図1は、本発明の実施の一形態である帯電装置1の構成を示す斜視図である。帯電装置1は、複数の先鋭状突起部58を有する板状の電極50(以後「針状電極50」と称す)と、針状電極50を保持する保持部材51と、針状電極50に対して相対的に移動可能に設けられ、移動時に針状電極50を擦過することによって針状電極50の表面を清掃する2枚の清掃部材52a,52bと、清掃部材52a,52bを支持する支持部材53と、清掃部材52a,52bおよび支持部材53を移動させる移動用部材54と、針状電極50、保持部材51、清掃部材52a,52bおよび支持部材53を収容するシールドケース55と、感光体表面の帯電電位を調整するグリッド電極56とを含む。
帯電装置1は、いわゆるスコロトロン帯電装置であり、放電電極である針状電極50に電圧が印加されることによってコロナ放電が起こり、後述する感光体ドラム11の表面を帯電するとともに、グリッド電極56に所定のグリッド電圧が印加されることによって、感光体ドラム11の表面の帯電状態が均一化され、感光体ドラム11の表面を所定の電位および極性に帯電する装置である。この帯電装置1は、たとえば、後述する画像形成装置100が有するトナー像形成手段2において、感光体ドラム11を臨み感光体ドラム11の軸方向に沿って配置される。
グリッド電極56は、針状電極50と感光体ドラム11との間に設けられ、このものに電圧が印加されることによって、感光体ドラム11表面の帯電状態のばらつきを調整し、帯電電位を均一化する。グリッド電極56の基材としては、グリッド形状の加工が可能であり、かつめっき可能な金属を使用でき、たとえば、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄などが挙げられる。これらの中でも、グリッド電極56の耐久性向上の観点からはステンレス鋼が特に好ましく、チタンでもよい。チタンは、耐食性に優れた材料として知られ、エッチング処理を行うことによって、グリッドとして使用することができる。ステンレス鋼の具体例としては、たとえば、SUS304、SUS309、SUS316などが挙げられ、これらの中でもSUS316が好ましい。さらに、金属板にマスキング処理およびエッチング処理を行うことによって、金属板に複数の貫通孔が形成される。エッチング処理は公知の方法に従って実施でき、たとえば、塩化第2鉄水溶液などのエッチング液を金属板に噴霧する方法などが挙げられる。化学研磨工程で貫通孔が形成された金属板は、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程および純水浸漬工程において、水洗、酸洗浄または純水洗浄を施され、その表面から異物が除去され、多孔性板状のグリッド電極基材が得られる。グリッド電極基材に形成される貫通孔の開口率は、通常75%以上85%以下のものが用いられる。
本発明の第1の実施形態では、グリッド電極56の少なくとも一方の面には、金属クロムおよびクロム酸化物から成る表面を保護する保護層が形成される。保護層は、グリッド電極56表面を被覆するように積層される薄皮層と、薄皮層とグリッド電極56表面との界面近傍に薄皮層中の金属粒子が拡散して合金化されて形成される拡散層とを有する。
グリッド電極56の表面に保護層を形成させる方法としては、たとえば、グリッド電極56の内部に金属粒子が拡散するように皮膜を形成する、いわゆるレイデント処理(レイデント処理は、レイデント工業株式会社の登録商標)が挙げられる。また、液中に放電電極とグリッド電極基材とが数ミクロンの間隔になるように配置した状態で、放電電極に電圧を印加することによって発生する熱で放電電極とグリッド電極基材とを共に溶解させ、双方の成分が混合した熱混合物から成る層をグリッド電極基材表面に形成させることによっても、グリッド電極56表面に保護層を形成させることができる。本発明においては、保護層を形成する方法として、レイデント処理を行うのが特に好ましい。
レイデント処理は、電解めっき法によって実施できる。ここで、レイデント処理に使用するめっき浴であるレイデント処理浴としては、クロム水溶液を主成分とし、pHは通常1.0前後の範囲に調整される。ここで使用される金属クロムおよびクロム酸化物は、結晶状態であり、その粒子径は、形成しようとする保護層の厚みより小さければ特に制限はないけれども、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは100nm以上500nm以下である。
前述のような組成およびpHを有するレイデント処理浴に、浴温0℃以下で、グリッド電極基材を浸漬し、電解めっきを行う。そうすることによって、まず、グリッド電極基材表面を被覆するようにクロムおよびクロム酸化物から成る薄皮層が積層される。その後、薄皮層とグリッド電極基材表面との界面近傍に薄皮層中の金属粒子が拡散して合金化された拡散層が形成され、表面に保護層が形成されたグリッド電極56を得る。拡散層および薄皮層中におけるクロムおよびクロム酸化物の含有量は、好ましくは3体積%以上30体積%以下、さらに好ましくは20体積%以上30体積%以下である。このように、レイデント処理によってグリッド電極56表面に形成された保護層は、電極基材内部に合金化された拡散層を有するので、金属の結晶が析出皮膜として形成される一般的なめっき膜とは異なるものである。
グリッド電極56表面に形成される保護層の層厚には特に制限はないけれども、保護層を構成する薄皮層と拡散層との厚みが、それぞれ0.3μm以上であるのが好ましい。このように厚みを調整することによって、レイデント処理浴の液剤がグリッド電極基材の表面に均等に付着し、層厚のばらつきがなく均一でかつピンホールの非常に少ない保護層を形成することができる。また、保護層を構成する薄皮層と拡散層との厚みを0.3μm以上に調整することによって、グリッド電極56の貫通孔が形成される部分にも、均一な保護層を形成することができる。また、レイデント処理によって形成された保護層は、層の組織が非常に緻密で、グリッド電極56表面に対して高い密着性を有し、長期間にわたって使用しても剥離などを起こすことがない。保護層を構成する薄皮層と拡散層との厚みは、さらに好ましくは、0.5μm以上、特に好ましくは1μm以上2μm以下である。厚みが0.3μm未満では、ピンホールが発生しやすく不均一なものとなり、空気中の水分やオゾンがピンホールを介してグリッド電極56表面に侵入し、グリッド電極56表面が腐蝕される。なお、所望の厚さの保護層を得るためには、グリッド電極基材のレイデント処理浴への浸漬時間、通電時間および電流値などのレイデント処理条件を適宜変更すれば良い。
