以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置について、図面に基づき詳細に説明する。ここで、画像形成装置として、タンデム方式の画像形成装置を例に挙げて説明するが、電子写真方式を利用した画像形成装置であればよく、タンデム方式の画像形成装置に限定されない。また、画像形成装置の種類としては、カラープリンタを例に挙げて説明するが、例えば、複写機、ファクシミリ装置、及び複合機等であってもよく、カラープリンタに限定されない。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の全体構成を示す概略断面図である。本発明の実施形態に係る画像形成装置10としては、コンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づき画像形成処理を行うものであって、いわゆるタンデム方式の画像形成装置(カラープリンタ)10を例に挙げて説明する。
この画像形成装置10は、図1に示すように、箱形を呈した装置本体11内に内装された、用紙Pを給紙する給紙部12と、この給紙部12から給紙された用紙Pを搬送しながら、この用紙P上に画像情報に基づくトナー像を形成する画像形成部13と、この画像形成部13で用紙P上に形成された未定着トナー像を用紙Pに定着する定着処理を施す定着部14とが設けられている。さらに、前記装置本体11の上部には、前記定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が形成されている。
装置本体11の上面の適所には、用紙Pに対する出力条件等を入力操作するための図略の操作パネルが設けられている。この操作パネルには、電源キーや出力条件を入力するための各種のキー等が設けられている。
また、装置本体11内には、図1に示す画像形成部13より右側位置に、上下方向に延びた用紙搬送路111が形成されている。用紙搬送路111には、適所に搬送ローラ対112が設けられている。そして、用紙搬送路111は、搬送ローラ対112によって、用紙Pを給紙部12から排紙部15まで搬送し、その搬送中の用紙Pが、画像形成部13の転写部や定着部14を通過するように形成されている。
前記給紙部12は、給紙トレイ121、ピックアップローラ122、及び給紙ローラ対123を備えている。給紙トレイ121は、装置本体11内における画像形成部13より下方位置に挿脱可能に装着され、複数枚の用紙Pが積層された用紙束P1を貯留する。ピックアップローラ122は、給紙トレイ121の、用紙Pの搬送方向上流側で上方位置、具体的には、図1に示す右上方位置に設けられ、給紙トレイ121に貯留された用紙束P1の最上面の用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラ対123は、ピックアップローラ122によって取り出された用紙Pを用紙搬送路111に送り出す。そうすることによって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
また、前記給紙部12は、装置本体11の、図1に示す左側側面に取り付けられる手差しトレイ124、ピックアップローラ125、及び給紙ローラ対126をさらに備えている。手差しトレイ124は、用紙Pを手差し操作で画像形成部13へ向けて供給するためのものである。手差しトレイ124は、装置本体11の側面に収納可能であり、手差しで用紙Pを給紙する際、図1に示すように、装置本体11の側面から引き出されて手差し給紙に供される。ピックアップローラ125は、手差しトレイ124に載置された用紙Pを取り出す。ピックアップローラ125によって取り出された用紙Pは、給紙ローラ対123,126によって用紙搬送路111に送り出す。そうすることによって、前記給紙部12は、画像形成部13へ向けて用紙Pを給紙する。
前記画像形成部13は、所定の画像処理によって給紙部12から給紙された用紙Pにカラー画像等の画像を形成させるものである。画像形成部13は、複数の画像形成ユニット131と、中間転写ベルト(中間転写体)132と、1次転写ローラ133と、2次転写ローラ133とを備えている。
前記画像形成ユニット131としては、本実施形態では、中間転写ベルト132の回転方向上流側から下流側へ(図1に示す左側から右側へ)向けて順次配設された、マゼンタ(M)色の現像剤を用いるマゼンタ用ユニット131M、シアン(C)色の現像剤を用いるシアン用ユニット131C、イエロー(Y)色の現像剤を用いるイエロー用ユニット131Y、及びブラック(K)色の現像剤を用いるブラック用ユニット131Kが備えられている。各ユニット131は、それぞれ像担持体である感光体ドラム135を備え、感光体ドラム135上に画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させ、中間転写ベルト132に1次転写する。なお、画像形成ユニット131の構成については、後述する。
前記中間転写ベルト132は、複数の画像形成ユニット131によって、その周面(接触面)に画像情報に基づくトナー像が転写(1次転写)されるためのものである。すなわち、中間転写ベルト132は、本実施形態においては、感光体ドラム135と1次転写ローラ133とで狭持され、感光体ドラム135からトナー像が転写される周面を有する被転写体である。
また、中間転写ベルト132は、無端状のベルト状回転体であって、その周面側が各感光体ドラム135の周面にそれぞれ当接するように、駆動ローラ136、及び従動ローラ137に架け渡されている。また、中間転写ベルト132は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135と対向する位置に配される各1次転写ローラ133によって各感光体ドラム135に押圧された状態で、駆動ローラ136の回転駆動によって、無端回転するように構成されている。駆動ローラ136は、ステッピングモータ等の駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト132を無端回転させるための駆動力を与える。従動ローラ137は、回転自在に設けられ、駆動ローラ136による中間転写ベルト132の無端回転に伴って従動回転する。
また、中間転写ベルト132は、特には限定されないが、具体的には、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン等の樹脂製のシームレスベルトの表面に、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムのコーティング層を設けたものからなるベルト等が挙げられる。好ましい中間転写ベルト132の一例としては、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)の下地層の上にCR(クロロプレン)ゴム層を設け、その上にPTFE(ポリ4フッ化エチレン)のコーティング層を形成してなるベルトである。なお、コーティング層には、導電性を付与するためにカーボンブラック等の導電性フィラーが添加される場合もある。
1次転写ローラ133は、感光体ドラム135上に形成されたトナー像を、中間転写ベルト132に1次転写するためのものである。すなわち、1次転写ローラ133は、本実施形態においては、中間転写ベルト132を狭持して感光体ドラム135周面上のトナー像を中間転写ベルト132に1次転写させる転写部である。
