JP6735510B2 - 電解コンデンサ - Google Patents
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前記陽極箔の端面が、絶縁性を有する皮膜を有し、
前記皮膜が、前記第1金属とは異なる第2金属の酸化物を少なくとも含む、電解コンデンサに関する。
前記誘電体層を有し、かつ端面に前記皮膜を有する陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔および前記陰極箔の間に介在するセパレータと、を備える巻回体を形成する工程と、
前記皮膜または前記端面を化成処理する工程と、
前記誘電体層の少なくとも一部を覆うように導電性高分子を付着させてコンデンサ素子を形成する工程と、を有する、電解コンデンサの製造方法に関する。
図1は、本実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図であり、図2は、同電解コンデンサに含まれる巻回体の一部を展開した概略図である。
誘電体層を有する陽極箔は、陽極箔の端面に第2皮膜を形成する工程に先立って準備される。陽極箔を準備する際に化成処理を行なうことで誘電体層を形成することができる。また、陽極箔の化成処理は、第2皮膜を形成した後にも行なってもよい。この化成処理は、巻回体を形成する前に行なってもよく、巻回体を形成した後で行なってもよい。さらにコンデンサ素子を封止した後に陽極箔の化成処理を行ってもよい。また、陰極箔は、巻回体を形成する工程に先立って準備すればよい。なお、陰極箔は、必要に応じて化成処理してもよい。陰極箔の化成処理は、例えば、陰極箔を準備する際、巻回体を形成する前、巻回体を形成した後、およびコンデンサ素子を封止した後のいずれのタイミングで行なってもよい。
まず、陽極箔の原料である金属箔を準備する。金属の種類は特に限定されないが、誘電体層の形成が容易である点から、アルミニウムなどの弁作用を有する金属(第1金属)を含むものが好ましい。中でも、第1金属を主成分として含むもの、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。
化成処理後の陽極箔は、必要に応じて、洗浄および乾燥してもよい。
第2金属を含む第2皮膜は、公知の成膜方法、例えば、蒸着(真空蒸着などの物理蒸着、化学蒸着など)、イオンプレーティング、スパッタリングなどの気相法により、第2金属の単体、第2金属を含む合金、および/または第2金属を含む金属化合物などの第2金属を含む材料を、陽極箔の端面に堆積させることにより形成される。
第2皮膜の厚みは、例えば、1nm〜1μmであり、3〜800nmであることが好ましく、5〜500nmであることがさらに好ましい。
陰極箔には、陽極箔と同様、金属箔を用いることができる。金属箔には、特に制限されないが、アルミニウム、タンタル、ニオブなどの弁作用を有する金属(第3金属)を主成分として含む金属材料を用いることが好ましい。このような金属材料としては、例えば、第3金属の単体または第3金属を含む合金などが挙げられる。
化成処理後の陰極箔は、必要に応じて、洗浄および乾燥してもよい。
次に、工程(ii)で得られた陽極箔、および準備された陰極箔を用いて巻回体を作製する。
まず、陽極箔と陰極箔とを、セパレータ23を介して巻回する。このとき、リードタブ15A、15Bを巻き込みながら巻回することにより、図2に示すように、リードタブ15A、15Bを巻回体から植立させることができる。
なお、化成処理後の巻回体は、必要に応じて、洗浄および乾燥される。
この工程では、導電性高分子を含む処理液を、巻回体に付与して、巻回体に導電性高分子を付着させる。陽極箔21と陰極箔22との間において、導電性高分子は、陽極箔21の誘電体層の表面に膜状に付着して、導電性高分子層(または固体電解質層)を形成していてもよいが、この場合に限らない。導電性高分子は、陰極箔22の表面(または化成により形成される酸化皮膜)の少なくとも一部を覆うように付着していてもよい。また、導電性高分子は、セパレータ23の表面の少なくとも一部を被覆していてもよい。