また、保護層には、フッ素系有機微粒子が含まれていてもよい。前述のレイデント処理を行った後に、フッ素系有機微粒子を含浸定着させた保護層を有するグリッド電極56を作製することができる。フッ素系有機微粒子のレイデント処理浴への添加量は、特に制限はないけれども、好ましくはレイデント処理浴全重量の0.01重量%以上10重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以上1.0重量%以下である。このとき、拡散層および薄皮層中におけるフッ素系有機微粒子の含有量は、好ましくは0.3体積%以上0.8体積%以下である。フッ素系有機微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やパーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)などの有機微粒子が挙げられる。フッ素系有機微粒子の粒子径は、保護層の厚みよりも十分小さい方が好ましい。好ましくは、0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.2μm以下である。
以上のように、フッ素系有機微粒子が含まれた保護層を有するグリッド電極56では、グリッド電極56表面にトナーなどが付着した場合においても、その付着力を小さくすることができるので、後述する清掃部材によって、付着物を容易に除去することができる。
また、グリッド電極56は、グリッド電極基材と保護層との間に、クロム以外の導電材から成る前処理層を有するように構成されてもよい。この前処理層は、レイデント処理を行う前に、めっき処理によって形成することができる。ここで、めっき処理は一般的に実施される方法によって行うことができるけれども、後にレイデント処理によって保護層を形成することを考慮すると、電解めっきを行うのが好ましい。クロム以外の導電材としては、たとえば、ニッケル、すず、アルミニウム、銅などが挙げられる。前処理層の層厚は、特に制限されないけれども、好ましくは0.03μm以上3μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上1.5μm以下、特に好ましくは1μm程度である。
以上のように、前処理層がめっき処理によって形成されるので、エッチング処理して作製されたグリッド電極基材に付着する、汚れや油分等の残渣液を除去することができ、残渣液がグリッド電極基材表面を腐蝕するのを防止することができる。また、前処理層をクロム以外の導電材とすることによって、クロムおよびクロム酸化物から成る保護層との密着性を向上させることができ、前処理層と保護層との界面で保護層が剥がれるのを防止することができる。また、導電性を有する導電材とすることによって、感光体表面の帯電電位を容易に調整することが可能となる。
また、グリッド電極56は、保護層の上に、クロム以外の導電材から成る後処理層を有するように構成されてもよい。この後処理層は、レイデント処理を行って保護層を形成した後に、めっき処理によって形成することができる。ここで、めっき処理は一般的に実施される方法によって行うことができるけれども、直流および交流による電解めっきを行うのが好ましい。クロム以外の導電材としては、たとえば、金、白金などが挙げられる。後処理層の層厚も特に制限されないけれども、好ましくは0.3μm以上である。
以上のように、後処理層が保護層の上に形成されるので、保護層にピンホールが発生した場合においても、そのピンホールを後処理層によって塞ぐことができ、ピンホールを介して空気中の水分やオゾンなどがグリッド電極基材表面に侵入するのを防止することができる。また、後処理層をクロム以外の導電材とすることによって、クロムおよびクロム酸化物から成る保護層との密着性を向上させることができ、後処理層と保護層との界面で後処理層が剥がれるのを防止することができる。また、導電性を有する導電材とすることによって、感光体表面の帯電電位を容易に調整することが可能となる。
本発明の第2の実施形態では、針状電極50の少なくとも一方の面に、金属クロムおよびクロム酸化物から成る表面を保護する保護層が形成される。保護層は、針状電極50表面を被覆するように積層される薄皮層と、薄皮層と針状電極50表面との界面近傍に薄皮層中の金属粒子が拡散して合金化されて形成される拡散層とを有する。針状電極50の表面に保護層を形成させる方法としては、前述したレイデント処理を採用することができる。針状電極50表面に形成される保護層は、その層厚が前述したグリッド電極56と同様の範囲に調整されることが好ましく、保護層にはフッ素系有機微粒子を含んでもよい。また、保護層を有する針状電極50は、前述したグリッド電極56と同様に、針状電極基材と保護層との間に前処理層を設けてもよく、保護層の上に後処理層を設けてもよい。
針状電極50は、たとえばステンレス鋼製の薄板状部材であり、一方向に長く延びる平板部57と平板部57の短手方向の一端面から短手方向に突出するように形成される先鋭状の突起部58とによって構成される。針状電極50の寸法について例示すると、平板部57の短手方向の長さL1は、10mm程度が好ましく、突起部58の突出方向の長さL2は、2mm程度が好ましく、突起部58の先端の曲率半径Rは、40μm程度が好ましく、突起部58の形成されるピッチTPは、2mm程度が好ましい。
このような先鋭状突起部58を有する形状に加工する方法としては、たとえば、エッチング加工、精密プレスなどの方法を挙げることができる。エッチング加工によって作製される針状電極50の基材においては、針状電極基材のエッチング加工断面は滑らかさに欠け、微細な凹凸が生じる。放電を行うための先鋭状突起部の先端部分においても、滑らかさに欠けるエッチング加工断面になっているので、放電が不均一になる原因となる。また、エッチング加工断面の微細な凹凸には、トナーなどが付着し易く、放電が一層不均一になる。このようなエッチング加工断面の微細な凹凸は、一般的なめっき処理によって針状電極基材表面を被覆しても、そのまま残ってしまう。
ところが、前述したレイデント処理によって形成する保護層は、エッチング加工断面の微細な凹凸にも積層されやすい。そのため、針状電極基材の表面に保護層が形成された本発明の針状電極50においては、エッチング加工断面が滑らかになるので、放電が不均一になるのが防止され、かつトナーなどが付着するのが防止される。
本発明の第3の実施形態では、グリッド電極56および針状電極50の少なくとも一方の面に、金属クロムおよびクロム酸化物から成る表面を保護する保護層が形成される。第3の実施形態におけるグリッド電極56の保護層は、前述の第1の実施形態と同様にして設けることができる。また、第3の実施形態における針状電極50の保護層は、前述の第2の実施形態と同様にして設けることができる。
また、第1,2および3の実施形態において、放電電極として先鋭状突起部を有する針状電極を用いる例を示したが、それに限定されず、帯電ワイヤを用いることもできる。帯電ワイヤとしてはこの分野で常用されるものをいずれも使用でき、たとえば、線径0.06mmのタングステンワイヤが挙げられる。
