図1は、本発明の実施の第1形態である画像形成装置1の構成を概略的に示す断面図である。図2は、本発明の他の実施形態である帯電装置24の構成を概略的に示す斜視図である。
画像形成装置1は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機である。すなわち、画像形成装置1においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピューターなどの外部ホスト装置からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。
画像形成装置1は、記録媒体を貯留しかつ後述の画像形成部3に記録媒体を送給する給紙ユニット部2と、記録媒体に画像を形成する画像形成部3と、排紙部4と、複写用原稿に記載される画像および/または文字を読み取り、その情報を電気的信号に変換して画像形成部3に伝達する原稿読み取り部5とを含んで構成される。
給紙ユニット部2は、記録紙、OHPなどの記録媒体を収容する給紙トレイ10,11,12,13と、給紙トレイ10〜13に収容される記録媒体を画像形成部3に搬送するための第1および第2搬送路14,15と、給紙トレイ10〜13ならびに第1および第2搬送路14,15を収容して保護するフレーム16と、フレーム16の上部に設けられる手差し部17とを含んで構成される。
給紙トレイ10〜13は、たとえば、トレイ毎に異なるサイズおよび/または種類の記録媒体を収容できる。ここで、サイズとは、たとえば、JIS P 0138またはJIS P 0202に規定されるA3、A4、B4、B5などのサイズを意味する。また、これらのサイズに限定されず、不定形の記録媒体を収容することもできる。一方、種類とは、普通紙、カラーコピー用紙などの記録紙、OHPフィルムなどを意味する。勿論、給紙トレイ10〜13には、同じサイズおよび同じ種類の記録媒体を収容することもできる。
給紙トレイ10,11は互いに並列配置され、これらの下側に給紙トレイ12が配置され、さらにその下側に給紙トレイ13が配置される。給紙トレイ10〜13への記録媒体の補給は、たとえば、画像形成装置1の正面側(操作側)に、給紙トレイ10〜13を引き出して行われる。
第1搬送路14は、給紙ユニット部2のフレーム16に沿って、画像形成装置1の設置面100に対して垂直方向であるほぼ鉛直方向に延びるように設けられ、給紙トレイ10,12,13に収容される記録媒体を画像形成部3に送給する。また、第2搬送路15は、給紙ユニット部2のフレームに沿って、画像形成装置1の設置面100に対して平行方向であるほぼ水平方向に延びるように設けられ、給紙トレイ11に収容される記録媒体を画像形成部3に送給する。
このように、給紙ユニット部2のフレーム16内には、給紙トレイ10〜13ならびに第1および第2搬送路14,15が効率良く配置され、省スペース化が実現される。
手差し部17は、フレーム16の上方に設けられ、手差しトレイ18と、手差しトレイ18に供給される記録媒体を画像形成装置1の内部に取り込むための給紙ローラ19a,19bと、第2搬送路15に接続するように設けられ、給紙ローラ19a,19bにより画像形成装置1の内部に取り込まれる記録媒体を画像形成部3に送給する手差し送給路20とを含んで構成される。
手差しトレイ18は、画像形成装置1の内部において、フレーム16の上側に固定され、かつその一部が画像形成装置1の側面1aから外方に向けて突出するように設けられる。また、手差しトレイ18は、画像形成装置1の内部に収納可能に設けられる。手差しトレイ18から、画像形成装置1の内部に記録媒体が供給される。
給紙ローラ19a,19bは、互いに圧接し、かつそれぞれ図示しない駆動手段により軸線回りに回転駆動可能に設けられる。手差しトレイ18から給紙ローラ19a,19bの圧接部に供給される記録媒体は、給紙ローラ19a,19bの回転駆動によって、手差し送給路20に送られる。
手差し送給路20は、フレーム16を貫通して第2搬送路15に接続するように設けられる。給紙ローラ19a,19bによって手差し送給路20に送られて来た記録媒体は、第2搬送路15を通過して画像形成部3に送給される。
手差し部17によれば、手差しトレイ18から供給される記録媒体は、給紙ローラ19a,19bによって手差し送給路20に送られ、さらに第2搬送路15を介して、画像形成部3に送られる。
給紙ユニット部2においては、記録媒体に画像形成を行う場合に、給紙トレイ10〜13の中から、予め指定されるサイズおよび種類の記録媒体が収容されるトレイが選択され、そのトレイから記録媒体が1枚ずつ分離され、分離される記録媒体は、第1搬送路14および第2搬送路15のいずれかを介して、画像形成部3に送給され、画像形成が行われる。または、手差し部17から供給される記録媒体は、同様にして、画像形成部3に送給され、画像形成が行われる。
画像形成部3は、画像データに対応して形成されるトナー像を記録媒体に転写する電子写真プロセス部21と、電子写真プロセス部21において記録媒体上に転写されるトナー像を記録媒体に定着させる定着部22とを含んで構成される。
電子写真プロセス部21は、感光体ドラム23と、帯電装置24と、光走査ユニット25と、現像ユニット26と、現像剤貯留ユニット27と、転写ユニット28と、クリーニングユニット29とを含んで構成される。
