JP2009203088A - アルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材 - Google Patents

アルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材 Download PDF

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Abstract

【課題】測定周波数1MHz〜GHz帯における誘電正接を小さくできるアルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材を提供する。
【解決手段】 アルミナを99.3質量%以上含有するとともに、測定周波数1MHzにおける誘電正接が5×10−4以下、かつ測定周波数8.5GHzにおける誘電正接が5×10−4以下であることを特徴とする。このようなアルミナ質焼結体においては、アルミナを99.3質量%以上含有するため、アルミナ本来の優れた耐腐食性と機械的特性、電気特性を維持することができるとともに、測定周波数1MHzにおける誘電正接を5×10−4以下、かつ測定周波数8.5GHzにおける誘電正接を5×10−4以下とすることにより、測定周波数1MHz〜8.5GHzの間の周波数領域においても誘電正接が5×10−4以下とすることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材に関するもので、特に、半導体製造装置の内壁材(チャンバー)やマイクロ波導入窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、シールドリングをはじめとする部材や、液晶パネル製造装置のステージ、ミラー、マスクホルダー、マスクステージ、チャック、レチクル等に好適に用いることができる耐食性部材用のアルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材に関する。
従来から、アルミナ質焼結体は耐熱性、耐薬品性、耐プラズマ性に優れ、さらに高周波領域での誘電正接(tanδ)が小さいことから、半導体、液晶用高周波プラズマ装置用部材などに用いられている。
半導体または液晶パネルの製造装置用部材はエッチング、クリーニング用として使用される反応性の高いハロゲン系腐食ガスやそれらのプラズマと接触するため、高い耐腐食性が要求され、一般的に99.0質量%以上の高純度のアルミナ質焼結体が求められている。一方、高純度のアルミナ質焼結体となるにつれて焼結性の観点から誘電正接が増加し、これによりMHz帯での高周波の透過率が低下し、エネルギーロスの増加、発熱による部材の破損といった問題が発生することが知られている。
アルミナ質焼結体の低損失化について、焼結助剤としてSiO、CaO、MgOを含有させ、その含有量をコントロールし、ある範囲内とすることで、低温で焼成しつつ、高周波誘電特性を向上させたアルミナ質焼結体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、アルミナ99.8〜99.9質量%と、残部が所定比率のSiO、CaO、MgOからなる粒界相成分とから構成し、測定周波数8GHzにおけるQ値が10000以上(誘電正接が0.0001以下)のマイクロ波共振器用等のアルミナ質焼結体が得られたことが記載されている。
特開平6−16469号公報
特許文献1のようにSiO、CaO、MgOを含有したアルミナ質焼結体では、測定周波数8GHzにおける誘電正接が0.0001以下のものが得られている。しかし、MHz帯での誘電正接が大きく、例えば、MHz帯の高周波が使用される半導体用高周波プラズマ装置用部材等に用いた場合には、MHz帯の高周波の透過率が低下し、エネルギーロスの増加や、部材の破損といった問題が生じている。さらに近年ではMHz〜GHz帯での広い周波数範囲での用途があり、そこでの低誘電正接化が求められていた。
本発明は、測定周波数1MHz〜GHz帯における誘電正接を小さくできるアルミナ質焼結体および半導体製造装置用部材ならびに液晶パネル製造装置用部材を提供することを目的とする。
本発明者等は、高純度アルミナを用いた耐食性部材等において、1MHz〜GHz帯における誘電正接の低減を図るべく鋭意検討した結果、測定周波数1MHzにおける誘電正接を5×10−4以下で、かつ測定周波数8.5GHzにおける誘電正接を5×10−4以下とすることにより、1MHz〜GHz帯の広い周波数範囲で低誘電正接のアルミナ質焼結体を得ることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のアルミナ質焼結体は、アルミナを99.3質量%以上含有するとともに、測定周波数1MHzにおける誘電正接が5×10−4以下、かつ測定周波数8.5GHzにおける誘電正接が5×10−4以下であることを特徴とする。
