JPH0610273A - 芳香族ポリアミド繊維の処理方法 - Google Patents

芳香族ポリアミド繊維の処理方法

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JPH0610273A
JPH0610273A JP16485892A JP16485892A JPH0610273A JP H0610273 A JPH0610273 A JP H0610273A JP 16485892 A JP16485892 A JP 16485892A JP 16485892 A JP16485892 A JP 16485892A JP H0610273 A JPH0610273 A JP H0610273A
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Japan
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aromatic polyamide
rubber
polyamide fiber
group
yarn
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JP16485892A
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Tadahiko Takada
忠彦 高田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Publication date
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、芳香族ポリアミド繊維を動
力伝達ベルト補強用繊維として適用する場合に、ベルト
成形時にベルト端面に露出した芳香族ポリアミド繊維の
単糸のホツレを防止し、かつ、芳香族ポリアミド繊維と
マトリックスゴムとの接着性を向上させ、かつ、疲労性
の良好な処理方法を提供することにある。 【構成】 本発明は、芳香族ポリアミド繊維を両末端が
水酸基である分子量500〜10,000の液状ゴムと
両末端がイソシアネート基である分子量500〜10,
000の液状ゴム及び/またはゴム用老化防止剤もしく
は酸化防止剤を含む処理剤で処理し、100〜260℃
で30〜210秒間熱処理し、次いで、0.2≦K≦1
(K=(T×D1/2 )/2874、K;撚係数、T;回
/mで表される撚数、D;デニール)の範囲内で加撚処
理し、次いでこの下撚コードを複数本合わせて、下撚コ
ードと同じ方向に1≦K≦5の範囲で加撚処理した後、
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)を含む
接着剤を付与することを特徴とする芳香族ポリアミド繊
維の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、芳香族ポリアミド繊維
を動力伝達ベルト補強用繊維として適用する場合の処理
方法に関するものである。特に、本発明は、タイミング
ベルト、ローエッジVベルトなど、ベルトの側面からベ
ルト補強用芳香族ポリアミド繊維が露出した形態を有す
るベルトにおいて、筒状で成形され、加硫された芳香族
ポリアミド繊維補強ゴム複合体から輪切り状にカットし
てベルトを成形する際、繊維軸方向にカットされたベル
ト端面に露出した芳香族ポリアミド繊維から単糸がホツ
レず、耐疲労性及びマトリックスゴムとの接着性が良好
な芳香族ポリアミド繊維の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミド繊維は一般に優れた強
力、弾性率、寸法安定性、耐熱性等の特性を有するため
に、過酷な条件下で使用されるタイヤ、ベルト、ホース
等のゴム複合体の優れた補強用繊維として有用である。
特に、比強度、比弾性率が高いために、スチールやワイ
ヤ代替の軽量化補強繊維として、芳香族ポリアミド繊維
はますます期待されている。
【0003】一般に、芳香族ポリアミド繊維をタイミン
グベルトやローエッジVベルト用補強繊維として用いる
場合、予め筒状に成形され、加硫された芳香族ポリアミ
ド繊維補強ゴム複合体から輪切り状にカッターでカット