図1に示すように、針状電極50を保持する保持部材51は、針状電極50と同様に一方向に長く延び、長手方向に直交する断面が逆T字状の部材であり、たとえば樹脂製である。針状電極50は、その長手方向の両端部付近において、保持部材51の突出部分の一側面に、ねじ部材59によってねじ止めされる。この針状電極50には、後述の感光体ドラム11を帯電させるべく動作中は、コロナ放電するために5kV程度の電圧が印加される。針状電極50には、図示しない電源から電圧が印加され、電圧印加によって先鋭状突起部58から感光体ドラム11の表面に向けてコロナ放電が起こり、感光体ドラム11表面が帯電される。
清掃部材52a,52bを構成する金属素材としては、りん青銅、普通鋼、ステンレス鋼などを使用できる。これらの中でも、清掃部材52a,52bがコロナ放電によって発生するオゾン雰囲気中で使用されることを考慮すると、耐酸化性に基づく耐久寿命の観点から、ステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼としては公知のものを使用できるけれども、たとえば、日本工業規格(JIS)G4305に規定されるオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304、フェライト系ステンレス鋼であるSUS430などが挙げられる。
清掃部材52a,52bの硬さは、米国材料試験協会(ASTM)規格D785に規定されるロックウェル硬さMスケールで115以上であることが好ましい。ロックウェル硬さが115未満では、軟質にすぎるので、針状電極50に当接させて擦過するとき、清掃部材52a,52bが必要以上に変形し過ぎて清掃効果が得られない。清掃部材52a,52bの硬さが高くても特に機能上の問題が現出しないので上限を設ける必要がないけれども、ロックウェル硬さMスケールの上限値が130であるので、あえて上限を設けるとすれば130である。
ここで、本発明の保護層を有する針状電極50においては、拡散層を介して薄皮層と針状電極50の基材とが強固に密着している。そのため、清掃部材52a,52bの材料として硬さが高い材料を用いても、清掃部材52a,52bが針状電極50に当接して擦過して清掃するとき、保護層が剥がれることはない。また、清掃時の針状電極50に対する清掃部材52a,52bの押付け力を大きくしても、保護層が剥がれることはない。したがって、針状電極50表面を清掃する清掃部材としては、保護層が形成されていない針状電極と同様のものを使用することができ、一般的なめっき膜で被覆された針状電極に比べて、清掃部材による清掃効果を大きくすることができる。
支持部材53は、清掃部材52a,52bを支持する逆L字状の形状を有する部材であり、その梁状部分に、T字状を有する清掃部材52a,52bの腕部分が装着される。2枚の清掃部材52a,52bは、針状電極50に対して相対的に移動する方向に関して予め定められる間隔L2を有するように設けられる。間隔L2は、一方の清掃部材52aが針状電極50に当接して変形するとき、他方の清掃部材52bが変形している清掃部材52aに当たることのない距離に選ばれ、装着される支持部材53の梁状部分の厚みで調整できる。この間隔L2は、清掃部材52a,52bを構成する素材によって変形状態が変化するので、該素材の変形状態を事前に試験して定めるのが望ましい。清掃部材52a,52bが、たとえば厚さt=30μmのステンレス鋼からなるとき、間隔L2は2mmが好ましい。2枚の清掃部材52a,52bに間隔L2を設けることによって、一方の清掃部材52aが針状電極50を擦過する間中、他方の清掃部材52bによってその変形を阻害されることなく好適範囲の押圧力を維持できるので、針状電極50の先端部を変形損傷させることなく充分に清掃できる。
シールドケース55は、たとえばステンレス鋼製であり、その外観形状が直方体で内部空間を有するとともに、後述の感光体ドラム11を臨む一方の面に開口部を有する容器状の部材である。またシールドケース55は、針状電極50と同一方向に長く延び、長手方向に直交する方向の断面形状が略U字状を有する。シールドケース55の底面63に保持部材51が装着される。また、シールドケース55の内側面61と保持部材51とによって形成される溝部62には、支持部材53の柱状部分の端部が摺動可能に挿入される。
支持部材53の柱状部分には、針状電極50の延びる方向と平行に貫通孔60が形成され、貫通孔60を挿通して移動用部材54が設けられる。移動用部材54は、貫通孔60に挿通される部位で支持部材53に固定されるので、移動用部材54を針状電極50の延びる方向に牽引することによって、支持部材53は、溝部62に対して摺動し、かつ溝部62に案内されて針状電極50の延びる方向に移動できる。すなわち、支持部材53に支持される清掃部材52a,52bを針状電極50に当接させて擦過することができる。
移動用部材54の牽引により清掃部材52a,52bを針状電極50に当接させて清掃するとき、針状電極50に対する清掃部材52a,52bの押圧力は、10gf以上30gf以下になるように調整するのが好ましい。押圧力が10gf未満では、針状電極50に付着するトナー、紙粉などの汚染物質を充分に除去できないおそれがあり、30gfを超えると、針状電極50の突起部58の先端が変形破損するおそれがある。
針状電極50に対する清掃部材52a,52bの押圧力は、たとえば、次のようにして調整できる。移動用部材54の一方の端部に錘を吊り下げた状態で、清掃部材52aまたは52bに負荷される力の大きさを測定する。測定は、たとえば、清掃部材52aまたは52bにばね秤を接続して行われる。そして、清掃部材52aまたは52bに負荷される力が10〜30gfになる錘を選定し、針状電極50を清掃するに際して、予め選定した錘を移動用部材54の端部に吊り下げることによって、所定の押圧力で清掃できる。また、移動用部材54の端部に回転トルクを調整した電動機を接続し、所定の押圧力を負荷できるようにしてもよい。
図2は、本発明の実施の一形態である画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、前述した感光体表面の帯電電位を長期間にわたって適正な範囲に維持することができる帯電装置1を備える。そのため、長期間にわたって高画質画像を記録することができる。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置100においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体、メモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。画像形成装置100は、トナー像形成手段2と、転写手段3と、定着手段4と、記録媒体供給手段5と、排出手段6とを含む。トナー像形成手段2を構成する各部材および中間転写手段3に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
