3,5−アルカトリエン(1)が生成する。5−ハロ−E−2−ペンテナールの量は、トリフェニルホスホニウム塩(3)1モルあたり0.70〜1.0モルであることが好ましい。また、このステップにおける反応温度は、好ましくは−78℃以上であり、さらに好ましくは−68℃以上であり、また、好ましくは30℃以下であり、さらに好ましくは−30℃以下である。より低温で反応させた方が、ウィッティッヒ反応で形成される二重結合において、Z体の選択性が高くなるためである。特に、ウィッティッヒ反応の条件、すなわち5−ハロ−E−2−ペンテナール(2)の添加条件を−30〜−68℃で反応させた場合、約90%以上の幾何純度でE,Z体の1,3,5−アルカトリエンを合成することが可能である。なお、このステップにおける反応時間は30〜100分であることが好ましい。
なお、塩基を混合するステップの後、5−ハロ−E−2−ペンテナール(2)を添加するステップの前に、反応液の温度を急速に下降させることが好ましい。また、5−ハロ−E−2−ペンテナール(2)を添加するステップの後、反応液の温度を徐々に上昇させることが好ましい。
以上のウィッティッヒ反応により、E,Z−1,3,5−アルカトリエン(1)が合成される。少量の水を添加することで反応を停止させることができる。具体的には、添加する水の量は、トリフェニルホスホニウム塩(3)1モルあたり、10〜20mLであることが好ましい。
さらに、公知の方法で、E,Z−1,3,5−アルカトリエン(1)を精製することができる。具体的には、まず、溶媒を除去して、濾過など一般的な公知の手法で副生するトリフェニルホスフィンオキシド(PhP=O)を除去することが好ましい。溶媒の除去は、用いた溶媒に応じて適宜行うことができ、例えば、減圧下、加熱することで行うことができる。具体的には、溶媒の除去は、3〜10kPaで、50〜70℃で行うことができる。濾過は、ヌッチェ等を用いて行うことができる。その際、水、n−ヘキサン等を添加することが好ましい。さらに、蒸留することで、目的物であるE,Z−1,3,5−アルカトリエンが得られる。上記したように、本発明にかかるE,Z−1,3,5−アルカトリエン(1)の製造方法は、収率が良好であり、さらに、蒸留操作によって極めて高純度に収率良く、目的化合物を単離できる点で極めて優れている。
なお、5−ハロ−E−2−ペンテナールは、以下のように合成することができる。すなわち、5−ハロ−E−2−ペンテナールの合成の出発物質として、公知の4−ハロ−1−ブチン(4)を用いることができる。4−ハロ−1−ブチン(4)の例として、4−クロロ−1−ブチン、4−ブロモ−1−ブチンなどが挙げられる。特に、4−ハロ−1−ブチン(4)として、比較的安定性の高い4−クロロ−1−ブチンが好ましい。これらの4−ハロ−1−ブチン(4)は、当業者に明らかなように、公知の方法で調製可能である。例えば具体的には、アセチレンのグリニャール(Grignard)試薬(HC≡CMgCl)に酸化エチレンを反応させることで、3−ブチン−1−オールを調製できる。次いで、得られた3−ブチン−1−オールをハロゲン化することで、4−ハロ−1−ブチン(4)が容易に得られる。3−ブチン−1−オールのハロゲン化は、塩化チオニル(SOCl)などを用いて行うことができる。
さらに、4−ハロ−1−ブチン(4)に、グリニャール試薬を反応させることで、4−ハロ−1−ブチン−1−イル=マグネシウムクロリド(5)を調製できる。このとき用いられるグリニャール試薬の例として、メチルマグネシウムクロリドなどが挙げられる。なお、反応は、通常、テトラヒドロフラン中で調製されたメチルマグネシウムクロリド中に40〜70℃において、同じモル数の4−ハロ−1−ブチンを滴下して、約1〜2時間行うことが好ましい。