感光体ドラム23は、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、円筒状、円柱状または薄膜シート状、好ましくは円筒状の導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含んで構成される。
導電性基体の材料になる導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルム、紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、導電性粒子および/または導電性ポリマーを含有する樹脂組成物などが挙げられる。なお、導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けるのが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して、感光層表面を平滑化する、繰り返し使用時における感光層の帯電性の劣化を防止する、低温および/または低湿環境下における感光層の帯電特性の向上させるといった利点が得られる。
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結着剤樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フローレン環および/またはフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないけれども、電荷発生層中の結着剤樹脂100重量部に対して好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜200重量部である。
電荷発生層用の結着剤樹脂としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。結着剤樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層は、電荷発生物質および結着剤樹脂ならびに必要に応じて可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2.5μmである。
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着剤樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは電荷輸送物質中の結着剤樹脂100重量部に対して10〜300重量部、さらに好ましくは30〜150重量部である。
電荷輸送層用の結着剤樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、これらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物などが好ましい。結着剤樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着剤樹脂と共に、酸化防止剤が含まれるのが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないけれども、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着剤樹脂ならびに必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。
なお、1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着剤樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体を用いるけれども、それに代えて、シリコンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体を用いることもできる。
図2は、帯電装置24の構成を概略的に示す斜視図である。図3は、図2に示す帯電装置24の正面図である。帯電装置24は、複数の先鋭状突起部58を有する板状の電極50(以後「針状電極50」と称す)と、針状電極50を保持する保持部材51と、針状電極50に対して相対的に移動可能に設けられ、移動時に針状電極50を擦過することによって針状電極50の表面を清掃する2枚の清掃部材52a,52bと、清掃部材52a,52bを支持する支持部材53と、清掃部材52a,52bおよび支持部材53を移動させる移動用部材54と、針状電極50、保持部材51、清掃部材52a,52bおよび支持部材53を収容するシールドケース55と、感光体ドラム23表面の帯電電位を調整するグリッド電極56とを含む。この帯電装置24は、電子写真プロセス部21において、感光体ドラム23を臨み感光体ドラム23の長手方向に沿って配置される。
