JP2009132590A - 快削性磁器および摺動部材ならびにポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】緻密で研削抵抗が小さい快削性磁器および摺動部材ならびにポンプを提供する。
【解決手段】実質的にアルミナ結晶粒子と粒界相とからなる快削性磁器であって、開気孔率が0.1%以下であるとともに、アルミナ結晶粒子は、内部に気孔7を有する粒径10μm以上のアルミナ大径粒子1と、粒径5μm以下のアルミナ小径粒子3とを含有することにより、開気孔率が0.1%以下であるため、緻密質となり、強度を向上できるとともに、研削加工する際には、アルミナ大径粒子1の気孔7からクラックが発生し、脱粒して研削することができ、研削抵抗を小さくすることができ、加工性を向上できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、快削性磁器および摺動部材ならびにポンプに関する。
従来、アルミナ磁器は耐摩耗性が要求される、例えば、シール、スライドリングまたはポンプ、ピストンなどに用いられている。
例えば、特許文献1には、アルミナ磁器を、遠心ポンプにおけるラジアル又は軸方向スライド軸受け、回転メカニカルシールにおけるスライドリング、往復ポンプ用のピストンまたはピストンケーシングとして使用したことが記載されている。
この特許文献1に記載されたアルミナ磁器は、1.2〜6質量%のFe、0.1〜0.3質量%のMgO、0.1〜0.6質量%のSiO、2.5質量%以下のMnおよび1.1質量%以下のCrを含有し、残部90〜98質量%のAlからなる焼結酸化アルミニウムの成形物であって、結晶性成分の平均粒度が5〜15μmであり、Feをベースとするガラス相の割合がAl含有量に対応して2〜10質量%となることが記載されている。
また、微粒と粗粒のアルミナからなる磁器として、コランダムを主成分とする粒径0.2〜5mmの粗粒と、粒径5μm以下の微粒との混合物を、気孔率を0.1〜20%に調整して1300〜1500℃で焼結し、作業面を平坦に研磨加工した無機焼結超精密測定台が知られている(特許文献2参照)。
さらに、平均粒径が30〜200μmの粗粒アルミナを20〜70質量%と、平均粒径が1〜5μmの微粒アルミナを20〜70質量%と、平均粒径が5〜30μmのジルコニア粒子を5〜30質量%とを混合して成形体を形成し、該成形体を焼成して、粗粒アルミナを結合するアルミナ質中にジルコニア粒子を微細分散させたことを特徴とする耐熱衝撃性アルミナ・ジルコニア質焼成用治具の製造方法が知られている(特許文献3参照)。
特許第3431179号公報 特公平3−31664号公報 特許第3949950号公報
特許文献1記載のアルミナ磁器では、水溶液に対する耐食性は向上するものの、1〜2.5μmのアルミナ原料を用いて焼結後の平均粒径が8μm程度の磁器が得られており、このようなアルミナ磁器では、平均粒径が8μm程度で、ほぼ均一な組織の磁器であり、大径のアルミナ粒子が存在しにくく、ましてやアルミナ粒子中に気孔が存在しにくく、強度は高いものの、研削性が低く、加工しにくいという問題があった。
また、特許文献2記載のアルミナ磁器では、アルミナ粒子があまりにも大きく、アルミナ磁器のアルミナ粒子同士の間に多数の気孔が存在しており、強度が低く、シャフトや軸受けとして用いた場合には折損する虞があった。
さらに、特許文献3記載のアルミナ・ジルコニア質焼成用治具では、適度な気孔を含有するものであり、開気孔率が0.1%以下のものは得られず、曲げ強度が33〜68MPaと小さいという問題があった。