また、1次転写ローラ133は、中間転写ベルト132を介して各感光体ドラム135と対向する位置に配置される。1次転写ローラ133は、各画像形成ユニット131の感光体ドラム135に対して、それぞれ設けられる。また、1次転写ローラ133は、上述したように、中間転写ベルト132が感光体ドラム135に押圧された状態になるように、中間転写ベルト132に接触している。また、1次転写ローラ133は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、各1次転写ローラ133に、トナーの帯電極性とは逆極性である1次転写バイアス電圧を印加することによって、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム135とそれに対応する各1次転写ローラ133との間で、中間転写ベルト132に1次転写される。これにより、各感光体ドラム135上に形成されたトナー像が、矢符(図1では、反時計回り)方向に周回する中間転写ベルト132に重ね塗り状態で順次1次転写される。
また、1次転写ローラ133は、上記1次転写を施すことができれば、特に限定されないが、本実施形態では、図2に示すように、回転可能に支持された芯金133aと、前記芯金133aを被覆し、中間転写ベルト132と接触する表面部133bと、前記芯金133aに1次転写バイアス電圧を印加する図略の1次転写バイアス電圧印加部とを備える。芯金133aは、本実施形態では、1次転写バイアス電圧が印加される印加部である。なお、図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の画像形成ユニット131の周辺を拡大して示す概略断面図である。
また、1次転写ローラ133は、特に限定されないが、具体的には、例えば、表面部133bが、導電剤を含有した発泡樹脂層で構成されるもの等が挙げられる。より具体的には、例えば、表面部133bが、カーボンブラックを添加した発泡EPDMで構成されるもの等が挙げられる。
また、中間転写ベルト132及び1次転写ローラ133の表面部133bの少なくとも一方の体積抵抗率が、107〜109Ω・cmであることが好ましく、107.5〜109Ω・cmであることが好ましい。すなわち、感光体ドラム135と1次転写ローラ133の芯金133aとの間に、体積抵抗率が107〜109Ω・cmである領域が存在することが好ましく、体積抵抗率が107.5〜109Ω・cmである領域が存在することが好ましい。なお、体積抵抗率は、公知の測定方法により測定でき、一般的な抵抗率測定器によって測定できる。
中間転写ベルト132の体積抵抗率は、含有させる導電性フィラーの量の調整や、ベルトを構成する樹脂の種類によって、調整することができる。また、1次転写ローラ133の表面部133bの体積抵抗率は、含有させる導電剤の量の調整や、発泡樹脂の種類によって、調整することができる。
また、中間転写ベルト132及び1次転写ローラ133の表面部133bの少なくとも一方の体積抵抗率が、上記範囲内であれば好ましいが、1次転写ローラ133の表面部133bの体積抵抗率が、上記範囲内であることが好ましい。すなわち、1次転写ローラ133の、感光体ドラム135の周面と接触する部分である表面部133bの体積抵抗率が、107.5Ω・cm以上であることが好ましい。
中間転写ベルト132及び1次転写ローラ133の表面部133bのいずれの体積抵抗率も低すぎると、画像濃度むらが発生し、長期間にわたって、充分に高画質な画像を形成することができない傾向がある。このことは、画像を形成する際、感光体ドラムと1次転写ローラとによって形成されるニップ部に、トナーが存在する部分としない部分とが存在し、1次転写ローラに1次転写バイアス電圧を印加した場合、感光体ドラムの周面にかかる電圧が周面にわたる均一性が不充分になることによると考えられる。このような状態の感光体ドラムに対して、除電した後に帯電したとしても帯電むらが発生してしまうと考えられる。よって、この発生した帯電むらが原因で、形成された画像に画像濃度むらが発生してしまうと考えられる。
よって、中間転写ベルト132及び1次転写ローラ133の表面部133bの少なくとも一方の体積抵抗率を上記範囲内にすることによって、後述する帯電装置によって印加される帯電バイアス電圧として、感光体ドラム135の表面電位が、感光層の破壊が懸念されないような電位となるような帯電バイアス電圧であったとしても、長期間にわたって、充分に高画質な画像を形成することができる。
このことは、画像を形成する際、感光体ドラムと1次転写ローラとによって形成されるニップ部に、トナーが存在する部分としない部分とが存在しても、1次転写ローラに1次転写バイアス電圧を印加した場合、感光体ドラムの周面にかかる電圧が周面にわたる均一性が充分になることによると考えられる。
なお、上記体積抵抗率の上限値は、特に限定されないが、中間転写ベルト132及び1次転写ローラ133の表面部133bの製造上の観点から、前記体積抵抗率は、上述したように、109Ω・cm以下であることが好ましい。
2次転写ローラ134は、中間転写ベルト132上のトナー像を給紙部12から給紙された用紙Pに転写(2次転写)させるためのものである。すなわち、2次転写ローラ134は、本実施形態においては、中間転写ベルト132の周面に接触してニップ部を形成し、そのニップ部を通過する記録媒体である用紙Pに、中間転写ベルト132の周面上のトナー像を2次転写させる2次転写部である。
また、2次転写ローラ134は、中間転写ベルト132を介して、駆動ローラ136と対向する位置に配置される。また、2次転写ローラ134は、中間転写ベルト132に接触したまま、中間転写ベルト132の無端回転に従属して回転する。その際、2次転写ローラ134に、トナーの帯電極性とは逆極性である2次転写バイアス電圧を印加することによって、中間転写ベルト132上に1次転写されたトナー像が、2次転写ローラ134と駆動ローラ136との間で、給紙部12から給紙された用紙Pに2次転写される。これにより、用紙P上に、画像情報に基づくトナー像が未定着の状態で転写される。
また、前記画像形成部13には、中間転写ベルト132の、2次転写位置より回転方向下流側で、1次転写位置より回転方向上流側の位置に、ベルトクリーニング装置138をさらに備えている。ベルトクリーニング装置138は、2次転写後、中間転写ベルト132の周面上に残存したトナーを除去して清浄化するためのものである。ベルトクリーニング装置138によって清浄化処理された中間転写ベルト132の周面は、新たな1次転写処理のために1次転写位置へ向かう。ベルトクリーニング装置138によって除去された廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
前記定着部14は、画像形成部13で転写された用紙P上のトナー像に対し定着処理を施すものである。定着部14は、内部に加熱源である通電発熱体を備えた加熱ローラ141と、加熱ローラ141と配向配置された定着ローラ142と、定着ローラ142と加熱ローラ141との間に張架された定着ベルト143と、定着ベルト143を介して定着ローラ142と対向配置された加圧ローラ144とを備えている。
定着部14へ供給された用紙Pは、定着ベルト143と加圧ローラ144との間に形成される定着ニップ部を通過することで、加熱加圧される。これにより、前記画像形成部13で用紙Pに転写されたトナー像は、用紙Pに定着される。定着処理の完了した用紙Pは、定着部14の上部から延設された用紙搬送路111を経由して、装置本体11の頂部に設けられた排紙部15の排紙トレイ151へ向けて排紙される。