このようなアルミナ質焼結体では、アルミナを99.3質量%以上含有するため、アルミナ本来の優れた耐腐食性と機械的特性、電気特性を維持することができるとともに、測定周波数1MHzにおける誘電正接を5×10−4以下で、かつ測定周波数8.5GHzにおける誘電正接を5×10−4以下とすることにより、測定周波数1MHz〜8.5GHzの間の周波数領域においても誘電正接を5×10−4以下とすることができる。
また、本発明のアルミナ質焼結体は、アルミナ結晶粒子の平均粒径が10μm以上であることを特徴とする。このようなアルミナ質焼結体では、アルミナ結晶粒子の平均粒径を10μm以上と大きくすることで粒界を減らすことができ、測定周波数1MHz〜8.5GHzにおける誘電正接をさらに小さくすることができる。
また、本発明のアルミナ質焼結体は、前記アルミナ結晶粒子の粒界にSi、Al、M(Mはアルカリ土類金属)およびO元素を含む結晶相が形成されていることを特徴とする。このようなアルミナ質焼結体では、アルミナ結晶粒子の粒界に、従来の粒界相成分からなるガラスではなく、Si、Al、M(Mはアルカリ土類金属)およびO元素を含有する化合物からなる低誘電正接の結晶相が存在するため、測定周波数1MHz〜8.5GHzにおける誘電正接をさらに小さくすることができる。
さらに、本発明のアルミナ質焼結体は、前記結晶相がMAlSi(Mはアルカリ土類金属)で表される化合物であることを特徴とする。MAlSi(Mはアルカリ土類金属)で表される化合物は1MHz〜GHz帯においても低誘電正接であるため、MHzおよびGHz帯で低誘電正接のアルミナ質焼結体を得ることができる。さらにアルカリ土類金属酸化物は焼結助剤として機能し、焼結性を向上することができ、ボイドや欠陥を減らすことができるため特にMHz帯でより低損失のアルミナ質焼結体を得ることができる。さらに、焼結性が向上するため、例えば、肉厚の厚い焼結体の厚さ方向中央部が十分に焼結し、肉厚の厚い焼結体全体の機械的強度等の特性を向上できる。
本発明の半導体製造装置用部材または液晶パネル製造装置用部材は、上記のアルミナ質焼結体からなることを特徴とする。このような半導体製造装置用部材または液晶パネル製造装置用部材では、測定周波数1MHz〜8.5GHzの間の周波数領域において誘電正接が5×10−4以下であるため、MHz〜GHz帯での高周波の透過率を向上でき、エネルギーロスを低減し、発熱による部材の破損を抑制することができる。
本発明のアルミナ質焼結体では、アルミナを99.3質量%以上含有するため、アルミナ本来の優れた耐腐食性と機械的特性、電気特性を維持することができるとともに、測定周波数1MHzにおける誘電正接を5×10−4以下で、かつ測定周波数8.5GHzにおける誘電正接を5×10−4以下とすることにより、測定周波数1MHz〜8.5GHzの間の周波数領域においても誘電正接を5×10−4以下とすることができる。
従って、半導体製造装置用部材または液晶パネル製造装置用部材として用いられる耐食性部材に、本発明のアルミナ質焼結体を用いることにより、反応性の高いハロゲン系腐食ガスやそれらのプラズマに対して、高い耐腐食性を有するとともに、アルミナ質焼結体がMHz〜GHz帯で低損失であるため、MHz〜GHz帯での高周波の透過率を向上でき、エネルギーロスを低減し、発熱による部材の破損を抑制することができる。
本発明のアルミナ質焼結体は、アルミナを99.3質量%以上、その他副成分を0.7質量%以下含有する。アルミナを99.3質量%以上含有することにより、焼結性の改善と同時にアルミナの優れた耐腐食性と機械的特性、電気特性を維持することが可能となる。副成分の量が0.7質量%以上となると、機械的・電気的特性の低下、耐食性の低下へと繋がる。よってアルミナは99.3質量%以上、副成分は0.7質量%以下とするのが好ましい。さらに半導体、液晶パネル製造装置用部材として応用するためにはハロゲン系ガスのプラズマに対する耐食性に優れる必要があるため、アルミナは99.5質量%以上、副成分は0.5質量%以下とするのが好ましい。アルミナは、焼結性という観点から、99.9質量%以下であることが望ましい。
そして、本発明のアルミナ質焼結体は、測定周波数1MHzの誘電正接を5×10−4以下で、測定周波数8.5GHzの誘電正接を5×10−4以下とすることにより、測定周波数1MHz〜8.5GHzの間の周波数領域においても誘電正接が5×10−4以下を見込むことができる。上記周波数範囲において、より低誘電正接の2×10−4以下を見込むという観点から、測定周波数1MHzの誘電正接を2×10−4以下で、8.5GHzの誘電正接を2×10−4以下とすることが好ましい。