本発明は、緻密で研削抵抗が小さい快削性磁器および摺動部材ならびにポンプを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題について検討を重ねた結果、磁器を構成するアルミナ結晶粒子として、内部に気孔を有する粒径10μm以上のアルミナ大径粒子と粒径5μm以下のアルミナ小径粒子を有し、開気孔率を0.1%以下とすることにより、緻密質で一定の強度を有すると共に、研削時にはアルミナ大径粒子内部の気孔を起点として、クラックが発生し、脱粒し、研削抵抗を小さくできることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の快削性磁器は、実質的にアルミナ結晶粒子と粒界相とからなる快削性磁器であって、開気孔率が0.1%以下であるとともに、前記アルミナ結晶粒子は、内部に気孔を有する粒径10μm以上のアルミナ大径粒子と、粒径5μm以下のアルミナ小径粒子とを含有することを特徴とする。
このような快削性磁器では、開気孔率が0.1%以下であるため緻密質となり、強度を向上できる。しかも、アルミナ大径粒子の内部には気孔を有するため、研削加工する際には、アルミナ大径粒子の気孔からクラックが発生し、脱粒して研削することができ、研削抵抗を小さくすることができ、加工性を向上できる。
さらに、本発明の快削性磁器は、磁器表面における前記アルミナ大径粒子の面積比率が35〜65%であることを特徴とする。このような快削性磁器では、磁器表面におけるアルミナ大径粒子の面積比率が35〜65%であるため、例えば、セラミック製部材が磁器表面を摺動する場合であっても、セラミック製部材がアルミナ大径粒子表面を摺動することになり、摩耗を抑制することができる。
さらに、本発明の快削性磁器は、磁器中にAlをAl換算で全量中90〜98質量%含有することを特徴とする。一般に、AlをAl換算で全量中90〜98質量%含有する場合には、粒径10μm以上のアルミナ大径粒子と、粒径5μm以下のアルミナ小径粒子とを含有するバイノーダル組織とはなりにくいため、本発明を好適に用いることができる。
さらに、本発明の快削性磁器は、磁器中にSiをSiO換算で全量中0.22質量%以下含有することを特徴とする。このような快削性磁器では、磁器中にはSiを実質的に含有していないため、アルミナ結晶粒子同士の結合力がそれほど高くなく、これにより、磁器の加工、特に研削抵抗をさらに小さくすることができ、加工性をさらに向上することができる。
また、本発明の快削性磁器は、磁器中にMnおよびTiを含有するとともに、該MnおよびTiがMnTiO系結晶として存在することを特徴とする。このような快削性磁器では、Mnと、Tiと、磁器中に不純物として存在するSiとを含有するガラスを生成し易いが、磁器中のMnおよびTiがMnTiO系結晶として存在するため、磁器中におけるガラスの生成が抑制され、快削性を向上できる。
本発明の摺動部材は、少なくとも摺動面が上記快削性磁器により形成されていることを特徴とする。このような摺動部材では、摺動部材を所望形状に研削する際の研削抵抗を小さくすることができる。さらに、磁器表面におけるアルミナ大径粒子の面積比率が35〜65%である場合には、セラミック製部材がアルミナ大径粒子表面を摺動することになるため、摩耗を抑制することができる。
本発明のポンプは、シャフトと軸受けを具備するポンプであって、前記シャフトおよび前記軸受けのうち少なくとも一方が、上記摺動部材からなることを特徴とする。このようなポンプでは、シャフトや軸受けを研削する際の抵抗を小さくすることができ、加工性を向上できるとともに、シャフトや軸受けが開気孔率0.1%以下のアルミナ磁器であるため、緻密質となり、強度を向上できる。さらに、軸受けをシャフトが挿通し、例えば、シャフトの外面のアルミナ大径粒子が、軸受けの内面に当接し、摺動することになるため、シャフトの摩耗を抑制することができる。