前記排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって、形成され、この凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
次に、画像形成ユニット131について説明する。
画像形成ユニット131は、中央位置に像担持体としての感光体ドラム135が矢符(図2では時計回り)方向に回転可能に配置されている。そして、感光体ドラム135の周囲には、前記1次転写ローラ133による転写(1次転写)される位置を、感光体ドラム135の回転方向の最も上流側とした場合に、そこから下流側に向かって順に、除電される位置、クリーニングされる位置、帯電される位置、露光される位置、現像される位置となるように、除電装置24、クリーニング装置25、帯電装置21、露光装置22、現像装置23が各々配置されている。
前記感光体ドラム135は、後述する、帯電処理、露光処理、現像処理除電処理、及びクリーニング処理によって、その周面上に、画像情報に基づいて各色に対応するトナー像を形成させるためのものである。感光体ドラム135としては、後述する正帯電単層型電子写真感光体を用いる。
前記帯電装置21は、矢符方向に回転されている感光体ドラム135の周面を帯電させるためのものである。帯電装置21としては、接触帯電方式による帯電装置を用いる。そうすることによって、接触帯電方式による帯電装置は、像担持体の周面と接触した状態で像担持体の周面を帯電させるので、非接触帯電方式による帯電装置と比較して、オゾンの発生を抑制できると考えられる。
また、帯電装置21は、接触帯電方式による帯電装置であれば、特に限定されないが、本実施形態では、感光体ドラム135の周面に接触する帯電ローラ211と、前記帯電ローラ211に付着したトナーを除去するための帯電クリーニングブラシ212とを備える。
帯電ローラ211は、感光体ドラム135の周面に接触した状態のまま、感光体ドラム135の周面を帯電させるための帯電部材である。また、帯電ローラ211としては、特に限定されないが、本実施形態では、図2に示すように、回転可能に支持された芯金211aと、前記芯金211aを被覆し、感光体ドラム135と接触する表面部211bと、前記芯金211aに帯電バイアス電圧を印加する図略の帯電バイアス電圧印加部とを備える。帯電ローラ211は、感光体ドラム135と接触したまま、感光体ドラム135の回転に従動して回転する。その際、帯電ローラ211の芯金211aに帯電バイアス電圧を印加することによって、感光体ドラム135の周面を帯電させる。
また、表面部211b、すなわち、帯電ローラ211の、感光体ドラム135の周面と接触する部分としては、そのゴム硬度がアスカーC硬度で62〜81°であるものが好ましく、65〜75°であるものがより好ましい。表面部211bが軟らかすぎると、接触帯電方式による帯電装置の帯電ローラとして機能できる程度の均一帯電性が得られなくなる傾向がある。また、表面部211bが硬すぎると、帯電むらを抑制することができない傾向がある。よって、表面部211bが、上記のような硬さのものであると、長期間にわたって、より高画質な画像を形成することができ、さらに、感光体ドラム135の損傷を抑制することができる。なお、ゴム硬度は、公知の方法によって測定することができ、具体的には、例えば、後述の実施例において示したような方法を用いて測定することができる。
このことは、まず、感光体ドラム135と接触する部分が、アスカーC硬度で62〜81°と比較的軟らかく、感光体ドラム135の損傷を抑制することができることによると考えられる。次に、感光体ドラム135と接触する部分が、比較的軟らかいことにより、帯電ローラ211の周面と感光体ドラム135の周面とが近接して、帯電ローラ211と感光体ドラム135周面との間で放電できる領域、すなわち感光体ドラム135周面の帯電に寄与する領域が広くなることによると考えられる。このことにより、感光体ドラム135の周面を好適に帯電させることができると考えられる。
また、表面部211bの層厚は、特に限定されないが、具体的には、例えば、1〜3mmであることが好ましい。
また、表面部211bを構成する材料としては、帯電ローラの表面部を構成できるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム(NBR)、及びクロロプレン(CR)ゴム等のゴムに、炭素等の導電材を添加したもの等が挙げられる。この中でも、耐オゾン性、低温特性、導電均一性(場所による抵抗の差が少ない)の観点から、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)等に、炭素等の導電材を添加したものが好ましい。
また、本実施形態では、帯電ローラ211の表面粗さが、断面曲線凹凸の平均間隔(Sm)で55〜130μmであり、かつ十点平均粗さ(Rz)で9〜19μmであることが好ましい。このような構成によれば、帯電むらが充分に抑制でき、さらに、感光層の膜削れの発生も抑制できる。なお、断面曲線凹凸の平均間隔(Sm)および十点平均粗さ(Rz)は、公知の方法によって測定することができ、具体的には、例えば後述の実施例において示したような方法を用いて測定することができる。
また、帯電装置21は、感光体ドラム135の表面電位が510〜600Vになるように帯電させることが好ましい。表面電位が低すぎると、表面電位のわずかな変化である帯電むらが顕著となり、かぶり等が発生する傾向がある。よって、上記のように帯電させることによって、より高画質な画像を形成することができる。このことは、感光体ドラム135の感光層が破壊されない範囲であれば、上記範囲のように、表面電位が充分に高いものになるように感光体ドラム135の周面を帯電させることによって、帯電むらの発生を抑制できることによると考えられる。また、本実施形態では、像担持体として、後述するような正帯電単層型電子写真感光体のような有機感光体を用いているので、その感光層が破壊されないように、前記表面電位が600V以下になるように帯電させることが好ましい。
また、帯電装置21の帯電バイアス電圧印加部によって印加される帯電バイアス電圧は、1000V以上であることが好ましい。帯電バイアス電圧が低すぎると、感光体ドラム135の表面電位が低くなりすぎ、表面電位のわずかな変化である帯電むらが顕著となり、かぶり等が発生する傾向がある。よって、上記のような帯電バイアス電圧を印加することによって、より高画質な画像を形成することができる。このことは、感光体ドラム135の感光層が破壊されない範囲であれば、上記範囲のように、表面電位が充分に高いものになるように感光体ドラム135の周面を帯電させることによって、帯電むらの発生を抑制できることによると考えられる。
また、前記帯電バイアス電圧は、直流電圧のみであることが好ましい。そうすることによって、後述の正帯電単層型電子写真感光体を用いても、感光層の摩耗量をより少なくすることができる。具体的には、交流電圧や、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を、帯電ローラに印加した場合より、前記帯電ローラに直流電圧のみを印加した場合のほうが、感光層の摩耗量を少なくすることができる。
また、交流電圧を印加すると、帯電による像担持体の表面(周面)の電位を均一化することができる傾向があるが、本実施形態に係る画像形成装置では、非接触帯電方式ではなく、接触帯電方式の帯電装置を用いているので、直流電圧のみを印加しても、均一に帯電できると考えられる。
よって、前記帯電ローラに直流電圧のみを印加することによって、好適な画像を形成することができ、さらに、感光層の摩耗量を低減させることができると考えられる。