トナー像形成手段2は、感光体ドラム11と、帯電手段12と、露光ユニット13と、現像手段14と、クリーニングユニット15とを含む。帯電手段12、現像手段14およびクリーニングユニット15は、感光体ドラム11の回転方向まわりに、この順序で配置される。帯電手段12は、現像手段14およびクリーニングユニット15よりも鉛直方向下方に配置される。
感光体ドラム11は、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルム、紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、導電性粒子および/または導電性ポリマーを含有する樹脂組成物などが挙げられる。なお、導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けるのが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して、感光層表面を平滑化する、繰り返し使用時における感光層の帯電性の劣化を防止する、低温および/または低湿環境下における感光層の帯電特性を向上させるといった利点が得られる。また最上層に感光体表面保護層を設けた耐久性の大きい三層構造の積層感光体であっても良い。
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結着樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フローレン環および/またはフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないけれども、電荷発生層中の結着樹脂100重量部に対して好ましくは5重量部以上500重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上200重量部以下である。電荷発生層用の結着樹脂としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層は、電荷発生物質および結着樹脂ならびに必要に応じて可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05μm以上5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上2.5μm以下である。
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは電荷輸送物質中の結着樹脂100重量部に対して10重量部以上300重量部以下、さらに好ましくは30重量部以上150重量部以下である。電荷輸送層用の結着樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、これらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物などが好ましい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂と共に、酸化防止剤が含まれるのが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないけれども、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.05重量%以上5重量%以下である。電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂ならびに必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10μm以上50μm以下、さらに好ましくは15μm以上40μm以下である。なお、1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いるけれども、それに代えて、シリコンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体ドラムを使用できる。
帯電手段12は、感光体ドラム11を臨み、感光体ドラム11の長手方向に沿って感光体ドラム11表面から間隙を有して離隔するように配置され、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる。帯電手段12には、帯電ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、鋸歯型帯電器、イオン発生装置などを使用できる。本実施の形態では、帯電手段12は感光体ドラム11表面から離隔するように設けられるけれども、それに限定されない。帯電手段12は、前述した帯電装置1である。
露光ユニット13は、露光ユニット13から出射される各色情報の光が、帯電手段12と現像手段14との間を通過して感光体ドラム11の表面に照射されるように配置される。露光ユニット13は、画像情報を該ユニット内でb、c、m、yの各色情報の光に分岐し、帯電手段12によって一様な電位に帯電された感光体ドラム11表面を各色情報の光で露光し、その表面に静電潜像を形成する。露光ユニット13には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニットを使用できる。他にもLED(Light Emitting Diode)アレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットを用いてもよい。
現像手段14は、現像槽20とトナーホッパ21とを含む。現像槽20は感光体ドラム11表面を臨むように配置され、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽20は、その内部空間にトナーを収容しかつ現像ローラ、供給ローラ、撹拌ローラなどのローラ部材またはスクリュー部材を収容して回転自在に支持する。現像槽20の感光体ドラム11を臨む側面には開口部が形成され、この開口部を介して感光体ドラム11に対向する位置に現像ローラが回転駆動可能に設けられる。現像ローラは、感光体ドラム11との圧接部または最近接部において感光体11表面の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。トナーの供給に際しては、現像ローラ表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(以下単に「現像バイアス」とする)として印加される。これによって、現像ローラ表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。