本発明の快削性磁器では、開気孔率が0.1%以下であるため緻密質となり、強度を向上できる。しかも、アルミナ大径粒子の内部には気孔を有するため、研削加工する際には、アルミナ大径粒子の気孔からクラックが発生し、脱粒して研削することができ、研削抵抗を小さくすることができ、加工性を向上できる。
また、本発明の摺動部材では、摺動部材を所望形状に研削する際の研削抵抗を小さくすることができる。さらに、磁器表面におけるアルミナ大径粒子の面積比率が35〜65%である場合には、セラミック部材がアルミナ大径粒子表面を摺動することになるため、摩耗を抑制することができる。
さらに、本発明のポンプでは、シャフトや軸受けに研削加工する際の抵抗を小さくすることができ、加工性を向上できるとともに、シャフトや軸受けの強度を向上でき、さらに、シャフトや軸受けの摩耗を抑制できる。
以下、本発明を詳述する。本発明の快削性磁器では、実質的にルミナ結晶粒子と粒界相とからなるもので、開気孔率が0.1%以下であるとともに、アルミナ結晶粒子は、図1に示すように、粒径10μm以上のアルミナ大径粒子1と、粒径5μm以下のアルミナ小径粒子3とを含有し、アルミナ大径粒子1の内部に気孔7を有することを特徴とする。
本発明の快削性磁器では、アルミナ90〜98質量%と、粒界相2〜10質量%とを含有することが望ましい。すなわち、磁器中にAlをAl換算で全量中90〜98質量%含有することが望ましい。一般に、AlをAl換算で全量中90〜98質量%含有する場合には、粒径10μm以上のアルミナ大径粒子と、粒径5μm以下のアルミナ小径粒子とを含有するバイノーダル組織とはなりにくいが、本発明では、理由は明確ではないが、AlをAl換算で全量中90〜98質量%含有する場合であっても、バイノーダル組織とすることができる。尚、後述するが、アルミナ以外の結晶が少々析出する場合がある。
ここで、本発明において、粒径とは、磁器断面を鏡面加工した後に熱エッチングにより、個々の結晶粒子形状が確認できる磁器表面を形成し、その顕微鏡写真の画像解析によりアルミナ結晶粒子の面積を算出し、この面積から粒子の断面が円形と仮定して求めた場合の直径をいう。本発明の快削性磁器では、平均粒径は2〜5μmが望ましい。本発明の磁器表面とは研削加工した面のことである。
尚、図1では、アルミナ大径粒子1とアルミナ小径粒子3の中間の粒径5〜10μmを有するアルミナ粒子も存在している。アルミナ大径粒子1は、粒径10〜50μmであることが望ましい。これは、アルミナ大径粒子1が50μm以上となると、焼結しにくくなり、開気孔率0.1%以下の達成が難しくなるからである。また、アルミナ小径粒子3は、粒径5μm以下、より好ましくは3μm以下ではあることが望ましい。3μmよりも小さい方が、より低温で焼結できると共に、バイノーダル組織となりやすいからである。
そして、本発明では、アルミナ大径粒子1の内部に気孔7を有することが大きな特徴である。この気孔7は、1個のアルミナ大径粒子1の内部に1個もしくは複数存在する。気孔7の直径は、面積から球形として仮定して求めた場合、1〜5μmとされている。この気孔7は、後述するが、原料粉末が集合し、焼結する際に取り込まれるもので、大径原料粉末と小径原料粉末を用い、これを混合粉砕したものを用いる場合に発生し易い。
本発明では、気孔を有するアルミナ大径粒子1は、35〜65%存在することが望ましく、特には40〜60面積%存在することが望ましい。気孔7を有しない粒径10μm以上のアルミナ大径粒子1も存在するが、磁器の一断面ではアルミナ大径粒子1の全量中80%以上は気孔7を有している。尚、図1では、気孔7のないアルミナ大径粒子1も見出されるが、その断面では単に見つからないだけで、殆どのアルミナ大径粒子1は気孔7を有している。