電解液などの液状成分を含む電解コンデンサを作製する場合には、コンデンサ素子10に、さらに液状成分を含浸させる。これにより、誘電体層の修復機能に優れた電解コンデンサが得られる。コンデンサ素子10に液状成分を含浸させる方法は特に限定されない。例えば、容器に収容された液状成分にコンデンサ素子10を浸漬させる方法が簡易で好ましい。含浸は、減圧下、例えば10〜100kPaの雰囲気で行うことが好ましい。
次に、コンデンサ素子10を封止する。具体的には、まず、リード線14A、14Bが有底ケース11の開口する上面に位置するように、コンデンサ素子10を有底ケース11に収納する。有底ケース11の材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮などの金属あるいはこれらの合金を用いることができる。
本実施例では、定格電圧35V、定格静電容量47μFの巻回型の電解コンデンサ(直径6.3mm×長さ5.8mm)を作製した。以下に、電解コンデンサの具体的な製造方法について説明する。
厚さ120μmのAl箔を準備した。このAl箔に直流エッチング処理を行い、表面を粗面化した。次いで、Al箔に化成処理を施して誘電体層(厚み:約70nm)を形成することにより陽極箔を得た。誘電体層は、アジピン酸アンモニウム溶液にAl箔を浸漬させ、Al箔に50Vの電圧を印加しながら、70℃で30分間、化成処理を行うことにより形成した。その後、陽極箔を所定サイズに裁断して、帯状の陽極箔を準備した。
準備した陽極箔を、長手方向に沿って巻回して、円柱体を作製した。このとき、円柱体の天面および底面には、陽極箔の長手方向に沿う両端面がそれぞれ露出していた。この状態で、円柱体の天面および底面の双方にTaをスパッタリングすることにより、陽極箔の端面にTaの単体からなる第2皮膜(金属層)を形成した。第2皮膜の厚みは、10nmであった。
厚み50μmのAl箔にエッチング処理を行い、Al箔の表面を粗面化した。
次いで、Al箔に化成処理を施して、酸化物皮膜を形成した。酸化物皮膜は、リン酸アンモニウム溶液にAl箔を浸漬させ、Al箔に3Vの電圧を印加しながら、70℃で30分間化成処理することにより形成した。その後、Al箔を裁断して、陰極箔を準備した。
主面に誘電体層を有し、端面に第2皮膜が形成された陽極箔と、準備した陰極箔に、リード線が接続された陽極リードタブおよび陰極リードタブをそれぞれ接続した。陽極箔と陰極箔とを、リードタブを巻き込みながら、セパレータを介して巻回し、外側表面を巻止めテープで固定することで巻回体を作製した。
3,4−エチレンジオキシチオフェンと、ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸とを、イオン交換水に溶かした混合溶液を調製した。得られた混合溶液を撹拌しながら、イオン交換水に溶かした硫酸鉄(III)(酸化剤)を添加し、重合反応を行った。反応後、得られた反応液を透析して、未反応モノマーおよび過剰な酸化剤を除去し、約5質量%のポリスチレンスルホン酸がドープされたポリエチレンジオキシチオフェンを含む高分子分散体を得た。
減圧雰囲気(40kPa)中で、所定容器に収容された高分子分散体に巻回体を5分間浸漬し、その後、高分子分散体から巻回体を引き上げた。次に、高分子分散体を含浸した巻回体を、150℃の乾燥炉内で20分間乾燥させ、導電性高分子を巻回体の陽極箔と陰極箔との間に付着させた。このようにして、コンデンサ素子を完成させた。
コンデンサ素子に、減圧雰囲気(40kPa)中で、電解液を含浸させた。電解液としては、PEG:γBL:SL:フタル酸モノ(エチルジメチルアミン)(溶質)=25:25:25:25(質量比)で混合した溶液を用いた。
電解液を含浸させたコンデンサ素子を封止して、電解コンデンサを完成させた。その後、定格電圧を印加しながら、130℃で2時間エージング処理を行った。
4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数120Hzにおける静電容量(初期静電容量)(μF)を測定した。
4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(初期ESR値)(mΩ)を測定した。
静電容量およびESR値は、それぞれ、ランダムに選択した120個の電解コンデンサについて測定し、平均値を算出した。
陽極箔の端面に第2皮膜を形成せずに、巻回体を作製した。このこと以外は、実施例1と同様に電解コンデンサを作製し、評価を行った。得られた電解コンデンサのコンデンサ素子では、陽極箔の端面には、酸化アルミニウムを含む誘電体層が形成されていた。