すなわち、アルミナ質焼結体の誘電正接を1MHzの周波数で測定し、5×10−4以下を確認することにより空間電荷分極、界面分極、双極子分極による誘電正接の増大が殆ど無いことを確認できる。しかもこれらの要因による誘電正接の増大によるピークは1MHzより低い周波数帯か、または近傍の数MHzの周波数にあるため、1MHzで5×10−4以下を確認することにより1GHz付近まではこれらの要因による誘電正接の増大は殆ど無いことを見込める。
また、8.5GHzで誘電正接が5×10−4以下を確認することによりイオン分極による誘電正接の増大が無いことを確認できる。しかも、イオン分極による誘電正接の増大によるピークは8.5GHzより高い周波数帯または、近傍の数GHzの周波数で起こっており、8.5GHzで5×10−4以下を確認することにより1GHz付近まではイオン分極の要因による誘電正接の増大は無いことを見込める。
よって、1MHzで5×10−4以下、8.5GHzで5×10−4以下を確認することによって、1MHz〜8.5GHzの間、特には、10MHz〜1GHzの間の周波数領域においても誘電正接が5×10−4以下を見込むことができる。
さらに本発明のアルミナ質焼結体はアルミナ結晶粒子の平均粒径D50が10μm以上であることが望ましい。これにより、誘電正接を安定して低減できる。低誘電正接をより安定させるという観点から、アルミナ結晶粒子の平均粒径D50は15μm以上が好ましい。アルミナ結晶粒子の平均粒径D50は、機械的特性という観点から、70μm以下であることが望ましい。尚、平均粒径D50とは、累積粒度分布の微粒側から累積50%の粒径をいう。
本発明のアルミナ質焼結体は、アルミナ結晶粒子を主結晶粒子とし、元素としてSiおよびM(Mはアルカリ土類金属)を含有するアルミナ質焼結体であって、アルミナ結晶粒子の粒界にSi、Al、M(Mはアルカリ土類金属)およびO元素を含有する化合物からなる低損失の結晶相が存在する。図1に、アルミナ質焼結体の概略断面図を示す。符号1はアルミナ結晶粒子であり、符号2は、粒界である。
一般的なアルミナ質焼結体では、焼結助剤として加えた副成分がアルミナ結晶粒子間にガラス、あるいは誘電正接の高い結晶として存在し、アルミナ質焼結体全体の誘電正接を増大させる傾向があった。しかしながら、本願発明のように、アルミナ結晶粒子間に、Si、Al、M(Mはアルカリ土類金属)およびO元素を含有する化合物からなる低損失の結晶相を析出させると、この結晶相自身の誘電正接が低い為、アルミナ質焼結体全体のMHz帯での誘電正接を低下させることができる。
Si、Al、M(Mはアルカリ土類金属)およびO元素を含有する化合物からなる低損失の結晶相は、電気的特性の観点より、MAlSi(Mはアルカリ土類金属)であることが好ましく、本結晶の生成により誘電正接を低減できる。Si、Al、M(Mはアルカリ土類金属)およびO元素を含有する化合物からなる低損失の結晶相としては、他に、MAlSi(Mはアルカリ土類金属)の組成ではなく、化学量論組成から少しずれたものであっても良い。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどがあるが、誘電特性、焼結性の観点からマグネシウム、カルシウム、ストロンチウムが好ましい。中でも、とりわけ低誘電正接の観点から、ストロンチウムが好ましい。
尚、本発明においては、MAlSi(Mはアルカリ土類金属)で表される化合物とは、Mの構成元素の一部が他の元素で置換されたものも含む概念である。
本発明のアルミナ質焼結体は、産業機械用部品として用いられ、とりわけ半導体製造装置や液晶製造装置に用いられる大型で、厚みのある部材として好適に用いることができる。本発明における半導体製造装置用部材とは、半導体製造装置の内壁材(チャンバー)やマイクロ波導入窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、シールドリング等をいう。液晶パネル製造装置用部材とは、ステージ、ミラー、マスクホルダー、マスクステージ、チャック、レチクル等をいう。
本発明のアルミナ質焼結体の製法は、例えば、酸化アルミニウム粉末に、Si源とアルカリ土類金属源とを混合して熱処理した原料粉末を混合し、この混合粉末を成形したのち、1500〜1800℃で焼成する。
