JPH08100370A - 動力伝達ベルト用アラミド繊維コード - Google Patents

動力伝達ベルト用アラミド繊維コード

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JPH08100370A
JPH08100370A JP23300994A JP23300994A JPH08100370A JP H08100370 A JPH08100370 A JP H08100370A JP 23300994 A JP23300994 A JP 23300994A JP 23300994 A JP23300994 A JP 23300994A JP H08100370 A JPH08100370 A JP H08100370A
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aramid fiber
rfl
cord
fiber cord
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忠彦 高田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、アラミド繊維コードを動力
伝達ベルト補強用繊維として適用する場合、ベルト成形
時にベルト端面に露出したアラミド繊維の単糸のホツレ
を防止し、且つアラミド繊維とマトリックスとの接着性
と疲労性が良好なアラミド繊維コードを提供することに
ある。 【構成】 本発明は、アラミド繊維を実質的に無撚の状
態でエポキシ基を2個以上含むポリエポキシド化合物を
含む処理液で処理し、150〜260℃で30〜210
秒間熱処理し、乾燥、硬化させた後、1≦K≦5(K=
(T×D1/2 )/2874,K;撚係数、T;回/mで
表される撚数、D;デニール)の範囲内で加撚したアラ
ミド繊維コードにレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテッ
クス(RFL)を含む処理液を真空・加圧条件下で含浸
せしめた後、150〜260℃で30〜210秒間熱処
理し、更に、RFLを含む処理剤で処理することを特徴
とする動力伝達ベルト用アラミド繊維コード。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動力伝達ベルト補強用
コードとして適用されるアラミド繊維コードに関するも
のである。特に、本発明は、タイミングベルト、ローエ
ッジVベルトなど、ベルトの側面からベルト補強用アラ
ミド繊維コードが露出した形態を有するベルトにおい
て、筒状で成形され、加硫されたアラミド繊維コード補
強ゴム複合体から輪切り状にカットしてベルトを成形す
る際、繊維軸方向にカットされたベルト端面に露出した
アラミド繊維コードからアラミド繊維単糸がホツレず、
マトリックスゴムとの接着性が良好で、且つ、耐疲労性
が優れたアラミド繊維コードに関する。
【0002】
【従来の技術】アラミド繊維コードは一般に優れた強
力、弾性率、寸法安定性、耐熱性等の特性を有するため
に、苛酷な条件下で使用されるタイヤ、ベルト、ホース
等のゴム複合体の優れた補強用繊維として有用である。
特に、比強度、比弾性率が高いために、スチールやワイ
ヤ代替の軽量化補強繊維として、アラミド繊維コードは
ますます需要拡大が期待されている。
【0003】一般に、タイヤ、ベルト及びホースなどの
複合体用補強繊維は撚糸コード状で接着処理され使用さ
れる。この接着処理コードは水系接着剤、溶剤系接着剤
のいずれであってもコード中への含浸が不十分であるの
が通常である。特に、水系処理剤の含浸性が不良であ
る。接着処理アラミド繊維コードをタイミングベルトや
ローエッジVベルト用補強繊維として用いる場合、予め
筒状に成形され、加硫される。引続き、筒状に成形され
たアラミド繊維コード補強ゴム複合体からカッターで輪
状にカットすることによりベルトが作られるが、接着剤
が十分含浸していないために、その際に、カット面に露
出したアラミド繊維コードから繊維を構成している各単
糸がホツレ、ベルトの側面から突出することがあり、そ
の場合、ベルトとしての品質が著しく低下する。そのま
