JP2009127149A - ゴム補強用繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料本来の特性を維持すると共に、室温だけでなく高温雰囲気下においてもゴムとの接着性が向上したゴム補強用繊維、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料の表面にゴム/繊維用の接着剤が付与されたゴム補強用繊維であって、粒子径60〜600nmのカーボンブラックが、該接着剤成分中に存在していることを特徴とする。さらには、カーボンブラックがファーネスブラックであることや、繊維材料が脂肪族ポリアミド繊維を含むものであることが好ましい。また製造方法では、繊維材料の表面に、粒子径60〜600nmのカーボンブラックを含むゴム/繊維用の接着剤を付与し、乾燥することを特徴とする。接着剤がレゾルシン・ホルマリン・ラテックス系であることや、添加するカーボンブラック水分散液のpHが7から14であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明はゴム補強用繊維およびその製造方法に関し、更に詳しくはゴムとの接着性能が高く、タイヤ、ホース、ベルト等のゴム/繊維複合体に最適なゴム補強用繊維およびその製造方法に関するものである。
合成繊維は高強度、高ヤング率等の優れた物理的特性を有しており、これを活かしてタイヤ、ホース、ベルト等のゴム構造物の補強用として広く使用されている。しかし、ゴム補強用に使用される繊維の中で、特に繊維強度に優れた芳香族ポリアミド繊維等はゴムとの接着性が他の繊維に比べ良好ではないため、繊維表面を活性化してゴムとの接着性を改善する目的で種々の提案が行われている。
例えば、特許文献1では、芳香族ポリアミド繊維をエポキシ化合物を主成分とする第1処理液で処理した後に、レゾルシン/ホルマリン初期縮合物とゴムラテックスを主成分とする第2処理液で処理する方法が記載されている。しかし、この方法ではゴムとの接着力が不十分であった。
また、特許文献2では、芳香族ポリアミド繊維をポリエポキシ化合物、ブロックドイソシアネート化合物、ゴムラテックスからなる第1処理液で処理した後に、レゾルシン/ホルマリン/ゴムラテックスにクロロフェノール化合物を配合した第2処理液で処理する方法が提案されている。しかし、通常接着力こそ特許文献1の方法より改善されているものの、この第2処理液を用いた場合には引き抜き接着力を高めるために高温で熱処理する必要があり、その結果、引き抜き接着力は高まるものの剥離接着におけるゴム付きは低下し、総合的な接着力はまだ不十分であるという問題があった。
特に近年、タイヤ、ホース、ベルト等のゴム構造物は性能の向上に伴い、過酷な条件下で使用されるケースが増えてきている。例えば、タイヤにおいては高速走行用のウルトラハイパフォーマンスタイヤ、パンクしても走行可能なランフラットタイヤ等が開発されてきている。これらのゴム構造物では、芳香族ポリアミド繊維などのハイパフォーマンスファイバーの使用が必須となるが、タイヤ等のゴム構造物の内温は100℃以上となるため、そのような高温状態でもゴム/繊維間の良好な接着性を維持できる高性能のゴム補強用繊維の開発が強く求められていた。
特開平2−202569号公報 特開平3−40875号公報
本発明の目的は、芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料本来の特性を維持すると共に、室温だけでなく高温雰囲気下においてもゴムとの接着性が向上したゴム補強用繊維、およびその製造方法を提供することにある。
本発明のゴム補強用繊維は、芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料の表面にゴム/繊維用の接着剤が付与されたゴム補強用繊維であって、粒子径60〜600nmのカーボンブラックが、該接着剤成分中に存在していることを特徴とする。
さらには、カーボンブラックがファーネスブラックであることや、接着剤固形分中のカーボンブラックの重量比が3〜30重量%であること、繊維材料が、脂肪族ポリアミド繊維を含むものであることが好ましい。
またもう一つの本発明のゴム補強用繊維の製造方法は、芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料の表面に、粒子径60〜600nmのカーボンブラックを含むゴム/繊維用の接着剤を付与し、乾燥することを特徴とする。
さらには、接着剤が、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス系の接着剤であることや、pHが7から14であるカーボンブラック水分散液を配合したものであること、ブロックドイソシアネートを配合したものであること、繊維材料に接着剤を付与する前にあらかじめ繊維材料がエポキシ化合物を主とする前処理剤を付与されたものであること、カーボンブラック、ゴムラテックス、またはブロックドイソシアネートが接着剤にのみ含有され、前処理剤には含有されていないことが好ましい。
本発明によれば、芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料本来の特性を維持すると共に、室温だけでなく高温雰囲気下においてもゴムとの接着性が向上したゴム補強用繊維、およびその製造方法が提供される。
