JP2009128642A - 帯電装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電極が空気中の水分、オゾンや窒素酸化物などによって腐蝕するのを防止されて、感光体表面の帯電電位が不均一になるのを防止し、感光体表面の帯電電位を長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる帯電装置を提供する。
【解決手段】 感光体表面を帯電する帯電装置に配置される電極として、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成された電極を用いる。この保護層は、リン濃度と厚み割合とが特定の範囲に規定された層である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、帯電装置および画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの、電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体として表面に光導電性物質を含む感光層を形成した感光体を用い、感光体表面に電荷を付与して均一に帯電させた後、種々の作像プロセスにて画像情報に対応する静電潜像を形成し、この静電潜像を、現像手段から供給されかつトナーを含む現像剤により現像して可視像とし、この可視像を紙などの記録材に転写した後、定着ローラによって加熱および加圧し、記録材に定着させることにより、記録材上に画像が形成される。
このような画像形成装置では、感光体表面を帯電させるために、帯電装置が用いられる。帯電装置は、通常、コロナ放電を行う放電電極と、適切な電圧が印加され、帯電電極により感光体表面に付与される電荷量ひいては感光体表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、帯電電極およびグリッド電極を支持する支持部材とを含んで構成される。そして、グリッド電極としては、ステンレス鋼、タングステンなどからなるワイヤグリッド電極、ステンレス鋼などからなる金属板(グリッド基材)に多数の貫通孔が形成された多孔性板状グリッド電極などが使用される。
これらグリッド電極のうち、ワイヤグリッド電極にはトナーなどの汚染物質が付着し易く、汚染物質の付着により、感光体表面の帯電電位を制御する機能が不充分になり、感光体表面の帯電電位が不均一になる。
一方、多孔性板状グリッド電極は、ステンレス鋼などの鉄系金属材料によって形成されることから、通常は高い耐久性を有するものの、高湿環境下での水分、帯電動作時のコロナ放電により発生するオゾンや窒素酸化物などによって酸化され易いという欠点を有する。多孔性板状グリッド電極を長期間にわたって使用する上では、高湿環境下での使用、オゾンや窒素酸化物との接触などは避けることができない。このため、ステンレス鋼などの金属材料からなる多孔性板状グリッド電極では、空気中の水分、オゾンや窒素酸化物などによって錆などの腐蝕が発生し、窒素酸化物がその表面に付着することによって、その耐久性が低下する。それとともに、感光体表面での帯電電位の制御能力が不充分になり、感光体表面の帯電電位が不均一になり、所望の帯電電位を常に安定して感光体表面に付与できない。
このようなグリッド電極における課題に鑑み、たとえば、特許文献1には、多孔性板状グリッド電極の少なくとも一方の面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粒子を含むニッケルめっき層を形成して成ることを特徴とする帯電装置が開示されている。特許文献1に開示される帯電装置では、多孔性板状グリッド電極の表面に、PTFE微粒子を含むニッケルめっき層(以後特に断らない限り「ニッケルPTFE複合めっき層」と称す)を、無電解めっき法にて形成したグリッド電極が用いられる。ニッケルPTFE複合めっき層を有するグリッド電極は、金めっき層を有するグリッド電極に比べて、安価であるという利点を有する。
しかしながら、ニッケルPTFE複合めっき層を有するグリッド電極では、ニッケルPTFE複合めっき層が金属ニッケルと有機微粒子PTFEという異質な成分を含んで形成されるので、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などが、ニッケルとPTFE微粒子との界面からグリッド電極表面に向けて侵入する。そのため、グリッド電極表面が酸化されて錆などの腐蝕が発生し、グリッド電極の帯電電位制御性および耐久性は依然として充分ではなく、感光体表面の帯電電位が不均一になる。
一方、コロナ放電を行う放電電極としては、ワイヤ電極、複数の針状部を有する金属板電極(以後「針状電極」と称す)などが用いられる。これらの中でも、構成部品が少なく、寿命が長く、オゾン発生量が少なく、断線が起こりにくくて故障が少ないといった利点を有する針状電極が好ましく使用される。針状電極は、主にステンレス鋼などの鉄系金属材料からなる金属板にエッチングを施して、複数の針状部を形成することによって作製される。針状電極の材料であるステンレス鋼などの鉄系金属材料は、高い耐久性を有する反面、高湿環境下での水分、帯電動作時のコロナ放電により発生するオゾンや窒素酸化物などによって酸化され易いという欠点を有する。そして、針状電極を長時間にわたって使用する上では、高湿環境下での使用、オゾンや窒素酸化物との接触などは避けることができない。そのため、ステンレス鋼などの金属材料からなる針状電極では、空気中の水分、オゾンや窒素酸化物などによって腐蝕が発生し、その耐久性が低下する。それとともに、針状部からコロナ放電するために針状電極に印加される電圧の制御能力が低下し、感光体表面の帯電電位が不均一になり、所望の帯電電位を常に安定して感光体表面に付与できない。また、ワイヤ電極においても、コロナ放電により生成するオゾンによって錆、腐食などが発生し、感光体表面の帯電電位が不均一になるという、針状電極と同様の解決すべき課題がある。
このようなコロナ放電を行う放電電極の課題に鑑み、たとえば、特許文献2には、放電電極の少なくとも一方の面に、ニッケルPTFE複合めっき層を形成して成ることを特徴とする帯電装置が開示されている。特許文献2に開示される帯電装置では、放電電極の表面に形成されるニッケルPTFE複合めっき層は、無電解めっき法にて形成されるものであり、膜厚が0.3μm以上であることを特徴としている。そのため、直流電流による通常の電解めっき処理によって得られるニッケルPTFE複合めっき層に比べて、層の組織が緻密で硬く、ピンホールが少なく、層膜厚が薄くても均一で、放電電極に対して高い密着性を有する。
しかしながら、ニッケルPTFE複合めっき層を有する放電電極では、ニッケルPTFE複合めっき層が金属ニッケルと有機微粒子PTFEという異質な成分を含んで形成されるので、空気中の水分、オゾンや窒素酸化物などが、ニッケルとPTFE微粒子との界面から放電電極表面に向けて侵入する。そのため、放電電極表面が酸化されて錆などの腐蝕が発生し、放電電極の印加電圧制御性および耐久性は依然として充分ではなく、感光体表面の帯電電位が不均一になる。
特開2006−113531号公報 特開2006−201488号公報
したがって本発明の目的は、電極が空気中の水分、オゾンや窒素酸化物などによって腐蝕するのを防止されて、感光体表面の帯電電位が不均一になるのを防止し、感光体表面の帯電電位を長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる帯電装置を提供することである。また、感光体表面の帯電電位を長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる帯電装置を含んで構成され、長期間にわたって高画質画像を記録することができる画像形成装置を提供することである。
本発明は、感光体表面に電圧を印加して該表面を帯電させる放電電極と、放電電極と感光体との間に設けられて感光体表面の帯電電位を制御するグリッド電極とを含む帯電装置であって、
グリッド電極の少なくとも一方の面には、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成され、
保護層は、
保護層中におけるリン濃度をx(%)、グリッド電極の厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合である(Z/Z)×100をy(%)としたとき、下記式(1)および8≦x≦15を満たすことを特徴とする帯電装置である。
(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27) …(1)
また本発明は、感光体表面に電圧を印加して該表面を帯電させる放電電極と、放電電極と感光体との間に設けられて感光体表面の帯電電位を制御するグリッド電極とを含む帯電装置であって、
放電電極の少なくとも一方の面には、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成され、
保護層は、
保護層中におけるリン濃度をx(%)、放電電極の厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合である(Z/Z)×100をy(%)としたとき、下記式(2)および8≦x≦15を満たすことを特徴とする帯電装置である。
(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27) …(2)
また本発明は、感光体表面に電圧を印加して該表面を帯電させる放電電極と、放電電極と感光体との間に設けられて感光体表面の帯電電位を制御するグリッド電極とを含む帯電装置であって、
放電電極の少なくとも一方の面およびグリッド電極の少なくとも一方の面には、ニッケルおよびリンから成る各表面を保護する保護層が形成され、
保護層は、
保護層中におけるリン濃度をx(%)、放電電極およびグリッド電極のそれぞれの厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合である(Z/Z)×100をy(%)としたとき、下記式(3)および8≦x≦15を満たすことを特徴とする帯電装置である。
(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27) …(3)
また本発明は、保護層が、フッ素系有機微粒子を含むことを特徴とする。
また本発明は、グリッド電極と放電電極との少なくともいずれか1つが、ステンレス鋼またはチタンを含む金属材料から成ることを特徴とする。
また本発明は、グリッド電極および放電電極と保護層との間に、めっき処理によって形成される導電材から成る前処理層を有することを特徴とする。
