JP2010087344A - 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】固体電解コンデンサの漏れ電流の増加を抑制する。
【解決手段】表面に陽極酸化皮膜が形成された陽極体を有するコンデンサ素子を形成し(エッチング〜切り口化成・炭化処理)、このコンデンサ素子を酸化剤溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子に酸化剤を含浸させ(酸化剤含浸工程)、その後、このコンデンサ素子をモノマー溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子にモノマーを含浸させる(モノマー含浸工程)。このとき、酸化剤溶液またはモノマー溶液の少なくとも一方に、コロイダルシリカが添加されている。続いて、このコンデンサ素子に含浸させた酸化剤とモノマーとを化学重合させることによって、酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質を形成する(固体電解質形成工程)。
【選択図】図4
【解決手段】表面に陽極酸化皮膜が形成された陽極体を有するコンデンサ素子を形成し(エッチング〜切り口化成・炭化処理)、このコンデンサ素子を酸化剤溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子に酸化剤を含浸させ(酸化剤含浸工程)、その後、このコンデンサ素子をモノマー溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子にモノマーを含浸させる(モノマー含浸工程)。このとき、酸化剤溶液またはモノマー溶液の少なくとも一方に、コロイダルシリカが添加されている。続いて、このコンデンサ素子に含浸させた酸化剤とモノマーとを化学重合させることによって、酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質を形成する(固体電解質形成工程)。
【選択図】図4
Description
本発明は、固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサに関し、特に、導電性高分子からなる固体電解質を有する固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサに関する。
電解コンデンサのコンデンサ素子は、アルミニウム、タンタル、または、ニオブ等の弁作用金属からなり、表面に多数のエッチングピットや微細孔が形成された陽極体(陽極箔または焼結体)を有する。さらに、陽極体の表面には誘電体となる酸化皮膜が形成されており、陽極体からは陽極となる電極が引き出されている。酸化皮膜には電解質が接触しており、この電解質が、酸化皮膜からの電極の引き出しを行う真の陰極として機能する。
ここで、この真の陰極としての電解質は、電解コンデンサの電気特性に大きな影響を及ぼすことから、従来から、様々な種類の電解質を採用した電解コンデンサが提案されている。
ここで、この真の陰極としての電解質は、電解コンデンサの電気特性に大きな影響を及ぼすことから、従来から、様々な種類の電解質を採用した電解コンデンサが提案されている。
その中でも、固体電解コンデンサは、導電性を有する固体の電解質が用いられている電解コンデンサであり、電解質が液状であるものに比べて高周波領域におけるインピーダンス特性に優れている。また、固体電解質としては、導電性高分子であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等が広く用いられている。
この固体電解質を形成する方法としては、コンデンサ素子を酸化剤溶液とモノマー溶液との混合溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子に酸化剤およびモノマーを含浸させて、コンデンサ素子の酸化皮膜上において、酸化剤とモノマーとの化学重合反応を促進させて形成する方法が知られている。
特許文献1では、上述のような固体電解質を形成する際に、酸化剤溶液またはモノマー溶液にフタル酸またはフタル酸塩を混合し、電解重合する方法により、溶液の化成性を高めて酸化皮膜の修復性を向上させて、漏れ電流を減少させることができることが知られている。