本発明のゴム補強用繊維は、芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料の表面にゴム/繊維用の接着剤が付与されたゴム補強用繊維であって、粒子径60〜600nmのカーボンブラックが、該接着剤成分中に存在しているものである。ここで繊維材料としては芳香族ポリアミド繊維を含むことを必須とし、芳香族ポリアミド繊維としては、より具体的にはポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレン−テレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド等が例示される。
また、繊維材料を構成する芳香族ポリアミド繊維以外の構成成分には特に制限はないが、繊維強度の優れた、合成繊維であることが好ましい。このような合成繊維の例としては、ポリエステル繊維、脂肪族ポリアミド繊維などが挙げられる。中でも好ましいポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が例示される。好ましい脂肪族ポリアミド繊維としては、6−ナイロン、6,6−ナイロン等が例示される。特に接着と繊維材料強力のバランスの点からは、繊維材料が脂肪族ポリアミドを含むものであることが好ましい。
また本発明に使用する繊維材料の形態としては、撚りがかけられていることが好ましい。片撚りの場合には、撚り数は10cm当り10〜50回であることが好ましい。また、諸撚りの場合には下撚りは10cm当り10〜50回、上撚りは20〜50回であることが好ましい。このように撚りが繊維にかかっていることにより繊維強力をより有効に活用することができ、タイヤ、ホース、ベルト等の補強用途に適したゴム補強用繊維となる。
本発明のゴム補強繊維は、このような繊維材料の表面にゴム/繊維用の接着剤が付与されたゴム補強用繊維であって、粒子径60〜600nmのカーボンブラックが、そのゴム/繊維用の接着剤成分中に存在していることを必須とする。
本発明で用いられるゴム/繊維用の接着剤としては、ゴム補強用繊維の表面に通常用いられているゴム/繊維間用の接着剤組成物からなるものであれば特に制限はなく、単一層からなるもの以外に2浴処理等の多段処理で形成される多層の接着剤からなるものでも良い。しかし、芳香族ポリアミド繊維はゴムとの接着性があまり良くないため、2浴処理等の多段処理で形成される多層の接着剤がより好ましい。このような接着剤用の処理剤としては、例えばゴム/繊維用途に汎用的に用いられるレゾルシン/ホルマリン/ラテックス系の接着処理剤(RFL接着剤)、エポキシ処理剤等からなる接着処理剤が挙げられる。
レゾルシン/ホルマリン/ラテックス系の接着剤としては、レゾルシンとホルマリンをアルカリまたは酸性触媒下で反応させて得られる初期縮合物と、ゴムラテックスの混合物である従来公知のゴム/繊維接着用のRFL接着剤を用いることができる。ここで用いるゴムラテックスの種類は特に限定されるものではなく、天然ゴムラテックス、スチレン/ブタジエン系ゴムラテックス、ポリブタジエン系ゴムラテックス、クロロプレン系ゴムラテックス、アクリロニトリル/ブタジエン系ゴムラテックス等が挙げられる。この中でも特に、ビニルピリジン系単量体、スチレン系単量体、共役ジエン系単量体からなる三元共重合体ゴムラテックスが好ましい。ビニルピリジン系単量体としては2−ビニルピリジン、スチレン系単量体としてはスチレン、共役ジエン系単量体としては1,3−ブタジエンが例示される。
ゴム補強用繊維における接着剤の繊維に対する固形分付着量は、0.1〜20重量%の範囲であることが好ましく、更には1〜15重量%の範囲であることがより好ましい。固形分付着量が少なすぎる場合には繊維/ゴム間の接着性能が十分に発現しない。固形分付着量が多すぎる場合にはゴム補強用繊維の処理コストが高くなりすぎて不利となる。
本発明ではこのような接着剤中にカーボンブラックが必須成分として含有しているものである。カーボンブラックとは、一般に炭素を含む顔料の総称であるが、具体的には例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、アイボリーブラック、ランプブラック等が挙げられる。本発明はそのカーボン粒子の粒子径が60〜600nmであることを必須とする。したがってカーボンブラックの中でも、微細なカーボンブラックを得ることが容易なファーネスブラックやチャンネルブラックであることが好ましい。さらにファーネスブラックやチャンネルブラックは炭素含有量が高く、超微細なカーボンブラックである点においても、本発明で使用するのに好ましい。
ファーネスブラックとチャンネルブラックとは製法が異なり、石油を不完全燃焼させることにより得られるのがファーネスブラックで、天然ガスの不完全燃焼から得られるのがチャンネルブラックである。これらにはカルボキシル基、キノン基、水酸基等の表面官能基の量等に違いがあり、チャンネルブラックの方が表面官能基の数が多い。そのため、チャンネルブラックの水分散液のpHは酸性を呈す。これに対し、相対的に表面官能基が少ないファーネスブラックの水分散液pHは中性またはアルカリ性である。
一方、本発明で使用されるゴム/繊維接着剤用の処理液は一般にアルカリ性であることから、カーボンブラックとしてもそのカーボンブラックの水分散液のpHを中性からアルカリ性に保ち易い点からもファーネスブラックであることが好ましい。