また本発明は、保護層の上に、めっき処理によって形成される導電材から成る後処理層が、保護層を被覆するように形成されることを特徴とする。
また本発明は、その表面に静電荷像が形成される感光体と、感光体の表面を帯電させるための帯電装置と、帯電状態にある感光体表面に画像情報に基づく信号光を照射して静電荷像を形成する露光手段と、感光体表面の静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録材に転写させる転写手段と、記録材に転写されるトナー像を定着させる定着手段とを含む画像形成装置であって、
帯電装置が、前記帯電装置であることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、感光体表面の帯電電位を制御するグリッド電極の少なくとも一方の面には、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成される。この保護層は、保護層中におけるリン濃度をX(%)、グリッド電極の厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合である(Z/Z)×100をy(%)としたとき、(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27)および8≦x≦15を満たす。(−0.7x+11)≦yを満たす保護層がグリッド電極表面に形成されるので、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによってグリッド電極表面が腐蝕するのを防止し、グリッド電極表面にピンホールが発生するのを抑制するとともに、グリッド電極の帯電電位制御性能が低下するのを抑制することができる。さらに、y≦(−0.7x+27)を満たす保護層がグリッド電極表面に形成されるので、グリッド電極に形成される貫通孔の開口率が低下するのを抑制することができ、グリッド電極の帯電電位制御性能が低下するのを抑制することができる。したがって、グリッド電極の帯電電位制御性能が長期間にわたって維持されるので、感光体表面の帯電電位を、長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる。
また、酸素と結合しにくいリンの保護層中における濃度xを8%以上に調整することによって、グリッド電極表面が酸化されて腐蝕するのを防止することができる。さらに、保護層をめっき処理によって形成する場合、リン濃度xが15%以下に調整された保護層は、めっき浴のpH値が低くなりすぎるのを防止して形成することができる。そのため、めっき浴中のニッケルがイオン化するのが抑制されて、保護層を確実に形成することができる。
また本発明によれば、感光体表面に電圧を印加して該表面を帯電させる放電電極の少なくとも一方の面には、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成される。この保護層は、保護層中におけるリン濃度をX(%)、放電電極の厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合である(Z/Z)×100をy(%)としたとき、(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27)および8≦x≦15を満たす。(−0.7x+11)≦yを満たす保護層が放電電極表面に形成されるので、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによって放電電極表面が腐蝕するのを防止し、放電電極表面にピンホールが発生するのを抑制するとともに、放電電極の印加電圧制御性能が低下するのを抑制することができる。さらに、y≦(−0.7x+27)を満たす保護層が放電電極表面に形成されるので、放電電極に保護層が厚くなり過ぎて形成されるのを防止することができ、放電電極の印加電圧制御性能が低下するのを抑制することができる。したがって、放電電極の印加電圧制御性能が長期間にわたって維持されるので、感光体表面の帯電電位を、長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる。
また、酸素と結合しにくいリンの保護層中における濃度xを8%以上に調整することによって、放電電極表面が酸化されて腐蝕するのを防止することができる。さらに、保護層をめっき処理によって形成する場合、リン濃度xが15%以下に調整された保護層は、めっき浴のpH値が低くなりすぎるのを防止して形成することができる。そのため、めっき浴中のニッケルがイオン化するのが抑制されて、保護層を確実に形成することができる。
また本発明によれば、放電電極の少なくとも一方の面およびグリッド電極の少なくとも一方の面には、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成される。この保護層は、保護層中におけるリン濃度をX(%)、放電電極およびグリッド電極のそれぞれの厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合である(Z/Z)×100をy(%)としたとき、(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27)および8≦x≦15を満たす。(−0.7x+11)≦yを満たす保護層が放電電極およびグリッド電極表面に形成されるので、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによって放電電極およびグリッド電極表面が腐蝕するのを防止し、放電電極およびグリッド電極表面にピンホールが発生するのを抑制するとともに、放電電極の印加電圧制御性能およびグリッド電極の帯電電位制御性能が低下するのを抑制することができる。さらに、y≦(−0.7x+27)を満たす保護層が放電電極およびグリッド電極表面に形成されるので、放電電極の印加電圧制御性能およびグリッド電極の帯電電位制御性能が低下するのを抑制することができる。したがって、放電電極の印加電圧制御性能とグリッド電極の帯電電位制御性能とが、長期間にわたって維持されるので、感光体表面の帯電電位を、長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる。
また、酸素と結合しにくいリンの保護層中における濃度xを8%以上に調整することによって、放電電極およびグリッド電極表面が酸化されて腐蝕するのを防止することができる。さらに、保護層をめっき処理によって形成する場合、リン濃度xが15%以下に調整された保護層は、めっき浴のpH値が低くなりすぎるのを防止して形成することができる。そのため、めっき浴中のニッケルがイオン化するのが抑制されて、保護層を確実に形成することができる。
また本発明によれば、保護層が、フッ素系有機微粒子を含む。そのため、電極表面にトナーなどが付着した場合においても、その付着力を小さくすることができるので、付着物を容易に除去することができる。
また本発明によれば、グリッド電極と放電電極との少なくともいずれか1つが、ステンレス鋼またはチタンを含む金属材料から成る。そのため、導電性、耐久性、耐腐蝕性に優れたグリッド電極、放電電極とすることができる。
また本発明によれば、グリッド電極および放電電極と保護層との間に、めっき処理によって形成される導電材から成る前処理層を有する。前処理層を導電材とすることによって、ニッケルおよびリンから成る保護層との密着性を向上させることができ、前処理層と保護層との界面で保護層が剥がれるのを防止することができる。
また本発明によれば、保護層の上に、めっき処理によって形成される導電材から成る後処理層が、保護層を被覆するように形成される。そのため、保護層にピンホールが発生した場合においても、そのピンホールを後処理層によって塞ぐことができ、ピンホールを介して空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などが電極表面に侵入するのを防止することができる。また、後処理層を導電材とすることによって、ニッケルおよびリンから成る保護層との密着性を向上させることができ、後処理層と保護層との界面で後処理層が剥がれるのを防止することができる。
また本発明によれば、画像形成装置が、感光体表面の帯電電位を長期間にわたって適正な範囲に維持することができる帯電装置を備える。そのため、長期間にわたって高画質画像を記録することができる。
図1は、本発明の実施の一形態である帯電装置1の構成を示す斜視図である。帯電装置1は、複数の先鋭状突起部58を有する板状の電極50(以後「針状電極50」と称す)と、針状電極50を保持する保持部材51と、針状電極50に対して相対的に移動可能に設けられ、移動時に針状電極50を擦過することによって針状電極50の表面を清掃する2枚の清掃部材52a,52bと、清掃部材52a,52bを支持する支持部材53と、清掃部材52a,52bおよび支持部材53を移動させる移動用部材54と、針状電極50、保持部材51、清掃部材52a,52bおよび支持部材53を収容するシールドケース55と、感光体表面の帯電電位を調整するグリッド電極56とを含む。
帯電装置1は、いわゆるスコロトロン帯電装置であり、放電電極である針状電極50に電圧が印加されることによってコロナ放電が起こり、後述する感光体ドラム11の表面を帯電するとともに、グリッド電極56に所定のグリッド電圧が印加されることによって、感光体ドラム11の表面の帯電状態が均一化され、感光体ドラム11の表面を所定の電位および極性に帯電する装置である。この帯電装置1は、たとえば、後述する画像形成装置100が有するトナー像形成手段2において、感光体ドラム11を臨み感光体ドラム11の軸方向に沿って配置される。
グリッド電極56は、針状電極50と感光体ドラム11との間に設けられ、このものに電圧が印加されることによって、感光体ドラム11表面の帯電状態のばらつきを調整し、帯電電位を均一化する。グリッド電極56の基材としては、グリッド形状の加工が可能であり、かつめっき可能な金属を使用でき、たとえば、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄などが挙げられる。これらの中でも、グリッド電極56の耐久性向上の観点からはステンレス鋼が特に好ましく、チタンでもよい。チタンは、耐食性に優れた材料として知られ、エッチング処理を行うことによって、グリッドとして使用することができる。ステンレス鋼の具体例としては、たとえば、SUS304、SUS309、SUS316などが挙げられ、これらの中でもSUS316が好ましい。さらに、金属板にマスキング処理およびエッチング処理を行うことによって、金属板に複数の貫通孔が形成される。エッチング処理は公知の方法に従って実施でき、たとえば、塩化第2鉄水溶液などのエッチング液を金属板に噴霧する方法などが挙げられる。化学研磨工程で貫通孔が形成された金属板は、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程および純水浸漬工程において、水洗、酸洗浄または純水洗浄を施され、その表面から異物が除去され、多孔性板状のグリッド電極基材が得られる。グリッド電極基材に形成される貫通孔の開口率は、通常75%以上85%以下のものが用いられる。