することによりベルトを成形するが、その際に、カット
面に露出した芳香族ポリアミド繊維から単糸がホツレ、
ベルトの側面から突出することがあり、ベルトとしての
品質が著しく低下する。そのまま、ベルトとしてプーリ
ーにかけて運転すると、この単糸ホツレ部分がプーリー
にこすられホツレた単糸が飛び散ったり、あるいは、こ
のホツレが原因となって、ベルトの耐久性が低下するこ
ともある。
【0004】これらの欠点は、ベルトを生産する行程に
おいて、前記のホツレた各単糸を機械的に取り除いた
り、切断する作業によって防止されているが、このよう
な作業が加わることによって、ベルトの生産性は著しく
低下し、芳香族ポリアミド繊維をこの分野に適応してい
くための大きな障害となっていた。一方、このような芳
香族ポリアミド繊維の欠点を改良するために、芳香族ポ
リアミド繊維を処理剤で処理し、カット時の単糸のホツ
レを防ぐことが試みられたが(特開平1―207480
号公報、特開平4―29644号公報)、芳香族ポリア
ミド繊維の本来有する強力を低下させたり、接着性や耐
久性を損うなど、別の欠点を生じることもあり満足な結
果が得られていない。本発明者も既に芳香族ポリアミド
繊維を両末端が水酸基もしくはエポキシ基である分子量
500〜10,000の液状ゴム(A)と両末端がイソ
シアネート基である分子量500〜10,000の液状
ゴム(B)を含む処理剤で処理し、100〜260℃で
30〜210秒間熱処理し、次いで、1≦K≦5(K=
(T×D1/2 )/2874、K;撚係数、T;回/mで
表わされる撚数、D;デニール)の範囲内で加撚処理
し、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)を
含む接着剤を付与することを特徴とする芳香族ポリアミ
ド繊維の処理方法(特願平3―252792号公報、特
願平3―258753号公報)を提案した。しかし、こ
の方法は確かにカット時のホツレを防止し、マトリック
スとの接着性は改良されたが、なお、コード強力や耐疲
労性に関しては不十分であり、更に、改良の余地が残さ
れていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の事情を
背景としてなされたものであり、その目的は、従来の技
術における課題を解消した動力伝達ベルトを得るための
芳香族ポリアミド繊維の処理方法、すなわち、ベルト成
形時にベルト端面に露出した芳香族ポリアミド繊維の単
糸のホツレを防止し、かつ、マトリックスゴムとの接着
性を向上させることはもちろんのこと、耐疲労性を向上
させる処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、芳
香族ポリアミド繊維の処理方法において、芳香族ポリア
ミド繊維を両末端が水酸基もしくはエポキシ基である分
子量500〜10,000の液状ゴム(A)と両末端が
イソシアネート基である分子量500〜10,000の
液状ゴム(B)及び/または添加剤とを含む処理剤で処
理し、100〜260℃で30〜210秒間熱処理し、
次いで、0.2≦K≦1(K=(T×D 1/2 )/287
4、K;撚係数、T;回/mで表わされる撚数、D;デ
ニール)の範囲内で加撚処理した後、この下撚コードを
複数本集めて下撚コードと同じ方向に更に、1≦K≦5
の範囲内で加撚し、接着剤を付与することを特徴とする
芳香族ポリアミド繊維の処理方法である。
【0007】本発明における芳香族ポリアミド繊維と
は、芳香族ポリアミドヒドラジド繊維を含む芳香族環を
有する繰り返し単位が全体の少くとも80%以上を占め
る重合体からなる繊維を意味する。例えば、下記の一般
式で表わされる繰り返し単位のうちの1種または2種以
上からなる重合体、または、共重合体からなる繊維をあ
げることができる。
【0008】
【化1】
【0009】ここで、R1 ,R2 は同一でも相異なって
もよく、水素原子、炭素数5以下のアルキル基から選ば
れる。炭素数5以下のアルキル基としてはメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げら
れるが、好ましくは水素原子である。また、Arとして
は、下記一般式を例示することができる。
【0010】
【化2】
【0011】芳香族環としては例えば1,4―フェニレ