また、従来、種々の粒子を含む固体電解質が知られている。すなわち、特許文献2には、TCNQ錯体を用いた固体電解質であって、コンデンサ素子が収納される金属ケース内でシリカ等の絶縁性微粉末を混合したTCNQ錯体を加熱液化してコンデンサ素子に含浸後冷却固化してなる固体電解質が開示されている。このように、絶縁性微粉末を混合することによって、冷却固化時の体積収縮を少なくし、残留歪みにより誘電体酸化皮膜の損傷を緩和する技術が知られている。
さらに、特許文献3には、固体電解質が、電解酸化重合や化学酸化重合によって形成される導電性高分子であって、導電性高分子を重合する際にアルミナ等の無機物の微粉末を系内に共存させて形成される技術が開示されている。このように、無機物を導電性高分子と併用することによって、コンデンサの漏れ電流の増加を抑えることができる。
加えて、特許文献4には、誘電体層上に、化学重合で得られた導電性高分子により固体電解質層を形成した後、シリカ等の非導電性のコロイド粒子を分散したコロイド溶液に浸漬する方法が開示されている。これにより、非導電性の粒子が誘電体層上に付着するので、固体電解質上に形成された陰極体を構成する粒子が誘電体層上に生じた欠陥部に付着して絶縁破壊が生じるのを防ぐことができる。
また、特許文献5には、誘電体皮膜が形成された陽極上に、複素五員環化合物溶液および酸化剤溶液を用いて化学酸化重合を行うことにより形成された固体電解質であって、上記いずれかの溶液にポリマー微粒子を含むコロイド溶液を添加して形成されたものが開示されている。これにより、陽極の微細孔と外側表面とに固体電解質層を確実に付着させることができる。
また、特許文献6には、固体電解質として機能する導電性高分子層であって、モノマー液にシリカ微粉末を分散した液を作製し、この液に焼結体を浸漬し、ついで酸化剤溶液に浸漬して複数回重合を行うことによって、多層に形成された導電性高分子層が開示されている。このようにして形成された、シリカ微粉末を含有する導電性高分子層は強度が増すので、導電性高分子層の下に形成されている酸化皮膜の損傷を防ぐことができる。
特開平5−243098号公報
特開平6−267799号公報
特開平1−297811号公報
特開2004−47886号公報
特開平9−306788号公報
特開平8−213285号公報
しかしながら、上記特許文献1の方法は、溶液の化成性を高めて、電解重合時に酸化皮膜を修復する場合には効果があるが、化学重合の場合は電気が印加されないので酸化皮膜を修復することができない。このため、固体電解コンデンサの漏れ電流の増加を十分に抑制することが難しいという問題があった。
また、上記特許文献2、3、6のように、シリカの微粉末を添加する方法では、固体電解質層内に微粉末であるシリカが均一に分散されないという問題があった。さらに、上記特許文献4のように、シリカ等のコロイドを酸化皮膜上に形成する場合、コロイド粒子を分散させた溶液に浸漬させる工程が別に必要であり、特許文献5の技術では、シリカ等のコロイドは酸化皮膜上にのみ形成され、固体電解質内には形成できないという問題があった。
また、上記特許文献2、3、6のように、シリカの微粉末を添加する方法では、固体電解質層内に微粉末であるシリカが均一に分散されないという問題があった。さらに、上記特許文献4のように、シリカ等のコロイドを酸化皮膜上に形成する場合、コロイド粒子を分散させた溶液に浸漬させる工程が別に必要であり、特許文献5の技術では、シリカ等のコロイドは酸化皮膜上にのみ形成され、固体電解質内には形成できないという問題があった。
本発明の目的は、自己修復性を高めて、漏れ電流の増加を抑制できる固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、表面に酸化皮膜が形成された陽極体を有するコンデンサ素子を形成するコンデンサ素子形成工程と、
前記コンデンサ素子を酸化剤溶液に浸漬することによって、前記コンデンサ素子に酸化剤を含浸させる酸化剤含浸工程と、
前記コンデンサ素子をモノマー溶液に浸漬することによって、前記コンデンサ素子にモノマーを含浸させるモノマー含浸工程と、
前記コンデンサ素子に含浸させた前記酸化剤と前記モノマーとを化学重合させることによって、前記酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質を形成する固体電解質形成工程とを備えており、
前記酸化剤溶液または前記モノマー溶液の少なくとも一方に、コロイダルシリカが添加されている。
前記コンデンサ素子を酸化剤溶液に浸漬することによって、前記コンデンサ素子に酸化剤を含浸させる酸化剤含浸工程と、
前記コンデンサ素子をモノマー溶液に浸漬することによって、前記コンデンサ素子にモノマーを含浸させるモノマー含浸工程と、