本発明の第1の実施形態では、グリッド電極56の少なくとも一方の面には、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成される。グリッド電極56の表面に保護層を形成させる方法としては、たとえば、触媒ニッケルめっき処理(カニゼン処理)などの無電解めっき処理が挙げられる。浴温90℃以上のめっき浴にグリッド電極基材を浸漬し、無電解めっき処理を行うことによって、グリッド電極56表面に保護層を形成させることができる。ここで、無電解めっき処理に使用するめっき浴としては、たとえば、次亜リン酸またはその塩およびニッケル塩を含む水溶液が挙げられる。めっき浴の具体例としては、たとえば、日本カニゼン株式会社製の商品名「カニフロンS」、上村工業株式会社製の商品名「ニムフロン」、奥野製薬工業株式会社製の商品名「トップニコジット」シリーズなどが挙げられる。
本実施形態では、めっき浴のpH値は、5〜5.5の範囲に調整される。これは、グリッド電極56表面に形成される保護層中におけるリン濃度x(%)を、8≦x≦15の範囲に調整するためである。つまり、めっき浴のpH値が高くなりすぎると保護層中のリン濃度xが低くなり、めっき浴のpH値が低くなりすぎるとめっき浴中のニッケルがイオン化して保護層の形成が困難となる。このように、めっき浴のpH値を調整して、酸素と結合しにくいリンの保護層中における濃度xを8%以上に調整することによって、グリッド電極56表面が酸化されて腐蝕するのを防止することができる。また、めっき浴のpH値を調整して、保護層中におけるリン濃度xを15%以下に調整することによって、グリッド電極56表面に保護層を確実に形成することができる。ここで、保護層中のリン濃度xの分析は、金属組成分析として一般的に知られている分析装置を用いて行うことができ、たとえばエネルギー分散型蛍光X線分析装置(ED−XRF)などを用いて行うことができる。
また、保護層は、電気めっき処理によっても形成することができる。電気めっき処理に使用するめっき浴としては、前述した無電解めっき処理に使用するめっき浴と同様のものを挙げることができる。電気めっき処理の条件は、一般的なニッケルの電気めっき処理と同じである。電気めっき処理によって保護層を形成する場合、電気めっき処理に特有の傾向、すなわちエッジ部分では保護層が形成され易く、その一方で、多孔性板状グリッド電極基材の貫通孔が形成される部分では保護層が形成されにくい傾向がある。このため、保護層の層厚を均一にするためには、層厚を大きくする必要がある。なお、保護層を形成するときに、無電解めっき処理または電気めっき処理のいずれを選択するかは、それぞれのめっき処理の特徴とコストに応じて決定すればよい。
次に、グリッド電極56表面に形成される保護層の厚みについて説明する。本発明における保護層の厚みは、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによってグリッド電極56表面が腐蝕するのを防止し、グリッド電極56における帯電電位安定性の低下を抑制することができるように設定する。なお、所望の厚さの保護層を得るためには、グリッド電極基材のめっき浴への浸漬時間、通電時間および電流値などのめっき処理条件を適宜変更すればよい。ここで、保護層の厚みの測定は、蛍光X線めっき厚測定装置などを用いて行うことができる。
保護層の厚みの好適範囲を見出すために、以下の実験を行った。
(実験1)
[グリッド電極の作製]
ステンレス鋼(SUS304)から成るグリッド電極の基材(寸法30mm×370mm×厚さ0.1mm)にエッチング処理を行い、多孔性板状グリッド電極基材を作製した。なお、エッチング処理は、グリッド電極基材に30重量%の塩化第2鉄水溶液を液温90℃で2時間噴霧することによって行った。エッチング処理後、水洗および純水による洗浄を行い、多孔性板状グリッド電極基材を作製した。
上記で得られた多孔性板状グリッド電極基材の表面に、前述した無電解めっき処理を行い、リン濃度xが15%で、片面の厚みが0.5μmである保護層が形成されたグリッド電極G1を作製した。なお、無電解めっき処理は、pH値が5〜5.5、浴温が90℃に調整されたニッケルおよびリンの分散液から成るめっき浴中に、グリッド電極基材を浸漬して行った。無電解めっき処理終了後、グリッド電極をめっき浴から取り出し、水洗および純水による洗浄を行い、乾燥した。このようにして作製したグリッド電極G1と同様にして、保護層のリン濃度xおよび片面の厚みが異なるグリッド電極G2〜G25を作製した。作製したグリッド電極G1〜G25の保護層中のリン濃度xおよび保護層の片面の厚みは、表1に示した。
[グリッド電極の放電試験]
作製したグリッド電極G1〜G25を、市販の画像形成装置(商品名:MX2700、シャープ株式会社製)における帯電装置のグリッド電極として用いて、以下の試験を実施した。過酷試験として、高湿(湿度が80%以上)条件下で、エージングテストを行った。このテストにおいて感光体表面の帯電電位は、初期では−600Vに設定した。放電後のグリッド電極表面を目視観察し、緑錆の発生程度を以下に示す基準で判定した。
○:グリッド電極表面の全面積に対する緑錆が発生した面積の割合が10%未満
○△:グリッド電極表面の全面積に対する緑錆が発生した面積の割合が10%以上20%未満
△:グリッド電極表面の中央部分を中心に緑錆が発生し、グリッド電極表面の全面積に対する緑錆が発生した面積の割合が20%以上40%未満
×:グリッド電極表面全体的に緑錆が発生し、グリッド電極表面の全面積に対する緑錆が発生した面積の割合が40%以上
また、電位上昇は、初期の帯電電位に対する放電時間後の電位上昇値を実測し、その電位上昇値が20V未満である場合を「○」とし、20V以上60V未満である場合を「△」とし、60V以上である場合を「×」とした。
グリッド電極の放電試験結果を表1に示す。
Figure 2009128642
また、図2は、グリッド電極の厚みに対する保護層の厚みの割合であるyと、保護層中におけるリン濃度xとの好適範囲を示す図である。
図2において、横軸は保護層中のリン濃度x(%)を示し、縦軸は保護層の厚み割合y(%)を示す。ここで、保護層の厚み割合yは、グリッド電極の厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合であり、(Z/Z)×100で算出される。なお、図2(a)では、作製したグリッド電極G1〜G25に形成される保護層のリン濃度xおよび保護層の厚み割合yに対する、表1に示す緑錆発生判定結果をプロットしており、図2(a)中に示した数式は、プロットに基づいて最小二乗法によって算出したものである。また、図2(b)では、作製したグリッド電極G1〜G25に形成される保護層のリン濃度xおよび保護層の厚み割合yに対する、表1に示す電位上昇判定結果をプロットしており、図2(b)中に示した数式は、プロットに基づいて最小二乗法によって算出したものである。
(−0.7x+11)≦yを満たす保護層が形成されたグリッド電極56は、表1および図2(a)から明らかに、緑錆発生が抑制されている。これは、グリッド電極56表面に形成される保護層が、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによってグリッド電極56表面が腐蝕するのを防止するためである。さらに、(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27)を満たす保護層が形成されたグリッド電極56は、表1および図2(b)から明らかに、電位上昇が小さく、帯電電位安定性の低下を抑制する。これは、(−0.7x+11)≦yを満たす保護層が形成された場合には、前述のように、腐蝕が防止され、y≦(−0.7x+27)を満たす保護層が形成された場合には、多孔性板状のグリッド電極56の貫通孔が塞がるのを防止することができ、開口率低下を抑制することができるためである。また、y≦(−0.7x+27)を満たすように保護層を形成することによって、保護層の厚みが大きくなりすぎるのを防止し、保護層中に発生する内部応力によって保護層が剥離するのを防止することができる。また、保護層の厚みが大きくなりすぎるのを防止することによって、環境汚染性の高いニッケルの量を抑制することができ、耐環境性が悪化するのを防止することができる。以上のことから、本発明におけるグリッド電極56表面に形成される保護層の厚み割合yは、保護層中のリン濃度xに基づく下記式(4)を満たすように設定する。
(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27) …(4)
また、保護層中におけるリン濃度xは、前述したように、耐酸化性低下の防止および保護層形成の容易性の観点から、8≦x≦15を満たすように設定する。
また、保護層には、フッ素系有機微粒子が含まれていてもよい。フッ素系有機微粒子を含有した保護層を形成させる方法としては、前述した触媒ニッケルめっき処理などの無電解めっき処理が挙げられる。pH値が5〜5.5の範囲に調整され、浴温90℃以上のめっき浴にグリッド電極基材を浸漬し、無電解めっき処理を行うことによって、グリッド電極56表面にフッ素系有機微粒子を含有した保護層を形成させることができる。ここで、無電解めっき処理に使用するめっき浴としては、前述した次亜リン酸またはその塩およびニッケル塩を含む水溶液に、さらにフッ素系有機微粒子が添加されて成るめっき浴が使用される。フッ素系有機微粒子のめっき浴への添加量は、特に制限はないけれども、好ましくはめっき浴全重量の0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜1.0重量%である。このとき、保護層中におけるフッ素系有機微粒子の含有量は、好ましくは3〜30体積%、さらに好ましくは20〜30体積%である。フッ素系有機微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)などの有機微粒子が挙げられる。フッ素系有機微粒子の粒子径は、保護層の厚みよりも小さければ特に制限はないけれども、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは100〜500nmである。
