JP2009130256A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性を低くすることなく、電気特性が良好な固体電解コンデンサを製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】表面に酸化皮膜が形成されたコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子を、酸化剤を溶解させた酸化剤溶液に含浸する。次に、コンデンサ素子が乾燥する温度でコンデンサを加熱し、溶媒を気化させることによってコンデンサ素子を乾燥させる(第1工程)。次に、モノマー溶液をコンデンサ素子に含浸させ、酸化剤とモノマーとを化学重合させ、酸化皮膜に固体電解質を形成する(第2工程)。この乾燥工程において、第1工程では、溶媒の沸点以下の温度で加熱し、コンデンサ素子が乾燥する温度で加熱した際に溶媒が突沸しない溶媒の量まで、溶媒を気化させた後、第2工程では、コンデンサ素子が乾燥する温度で加熱する。
【選択図】図3

Description

本発明は、導電性高分子を電解質に用いた固体電解コンデンサの製造方法に関する。
電解コンデンサのコンデンサ素子は、アルミニウム、タンタル、または、ニオブ等の弁作用金属からなり、表面に多数のエッチングピットや微細孔が形成された多孔質陽極体(陽極箔または焼結体)を有する。
さらに、陽極体の表面には誘電体となる酸化皮膜が形成されており、酸化皮膜からは電極が引き出されている。酸化皮膜には電解質が接触しており、この電解質が、酸化皮膜からの電極の引き出しを行う真の陰極として機能する。
ここで、この真の陰極としての電解質は、電解コンデンサの電気特性に大きな影響を及ぼすことから、従来から、様々な種類の電解質が採用された電解コンデンサが提案されている。
その中でも、固体電解コンデンサは、イオン伝導性であるために高周波領域でインピーダンス特性が劣る液体状の電解質の替わりに電子伝導性を有する固体の電解質を用いるものである。
固体電解コンデンサの電解質としての導電性高分子層を形成する方法として、モノマーと酸化剤を接触させることにより重合反応させて導電性高分子層を形成する化学重合法がある。
化学重合法を用いてコンデンサ素子に導電性高分子層を形成する工程には、
あらかじめモノマーと酸化剤との混合液を作製し、この液をコンデンサ素子に含浸させた後、コンデンサ素子を加熱することによって重合反応させる工程、
酸化剤を溶媒に溶解させた溶液をコンデンサ素子に含浸させ、次いでコンデンサ素子を乾燥させ、次いでモノマー溶液にコンデンサ素子を含浸させた後、コンデンサを加熱することによって重合反応させる工程、
逆に、モノマー溶液をコンデンサ素子に含浸させ、次いでコンデンサ素子を乾燥させ、次いで酸化剤を溶媒に溶解させた溶液にコンデンサ素子を含浸させた後、コンデンサを加熱することによって重合反応させる工程
等が知られている(特許文献1〜3参照)。
特開平10−340830号公報 特開2003−272953号公報 特公平06−052696号公報
上記工程のうち、「酸化剤を溶媒に溶解させた溶液をコンデンサ素子に含浸させ、次いでコンデンサ素子を乾燥させ、次いでモノマー溶液にコンデンサ素子を含浸させた後、コンデンサを加熱することによって重合反応させる工程」について検討する中で、本発明の発明者らは、酸化剤溶液にコンデンサ素子を含浸させたコンデンサ素子を乾燥する工程で、コンデンサ素子内に含浸されている溶媒を十分に蒸発させなければならないことを見出した。
十分にコンデンサ素子を乾燥させるためには、コンデンサ素子を低温で長時間、加熱するか、または、コンデンサ素子を高温で短時間、加熱するかのいずれかの手法がとられる。工業的には、生産性を上げるため、短時間の高温加熱処理が好ましい。
しかしながら、上述コンデンサ素子を高温で短時間、加熱処理を行う場合には、コンデンサの電気特性が低下してしまうという問題がある。この原因を調査した結果、本発明者らは、素子内に存在する溶媒が突沸してしまい、酸化剤溶液が飛散してしまうため、コンデンサ素子内に十分な酸化剤を保持させることが困難になることを見出した。
一方、コンデンサ素子を低温で、長時間で加熱するようにすると、低温での加熱により、コンデンサ素子内に存在する溶媒の突沸は抑制することができるが、長時間の加熱が必要になり、生産性が低下するという問題がある。
本発明の目的は、生産性を低くすることなく、電気特性が良好である固体電解コンデンサを製造することが可能な製造方法を提供することである。
第1の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、酸化皮膜が形成された多孔質陽極体を有するコンデンサ素子に、導電性高分子を形成してなる固体電解コンデンサの製造方法であって、
酸化剤と、前記酸化剤を溶解させた溶媒とからなる酸化剤溶液を前記コンデンサ素子に含浸させる酸化剤含浸工程と、
前記酸化剤含浸工程の後、前記コンデンサ素子に含浸された前記溶媒を気化させる乾燥工程と、
前記乾燥工程の後、モノマー溶液を前記コンデンサ素子に含浸させるモノマー含浸工程と、