前記コンデンサ素子に含浸させた前記酸化剤と前記モノマーとを化学重合させることによって、前記酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質を形成する固体電解質形成工程とを備えており、
前記酸化剤溶液または前記モノマー溶液の少なくとも一方に、コロイダルシリカが添加されている。
別の観点によると、本発明の固体電解コンデンサは、酸化皮膜が形成された陽極体を有しており、かつ前記酸化皮膜上に固体電解質が形成されたコンデンサ素子を備えた固体電解コンデンサであって、
前記固体電解質は、前記コンデンサ素子を、少なくともいずれか一方にコロイダルシリカが添加された酸化剤溶液およびモノマー溶液にそれぞれ浸漬し、前記コンデンサ素子に酸化剤およびモノマーを含浸させ、前記酸化剤と前記モノマーとを化学重合させることによって形成される。
前記固体電解質は、前記コンデンサ素子を、少なくともいずれか一方にコロイダルシリカが添加された酸化剤溶液およびモノマー溶液にそれぞれ浸漬し、前記コンデンサ素子に酸化剤およびモノマーを含浸させ、前記酸化剤と前記モノマーとを化学重合させることによって形成される。
これらの構成によると、酸化剤溶液とモノマー溶液との重合反応とは無関係に、コロイダルシリカによってコンデンサ素子の自己修復性を高めることが可能になる。これにより、漏れ電流の増加を抑制することができる。
なお、本発明においては、「酸化剤含浸工程」と「モノマー含浸工程」との順番は問わない。すなわち、「酸化剤含浸工程」を行った後に「モノマー含浸工程」を行ってもよいし、逆に「モノマー含浸工程」を行った後に「酸化剤含浸工程」を行ってもよい。
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法では、前記酸化剤溶液または前記モノマー溶液に添加される前記コロイダルシリカの濃度が、溶液全体に対して0.01〜10.0wt%の範囲にあることが好ましく、0.1〜1.0wt%の範囲にあることがより好ましい。
加えて、本発明の固体電解コンデンサの製造方法では、前記酸化剤溶液または前記モノマー溶液に添加される前記コロイダルシリカの粒径は、2〜200nmの範囲にあることが好ましく、2〜4nmの範囲にあることがより好ましい。
本発明の発明者らは、酸化剤溶液またはモノマー溶液に添加されるコロイダルシリカの粒径が2〜200nmの範囲にあるとき、また、濃度が0.01〜10.0wt%の範囲の範囲にあるときに、固体電解コンデンサの漏れ電流の増加を効率よく抑制できることを見出した。
また、本発明の固体電解コンデンサの製造方法では、前記酸化剤が、p−トルエンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、およびフェノールスルホン酸のいずれか1種を含む遷移金属塩が好ましく、特に第二鉄塩が好ましい。
さらに、本発明の固体電解コンデンサの製造方法では、前記モノマーが、アニリン、ピロール、チオフェン、エチレンジオキシチオフェンおよびこれらの誘導体のいずれか1種を含んでいてもよい。
また、本発明の固体電解コンデンサは、前記固体電解質に含まれるコロイダルシリカの含有量が、シリコン換算で0.0074〜7.4wt%であることが好ましく、0.075〜0.750wt%であることがより好ましい。
本発明によれば、従来技術よりさらに固体電解コンデンサの誘電体酸化皮膜の自己修復性を高めることができるため、漏れ電流の増加を抑制できる。さらに、固体電解質中にシリカが分散して存在するので、導電性高分子の量を少なくすることができ、低コスト化を図ることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる製造方法により製造された固体電解コンデンサの概略構成を示す図である。なお、図1においては、その内部構造を示すため、一部分を断面で表している。図2は、図1に示すコンデンサ素子の分解斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる固体電解コンデンサ(以下、単に「コンデンサ」と称する)1は、コンデンサ素子10を端部に開口部8aを有する有底筒状の金属ケース8に収納してなる。金属ケース8の開口部8aは、封口材7によって封口されている。図2に示すように、コンデンサ素子10は、長尺な陽極箔(陽極体)2と陰極箔3とが長尺なセパレータ4を介して巻回された構造を有している。
陽極箔2は、アルミニウム等の弁作用金属で形成されている。ここで、コンデンサ素子10の積層構造を概略的に示す図である図3に示すように、陽極箔2の表面はエッチング処理により粗面化(エッチングピット形成)されているとともに、陽極酸化(化成)による陽極酸化皮膜2aが形成されている。