さらに、現像バイアス値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量(トナー付着量)を制御できる。供給ローラは現像ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ周辺にトナーを供給する。攪拌ローラは供給ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ21から現像槽20内に新たに供給されるトナーを供給ローラ周辺に送給する。トナーホッパ21は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口(図示せず)と、現像槽20の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口(図示せず)とが連通するように設けられ、現像槽20のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。またトナーホッパ21を用いず、各色トナーカートリッジから直接トナーを補給するよう構成しても構わない。
クリーニングユニット15は、記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム11の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム11の表面を清浄化する。クリーニングユニット15には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。なお、本発明の画像形成装置100においては、感光体ドラム11として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるため、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット15よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。本実施の形態ではクリーニングユニット15を設けるけれども、それに限定されず、クリーニングユニット15を設けなくてもよい。
トナー像形成手段2によれば、帯電手段12によって均一な帯電状態にある感光体ドラム11の表面に、露光ユニット13から画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成し、これに現像手段14からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト25に転写した後に、感光体ドラム11表面に残留するトナーをクリーニングユニット15で除去する。この一連のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
転写手段3は、感光体ドラム11の上方に配置され、中間転写ベルト25と、駆動ローラ26と、従動ローラ27と、中間転写ローラ28(b、c、m、y)と、転写ベルトクリーニングユニット29、転写ローラ30とを含む。中間転写ベルト25は、駆動ローラ26と従動ローラ27とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向に回転駆動する。中間転写ベルト25が、感光体ドラム11に接しながら感光体ドラム11を通過する際、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に対向配置される中間転写ローラ28から、感光体ドラム11表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト25上へ転写される。フルカラー画像の場合、各感光体ドラム11で形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト25上に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。駆動ローラ26は図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その回転駆動によって、中間転写ベルト25を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ27は駆動ローラ26の回転駆動に従動回転可能に設けられ、中間転写ベルト25が弛まないように一定の張力を中間転写ベルト25に付与する。中間転写ローラ28は、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に圧接し、かつ図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。中間転写ローラ28は、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム11表面のトナー像を中間転写ベルト25に転写する機能を有する。転写ベルトクリーニングユニット29は、中間転写ベルト25を介して従動ローラ27に対向し、中間転写ベルト25の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム11との接触によって中間転写ベルト25に付着するトナーは、記録媒体の裏面を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット29が中間転写ベルト25表面のトナーを除去し回収する。転写ローラ30は、中間転写ベルト25を介して駆動ローラ26に圧接し、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。転写ローラ30と駆動ローラ26との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト25に担持されて搬送されて来るトナー像が、後述する記録媒体供給手段5から送給される記録媒体に転写される。トナー像を担持する記録媒体は、定着手段4に送給される。転写手段3によれば、感光体ドラム11と中間転写ローラ28との圧接部において感光体ドラム11から中間転写ベルト25に転写されるトナー像が、中間転写ベルト25の矢符B方向への回転駆動によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。