前記露光装置22は、帯電装置21によって周面が帯電された感光体ドラム135の周面に、画像情報に基づくレーザ光を照射し、感光体ドラム135の周面上に画像情報に基づく静電潜像を形成させるためのものである。露光装置22としては、例えば、LEDヘッドユニットやレーザ走査ユニット(LSU)等が挙げられる。
前記現像装置23は、感光体ドラム135の周面上に形成された静電潜像をトナー像に現像するためのものである。現像装置23については、図2及び図3を参照して説明する。なお、図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10に備えられる現像装置23による現像を説明するための概念図であって、感光体ドラム135、現像ローラ231、磁気ローラ232及び穂切りブレード235の位置関係は、図2とは異なる。
現像装置23は、現像ローラ231、磁気ローラ232、パドルミキサ233、攪拌ミキサ234、穂切りブレード235、トナー供給バイアス電圧印加部236、及び現像バイアス電圧印加部237を備える。
現像ローラ231は、感光体ドラム135と磁気ローラ232とのそれぞれと対向し、それらの対向した周面同士が近接した状態で離間して配置される。すなわち、現像ローラ231と感光体ドラム135とが、それぞれの周面が近接した状態で離間して配置されている。また、現像ローラ231と磁気ローラ232とも、それぞれの周面が近接した状態で離間して配置されている。
磁気ローラ232は、内部に配置された磁石によって、その周面にトナーを含む2成分現像剤を担持させ、その状態で回転させることによって、現像ローラ231の近傍まで搬送する。そうすることによって、磁気ローラ232は、2成分現像剤のトナーを現像ローラ231に供給する。
そして、現像ローラ231は、その周面に、磁気ローラ232からトナーが供給されたトナーを担持させ、その状態で回転させることによって、感光体ドラム135の近傍まで搬送する。そうすることによって、感光体ドラム135の周面に予め形成された静電潜像をトナー像として顕像化(現像)する。
パドルミキサ233及び攪拌ミキサ234は、らせん状羽根を有して互いに逆方向に2成分現像剤を搬送しながら攪拌することによって、2成分現像剤に含まれるトナーを帯電させる。さらに、パドルミキサ233は、帯電させたトナーを含む2成分現像剤を磁気ローラ232に供給する。
穂切りブレード235は、その一先端が磁気ローラ232の周面に対向して配置され、磁気ローラ232上に担持された2成分現像剤の厚みを規制するものである。
トナー供給バイアス電圧印加部236は、トナー供給バイアス電圧を磁気ローラ232に印加するためのものである。トナー供給バイアス電圧を印加することによって、磁気ローラ232によって、現像ローラ231の近傍まで搬送された2成分現像剤のトナーを現像ローラ231に飛翔させる。
また、現像バイアス電圧印加部237は、現像バイアス電圧を現像ローラ231に印加するためのものである。現像バイアス電圧を印加することによって、現像ローラ231によって、感光体ドラム135の近傍まで搬送されたトナーを感光体ドラム135に飛翔させる。
具体的には、以下のようにして現像する。
パドルミキサ233及び攪拌ミキサ234で帯電されたトナー301とキャリア302とを含む2成分現像剤303は、磁気ローラ232に供給される。磁気ローラ232に供給された2成分現像剤303は、磁気ローラ232によって、現像ローラ231に向かって搬送される。磁気ローラ232によって搬送されている2成分現像剤303は、現像ローラ231の近傍までに搬送されるまでに、穂切りブレード235と磁気ローラ232との間を通過し、そうすることによって、その厚さが規制される。そして、トナー供給バイアス電圧印加部236によって印加されたトナー供給バイアス電圧によって、現像ローラ231と磁気ローラ232との間には、電位差が発生している。よって、厚さが規制された2成分現像剤303は、現像ローラ231の近傍まで移動すると、この電位差によって、帯電されたトナー301のみが現像ローラ231に移動する。現像ローラ231に移動されたトナー301は、均一なトナー層となる。
なお、2成分現像剤303としては、例えば、トナー301とキャリア302とを含むものが用いられる。トナー301は、例えば、結着樹脂、着色剤、及び離型剤等を含むトナー粒子と、そのトナー粒子に外添される外添剤とを含んで構成されるもの等が挙げられる。このトナー301としては、いわゆる非磁性トナーと呼ばれるものが好ましく用いられる。キャリア302は、フェライト等からなる磁性粒子であり、トナー301を帯電させるためのものである。キャリア302は、予め所定量が現像装置23内に充填されており、トナー301は、図略のトナーカートリッジから現像装置23に適宜補給される。
そして、感光体ドラム135と現像ローラ231との間にも、現像バイアス電圧印加部237によって、電位差が発生している。よって、現像ローラ231上のトナーが、感光体ドラム135の近傍まで移動すると、この電位差によって、トナー301が飛翔し、感光体ドラム135の周面上に形成された静電潜像の画像部に付着する、いわゆる非磁性非接触現像が行われる。このようにして現像装置23は、静電潜像に基づく現像を行うことができる。
また、現像バイアス電圧印加部237は、交流電圧を印加する交流電源を備えている。すなわち、現像バイアス電圧印加部237によって印加される現像バイアス電圧としては、交流成分が含まれている。そして、その交流成分の周波数が、2.6〜4.2kHzである。そうすることによって、長期間にわたって、充分に高画質な画像を形成することができる。すなわち、接触帯電方式の帯電装置を用いても、長期間にわたって、充分に高画質な画像を形成することができる。
このことは、以下のことによると考えられる。
まず、この周波数が高いと、トナーが現像ローラへ移行する方向にかかる力の大きさの変動が大きくなり、トナーが現像ローラへ移行する方向にかかる力が大きいときに、静電潜像の画像部にトナーを付着させ、トナーが現像ローラへ移行する方向にかかる力が小さいときに、静電潜像の画像部に付着したトナーを残存させつつ、静電潜像の非画像部に付着してしまったトナーを剥がすと考えられる。すなわち、静電潜像の画像部には、トナーが付着し、静電潜像の非画像部には、トナーが付着しないという、画像の再現性が高まり、ドット再現性が高まると考えられる。このことから、前記周波数が高すぎると、帯電むらも忠実に再現してしまう傾向があると考えられる。
また、前記周波数が低いと、上記のようなドット再現性が低下し、帯電むらをも再現してしまうことは抑制されるものの、静電潜像の画像部へのトナーの移行する力も低下し、現像性が低下する傾向があると考えられる。このことから、前記周波数が低すぎると、充分な画像濃度を達成することができない傾向があると考えられる。
これらのことから、前記周波数を上記範囲内にすることによって、長期間にわたって画像形成を行っても、帯電むらによる画像濃度むらの発生を抑制しつつ、画像再現性の高い高画質な画像を形成することができると考えられる。
また、前記帯電装置21は、前記周波数との関係で、感光体ドラム135の表面電位が適切な電位となるように帯電させることが好ましい。具体的には、下記式(I)を満たすように帯電させることが好ましく、下記式(II)を満たすように帯電させることがより好ましい。
75X+240 ≦ Y ≦ 600 (I)
75X+300 ≦ Y ≦ 600 (II)
式(I)及び式(II)中、Xは、後述する、現像バイアス電圧の交流成分の周波数(kHz)を示し、Yは、感光体ドラムの表面電位(V)を示す。なお、Xは、上述したように、2.6〜4.2kHzである。