ン基、1,3―フェニレン基、4,4′―ビフェニレン
基、1,5―ナフチレン基、2,6―ナフチレン基、
2,5―ピリジレン基等を挙げることができるが、好ま
しくは1,4―フェニレン基が選ばれる。
【0012】芳香族環は、例えばハロゲン基(例えば塩
素、臭素、フッ素)、低級アルキル基(メチル基、エチ
ル基、イソプロピル基、n―プロピル基)、低級アルコ
キシ基(メトキシ基、エトキシ基)、シアノ基、アセチ
ル基、ニトロ基等を置換基として含んでいてもよい。
【0013】これらの重合体、または、共重合体からな
る繊維の代表例として、ポリパラアミノベンズアミド、
ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリパラアミノベ
ンズヒドラジドテレフタルアミド、ポリテレフタル酸ヒ
ドラジド、ポリメタフェニレンイソフタラミド等、もし
くはこれらの共重合体からなる繊維をあげることができ
る。
【0014】本発明で用いる液状ゴムは分子末端に官能
基をもつテレキーリック液状ゴムとよばれるものであ
り、両末端が水酸基もしくはエポキシ基である分子量が
500から10,000の液状ゴムとしては1,2型、
1,4型もしくは両者の混合型のポリブタジエン、ポリ
イソプレン、ポリクロロプレン、ポリ―1,3―ペンタ
ジエン、ポリシクロペンタジエンなどを挙げることがで
きる。また、両末端がイソシアネート基である分子量が
500〜10,000の液状ゴムも両末端が水酸基もし
くはエポキシ基である液状ゴムと同種類の基本化学構造
を有するものを挙げることができる。水酸基とイソシア
ネートとの反応触媒としてジブチルチンジラウレートを
加えてもよい。
【0015】添加剤として使用できるゴム用老化防止剤
としては、アルデヒド・アミン反応生成物が挙げられる
が、その代表例としてはアルドールと1ナフチルアミン
の縮合体物を挙げることができるし、ケトン・アミン反
応生成物として2,2,4―トリメチル―1,2―ジヒ
ドロキノリン重合物がある。また、アミン系化合物とし
ては、N,N′―ジナフチル―p―フェニレンジアミン
が代表例である。フェノール化合物としては、スチレン
化フェノール、2,6―ジ―t―ブチルメチルフェノー
ル、2,2′―メチレンビス(4―メチル―6―t―ブ
チルフェノール)、4,4′―チオビス(3―メチル―
6―t―ブチルフェノール)が挙げられる。
【0016】また、酸化防止剤の種類としては、ヒンダ
ードフェノール系、アミン系、リン系及び硫黄系化合物
を挙げることができる。代表的な例としては、ヒンダー
ドフェノール系化合物では、トリエチレングリコール―
ビス[3―(3―t―ブチル―6―メチル―4―ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]、1,6―ヘキサンジ
オール―ビス[3―(3,5―ジ―t―ブチル―4―ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4―ビス―
(n―オクチルチオ)―6―(4―ヒドロキシ―3,5
―ジ―t―ブチルアニリノ)―1,3,5―トリアジ
ン、ペンタエリスリチル―テトラキス[3―(3,5―
ジ―t―ブチル―4―ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]、2,2―チオ―ジエチレンビス[3―(3,5
―ジ―t―ブチル―4―ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、オクタデシル―3―(3,5―ジ―t―ブチ
ル―4―ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,
N′―ヘキサメチレンビス(3,5―ジ―t―ブチル―
4―ヒドロキシ―ヒドロシンナマミド)、1,3,5―
トリメチル―2,4,6―トリス(3,5―ジ―t―ブ
チル―4―ヒドロキシベンジル)ベンゼン等を挙げるこ
とができる。また、分子中に、硫黄や燐を含んだヒンダ
ード系フェノール化合物としては2,2―チオビス(4
―メチル―6―t―ブチルフェノール)や3,5―ジ―
t―ブチル―4―ヒドロキシベンジルフォスフォネート
―ジエチルエステル等がある。
【0017】アミン系酸化防止剤の代表はN,N′―ジ