また、陰極箔3についても陽極箔2と同様にアルミニウム等で形成されており、その表面は粗面化(エッチングピット形成)されるとともに、自然酸化皮膜(または陽極酸化皮膜)3aが形成されている。陰極箔3は、基材金属にアルミニウム、チタン、窒化チタン、炭化チタン等を蒸着したものや、粗面化アルミニウム箔に炭素を蒸着、塗布したものでもよい。
陽極箔2および陰極箔3には、それぞれリードタブ(図示せず)が接続されており、図1、2に示すように、このリードタブを介して陽極箔2および陰極箔3からリード線6が引き出されている。
また、陰極箔3についても陽極箔2と同様にアルミニウム等で形成されており、その表面は粗面化(エッチングピット形成)されるとともに、自然酸化皮膜(または陽極酸化皮膜)3aが形成されている。陰極箔3は、基材金属にアルミニウム、チタン、窒化チタン、炭化チタン等を蒸着したものや、粗面化アルミニウム箔に炭素を蒸着、塗布したものでもよい。
陽極箔2および陰極箔3には、それぞれリードタブ(図示せず)が接続されており、図1、2に示すように、このリードタブを介して陽極箔2および陰極箔3からリード線6が引き出されている。
また、図3に示すように、セパレータ4の両面には導電性高分子からなる固体電解質5が保持されている。つまり、陽極箔2および陰極箔3とセパレータ4との間に固体電解質5が狭持されている。なお、本実施の形態の固体電解質5を構成する導電性高分子は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)である。
また、固体電解質5には、コロイダルシリカの微粒子が分散されており、その含有量はシリコン換算で0.007〜11.2wt%である。この固体電解質5は、酸化剤とモノマーとの化学重合により生成される。
また、固体電解質5には、コロイダルシリカの微粒子が分散されており、その含有量はシリコン換算で0.007〜11.2wt%である。この固体電解質5は、酸化剤とモノマーとの化学重合により生成される。
次に、本実施の形態にかかるコンデンサ1の製造工程の一例について、図4を参照しつつ説明する。
[実施例1]
まず、電極の実効表面積を大きくするために、陽極箔2および陰極箔3の表面にエッチング処理を施して粗面化した(S1)。さらに、粗面化された陽極箔2の表面に化成処理を施して陽極酸化皮膜2aを形成し、陰極箔3は、耐水性処理および/または熱処理にて自然酸化皮膜3aを形成した(S2)。
そして、陽極酸化皮膜2a、自然酸化皮膜3aが形成された陽極箔2と陰極箔3とを所定の寸法に裁断後、それぞれにリードタブを介してリード線6を接続するとともに、これら陽極箔2と陰極箔3とをセパレータ4を介して巻回した(S3)。その後、切り口化成・セパレータの炭化処理を行って(S4)、円筒形のコンデンサ素子10を形成した(コンデンサ素子形成工程)。本発明では、定格25V−22μF用のコンデンサ素子を形成した。
まず、電極の実効表面積を大きくするために、陽極箔2および陰極箔3の表面にエッチング処理を施して粗面化した(S1)。さらに、粗面化された陽極箔2の表面に化成処理を施して陽極酸化皮膜2aを形成し、陰極箔3は、耐水性処理および/または熱処理にて自然酸化皮膜3aを形成した(S2)。
そして、陽極酸化皮膜2a、自然酸化皮膜3aが形成された陽極箔2と陰極箔3とを所定の寸法に裁断後、それぞれにリードタブを介してリード線6を接続するとともに、これら陽極箔2と陰極箔3とをセパレータ4を介して巻回した(S3)。その後、切り口化成・セパレータの炭化処理を行って(S4)、円筒形のコンデンサ素子10を形成した(コンデンサ素子形成工程)。本発明では、定格25V−22μF用のコンデンサ素子を形成した。
次に、ステップS4で形成されたコンデンサ素子10を、酸化剤溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子10に酸化剤を含浸させた後引き上げ、乾燥させた(S5:酸化剤含浸工程)。より詳細には、ステップS5においては、コンデンサ素子10をp−トルエンスルホン酸第二鉄溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子10にp−トルエンスルホン酸第二鉄(酸化剤)を含浸させた後引き上げ、160℃で20分間加熱し、乾燥させた。