本発明のゴム補強用繊維におけるカーボンブラックの働きはまだ十分には明らかではないが、カーボンブラックの主骨格は、芳香環の集合体である。本発明で使用する接着剤の主成分としては、レゾルシン/ホルマリン初期縮合物とゴムラテックス(RFL接着剤)が挙げられ、RFLにも多くの芳香環があることから、カーボンブラックとRFLは、これらの芳香環によって相互作用をしているものと考えられる。また、ゴム中にも多くの芳香環があり、カーボンブラックとゴムの相互作用も同様の機構で生じていると予想される。さらに、加硫によってゴム中に浸透・拡散した後はカーボンブラックの粒子としての効果が発現して、アンカーの役割を果たしていることも考えられる。特に、カーボンブラックの中でもファーネスブラックはゴムとの相溶性が高いため、ゴム中に深く浸透することができて好ましい。また、異物であるカーボンブラックが接着層に存在することによって、RFL等の接着成分の凝集力を高める働き、カーボンブラックが本来有する耐熱性が、接着層全体の耐熱性を高める働きも予想される。これらの効果が積み重なって、繊維とゴム間の接着性を高めていると考えられる。
本発明で使用されるカーボンブラックの粒子径は60nm〜600nmであることが必須である。カーボンブラックの粒子径が60nmより小さすぎると接着性に対する効果が発現しにくい。逆に600nmより大きくなると接着処理液中での分散性が低下し、沈降が生じるおそれがある。また100nmより小さいと接着剤中での分散が困難になる傾向が出始めるため、100〜500nmの範囲にあることが特に好ましい。カーボンブラックの粒子径を上記の範囲とすることにより接着処理液における分散性が安定し、繊維への付与、ひいてはゴムとの接着性に効果を発揮する。
また、繊維材料表面に付与されたゴム/繊維用の接着剤固形分中のカーボンブラックの重量比の割合は3〜30重量%であることが好ましく、さらには5〜25重量%であることが好ましい。接着処理剤主成分に対するカーボンブラックの割合が少なすぎると、カーボンブラックの効果が十分に発現しにくい。逆に多すぎると分散性が低下したり、接着処理液の安定性に影響を及ぼして付着が不均一になる傾向にある。カーボンブラックを含む接着剤の繊維に対する付着量は、乾燥重量として1〜15重量%が好ましく、さらには2〜10重量%がより好ましい。
また本発明のゴム補強用繊維では、接着剤の中には、イソシアネート化合物やブロックドイソシアネート化合物が含有されていることも好ましい。イソシアネート化合物は特に限定されるものではなく、例えばトリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等のイソシアネート、あるいはこれらのイソシアネートと活性水素原子を2個以上有する化合物、例えばトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等とをイソシアネート基(−NCO)と水酸基(−OH)の比が1を超えるモル比で反応させて得られる末端イソシアネート基含有のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。特に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネートが優れた性能を発現するので好ましい。
ブロックドイソシアネート化合物とは、イソシアネート化合物とブロック化剤との付加化合物であり、接着処理液を繊維に付与した後の熱処理工程での加熱によってブロック成分が遊離して、活性なイソシアネート化合物を生じるものである。通常、イソシアネート化合物は化学的に非常に活性であるため水中には安定して存在できず、非水系の有機溶媒を用いないと濃度調整等が行えない。しかし、前述したように、例えばフェノール類等でイソシアネート基をブロックしたものは水中でも安定して存在できる。すなわち、より広い範囲での使用が可能となるためブロックドイソシアネート化合物の方がイソシアネート化合物よりも好ましく使用できる。
ブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、クレゾール、レゾルシノール等のフェノール類、ジフェニルアミン、キシリジン等の芳香族第2級アミン類、フタル酸イミド類、カプロラクタム、バレロラクタム等のラクタム類、アセトキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム類、および酸性亜硫酸ソーダ等が挙げられる。
また、エポキシ化合物も含有することが好ましい。本発明の接着剤で用いられるエポキシ化合物としては、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、ポリエポキシ化合物、すなわちエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応生成物が優れた性能を示すので特に好ましい。また、該化合物100gあたりに0.2モル相当分以上のエポキシ基を含有する物であることが好ましい。
また、以上のような本発明のゴム補強用繊維は、もう一つの本発明のゴム補強用繊維の製造方法によって得ることができる。すなわち芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料の表面に、粒子径60〜600nmのカーボンブラックを含むゴム/繊維用の接着剤を付与し、乾燥することを必須とする製造方法である。
ここで繊維材料としては芳香族ポリアミド繊維を含むことを必須とし、芳香族ポリアミド繊維としては、より具体的にはポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレン−テレフタルアミド、ポリメタフェニレンイソフタルアミド等が例示される。