そうすることによって、長期間にわたって、より高画質な画像を形成することができ、さらに、前記像担持体の損傷をより抑制することができる。
このことは、以下のように考えられる。
まず、前記周波数が2.6〜4.2kHzの範囲内であって、比較的低いと、感光体ドラムの表面電位を、感光体ドラムの感光層の破壊を抑制できる範囲である600V以下としても、画像の再現性を確保しつつ、帯電むらの発生を抑制できると考えられる。
これに対して、前記周波数が高いと、画像の再現性が高まり、ドット再現性が高まるものの、帯電むらをも忠実に再現してしまう傾向がある。このような周波数の場合は、感光体ドラムの表面電位を、感光体ドラムの感光層の破壊を抑制できる範囲である600V以下の範囲内で、比較的高くすることによって、帯電むらの発生を抑制できると考えられる。上記式(I)、好ましくは上記式(II)を満たせば、上記の関係、すなわち、画像の再現性を確保しつつ、帯電むらの発生を抑制できる関係を満たすことができると考えられる。
よって、長期間にわたって、より高画質な画像を形成することができ、さらに、前記像担持体の損傷をより抑制することができる。
また、前記周波数が、2.8〜3.6kHzであり、前記帯電装置21が、前記像担持体の表面電位が510〜600Vになるように帯電させることが好ましく、前記周波数が、2.8〜3.2kHzであり、前記帯電装置21が、前記像担持体の表面電位が540〜600Vになるように帯電させることがより好ましい。
そうすることによって、長期間にわたって、より高画質な画像を形成することができ、さらに、前記像担持体の損傷をより抑制することができる。
このことは、以下のように考えられる。
まず、前記周波数を、例えば、3.6kHz以下にし、前記像担持体の表面電位が510〜600Vになるように帯電させることによって、像担持体の感光層の破壊を抑制しつつ、像担持体の表面電位が充分に高いものになるように帯電されているので、帯電むらの発生をより抑制できると考えられる。
さらに、前記周波数を、例えば、2.8kHz以上にすることによって、帯電むらの発生を抑制しつつ、画像の再現性を高め、ドット再現性を高めることができると考えられる。
よって、長期間にわたって、より高画質な画像を形成することができ、さらに、前記像担持体の損傷をより抑制することができる。
また、現像バイアス電圧印加部237は、直流電圧を印加する直流電源をさらに備えていてもよい。すなわち、現像バイアス電圧印加部237によって印加される現像バイアス電圧としては、直流成分に交流成分が重畳された重畳電圧であってもよい。
また、現像バイアス電圧印加部237によって印加される現像バイアス電圧としては、以下のような電圧が好ましい。直流電源によって印加される直流電圧(現像バイアス電圧の直流成分の電圧:Vdc)は、感光体ドラムと現像ローラとの回転速度差(周速比)等によっても異なるが、300V以下であることが好ましい。このような電圧に設定すると、中間転写ベルトに転写されずに感光体ドラム上に残ったトナーを除去しやすく、履歴現象が発生しにくくなり、さらに、トナーに強い電界をかけることを防止する点でも好ましい。また、交流電源によって印加される交流電圧のピークトウピーク値(現像バイアス電圧の交流成分のピークトウピーク値:Vpp)は、1.3〜1.6kVであることが好ましい。
また、トナー供給バイアス電圧印加部236は、交流電圧を印加する交流電源と直流電圧を印加する直流電源とを備えている。すなわち、トナー供給バイアス電圧印加部236によって印加されるトナー供給バイアス電圧としては、直流成分に交流成分が重畳された重畳電圧である。
また、トナー供給バイアス電圧印加部236によって印加されるトナー供給バイアス電圧としては、以下のような電圧が好ましい。直流電源によって印加される直流電圧(トナー供給バイアス電圧の直流成分の電圧:Vdc)は、磁気ローラと現像ローラとの回転速度差(周速比)等によっても異なるが、600V以下であることが好ましい。この直流電圧が低すぎると、現像ローラ上に形成されるトナーの薄層が薄くなる傾向があり、高すぎると、トナーの層が厚くなりすぎる傾向がある。また、交流電源によって印加される交流電圧のピークトウピーク値(トナー供給バイアス電圧の交流成分のピークトウピーク値:Vpp)は、0.5〜0.7kVであることが好ましい。
前記除電装置24は、1次転写ローラ133によって、感光体ドラム135周面上のトナーを中間転写ベルト132に転写(1次転写)させた後、感光体ドラム135の周面上に残存したトナーを除電させるためのものである。前記除電装置24は、除電ランプ241を備え、そのランプを点灯させることによって、感光体ドラム135の周面上に残存したトナーを除電する。なお、感光体ドラム135の周面は、帯電されているので、除電することによって、後述するクリーニング装置25によって、感光体ドラム135の周面上に残存したトナーを好適に除去することができる。
前記クリーニング装置25は、感光体ドラム135の周面上に残存したトナーを除去して清浄化するためのものである。クリーニング装置25によって清浄化処理された感光体ドラム135の周面は、新たな画像形成処理のために帯電位置へ向かう。クリーニング装置25によって除去された廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収され、貯留される。
本実施形態に係る画像形成装置は、このような構成によって、長期間にわたって、充分に高画質な画像を形成することができ、さらに、オゾンの発生を充分に抑制できる。
また、本実施形態において感光体ドラム135として用いられる正帯電単層型電子写真感光体(以下、単に「感光体」や「単層型感光体」ともいう。)は、上述したような接触帯電方式の帯電装置を備えた画像形成装置に好適に適用されるものであれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、例えば、導電性基体と感光層とを備え、前記感光層が、電荷発生剤、電荷輸送剤、及び結着樹脂が同一層に含有される層であって、前記結着樹脂の降伏点歪みが9〜29%である感光体が好適に用いられる。また、感光層の降伏点歪みが5〜25%である感光体がより好ましい。このような感光体を用いることによって、感光体ドラムの感光層への負荷が大きくなる傾向がある接触帯電方式の帯電装置を備えた画像形成装置であっても、感光層の摩耗が抑制され、長期間にわたって、より高画質な画像を形成することができ、さらに耐久性の高い画像形成装置が得られる。
ここで、降伏点歪みについて説明する。サンプル材料の両端を2個のチャックで固定し、一方のチャックを一定速度で移動させることでサンプルを伸張させる。そのときの応力を検出する。その際、応力と歪みの関係を曲線で示した場合、歪みと応力とは、本来、比例関係にあるが、歪みが大きくなるにつれて粘性成分による緩和が生じ、応力の極大値をとる。この点を降伏点とする。そして、降伏点歪みとは、降伏点におけるサンプルの歪みの程度をあらわす値である。この降伏点歪みは、本実施形態においては公知の方法によって測定され得、例えば、後述の実施例において示すような粘弾性測定装置などを用いて測定することができる。
また、単層型感光体135の構成としては、具体的には、例えば、図4に示すような、導電性基体401と感光層402とを備えていればよく、感光層及び導電性基体以外の層をさらに備えていてもよい。また、図4(a)に示すように、前記導電性基体401上に前記感光層402を直接備えていてもよいし、図4(b)に示すように、前記導電性基体401と前記感光層402との間に中間層403を備えていてもよい。また、図4(a)や図4(b)に示すように、前記感光層402が最外層となって露出していてもよいし、図4(c)に示すように、前記感光層402上に保護層404を備えていてもよい。
