JP2017175082A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、高容量を得ることができる電解コンデンサおよびその製造方法を提供することである。
前記陰極箔の端面が、導体層を備え、
前記導電性高分子が、前記導体層に接触しており、
前記導体層が、前記第1金属とは異なる第2金属および炭素からなる群より選択される少なくとも一種を含む、電解コンデンサに関する。
前記端面に前記導体層を有する陰極箔と、誘電体層を有する陽極箔と、前記陰極箔および前記陽極箔の間に介在するセパレータとを備える巻回体を形成する工程と、
前記誘電体層の少なくとも一部を覆い、かつ前記導体層に接触するように導電性高分子を付着させてコンデンサ素子を形成する工程と、を有する、電解コンデンサの製造方法に関する。
図1は、本実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図であり、図2は、同電解コンデンサに含まれる巻回体の一部を展開した概略図である。
陰極箔には、金属箔を用いることができる。金属箔に含まれる金属の種類は特に限定されないが、弁作用を有する金属(第1金属)、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブなどが好ましい。中でも、第1金属を主成分として含む金属材料が好ましい。このような金属材料としては、例えば、第1金属の単体または第1金属を含む合金などが挙げられる。
化成処理後の陰極箔は、必要に応じて、洗浄および乾燥してもよい。
第2金属および/または炭素を含む導体層は、公知の成膜方法、例えば、蒸着(真空蒸着などの物理蒸着、化学蒸着など)、イオンプレーティング、スパッタリングなどの気相法により、第2金属、第2金属を含む化合物、炭素などを、陰極箔の端面に堆積させることにより形成される。
導体層が第2金属を含む金属層である場合、金属層は、第2金属の単体または第2金属を含む合金が好ましい。第2金属としては、Ni、Ag、Au、Pt、Zn、およびSnからなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。中でも、金属層は、NiまたはNi合金、ZnまたはZn合金、SnまたはSn合金、Au、Ptなどを含むことが好ましい。金属層は、例えば、第2金属の単体または第2金属を含む合金を、蒸着またはイオンプレーティングしたり、ターゲットとして用いてスパッタリングすることにより形成できる。
導体層の厚みは、例えば、0.001〜1μmであり、0.005〜0.5μmであることが好ましい。
まず、陽極箔21の原料である金属箔を準備する。金属の種類は特に限定されないが、誘電体層の形成が容易である点から、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用を有する金属(第3金属)を含むものが好ましい。中でも、第3金属を主成分として含むもの、例えば、アルミニウムなどの金属単体、アルミニウム合金などの合金が好ましい。
化成処理後の陽極箔は、必要に応じて、洗浄および乾燥してもよい。
次に、工程(ii)で得られた陰極箔、および陽極箔21を用いて巻回体を作製する。
まず、陽極箔21と陰極箔とを、セパレータ23を介して巻回する。このとき、リードタブ15A、15Bを巻き込みながら巻回することにより、図2に示すように、リードタブ15A、15Bを巻回体から植立させることができる。
工程(iii)において、陽極箔を大判の金属箔を裁断することによって準備した場合には、巻回体をさらに化成処理(再化成処理)することで、陽極箔の端面に誘電体層が形成される。このときも化成処理は、化成液を用いて行うことができる。化成処理は、例えば、巻回体を化成液に浸漬させた状態で熱処理することにより行なってもよい。また、巻回体とともに第3電極を化成液に浸漬させた状態で、第3電極を対極として巻回体の陽極箔にプラスの電圧を印加することにより行ってもよい。熱処理と電圧の印加との双方を行ってもよい。化成処理の条件は、工程(iii)について記載したものから、化成液は、工程(i)について記載したものから適宜決定できる。
化成処理は、巻回体の全体を化成液に浸漬させた状態で行ってもよく、巻回体の少なくとも天面や底面を化成液に浸漬させた状態で行ってもよい。
なお、化成処理後の巻回体は、必要に応じて、洗浄および乾燥される。
この工程では、導電性高分子を含む処理液を、巻回体に付与して、巻回体に導電性高分子を付着させる。導電性高分子は、陽極箔21の誘電体層の少なくとも一部を覆うとともに、陰極箔22の端面の導体層に接触するように付着させる。陽極箔21と陰極箔22との間において、導電性高分子は、陽極箔21の誘電体層の表面に膜状に付着して、導電性高分子層(または固体電解質層)を形成していてもよいが、この場合に限らない。導電性高分子は、少なくとも陰極箔22の端面の導体層に陰極箔22の表面(または化成により形成される酸化物皮膜)の少なくとも一部を覆うように付着していてもよい。また、導電性高分子は、セパレータ23の表面の少なくとも一部を被覆していてもよい。