ま、ベルトとしてプーリーにかけて運転すると、この単
糸ホツレ部分がプーリーにこすられホツレた単糸が飛び
散ったり、あるいは、このホツレが原因となって、ベル
トの耐久性が低下する。
【0004】これらの欠点は、ベルトを生産する行程に
おいて、前記のホツレた各単糸を機械的に取り除いた
り、切断する作業によって防止されているが、このよう
な作業が加わることによって、ベルトの生産性は著しく
低下し、アラミド繊維コードをこの分野に適応していく
ための大きな障害となっていた。一方、このようなアラ
ミド繊維コードの欠点を改良するために、予めアラミド
繊維をゴムラテックスなどの処理剤で処理し、カット時
の単糸のホツレを防ぐコイコトことが試みられたが(特
開平1−207480号公報、特開平4−29644号
公報)、ゴムラテックス処理によりアラミド繊維の撚糸
性が不良となったり、本来有する強力を低下させたり、
接着性や耐久性を損なうなど、別の欠点を生じることも
あり満足な動力伝達ベルト用アラミド繊維コードが得ら
れなかった。本発明者らもアラミド繊維を予め、ポリエ
ポキシド化合物で処理し、RFLを含む処理剤で処理
後、撚糸し、さらにRFL系処理で処理する方法を提案
をしているが(特開平6−25977号公報、特開平6
−25978号公報、特開平6−207380号公
報)、ホツレ性、接着性は著しく改良されるものの、強
力、耐疲労性の低下が見られ、改良の余地が残されてい
た。
【0005】そこで、アラミド繊維コ−ドにRFLを含
む接着剤を含浸させ、ホツレ性、強力、耐疲労性をバラ
ンスさせたアラミド繊維コードが求められているが、こ
のようなコードは未だ得られていない。
【0006】
【発明の目的】本発明は以上の事情を背景としてなされ
たものであり、その目的は、従来の技術における課題を
解消した動力伝達ベルト用アラミド繊維コード、すなわ
ち、ベルト成形時にベルト端面に露出したアラミド繊維
の単糸のホツレを防止し、且つ、マトリックスゴムとの
接着性を向上させ、強力、疲労性が良好なアラミド繊維
コードを得ることである。
【0007】
【発明の構成】本発明は、「(請求項1) 実質的に無
撚の状態で予めエポキシ基を2個以上含むポリエポキシ
ド化合物を含む処理液に含浸し、150〜260℃で3
0〜210秒間熱処理したアラミド繊維を1≦K≦5
(K=(T×D1/2 )/2874,K;撚係数、T;回
/mで表される撚数、D;単糸繊度)の範囲内で加撚し
たアラミド繊維コードにレゾルシン・ホルマリン・ゴム
ラテックス(RFL)を含む処理液を真空・加圧条件下
で含浸せしめた後、150〜260℃で30〜210秒
間熱処理し、更に、RFLを含む処理剤で処理すること
を特徴とする動力伝達ベルト用アラミド繊維コード。 (請求項2) RFL中のゴムラテックスがアクリロニ
トリルーブタジエン(NBR)及び/または水素添加ア
クリロニトリルーブタジエン(H−NBR、ニトリル基
含有高飽和共重合体ゴム)である請求項1に記載の動力
伝達ベルト用アラミド繊維コード。」である。
【0008】本発明におけるアラミド繊維とは、芳香族
環がアミド結合で結合された繰り返し単位が全体の少な
くとも80%以上を占める重合体からなる繊維である。
これらの重合体、または、共重合体からなる繊維の代表
例として、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリメ
タフェニレンイソフタラミド、ポリパラフェニレン・
3,4´ジフェニルエーテル・テレフタラミド等、従
来、公知のアラミドからなる繊維を挙げることができ
る。
【0009】アラミド繊維を予め無撚で処理するエポキ
シ化合物としては、一分子中に少なくとも、2個以上の
エポキシ基を該化合物100gあたり0.2g当量以上
含有する化合物であり、エチレングリコール、グリセロ
ール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチ
レングリコールなどの多価アルコール類とエピクロルヒ
ドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応生成
物、レゾルシン・ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメ
チルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾ
ルシン・ホルムアルデヒド樹脂などの多価フェノール類
と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酢
酸または過酸化水素などで不飽和化合物を酸化して得ら
れるポリエポキシド化合物、即ち、3,4−エポキシシ
クロヘキセンエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキ
シレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチル−シク
ロヘキシルメチル)アジペートなどをあげることが出来
る。これらの中、特に、多価アルコールとエピクロルヒ
ドリンとの反応生成物、即ち、多価アルコールのポリグ
リシジルエーテル化合物が優れた性能を示すので好まし
い。
【0010】かかるポリエポキシド化合物は通常小量の
溶媒に溶解したものを公知の乳化剤、例えば、アルキル
ベンゼンスルフォン酸ソーダ、ジオクチルスルフォサク
シネートNa塩などを用いて乳化液または溶液として使
用される。ポリエポキシド化合物はアミン系、イミダゾ
ール系硬化剤もしくはポリイソシアネートと公知のオキ
シム、フェノール、カプロラクタムなどのブロック化剤
との付加化合物であるブロックドイソシアネートや後述
のエチレンイミンとの反応生成物であるエチレン尿素な
どを混合使用することができる。
【0011】例えば、ポリエポキシド化合物(A)及び
硬化剤、ブロックドイソシアネートもしくはエチレン尿
素(B)との混合比は0.05≦(A)/〔(A)+
(B)〕≦0.9(重量比)の範囲が好ましい。ポリエ
ポキシ化合物の濃度としては0.1〜5.0%が使用さ
れる。総固形分濃度は1〜30重量%、好ましくは3〜
20重量%になるようにして使用する。
【0012】上記、ポリエポキシド化合物を含む処理剤
は、通常、アラミド繊維の製造時に油剤と混合して付着
させたり、あるいは、アラミド繊維製糸後、独立に付着
させる。アラミド繊維に対する固形付着量は0.05〜
5.0重量%にコントロールして付着させ、100〜1
50℃で60〜180秒で乾燥し、ついで、150〜2
50℃で30〜210秒処理する。好ましくは60〜1
80秒である。
【0013】このようにポリエポキシド化合物を含む処
理剤で処理されたアラミド繊維コードは、引き続き、複
数本合わせて、1≦K≦5の範囲内で加撚処理し、アラ
ミド繊維コードを得る。
【0014】ポリエポキシ化合物で処理されたアラミド
繊維コードは、引続き、第2処理剤であるRFL(レゾ
ルシン・ホルマリン・ラテックス)、シリコン系処理剤
及び酸化防止剤もしくは老化防止剤を含む接着剤を真空
・加圧条件下で含浸加工処理される。即ち、まず、金属
性穴空きボビンに卷いた一定量のアラミド繊維コードを
金属製の真空・加圧含浸加工装置の中に入れ、まず減圧
にし、ついで上記RFLを含む処理剤を導入し、アラミ
ド繊維コードに減圧下含浸させる。その後、加圧して、
コードへの含浸性をあげる。所定の条件で真空・加圧含
浸加工処理をした後、常圧にもどし、更に、加圧し、過
剰のRFLを含む処理剤を除去する。
【0015】通常の真空・加圧含浸条件は、容器中の減
圧度10torr、加圧20kg/cm2 に調整され
る。また、過剰の処理剤を除去する圧脱条件は5kg/
cm2とするが、真空・加圧条件に制約はない。
【0016】ここで使用されるRFLはレゾルシンとホ
ルムアルデヒドのモル比が1:0.1〜1:8、好まし
くは1:0.5〜1:5、更に好ましくは1:1〜1:
4の範囲で用いられる。レゾルシン・ホルマリンとゴム
ラテックスとの配合比率は固形分重量比で1:1〜1:
15、好ましくは1:3〜1:12の範囲にあるのが好
ましい。ゴムラテックスの配合比率が高すぎると、著し
く粘着性が高くなり、凝集力も低くなり、含浸性、接着
性に悪影響を与える。逆に、ゴムラテックスの配合比率
が低すぎると、コードが硬くなる原因となり、強力や疲
労性の低下を起こす。ゴムラテックスの種類としては、
被着体のゴム種によって選択される。例えば、被着体の
ゴムがCRであればCRラテックスが、また、NBRや