針状電極50は、たとえばステンレス鋼製の薄板状部材であり、一方向に長く延びる平板部57と平板部57の短手方向の一端面から短手方向に突出するように形成される先鋭状の突起部58とによって構成される。針状電極50の寸法について例示すると、平板部57の短手方向の長さL1は、10mm程度が好ましく、突起部58の突出方向の長さL2は、2mm程度が好ましく、突起部58の先端の曲率半径Rは、40μm程度が好ましく、突起部58の形成されるピッチTPは、2mm程度が好ましい。
針状電極50を保持する保持部材51は、針状電極50と同様に一方向に長く延び、長手方向に直交する断面が逆T字状の部材であり、たとえば樹脂製である。針状電極50は、その長手方向の両端部付近において、保持部材51の突出部分の一側面に、ねじ部材59によってねじ止めされる。この針状電極50には、前述の感光体23を帯電させるべく動作中は、コロナ放電するために5kV程度の電圧が印加される。針状電極50には、図示しない電源から電圧が印加され、電圧印加によって先鋭状突起部58から感光体23の表面に向けてコロナ放電が起こり、感光体23表面が帯電される。
清掃部材52a,52bは、板状の形状、より詳しくは平面投影形状がT字状を有し、厚さtが20〜40μmの金属素材または高分子材料の弾性体からなる。厚さtが20μm未満では、針状電極50に当接する際に容易に変形するけれども、変形に伴う反力である針状電極50に対する押圧力が弱くなるので、針状電極50に付着する汚染物質を充分に除去できない。厚さtが40μmを超えると、針状電極50に付着する汚染物質を充分に除去できるけれども、剛性が高くなって針状電極50に対する押圧力が強くなり過ぎるので、針状電極50の突起部58先端を変形破損するおそれがある。この結果、厚さtが20〜40μmの範囲を外れると、帯電不良による画像むらなどが発生する可能性がある。清掃部材52a,52bを構成する金属素材としては、りん青銅、普通鋼、ステンレス鋼などを使用できる。これらの中でも、清掃部材52a,52bがコロナ放電によって発生するオゾン雰囲気中で使用されることを考慮すると、耐酸化性に基づく耐久寿命の観点から、ステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼としては公知のものを使用できるけれども、たとえば、日本工業規格(JIS)G4305に規定されるオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304、フェライト系ステンレス鋼であるSUS430などが挙げられる。
清掃部材52a,52bの硬さは、米国材料試験協会(ASTM)規格D785に規定されるロックウェル硬さMスケールで115以上であることが望ましい。ロックウェル硬さが115未満では、軟質にすぎるので、針状電極50に当接させて擦過するとき、清掃部材52a,52bが必要以上に変形し過ぎて清掃効果が得られない。清掃部材52a,52bの硬さが高くても特に機能上の問題が現出しないので上限を設ける必要がないけれども、ロックウェル硬さMスケールの上限値が130であるので、あえて上限を設けるとすれば130である。
清掃部材52a,52bの、針状電極50と当接する部分であるT字の縦棒部分における幅寸法w、すなわち清掃部材52a,52bの移動方向に対して垂直方向かつ突起部58が延びる方向に対して垂直方向における清掃部材52a,52bの寸法wは、3.5mm以上に形成するのが望ましい。幅寸法wが3.5mm未満では、針状電極50に押圧されて変形する際に生じる力の単位面積あたりの値が大きくなるので、繰返し変形に対する疲労破壊を起こしやすくなり、耐久寿命が低下する。幅寸法wを3.5mm以上にすることによって、前述した力の単位面積あたりの値を小さくして繰返し変形に対する耐久寿命を長くできるけれども、過度に幅広にすると剛性が強くなり過ぎるとともに、装置が大型化するので、上限は10mm程度に設定されるのが望ましい。
なお、清掃部材52a,52bと針状電極50とは、清掃部材52a,52bに対する針状電極50の突起部58の食込み量dが、0.2〜0.8mmになるように配置されるのが好ましい。ここで、食込み量dは、清掃部材52a,52bと突起部58とを、清掃部材52a,52bが針状電極50に対して相対的に移動する方向に垂直な仮想平面に投影させた状態で、清掃部材52a,52bと突起部58とが、突起部58の延びる方向に重なり合う長さを意味する。食込み量dが0.2mm未満では、清掃部材52a,52bの変形に伴う反力である針状電極50に対する押圧力が弱くなるので、針状電極50に付着する汚染物質を充分に除去できない。食込み量dが0.8mmを超えると、針状電極50に付着する汚染物質は充分に除去できるけれども、清掃部材52a,52bの変形に伴う反力(針状電極50に対する押圧力)が強くなり過ぎるので、針状電極50の突起部58先端を変形破損するおそれがある。この結果、食込み量dが0.2〜0.8mmの範囲を外れると、帯電不良による画像むらなどが発生する可能性が生じる。