一方、磁器表面におけるアルミナ小径粒子の面積比率は15〜40%が望ましい。これにより、大径粒子が存在しても緻密体を容易に得ることができる。アルミナ小径粒子の面積比率は、緻密体を得るという点から、20〜40%であることが望ましい。
このような快削性磁器では、アルミナ大径粒子1が35〜65面積%存在するため、後述するように、セラミック製部材が磁器表面を摺動する場合であっても、セラミック部材がアルミナ大径粒子表面を摺動することになり、摩耗を抑制することができる。例えばセラミック製部材が磁器表面を摺動する際に、セラミック製部材の押圧力をアルミナ大径粒子1で十分に受け、アルミナ小径粒子3の脱粒を抑制し、耐摩耗性を向上することができるとともに、緻密な表面が得られ、摺動する際の抵抗を小さくできる。
また、アルミナ大径粒子の内部には気孔を有するため、研削加工する際には、アルミナ大径粒子の気孔からクラックが発生し、脱粒して研削することができ、研削抵抗を小さくすることができ、加工性を向上できる。
アルミナ大径粒子1は、加工性を向上できるとともに、耐摩耗性を向上するという点から、特には、磁器表面における面積比率が40〜60%存在することが望ましい。
また、本発明では、開気孔率が0.1%以下であることが大きな特徴である。開気孔率が0.1%以下であるため、緻密質とすることができ、これにより、高強度化を図ることができる。
本発明の快削性磁器では、磁器中にSiをSiO換算で全量中0.22質量%以下含有することが望ましい。このような快削性磁器では、磁器中にはSiを実質的に含有していないため、アルミナ結晶粒子同士の結合力がそれほど高くなく、これにより、磁器の加工、特に研削抵抗をさらに小さくすることができ、加工性をさらに向上することができる。磁器中にSiを実質的に含有しないとは、粒界相形成成分としてSiを積極的に添加しないことを意味する。
粒界相構成元素としては、上記Siの他に、Mn、Tiがあり、さらに、Ba、Ca、SrおよびMgのうち少なくとも一種がある。アルミナ結晶の粒界には、MnTiO、MnAl、(Ba、Ca、Sr、Mg)Mn1.75AlO等の結晶の析出が確認される場合があるが、主成分であるAlや不純物として含まれるSiO等の影響でSi、Mn、Tiを含む液相(ガラス)が形成されると、Al粒子同士の結合力が高くなり、磁器強度が向上する一方で、研削抵抗は高くなる。
ところが、添加したMnと、TiがMnTiO系結晶として存在する場合には、Si、Mn、Tiを含むガラスの生成が抑制され、快削性を向上できる。尚、MnTiO系結晶とは、MnTiO結晶のみならず、Mn、Tiの一部が、他の元素、例えばMnの一部がBa、Ca、SrおよびMgで置換された場合も含むという意味である。
このような快削性磁器は、平均粒径10μm以上のアルミナ粗粉と、平均粒径3μm以下のアルミナ微粉と、粒界相形成材料を添加し、これらをボールミルにて混合粉砕した後、所定形状に成形し、酸化性雰囲気において1200〜1500℃で1〜3時間焼成することにより得られる。
アルミナ粗粉として、アルミナ含有率99%以上、平均粒径が25〜40μmの市販のアルミナ粗粉末を用いることができ、アルミナ微粉としては、アルミナ含有率99%、平均粒径1.8〜3μmの市販の低ソーダアルミナ粉末を用いることができる。
尚、ボールミルで混合粉砕するため、ボールやミル、その他の装置設備より酸化カルシウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、シリカ、酸化マンガン、酸化鉄が混入する場合があるが、前記組成を満足する範囲内であれば、何ら問題はない。
本発明の快削性磁器では、アルミナ粗粉とアルミナ微粉を、ボールミルで混合粉砕し、焼成する際に、粉砕されたアルミナ粗粉が急速にアルミナ微粉を取り込んで、焼結するため、アルミナ粗粉とアルミナ微粉の間から気孔が抜け出せず、取り込んでしまい、そのまま焼結し、アルミナ大径粒子の80%以上に気孔を有することになる。