また、繊維材料を構成する芳香族ポリアミド繊維以外の構成成分としては繊維強度の優れた、合成繊維であることが好ましい。特に接着と繊維材料強力のバランスの点からは、繊維材料が脂肪族ポリアミドを含む複合材料であることが好ましい。
また本発明に使用する繊維材料の形態としては、撚りがかけられていることが好ましい。1回の撚糸で次の接着処理に進む(片撚り)場合には、撚り数は10cm当り10〜50回であることが好ましい。また、2回の撚糸(諸撚り)後に接着処理を行う場合には下撚りは10cm当り10〜50回、上撚りは20〜50回であることが好ましい。このように接着処理前の生コードを撚糸してそのまま、あるいは製織して生機(きばた)とした後に接着処理を行うことにより、タイヤ、ホース、ベルト等に使用可能なゴム補強用繊維とすることができる。
また、上記の繊維材料はあらかじめ接着前処理としてエポキシ処理が行われている繊維であることが好ましい。このエポキシ前処理は繊維の撚糸前後、どちらで行うことも可能であるが、撚糸前の無撚の状態で処理する方が繊維コード内部にまでエポキシ等の有効成分を浸透させることができて好ましい。この場合、例えば繊維の製糸工程で紡糸油剤等と共に付与するなど、繊維を紡糸もしくは延伸する際に処理する方法を採用することもできる。
前処理としてのエポキシ処理で用いられるエポキシ化合物としては、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するものであり、ポリエポキシ化合物、すなわちエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応生成物が、優れた性能を示すので特に好ましい。エポキシ化合物は通常、少量の溶媒に溶解したものを公知の乳化剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ塩、ジオクチルスルホサクシネートソーダ塩等を用いた乳化液または水溶液として使用される。
このようにして、繊維にあらかじめ付与されるエポキシ化合物の付着量は、繊維重量に対して0.01〜1重量%の範囲であることが好ましい。エポキシ化合物の付着量が多すぎると、繊維が硬くなりすぎて次工程以降の処理が困難になると共に、後の工程での処理剤の浸透性が低下するために接着性能が低下する傾向となる。
前処理液の主成分の固形分濃度は通常、0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%で調整されることが好ましい。繊維に対する前処理液主成分の付着量は、乾燥重量として0.01〜5重量%が好ましく、更には0.1〜3重量%がより好ましい。ゴム補強用繊維のゴムへの接着性には接着剤の影響が大きく、前処理液主成分の付着量が多すぎると、接着剤主成分の付着量が低下する傾向にあるからである。前処理液は比較的不活性な芳香族ポリアミド繊維表面を活性化するために用いられるため、乳化させるための界面活性剤成分以外ではエポキシ化合物のみからなることが好ましく、接着処理剤に含まれるゴムラテックスやブロックドイソシアネート化合物、あるいは本発明の必須成分であるカーボンブラックは、前処理剤には含有されていないことが好ましい。
本発明の製造方法は、上記のような芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料の表面に、粒子径60〜600nmのカーボンブラックを含むゴム/繊維用の接着剤を付与し、乾燥することを必須とする製造方法である。
ここで接着剤処理液の主成分は、基本的にレゾルシン/ホルマリン初期縮合物とゴムラテックス(RFL接着剤)であり、目的に応じてブロックドイソシアネート化合物やエポキシ化合物を含むことも好ましい。またゴムラテックスやブロックドイソシアネート化合物、あるいは本発明の必須成分であるカーボンブラックは接着処理剤にのみ含有されており、先に述べた前処理剤には含有されていないことが好ましい。前処理剤のエポキシによる繊維に対する効果が、阻害されないためである。
ここで、レゾルシン/ホルマリン初期縮合物としては、レゾルシンとホルマリンをアルカリまたは酸性触媒下で反応させることにより作ることができる。レゾルシンとホルマリンの好ましいモル比は1:0.6〜1:3である。ゴムラテックスとしては、天然ゴムラテックス、スチレン/ブタジエン系ゴムラテックス、ポリブタジエン系ゴムラテックス、クロロプレン系ゴムラテックス、アクリロニトリル/ブタジエン系ゴムラテックス等が挙げられ、これらは単独あるいは併用して用いることができるが、ビニルピリジン/スチレン/ブタジエン系三元共重合体ラテックスであることが最も好ましい。レゾルシン/ホルマリン初期縮合物とゴムラテックスの好ましい固形分重量比は1:3〜1:15、より好ましくは1:4〜1:12である。
このRFL接着剤には、ゴムとの接着性をさらに高めるために架橋度を調整する目的等でブロックドイソシアネート化合物やエポキシ化合物を配合しても良い。ブロックドイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのような芳香族イソシアネートと、フェノール類、ラクタム類、オキシム類等のブロック化剤との付加物が例示される。エポキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応生成物が例示される。ブロックドイソシアネート化合物および/またはエポキシ化合物を添加する場合の添加量は、RFL接着剤100重量部に対して5〜25重量部が好ましい。