また、前記単層型感光体135としては、上述したように、特に限定されないが、図4(b)に示すような、前記導電性基体401と前記感光層402との間に中間層403を備え、その中間層40が、前記導電性基体401の抵抗値よりも高い抵抗値を有する高抵抗層であるものが好ましい。そうすることによって、感光体が耐久により薄膜化した場合に起こりうる帯電装置の帯電ローラからのリークの発生を抑制することができる。
前記高抵抗層としては、前記導電性基体401の抵抗値よりも高い抵抗値を有し、前記リークの発生を抑制できるものであれば、特に限定されないが、例えば、アルマイト層、ヨウ化アルミニウム層、酸化スズ層、酸化インジウム層、及び酸化チタン層等が挙げられる。
前記高抵抗層の層厚としては、前記高抵抗層の材質等によっても異なるが、例えば、1〜3μmであることが好ましい。
前記高抵抗層の作成方法としては、前記導電性基体上に前記高抵抗層を形成することができれば、特に限定されない。具体的には、例えば、導電性基体がアルミニウム素管で、高抵抗層がアルマイト層である場合、アルミニウム素管に陽極酸化処理を施す方法等が挙げられる。より具体的には、例えば、硫酸水溶液等を電解液として用いた陽極酸化処理等が挙げられる。その際、処理時間としては、例えば、0.5〜300分間程度であることが好ましい。また、電解液として硫酸水溶液を用いる場合、その濃度としては、例えば、0.1〜80質量%程度であることが好ましい。また、陽極酸化処理時の化成電圧としては、例えば、10〜200V程度であることが好ましい。
以下に、本実施形態における正帯電単層型電子写真感光体の導電性基体および感光層について詳述する。
[導電性基体]
前記導電性基体は、電子写真感光体の導電性基体として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、導電性を有する材料で少なくとも表面部が構成されるもの等が挙げられる。すなわち、具体的には、例えば、導電性を有する材料からなるものであってもよいし、プラスチック材料等の表面を、導電性を有する材料で被覆されたものであってもよい。また、導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドニウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等が挙げられる。また、導電性を有する材料としては、前記導電性を有する材料を1種で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて、例えば、合金等として用いてもよい。また、前記導電性基体としては、上記の中でも、アルミニウム又はアルミニウム合金からなることが好ましい。そうすることによって、より好適な画像を形成することができる感光体を提供することができる。このことは、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることによると考えられる。
また、前記導電性基体の形状は、特に限定されない。具体的には、例えば、シート状であっても、ドラム状であってもよい。すなわち、適用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状であっても、ドラム状であってもよく、特に限定されない。
[感光層]
本実施形態で用いられる感光層は、単層型の電子写真感光体の感光層として用いることができるものであり、この感光層には、上述したように、電荷発生剤、電荷輸送剤、及び結着樹脂が含有されている。また、感光層の層構造としては、具体的には、例えば、上述したような、図4に示す感光層の構造等が挙げられる。
また、前記感光層に含有される、電荷発生剤、電荷輸送剤、及び結着樹脂等は、特に限定されないが、例えば、以下に示すものを用いることができる。
(電荷発生剤)
電荷発生剤としては、単層型の電子写真感光体の電荷発生剤として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、下記式(1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)、下記式(2)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(Y−TiOPc)、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコン等の無機光導電材料の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられる。
また、前記電荷発生剤は、所望の領域に吸収波長を有するように、前記各電荷発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、前記各電荷発生剤のうち、特に半導体レーザ等の光源を使用したレーザビームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば、無金属フタロシアニンやオキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料が好適に用いられる。なお、上記フタロシアニン系顔料の結晶形については特に限定されず、種々のものが使用される。また、ハロゲンランプ等の白色の光源を使用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば、ペリレン顔料やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
(電荷輸送剤)
電荷輸送剤としては、単層型の電子写真感光体の感光層に含まれる電荷輸送剤として用いることができるものであれば、特に限定されない。また、電荷輸送剤としては、一般的に、正孔輸送剤と電子輸送剤とが挙げられる。
前記正孔輸送剤としては、単層型の電子写真感光体の感光層に含まれる正孔輸送剤として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ベンジジン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等が挙げられる。より具体的には、例えば、下記式(3)〜(11)で表される化合物等が挙げられる。また、上記例示した化合物の中でも、トリフェニルアミン系化合物が好ましく、下記式(5)で表されるトリフェニルアミン系化合物がより好ましい。
また、前記正孔輸送剤としては、前記例示した各正孔輸送剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記電子輸送剤としては、単層型の電子写真感光体の感光層に含まれる電子輸送剤として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ナフトキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、アントラキノン誘導体、アゾキノン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体等のキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等が挙げられる。より具体的には、例えば、下記式(12)〜(14)で表される化合物等が挙げられる。また、上記例示した化合物の中でも、キノン誘導体が好ましく、下記式(13)で表されるキノン誘導体がより好ましい。