Taに代えてNbをスパッタリングしたこと以外は、実施例1と同様にして、Nbの単体からなる第2皮膜を第2陽極箔の端面に形成した。得られた陽極箔を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサを作製し、評価を行った。なお、実施例2の巻回体を再化成処理した後の陽極箔は、端面に、Nbの酸化物を少なくとも含む第1皮膜を有していた。
Taに代えてZrをスパッタリングしたこと以外は、実施例1と同様にして、Zrの単体からなる第2皮膜を第2陽極箔の端面に形成した。得られた陽極箔を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサを作製し、評価を行った。なお、実施例2の巻回体を再化成処理した後の陽極箔は、端面に、Zrの酸化物を少なくとも含む第1皮膜を有していた。
Taに代えて、BNをターゲットとして用いてスパッタリングを行ったこと以外は、実施例1と同様にして、BNからなる第2皮膜を第2陽極箔の端面に形成した。得られた陽極箔を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサを作製し、評価を行った。なお、実施例2の巻回体を再化成処理した後の陽極箔は、端面に、BNとBの酸化物を少なくとも含む第1皮膜を有していた。
Taに代えて、Si単体をターゲットとして用いるとともに、酸素雰囲気下でスパッタリングを行ったこと以外は、実施例1と同様にして、ケイ素酸化物からなる第2皮膜を第2陽極箔の端面に形成した。得られた陽極箔を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサを作製し、評価を行った。なお、実施例2の巻回体を再化成処理した後の陽極箔は、端面に、Alの酸化物およびケイ素酸化物を少なくとも含む第1皮膜を有していた。
Taに代えて、Si単体をターゲットとして用いるとともに、窒素雰囲気下でスパッタリングを行ったこと以外は、実施例1と同様にして、ケイ素窒化物かららなる第2皮膜を第2陽極箔の端面に形成した。得られた陽極箔を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電解コンデンサを作製し、評価を行った。なお、実施例2の巻回体を再化成処理した後の陽極箔は、端面に、Alの酸化物、ケイ素窒化物、およびケイ素酸化物を少なくとも含む第1皮膜を有していた。
実施例および比較例の結果を表1に示す。なお、実施例1〜6はA1〜A6であり、比較例1はB1である。
Claims (5)
- 弁作用を有する第1金属を含み、かつ誘電体層を有する陽極箔と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う導電性高分子と、陰極箔と、を備え、
前記陽極箔の端面が、絶縁性を有する皮膜を有し、
前記皮膜が、前記第1金属とは異なる第2金属の酸化物を少なくとも含み、
前記第2金属は、弁作用を有し、且つ前記第1金属よりも誘電率が高い、電解コンデンサ。 - 前記第1金属は、Alであり、
前記第2金属は、Ta、Nb、Zr、およびTiからなる群より選択された少なくとも一種である、請求項1に記載の電解コンデンサ。 - 前記第1金属は、Alであり、
前記第2金属は、BおよびSiからなる群より選択された少なくとも一種を含む、請求項1に記載の電解コンデンサ。 - 弁作用を有する第1金属を含み、かつ誘電体層を有する陽極箔と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う導電性高分子と、陰極箔と、を備え、
前記陽極箔の端面が、絶縁性を有する皮膜を有し、
前記皮膜が、前記第1金属とは異なる第2金属の酸化物を少なくとも含み、
前記第1金属は、Alであり、
前記第2金属は、Ta、Nb、Zr、およびTiからなる群より選択された少なくとも一種である、電解コンデンサ。 - さらに、前記導電性高分子と接触する液状成分を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
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