前記コンデンサ素子に含浸させた前記酸化剤と前記モノマーとを化学重合させることによって、前記酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質を形成する固体電解質形成工程とを備え、
前記乾燥工程は、前記溶媒の沸点より低い温度で加熱する第1工程と、第1工程より高温で加熱する第2工程とからなることを特徴とする。
第2の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第1の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法において、前記第2工程の温度は、前記酸化剤の熱分解温度より低い温度であることが好ましい。
第3の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第2の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法において、前記第2工程の温度は、前記溶媒の沸点以上であることが好ましい。
第4の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第1〜第3のいずれかの発明に係る固体電解コンデンサの製造方法において、前記第1工程の温度は40〜100℃であり、前記第2工程の温度は100〜220℃であってもよい。
第5の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第1〜第4のいずれかの発明に係る固体電解コンデンサの製造方法において、前記酸化剤は、p−トルエンスルホン酸第二鉄塩、ナフタレンスルホン酸第二鉄塩、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸第二鉄塩およびドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄塩のいずれか1種以上であってもよい。
第6の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第1〜第5のいずれかの発明に係る固体電解コンデンサの製造方法において、前記モノマーは、アニリン、ピロール、チオフェンおよびこれらの誘導体のいずれか1種であってもよい。
第7の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第1〜第6のいずれかの発明に係る固体電解コンデンサの製造方法において、前記チオフェンの誘導体は、エチレンジオキシチオフェンであってもよい。
第1の発明によれば、乾燥工程において、コンデンサ素子は溶媒の沸点より低い温度で加熱され、突沸しない溶媒量まで、溶媒が気化する(第1工程)。その後、コンデンサ素子は、第1工程より高温で加熱されて乾燥する(第2工程)。
前記第1工程のように、溶媒の沸点より低い温度で加熱することにより、溶媒の突沸を抑制でき、コンデンサ素子内に十分な酸化剤を保持させることができるため、電気特性が良好なコンデンサを製造することができる。
第2の発明によれば、第1工程で、コンデンサ素子は、溶媒の沸点より低い温度で加熱された後、第2工程で、酸化剤の熱分解温度より低い温度で加熱されて乾燥する。
酸化剤の熱分解温度より低い温度で加熱することにより、酸化剤の熱分解を抑えることができ、コンデンサ素子内に十分な酸化剤を保持させることができるため、電気特性が良好なコンデンサを製造することができる。
第3の発明によれば、第1工程で、コンデンサ素子は、溶媒の沸点より低い温度で加熱された後、第2工程で、溶媒の沸点以上、酸化剤の熱分解温度より低い温度で加熱される。
したがって、電気特性が良好なコンデンサを製造することができるとともに、コンデンサ素子を早く乾燥させることができるため、生産性を向上させることができる。
第4〜第7の発明によれば、第1および第2工程において、生産性を低下させることなく、電気特性が良好なコンデンサを製造することができる。
本発明の実施の形態について図面の図1〜3を参照して説明する。
[固体電解コンデンサの構造]
まず、本実施形態の製造方法により製造した固体電解コンデンサ1の構造について図1を用いて説明する。
コンデンサ素子6は、陽極箔2と陰極箔3とセパレータ4を備えており、陽極箔2と陰極箔3とをセパレータ4を介して対向させた積層体とし、この積層体を巻回した構造を有する。
陽極箔2は、アルミニウム等の弁作用金属で形成されている。図2は、陽極箔2と陰極泊3とセパレータ4との断面図である。
図2に示すように、陽極箔2を塩化物水溶液中で直流や交流電流による電気化学的なエッチング処理を行うことにより粗面化(エッチングピット形成)しているため、陽極箔2の表面積は拡大されている。また、エッチング処理した陽極箔2にアジピン酸アンモニウム等の水溶液中で直流電圧(化成電圧)を印加する陽極酸化処理(化成)を行った陽極酸化皮膜2aが形成されている。
また、陰極箔3も陽極箔2と同様にアルミニウム等の弁作用金属で形成されており、その陰極箔3の表面には、粗面化(エッチングピット形成)により自然酸化皮膜3aが形成されている。