以上のように、フッ素系有機微粒子が含まれた保護層を有するグリッド電極56では、グリッド電極56表面にトナーなどが付着した場合においても、その付着力を小さくすることができるので、後述する清掃部材によって、付着物を容易に除去することができる。
また、グリッド電極56は、グリッド電極基材と保護層との間に、導電材から成る前処理層を有するように構成されてもよい。この前処理層は、グリッド電極56表面に保護層を形成する前に、めっき処理によって形成することができる。ここで、めっき処理は一般的に実施される方法によって行うことができる。導電材としては、たとえば、ニッケル、アルミニウム、銅、鉄などが挙げられる。前処理層の層厚は、特に制限されないけれども、好ましくは0.03〜3μm、さらに好ましくは0.5〜1.5μm、特に好ましくは1μm程度である。
以上のように、前処理層がめっき処理によって形成されるので、エッチング処理して作製されたグリッド電極基材に付着する、汚れや油分等の残渣液を除去することができ、残渣液がグリッド電極基材表面を腐蝕するのを防止することができる。また、前処理層を導電材とすることによって、ニッケルおよびリンから成る保護層との密着性を向上させることができ、前処理層と保護層との界面で保護層が剥がれるのを防止することができる。また、導電性を有する導電材とすることによって、感光体表面の帯電電位を容易に調整することが可能となる。
また、グリッド電極56は、保護層の上に、導電材から成る後処理層を有するように構成されてもよい。この後処理層は、グリッド電極56表面に保護層を形成した後に、めっき処理によって形成することができる。ここで、めっき処理は一般的に実施される方法によって行うことができるけれども、直流および交流による電解めっきを行うのが好ましい。導電材としては、たとえば、金、白金などが挙げられる。後処理層の層厚も特に制限されないけれども、好ましくは0.3μm以上である。
以上のように、後処理層が保護層の上に形成されるので、保護層にピンホールが発生した場合においても、そのピンホールを後処理層によって塞ぐことができ、ピンホールを介して空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などがグリッド電極基材表面に侵入するのを防止することができる。また、後処理層を導電材とすることによって、ニッケルおよびリンから成る保護層との密着性を向上させることができ、後処理層と保護層との界面で後処理層が剥がれるのを防止することができる。また、導電性を有する導電材とすることによって、感光体表面の帯電電位を容易に調整することが可能となる。
本発明の第2の実施形態では、針状電極50の少なくとも一方の面に、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成される。針状電極50の表面に保護層を形成させる方法は、グリッド電極56表面に保護層を形成させる前述した方法と同様に行うことができるので、詳細説明は省略する。このとき、針状電極50表面に形成される保護層中におけるリン濃度x(%)は、耐酸化性低下の防止および保護層形成の容易性の観点から、8≦x≦15を満たすように設定する。
次に、針状電極50表面に形成される保護層の厚みについて説明する。本発明における保護層の厚みは、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによって針状電極50表面が腐蝕するのを防止し、針状電極50における帯電電位安定性の低下を抑制することができるように設定する。なお、所望の厚さの保護層を得るためには、針状電極基材のめっき浴への浸漬時間、通電時間および電流値などのめっき処理条件を適宜変更すればよい。
保護層の厚みの好適範囲を見出すために、以下の実験を行った。
(実験2)
[針状電極の作製]
ステンレス鋼(SUS304)から成る針状電極の基材(寸法20mm×310mm×厚さ0.1mm)にマスキング処理およびエッチング処理を行い、針状電極基材を作製した。なお、エッチング処理は、針状電極基材に30重量%の塩化第2鉄水溶液を液温90℃で2時間噴霧することによって行った。エッチング処理後、水洗および純水による洗浄を行い、針状電極基材を作製した。
上記で得られた針状電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度xが15%で、片面の厚みが0.5μmである保護層が形成された針状電極H1を作製した。無電解めっき処理終了後、針状電極をめっき浴から取り出し、水洗および純水による洗浄を行い、乾燥した。このようにして作製した針状電極H1と同様にして、リン濃度xおよび片面の厚みが異なる針状電極H2〜H25を作製した。作製した針状電極H1〜H25の保護層中のリン濃度xおよび保護層の片面の厚みは、表2に示した。
針状電極H1〜H25を、市販の画像形成装置(商品名:MX2700、シャープ株式会社製)における帯電装置の放電電極として用いて、前述したグリッド電極G1〜G25の耐腐蝕性試験と同様の試験を実施した。針状電極H1〜H25の放電試験結果を表2に示す。
Figure 2009128642
また、横軸を保護層中のリン濃度x(%)、縦軸を保護層の厚み割合y(%)としたグラフ上に、表2に示す緑錆発生判定結果および電位上昇判定結果を、前述したグリッド電極G1〜G25の場合と同様にしてプロットし、針状電極における保護層の厚み割合yの好適範囲を求めた。ここで、保護層の厚み割合yは、針状電極の厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合であり、(Z/Z)×100で算出される。本発明における針状電極50表面に形成される保護層の厚み割合yは、保護層中のリン濃度xに基づく下記式(5)を満たすように設定する。
(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27) …(5)
本発明の第2実施形態においては、(−0.7x+11)≦yを満たす保護層が針状電極50表面に形成されるので、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによって針状電極50表面が腐蝕するのを防止し、針状電極50表面にピンホールが発生するのを抑制することができる。さらに、(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27)を満たす保護層が針状電極50表面に形成されるので、針状電極50における帯電電位安定性の低下を抑制することができる。
また、針状電極50に形成される保護層には、前述したグリッド電極56と同様に、フッ素系有機微粒子を含んでもよい。また、保護層を有する針状電極50は、前述したグリッド電極56と同様に、針状電極基材と保護層との間に前処理層を設けてもよく、保護層の上に後処理層を設けてもよい。
針状電極50は、たとえばステンレス鋼製の薄板状部材であり、一方向に長く延びる平板部57と平板部57の短手方向の一端面から短手方向に突出するように形成される先鋭状の突起部58とによって構成される。針状電極50の寸法について例示すると、平板部57の短手方向の長さL1は、10mm程度が好ましく、突起部58の突出方向の長さL2は、2mm程度が好ましく、突起部58の先端の曲率半径Rは、40μm程度が好ましく、突起部58の形成されるピッチTPは、2mm程度が好ましい。
このような先鋭状突起部58を有する形状に加工する方法としては、たとえば、エッチング加工、精密プレスなどの方法を挙げることができる。エッチング加工によって作製される針状電極50の基材においては、針状電極基材のエッチング加工断面は滑らかさに欠け、微細な凹凸が生じる。放電を行うための先鋭状突起部の先端部分においても、滑らかさに欠けるエッチング加工断面になっているので、放電が不均一になる原因となる。また、エッチング加工断面の微細な凹凸には、トナーなどが付着し易く、放電が一層不均一になる。このようなエッチング加工断面の微細な凹凸は、一般的なめっき処理によって針状電極基材表面を被覆しても、そのまま残ってしまう。
ところが、厚み割合が前述した式(5)を満たす範囲に設定された本発明における保護層は、エッチング加工断面の微細な凹凸にも積層されやすい。そのため、針状電極基材の表面に保護層が形成された本発明の針状電極50においては、エッチング加工断面が滑らかになるので、放電が不均一になるのが防止され、かつトナーなどが付着するのが防止される。
本発明の第3の実施形態では、グリッド電極56の少なくとも一方の面および針状電極50の少なくとも一方の面に、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成される。第3の実施形態におけるグリッド電極56の保護層は、前述の第1の実施形態と同様にして設けることができる。また、第3の実施形態における針状電極50の保護層は、前述の第2の実施形態と同様にして設けることができる。
第3実施形態におけるグリッド電極56および針状電極50の表面に形成される保護層では、保護層中におけるリン濃度x(%)は、前述した第1,2実施形態と同様に8≦x≦15を満たすように設定する。また、第3実施形態における保護層の厚み割合yは、前述した第1,2実施形態と同様に、保護層中のリン濃度xに基づく下記式(6)を満たすように設定する。ここで、保護層の厚み割合yは、グリッド電極56および針状電極50のそれぞれの厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合であり、(Z/Z)×100で算出される。
(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27) …(6)
本発明の第3実施形態においては、(−0.7x+11)≦yを満たす保護層がグリッド電極56および針状電極50の表面に形成されるので、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによってグリッド電極56および針状電極50の表面が腐蝕するのを防止し、グリッド電極56および針状電極50の表面にピンホールが発生するのを抑制することができる。さらに、(−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27)を満たす保護層がグリッド電極56および針状電極50の表面に形成されるので、グリッド電極56および針状電極50における帯電電位安定性の低下を抑制することができる。