本発明のゴム補強用繊維の製造方法においてはこのゴム/繊維用の接着剤が粒子径60〜600nmのカーボンブラックを含有することが必須である。本発明はそのカーボン粒子の粒子径が60〜600nmであることを必須とするので、その中でも、微細なカーボンブラックを得ることが容易なファーネスブラックやチャンネルブラックであることが好ましい。さらにファーネスブラックやチャンネルブラックは炭素含有量が高く、超微細なカーボンブラックである点においても、本発明で使用するのに好ましい。
本発明で使用されるカーボンブラックの形状は、いかなるものであっても良いが、本発明で使用するRFL系の接着処理液は水系であるため、予めカーボンブラックを水系分散体としておくことが好ましい。カーボンブラックを水に分散させるためには、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム等の公知の界面活性剤を用いて分散すれば良い。カーボンブラックが安定した水系分散体の場合には、作業環境を好適にすることに加えて、繊維表面を覆うことも容易かつ均一に行うことができる。
さらにはカーボンブラックとしてはファーネスブラックであることが好ましい。上記のようにカーボンブラックは接着処理剤に均一に拡散させるため水系分散体として接着処理液に混合することが好ましいが、ファーネスブラックは、カルボキシル基、キノン基、水酸基等の表面官能基の量が少なく、水分散液のpHが中性またはアルカリ性であって安定して使用できるためである。例えば酸性のチャンネルブラックをそのまま使用すると接着処理液がゲル化するおそれがある。もっとも、チャンネルブラックが全く使用できないわけではなく、適切な方法で水分散後にアンモニア、アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水溶液を用いて中性あるいはアルカリ性にpH調整することにより、使用することも可能ではある。
本発明の製造方法では、接着処理液に加える直前のカーボンブラック水分散液のpHとしては7〜14、さらには9〜11であることが好ましい。このように安定した水系分散したカーボンブラックを使用することにより、作業環境を好適にすることに加えて、繊維表面を容易かつ均一に覆うことが可能となる。
本発明の製造方法で使用されるカーボンブラックの粒子径は60nm〜600nmであることが必須であるが、カーボンブラックの粒子径が60nmより小さすぎると接着性に対する効果が発現しにくい。逆に600nmより大きくなると接着処理液中での分散性が低下し、沈降が生じるおそれがある。また100nmより小さいと接着剤中での分散が困難になる傾向が出始めるため、さらには100〜500nmの範囲にあることが好ましい。カーボンブラックの粒子径を上記の範囲とすることにより接着処理液における分散性が安定し、長時間の連続運転が可能となるほか、繊維への付与、ひいてはゴムとの接着性に効果を発揮する。
また、繊維材料表面に付与されたゴム/繊維用の接着剤固形分中のカーボンブラックの重量比の割合は3〜30重量%であることが好ましく、さらには5〜25重量%であることが好ましい。接着処理剤主成分に対するカーボンブラックの割合が少なすぎると、カーボンブラックの効果が十分に発現しにくい。逆に多すぎると分散性が低下したり、接着処理液の安定性に影響を及ぼして付着が不均一になる傾向にある。
本発明のゴム補強用繊維の製造方法においては、前処理液を繊維に付与した場合にはその後に80〜150℃で0.5〜5分間乾燥し、引き続いて170〜250℃で0.5〜5分間熱処理される。その後あるいは前処理液を処理しなかった場合にはそのまま、前記接着剤からなる処理液を繊維に付与した後に、同様の条件で乾燥、熱処理することが好ましい。熱処理温度が低すぎるとゴムとの接着が不十分となる傾向にあり、逆に高すぎると繊維が融着、溶融、硬化したり、更に繊維強力が劣化するおそれもある。
本発明のゴム補強用繊維の繊維に対するカーボンブラックを含む接着剤の固形分付着量は、乾燥重量として0.1〜20重量%の範囲であることが好ましく、更には1〜15重量%の範囲であることがより好ましい。固形分付着量が低すぎる場合には繊維/ゴム間の接着性能が十分に発現しない傾向にある。逆に固形分付着量が多すぎると硬くなりすぎたりゴム補強用繊維の処理コストが高くなりすぎて不利となる。
繊維への固形分付着量を制御するためには、圧接ローラーによる絞り、スクレーパー等による掻き落し、空気吹き付けによる吹き飛ばし、吸引、ビーターによる叩き等の手段を採用しても良い。また、付着量を上げるため、もしくは均一性を確保するために複数回付着処理を行っても良い。
更には、接着処理剤の付与、熱処理後にゴム補強用繊維をブレードのエッジで擦過することにより、柔軟化処理を行っても良い。
本発明のゴム補強用繊維は、好ましくは上記の2浴処理法で得られるものであるが、カーボンブラックがゴムとの界面となる接着処理剤の最外層に含まれるように配慮し、1浴処理法や3浴処理法で得ることもできる。このように本発明のゴム補強用繊維の製造方法では、カーボンブラックがゴム/繊維用接着剤の最外層に位置しているため、室温だけでなく高温雰囲気下においてもゴムとの接着性を良好に維持することができるのである。
またこのようにして得られる本発明のゴム補強用繊維は、繊維の本来の特性を維持すると共にカーボンブラックの効果によって、従来の接着処理剤で処理したものと比較して、室温だけでなく高温雰囲気下においてもゴムとの接着性、具体的には剥離接着力および剥離のゴム付きが向上したものであり、タイヤ、ホース、ベルト等の分野で好適に使用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例だけの限りではない。なお、実施例における特性の測定は次の測定法を用いて行った。