電解液などの液状成分を含む電解コンデンサを作製する場合には、コンデンサ素子10に、さらに液状成分を含浸させる。これにより、誘電体層の修復機能に優れた電解コンデンサが得られる。液状成分を用いるときは、電気二重層が形成され易いので、本実施形態は、液状成分を含む電解コンデンサに特に有用である。
次に、コンデンサ素子10を封止する。具体的には、まず、リード線14A、14Bが有底ケース11の開口する上面に位置するように、コンデンサ素子10を有底ケース11に収納する。有底ケース11の材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮などの金属あるいはこれらの合金を用いることができる。
本実施例では、定格電圧35V、定格静電容量56μFの巻回型の電解コンデンサ(直径6.3mm×長さ5.8mm)を作製した。以下に、電解コンデンサの具体的な製造方法について説明する。
厚さ120μmのAl箔を準備した。このAl箔に直流エッチング処理を行い、表面を粗面化した。次いで、Al箔に化成処理を施して誘電体層(厚み:約70nm)を形成することにより陽極箔を得た。誘電体層は、アジピン酸アンモニウム溶液にAl箔を浸漬させ、Al箔に50Vの電圧を印加しながら、70℃で30分間化成処理を行うことにより形成した。その後、陽極箔を所定サイズに裁断して、陽極箔を準備した。
厚さ50μmのAl箔にエッチング処理を行い、Al箔の表面を粗面化した。
次いで、Al箔に化成処理を施して、酸化物皮膜を形成した。酸化物皮膜は、アジピン酸アンモニウム溶液にAl箔を浸漬させ、Al箔に3Vの電圧を印加しながら、70℃で30分間化成処理することにより形成した。その後、Al箔を裁断して、陰極箔を準備した。
準備した陰極箔を、長手方向に沿って巻回して、円柱体を作製した。このとき、円柱体の天面および底面には、陰極箔の長手方向に沿う両端面がそれぞれ露出していた。この状態で、円柱体の天面および底面の双方にNiをスパッタリングすることにより、陰極箔の端面に導体層を形成した。導体層の厚みは0.1μmであった。
準備した陽極箔および端面に導体層を有する陰極箔に、リード線が接続された陽極リードタブおよび陰極リードタブをそれぞれ接続し、陽極箔と陰極箔とを、リードタブを巻き込みながら、セパレータを介して巻回し、外側表面を巻止めテープで固定することで巻回体を作製した。
作製した巻回体を、アジピン酸アンモニウム溶液に浸漬させ、陽極箔に対して、50Vの電圧を印加しながら、70℃で60分間再度化成処理を行うことにより、主に陽極箔の端面に誘電体層を形成した。
3,4−エチレンジオキシチオフェンと、ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸とを、イオン交換水に溶かした混合溶液を調製した。得られた混合溶液を撹拌しながら、イオン交換水に溶かした硫酸鉄(III)(酸化剤)を添加し、重合反応を行った。反応後、得られた反応液を透析して、未反応モノマーおよび過剰な酸化剤を除去し、約5質量%のポリスチレンスルホン酸がドープされたポリエチレンジオキシチオフェンを含む高分子分散体を得た。
減圧雰囲気(40kPa)中で、所定容器に収容された高分子分散体に巻回体を5分間浸漬し、その後、高分子分散体から巻回体を引き上げた。次に、高分子分散体を含浸した巻回体を、150℃の乾燥炉内で20分間乾燥させた。このようにして、巻回体の陽極箔の誘電体層を覆うとともに、陰極箔の端面の導体層に接触するように、導電性高分子を付着させて、コンデンサ素子を完成させた。
コンデンサ素子に、減圧雰囲気(40kPa)中で電解液を含浸させた。電解液としては、PEG:γBL:SL:フタル酸モノ(エチルジメチルアミン)(溶質)=25:25:25:25(質量比)で混合した溶液を用いた。
電解液を含浸させたコンデンサ素子を封止して、電解コンデンサを完成させた。その後、定格電圧を印加しながら、130℃で2時間エージング処理を行った。
4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数120Hzにおける静電容量(初期静電容量)(μF)を測定した。
4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(初期ESR値)(mΩ)を測定した。
静電容量およびESR値は、それぞれ、ランダムに選択した120個の電解コンデンサについて測定し、平均値を算出した。
陰極箔の端面に導体層を形成せずに、巻回体を作製した。巻回体の陽極体の端面に、誘電体層を形成した。これら以外は実施例1と同様に電解コンデンサを作製し、評価を行った。