また、第1,2および3の実施形態において、放電電極として先鋭状突起部を有する針状電極を用いる例を示したが、それに限定されず、帯電ワイヤを用いることもできる。帯電ワイヤとしてはこの分野で常用されるものをいずれも使用でき、たとえば、線径0.06mmのタングステンワイヤに金めっきを施したものが挙げられる。放電電極として円柱状の帯電ワイヤを用いる場合、帯電ワイヤに形成する保護層の厚み割合は、帯電ワイヤの太さ(断面直径)に対する保護層の厚みの割合であり、保護層は前述した式(5)を満たすように形成する。
図1に示すように、針状電極50を保持する保持部材51は、針状電極50と同様に一方向に長く延び、長手方向に直交する断面が逆T字状の部材であり、たとえば樹脂製である。針状電極50は、その長手方向の両端部付近において、保持部材51の突出部分の一側面に、ねじ部材59によってねじ止めされる。この針状電極50には、後述の感光体ドラム11を帯電させるべく動作中は、コロナ放電するために5kV程度の電圧が印加される。針状電極50には、図示しない電源から電圧が印加され、電圧印加によって先鋭状突起部58から感光体ドラム11の表面に向けてコロナ放電が起こり、感光体ドラム11表面が帯電される。
清掃部材52a,52bを構成する金属素材としては、りん青銅、普通鋼、ステンレス鋼などを使用できる。これらの中でも、清掃部材52a,52bがコロナ放電によって発生するオゾン雰囲気中で使用されることを考慮すると、耐酸化性に基づく耐久寿命の観点から、ステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼としては公知のものを使用できるけれども、たとえば、日本工業規格(JIS)G4305に規定されるオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304、フェライト系ステンレス鋼であるSUS430などが挙げられる。
清掃部材52a,52bの硬さは、米国材料試験協会(ASTM)規格D785に規定されるロックウェル硬さMスケールで115以上であることが好ましい。ロックウェル硬さが115未満では、軟質にすぎるので、針状電極50に当接させて擦過するとき、清掃部材52a,52bが必要以上に変形し過ぎて清掃効果が得られない。清掃部材52a,52bの硬さが高くても特に機能上の問題が現出しないので上限を設ける必要がないけれども、ロックウェル硬さMスケールの上限値が130であるので、あえて上限を設けるとすれば130である。
支持部材53は、清掃部材52a,52bを支持する逆L字状の形状を有する部材であり、その梁状部分に、T字状を有する清掃部材52a,52bの腕部分が装着される。2枚の清掃部材52a,52bは、針状電極50に対して相対的に移動する方向に関して予め定められる間隔L2を有するように設けられる。間隔L2は、一方の清掃部材52aが針状電極50に当接して変形するとき、他方の清掃部材52bが変形している清掃部材52aに当たることのない距離に選ばれ、装着される支持部材53の梁状部分の厚みで調整できる。この間隔L2は、清掃部材52a,52bを構成する素材によって変形状態が変化するので、該素材の変形状態を事前に試験して定めるのが望ましい。清掃部材52a,52bが、たとえば厚さt=30μmのステンレス鋼からなるとき、間隔L2は2mmが好ましい。2枚の清掃部材52a,52bに間隔L2を設けることによって、一方の清掃部材52aが針状電極50を擦過する間中、他方の清掃部材52bによってその変形を阻害されることなく好適範囲の押圧力を維持できるので、針状電極50の先端部を変形損傷させることなく充分に清掃できる。
シールドケース55は、たとえばステンレス鋼製であり、その外観形状が直方体で内部空間を有するとともに、後述の感光体ドラム11を臨む一方の面に開口部を有する容器状の部材である。またシールドケース55は、針状電極50と同一方向に長く延び、長手方向に直交する方向の断面形状が略U字状を有する。シールドケース55の底面63に保持部材51が装着される。また、シールドケース55の内側面61と保持部材51とによって形成される溝部62には、支持部材53の柱状部分の端部が摺動可能に挿入される。
支持部材53の柱状部分には、針状電極50の延びる方向と平行に貫通孔60が形成され、貫通孔60を挿通して移動用部材54が設けられる。移動用部材54は、貫通孔60に挿通される部位で支持部材53に固定されるので、移動用部材54を針状電極50の延びる方向に牽引することによって、支持部材53は、溝部62に対して摺動し、かつ溝部62に案内されて針状電極50の延びる方向に移動できる。すなわち、支持部材53に支持される清掃部材52a,52bを針状電極50に当接させて擦過することができる。
移動用部材54の牽引により清掃部材52a,52bを針状電極50に当接させて清掃するとき、針状電極50に対する清掃部材52a,52bの押圧力は、10〜30gf以下になるように調整するのが好ましい。押圧力が10gf未満では、針状電極50に付着するトナー、紙粉などの汚染物質を充分に除去できないおそれがあり、30gfを超えると、針状電極50の突起部58の先端が変形破損するおそれがある。
針状電極50に対する清掃部材52a,52bの押圧力は、たとえば、次のようにして調整できる。移動用部材54の一方の端部に錘を吊り下げた状態で、清掃部材52aまたは52bに負荷される力の大きさを測定する。測定は、たとえば、清掃部材52aまたは52bにばね秤を接続して行われる。そして、清掃部材52aまたは52bに負荷される力が10〜30gfになる錘を選定し、針状電極50を清掃するに際して、予め選定した錘を移動用部材54の端部に吊り下げることによって、所定の押圧力で清掃できる。また、移動用部材54の端部に回転トルクを調整した電動機を接続し、所定の押圧力を負荷できるようにしてもよい。
図3は、本発明の実施の一形態である画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、前述した感光体表面の帯電電位を長期間にわたって適正な範囲に維持することができる帯電装置1を備える。そのため、長期間にわたって高画質画像を記録することができる。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置100においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体、メモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。画像形成装置100は、トナー像形成手段2と、転写手段3と、定着手段4と、記録媒体供給手段5と、排出手段6とを含む。トナー像形成手段2を構成する各部材および中間転写手段3に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
トナー像形成手段2は、感光体ドラム11と、帯電手段12と、露光ユニット13と、現像手段14と、クリーニングユニット15とを含む。帯電手段12、現像手段14およびクリーニングユニット15は、感光体ドラム11の回転方向まわりに、この順序で配置される。帯電手段12は、現像手段14およびクリーニングユニット15よりも鉛直方向下方に配置される。
感光体ドラム11は、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルム、紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、導電性粒子と導電性ポリマーとの少なくともいずれか1つを含有する樹脂組成物などが挙げられる。なお、導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けるのが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して、感光層表面を平滑化する、繰り返し使用時における感光層の帯電性の劣化を防止する、低温と低湿との少なくともいずれか1つの環境下における感光層の帯電特性を向上させるといった利点が得られる。また最上層に感光体表面保護層を設けた耐久性の大きい三層構造の積層感光体であっても良い。
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結着樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フローレン環とフルオレノン環との少なくともいずれか1つを含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないけれども、電荷発生層中の結着樹脂100重量部に対して好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜200重量部である。電荷発生層用の結着樹脂としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層は、電荷発生物質および結着樹脂ならびに必要に応じて可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2.5μmである。
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは電荷輸送物質中の結着樹脂100重量部に対して10〜300重量部、さらに好ましくは30〜150重量部である。電荷輸送層用の結着樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、これらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物などが好ましい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂と共に、酸化防止剤が含まれるのが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないけれども、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂ならびに必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。なお、1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いるけれども、それに代えて、シリコンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体ドラムを使用できる。