支持部材53は、清掃部材52a,52bを支持する逆L字状の形状を有する部材であり、その梁状部分に、T字状を有する清掃部材52a,52bの腕部分が装着される。2枚の清掃部材52a,52bは、針状電極50に対して相対的に移動する方向に関して予め定められる間隔L3を有するように設けられる。間隔L3は、一方の清掃部材52aが針状電極50に当接して変形するとき、他方の清掃部材52bが変形している清掃部材52aに当たることのない距離に選ばれ、装着される支持部材53の梁状部分の厚みで調整できる。この間隔L3は、清掃部材52a,52bを構成する素材によって変形状態が変化するので、該素材の変形状態を事前に試験して定めるのが望ましい。清掃部材52a,52bが、たとえば厚さt=30μmのステンレス鋼からなるとき、間隔L3は2mmが好ましい。2枚の清掃部材52a,52bに間隔L3を設けることによって、一方の清掃部材52aが針状電極50を擦過する間中、他方の清掃部材52bによってその変形を阻害されることなく好適範囲の押圧力を維持できるので、針状電極50の先端部を変形損傷させることなく充分に清掃できる。
シールドケース55は、たとえばステンレス鋼製であり、その外観形状が直方体で内部空間を有するとともに、前述の感光体23を臨む一方の面に開口部を有する容器状の部材である。またシールドケース55は、針状電極50と同一方向に長く延び、長手方向に直交する方向の断面形状が略U字状を有する。シールドケース55の底面63に保持部材51が装着される。また、シールドケース55の内側面61と保持部材51とによって形成される溝部62には、支持部材53の柱状部分の端部が摺動可能に挿入される。
支持部材53の柱状部分には、針状電極50の延びる方向と平行に貫通孔60が形成され、貫通孔60を挿通して移動用部材54が設けられる。移動用部材54は、貫通孔60に挿通される部位で支持部材53に固定されるので、移動用部材54を針状電極50の延びる方向に牽引することによって、支持部材53は、溝部62に対して摺動し、かつ溝部62に案内されて針状電極50の延びる方向に移動できる。すなわち、支持部材53に支持される清掃部材52a,52bを針状電極50に当接させて擦過することができる。
移動用部材54は糸状またはワイヤ状の部材であり、支持部材53の柱状部分に形成される貫通孔60を挿通し、針状電極50の延びる方向と平行に設けられ、シールドケース55に形成される孔または隙間からシールドケース55の外方に延び、シールドケース55の外面または画像形成装置1の機体に設けられる滑車64a,64bを介してその端部が垂下される。なお、滑車64a,64bと移動用部材54の端部は、図2では省略される。移動用部材54の端部は、画像形成装置1の機体外方にまで延長するのが好ましい。これによって、帯電装置24を画像形成装置1から取外すことなくまたは画像形成装置1を開放することなく、針状電極50の清掃を実施できる。
移動用部材54の牽引により清掃部材52a,52bを針状電極50に当接させて清掃するとき、針状電極50に対する清掃部材52a,52bの押圧力は、10〜30gfになるように調整するのが好ましい。押圧力が10gf未満では、針状電極50に付着するトナー、紙粉などの汚染物質を充分に除去できないおそれがあり、30gfを超えると、針状電極50の突起部58の先端が変形破損するおそれがある。
針状電極50に対する清掃部材52a,52bの押圧力は、たとえば、次のようにして調整できる。移動用部材54の一方の端部に錘を吊り下げた状態で、清掃部材52aまたは52bに負荷される力の大きさを測定する。測定は、たとえば、清掃部材52aまたは52bにばね秤を接続して行われる。そして、清掃部材52aまたは52bに負荷される力が10〜30gfになる錘を選定し、針状電極50を清掃するに際して、予め選定した錘を移動用部材54の端部に吊り下げることによって、所定の押圧力で清掃できる。また、移動用部材54の端部に回転トルクを調整した電動機を接続し、所定の押圧力を負荷できるようにしてもよい。
グリッド電極56は、針状電極50と感光体ドラム23との間に設けられ、このものに電圧が印加されることによって、感光体ドラム23表面の帯電状態のばらつきを調整し、帯電電位を均一化する。多孔性板状グリッド基材の表面にニッケルPTFE複合めっき層が施されたものである。
グリッド電極56は、公知の方法に従って製造できる。その一例として、化学研磨工程、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程、純水浸漬工程、ニッケルめっき工程、ニッケルPTFE複合めっき工程、水洗処理および乾燥処理を含む製造法が挙げられる。これらの工程のうち、ニッケルめっき工程は必須の工程ではなく、必要に応じて実施される。
化学研磨工程では、板金にマスキングおよびエッチングを行うことにより、板金に複数の貫通孔が形成される。エッチングは公知の方法に従って実施でき、たとえば、塩化第2鉄水溶液などのエッチング液を板金に噴霧する方法などが挙げられる。ここで、板金の材料になる金属としては、グリッド形状の加工が可能でありかつめっき可能なものを使用でき、たとえば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄などが挙げられる。これらの中でも、グリッド電極56の耐久性向上の観点からはステンレス鋼が特に好ましい。ステンレス鋼の具体例としては、たとえば、SUS304、SUS309、SUS316などが挙げられ、これらの中でもSUS304が好ましい。また、ニッケルPTFE複合めっき層との密着性向上、製造コストの低減などの観点からは銅が特に好ましい。銅を用いる場合には、ニッケルPTFE複合めっき層との密着性が非常に高いので、ニッケルめっき層を形成しなくてもかまわない。板金の厚さは特に制限されないけれども、好ましくは0.05〜1mm、さらに好ましくは0.05〜0.3mmである。