陰極箔の端面に、導電性炭素を気相成膜することにより導電性カーボン層を形成した。このこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製し、評価を行った。
陰極箔の端面に、窒素雰囲気下、TiをスパッタリングすることによりTiNの導体層を形成した。このこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製し、評価を行った。
陰極箔の端面に、SnをスパッタリングすることによりSnの導体層を形成した。このこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製し、評価を行った。
陰極箔の端面に、酸素雰囲気下、SnをスパッタリングすることによりSnO2を含む導体層を形成した。このこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製し、評価を行った。
陰極箔の端面に、ZnをスパッタリングすることによりZnの導体層を形成した。このこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製し、評価を行った。
陰極箔の端面に、酸素雰囲気下、ZnをスパッタリングすることによりZnO2を含む導体層を形成した。このこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製し、評価を行った。
陰極箔の端面に、AuをスパッタリングすることによりAuの導体層を形成した。このこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製し、評価を行った。
陰極箔の端面に、PtをスパッタリングすることによりPtの導体層を形成した。このこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製し、評価を行った。
実施例および比較例の結果を表1に示す。実施例1〜9は、A1〜A9であり、比較例1はB1である。
Claims (10)
- 弁作用を有する第1金属を含む陰極箔と、誘電体層を有する陽極箔と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う導電性高分子と、を備え、
前記陰極箔の端面が、導体層を備え、
前記導電性高分子が、前記導体層に接触しており、
前記導体層が、前記第1金属とは異なる第2金属および炭素からなる群より選択される少なくとも一種を含む、電解コンデンサ。 - 前記導体層は、前記第2金属を含む金属層である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
- 前記金属層は、前記第2金属の単体または前記第2金属を含む合金を含み、
前記第2金属は、Ni、Ag、Au、Pt、Zn、およびSnからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項2に記載の電解コンデンサ。 - 前記導体層は、前記第2金属を含む金属化合物層である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
- 前記金属化合物層は、前記第2金属を含む窒化物および酸化物からなる群より選択される少なくとも一種を含み、
前記第2金属は、Ti、Zn、およびSnからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項4に記載の電解コンデンサ。 - 前記導体層は、導電性炭素を含むカーボン層である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
- 前記陰極箔の主面は、酸化物皮膜を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
- さらに、前記導電性高分子と接触する液状成分を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
- 弁作用を有する第1金属を含む陰極箔の端面に、前記第1金属とは異なる第2金属および炭素からなる群より選択される少なくとも一種を含む導体層を形成する工程と、
前記端面に前記導体層を有する陰極箔と、誘電体層を有する陽極箔と、前記陰極箔および前記陽極箔の間に介在するセパレータとを備える巻回体を形成する工程と、
前記誘電体層の少なくとも一部を覆い、かつ前記導体層に接触するように導電性高分子を付着させてコンデンサ素子を形成する工程と、を有する、電解コンデンサの製造方法。 - 前記コンデンサ素子に、液状成分を含浸させる工程を、さらに有する、請求項9に記載の電解コンデンサの製造方法。
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