以上のような快削性磁器では、開気孔率が0.1%以下であるため緻密質となり、強度を向上できる。しかも、アルミナ大径粒子の内部には気孔を有するため、研削加工する際には、アルミナ大径粒子の気孔からクラックが発生し、脱粒して研削することができ、研削抵抗を小さくすることができ、加工性を向上できる。
本発明の摺動部材は、少なくとも摺動面が上記快削性磁器からなるもので、例えば、ラジアル又は軸方向摩擦軸受け、回転メカニカルシールにおけるスライドリング、往復ポンプ用のピストン又はピストンケーシング、調整/制御液体流(例えば、バルブ及び継ぎ手における)又は低電力モーターにおけるガス流(例えば、ファン)用のシーリングディスク及び制御ディスク、容器及びダクトのライニング、ミルにおける、又はねじガイドのようなガイド部材等がある。尚、本発明の摺動部材は、少なくとも摺動面が上記快削性磁器からなるもので、摺動部材全体が本発明の快削性磁器から構成されていても良い。
このような摺動部材では、摺動部材の形状に研削する際の研削抵抗を小さくすることができ、加工性を向上することができるとともに、磁器表面におけるアルミナ大径粒子の面積比率が35〜65%である場合には、セラミック製部材がアルミナ大径粒子表面を摺動することになるため、摩耗を抑制することができる。
本発明のポンプは、シャフトと軸受けを具備するポンプであって、シャフトおよび軸受けのうち少なくとも一方が、上記摺動部材からなるもので、例えば、リング状の軸受けをシャフトが挿通するポンプがある。このようなポンプでは、シャフトや軸受けを研削する際の抵抗を小さくすることができ、加工性を向上できる。
アルミナ粗粉として、アルミナ含有率99%以上、平均粒径が25〜80μmの市販のアルミナ粉末を用い、アルミナ微粉としては、アルミナ含有率99.8%、平均粒径1.8〜3μmの市販の低ソーダアルミナ粉末を用いた。また、レーザー散乱法で測定した平均粒径1μmのMnO、BaCO、SrCO、CaCO、平均粒径3.5μmのMgCO、0.5μmのTiO粉末を助剤として使用した。
助剤は、MnO、TiO、アルカリ土類の炭酸塩であるMgCO、CaCO、SrCO、BaCOを酸化物換算で質量比がMnO:TiO:アルカリ土類酸化物=3:2:1になるよう計量した。
これらのアルミナ粉末と助剤を表1に示すように添加し、これをアルミナポットにアルミナボールと原料、水を投入し、12時間混合した。混合後の粒径をレーザー散乱法で測定したところ、10μm以下であった。得られた粉末に公知のバインダーを4%混合し、造粒し、顆粒を作製し、金型にて1t/cmの圧力で成形し、1400℃にて焼成を行った。
得られた磁器をアルキメデス法により開気孔率を測定し、表2に記載した。
また、得られた磁器を鏡面加工後1200℃にて熱エッチングした面を金属顕微鏡と画像解析装置を用いて、気孔を有する粒径10μm以上のアルミナ大径粒子の面積比率、粒径5μm以下のアルミナ小径粒子の面積比率%を測定し、表2に記載した。面積比率は、400倍の金属顕微鏡写真から、200μm×150μmの面積で測定した。同様にして、平均粒径を求めた。その結果、本発明の試料の平均粒径は2〜5μmであった。
また、研削抵抗を、図2(a)に示すように、動力計を付けた平面研削盤に形状7mm×100mmの厚さ20mmの試料をセットし、砥石はSDC140N7SBA(旭ダイヤ)を用いた。切り込み条件は、フランジカット(両端切込み)、砥石回転数:1800rpm、砥石周速:1720m/min、ベッドの送り速度:20m/min、切り込み量:0.03mm/passで行った際の法線方向の試料幅1mmあたりの研削抵抗を算出し、表2に記載した。