化学研磨工程で貫通孔が形成される板金は、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程および純水浸漬工程において、水洗、酸洗浄または純水洗浄を施され、その表面から異物が除去され、多孔性板状グリッド基材が得られる。
ニッケルめっき工程は、前述のように必須の工程ではないけれども、ニッケルPTFE複合めっき層の多孔性板状グリッド基材への密着性を高めるために、実施するのが好ましい。ここで、ニッケルめっきは一般的に実施される方法により行うことができるけれども、後にニッケルPTFE複合めっき層を形成することを考慮すると、電気めっきを行うのが好ましい。また、ニッケルめっき層の層厚も特に制限されないけれども、好ましくは0.03〜3μm、さらに好ましくは0.5〜1.5μm、特に好ましくは1μm程度である。
ニッケルPTFE複合めっき工程は、たとえば、多孔性板状グリッド基板に触媒ニッケルめっき法(カニゼン法)などの無電解ニッケルめっき法に従って実施できる。ここで、めっき浴としては、たとえば、次亜リン酸またはその塩およびニッケル塩を含む水溶液に、さらにポリテトラフルオロエチレンが添加されてなるめっき浴が使用される。めっき浴のpHは、通常は5〜5.5の範囲に調整される。ここで使用されるポリテトラフルオロエチレンは、粒子状のポリテトラフルオロエチレンであり、その粒子径は、形成しようとするめっき層の厚みより小さければ特に制限はないけれども、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは100〜500nmである。ポリテトラフルオロエチレンのめっき浴への添加量も特に制限されないけれども、好ましくはめっき浴全重量の0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜1.0重量%である。めっき液の具体例としては、たとえば、日本カニゼン(株)製の商品名「カニフロンS」、上村工業(株)製の商品名「ニムフロン」、奥野製薬工業(株)製の商品名「トップニコジット」シリーズなどが挙げられる。前記のような組成およびpHを有するめっき浴に、浴温90℃以上で、多孔性板状グリッド基板を浸漬し、無電解めっきを行うことにより、該基板の表面にニッケルPTFE複合めっき層が形成される。形成されるニッケルPTFE複合めっき層中におけるPTFEの含有量は、好ましくは3〜30体積%、さらに好ましくは20〜30体積%である。形成されるニッケルPTFE複合めっき層の層厚は特に制限はないけれども、好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.3〜20μm、特に好ましくは1〜5μmである。厚さが0.3μm未満では、ピンホールが発生しやすく不均一のものとなり、ピンホールを介してグリッド基材が腐食されることにより、感光体の帯電電位が部分的に不安定になりやすい。一方、20μmを大幅に超えると、ストレスによりめっき皮膜が剥離する恐れがある。なお、ニッケルPTFE複合めっき層の厚さは、めっき時間の長さにほぼ比例するので、所望の厚さのめっき層を得るためには、多孔性板状グリッド基板のめっき浴への浸漬時間を適宜変更すれば良い。
無電解めっきにより形成されるニッケルPTFE複合めっき層は、めっき浴の液剤が多孔性板状グリッド基板の表面に均等に付着するので、めっき層の層厚が0.3μm程度と非常に薄い場合でも、層厚のばらつきがなく均一でかつピンホールの非常に少ないという好ましい特性を有する。さらに、めっき組織が緻密で、多孔性板状グリッド基材の表面に対して高い密着性を有し、長期間にわたって使用しても、剥離などを起こすことがない。
また、ニッケルPTFE複合めっき工程は、電気めっきによって実施できる。めっき浴としては、無電解めっきのめっき浴と同様のものを使用できる。電気めっきの条件は、一般的なニッケルの電気めっきと同じである。電気めっきによるニッケルPTFE複合めっきでは、電気めっきに特有の傾向、すなわちエッジ部分にめっきが乗り易く、その一方で、多孔性板状グリッド基材の貫通孔が形成される部分にはめっきが乗りにくい傾向がある。このため、めっき層の層厚を均一にするためには、層厚を大きくする必要があり、好ましくは層厚を3μm以上にすることが必要である。
なお、ニッケルPTFE複合めっき層を形成する際、無電解めっきまたは電気めっきのいずれを選択するかは、それぞれのめっき法の特徴とコストに応じて決定すればよい。
帯電装置24によれば、針状電極50に電圧が印加されることによりコロナ放電が起こり、感光体ドムラ23の表面が帯電されるとともに、グリッド電極56に所定のグリッド電圧が印加されることにより、感光体ドラム23の表面の帯電状態が均一化されるので、感光体ドラム23の表面を所定の電位および極性に帯電させることができる。
本実施の形態の帯電装置24においては、コロナ放電用電極として針状電極50を用いるけれども、それに限定されず、帯電ワイヤを用いることもできる。帯電ワイヤとしてはこの分野で常用されるものをいずれも使用でき、たとえば、線径0.06mmのタングステンワイヤに金めっきを施したものが挙げられる。