(1)コード剥離接着(剥離接着力、ゴム付き)
処理コードとゴムとの剥離接着性能を示すものである。接着処理されたコードを未加硫ゴムに平行プライ(打込み本数24本/2.54cm(1インチ))として埋め込み、所定の条件でプレス加硫して放冷後、両プライを所定の速度で剥離測定した。剥離接着力は両プライを剥離させるのに要した力をN/2.54cm(1インチ)で示したものであり、ゴム付きはゴムから剥離したコード表面のゴムの付着率を目視観察して百分率で示したものである。
室温(約25℃)の測定データと、高温(100℃)の測定データを求めた。高温の場合の測定方法は、まず測定ゾーン温度を100℃に保ってサンプルを投入した後、サンプル温度が100℃に到達した時から3分間放置後に測定した。
(2)コード強力
インストロン試験機を用いて、JIS L 1017(1995年)に準拠して測定した。
(3)接着処理剤付着量
JIS L 1017(1995年)に準拠して、質量法にて測定した。
[実施例1]
(前処理剤の調製)
734重量部の水に1重量部のジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩と3重量部のソルビトールポリグリシジルエーテルを加えて、ホモミキサーを用いて乳化した。この液に固形分として86重量部のビニルピリジン/スチレン/ブタジエンラテックスを加えて混合した後、固形分として12重量部のε−カプロラクタムでブロックされた4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを加えて混合し、全体の固形分濃度10重量%のエポキシ前処理液とした。
(接着処理剤の調製)
また、73重量部の水に少量の苛性ソーダとアンモニア水を加えた後、レゾルシン1モルに対してホルマリン0.6モルを反応させて得られた初期縮合物を固形分として6重量部加えて混合した。この液に、155重量部の水に固形分として53重量部のビニルピリジン/スチレン/ブタジエンラテックスと23重量部のスチレン/ブタジエンラテックスを乳化させた液を添加して混合した。その後、3重量部のホルマリンと14重量部のアルキルケトオキシムでブロックされた4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを加えて混合した後、20℃で48時間熟成して接着剤用の処理液のベース液とした。
この接着剤用の処理液のベース液に、芳香族ポリアミド繊維への処理直前に表1に示す粒子径120nmのファーネスブラックを固形分として1重量部添加して混合し、全体の固形分濃度21重量%、接着処理剤主成分に対するファーネスブラック割合5重量%の接着剤用の処理液とした。
(ゴム補強用繊維の製造)
一方、帝人テクノプロダクツ社製芳香族ポリアミド繊維からなる1670dtex/1000フィラメントのマルチフィラメント糸を使用し、該糸を40T/10cmで下撚りした後に2本合わせて40T/10cmの上撚りを施して生コードを得た。
該コードをコンピュートリーター処理機(CAリツラー社製)を用いて、上記エポキシ前処理液に浸漬して130℃で2分間乾燥した後、240℃で1分間熱処理した。次に、上記接着剤用の処理液に浸漬して、170℃で2分間乾燥した後、240℃で1分間熱処理してゴム補強用繊維を得た。ゴム補強用繊維への各処理剤の固形分付着量は、前処理剤が2.1重量%、接着処理剤が2.2重量%であった。
得られたゴム補強用繊維の評価結果を表2に示す。
Figure 2009127149
Figure 2009127149
[実施例2]
実施例1の接着剤用の処理液のベース液として、水を155部から55部にしたものを用い、さらにその接着剤用のベース液に芳香族ポリアミド繊維への処理直前に表1に示す粒子径120nmのファーネスブラックを固形分として5重量部添加して混合し、全体の固形分濃度25重量%、接着処理剤主成分に対するファーネスブラック割合25重量%の接着剤用の処理液とし用いた以外は、実施例1と同様にして各ゴム補強用繊維を得た。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表2に併せて示す。
[実施例3]
実施例1の接着剤用の処理液のベース液として、水を155部から105部にしたものを用い、さらにその接着剤用のベース液に芳香族ポリアミド繊維への処理直前に表1に示す粒子径460nmのファーネスブラック(C)を固形分として3重量部添加して混合し、全体の固形分濃度23重量%、接着処理剤主成分に対するファーネスブラック割合15重量%の接着剤用の処理液とし用いた以外は、実施例1と同様にして各ゴム補強用繊維を得た。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表2に併せて示す。
[実施例4]
実施例1の接着剤用の処理液のベース液として、水を155部から55部にしたものを用い、さらにその接着剤用のベース液に芳香族ポリアミド繊維への処理直前に表1に示す粒子径460nmのファーネスブラック(C)を固形分として5重量部添加して混合し、全体の固形分濃度25重量%、接着処理剤主成分に対するファーネスブラック割合25重量%の接着剤用の処理液とし用いた以外は、実施例1と同様にして各ゴム補強用繊維を得た。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表2に併せて示す。