定着手段4は、転写手段3よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着ローラ31と加圧ローラ32とを含む。定着ローラ31は図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、記録媒体に担持される未定着トナー像を構成するトナーを加熱して溶融させ、記録媒体に定着させる。定着ローラ31の内部には図示しない加熱手段が設けられる。加熱手段は、定着ローラ31表面が所定の温度(加熱温度)になるように定着ローラ31を加熱する。加熱手段には、たとえば、ヒータ、ハロゲンランプなどを使用できる。加熱手段は、後記する定着条件制御手段によって制御される。定着条件制御手段による加熱温度の制御については、後に詳述する。定着ローラ31表面近傍には温度検知センサが設けられ、定着ローラ31の表面温度を検知する。温度検知センサによる検知結果は、後記する制御手段の記憶部に書き込まれる。加圧ローラ32は定着ローラ31に圧接するように設けられ、加圧ローラ32の回転駆動に従動回転可能に支持される。加圧ローラ32は、定着ローラ31によってトナーが溶融して記録媒体に定着する際に、トナーと記録媒体とを押圧することによって、トナー像の記録媒体への定着を補助する。定着ローラ31と加圧ローラ32との圧接部が定着ニップ部である。定着手段4によれば、転写手段3においてトナー像が転写された記録媒体が、定着ローラ31と加圧ローラ32とによって挟持され、定着ニップ部を通過する際に、トナー像が加熱下に記録媒体に押圧されることによって、トナー像が記録媒体に定着され、画像が形成される。
記録媒体供給手段5は、自動給紙トレイ35と、ピックアップローラ36と、搬送ローラ37と、レジストローラ38、手差給紙トレイ39を含む。自動給紙トレイ35は画像形成装置100の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体には、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。ピックアップローラ36は、自動給紙トレイ35に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路S1に送給する。搬送ローラ37は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ38に向けて搬送する。レジストローラ38は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、搬送ローラ37から送給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。手差給紙トレイ39は、手動動作によって記録媒体を画像形成装置100内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ39から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ37によって用紙搬送路S2内を通過し、レジストローラ38に送給される。記録媒体供給手段5によれば、自動給紙トレイ35または手差給紙トレイ39から1枚ずつ供給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
排出手段6は、搬送ローラ37と、排出ローラ40と、排出トレイ41とを含む。搬送ローラ37は、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着手段4によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ40に向けて搬送する。排出ローラ40は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置100の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ41に排出する。排出トレイ41は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
画像形成装置100は、図示しない制御手段を含む。制御手段は、たとえば、画像形成装置100の内部空間における上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。制御手段の記憶部には、画像形成装置100の上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種手段を実行するプログラムが書き込まれる。各種手段とは、たとえば、記録媒体判定手段、付着量制御手段、定着条件制御手段などである。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機器、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種手段のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御手段は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置100内部における各装置にも電力を供給する。
(実施例)
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
[実験1:グリッド電極の作製および評価]
(実施例1)
ステンレス鋼(SUS304)から成るグリッド電極の基材(寸法30mm×370mm×厚さ0.1mm)にエッチング処理を行い、多孔性板状グリッド電極基材を作製した。このとき、多孔性板状グリッド電極基材の貫通孔の開口率は75%であった。なお、エッチング処理は、グリッド電極基材に30重量%の塩化第2鉄水溶液を液温90℃で2時間噴霧することによって行った。エッチング処理後、水洗および純水による洗浄を行い、多孔性板状グリッド電極基材を作製した。
上記で得られた多孔性板状グリッド電極基材の表面に、レイデント処理による電解めっきを行い、拡散層と薄皮層とがそれぞれ1μmであるクロムおよびクロム酸化物から成る保護層が形成されたグリッド電極G1を作製した。なお、レイデント処理は、0℃以下に調整されたクロムおよびクロム酸化物を含むレイデント処理浴中に、多孔性板状グリッド電極基材を浸漬し、電流密度100A/dm2で3分間から30分間通電して行った。レイデント処理終了後、グリッド電極をレイデント処理浴から取り出し、水洗および純水による洗浄を行い、乾燥した。
(実施例2)
実施例1と同様にして得られる多孔性板状グリッド電極基材の表面に、レイデント処理による電解めっきを行い、拡散層と薄皮層とがそれぞれ1μmおよび0.3μmである保護層が形成されたグリッド電極G2を作製した。なお、レイデント処理は、0℃以下に調整されたクロムおよびクロム酸化物を含むレイデント処理浴中に、多孔性板状グリッド電極基材を浸漬し、電流密度100A/dm2で3分間から30分間通電して行った。
(実施例3)