次に、4−ハロ−1−ブチン−1−イル=マグネシウムクロリド(5)に、アセタール化剤を反応させることで、5−ハロ−2−ペンチンジエチルアセタール(6)を調製することができる。このとき用いられるアセタール化剤の例として、オルト蟻酸エチル(HC(OC)、オルト蟻酸メチル(HC(OCH)などが挙げられる。このとき用いられる溶媒の例として、THF、またはTHF/トルエン等の混合溶媒が挙げられる。また、溶媒の量は、グリニャール試薬1モルに対し、溶媒200〜500gであることが好ましい。なお、反応温度は80〜100℃で、反応時間はおよそ4〜10時間が好ましい。
次に、5−ハロ−2−ペンチンジエチルアセタール(6)に部分水素添加することで、5−ハロ−Z−2−ペンテンジエチルアセタール(7)を調製することができる。当業者に明らかなように、部分水素添加は、部分水素添加用の触媒存在下で行うことができる。このとき用いられる触媒の例として、P−2ニッケルに代表されるニッケル系触媒、またはPd−C、リンドラー触媒などの市販のPd系触媒などが挙げられる。一般的な反応条件は、以下の通りである。すなわち、水素圧は、1〜5Kgf/cmであることが好ましい。また、温度は、25〜80℃であることが好ましい。
次に、5−ハロ−Z−2−ペンテンジエチルアセタール(7)を酸と混合することで、5−ハロ−E−2−ペンテナール(2)を調製することができる。具体的には、酸と混合することで、瞬時にそのアセタール部がアルデヒド基に加水分解される。このとき、同時に、5−ハロ−Z−2−ペンテンジエチルアセタール(7)の二重結合は、生成したカルボニル基と共役するためE体へと変化し、この結果、5−ハロ−E−2−ペンテナール(2)が生成する。なお、この反応に用いられる酸として、塩酸水等が挙げられる。また、塩酸水の濃度は、5〜25重量%であることが好ましい。また、得られた5−ハロ−E−2−ペンテナール(2)は比較的水に溶けやすいので、塩化メチレン、ジエチルエーテル等の極性溶媒で抽出することが収率向上にとって好ましい。上記したように、この5−ハロ−E−2−ペンテナール(2)は最終工程であるウィッティッヒ反応における重要なウィッティッヒ試薬となる。
以下に、本発明の実施例を、添付図面を参照しながら説明する。もっとも、本発明は、以下に説明する実施例によって限定されるものではない。
[実験例1:4−クロロ−1−ブチン−1−イル=マグネシウムクロリド(5)の合成]
反応器に24.3gのマグネシウムと300gの乾燥THFを仕込み、少量のヨウ素を加え、56gのメチルクロリドを吹き込み、THFを還流させて、メチルマグネシウムクロリドを調製した。次いで、そこに、88gの4−クロロ−1−ブチン(4)を40〜60℃で滴下した。滴下後1時間熟成させることで、4−クロロ−1−ブチン−1−イル=マグネシウムクロリド(5)を調製した。
[実験例2:5−クロロ−2−ペンチナールジエチルアセタール(6)の合成]
次に、得られた4−クロロ−1−ブチン−1−イル=マグネシウムクロリド(5)に300gの乾燥したトルエンを投入し、150gのオルト蟻酸エチルを滴下し、内温90〜100℃で8時間攪拌した。反応後、冷却して500gの飽和塩化アンモニウム水溶液を滴下し、分液してその有機相を取り出した。ここから溶媒を濃縮除去した後、蒸留したところ、136gの5−クロロ−2−ペンチナールジエチルアセタール(6)が得られた。(収率72%;沸点95〜100℃/3mmHg;GC9.12min,DB−WAX 0.25mm X 30m capillary column 150〜230℃(5℃/min昇温))
[実験例3:5−クロロ−Z−2−ペンテナールジエチルアセタール(7)の合成]
オートクレーブに3gの酢酸ニッケル、200gのエタノールを加え、充分溶解した後、1.2gの水素化ホウ素ナトリウムを加えて、P−2Ni触媒を調製した。次に、そこへ136gの5−クロロ−2−ペンチナールジエチルアセタール(6)を仕込み、窒素置換をした。この後、5kgf/cmの水素圧で、内温が50℃を超えないように水素をフィードして反応を完結させた。反応後、エタノールを除去して、純水200gを投入した。この後、200gのn−ヘキサンで2回抽出し、その有機相を単離して、n−ヘキサンを除去し、130gの5−クロロ−Z−2−ペンテナールジエチルアセタール(7)を得た。このものは蒸留せずそのまま次工程へ供した。(収率97%;GC5.90min,DB−WAX 0.25mm X 30m capillary column 150〜230℃(5℃/min昇温))