その後、コンデンサ素子10を、コロイダルシリカが添加されたモノマー溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子10にモノマーを含浸させた(S6:モノマー含浸工程)。より詳細には、ステップS6においては、平均粒径10nmのコロイダルシリカが0.5wt%の濃度で添加された3,4−エチレンジオキシチオフェン溶液にコンデンサ素子10を浸漬することによって、3,4−エチレンジオキシチオフェン(モノマー)をコンデンサ素子10に含浸させた後引き上げた。このとき、コロイド状のシリカ粒子は、コンデンサ素子10の最外部だけでなく、素子内部の酸化皮膜の欠陥部にまで効率的に付着している。
続いて、重合槽内において150℃で60分間加熱することで、含浸した酸化剤とモノマーとを化学重合させて、陽極箔2および陰極箔3とセパレータ4との間に、導電性高分子からなる固体電解質5を形成した(S7:固体電解質形成工程)。このとき、本実施の形態においては、酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄と、モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェンとの化学重合により、導電性高分子であるPEDOTが生成される。また、かかる導電性高分子内には、シリカの微粒子が分散されている。ここで、形成された固体電解質5中のシリコン含有量を分析すると0.370wt%であった。
その後、コンデンサ1の組立を行う(S8)。すなわち、ステップS7により固体電解質5が形成されたコンデンサ素子10を金属ケース8に収容し、開口部8aを封口材7によって封口する。最後に、定格電圧を印加し、エージング処理を施した(S9)。
以上のように、本実施の形態における固体電解コンデンサの製造方法では、陽極箔2と陰極箔3とをセパレータ4を介して巻回させてコンデンサ素子10を形成するコンデンサ素子形成工程と、コンデンサ素子を酸化剤溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子10に酸化剤を含浸させる酸化剤含浸工程と、コンデンサ素子10をコロイダルシリカが添加されたモノマー溶液に浸漬することによって、コンデンサ素子10にモノマーを含浸させるモノマー含浸工程と、コンデンサ素子10に含浸させた酸化剤とモノマーとを化学重合させることによって、導電性高分子からなる固体電解質5を形成する固体電解質形成工程とを備えている。
したがって、酸化剤溶液とモノマー溶液との重合反応とは無関係に、コロイダルシリカによってコンデンサ素子10の自己修復性を高めることが可能になる。これにより、製造される固体電解コンデンサ1の漏れ電流の増加を抑制することができる。
したがって、酸化剤溶液とモノマー溶液との重合反応とは無関係に、コロイダルシリカによってコンデンサ素子10の自己修復性を高めることが可能になる。これにより、製造される固体電解コンデンサ1の漏れ電流の増加を抑制することができる。
<比較試験>
上述の実施例(実施例1)で述べた製造方法で製造されたコンデンサ1、ならびに以下に比較例1〜3、および実施例2〜20として述べるコンデンサとを比較する比較試験を行った。比較例1〜3、および実施例2〜20のコンデンサは、いずれも上述の実施例1のコンデンサ1の製造工程の一部を変更して製造したものである。なお、実施例1〜20および比較例1〜3のコンデンサの定格は、いずれも25V−20μFである。
上述の実施例(実施例1)で述べた製造方法で製造されたコンデンサ1、ならびに以下に比較例1〜3、および実施例2〜20として述べるコンデンサとを比較する比較試験を行った。比較例1〜3、および実施例2〜20のコンデンサは、いずれも上述の実施例1のコンデンサ1の製造工程の一部を変更して製造したものである。なお、実施例1〜20および比較例1〜3のコンデンサの定格は、いずれも25V−20μFである。
(比較例1)
比較例1にかかるコンデンサは、上述の実施例1のコンデンサ1の製造方法におけるコンデンサ素子10にモノマー含浸工程のみを変更して製造したものである。その他の製造工程は、実施例1と同じである。
比較例1にかかるコンデンサは、上述の実施例1のコンデンサ1の製造方法におけるコンデンサ素子10にモノマー含浸工程のみを変更して製造したものである。その他の製造工程は、実施例1と同じである。
具体的には、比較例1のコンデンサを製造する際には、コンデンサ素子形成工程で形成されたコンデンサ素子を、フタル酸が0.5wt%の濃度で添加された3,4−エチレンジオキシチオフェンに浸漬することによって、コンデンサ素子に3,4−エチレンジオキシチオフェンとを含浸させた。