アルカリ土類金属源とSi源とを混合し焼成した原料粉末とは、Si源とアルカリ土類金属源を所定の比率で混合し、500℃〜1400℃で焼成することによって得られる粉末である。ここでいうSi源、アルカリ土類金属源としては、金属、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の塩類のいずれであっても良い。Siとアルカリ土類金属の原料粉末を用いることで、アルミナ質焼結体中でのSiとアルカリ土類金属の分布を均一なものとし、不均一な焼結組織をなくすことが可能となる。
また、Siとアルカリ土類金属の反応を優先的に起こし、アルミナ結晶粒子間にSiとアルカリ土類金属、Al、O元素からなる誘電正接の低い結晶を生成することが可能となる。Siとアルカリ土類金属の分布が不均一であると、非晶質相(ガラス)あるいは高誘電正接の結晶相が生成し、アルミナ質焼結体全体の誘電正接が増大する原因となる。
酸化アルミニウム粉末に、上記アルカリ土類金属源とSi源を混合し焼成した原料粉末と、Mg源を含む原料粉末を混合し、焼成する場合もある。Mg源としては、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩などの塩類等を粉末あるいは水溶液等として使用することが可能である。
成形には、プレス成形、鋳込み、冷間静水圧成形、或いは冷間静水圧処理などの成形法が使用可能である。次に、得られた成形体を1500〜1800℃の温度範囲で焼成する。これにより高密度で、アルミナ結晶粒子間にSiとアルカリ土類金属、Al、O元素を含有する化合物からなる結晶相が生成した焼結体を作製する。
次に、焼結体を測定周波数1MHzと8.5GHzで誘電正接を測定し、1MHzで5×10−4以下、8.5GHzで5×10−4以下とするものを良品として使うことにより、測定周波数1MHz〜8.5GHzの間の周波数領域においても誘電正接が5×10−4以下を見込むことができる。この製法により、誘電正接に関して高精度なキャパシタンスメータ(ヒューレットパッカード社製:HP−4278A)とネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー社製:8722ES)を使用することができ、従来のインピーダンスアナライザでは保障できない1MHz〜8.5GHz帯における低誘電正接材料の設計が可能となる。ネットワークアナライザによる測定周波数は8.5GHzから多少ずれることがある。
すなわち、従来、測定周波数1MHzにおける誘電正接は、キャパシタンス・メータ(HP−4278A)、測定周波数8.5GHzにおける誘電正接は、空洞共振器法(ネットワーク・アナライザ 8722ES)を用いて測定を行ない、測定誤差がそれぞれ±2×10−4以下、±0.1×10−4以下の精度の良い誘電正接が得られることが知られているが、半導体、液晶パネル製造装置用部材に要求される1MHz〜8.5GHz、特に10MHz〜1GHzにおける周波数領域では、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製:HP−4291A)による測定しかなく、その測定誤差は小さくても±30×10−4程度であり、5×10−4以下の誘電正接については測定精度が極めて低い。
そこで、本発明では、1MHz〜8.5GHzにおける周波数領域の誘電損失を、測定精度の低いインピーダンスアナライザで直接測定することなく、測定周波数1MHzと8.5GHzにおける誘電正接を間接的に測定し、測定周波数1MHzと8.5GHzにおける誘電正接が5×10−4以下の範囲にある場合には、測定周波数1MHz〜8.5GHz、特には10〜100MHzの間の周波数領域においても誘電正接を5×10−4以下と推定でき、測定周波数1MHz〜8.5GHzにおける誘電正接を容易にかつ正確に推定できる。
まず、SiOとSrCO、CaCO、BaCOの粉末を、それぞれSiO換算、SrO換算、CaO換算、BaO換算で表1に示す組成となるように秤量、混合して混合粉末を得た。この粉末を1000℃〜1300℃で熱処理し、アルミナボールミルにて48〜72時間粉砕を行ない、原料粉末を作製した。
純度が99.95質量%のAl粉末に、前記のSiとSr、Ca、Baの原料粉末と、Mg(OH)粉末をMgO換算で表1に示すような割合で添加し、これに所定量の水を加えアルミナボールミルにて48時間混合してスラリーとした。このスラリーにバインダーを加えて乾燥したのち、造粒し、この混合粉末を1t/cmの圧力で金型成形して円柱状成形体(直径60mm×高さ30mm)を作製し、1680℃にて大気中にて焼成を行ない、直径50mm×高さ25mmのアルミナ質焼結体を得た。
得られた焼結体の高さ方向中央部から厚み1mmの試料を切り出して、密度、誘電正接を測定し、表2に記載した。密度はアルキメデス法にて測定した。