ここで、図1に戻り、光走査ユニット25は、半導体レーザなどからなり、原稿読み取り部5または外部機器から入力される画像原稿情報に応じて変調されるレーザ光を出射するレーザ光源25aと、レーザ光源25aから出射されるレーザ光を主走査方向に偏向させるポリゴンミラー25bと、ポリゴンミラー25bにより主走査方向に偏向されるレーザ光を感光体ドラム23の表面に結像するように収束するレンズ25cと、レンズ25cにより収束されるレーザ光を反射するミラー25d,25eとを含んで構成される。レーザ光源25aから出射されるレーザ光は、ポリゴンミラー25bにより偏向され、さらにレンズ25cにより収束され、ミラー25d,25eによって反射されて、所定の電位および極性に帯電する感光体ドラム23の表面に照射され、画像原稿情報に応じた静電潜像が形成される。
現像ユニット26は、感光体ドラム23に対向しかつ圧接するように設けられ、感光体ドラム23表面に形成される静電潜像にトナーを含む現像剤を供給する現像ローラ26aと、現像ローラ26aに圧接するように設けられ、現像ローラ26aにトナーを含む現像剤を供給する供給ローラ26bと、現像ローラ26aおよび供給ローラ26bを回転自在に支持するとともに、その内部空間に現像剤を収容するケーシング26cとを含んで構成される。ケーシング26c中に収容される現像剤は、供給ローラ26bの回転駆動により現像ローラ26aの表面に付着し、さらに現像ローラ26aの表面から感光体ドラム23表面の静電潜像に供給され、静電潜像が現像されてトナー像が得られる。
現像剤貯留ユニット27は、現像ユニット26に隣接するように設けられる現像剤貯留容器であり、現像ユニット26内の現像剤残量に応じて、適量の現像剤を現像ユニット26に供給する。
転写ユニット28は、図示しない駆動手段により軸線回りに回転駆動可能に設けられる駆動ローラ28aと、従動ローラ28b,28cと、駆動ローラ28aおよび従動ローラ28b,28cに張架される無端ベルト28dとを含んで構成される。駆動ローラ28aは、回転駆動可能に設けられるだけでなく、無端ベルト28dを介して感光体ドラム23と対向しかつ感光体ドラム23、無端ベルト28dおよび駆動ローラ28aがこの順番で圧接するように設けられる。転写ユニット28によれば、記録媒体は給紙ユニット部2から第3搬送路32を通過して感光体ドラム23と無端ベルト28dとの間に供給され、駆動ローラ28aによる押圧によって記録媒体が感光体ドラム23表面に圧接し、該表面のトナー像が記録媒体に転写される。このようにトナー像が転写された後、記録媒体は定着部22に送給される。
クリーニングユニット29は、転写ユニット28にて記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム23の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム23の表面を清浄化する。クリーニングユニット29には、たとえば、クリーニングブレードが用いられる。なお、本発明の画像形成装置においては、感光体ドラム23として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体の表面は樹脂成分を主体とするものであるため、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット29よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。
電子写真プロセス部21によれば、感光体ドラム23の回転駆動に伴い、帯電、露光による静電潜像の形成、静電潜像の現像によるトナー像の形成、トナー像の記録媒体への転写、および感光体ドラム23表面の清浄化という一連の動作を実行することにより、トナー像が記録媒体に転写され、この記録媒体は定着部22に送給される。
定着部22は、軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その内部に図示しない加熱手段を有する定着ローラ30と、定着ローラ30の表面に圧接し、軸線回りに回転駆動可能に設けられる加圧ローラ31と、定着ローラ30の表面に対向するように設けられ、定着ローラ30の表面温度を検出する温度センサ32とを含んで構成される。定着ローラ30の内部に設けられる不図示の加熱手段には、たとえば、ヒータなどが使用できる。また、温度センサ32による検出結果に応じて、定着ローラ30の表面温度が所定温度に維持されるように、図示しない制御部によって、ヒータに供給される電力量が制御される。定着部22によれば、電子写真プロセス部21において得られる、トナー像が転写された記録媒体が、定着ローラ30と加圧ローラ31との圧接部に供給され、定着ローラ30および加圧ローラ31の回転駆動に伴って該圧接部中を通過する際に加圧および加熱を受けることによって、トナー像が記録媒体に固定化され、画像記録済み記録媒体が得られる。
画像形成部3によれば、給紙ユニット部2から送給される記録媒体に、画像原稿情報に応じたトナー像が転写され、さらに加熱加圧してトナー像を記録媒体に固定化することにより、長期的かつ連続的に、高画質画像が形成された記録媒体が得られる。