―sec―ブチル―p―フェニレンジアミン、アルキル
化ジフェニルアミン等がある。
【0018】リンを含むホスファイト系酸化防止剤とし
ては、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリフェ
ニルフォスファイト、トリス(2,4―ジ―t―ブチル
フェニル)フォスファイト等が挙げられる。また、硫黄
系酸化防止剤としては、ジブチル―3,3′―チオジプ
ロピオネート、ジミスチル―3,3′―チオジプロピオ
ネート、ジステアリル―3,3′―チオジプロピオネー
ト、ペンタエリスリチル―テトラキス―(3―ラウリル
チオプロピオネート)、ジトリデシル―3,3′―チオ
ジプロピオネート等がある。
【0019】第3成分として、エポキシ化合物を混合し
て用いることもできる。エポキシ化合物としては、1分
子中に少なくとも、2個以上のエポキシ基を該化合物1
00g当り0.2g当量以上含有する化合物であり、エ
チレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペン
タエリスリトール、ポリエチレングリコール等の多価ア
ルコール類とエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エ
ポキシド類との反応生成物、レゾルシン・ビス(4―ヒ
ドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホル
ムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂
等の多価フェノール類と前記ハロゲン含有エポキシド類
との反応生成物、過酢酸または過酸化水素等で不飽和化
合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、すなわ
ち3,4―エポキシシクロヘキセンエポキシド、3,4
―エポキシシクロヘキシルメチル―3,4―エポキシシ
クロヘキセンカルボキシレート、ビス(3,4―エポキ
シ―6―メチル―シクロヘキシルメチル)アジペート等
を挙げることができる。これらのうち、特に多価アルコ
ールとエピクロルヒドリンとの反応生成物、すなわち多
価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物が優れた
性能を発現するので好ましい。
【0020】両末端が水酸基もしくはエポキシ基である
液状ゴム(A)と両末端がイソシアネートである液状ゴ
ム(B)及び/または添加剤(C)からなる処理剤の芳
香族ポリアミド繊維への付与は、実質的に無撚の状態で
行うのが好ましい。これは各単糸へ液状ゴムを均一に付
着させるためである。一旦、撚をかけて液状ゴムを付与
させると、コード内部への浸透性が不十分になり易く、
単糸に均一に付着せず、集束性も不良となりやすい。そ
れ故、芳香族ポリアミド繊維への液状ゴムの付与は実質
的に無撚で行うのが好ましい。
【0021】前記、両末端が水酸基もしくはエポキシ基
である液状ゴム(A)及び両末端がイソシアネート基で
ある液状ゴム(B)との混合比は0.5≦(A)/
(B)≦4(重量比)の範囲が好ましい。両末端が水酸
基である液状ゴムが多いと芳香族ポリアミド繊維の粘着
性が増し、強力は十分に発現するが、マトリックスゴム
との接着性が発現しないし、ホツレ防止の効果も不十分
である。逆に、両末端がイソシアネートである液状ゴム
が多いと処理された芳香族ポリアミド繊維が硬くなり、
撚糸の際の強力利用率が低くなるため、得られるコード
は低強力となり好ましくない。芳香族ポリアミド繊維に
対する付着率は、1〜25%が好ましい。更に好ましく
は5〜20%である。1%より付着率が低いと芳香族ポ
リアミド繊維を動力伝達ベルトの補強繊維として使用し
た場合にベルト端面から露出した単糸がホツレてしまう
ことがあるし、逆に25%より多いと、処理した芳香族
ポリアミド繊維を撚糸する際の強力利用率が低くなり十
分に強力を発現しない。
【0022】また、添加剤(C)は0.005≦(C)
/[(A)+(B)]≦0.05になるように添加され
る。好ましくは0.01≦(C)/[(A)+(B)]
≦0.03である。
【0023】エポキシ化合物(D)を添加する場合は、
0.01≦(D)/[(A)+(B)+(C)]≦0.