[比較例1]
実施例1の接着剤用の処理液の代わりに、カーボンブラックを添加せず、代わりに水を用いて固形分濃度を20重量%に調整したものを処理液として用いた以外は、実施例1と同様の処理を行った。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1の接着剤用の処理液の代わりに、表1記載の粒子径28nmのファーネスブラックを、表2記載の配合にて加えて接着剤を作成し、用いた以外は、実施例1と同様にして各ゴム補強用繊維を得た。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表2に併せて示す。
[比較例3]
実施例2の接着剤用の処理液の代わりに、表1記載の粒子径1050nmのカーボンブラック(ランプブラック)を固形分として5重量部添加して混合し、全体の固形分濃度25重量%、接着処理剤主成分に対するカーボンブラック割合25重量%の処理液を接着剤として用いた以外は、実施例2と同様の処理を行った。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表2に併せて示す。なお、繊維への処理中に処理液中でのカーボンブラックの沈降が見られ、カーボンブラックの分散状態が不安定であることが確認されたが、繊維への処理は最後まで継続した。
[比較例4]
実施例2の接着剤用のカーボンブラックの代わりに、コロイド液pH4.2のカーボンブラック(チャンネルブラック)を固形分として5重量部添加して混合し、全体の固形分濃度25重量%、接着処理剤主成分に対するカーボンブラック割合25重量%となる接着剤用の処理液を調製しようとしたところ、処理液がゲル化した。そのため、芳香族ポリアミド繊維への処理は行えなかった。
[実施例5]
(前処理剤の調製)
488重量部の水に少量の苛性ソーダを加えた後、1重量部のジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩と5重量部のソルビトールポリグリシジルエーテルを加えて、ホモミキサーを用いて乳化し、全体の固形分濃度1重量%のエポキシ前処理液とした。
(接着処理剤の調製)
また、237重量部の水に少量のアンモニア水を加えた後、レゾルシン1モルに対してホルマリン0.6モルを反応させて得られた初期縮合物を固形分として14重量部加えて混合した。この液に、固形分として81重量部のビニルピリジン/スチレン/ブタジエンラテックスと3重量部のホルマリンを添加して混合した後、20℃で24時間熟成して接着剤用の処理液のベース液とした。
この接着剤用の処理液のベース液に、芳香族ポリアミド繊維/脂肪族ポリアミド繊維の複合繊維への処理直前に表1に示す粒子径120nmのファーネスブラックを固形分として1重量部添加して混合し、全体の固形分濃度21重量%、接着処理剤主成分に対するファーネスブラック割合5重量%の接着剤用の処理液とした。
(ゴム補強用繊維の製造)
一方、帝人テクノプロダクツ社製芳香族ポリアミド繊維からなる1100dtex/1000フィラメントのマルチフィラメント糸を40T/10cmで下撚りした糸と、旭化成社製脂肪族ポリアミド繊維からなる940dtex/140フィラメントのマルチフィラメント糸を30T/10cmで下撚りした糸を2本合わせて40T/10cmの上撚りを施して、芳香族ポリアミド繊維/脂肪族ポリアミド繊維の複合繊維の生コードを得た。
該コードをコンピュートリーター処理機(CAリツラー社製)を用いて、上記エポキシ前処理液に浸漬して130℃で2分間乾燥した後、240℃で1分間熱処理した。次に、上記接着剤用の処理液に浸漬して、170℃で2分間乾燥した後、240℃で1分間熱処理してゴム補強用繊維を得た。ゴム補強用繊維への各処理剤の固形分付着量は、前処理剤が0.5重量%、接着処理剤が6.5重量%であった。
得られたゴム補強用繊維の評価結果を表3に示す。
Figure 2009127149
[実施例6]
実施例5の接着剤用の処理液のベース液として、水を237部から137部にしたものを用い、さらにその接着剤用のベース液に芳香族ポリアミド繊維への処理直前に表1に示す粒子径120nmのファーネスブラックを固形分として5重量部添加して混合し、全体の固形分濃度25重量%、接着処理剤主成分に対するファーネスブラック割合25重量%の接着剤用の処理液とし用いた以外は、実施例5と同様にして各ゴム補強用繊維を得た。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表3に併せて示す。
[実施例7]
実施例5の接着剤用の処理液のベース液として、水を237部から187部にしたものを用い、さらにその接着剤用のベース液に芳香族ポリアミド繊維への処理直前に表1に示す粒子径460nmのファーネスブラック(C)を固形分として3重量部添加して混合し、全体の固形分濃度23重量%、接着処理剤主成分に対するファーネスブラック割合15重量%の接着剤用の処理液とし用いた以外は、実施例5と同様にして各ゴム補強用繊維を得た。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表3に併せて示す。
[実施例8]
実施例5の接着剤用の処理液のベース液として、水を237部から137部にしたものを用い、さらにその接着剤用のベース液に芳香族ポリアミド繊維への処理直前に表1に示す粒子径460nmのファーネスブラック(C)を固形分として5重量部添加して混合し、全体の固形分濃度25重量%、接着処理剤主成分に対するファーネスブラック割合25重量%の接着剤用の処理液とし用いた以外は、実施例5と同様にして各ゴム補強用繊維を得た。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表3に併せて示す。