排紙部4は、画像形成部3の定着部22において得られる画像記録済み記録媒体を後述の反転ローラ36a,36bに供給する第4搬送路34と、画像記録済み記録媒体の搬送方向を変更する反転ローラ36a,36bと、画像記録済み記録媒体を画像形成装置1の外部に設けられる図示しない排紙トレイまたは第6搬送路37に搬送する第5搬送路35と、画像記録済み記録媒体を再度第3搬送路33に搬送する第6搬送路37とを含んで構成される。ここで、反転ローラ36a,36bは、いずれも軸線回りに順逆回転可能に設けられ、かつ圧接するように設けられる。第4搬送路34を介して反転ローラ36a,36bの圧接部に供給される画像記録済み記録媒体は、その端部が反転ローラ36a,36bの順方向の回転によって反転ローラ36a,36b間に挟持される。その後、反転ローラ36a,36bの逆方向の回転によって、第5搬送路35内を搬送される。そして、記録媒体の片面のみに画像が記録される場合には、第5搬送路35を介して、図示しない切換えゲートの動作によって矢符101の方向に、画像形成装置1外部の図示しない排紙トレイに排出される。また、記録媒体の両面に画像が形成される場合には、図示しない切換えゲートの動作によって第5搬送路35から第6搬送路37に搬送され、表裏反転された後、第3搬送路を経由して画像形成部3に搬送され、トナー像の転写および定着が行われる。
原稿読み取り部5は、原稿供給部38と画像読み取り部39とを含む。
原稿供給部38は、原稿を載置する原稿トレイ40と、原稿を送給する原稿規制板41と、原稿の画像面が反転するように搬送する湾曲搬送路42と、原料供給部38と後述する原稿台(プラテンガラス)44との接触面に設けられる保護マット43とを含んで構成される。原稿トレイ40には、原稿の画像面が上方を向くように載置される。原稿規制板41は、原稿を1枚ずつ湾曲搬送路42に送給する。湾曲搬送路42は、原稿の画像面が下方を向くように反転させながら原稿を原稿台44の真上まで搬送する。また、原稿規制板41は、主に、プラテンガラスで形成される原稿台44を保護する。原稿供給部38によれば、画像形成装置1の外装前面部に配置される図示しない操作パネルにおいて、条件入力キーにより印刷枚数、印刷倍率、用紙サイズなどの印刷条件を入力したのち、スタートキーを押すことにより、コピー動作が開始され、原稿トレイ40に画像面を上方に向けて載置される原稿が1枚ずつ自動的に搬送され、搬送の途中で画像面が下方を向くように反転処理され、原稿台45の真上まで搬送される。そして、原稿が原稿台45の上を通過する間に、原稿の画像原稿情報が後述の画像読み取り部39により読み取られる。なお、原稿台45上を通過する原稿は、その後、排出ローラ49によって、画像形成装置1の外部に設けられる図示しない排出トレイに排出される。
画像読み取り部39は、自動搬送が不可能な原稿を載置し、その画像原稿情報を読み取るための原稿台44と、副走査方向において原稿台44から離間して設けられ、原稿トレイ40からの自動搬送が可能な原稿を通過させ、通過の際にその画像原稿情報を読み取るための原稿台45と、原稿台44,45の面に平行な方向(副走査方向)に移動可能に設けられる光源ユニット46と、原稿からの反射光を後述のCCD読み取りユニット48に導くミラーユニット47と、原稿からの反射光を電気信号に変換するCCD読み取りユニット48とを含んで構成される。
光源ユニット46は、光源46aと、光源46aから出射される読み取り用の照明光を原稿台44または原稿台45の所定の読み取り位置に集光する図示しない凹面のレフレクタと、原稿からの反射光のみを選択的に通過させる図示しないスリットと、原稿からの反射光をさらに90°反射するミラー46bとを含む。光源ユニット46は、原稿に読み取り用照明光を出射し、原稿から反射される光をミラーユニット47に供給する。
ミラーユニット47は、反射面が相互に直交するように配置される一対のミラー47a,47bを含む。光源ユニット46から供給される原稿からの反射光は、ミラー47a,47bによって、その光路を180°変更され、CCD読み取りユニット48に導かれる。
CCD読み取りユニット48は、ミラーユニット47からの反射光を結像する結像レンズ48aと、結像レンズ48aにより結像される光に応じる電気信号を出力するCCDイメージセンサ48bとを含む。ミラーユニット47から結像レンズ48aに入射する反射光は結像され、その像がCCDイメージセンサ48bによって電気信号に変換され、図示しない制御部を介して、電気信号としての画像原稿情報が光走査ユニット25に入力され、それに応じる画像形成が実行される。
画像読み取り部39によれば、原稿台44,45に載置される原稿の画像原稿情報が、光源ユニット46からの光照射により原稿からの反射光として取り込まれ、さらにこの反射光がミラーユニット47を介してCCD読み取りユニット48に導かれ、電気信号の画像原稿情報に変換される。この情報は、予め設定される条件で画像処理が行われ、画像形成部3の光走査ユニット25へ送信され、画像形成が実施される。
以下に実施例、参考例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