帯電手段12は、感光体ドラム11を臨み、感光体ドラム11の長手方向に沿って感光体ドラム11表面から間隙を有して離隔するように配置され、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる。帯電手段12には、帯電ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、鋸歯型帯電器、イオン発生装置などを使用できる。本実施の形態では、帯電手段12は感光体ドラム11表面から離隔するように設けられるけれども、それに限定されない。帯電手段12は、前述した帯電装置1である。
露光ユニット13は、露光ユニット13から出射される各色情報の光が、帯電手段12と現像手段14との間を通過して感光体ドラム11の表面に照射されるように配置される。露光ユニット13は、画像情報を該ユニット内でb、c、m、yの各色情報の光に分岐し、帯電手段12によって一様な電位に帯電された感光体ドラム11表面を各色情報の光で露光し、その表面に静電潜像を形成する。露光ユニット13には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニットを使用できる。他にもLED(Light Emitting Diode)アレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットを用いてもよい。
現像手段14は、現像槽20とトナーホッパ21とを含む。現像槽20は感光体ドラム11表面を臨むように配置され、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽20は、その内部空間にトナーを収容しかつ現像ローラ、供給ローラ、撹拌ローラなどのローラ部材またはスクリュー部材を収容して回転自在に支持する。現像槽20の感光体ドラム11を臨む側面には開口部が形成され、この開口部を介して感光体ドラム11に対向する位置に現像ローラが回転駆動可能に設けられる。現像ローラは、感光体ドラム11との圧接部または最近接部において感光体11表面の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。トナーの供給に際しては、現像ローラ表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(以下単に「現像バイアス」とする)として印加される。これによって、現像ローラ表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。さらに、現像バイアス値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量(トナー付着量)を制御できる。供給ローラは現像ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ周辺にトナーを供給する。攪拌ローラは供給ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ21から現像槽20内に新たに供給されるトナーを供給ローラ周辺に送給する。トナーホッパ21は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口(図示せず)と、現像槽20の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口(図示せず)とが連通するように設けられ、現像槽20のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。またトナーホッパ21を用いず、各色トナーカートリッジから直接トナーを補給するよう構成しても構わない。
クリーニングユニット15は、記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム11の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム11の表面を清浄化する。クリーニングユニット15には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。なお、本発明の画像形成装置100においては、感光体ドラム11として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるため、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット15よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。本実施の形態ではクリーニングユニット15を設けるけれども、それに限定されず、クリーニングユニット15を設けなくてもよい。
トナー像形成手段2によれば、帯電手段12によって均一な帯電状態にある感光体ドラム11の表面に、露光ユニット13から画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成し、これに現像手段14からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト25に転写した後に、感光体ドラム11表面に残留するトナーをクリーニングユニット15で除去する。この一連のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
転写手段3は、感光体ドラム11の上方に配置され、中間転写ベルト25と、駆動ローラ26と、従動ローラ27と、中間転写ローラ28(b、c、m、y)と、転写ベルトクリーニングユニット29、転写ローラ30とを含む。中間転写ベルト25は、駆動ローラ26と従動ローラ27とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向に回転駆動する。中間転写ベルト25が、感光体ドラム11に接しながら感光体ドラム11を通過する際、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に対向配置される中間転写ローラ28から、感光体ドラム11表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト25上へ転写される。フルカラー画像の場合、各感光体ドラム11で形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト25上に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。駆動ローラ26は図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その回転駆動によって、中間転写ベルト25を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ27は駆動ローラ26の回転駆動に従動回転可能に設けられ、中間転写ベルト25が弛まないように一定の張力を中間転写ベルト25に付与する。中間転写ローラ28は、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に圧接し、かつ図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。中間転写ローラ28は、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム11表面のトナー像を中間転写ベルト25に転写する機能を有する。転写ベルトクリーニングユニット29は、中間転写ベルト25を介して従動ローラ27に対向し、中間転写ベルト25の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム11との接触によって中間転写ベルト25に付着するトナーは、記録媒体の裏面を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット29が中間転写ベルト25表面のトナーを除去し回収する。転写ローラ30は、中間転写ベルト25を介して駆動ローラ26に圧接し、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。転写ローラ30と駆動ローラ26との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト25に担持されて搬送されて来るトナー像が、後述する記録媒体供給手段5から送給される記録媒体に転写される。トナー像を担持する記録媒体は、定着手段4に送給される。転写手段3によれば、感光体ドラム11と中間転写ローラ28との圧接部において感光体ドラム11から中間転写ベルト25に転写されるトナー像が、中間転写ベルト25の矢符B方向への回転駆動によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。
定着手段4は、転写手段3よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着ローラ31と加圧ローラ32とを含む。定着ローラ31は図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、記録媒体に担持される未定着トナー像を構成するトナーを加熱して溶融させ、記録媒体に定着させる。定着ローラ31の内部には図示しない加熱手段が設けられる。加熱手段は、定着ローラ31表面が所定の温度(加熱温度)になるように定着ローラ31を加熱する。加熱手段には、たとえば、ヒータ、ハロゲンランプなどを使用できる。加熱手段は、後記する定着条件制御手段によって制御される。定着条件制御手段による加熱温度の制御については、後に詳述する。定着ローラ31表面近傍には温度検知センサが設けられ、定着ローラ31の表面温度を検知する。温度検知センサによる検知結果は、後記する制御手段の記憶部に書き込まれる。加圧ローラ32は定着ローラ31に圧接するように設けられ、加圧ローラ32の回転駆動に従動回転可能に支持される。加圧ローラ32は、定着ローラ31によってトナーが溶融して記録媒体に定着する際に、トナーと記録媒体とを押圧することによって、トナー像の記録媒体への定着を補助する。定着ローラ31と加圧ローラ32との圧接部が定着ニップ部である。定着手段4によれば、転写手段3においてトナー像が転写された記録媒体が、定着ローラ31と加圧ローラ32とによって挟持され、定着ニップ部を通過する際に、トナー像が加熱下に記録媒体に押圧されることによって、トナー像が記録媒体に定着され、画像が形成される。