[比較例5]
実施例5の接着剤用の処理液の代わりに、カーボンブラックを添加せず、代わりに水を用いて固形分濃度を20重量%に調整したものを処理液として用いた以外は、実施例5と同様の処理を行った。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表3に併せて示す。
[比較例6]
実施例6の接着剤用の処理液の代わりに、表1記載の粒子径1050nmのカーボンブラック(D)(ランプブラック)を固形分として5重量部添加して混合し、全体の固形分濃度25重量%、接着処理剤主成分に対するカーボンブラック割合25重量%の処理液を接着剤として用いた以外は、実施例6と同様の処理を行った。得られたゴム補強用繊維の評価結果を表3に併せて示す。なお、繊維への処理中に処理液中でのカーボンブラックの沈降が見られ、カーボンブラックの分散状態が不安定であることが確認されたが、繊維への処理は最後まで継続した。
[比較例7]
実施例6の接着剤用のカーボンブラックの代わりに、コロイド液pH4.2のカーボンブラック(E)(チャンネルブラック)を固形分として5重量部添加して混合し、全体の固形分濃度25重量%、接着処理剤主成分に対するカーボンブラック割合25重量%となる接着剤用の処理液を調製しようとしたところ、処理液がゲル化した。そのため、複合繊維への処理は行えなかった。
表2および表3に示したように、本発明のゴム補強用繊維はレゾルシン/ホルマリン初期縮合物、ゴムラテックス、ブロックドイソシアネート化合物、エポキシ化合物を主成分とするゴム/繊維用接着処理剤の最外層にカーボンブラックを配合したことによって、室温だけでなく高温雰囲気下においても優れたゴムとの接着性、特に具体的には剥離接着力および剥離のゴム付きの向上を示した。しかも、繊維が従来有する強力は損なわれていなかった。このようなゴム補強用繊維はタイヤ、ホース、ベルト等の分野で好適に使用でき、高品位なゴム製品を提供できるものである。

Claims (15)

  1. 芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料の表面にゴム/繊維用の接着剤が付与されたゴム補強用繊維であって、粒子径60〜600nmのカーボンブラックが、該接着剤成分中に存在していることを特徴とするゴム補強用繊維。
  2. カーボンブラックがファーネスブラックである請求項1記載のゴム補強用繊維。
  3. 接着剤固形分中のカーボンブラックの重量比が3〜30重量%である請求項1または2記載のゴム補強用繊維。
  4. 繊維材料が、脂肪族ポリアミド繊維を含むものである請求項1〜3のいずれか1項記載のゴム補強用繊維。
  5. 芳香族ポリアミド繊維を含む繊維材料の表面に、粒子径60〜600nmのカーボンブラックを含むゴム/繊維用の接着剤を付与し、乾燥することを特徴とするゴム補強用繊維の製造方法。
  6. カーボンブラックがファーネスブラックである請求項5記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  7. 接着剤固形分中のカーボンブラックの重量比が3〜30重量%である請求項5または6記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  8. 繊維材料が、脂肪族ポリアミド繊維を含むものである請求項5〜7のいずれか1項記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  9. 接着剤が、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス系の接着剤である請求項5〜8のいずれか1項記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  10. 接着剤が、pH7から14であるカーボンブラック水分散液を配合したものである請求項5〜9のいずれか1項記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  11. 接着剤がブロックドイソシアネートを含有している請求項5〜10のいずれか1項記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  12. 繊維材料に接着剤を付与する前に、あらかじめ繊維材料がエポキシ化合物を主とする前処理剤を付与されたものである請求項5〜11のいずれか1項記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  13. カーボンブラックが接着剤にのみ含有され、前処理剤には含有されていない請求項12記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  14. ラテックス成分が接着剤にのみ含有され、前処理剤には含有されていない請求項12または13記載のゴム補強用繊維の製造方法。
  15. ブロックドイソシアネートが接着剤にのみ含有され、前処理剤には含有されていない請求項12〜14のいずれか1項記載のゴム補強用繊維の製造方法。
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