H−NBRであれば、NBRラテックス及び/または水
添NBRラテックスが使用される。CSMであれば、C
SMラテックスが用いられることが多い。もちろん、こ
れらのゴムラテテックスを主体とする混合配合であって
も構わない。
【0017】また、酸化防止剤もしくは老化防止剤はR
FLに対して固形分で5.0〜15.0重量%添加され
る。
【0018】酸化防止剤の種類としてはヒンダードフェ
ノール系、アミン系、リン系及び硫黄系化合物をあげる
ことが出来る。代表的な例としては、ヒンダードフェノ
ール化合物系では、トリエチレングリコールビス[3−
(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビ
ス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オク
チルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−
ブチルアニリ−1,3,5−トリアジン、ペンタエリス
リチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−
チオ−−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オク
タデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチ
レンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
ヒドロキシシンナマミド)、1.3.5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼンなどを上げることが出来
る。また、分子中に硫黄や燐を含んだヒンダード系フェ
ノイール化合物としては2,2−チオビス(4−メチル
−6−t−ブチルフェノール)や3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチ
ルエステルなどがある。アミン系酸化防止剤の代表的な
例は、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレン
ジアミン、アルキル化ジフェニルアミンなどがある。
【0019】老化防止剤としては、アルデヒド・アミン
反応生成物があげられるが、その代表例としてはアルド
ールと1ナフチルアミンの縮合体物を上げることが出来
るし、ケトン・アミン反応生成物として2,2,4−ト
リメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物がある。ま
た、アミン系化合物としてはN,N’−ジナフチル−p
−フェニレンジアミンが代表例である。フェノール系化
合物としては、スチレン化フェノール、2,6−ジ−t
−ブチルメチルフェノール、2,2’−メチレンビス
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’
−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)
などが上げられる。
【0020】RFLを含む処理剤で真空・加圧含浸加工
処理後、金属製真空・加圧含浸加工処理装置から取り出
されたアラミド繊維コードを80〜150℃、0.5〜
5分間乾燥後、150〜260℃、0.5〜5分間熱処
理し硬化させる。アラミド繊維コードに対する第2処理
剤であるRFLの付着量は1〜25%、好ましくは5〜
20%に調節される。1%より付着率が低いとアラミド
繊維コードを動力伝達ベルトの補強繊維として使用した
場合にベルト端面から露出した単糸がホツレてしまうこ
とがある。逆に、25%より多いと、処理したアラミド
繊維コードの強力、接着性が低くなることがある。
【0021】ついで、処理するRFLは第2処理剤であ
るRFLと同様に、レゾルシンとホルムアルデヒドのモ
ル比が1:0.1〜1:8、好ましくは1:0.5〜
1:5、更に好ましくは1:1〜1:4の範囲で用いら
れる。また、レゾルシン・ホルマリンとゴムラテックス
との配合比率は固形分重量比で1:1〜1:15、好ま
しくは1:3〜1:12の範囲にあるのが好ましい。ゴ