また、誘電正接tanδは、1MHz、12MHz、8.5GHzにて行ない、それぞれキャパシタンス・メータ(HP−4278A)、インピーダンスアナライザ(HP−4291A)、空洞共振器法(ネットワーク・アナライザ 8722ES)を用いて測定を行なった。キャパシタンス・メータの測定誤差は±2×10−4以下であり、空洞共振器法の測定誤差は±0.1×10−4以下であるものの、インピーダンスアナライザの測定誤差は±30×10−4であるため、インピーダンスアナライザによる12MHzの誘電正接が5×10−4未満の場合には、<5と表1に記載した。
尚、インピーダンスアナライザにより、1MHz〜1GHzにおける誘電正接の周波数依存性も確認した。その結果、今回のサンプルにおいて装置の精度上1MHz〜1GHzにおける誘電正接は、1〜10MHzと100MHz〜1GHzにおける誘電正接が高く、その間の周波数帯で低いという傾向があり、特に10〜100MHzにおける誘電正接が低いという傾向があった。また、10〜100MHzの周波数帯で誘電正接にピークはみられず、フラットな形状であった。
先ず、ネットワーク・アナライザを用い、直径50mm×厚み1mmの試料を治具にて挟持し、8.5GHzにおける誘電正接を求め、次に、インピーダンスアナライザを用い、上記直径50mm×厚み1mmの試料を治具にて挟持し、12MHzにおける誘電正接を求め、この後、JIS C2141に基づき、上記直径50mm×厚み1mmの試料の上下面に電極を形成し、キャパシタンス・メータにて1MHzにおける誘電正接を求めた。
また、各焼結体中の結晶相の分析は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、エネルギー分散型X線分光分析(EDS)と制限視野電子線回折により行ない、Si、Al、M(M=Mg、Ca、Sr、Ba)、O元素を含む化合物からなる低損失の結晶相である、MAlSiの有無を表2に記載した。図2に、試料No.8の電子回折像を示した。
さらに、アルミナ結晶粒子の平均粒径D50は、上記試料の走査型電子顕微鏡写真(500倍)について、0.0432mmの範囲で、画像解析装置にて各結晶粒子の直径を求め、平均粒径D50を算出し、表2に記載した。
表1、2より、アルミナ以外に副成分としてSi、M(Mg、Ca、Sr、Ba)、O元素を含む本発明の試料では、アルミナ結晶粒子間に、Si、Al、M(Mg、Ca、Sr、Ba)、O元素を含む化合物からなる結晶相が生成しており、誘電正接が8.5GHzにおいて5×10−4以下であるとともに、1MHzにおいて5×10−4以下の場合には、12MHzにおいても5×10−4以下の低損失であることがわかる。
比較例11の試料は、下記のようにして作製した。純度が99.95質量%のAl粉末に、SiO粉末、CaCO粉末、Mg(OH)粉末を表1の試料No.11に示すような割合で添加し、これに所定量の水を加えボールミルにて48時間混合してスラリーとした。このスラリーにバインダーを加えて乾燥したのち、造粒し、この混合粉末を1t/cmの圧力で金型成形して成形体(直径60mm×高さ30mm)を作製し、1600℃にて焼成を行なった。
得られた焼結体の高さ方向中央部(厚み1mm)を切り出して、実施例と同様の方法によって、密度、誘電特性を測定した。分析の結果、酸化アルミニウム結晶粒子間にはSiとCa、Al、O元素からなる結晶が生成していた。誘電正接の値は、8.5GHzでは1.4×10−4以下と低損失であったが、1MHzにおいて40×10−4、12MHzにおいて7×10−4と高く、MHz帯において誘電損失が高かった。
アルミナ質焼結体の構造を示す概略断面図である。 試料No.8の電子回折像である。
符号の説明
1・・・アルミナ結晶粒子
2・・・粒界

Claims (6)

  1. アルミナを99.3質量%以上含有するとともに、測定周波数1MHzにおける誘電正接が5×10−4以下、かつ測定周波数8.5GHzにおける誘電正接が5×10−4以下であることを特徴とするアルミナ質焼結体。
  2. アルミナ結晶粒子の平均粒径が10μm以上であることを特徴とする請求項1記載のアルミナ質焼結体。
  3. 前記アルミナ結晶粒子の粒界にSi、Al、M(Mはアルカリ土類金属)およびO元素を含む結晶相が形成されていることを特徴とする請求項2記載のアルミナ質焼結体。
  4. 前記結晶相がMAlSi(Mはアルカリ土類金属)で表される化合物であることを特徴とする請求項3記載のアルミナ質焼結体。
  5. 請求項1乃至4のうちいずれかに記載のアルミナ質焼結体からなることを特徴とする半導体製造装置用部材。
  6. 請求項1乃至4のうちいずれかに記載のアルミナ質焼結体からなることを特徴とする液晶パネル製造装置用部材。
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