10に調整するのが好ましい。
【0024】前記の両末端が水酸基もしくはエポキシ基
である液状ゴム(A)と両末端がイソシアネートである
液状ゴム(B)及び/または添加剤(C)との混合物を
芳香族ポリアミド繊維に付与し、引続き、150〜25
0℃で30〜210秒間処理する。好ましくは60〜1
80秒間である。処理温度が150℃未満で30秒間よ
り短いと反応が十分に進まず集束効果が乏しく、単糸が
ホツレる原因となり、ゴムマトリックスとの接着性も低
くなる。また、処理温度が250℃を越えて、210秒
間より長い時間処理すると、反応が進み過ぎて、芳香族
ポリアミド繊維が著しく硬くなるため、撚糸後のコード
強力が低下する原因となり、動力伝達ベルト用補強繊維
として好ましくない。
【0025】このようにして処理された芳香族ポリアミ
ド繊維は、引続き0.2≦K≦1(K=(T×D1/2
/2874、但し、Kは撚係数であり、Tは1m当りの
撚数、Dはデニールを表す)を満足する条件で加撚処理
される。次いで、下撚を複数本集めて下撚と同じ方向に
1≧K≧5に加撚する。下撚係数が0.2より少いと動
力伝達ベルト用補強材として使用した場合に、端面がホ
ツレることがあり、かつ疲労性改良効果も少ない。逆
に、下撚係数が1より大きいと強力低下が大きくなる。
【0026】次いで、加撚された芳香族ポリアミド繊維
はRFLを含む接着剤で処理される。RFLはレゾルシ
ンとホルムアルデヒドとのモル比が1:0.1〜1:8
が好ましい。更に好ましくは1:0.5〜1:5、更に
好ましくは1:1〜1:4の範囲で用いられる。
【0027】ゴムラテックスとしては、例えば天然ゴム
ラテックス、スチレン・ブタジエン・コポリマーラテッ
クス、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン・ターポ
リマーラテックス、ニトリルゴムラテックス、水素添加
ニトリルゴムラテックス、クロロスルフォン化ポリエチ
レンラテックス、クロロプレンゴムラテックス等があ
り、これらを単独または併用して使用される。ラテック
スの種類は使用されるゴムラテックスに合わせて選択さ
れる。また、RFL中に特公昭57―53912号公報
に示されるように一般式
【0028】
【化3】
【0029】(式中R′は芳香族または脂肪族の炭化水
素残基、nは0、1または2)で表されるエチレン尿素
化合物を加えて使用してもよい。エチレン尿素化合物
は、通常水分散液の形で、RFLに対して0.5〜30
重量%添加する。RFLで処理された後、更にゴム糊で
処理してもよい。
【0030】RFL処理後、80〜150℃で、0.5
〜300秒間乾燥後、150〜260℃で、0.5〜5
分間熱処理し硬化させるのが望ましい。撚糸コードに対
するRFLの付着量は1〜10%に調整される。
【0031】このように芳香族ポリアミド繊維を、本発
明の処理方法で処理することにより、芳香族ポリアミド
繊維補強動力伝達ベルトの端面からの単糸のホツレを防
止することができ、かつ、マトリックスゴムとの接着力
が向上し、かつ、コード強力も高く、耐疲労性も良好と
なる。これは、両末端が水酸基もしくはエポキシ基であ
る液状ゴムと両末端がイソシアネートである液状ゴムと
が反応することにより、凝集力の高いウレタン皮膜が形
成され、この皮膜が芳香族ポリアミド繊維の単糸を強固
に接着させるためにホツレ防止性が良好になるものと推
定される。一方、接着性はウレタン結合もしくは末端基
にRFLが反応するか、ウレタンに含まれる二重結合と
RFLとの相互架橋、もしくはRFLとの濡れ性が改良
されるために良好な結果が得られるものと推定される。
また、ゴム用老化防止剤や酸化防止剤などの添加剤の作
用は、液状ゴムに含まれる二重結合が熱処理を受けるこ
とにより劣化し、その結果、液状ゴム反応生成物が分子
間架橋し硬くなったり、二重結合の数が低下することに
よって引き起こされると推定される加撚時の強力低下、
接着性低下や疲労性低下を防止する効果が考えられる。
【0032】一方、予め下撚をかけることにより、引き
揃えが十分に行なわれるために、コード強力が高くな
り、疲労時にかかる繰り返しの応力が均一にかかること
により疲労性が向上するものと推定される。下撚により
コードが十分に締まるために、耐ホツレ性も更に良好に
なる。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法により処理した芳香族ポリ
アミド繊維は、強力の低下が少なく、また、動力伝達ベ
ルトを成形後にベルト端面からの単糸のホツレを生じる
ことなく、接着性及び疲労性が極めて良好である。