さらに、コンデンサ素子を150℃で60分間加熱し、p−トルエンスルホン酸鉄と3,4−エチレンジオキシチオフェンとの化学重合により導電性高分子であるPEDOTを生成し、固体電解質を形成した。
さらに、コンデンサ素子を150℃で60分間加熱し、p−トルエンスルホン酸鉄と3,4−エチレンジオキシチオフェンとの化学重合により導電性高分子であるPEDOTを生成し、固体電解質を形成した。
上述の実施例1および比較例1のコンデンサの電気特性(すなわち、静電容量、tanδ、等価直列抵抗および漏れ電流)の測定を行った。その測定結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1および比較例1のコンデンサの静電容量、tanδおよび等価直列抵抗は、いずれもほぼ同等の値である。しかしながら、実施例1のコンデンサ1の漏れ電流は、比較例1のコンデンサの漏れ電流より小さくなっている。
このように、コンデンサ素子を酸化剤溶液に浸漬させる酸化剤含浸工程の後に、コロイダルシリカが添加されたモノマー溶液に浸漬させるモノマー含浸工程を行うことによって、コンデンサ素子の漏れ電流の増加を抑制できることが確認された。
このように、コンデンサ素子を酸化剤溶液に浸漬させる酸化剤含浸工程の後に、コロイダルシリカが添加されたモノマー溶液に浸漬させるモノマー含浸工程を行うことによって、コンデンサ素子の漏れ電流の増加を抑制できることが確認された。
(比較例2、実施例2〜20)
比較例2、および実施例2〜20にかかるコンデンサは、上述の実施例1のモノマー含浸工程において、コンデンサ素子10が浸漬されるモノマー溶液に添加されるコロイダルシリカの平均粒径および濃度のみを変更して製造したものである。その他の製造工程は、実施例1と同じである。なお、比較例2、および実施例2〜20のコンデンサを製造する際におけるコロイダルシリカの平均粒径および濃度は、表2に示すとおりである。
比較例2、および実施例2〜20にかかるコンデンサは、上述の実施例1のモノマー含浸工程において、コンデンサ素子10が浸漬されるモノマー溶液に添加されるコロイダルシリカの平均粒径および濃度のみを変更して製造したものである。その他の製造工程は、実施例1と同じである。なお、比較例2、および実施例2〜20のコンデンサを製造する際におけるコロイダルシリカの平均粒径および濃度は、表2に示すとおりである。
(比較例3)
比較例3にかかるコンデンサは、上述の実施例1のモノマー含浸工程において、コンデンサ素子10を浸漬するモノマー溶液に、コロイダルシリカの代わりに、シリカを添加して製造したものである。その他の製造工程は、実施例1と同じである。
比較例3にかかるコンデンサは、上述の実施例1のモノマー含浸工程において、コンデンサ素子10を浸漬するモノマー溶液に、コロイダルシリカの代わりに、シリカを添加して製造したものである。その他の製造工程は、実施例1と同じである。
上述の比較例2、3および実施例1〜20のコンデンサの電気特性(すなわち、静電容量、tanδ、等価直列抵抗および漏れ電流)の測定を行った。その測定結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例は比較例と比較してコンデンサの静電容量、tanδおよび等価直列抵抗がほぼ同等の値でありながら、漏れ電流が低減されていることが分かる。
さらに、モノマー溶液に添加されるコロイダルシリカの粒径は、2〜200nmであることが好適であり、特に、2〜4nmの範囲がより好適であると確認された。また、モノマー溶液に添加されるコロイダルシリカの濃度は、0.01〜10wt%であることが好適であり、特に、0.1〜1.0wt%の範囲がより好適であると確認された。さらに、固体電解質中のシリコン含有量は、0.0074〜7.4wt%であることが好適であり、特に、0.075〜0.75wt%の範囲がより好適であると確認された。
さらに、モノマー溶液に添加されるコロイダルシリカの粒径は、2〜200nmであることが好適であり、特に、2〜4nmの範囲がより好適であると確認された。また、モノマー溶液に添加されるコロイダルシリカの濃度は、0.01〜10wt%であることが好適であり、特に、0.1〜1.0wt%の範囲がより好適であると確認された。さらに、固体電解質中のシリコン含有量は、0.0074〜7.4wt%であることが好適であり、特に、0.075〜0.75wt%の範囲がより好適であると確認された。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