ムラテックスの種類としては、第2処理剤であるRFL
に使用されるゴムラテックスにあわされ選択される。
このRFL中に特公昭57−21587号公報に示され
るように下記一般式(化1)(式中R’は芳香族または
脂肪族の炭化水素残基、nは0,1または2)で表され
るエチレン尿素化合物や芳香族もしくは脂肪族イソシア
ネートとオキシム、フェノール、カプロラクタム等と反
応させて得られるブロックドイソシアネートを加えて使
用することも出来る。
【0022】
【化1】
【0023】エチレン尿素化合物は、通常水分散液の形
で、RFLに対して0.5〜30重量%添加される。ま
た、通常の方法で調整されたカーボンブラックの水分散
液をRFLに対して0.5〜5重量%添加されることも
ある。RFLで処理された後、更に、被着体のゴムマト
リックスと同種類のゴムを含むゴム糊で処理されること
もある。
【0024】上記、RFL処理後、80〜150℃、
0.5〜5分間乾燥後、150〜260℃、0.5〜5
分間熱処理し硬化させる。撚糸コードに対するRFLの
付着量は1〜10重量%に調整される。
【0025】このように2個以上のエポキシ基を含むポ
リエポキシド化合物で処理した後、所定の撚数をかけた
アラミド繊維コードを、RFLを含む処理剤で所定の真
空・加圧条件下で含浸加工処理し、乾燥、熱硬化させた
コードとゴムとの複合により成形されたアラミド繊維コ
ード補強動力伝達ベルトは端面からアラミド繊維単糸が
ホツレて飛び出すこともなく且つ、マトリックスゴムと
の接着力が向上するのは勿論のこと、著しく耐疲労性が
向上する。ホツレ防止の向上に関しては、真空・加圧含
浸加工処理によりコード中へRFLが十分に含浸し予め
アラミド繊維に処理されたエポキシド化合物と含浸され
たRFLとがそれぞれ相互に反応し、凝集力が高い、比
較的柔軟な皮膜を形成すると同時に、アラミド繊維の単
糸を1本1本RFLで被覆し、強固に接着しているため
にホツレ性が良好になるものと推定される。即ち、予
め、エポキシ処理したアラミド繊維を撚糸することによ
り、繊維状態でRFL処理し、撚糸するよりも単糸の引
き揃えが良好になり、それ故、コード強力が高くなる。
また、耐疲労性も撚糸後にRFLを真空・加圧含浸加工
処理するために、単糸の引き揃え性が保持されるため
に、疲労時の伸長・圧縮歪が均一にかかり応力分散する
ため著しい疲労向上に結びつくものと考えられる。更
に、RFL中に添加される酸化防止剤もしくは老化防止
剤はベルト走行中にRFLが硬化し、補強繊維であるア
ラミド繊維コードが硬くなるのを防止することも加わっ
て、疲労性向上に結び付いたものと推定される。
【0026】
【発明の効果】本発明の方法により真空・加圧含浸加工
処理されたアラミド繊維コードは、強力の低下が少な
く、また、動力伝達ベルトを成形後にベルト端面からア
ラミド繊維単糸のホツレを生じることなく、マトリック
スに対する接着性及び疲労性も比較的良好である。
【0027】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明する。
【0028】なお、実施例において、コード強力、ホツ
レ性、コード剥離接着力、引抜接着力、疲労時強力保持
率は次のようにして求めた値である。
【0029】<コード強力>インテスコ2005型引張
試験(インテスコ社製)を用いて、4Dエアーチャック
を使用してチャック間250mmにコード長をとり、引
張速度100mm/minでコード強力を測定した。5
回測定し、その平均値をコード強力とした。
【0030】<ホツレ性>厚さ約2mmのゴムシート2
枚の間に前記のホツレ処理を行い、次いでRFLを含む
接着剤で処理したアラミドコードを平行に並べて挟み、
150℃で30分間、50kg/cm2 のプレス圧力で
加硫し、ゴムシートを得た。このシートをカッターナイ
フを用いてゴム中に配列したコードの長さ方向に切断
し、切断面にコード端面が現れるようにした。そして、
端面からのアラミド繊維の単糸の飛び出し状態を目視判
定した。また、この端面をサンドペーパー(#AA−1
50)で摩擦し、単糸のホツレ状態を観察した。評価は
良好◎→○→△→×(不良)で判定した。
【0031】<コード剥離接着力>処理コードとゴムと