【0034】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明する。
【0035】なお、実施例において、ホツレ性、コード
剥離接着力、T接着力、疲労時強力保持率は次のように
して求めた値である。
【0036】(1)ホツレ性 厚さ約2mmのゴムシート2枚の間に本発明のホツレ処理
を施し、所定の条件で下撚及び上撚をかけた芳香族ポリ
アミドコードを平行に並べて挟み、150℃で30分
間、50kg/cm2 のプレス圧力で加硫し、ゴムシートを
得た。このシートをカッターナイフを用いてゴム中に配
列したコードの長さ方向に切断し、切断面にコード端面
が現れるようにした。そして、端面からの芳香族ポリア
ミド繊維の単糸の飛び出し状態を目視判定した。また、
この端面をサンドペーパー(#AA―150)で摩擦
し、単糸のホツレ状態を観察した。評価は(良好)◎+
→◎→○→△→×(不良)で判定した。
【0037】(2)コード剥離接着力 処理コードとゴムとの剥離接着力を示すものである。ゴ
ムシート表層近くに7本のコードを埋め、150℃で3
0分間、50kg/cm2 のプレス圧力で加硫し次いで両端
の2本のコードを取り除き残りの5本のコードをゴムシ
ートから200mm/min の速度で剥離するのに要した力
をkg/5本で表示した。
【0038】(3)T接着力 処理コードとゴムとの剪断接着力を示すものである。コ
ードをゴムブロック中に埋め込み、150℃で30分
間、50kg/cm2 のプレス圧力で加硫し、次いでコード
をゴムブロックから200mm/min の速度で引き抜き、
引抜きに要した力をkg/cmで表示した。
【0039】(4)疲労時強力保持率 耐疲労性をあらわす尺度である。ベルト式疲労テスター
を用い、厚さ2mmのゴムシート2枚の間に、コードを挟
み、150℃で30分間、50kg/cm2 のプレス圧力で
加硫して得られたシートを50mm巾×500mm長のベル
ト形状に切断したテストサンプルに荷重25kgをかけ、
20mmφのローラーに取り付け、120℃の雰囲気下
で、120rpmで往復運動させ、50万回繰り返した
のち、テストサンプルからコードを取り出し残強力を測
定し、疲労時の強力保持率を求めた。
【0040】
【実施例1〜5、比較例1】芳香族ポリアミド繊維とし
て帝人(株)製“テクノーラ(登録商標)”タイプT―
200(1500デニール/1000フィラメント)を
用いた。両末端が水酸基である液状ゴム(A)として、
分子量が3000の液状1,2型ポリブタジエングリコ
ール(日本曹達工業(株)製 G―3000)、両末端
がイソシアネート基である液状ゴム(B)として、液状
1,2型ポリブタジエンジイソシアネートのメチルエチ
ルケトン(MEK)50%溶液(日本曹達工業(株)製
TP1001)の所定量を秤量し、トルエンに溶解し
た。次いで、ゴム用老化防止剤として2,2,4―トリ
メチル―1,2―ジヒドロキノリン重合物(住友化学工
業(株)製 アンチゲンRD―G)を液状ゴム(A)
(B)のトータル量に対して1%添加した。更に、グリ
セリンジグリシジルエーテル(ナガセ化成(株)製EX
313)を同様に5%加えた。トルエン溶液として濃度
20%になるように表1に示す処理液を調整した後、テ
クノーラ繊維を浸漬処理した。処理液の繊維に対する付
着率は約10%になるように絞り圧を調節した。乾燥は
150℃で2分間行い、次いで、250℃で1分間硬化
させた。その後、この処理されたテクノーラ原糸を表1
に示す所定の撚係数で加撚し、更に、この下撚コードを
2本合わせて下撚と同方向に撚係数2で加撚した。
【0041】次いで、該撚糸コードをRFL(R/F=
1/6モル比、RF/L=1/5重量比、L=ビニルピ
リジン―スチレン―ブタジエン共重合体ゴムラテック
ス)で処理し、撚糸コードに対する付着率5%になるよ
うに調整し、130℃で2分間乾燥し、240℃で2分
間硬化加熱処理した。
【0042】得られた接着処理コードを厚さ約2mmのク
ロロプレン(CR)ゴムシート上に平行に並べ、更に該
コード上に同様のCRゴムシートを重ね合わせ、150
℃で30分間、50kg/cm2 のプレス圧力で加硫し、ゴ
ムシートを得た。このシートをカッターナイフを用いて
ゴム中に配列したコードの長さ方向に切断し、切断面に
コード端面が現れるようにした。そして、端面からの芳
香族ポリアミド繊維の単糸の飛び出し状態を目視判定し
た。また、この端面をサンドペーパー(#AA―15
0)で摩擦し、単糸のホツレ状態を観察した。評価は
(良好)◎+ →◎→○→△→×(不良)で判定した。
【0043】次いで、前述の方法を用いて、剥離接着