また、セパレータ4の両面には導電性高分子からなる固体電解質7が保持されている。
陽極箔2および陰極箔3とセパレータ4との間に固体電解質7が狭持されている。
固体電解質7を構成する導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリピロール、または、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等を使用でき、これら導電性高分子は酸化剤とモノマーとの化学重合により生成される。
図1に示すように、陽極箔2と陰極箔3からはそれぞれリードタブが接続され、リードタブを介して陽極箔2と陰極箔3とからリード線5がそれぞれ引き出されている。
[固体電解コンデンサの製造方法]
次に、固体電解コンデンサ1の製造方法について、図3を参照して説明する。
まず、コンデンサ素子形成工程として、電極の実効表面積を大きくするために、エッチング処理を施して陽極箔2および陰極箔3の表面を粗面化する(A1)。
次に、粗面化された陽極箔2の表面に化成処理を施して陽極酸化皮膜2aを形成し、陰極箔3は、耐水性処理および/または熱処理を施して自然酸化皮膜3aを形成する(A2)。
次に、陽極酸化皮膜2aが形成された陽極箔2と、自然酸化皮膜3aが形成された陰極箔3とを所定の寸法に裁断後、それぞれにリードタブを介してリード線5a、5bを接続するとともに、これら陽極箔2と陰極箔3とをセパレータ4を介して巻回させる(A3)。
次に、アジピン酸アンモニウム水溶液中で、電圧を印加して素子化成(切り口化成)を行い、その後、セパレータ4の炭化処理を行い(A4)、円筒形のコンデンサ素子6を作製する。なお、セパレータ4中のセルロースが少ないか、または、セルロースが存在しない場合には、前記炭化処理を省略してもよい。
次に、酸化剤含浸工程として、酸化剤を溶媒に溶解させた酸化剤溶液に作製したコンデンサ素子6を浸漬することによって、コンデンサ素子6に酸化剤を含浸させる(A5)。
次に、乾燥工程として、所定の温度でコンデンサ素子6を所定時間加熱し、コンデンサ素子内の溶媒を乾燥させる(A6)。
次に、モノマー含浸工程として、コンデンサ素子6を、モノマー溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子6にモノマー溶液(モノマー)を含浸させる(A7)。
次に、固体電解質形成工程として、重合槽内で所定の温度で一定時間加熱することで、含浸した酸化剤とモノマーとを化学重合させて、陽極箔2とセパレータ4との間および陰極箔3とセパレータ4との間に、導電性高分子からなる固体電解質7を形成する(A8)。
次に、固体電解コンデンサ1の組立を行う。すなわち、上記工程により得られた円筒形のコンデンサ素子6を有底筒状の外装ケースに収納し、開口部を封口ゴム等により密封する(A9)。
次に、エージングを行い(A10)、例えば、定格16V−39μFの固体電解コンデンサを作製する。
次に、本発明の製造方法の具体的な実施例を比較例と合わせて説明する。なお、以下に説明する実施例1〜10および比較例では、固体電解コンデンサの製造方法において、酸化剤を含浸させたコンデンサ素子6を加熱し乾燥する工程(乾燥工程)が異なっているものの、その他の工程は全て同じである。
[実施例1]
実施例1においては、酸化剤含浸工程として、コンデンサ素子6に、p−トルエンスルホン酸第二鉄塩を1−ブタノールで溶解させた溶液を含浸させた。
次に、乾燥工程として、コンデンサ素子6の温度を80℃(第1工程)にし5分間加熱した後、200℃(第2工程)で10分間加熱して乾燥させた。
次に、エチレンジオキシチオフェンをモノマーに用い、モノマー含浸工程として、コンデンサ素子6にモノマー溶液を含浸させた。
次に、固体電解質形成工程として、コンデンサ素子6を100℃で60分間加熱し、化学重合により導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を形成し、固体電解質7を形成した。
(比較例1)
比較例1においては、乾燥工程として実施例のように第1工程、第2工程と分けず、連続して200℃で15分間加熱する乾燥を行った以外は実施例1と同様にして、PEDOTを形成し、固体電解質7を形成した。
以上の実施例1および比較例の製造方法によってそれぞれ得られた固体電解コンデンサの電気特性(静電容量、等価直列抵抗および漏れ電流)を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2009130256
表1に示すように、実施例1の製造方法による固体電解コンデンサの等価直列抵抗は22.8mΩであり、比較例1の場合は28.6mΩである。実施例1の等価直列抵抗は、比較例1の等価直列抵抗より小さい値となっており、良好である。
この結果は、1−ブタノールの沸点(117.3℃)以下で第1工程の加熱を行うことで、第2工程の加熱を行った際に酸化剤溶液が突沸しない溶媒の量まで溶媒が気化し、酸化剤溶液の突沸を防ぐことができ、コンデンサ素子内に十分な酸化剤を保持させることが可能となるためと考えられる。