実施例1と同様にして得られる多孔性板状グリッド電極基材の表面に、レイデント処理による電解めっきを行い、拡散層と薄皮層とがそれぞれ1μmおよび0.2μmである保護層が形成されたグリッド電極G3を作製した。なお、レイデント処理は、0℃以下に調整されたクロムおよびクロム酸化物を含むレイデント処理浴中に、多孔性板状グリッド電極基材を浸漬し、電流密度100A/dm2で3分間から30分間通電して行った。
(実施例4)
実施例1と同様にして得られる多孔性板状グリッド電極基材の表面に、電解めっきによって、電流50Aで5分間通電を行い、厚さ2μmのNi(ニッケル)から成る前処理層を形成させた。次いで、実施例1と同様にして、レイデント処理による電解めっきを行い、前処理層の上に拡散層と薄皮層とがそれぞれ1μmとなる保護層が形成されたグリッド電極G4を作製した。
(実施例5)
実施例4で得られるグリッド電極G4の表面に、さらに、電解めっきによって厚さ0.03μmのAu(金)から成る後処理層を形成させ、グリッド電極G5を作製した。
(実施例6)
実施例1と同様にして得られる多孔性板状グリッド電極基材の表面に、レイデント処理による電解めっきを行い、PTFE微粒子を含有するクロムおよびクロム酸化物から成り、膜厚が2μmである保護層が形成されたグリッド電極G6を作製した。このとき、PTFE微粒子含有量は、0.5体積%であった。なお、グリッド電極G6を作製するときのレイデント処理は、クロム水溶液によってクロム微粒子を析出積層された薄皮層中に、PTFE微粒子を含浸保有させたクロムPTFE複合めっき法である。即ち、0℃以下に調整された処理浴(商品名:レイデント処理、LSL−4FE、レイデント工業株式会社製)で、電流密度100A/dm2で3分間から30分間通電し、その後PTFE微粒子を薄皮層中に含浸定着させた。
(実施例7)
チタンから成るグリッド電極の基材(寸法30mm×370mm×厚さ0.1mm)にエッチング処理を行い、多孔性板状グリッド電極基材を作製した。それ以外は実施例1と同様にして、レイデント処理による電解めっきを行い、拡散層と薄皮層とがそれぞれ1μmである保護層が形成されたグリッド電極G7を作製した。
(比較例1)
レイデント処理を行わない以外は実施例1と同様にして、グリッド電極GR1を作製した。
(比較例2)
実施例1と同様にして得られる多孔性板状グリッド電極基材の表面に、保護層の代わりに、厚みが3μmのニッケルPTFE複合めっき層が形成されたグリッド電極GR2を作製した。なお、ニッケルPTFE複合めっき層は、液温が90℃に調整されたニッケルとPTFE微粒子とが分散されためっき液中に、多孔性板状グリッド電極基材を浸漬し、無電解めっき処理を行うことによって形成した。
実施例1〜7のグリッド電極G1〜G7および比較例1,2のグリッド電極GR1,GR2を、市販の画像形成装置(商品名:MX2700、シャープ株式会社製)における帯電装置のグリッド電極として用いて、下記の試験を実施した。
<放電試験1>
過酷試験として、低湿(湿度が10%以下)条件下で、エージングテストを行った。このテストにおいて感光体表面の帯電電位は、初期では−600Vに設定した。1000枚の印字毎にハーフトーンの画像評価を行い、10000枚における白スジ発生の程度を目視評価した。
白スジの程度は、以下のような基準で判定した。
◎:白スジ発生せず良好
○:感光体周囲長間隔に規則的ではないが、グリッド幅以下の白スジが発生
△:感光体周囲長間隔に規則的ではないが、グリッド幅相当の白スジが発生
×:感光体周囲長間隔に規則的にグリッド幅相当の白スジが発生
<放電試験2>
過酷試験として、高湿(湿度が80%以上)条件下で、エージングテストを行った。このテストにおいて感光体表面の帯電電位は、初期では−600Vに設定した。このテストにおける評価項目は、放電時間、電位上昇、電極表面における窒素酸化物および錆の有無である。放電時間は、装置内にて装着させた電極への放電時間(ks)を示す。また、電位上昇は、初期の帯電電位に対する放電時間後の電位上昇値を実測し、その電位上昇値が10(V)以下である場合を「○」とし、電位上昇値が10(V)より大きい場合を「×」とした。また、電極表面における窒素酸化物および錆の有無は、放電試験後の電極表面を、顕微鏡で観察することによって確認した。
評価結果を表1に示す。表1から明らかに、比較例1,2のグリッド電極GR1,GR2を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、いずれも低湿条件下において白スジが発生し、グリッド電極表面から窒素酸化物および錆が検出された。これに対して、レイデント処理によって表面に拡散層と薄皮層とを有する実施例1〜7のグリッド電極G1〜G7を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、白スジ発生が抑えられ、さらにグリッド電極表面から窒素酸化物および錆成分が検出されない。また、実施例2と実施例3とを比べると、実施例2の方が電位上昇が極めて小さい。このことから、帯電電位の変化と薄皮層の厚さとは密接に関係していることがわかり、薄皮層の厚さを0.3μm以上に調整することによって、錆発生を抑え、帯電電位の変化を抑制することが可能であることがわかる。
以上のように、薄皮層と拡散層とで構成される保護層を有するグリッド電極においては、薄皮層が拡散層を介してグリッド電極表面に強固に密着して形成されるので、空気中の水分やオゾンなどが保護層とグリッド電極基材との界面に侵入するのを防止して、グリッド電極表面が腐蝕するのを防止することができる。したがって、グリッド電極の帯電電位制御性能が長期間にわたって維持されるので、感光体表面の帯電電位を、長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる。
[実験2:針状電極の作製および評価]
(実施例8)
ステンレス鋼(SUS304)から成る金属板(寸法20mm×310mm×厚さ0.1mm)にマスキング処理およびエッチング処理を行い、複数の先鋭状突起部を有する針状電極基材を作製した。なお、エッチング処理は、ステンレス鋼の金属板に30重量%の塩化第2鉄水溶液を液温90℃で2時間噴霧することによって行った。エッチング処理後、水洗および純粋による洗浄を行い、針状電極基材を作製した。
上記で得られた針状電極基材の表面に、レイデント処理による電解めっきを行い、拡散層と薄皮層とがそれぞれ1μmであるクロムおよびクロム酸化物から成る保護層が形成された針状電極H1を作製した。なお、レイデント処理は、0℃以下に調整されたクロムおよびクロム酸化物を含むレイデント処理浴中に、針状電極基材を浸漬し、電流密度100A/dm2で3分間から30分間通電して行った。レイデント処理終了後、針状電極をレイデント処理浴から取り出し、水洗および純水による洗浄を行い、乾燥した。
(実施例9)