記録媒体供給手段5は、自動給紙トレイ35と、ピックアップローラ36と、搬送ローラ37と、レジストローラ38、手差給紙トレイ39を含む。自動給紙トレイ35は画像形成装置100の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体には、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。ピックアップローラ36は、自動給紙トレイ35に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路S1に送給する。搬送ローラ37は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ38に向けて搬送する。レジストローラ38は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、搬送ローラ37から送給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。手差給紙トレイ39は、手動動作によって記録媒体を画像形成装置100内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ39から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ37によって用紙搬送路S2内を通過し、レジストローラ38に送給される。記録媒体供給手段5によれば、自動給紙トレイ35または手差給紙トレイ39から1枚ずつ供給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
排出手段6は、搬送ローラ37と、排出ローラ40と、排出トレイ41とを含む。搬送ローラ37は、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着手段4によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ40に向けて搬送する。排出ローラ40は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置100の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ41に排出する。排出トレイ41は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
画像形成装置100は、図示しない制御手段を含む。制御手段は、たとえば、画像形成装置100の内部空間における上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。制御手段の記憶部には、画像形成装置100の上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種手段を実行するプログラムが書き込まれる。各種手段とは、たとえば、記録媒体判定手段、付着量制御手段、定着条件制御手段などである。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機器、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital
Versatile Disc)、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種手段のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御手段は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置100内部における各装置にも電力を供給する。
(実施例)
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
[グリッド電極の評価]
(実施例1)
前述の実験1で作製したグリッド電極G13と同様にして得られるグリッド電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度xが10%で厚みZが15μm(厚み割合y:15%)である保護層が形成されたグリッド電極を作製した。ここで、実施例1における保護層の厚み割合y(=15%)は、リン濃度x(=10%)に基づいて前述した式(4)から導かれる、4≦y≦20を満たす。なお、無電解めっき処理は、pH値が5〜5.5、浴温が90℃に調整されたニッケルおよびリンの分散液から成るめっき浴中に、グリッド電極基材を浸漬して行った。無電解めっき処理終了後、グリッド電極をめっき浴から取り出し、水洗および純水による洗浄を行い、乾燥した。
(実施例2)
実施例1と同様のグリッド電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度xが10%、PTFE微粒子含有量が15体積%、厚みZが15μm(厚み割合y:15%)である保護層が形成されたグリッド電極を作製した。なお、無電解めっき処理は、pH値が5〜5.5、浴温が90℃に調整され、ニッケルおよびリンの分散液にPTFE微粒子を含有しためっき浴中にグリッド電極基材を浸漬して行った。無電解めっき処理終了後、グリッド電極をめっき浴から取り出し、水洗および純水による洗浄を行い、乾燥した。
(実施例3)
材質をステンレス鋼からチタンに替えた以外は、前述の実験1で作製したグリッド電極G13と同様にして得られるグリッド電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度xが10%で厚みZが15μm(厚み割合y:15%)である保護層が形成されたグリッド電極を作製した。無電解めっき処理条件は、実施例1と同様にして行った。
(実施例4)
実施例1と同様のグリッド電極基材の表面に、電解めっき処理によって、厚みが2μmのNi(ニッケル)から成る前処理層を形成させた。次いで、実施例1と同様にして、無電解めっき処理を行い、前処理層の上に、リン濃度xが10%で厚みZが15μm(厚み割合y:15%)である保護層が形成されたグリッド電極を作製した。
(実施例5)
実施例4で得られるグリッド電極の表面に、さらに電解めっき処理によって、厚みが0.03μmのAu(金)から成る後処理層を形成させ、グリッド電極を作製した。
(比較例1)
実施例1と同様のグリッド電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度xが3%で厚みZが2μm(厚み割合y:2%)であるめっき層が形成されたグリッド電極を作製した。ここで、比較例1における保護層の厚み割合y(=2%)は、リン濃度x(=3%)に基づいて前述した式(4)から導かれる、8.9≦y≦24.9を満たさない。
(比較例2)
実施例1と同様のグリッド電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度が3%、PTFE微粒子含有量が15体積%、厚みが2μm(厚み割合:2%)であるめっき層が形成されたグリッド電極を作製した。
なお、保護層中のリン濃度の分析は、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(日本電子製、JSX−3201)を用いて行い、保護層の厚みの測定は、蛍光X線めっき厚測定装置(セイコーインスツルメンツ製、SFT−3200)を用いて行った。
<放電試験1>
実施例1〜5のグリッド電極および比較例1,2のグリッド電極を、市販の画像形成装置(商品名:MX2700、シャープ株式会社製)における帯電装置のグリッド電極として用いて、以下の試験を実施した。過酷試験として、高湿(湿度が80%以上)条件下で、エージングテストを行った。このテストにおいて感光体表面の帯電電位は、初期では−600Vに設定した。1000枚の印字毎にハーフトーンの画像評価を行い、10000枚における白スジ発生の程度を目視チェックした。また、放電後のグリッド電極表面を目視観察し、緑錆の発生程度を前述した実験1と同様の基準で判定した。さらに、放電時間および電位上昇も評価した。放電時間は、装置内にて装着させた電極への放電時間(ks)を示す。また、電位上昇は、初期の帯電電位に対する放電時間後の電位上昇値を実測し、電位上昇の程度を前述した実験1と同様の基準で判定した。
評価結果を表3に示す。表3から明らかに、保護層のリン濃度および厚み割合が本発明の範囲外である比較例1,2のグリッド電極を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、グリッド電極表面に多くの緑錆が発生し、電位上昇が極めて大きかった。これに対して、実施例1〜5のグリッド電極を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、グリッド電極表面に緑錆が発生するのが抑制され、電位上昇も極めて小さかった。
Figure 2009128642
以上のように、リン濃度と厚み割合とが特定の範囲に規定されたニッケルおよびリンから成る保護層を有するグリッド電極においては、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによってグリッド電極表面が腐蝕するのを防止することができ、グリッド電極における帯電電位安定性の低下を抑制することができる。したがって、グリッド電極の帯電電位制御性能が長期間にわたって維持されるので、感光体表面の帯電電位を、長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる。
[針状電極の評価]
(実施例6)
前述の実験2で作製した針状電極H13と同様にして得られる針状電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度xが10%で厚みZが15μm(厚み割合y:15%)である保護層が形成された針状電極を作製した。ここで、実施例6における保護層の厚み割合y(=15%)は、リン濃度x(=10%)に基づいて前述した式(5)から導かれる、4≦y≦20を満たす。なお、無電解めっき処理は、pH値が5〜5.5、浴温が90℃に調整されたニッケルおよびリンの分散液から成るめっき浴中に、針状電極基材を浸漬して行った。無電解めっき処理終了後、針状電極をめっき浴から取り出し、水洗および純水による洗浄を行い、乾燥した。
(実施例7)
実施例6と同様の針状電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度xが10%、PTFE微粒子含有量が15体積%、厚みZが15μm(厚み割合y:15%)である保護層が形成された針状電極を作製した。なお、無電解めっき処理は、pH値が5〜5.5、浴温が90℃に調整され、ニッケルおよびリンの分散液にPTFE微粒子を含有しためっき浴中にグリッド電極基材を浸漬して行った。無電解めっき処理終了後、針状電極をめっき浴から取り出し、水洗および純水による洗浄を行い、乾燥した。
(実施例8)