の剥離接着力を示すものである。ゴムシート表層近くに
7本のコードを埋め、加圧下150℃、30分間、50
kg/cm2 のプレス圧力で加硫し次いで両端の2本の
コードを取り除き残りの5本のコードをゴムシートから
200mm/min.の速度で剥離に要した力をkg/
5本で表示したものである。
【0032】<引抜接着力>処理コードとゴムとのせん
断接着力を示すものである。コードをゴムブロック中に
埋め込み、加圧下で150℃、30分間、50kg/c
2 のプレス圧力で加硫し、次いでコードをゴムブロッ
クから200mm/min.の速度で引き抜き、引抜き
に要した力をkg/cmで表示したものである。
【0033】<疲労時強力保持率>耐疲労性をあらわす
尺度でベルト式疲労テスターを用い、厚さ2mmのゴム
シート2枚の間に、コードを挟み、150℃で30分
間、50kg/cm2 のプレス圧力で加硫して得られた
シートを50mm幅×500mm長ベルト形状に切断し
荷重25kgをかけ、直径20mmのローラーに取り付
け、120℃の雰囲気下で、120rpmで往復運動さ
せ、50万回繰り返したのち、コードを取り出し残強力
を測定し、疲労時の強力保持率を求めた。
【0034】
【実施例1、比較例1〜2】まず、接着処理剤を次のよ
うに調整した。即ち、デナコールEX−313(グリセ
リンジグリシジルエーテル;ナガセ化成株式会社製)1
7.5gに界面活性剤としてネオコールSW−30(ジ
オクチルスルフォサクシネートナトリウム塩;第一工業
製薬株式会社製)14.5gを加えよくかき混ぜ、溶解
させる。ついで、水656.2gを高速にかき混ぜなが
ら、上記エポキシ溶液をゆっくり加えて分散させる。得
られた配合液を第一処理剤とする。
【0035】また、202.2gの水に10%水酸化ナ
トリウム水溶液6.4g,28%%アンモニア水溶液1
8.8gをを加え、十分撹拌し、更に、酸性触媒で反応
させて得られたレゾルシン・ホルマリン初期縮合体物
(40%アセトン溶液)39.5gを添加して十分に撹
拌し分散させる。次に、水278.0gにニッポールL
X−1562(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体
ゴムラテックス41%水乳化物;日本ゼオン株式会社
製)400.7gをゆっくり撹拌、混合する。この混合
液に上記のレゾルシン・ホルマリン初期縮合物分散液を
ゆっくり撹拌しながら混合し、更に、ホルマリン(37
%)16.4gを添加して混合する。ジメチルポリシロ
キサン水分散液(20%濃度)30g及びヒンダードフ
ェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバ
ガイギー株式会社製)の25%水分散液8gを添加す
る。得られた20%濃度の配合液を第二処理剤とする。
【0036】アラミド繊維(テクノーラ、帝人株式会社
製)1500デニール/1000フィラメントをコンピ
ュートリーター処理機(CAリッツラー株式会社製タイ
ヤコード処理機)を用いて、前記第一処理剤中に浸漬し
た後、130℃で2分間乾燥し、引続き235℃で1分
間熱処理をした。次に、この処理原糸を2本あわせて、
S方向に撚係数2(10.5回/10cm)で加撚し
た。この加撚コード2000m(重量667g)を金属
製の穴空きボビンに巻直し容量40lの真空・加圧含浸
加工機(株式会社日阪製作所製)容器の中に入れ、蓋を
締め、15分間で10torr. の減圧にし、次いで、
20分間かけて、上記第2処理剤を容器中にいれ、更
に、20分間保持してコード中に含浸させる。その後、
減圧を5分間かけて徐々に常圧に戻し、エアコンプレッ
サーを用いて、20kg/cm2 に加圧し、50分間保
った後、常圧に戻す。この後、真空・加圧含浸加工機容
器から過剰の接着剤を取り出し、再び5kg/cm 2
圧して金属ボビンに卷かれたコードから、過剰に付着し
た接着剤を除去する。接着剤含浸コードを取り出し、第
一処理剤と同様の条件で乾燥、熱処理を行った。この時
の接着剤の付着量は20%であった。
【0037】ついで、該含浸撚糸コードをRFL(R/
F=1/2.5モル比、RF/L=1/5重量比、L=
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムラテック
ス;日本ゼオン製、ニポールLX1562)で処理し、
撚糸コードに対する付着率5%になるように調整し、1
30℃で2分間乾燥し、240℃で2分間、緊張下で硬
化加熱処理した。
【0038】得られた接着処理コードの強力を測定し、
次いで、厚さ約2mmのH−NBR配合ゴムシート上に
平行に並べ、更に該コード上に同様のH−NBR配合ゴ
ムシートを重ね合わせ、150℃で30分間、50kg
/cm2 のプレス圧力で加硫し、ゴムシートを得た。こ
のシートをカッターナイフを用いてゴム中に配列したコ
ードの長さ方向に切断し、切断面にコード端面が現れる
ようにした。そして、端面からのアラミド繊維の単糸の
飛び出し状態を目視判定した。また、この端面をサンド
ペーパー(#AA−150)で摩擦し、単糸のホツレ状
態を観察した。評価は(良好)◎→○→△→×(不良)
で判定した。
【0039】更に、前述の方法を用いて、剥離接着力、
引抜接着力及びベルト疲労テスターによる疲労時強力を
測定した。結果を表1に示す。
【0040】第2処理剤を通常の常圧処理(真空・加圧
含浸加工無し)で処理する以外は全て実施例と同様にし
て得られたコードを比較例1、第2処理剤を撚糸する前
に処理し、ついで撚糸する以外は実施例と同様にして得
られたコードを比較例2として、併せて、その結果を表
1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表から明らかなように、アラミド繊維をポ
リエポキシド化合物で処理した後、撚をかけたコードに
RFL含む処理剤を真空・加圧下の条件で含浸加工処理
し、更にRFLで処理したコードは強力が高く、耐疲労
性が著しく向上し、ホツレ性、接着性が良好であること
がわかる。
【0043】
【実施例2、比較例3〜4】接着処理剤の中、第一処理
剤のポリエポキシド処理剤は実施例1と同様に調整し
た。また、第二処理剤のRFLは実施例1の調整法に従
い、NBRラテックスをニポール2518FS(ビニル
ピリジン・スチレン・ブタジエンラテックス41%水乳
化液;日本ゼオン株式会社製)に替えて調整した。ま
た、実施例1と同様に行なった後、第2処理剤と同様に
ニポール2518FS配合のRFLで処理した。
【0044】第2処理剤を通常の常圧処理する以外は全
て実施例と同様にして得られたコードを比較例3、第2
処理剤を繊維状で処理し撚糸する以外はすべて実施例と
同様にして得られた処理コードを比較例4とし、前述の
方法により、クロロプレン(CR)配合ゴムを使用して
処理し、ホツレ性、剥離接着力、引抜接着力、疲労性を
測定した。得られた結果を表2に示す。表から明かなよ
うに、ラテックス種を替えても極めて良好な疲労性、ホ
ツレ性、接着性を示すことがわかる。
【0045】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 77:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に無撚の状態で予めエポキシ基を
    2個以上含むポリエポキシド化合物を含む処理液に含浸
    し、150〜260℃で30〜210秒間熱処理したア
    ラミド繊維を1≦K≦5(K=(T×D1/2 )/287
    4,K;撚係数、T;回/mで表される撚数、D;単糸
    繊度)の範囲内で加撚したアラミド繊維コードにレゾル
    シン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む処
    理液を真空・加圧条件下で含浸せしめた後、150〜2
    60℃で30〜210秒間熱処理し、更に、RFLを含
    む処理剤で処理することを特徴とする動力伝達ベルト用
    アラミド繊維コード。
  2. 【請求項2】 RFL中のゴムラテックスがアクリロニ
    トリルーブタジエン(NBR)及び/または水素添加ア
    クリロニトリルーブタジエン(H−NBR、ニトリル基
    含有高飽和共重合体ゴム)である請求項1に記載の動力
    伝達ベルト用アラミド繊維コード。
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