実施例8と同様にして得られる針状電極基材の表面に、レイデント処理による電解めっきを行い、拡散層と薄皮層とがそれぞれ1μmおよび0.3μmである保護層が形成された針状電極H2を作製した。なお、レイデント処理は、0℃以下に調整されたクロムおよびクロム酸化物を含むレイデント処理浴中に、針状電極基材を浸漬し、電流密度100A/dm2で3分間から30分間通電して行った。
(実施例10)
実施例8と同様にして得られる針状電極基材の表面に、レイデント処理による電解めっきを行い、拡散層と薄皮層とがそれぞれ1μmおよび0.2μmである保護層が形成された針状電極H3を作製した。なお、レイデント処理は、0℃以下に調整されたクロムおよびクロム酸化物を含むレイデント処理浴中に、針状電極基材を浸漬し、電流密度100A/dm2で3分間から30分間通電して行った。
(実施例11)
実施例8と同様にして得られる針状電極基材の表面に、電解めっきによって、電流50Aで5分間にて行い、厚さ2μmのNi(ニッケル)から成る前処理層を形成させた。次いで、実施例8と同様にして、レイデント処理による電解めっきを行い、前処理層の上に拡散層と薄皮層とがそれぞれ1μmとなる保護層が形成された針状電極H4を作製した。
(実施例12)
実施例11で得られる針状電極H4の表面に、さらに、電解めっきによって、厚さ0.03μmのAu(金)から成る後処理層を形成させ、針状電極H5を作製した。
(実施例13)
実施例8と同様にして得られる針状電極基材の表面に、レイデント処理による電解めっきを行い、PTFE微粒子を含有するクロムおよびクロム酸化物から成り、膜厚が2μmである保護層が形成された針状電極H6を作製した。このとき、拡散層および薄皮層のPTFE微粒子含有量は、0.5体積%であった。なお、針状電極H6を作製するときのレイデント処理は、クロム水溶液によってクロム微粒子を析出積層された薄皮層中に、PTFE微粒子を含浸保有させたクロムPTFE複合めっき法である。即ち、0℃以下に調整された処理浴(商品名:レイデント処理、LSL−4FE、レイデント工業株式会社製)で、電流密度100A/dm2で3分間から30分間通電し、その後PTFE微粒子を薄皮層中に含浸定着させた。
(実施例14)
チタンからなるからなる金属板(寸法20mm×310mm×厚さ0.1mm)にマスキング処理およびエッチング処理を行い、針状電極基材を作製した。それ以外は実施例8と同様にして、レイデント処理による電解めっきを行い、拡散層と薄皮層とがそれぞれ1μmである保護層が形成された針状電極H7を作製した。
(比較例3)
レイデント処理を行わない以外は実施例8と同様にして、針状電極HR1を作製した。
(比較例4)
実施例8と同様にして得られる針状電極基材の表面に、保護層の代わりに、厚みが3μmのニッケルPTFE複合めっき層が形成された針状電極HR2を作製した。なお、ニッケルPTFE複合めっき層は、液温が90℃に調整されたニッケルとPTFE微粒子とが分散されためっき液中に、針状電極基材を浸漬し、無電解めっき処理を行うことによって形成した。
実施例8〜14の針状電極H1〜H7および比較例3,4の針状電極HR1,HR2を、市販の画像形成装置(商品名:MX2700、シャープ株式会社製)における帯電装置の針状電極として用いて、前述の放電試験1,2を実施した。
評価結果を表2に示す。表2から明らかに、比較例3,4の針状電極HR1,HR2を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、いずれも低湿条件下において白スジが発生し、針状電極表面から窒素酸化物および錆が検出された。これに対して、レイデント処理によって表面に拡散層と薄皮層とを有する実施例8〜14の針状電極H1〜H7を配置した帯電装置を備える画像形成装置では、白スジ発生が抑えられ、さらに針状電極表面から窒素酸化物および錆成分が検出されない。また、実施例9と実施例10とを比べると、実施例9の方が電位上昇が極めて小さい。このことから、帯電電位の変化と薄皮層の厚さとは密接に関係していることがわかり、薄皮層の厚さを0.3μm以上に調整することによって、帯電電位の変化を抑制することが可能であることがわかる。
以上のように、薄皮層と拡散層とで構成される保護層を有する針状電極においては、薄皮層が拡散層を介して針状電極表面に強固に密着して形成されるので、空気中の水分やオゾンなどが保護層と針状電極基材との界面に侵入するのを防止して、針状電極表面が腐蝕するのを防止することができる。したがって、針状電極の印加電圧制御性能が長期間にわたって維持されるので、感光体表面の帯電電位を、長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる。
また、100000枚の印字テストを行った。比較例3の針状電極HR1を配置した画像形成装置においては、針状電極HR1を清掃部材によって清掃しない場合、ハーフトーンの画像で、白スジや黒スジが発生する。これに対して、実施例8〜14の針状電極H1〜H7を配置した画像形成装置においては、ハーフトーンの画像は、均一でムラも発生していない高画質画像であった。
また、実施例13の針状電極H7を配置した画像形成装置においては、針状電極H7の表面には、空気中に浮遊する埃などの付着物が少ないという特徴があるとともに、清掃部材によって清掃する場合、針状電極H7の表面に付着した付着物が除去されやすいという特徴があることも判明した。これは、針状電極H7が有する保護層にはPTFE微粒子が含有されているため、付着物の針状電極H7表面に対する付着力が小さいためである。
[実験3:グリッド電極と針状電極との組合せ]
(実施例15)
実施例1のグリッド電極G1および実施例8の針状電極H1を、市販の画像形成装置(商品名:MX2700、シャープ株式会社製)における帯電装置のグリッド電極および放電電極として用いて、前述の放電試験1,2を実施した。
(比較例5)
比較例2のグリッド電極GR2および比較例4の針状電極HR2を、市販の画像形成装置(商品名:MX2700、シャープ株式会社製)における帯電装置のグリッド電極および放電電極として用いて、前述の放電試験1,2を実施した。
評価結果を表3に示す。レイデント処理を行うことによって、グリッド電極および針状電極の両方に拡散層と薄皮層とが形成された帯電装置を備える実施例15では、低湿条件下において白スジ発生が抑えられ、さらに高湿条件下においてグリッド電極および針状電極の両電極表面から窒素酸化物および錆成分が検出されない。
以上のように、薄皮層と拡散層とで構成される保護層を有する針状電極およびグリッド電極においては、薄皮層が拡散層を介して針状電極およびグリッド電極表面に強固に密着して形成されるので、空気中の水分やオゾンなどが保護層と針状電極およびグリッド電極基材との界面に侵入するのを防止して、針状電極およびグリッド電極表面が腐蝕するのを防止することができる。したがって、針状電極の印加電圧制御性能とグリッド電極の帯電電位制御性能とが長期間にわたって維持されるので、感光体表面の帯電電位を、長期間にわたって、適正な範囲に維持することができる。