このように、乾燥工程においては、溶媒の沸点より低い温度で加熱し、その後、溶媒の沸点以上の温度(200℃)で加熱することで、等価直列抵抗を小さくすることができることが確認できた。
[比較例2]
比較例2においては、乾燥工程として、200℃(第1工程)で5分間加熱した後、80℃(第2工程)で10分間乾燥させた以外は実施例1と同様にして、PEDOTを形成し、固体電解質7を形成した。
以上の実施例1および比較例2の製造方法によってそれぞれ得られた固体電解コンデンサの電気特性(静電容量、等価直列抵抗および漏れ電流)を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2009130256
表2に示すように、実施例1の製造方法による固体電解コンデンサの等価直列抵抗は22.8mΩであり、第2工程の温度が酸化剤の溶媒温度より高い比較例2の場合は30.2mΩである。実施例1の等価直列抵抗は、比較例2の等価直列抵抗より小さい値となっており、良好である。
この結果は、初めに溶媒の沸点より高い温度で乾燥を行うと、コンデンサ素子内に存在する溶媒の突沸が抑制できず、コンデンサ素子内に十分な酸化剤を保持させることができなくなるためと考えられる。
このように、乾燥工程においては、初めにコンデンサ素子を乾燥させる乾燥温度で加熱するより、初めに沸点より低い温度で加熱する方が好ましいことが確認された。
[実施例2〜4、比較例3]
実施例2〜4においては、乾燥工程として、第1の加熱温度を30〜100℃として5分間加熱した後、200℃(第2の加熱温度)で10分間加熱して乾燥させた。また、比較例3として、第1の加熱温度を溶媒の沸点より高い120℃としたものについても検討した。この乾燥工程以外の工程は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
上記の実施例1、および2〜4の製造方法によってそれぞれ得られた固体電解コンデンサの電気特性(静電容量、等価直列抵抗および漏れ電流)を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2009130256
表3に示すように、実施例1、3および4の製造方法によって製造された固体電解コンデンサの等価直列抵抗は、順に22.8mΩ、22.7mΩ、23.0mΩであり、実施例2および比較例3の製造方法によって製造された固体電解コンデンサの等価直列抵抗は、順に29.8mΩ、28.8mΩである。
実施例1、3および4の等価直列抵抗は、実施例2および比較例3の等価直列抵抗より小さい値になっており、良好である。
この結果は、第1工程の加熱温度が30℃と低い場合は、酸化剤の溶媒である1−ブタノールが十分に気化せず、第2の加熱温度(乾燥温度)で加熱した際に突沸する分の溶媒の量がコンデンサ素子に残存するためと考えられる。一方、第1工程の加熱温度が120℃と溶媒の沸点よりも高い場合は、酸化剤を溶解した溶媒である1−ブタノールが突沸してしまうため、等価直列抵抗が増大すると考えられる。
このように、溶媒の沸点より低い温度(第1工程)は、40℃〜100℃が好ましいことが確認された。また、溶媒の沸点より低い温度で加熱する際には、第2工程で加熱した際に溶媒が突沸しない溶媒の量まで、溶媒を気化した方が好ましいことが確認された。
[実施例5〜8]
実施例5〜8においては、乾燥工程として、第1工程の加熱温度を80℃として5分間加熱した後、第2工程の加熱温度を90〜240℃で10分間加熱して乾燥させた。この乾燥工程以外の工程は実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
以上の実施例1、および5〜8の製造方法によってそれぞれ得られた固体電解コンデンサの電気特性(静電容量、等価直列抵抗および漏れ電流)を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 2009130256
表4に示すように、実施例1、6および7の製造方法によって製造された固体電解コンデンサの等価直列抵抗は、順に22.8mΩ、23.1mΩ、24.2mΩであり、実施例5および8の製造方法によって製造された固体電解コンデンサの等価直列抵抗は、順に29.0mΩ、32.4mΩである。実施例1、6および7の等価直列抵抗は、実施例5および8の等価直列抵抗より小さい値となっており、良好である。
この結果は、第2工程の加熱温度が90℃と低い場合は、酸化剤の溶媒である1−ブタノールが十分に揮発しないため、等価直列抵抗が増大する。一方、第2の加熱温度が240℃と高い場合は、酸化剤溶液中のp−トルエンスルホン酸第二鉄塩が分解してしまうため、等価直列抵抗が増大する。
このように、第2の加熱温度においては、100〜220℃が好ましいことが確認された。また、第2の加熱温度(乾燥温度)は、酸化溶媒中の酸化剤(p−トルエンスルホン酸第二鉄塩)の熱分解温度(約300℃)より低い温度が好ましいことが確認された。
なお、本実施の形態において、乾燥工程は、二つの異なる温度で加熱したが、本発明において、これに特に限定されることはない。例えば、3以上の異なる温度で加熱することも本発明の効果が得られるため、これに含まれる。