力、T接着力及びベルト疲労テスターによる疲労時強力
を測定した。結果を表1に示す。
【0044】比較例1として、下撚をかけないことを除
き、その他は実施例と全く同様に処理して得られたコー
ドの諸特性を測定した。併せて、その結果を表1に示
す。
【0045】
【表1】
【0046】表1から明らかなように、下撚をかけるこ
とにより芳香族ポリアミド繊維のホツレ防止性、接着
性、耐疲労性は良好であることがわかる。特に、耐疲労
性の著しい向上が特徴である。
【0047】
【実施例6〜10、比較例2】両末端水酸基である液状
ゴム(A)の代わりに両末端がエポキシ基である液状ゴ
ムとして分子量が3000の液状1,4型エポキシ化ポ
リブタジエン(ナガセ化成工業(株)製 R―45EP
T)を用いる以外は実施例1〜5と同様の方法で処理し
た。また、比較例2として下撚をかけないことを除き、
その他は実施例6〜10と全く同様に処理して得られた
コードの諸特性を測定した。併せて、その結果を表2に
示す。
【0048】
【表2】
【0049】表2から明らかなように、下撚をかけるこ
とにより芳香族ポリアミド繊維のホツレ性、接着性、耐
疲労性が良好である。特に、耐疲労性の向上が顕著であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 15/41 // B29D 29/00 7179−4F D06M 101:34

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリアミド繊維を両末端が水酸基
    もしくはエポキシ基である分子量500〜10,000
    の液状ゴム(A)と両末端がイソシアネート基である分
    子量500〜10,000の液状ゴム(B)及び/また
    は添加剤とを含む処理剤で処理し、100〜260℃で
    30〜210秒間熱処理し、次いで、0.2≦K≦1
    (K=(T×D1/2 )/2874、K;撚係数、T;回
    /mの撚数、D;デニール)の範囲内で加撚処理し、次
    いでこの下撚コードを複数本合わせて、下撚コードと同
    じ方向に1≦K≦5の範囲で加撚処理した後、レゾルシ
    ン・ホルマリン・ラテックス(RFL)を含む接着剤を
    付与することを特徴とする芳香族ポリアミド繊維の処理
    方法。
  2. 【請求項2】 添加剤がアルデヒド・アミン反応生成
    物、ケトン・アミン反応生成物、アミン系化合物、ジブ
    チルジチオカルバミン酸ニッケルからなる群から選ばれ
    る1以上の老化防止剤である請求項1に記載の芳香族ポ
    リアミド繊維の処理方法。
  3. 【請求項3】 添加剤が酸化防止剤である請求項1に記
    載の芳香族ポリアミド繊維の処理方法。
JP16485892A 1991-09-05 1992-06-23 芳香族ポリアミド繊維の処理方法 Pending JPH0610273A (ja)

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US07/936,614 US5246735A (en) 1991-09-05 1992-08-27 Process for producing rubber-reinforcing aromatic polyamide multifilament yarn
EP92114943A EP0537462A1 (en) 1991-09-05 1992-09-02 Process for producing rubber-reinforcing aromatic polyamide multifilament yarn

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH115638A (ja) * 1997-04-17 1999-01-12 Lexmark Internatl Inc 紙移送ローラとそれを用いた紙の移送方法
JP2013241697A (ja) * 2012-05-21 2013-12-05 Mitsuboshi Belting Ltd アラミド心線及び伝動ベルト

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JPH115638A (ja) * 1997-04-17 1999-01-12 Lexmark Internatl Inc 紙移送ローラとそれを用いた紙の移送方法
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