また、前記電子輸送剤としては、前記例示した各電子輸送剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、単層型の電子写真感光体の結着樹脂として用いることができるものであれば、特に限定されない。好ましくは、上述したように、降伏点歪みが9〜29%である結着樹脂を用いる。降伏点歪みがこの範囲内である結着樹脂を用いれば、感光体の膜削れはより抑制される。降伏点歪みが小さすぎる場合、感光体の膜は削れやすくなる傾向がある。また、降伏点歪みが大きすぎる場合、付着物による画像の不具合などが生じる傾向がある。なお、この結着樹脂の降伏点歪みが9〜29%の範囲であれば、感光体表層の降伏点歪みは5〜25%程度の範囲となると考えられる。よって、感光体表層の降伏点歪みがその範囲となるように感光体を調製することによっても前記効果を得ることができると考えられるが、結着樹脂の降伏点歪みを上記範囲に調節する方が簡易であるため好ましい。
降伏点歪みが9〜29%である結着樹脂としては、降伏点歪みが前記範囲内であればどのような樹脂を用いてもよいが、例えば、降伏点歪みが前記範囲である、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリアリレート樹脂等の樹脂を用いることができる。この中でも、正孔輸送剤や電子輸送剤との相溶性が良好な点等からポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、下記式(15)〜(17)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂が挙げられる。
式(17)中、「50」という数字は、共重合比50%で共重合されていることを示す。具体的には、式(17)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート樹脂は、式(15)で表される繰り返し単位と式(16)で表される繰り返し単位とが、共重合比50%で共重合されている樹脂である。
また、ポリカーボネート樹脂における繰り返し単位数は、特に限定されないが、降伏点歪みが9〜29%となるような繰り返し単位数であることが好ましい。
また、前記ポリカーボネート樹脂を結着樹脂として用いる場合、その粘度平均分子量が30000以上であることが好ましく、40000〜80000であることがより好ましく、45000〜75000であることがさらに好ましい。前記ポリカーボネート樹脂の数平均分子量が低すぎると、前記ポリカーボネート樹脂の耐摩耗性を高めるという効果を充分に発揮できず、感光層が摩耗しやすくなる傾向がある。また、前記ポリカーボネート樹脂の数平均分子量が高すぎると、溶剤に溶解しにくくなって、感光層を形成するための塗布液等を調製しにくくなる等、好適な感光層を形成することが困難になり、付着物による画像不具合が生じる傾向がある。
また、前記結着樹脂としては、前記ポリカーボネート樹脂からなることが好ましいが、前記ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を含有していてもよい。前記ポリカーボネート樹脂以外の樹脂としては、感光層の結着樹脂として用いられるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシアクリレート樹脂、ウレタン−アクリレート共重合樹脂等の光硬化性樹脂等が挙げられる。
(添加剤)
前記感光体には、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、前記電荷発生剤、前記電荷輸送剤、及び結着樹脂以外の各種添加剤を含有してもよい。前記添加剤としては、具体的には、例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、界面活性剤、及びレベリング剤等が挙げられる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
[単層型感光体の製造方法]
次に、単層型感光体の製造方法について説明する。
前記単層型感光体は、前記電荷発生剤、前記電荷輸送剤、前記結着樹脂、及び必要に応じて各種添加剤等を溶剤に溶解又は分散させた塗布液を、塗布等によって、前記導電性基体上に塗布し、乾燥することによって、製造することができる。前記塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、ディップコート法等が挙げられる。また、前記乾燥方法としては、例えば、80〜150℃で15〜120分間の条件で熱風乾燥する方法等が挙げられる。
前記単層型感光体において、前記電荷発生剤、前記電荷輸送剤、及び前記結着樹脂の各含有量は、適宜選定され、特に限定されない。具体的には、例えば、前記電荷発生剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.5〜30質量部であることがより好ましい。また、前記電子輸送剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、5〜100質量部であることが好ましく、10〜80質量部であることがより好ましい。また、前記正孔輸送剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、5〜500質量部であることが好ましく、25〜200質量部であることがより好ましい。さらに、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量、すなわち、前記電荷輸送剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、20〜500質量部であることが好ましく、30〜200質量部であることがより好ましい。また、前記感光層に電子受容性化合物を含有させる場合は、前記電子受容性化合物の含有量が結着樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。
また、前記単層型感光体の感光層の厚さは、感光層として充分に作用することができれば、特に限定されない。具体的には、例えば、5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることが好ましい。
また、前記塗布液に含有される溶剤としては、前記各成分を溶解又は分散させることができれば、特に限定されない。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は、前記例示した溶剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置10によれば、帯電むらによる画像濃度むらの発生を抑制し、ドット再現性等の画像再現性に優れた画像を形成することができる。よって、長期間にわたって、充分に高画質な画像を形成することができ、さらに、オゾンの発生を充分に抑制できる。
本発明は、上記で説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下の内容をも包含するものである。
上記の実施形態においては、画像形成装置の一例としてカラープリンタを例示した。これに代えて、画像形成装置としては、複写機、ファクシミリ装置、或いはこれらが複合された複合機であってもよい。