ステンレス鋼(SUS304)からなるグリッド基材(寸法30mm×370mm×厚さ0.1mm)にエッチング処理を行い、多孔性板状グリッド基材を作製した。なお、エッチングは、グリッド基材に30重量%塩化第2鉄水溶液を液温90℃で2時間噴霧することによって行った。エッチング後、グリッド基材の水洗および純水による洗浄を行い、多孔性板状グリッド基材を作製した。
上記で得られた多孔性板状グリッド基材の表面に、電気めっきにより厚さ0.5μmのNiめっき層を形成した。ついで、このNiめっき層を形成したグリッド基材を、ニッケルPTFE複合めっき浴中(商品名:ニムフロン、上村工業(株)製、液温90℃)に25分浸漬し、表面に層厚3μmのニッケルPTFE複合めっき層が形成されたグリッド電極を製造した。めっき終了後、グリッド電極をめっき浴から取り出し、水洗および純水による洗浄を行い、乾燥した。
このグリッド電極を、市販の画像形成装置(商品名:AR625、シャープ(株)製)における、帯電装置のグリッド電極と交換し、本発明の帯電装置を含む画像形成装置を製造した。このグリッド電極、帯電装置および画像形成装置を用い下記の試験を実施した。結果を表1に示す。
〔放電試験〕
過酷試験として、低湿条件(10%以下)で、通紙を伴わないエージングテストを行った。AR625は70枚機であるため、71時間がコピー枚数(300Kライフ)に相当する。このテストで感光体表面の帯電電位は、初期では−630Vに設定されていた。表1にこのテスト結果を示す。
〔窒素酸化物および錆の検出〕
錆、窒素酸化物の検出は、放電後のグリッド電極表面を顕微鏡観察することによって行った。
(参考例1)
実施例1と同様にして得られる多孔性板状グリッド基材に、実施例1と同様にしてNiめっきを施した後、金めっきを行い、表面に層厚0.044μmの金めっき層が形成されたグリッド電極を作製した。このグリッド電極について、実施例1と同様の性能試験を実施した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同じ、ステンレス鋼(SUS304)からなるグリッド基材にめっき処理を施さずそのままグリッド電極とし、実施例1と同様の性能試験に供した。結果を表1に示す。
(比較例2)
ステンレス鋼をSUS316に変更する以外は、実施例1と同じ寸法のグリッド基材にめっき処理を施さずそのままグリッド電極とし、実施例1と同様の性能試験に供した。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1と同じステンレス鋼(SUS304)からなるグリッド基材に、電気Niめっきを行い、層厚3μmのNiめっき層が形成されたグリッド電極を作製した。このグリッド電極を、実施例1と同様の性能試験に供した。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1と同じステンレス鋼(SUS304)からなるグリッド基材に、無電解Niめっきを行い、層厚3μmのNiめっき層が形成されたグリッド電極を作製した。このグリッド電極を実施例1と同様の性能試験に供した。結果を表1に示す。
表1から、比較例1,2(めっきなしのSUS)および比較例3,4(ニッケルめっきのみ)の板状グリッドはいずれも電位上昇が大きく、板状グリッド表面から窒素酸化物および錆が検出されたのに対し、表面にニッケルPTFE複合めっき層を形成した実施例1の板状グリッドを用いると、電位上昇が、表面に金めっき層を形成した参考例1の板状グリッドと同等の低さを示し、さらに窒素酸化物および錆成分が検出されないことがわかる。
なお、実施例1の板状グリッドを用いた画像形成装置では、実際の複写テストにおける50000枚印刷後でも、ハーフトーンの画像が均一でむらも発生しなかったのに対し、比較例1〜4では10000枚印刷後に、ハーフトーンの画像に激しいむらが生じた。
(実施例2)
グリッド基材として、ステンレス鋼(SUS304)に代えて銅板(寸法30mm×370mm×厚さ0.1mm)を用いる以外は、実施例1と同様にして、グリッド電極を作製した。
(参考例2)
実施例2と同様にして得られる多孔性板状グリッド基材に、参考例1と同様にしてNiめっきおよび金めっきを施し、グリッド電極を作製した。
(比較例5)
実施例1と同じ銅板(グリッド基材)にめっき処理を施さず、グリッド電極とした。
(比較例6)
実施例1と同じ銅板(グリッド基材)に電気Niめっきを行い、層厚3μmのNiめっき層が形成されたグリッド電極を作製した。
(比較例7)
実施例1と同じ銅板(グリッド基材)に無電解Niめっきを行い、層厚3μmのNiめっき層が形成されたグリッド電極を作製した。
実施例2、参考例2および比較例5〜7で得られたグリッド電極を、実施例1と同様にして市販の画像形成装置(商品名:AR625、シャープ(株)製)に装着し、放電試験ならびに窒素酸化物および錆の検出を実施した。結果を表2に示す。
また、実施例2のグリッド電極を装着した帯電装置において、針状電極に5kVの電圧を印加してコロナ放電を行った際の針状電極先端部の状態を調べるため、顕微鏡により写真撮影した。図4は、コロナ放電時の針状電極先端部の状態を示す顕微鏡写真である。図4から、実施例2のグリッド電極を用いることによって、針状電極先端部の全体からほぼ均一な放電が起こっていることが明らかである。