本実施の形態において、3つの異なる温度で加熱を行う場合は、第1工程の加熱温度は酸化剤溶液の溶媒の沸点未満で、第3工程の加熱温度は酸化剤の分解温度未満で、第2工程の加熱温度は、第1工程の加熱温度より高く、第3工程の加熱温度より低くなるように設定する。
例えば、第1工程の加熱温度は40〜100℃、第2工程の加熱温度は60〜120℃、第3工程の加熱温度は100〜200℃で、第1工程<第2工程<第3工程であることが好ましい。
また、本実施の形態において、酸化剤溶液の溶媒として、1−ブタノールを使用したが、本発明において、本発明の温度範囲内で最適化を行えば、これに特に限定されるものではない。例えば、メタノール(沸点64.7℃)、エタノール(沸点78.3℃)、1−プロパノール(沸点97.2℃)、またはこれらの混合溶媒も含まれる。
なお、最適化とは、溶媒種や溶質濃度や素子内の溶媒減少量を収集したデータ等から検討し、最適値を決定することをいう。
また、本実施の形態において、酸化剤として、p−トルエンスルホン酸第二鉄の溶液を用いたが、本発明において、これに特に限定されるものではない。例えば、ナフタレンスルホン酸第二鉄塩(分解点約400℃)、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸第二鉄塩(分解点約400℃)、およびドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄塩(分解点約415℃)等のスルホン酸系金属塩もこれに含まれる。また、これらの2種以上の混合物も含まれる。
また、本実施の形態において、モノマーとして、エチレンジオキシチオフェンを用いたが、本発明において、これに特に限定されるものではない。例えば、アニリンやピロール、チオフェンおよびこれらの誘導体等の溶液もこれに含まれる。
また、本実施の形態において、巻回型のコンデンサ素子を有する固体電解コンデンサについて説明したが、本発明において、これに特に限定されるものではない。例えば、アルミニウム箔の積層型のコンデンサ素子、タンタルやニオブの焼結体を有する固体電解コンデンサについても適用可能である。
本発明により製造されるコンデンサ素子の分解斜視図である。 本発明により製造される固体電解コンデンサの積層構造を概略的に示す断面図である。 本発明の固体電解コンデンサの製造工程を示すフローチャートである。
符号の説明
1 固体電解コンデンサ
2 陽極箔
2a 陽極酸化皮膜
3 陰極箔
3a 自然酸化皮膜
4 セパレータ
5a リード線(陽極)
5b リード線(陰極)
6 コンデンサ素子
7 固体電解質

Claims (7)

  1. 酸化皮膜が形成された多孔質陽極体を有するコンデンサ素子に、導電性高分子を形成してなる固体電解コンデンサの製造方法であって、
    酸化剤と、前記酸化剤を溶解させた溶媒とからなる酸化剤溶液を前記コンデンサ素子に含浸させる酸化剤含浸工程と、
    前記酸化剤含浸工程の後、前記コンデンサ素子に含浸された前記溶媒を気化させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程の後、モノマー溶液を前記コンデンサ素子に含浸させるモノマー含浸工程と、
    前記コンデンサ素子に含浸させた前記酸化剤と前記モノマーとを化学重合させることによって、前記酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質を形成する固体電解質形成工程とを備え、
    前記乾燥工程は、前記溶媒の沸点より低い温度で加熱する第1工程と、第1工程より高温で加熱する第2工程とからなることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記第2工程の温度は、前記酸化剤の熱分解温度より低い温度であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記第2工程の温度は、前記溶媒の沸点以上であることを特徴とする請求項2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記第1工程の温度は40℃〜100℃であり、前記第2工程の温度は100℃〜220℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記酸化剤は、p−トルエンスルホン酸第二鉄塩、ナフタレンスルホン酸第二鉄塩、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸第二鉄塩およびドデシルベンゼンスルホン酸第二鉄塩のいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記モノマーは、アニリン、ピロール、チオフェンおよびこれらの誘導体のいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記チオフェンの誘導体は、エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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