また、上記の実施形態においては、画像形成装置の一例として、複数色の画像形成ユニットを並設させ、画像形成ユニットで形成されたトナー像を中間転写ベルトに1次転写させた後に、その転写されたトナー像を、用紙等の記録媒体に2次転写する、いわゆるタンデム方式の画像形成装置を例示した。これに代えて、画像形成ユニットで形成されたトナー像を用紙等の記録媒体に直接転写する方式の画像形成装置であってもよい。
[検討例]
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、現像バイアス電圧の条件、具体的には、現像バイアス電圧の交流成分の周波数について検討した結果について説明する。
まず、カラープリンタ(京セラミタ株式会社製のFS−C5300DN)に備えられている像担持体と帯電装置の代わりに、以下の正帯電単層型電子写真感光体と接触帯電方式による帯電装置に代えた画像形成装置を用いた。
(正帯電単層型電子写真感光体)
電荷発生剤として、上記式(1)で表されるX型無金属フタロシアニン(x−H2Pc)を5質量部と、正孔輸送剤として、上記式(5)で表されるトリフェニルアミン系化合物を50質量部と、電子輸送剤として、下記式(13)で表されるキノン誘導体を35質量部と、結着樹脂として、下記式(15)で表されるポリカーボネート樹脂(降伏点歪み29%、粘度平均分子量75000)を100重量部とを、テトラヒドロフラン800重量部とともにボールミルにて50時間混合分散させた。そうすることによって、感光層形成用塗布液が得られた。
得られた塗布液を、アルマイト素管からなる導電性基体の上に、ディップコート法にて塗布し、その後、100℃で40分間熱風乾燥させた。そうすることによって、感光層の膜厚25μmの感光体(直径30mm)が得られた。得られた感光体の感光層の降伏点歪み23%であった。
なお、感光層および結着樹脂の降伏点歪みを、粘弾性測定装置(TA Instruments社製、「DMA−Q800」)を用いて、下記評価条件で測定した。
・初期荷重:1N
・測定温度:30℃
・歪み速度:0.5%/分
(サンプリング間隔:毎2秒)
(接触帯電方式による帯電装置)
以下に示す帯電ローラを備えた、接触帯電方式による帯電装置を用いた。
帯電ローラとしては、表面部(ゴム層)が、エピクロルヒドリンゴムを主成分とするゴムで構成される帯電ローラ(東海ゴム工業株式会社製の帯電ローラ、表面部のゴム硬度がアスカーC硬度で71°、十点平均粗さ(Rz)10μm、断面曲線凹凸の平均間隔(Sm)90μm、ゴム層の厚み2mm)を用いた。
なお、帯電ローラの表面部のゴム硬度は、アスカーC硬度であって、具体的には、高分子計器株式会社製のアスカーCゴム硬度計を、高分子計器株式会社製の定圧荷重器により帯電ローラに直接押圧することによって、測定した値である。
また、断面曲線凹凸の平均間隔(Sm)および十点平均粗さ(Rz)は、それぞれ、JIS B 0601−1994の規格に準拠の測定方法により測定することができる。具体的には、株式会社東京精密製のSURFCOM 1500DXを用いて測定した値である。
上記の画像形成装置を用い、前記帯電装置を用いて、像担持体の表面電位が表1に示す電位となるように帯電させ、さらに、現像バイアス電圧の交流成分の周波数が表1に示す周波数となるように設定して、ドットとベタ画像とを含む画像を形成させた。その際、現像バイアス電圧の直流成分の電圧Vdcを、420Vに設定し、現像バイアス電圧の交流成分のピークトウピーク値Vppを、1400kVに設定した。
その際、得られた画像を、以下のように評価した。
(ドット再現性)
形成された画像のドット部分を目視で確認した。
そして、そのドット部分の形状、すなわち、ドット形状が均一なものとして確認できた場合には、「○」と評価し、ドット部分が再現されているが、得られたドット形状に不均一な部分が確認された場合には、「△」と評価し、ドット部分が再現されていない部分、すなわち、静電潜像にトナーが乗らないことに基づくと考えられる欠損部が確認できた場合には、「×」と評価した。
(画像濃度むら)
形成された画像のベタ画像の部分にむらが発生しているか否かを目視で確認した。そして、2色以上の混色によりベタ画像を形成した場合であっても、得られた画像にむらが確認できなかった場合には、「○」と評価し、1色によりベタ画像を形成した場合には、得られた画像にむらが確認できないが、2色以上の混色によりベタ画像を形成した場合には、得られた画像にむらが確認できた場合には、「△」と評価し、1色によりベタ画像を形成した場合あっても、得られた画像にむらが確認できた場合には、「×」と評価した。
(感光体破壊)
上記の画像形成装置を用い、温度32.5℃、相対湿度80%RHの環境下で、ハーフ画像を形成させた。そして、この環境下で、ハーフ画像を1000枚印刷した後に印刷される画像を用いて評価した。具体的には、得られた画像に、感光体ドラムの感光層の破壊に起因すると思われる黒点や白点が形成されているか否かを目視で確認した。そして、黒点も白点も確認されなければ、「○」と評価し、黒点及び白点の少なくともいずれかが確認されれば、「×」と評価した。
(総合評価)
上記ドット再現性、上記画像濃度むら、及び上記感光体破壊の評価が、全て「○」であれば、「○」と評価した。また、上記ドット再現性、上記画像濃度むら、及び上記感光体破壊の評価のいずれかが「×」であれば、「×」と評価した。また、上記ドット再現性、上記画像濃度むら、及び上記感光体破壊のうち、「×」がなく、「△」が1つ以上あれば、「△」と評価した。
上記ドット再現性、上記画像濃度むら、及び上記感光体破壊の評価結果を、表1に示し、上記総合評価の評価結果を表2に示す。
表1及び表2からわかるように、現像バイアス電圧の交流成分の周波数(現像周波数)を2.6〜4.2kHzに設定することによって、像担持体の表面電位を感光層の破壊の懸念が少ない範囲である600V以下となるように帯電させた場合であったとしても、画像濃度むらを抑え、ドット再現性を高めることができ、高画質な画像を形成することができる場合がある。
これに対して、現像周波数を2.6kHz未満や4.2kHzを超えるように設定した場合、像担持体の表面電位を感光層の破壊の懸念が少ない範囲である600V以下の範囲でいかなる帯電電位になるように帯電させても、高画質な画像を形成することができなかった。すなわち、現像周波数が低いと、ドット再現性が低下する。さらに低すぎると、帯電電位を下げても、帯電むらによる画像濃度むらを充分に抑制できなくなる。また、現像周波数が高いと、画像濃度むらが発生しやすくなる。これに対して、帯電電位を高めて画像濃度むらの発生を抑制しようとしても、像担持体の感光層の破壊が懸念される。
よって、現像周波数を上記範囲内にすることによって、正帯電単層型電子写真感光体と接触帯電方式による帯電装置とを備えた画像形成装置であっても、その正帯電単層型電子写真感光体の感光層の破壊を抑制しつつ、好適な画像を形成することができる。すなわち、現像周波数2.6〜4.2kHzとすることによって、正帯電単層型電子写真感光体であっても、その感光層の破壊を抑制しつつ、長期間好適な画像を形成することができる帯電電位に調整することができる。
また、表1及び表2から、上記式(I)を満たすことが好ましく、上記式(II)を満たすことがより好ましいことがわかる。
さらに、表1及び表2から、現像周波数が、2.8〜3.6kHzであり、前記像担持体の表面電位が510〜600Vであることが好ましく、現像周波数が、2.8〜3.2kHzであり、前記像担持体の表面電位が540〜600Vであることがより好ましいことがわかる。