さらに、図2(b)に示すように、直径25mm厚さ5mmの円盤状磁器と直径10mm厚さ3mmの円盤状磁器を用いて摩耗特性を測定した。摩耗特性は、直径10mm厚さ3mmの円盤状磁器の外周を回転する直径25mm厚さ5mmの円盤状磁器に、摩擦半径9mmの位置に500gfで押しつけ、積算移動距離1000mの摩擦試験後、直径25mm厚さ5mmの円盤状磁器表面の摩耗痕の幅と深さを表面粗さ計を用いて測定した。測定した摩耗痕の幅と深さの値を掛け合わせた数値を摩耗評価結果とし、表2に記載した。さらに3点曲げ強度をJIS R 1601に基づいて行ない、表2に記載した。
また、磁器を発光分光分析(ICP)し、Si量を測定し、表2にSiO換算して記載した。また、Al量を測定したところ、本発明の試料では、Al換算で全量中90〜98質量%含有していた。また、X線回折測定により結晶相を同定し、MnTiO系結晶の有無を求め、表1に記載した。図3に、試料No.6のX線回折を示す。
表1、2によれば、粒径10μm以上のアルミナ大径粒子と、粒径5μm以下のアルミナ小径粒子とを含有するとともに、アルミナ大径粒子の内部に気孔を有し、開気孔率が0.1%以下である本発明の試料2〜8では、開気孔率が0.1%以下であるため、緻密質となり、強度200MPa以上とできるとともに、アルミナ大径粒子の内部には気孔を有するため、研削抵抗が30N/m以下と研削抵抗が小さく、さらに、摩耗評価試験も1780(μm)以下と小さいことが判る。
これに対して、アルミナ大径粒子が多い比較例の試料No.1では、開気孔率が0.2%と大きく、アルミナ原料粒径が80μmと大きい試料No.9では、開気孔率が0.3%と大きく、強度が低いことが判る。
さらに、アルミナの微粉原料だけを用いた試料No.10では、粒径10μm以上のアルミナ大径粒子が存在せず、研削抵抗も大きく、しかも摩耗量も多いことが判る。
また、Si含有量がSiO換算で1.5質量%の試料No.11は、SiO粉末を1.2質量%添加した場合であるが、アルミナ大径粒子、アルミナ小径粒子からなるバイノーダル組織が十分に形成されず、通常のアルミナ磁器と同様の均一な組織であることがわかる。
本発明の快削性磁器表面を示す写真である。 本発明の快削性磁器の評価方法を示すもので、(a)は研削抵抗試験の説明図、(b)は摩耗評価試験の説明図である。 試料No.6のX線回折図である。
符号の説明
1:アルミナ大径粒子
3:アルミナ小径粒子
7:気孔

Claims (7)

  1. 実質的にアルミナ結晶粒子と粒界相とからなる快削性磁器であって、開気孔率が0.1%以下であるとともに、前記アルミナ結晶粒子は、内部に気孔を有する粒径10μm以上のアルミナ大径粒子と、粒径5μm以下のアルミナ小径粒子とを含有することを特徴とする快削性磁器。
  2. 磁器表面における前記アルミナ大径粒子の面積比率が35〜65%であることを特徴とする請求項1記載の快削性磁器。
  3. 磁器中にAlをAl換算で全量中90〜98質量%含有することを特徴とする請求項1または2記載の快削性磁器。
  4. 磁器中にSiをSiO換算で全量中0.22質量%以下含有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の快削性磁器。
  5. 磁器中にMnおよびTiを含有するとともに、該MnおよびTiがMnTiO系結晶として存在することを特徴とする請求項4記載の快削性磁器。
  6. 少なくとも摺動面が請求項1乃至5のうちいずれかに記載の快削性磁器により形成されていることを特徴とする摺動部材。
  7. シャフトと軸受けとを具備するポンプであって、前記シャフトおよび前記軸受けのうち少なくとも一方が、請求項6記載の摺動部材からなることを特徴とするポンプ。
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