[実験例4:5−クロロ−E−2−ペンテナール(2)の合成]
反応器に200gの塩化メチレン、130gの5−クロロ−Z−2−ペンテナールジエチルアセタール(7)を仕込み、窒素雰囲気下、10重量%塩酸水100gを加えて、約30分間攪拌した。反応後、分液して有機相を取り出した。一方、水相は100gの塩化メチレンで抽出した。得られた有機相と塩化メチレン相を混合して、100gの純水、200gの1重量%重曹水、100gの純水で、この順に洗浄した。得られた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下塩化メチレンを完全に除去することで、71gの5−クロロ−E−2−ペンテナール(2)が得られた。このものは蒸留せずそのまま次工程へ供した。(収率79%;GC7.15min,DB−WAX 0.25mm X 30m capillary column 100〜230℃(5℃/min昇温))
[実験例5:E,Z−1,3,5−ウンデカトリエン(1)の合成]
反応器に213gの(n−ヘキシル)トリフェニルホスホニウムブロミドと500gのTHFを仕込み、窒素雰囲気下、56gのtert−ブトキシカリウムを内温15〜20℃で投入し、そのまま30分間攪拌した。次いで、その内温を−60℃まで急冷し、そこへ5−クロロ−E−2−ペンテナール(2)を55g滴下し、30分間攪拌した。この後、冷却を中止して、攪拌を継続しながら、約1時間かけて徐々に室温まで内温を上昇させた。
その後、10mLの純水を加えて反応を停止し、減圧下、50℃で反応液のTHFを除去した。得られた残渣に300gの純水、300gのn−ヘキサンを投入して攪拌し、ヌッチェで濾過した。この後、減圧下n−ヘキサンを除去して蒸留したところ、54gのE,Z−1,3,5−ウンデカトリエンが得られた。(収率76%;純度E,Z体92%、E,E体4%;GC4.06min,DB−WAX 0.25mm X 30m capillary column 100〜230℃(5℃/min昇温))
[実験例6:E,Z−1,3,5−オクタトリエン(1)の合成]
213gのn−ヘキシルトリフェニルホスホニウムブロミドの代わりに、192gのn−プロピルトリフェニルホスホニウムブロミドを用いた以外は、実験例1〜5と全く同様の操作を実施したところ、34gのE,Z−1,3,5−オクタトリエンが得られた。(収率70%;純度E,Z体93%、E,E体4%;GC5.68min,DB−WAX 0.25mm X 30m capillary column 70〜230℃(5℃/min昇温))
図1に、本発明にかかるE,Z−1,3,5−アルカトリエンの製造方法の1例の反応式を示す。
符号の説明
1:E,Z−1,3,5−アルカトリエン
2:5−ハロ−E−2−ペンテナール
3:トリフェニルホスホニウム塩
4:4−ハロ−1−ブチン
5:4−ハロ−1−ブチン−1−イル=マグネシウムクロリド
6:5−ハロ−2−ペンチナールジエチルアセタール
7:5−ハロ−Z−2−ペンテナールジエチルアセタール

Claims (2)

  1. 一般式 X−CHCHCH=CHCHO (式中、Xはハロゲンを示す。)で示される5−ハロ−E−2−ペンテナールと、一般式 RCH−P(Ph)・X (式中、Xはハロゲンを示し、Rはアルキル基を示し、Phはフェニル基を示す。)で示されるトリフェニルホスホニウム塩とのウィッティッヒ反応を行うことを特徴とするE,Z−1,3,5−アルカトリエンの製造方法。
  2. 前記E,Z−1,3,5−アルカトリエンが、E,Z−1,3,5−オクタトリエンまたはE,Z−1,3,5−ウンデカトリエンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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