例えば、上述の実施の形態では、コロイダルシリカをモノマー溶液に添加する場合について説明したが、コロイダルシリカを酸化剤溶液に添加しても同様の効果を得ることができる。また、酸化剤溶液およびモノマー溶液の両方にコロイダルシリカを添加してもよい。
また、上述の実施の形態では、酸化剤含浸工程を行った後に、モノマー含浸工程を行う場合について説明したが、モノマー含浸工程は酸化剤含浸工程の前に行ってもよい。
また、上述の実施の形態では、PEDOTを固体電解質5として用いる場合について説明したが、PEDOT以外の公知の導電性高分子(例えば、ポリアニリン、ポリピロールおよびポリチオフェン)を固体電解質として用いてもよい。
さらに、上述の実施の形態では、p−トルエンスルホン酸第二鉄を酸化剤として用いる場合について説明したが、p−トルエンスルホン酸第二鉄以外の公知の有機スルホン酸系遷移金属塩(例えば、有機スルホン酸がメトキシベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、フェノールスルホン酸)を酸化剤として用いてもよい。
加えて、上述の実施の形態では、3,4−エチレンジオキシチオフェンをモノマーとして用いる場合について説明したが、3,4−エチレンジオキシチオフェン以外の公知の物質(例えば、アニリンやピロールおよびこれらの誘導体)をモノマーとして用いてもよい。
さらに、上述の実施の形態では、巻回形のコンデンサ素子10を有する固体電解コンデンサ1について説明したが、本発明は、アルミニウム箔の積層形のコンデンサ素子、タンタルやニオブの焼結体を有する固体電解コンデンサについても適用可能である。
1 固体電解コンデンサ
2 陽極箔
2a 陽極酸化皮膜
5 固体電解質
10 コンデンサ素子
2 陽極箔
2a 陽極酸化皮膜
5 固体電解質
10 コンデンサ素子
Claims (7)
- 表面に酸化皮膜が形成された陽極体を有するコンデンサ素子を形成するコンデンサ素子形成工程と、
前記コンデンサ素子を酸化剤溶液に浸漬することによって、前記コンデンサ素子に酸化剤を含浸させる酸化剤含浸工程と、
前記コンデンサ素子をモノマー溶液に浸漬することによって、前記コンデンサ素子にモノマーを含浸させるモノマー含浸工程と、
前記コンデンサ素子に含浸させた前記酸化剤と前記モノマーとを化学重合させることによって、前記酸化皮膜上に導電性高分子からなる固体電解質を形成する固体電解質形成工程とを備えており、
前記酸化剤溶液または前記モノマー溶液の少なくとも一方に、コロイダルシリカが添加されていることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記酸化剤溶液または前記モノマー溶液に添加される前記コロイダルシリカの濃度が、溶液全体に対し0.01〜10.0wt%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記酸化剤溶液または前記モノマー溶液に添加される前記コロイダルシリカの粒径は、2〜200nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記酸化剤が、p−トルエンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、およびフェノールスルホン酸のいずれか1種を含む遷移金属塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記モノマーが、アニリン、ピロール、チオフェン、エチレンジオキシチオフェンおよびこれらの誘導体のいずれか1種を含んでいることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 酸化皮膜が形成された陽極体を有しており、かつ前記酸化皮膜上に固体電解質が形成されたコンデンサ素子を備えた固体電解コンデンサであって、
前記固体電解質は、前記コンデンサ素子を、少なくともいずれか一方にコロイダルシリカが添加された酸化剤溶液およびモノマー溶液にそれぞれ浸漬し、前記コンデンサ素子に酸化剤およびモノマーを含浸させ、前記酸化剤と前記モノマーとを化学重合させることによって形成されることを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記固体電解質に含まれるコロイダルシリカの含有量が、シリコン換算で0.0074〜7.4wt%であることを特徴とする請求項6に記載の固体電解コンデンサ。
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