材質をステンレス鋼からチタンに替えた以外は、前述の実験2で作製した針状電極H13と同様にして得られる針状電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度xが10%で厚みZが15μm(厚み割合y:15%)である保護層が形成された針状電極を作製した。無電解めっき処理条件は、実施例6と同様にして行った。
(実施例9)
実施例6と同様の針状電極基材の表面に、電解めっき処理によって、厚みが2μmのNi(ニッケル)から成る前処理層を形成させた。次いで、実施例6と同様にして、無電解めっき処理を行い、前処理層の上に、リン濃度xが10%で厚みZが15μm(厚み割合y:15%)である保護層が形成された針状電極を作製した。
(実施例10)
実施例9で得られる針状電極の表面に、さらに電解めっき処理によって、厚みが0.03μmのAu(金)から成る後処理層を形成させ、針状電極を作製した。
(比較例3)
実施例6と同様の針状電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度xが3%で厚みZが2μm(厚み割合y:2%)であるめっき層が形成された針状電極を作製した。ここで、比較例3における保護層の厚み割合y(=2%)は、リン濃度x(=3%)に基づいて前述した式(5)から導かれる、8.9≦y≦24.9を満たさない。
(比較例4)
実施例6と同様の針状電極基材の表面に、無電解めっき処理を行い、リン濃度xが3%、PTFE微粒子含有量が15体積%、厚みZが2μm(厚み割合y:2%)であるめっき層が形成された針状電極を作製した。
実施例6〜10の針状電極および比較例3,4の針状電極を、市販の画像形成装置(商品名:MX2700、シャープ株式会社製)における帯電装置の放電電極として用いて、前述したグリッド電極と同様の放電試験1を実施した。評価結果を表4に示す。表4から明らかに、保護層のリン濃度および厚み割合が本発明の範囲外である比較例3,4の針状電極を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、針状電極表面に多くの緑錆が発生し、電位上昇が極めて大きかった。これに対して、実施例6〜10の針状電極を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、針状電極表面に緑錆が発生するのが抑制され、電位上昇も極めて小さかった。
Figure 2009128642
以上のように、リン濃度と厚み割合とが特定の範囲に規定されたニッケルおよびリンから成る保護層を有する針状電極においては、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによって針状電極表面が腐蝕するのを防止することができ、針状電極における帯電電位安定性の低下を抑制することができる。したがって、針状電極の印加電圧制御性能が長期間にわたって維持されるので、感光体表面の帯電電位を、長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる。
また、比較例3,4の針状電極を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、清掃部材によって針状電極をクリーニングしない場合、10000枚印刷後のハーフトーンの画像で、白スジや黒スジが目視で確認された。これに対して、実施例6〜10の針状電極を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、清掃部材によって針状電極をクリーニングしない場合でも、10000枚印刷後のハーフトーンの画像は均一で、むらも発生しなかった。また、実施例7の針状電極を配置した画像形成装置においては、針状電極の表面には、空気中に浮遊する埃などの付着物が少ないという特徴があるとともに、清掃部材によって清掃する場合、針状電極の表面に付着した付着物が除去されやすいという特徴があることも判明した。これは、実施例7の針状電極が有する保護層にはPTFE微粒子が含有されているため、付着物の針状電極表面に対する付着力が小さいためである。
[グリッド電極と針状電極との組合せ評価]
(実施例11)
実施例1のグリッド電極および実施例6の針状電極を、市販の画像形成装置(商品名:MX2700、シャープ株式会社製)における帯電装置のグリッド電極および放電電極として用いて、前述の放電試験1を実施した。
(比較例5)
比較例1のグリッド電極および比較例3の針状電極を、市販の画像形成装置(商品名:MX2700、シャープ株式会社製)における帯電装置のグリッド電極および放電電極として用いて、前述の放電試験1を実施した。
評価結果を表5に示す。表5から明らかに、保護層のリン濃度xおよび厚み割合yが本発明の範囲外である比較例5のグリッド電極および針状電極を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、グリッド電極および針状電極表面に多くの緑錆が発生し、電位上昇が極めて大きかった。これに対して、実施例11のグリッド電極および針状電極を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、グリッド電極および針状電極表面に緑錆が発生するのが抑制され、電位上昇も極めて小さかった。
Figure 2009128642
以上のように、リン濃度と厚み割合とが特定の範囲に規定されたニッケルおよびリンから成る保護層を有するグリッド電極および針状電極においては、空気中の水分、放電で発生するオゾンや窒素酸化物などによってグリッド電極および針状電極表面が腐蝕するのを防止することができ、グリッド電極および針状電極における帯電電位安定性の低下を抑制することができる。したがって、グリッド電極の帯電電位制御性能と針状電極の印加電圧制御性能とが長期間にわたって維持されるので、感光体表面の帯電電位を、長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる。
本発明の実施の一形態である帯電装置1の構成を示す斜視図である。 グリッド電極の厚みに対する保護層の厚みの割合であるyと、保護層中におけるリン濃度xとの好適範囲を示す図である。 本発明の実施の一形態である画像形成装置100の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 帯電装置
2 トナー像形成手段
3 転写手段
4 定着手段
5 記録媒体供給手段
6 排出手段
11 感光体ドラム
12 帯電手段
13 露光ユニット
14 現像手段
15 クリーニングユニット
50 針状電極
56 グリッド電極
100 画像形成装置

Claims (8)

  1. 感光体表面に電圧を印加して該表面を帯電させる放電電極と、放電電極と感光体との間に設けられて感光体表面の帯電電位を制御するグリッド電極とを含む帯電装置であって、
    グリッド電極の少なくとも一方の面には、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成され、
    保護層は、
    保護層中におけるリン濃度をx(%)、グリッド電極の厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合である(Z/Z)×100をy(%)としたとき、下記式(1)および8≦x≦15を満たすことを特徴とする帯電装置。
    (−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27) …(1)
  2. 感光体表面に電圧を印加して該表面を帯電させる放電電極と、放電電極と感光体との間に設けられて感光体表面の帯電電位を制御するグリッド電極とを含む帯電装置であって、
    放電電極の少なくとも一方の面には、ニッケルおよびリンから成る表面を保護する保護層が形成され、
    保護層は、
    保護層中におけるリン濃度をx(%)、放電電極の厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合である(Z/Z)×100をy(%)としたとき、下記式(2)および8≦x≦15を満たすことを特徴とする帯電装置。
    (−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27) …(2)
  3. 感光体表面に電圧を印加して該表面を帯電させる放電電極と、放電電極と感光体との間に設けられて感光体表面の帯電電位を制御するグリッド電極とを含む帯電装置であって、
    放電電極の少なくとも一方の面およびグリッド電極の少なくとも一方の面には、ニッケルおよびリンから成る各表面を保護する保護層が形成され、
    保護層は、
    保護層中におけるリン濃度をx(%)、放電電極およびグリッド電極のそれぞれの厚みZに対する保護層の片面の厚みZの割合である(Z/Z)×100をy(%)としたとき、下記式(3)および8≦x≦15を満たすことを特徴とする帯電装置。
    (−0.7x+11)≦y≦(−0.7x+27) …(3)
  4. 保護層が、フッ素系有機微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の帯電装置。
  5. グリッド電極と放電電極との少なくともいずれか1つが、ステンレス鋼またはチタンを含む金属材料から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の帯電装置。
  6. グリッド電極および放電電極と保護層との間に、めっき処理によって形成される導電材から成る前処理層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の帯電装置。
  7. 保護層の上に、めっき処理によって形成される導電材から成る後処理層が、保護層を被覆するように形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の帯電装置。
  8. その表面に静電荷像が形成される感光体と、感光体の表面を帯電させるための帯電装置と、帯電状態にある感光体表面に画像情報に基づく信号光を照射して静電荷像を形成する露光手段と、感光体表面の静電荷像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録材に転写させる転写手段と、記録材に転写されるトナー像を定着させる定着手段とを含む画像形成装置であって、
    帯電装置が、請求項1〜7のいずれか1つに記載の帯電装置であることを特徴とする画像形成装置。
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