JP2009113287A - 転写シート及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】離型性シートと、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物で形成された保護層と、プライマー層と、接着層とがこの順で積層されてなる転写シートにおいて、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、側鎖に光重合性官能基を有する重量平均分子量3000〜1000000の(共)重合体(A)と、シリカゾル及び/又はシリケート(B)とからなる有機無機複合樹脂組成物を含有し、該プライマー層が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂及び/又はフェノキシ樹脂を含むことを特徴とする転写シート。
【選択図】なし
Description
本発明はまた、この転写シートを用いた表面保護成形品の製造方法を提供することを課題とする。
Zは水素原子又はグリシジル基を表し、mは1〜100の整数を表す。)
なお、本発明において、「(共)重合体」とは「重合体及び/又は共重合体」を意味する。また、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。「(メタ)アクリレート」についても同様である。
本発明の転写シートは、離型性シートと、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物で形成された保護層と、プライマー層と、接着層とがこの順で積層されてなるものであるが、必要に応じて、更にプライマー層と接着層との間に絵柄層及び/又は金属蒸着層を有するものであってもよい。
離型性シートの構成材料としては特に制限はないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、フッ素樹脂等の樹脂シートを使用することができる。
離型性シートの厚みは1.0〜100μmが好ましく、さらに好ましくは10〜50μmである。離型性シートの厚みが薄過ぎると強度が不足するために、この上に保護層を形成する際や離型性シートを剥離する際の取り扱い性に劣るものとなり、厚過ぎると射出成形時の金型への追従性が劣る。
保護層を構成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、側鎖に光重合性官能基を有する重量平均分子量3000〜1000000の(共)重合体(A)と、シリカゾル及び/又はシリケート(B)とからなる有機無機複合樹脂組成物と、必要に応じて配合される多官能アクリレート(C)、光重合開始剤及び各種添加剤を含む。
有機無機複合樹脂組成物を構成する、側鎖に光重合性官能基を有する重量平均分子量3000〜1000000の(共)重合体(A)は、例えば、下記の不飽和単量体の1種を重合して得られた重合体、及び/又は、下記の不飽和単量体の2種以上を共重合して得られた共重合体に、後述の(i)〜(iii)の方法で光重合性官能基を導入して得ることができる。
(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、i−ステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、3−エポキシ(メタ)アクリレート、3、4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3、4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、スチレン、無水マレイン酸
(i)エポキシ基を有する単量体の(共)重合体にカルボキシル基及び/又は水酸基を有する単量体を付加反応させる。
(ii)水酸基を有する単量体の(共)重合体にカルボキシル基を有する単量体を縮合反応させる。
(iii)カルボキシル基を有する単量体の(共)重合体に水酸基を有する単量体を縮合反応させる、またはエポキシ基を有する単量体を付加反応させる。
また、水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
また、エポキシ基を有する単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらはいずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカゾルとしては例えば、水、メタノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジメチルアセトアミド、キシレン及びこれらの混合溶剤を分散媒とし、粒子径が5〜30nmのシリカを、その固形分として10〜40重量%含有するシリカゾルが好ましい。特に、有機溶剤に分散したシリカゾルを利用すると、塗膜とした場合に、高い透明性を発現するので好ましい。代表的には水酸基を有する溶剤、又はケトン基を有する極性溶媒に分散したオルガノシリカゾルを用いることが好ましい。具体的には、「IPA−ST」(IPA分散オルガノシリカゾル、日産化学)、「MEK−ST」(MEK分散オルガノシリカゾル、日産化学)、「MIBK−ST」(MIBK分散オルガノシリカゾル、日産化学)等、又はこれらを原料に他の水酸基を有する溶剤に溶媒置換したゾル(例えばPGM分散オルガノシリカゾル等)を挙げることができる。
この場合、メルカプト基が(共)重合体(A)の生成過程において反応してスルフィド結合が形成し、一方、アルコキシシリル基はシリカゾル及び/又はシリケート(B)と結合する。これにより、(共)重合体(A)と、シリカゾル及び/又はシリケート(B)とがスルフィド結合を介して結合した有機無機複合樹脂組成物が得られる。
有機無機複合樹脂組成物中の、側鎖に光重合性官能基を有する(共)重合体(A)とシリカゾル及び/又はシリケート(B)の固形分との割合は重量比で90/10〜10/90の範囲が好ましく、80/20〜30/70の範囲がさらに好ましい。
この範囲よりも(共)重合体(A)の割合が多いと硬度、耐擦傷性が不十分であり、少ないと保護層が脆くなり成形時にクラックが発生する。
本発明に係る活性エネルギー線硬化性組成物には、形成される被膜の耐摩耗性をさらに向上させる目的で、溶剤を乾燥した後の塗膜形成性を阻害しない範囲で、2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート(C)を含有させることができる。この多官能アクリレートとしては、少ない添加量で耐摩耗性を向上するために、分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートが好ましい。
本発明に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、活性エネルギー線を照射されることによってラジカル等を発生する光重合開始剤を含有させることができる。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、好ましい光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、硬化被膜物性を改良する目的で、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系紫外線吸収剤)、紫外線安定剤(例えば、ヒンダードアミン系紫外線安定剤)、酸化防止剤(例えば、フェノール系、硫黄系、リン系酸化防止剤)、ブロッキング防止剤、レベリング剤等のこの種の組成物に配合される種々の添加剤を、被膜形成成分の全固形分重量に対し、それぞれ0.01〜2重量%の割合で配合することができる。
前述の離型性シート上に保護層を形成するには、上述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を離型性シート上に供給して膜形成すればよい。この場合、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、適度な粘度となるように、適当な有機溶剤を用いて、固形分濃度が0.1〜40重量%程度となるように調製される。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プライマー層は、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂及び/又はフェノキシ樹脂で構成される。
Zは水素原子又はグリシジル基を表し、mは1〜100の整数を表す。)
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
接着層は被転写体への接着性を向上するために設けられる層であり、被転写体の材質に合わせて接着層を選定するのが好ましい。
例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ブチラール系樹脂、ゼラチン、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂から適切な軟化温度を有するものが選択される。
この接着層の厚みは0.1〜50μmが好ましく、さらに好ましくは1〜10μmである。接着層が上記範囲より薄い場合には接着層の接着性が劣り、上記範囲を超えると転写成形時の箔切れ性が低下する。
本発明の転写シートにおいては、プライマー層と接着層との間に絵柄層及び/又は金属蒸着層を形成してもよい。
本発明に係る保護層、プライマー層、接着層の形成に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、3−メトキシプロピルアセタート等のエーテルエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の転写シートはその目的、用途により任意の成形法により任意の形状に成形することができる。具体的には、該転写シートを適当な温度、例えば40〜150℃に加熱後、真空成形、真空圧空成形、圧空成形、マット成形、射出成形等の方法を用いて、転写シート全体を所望の形状に成形することができる。また、干渉縞等の凸凹形状をCDやレコードの表面に加工して複製するのと同様の方法で、転写シート上にエンボス成形することもできる。
本発明の転写シートは、被転写対象物に転写シートの接着層を介して接着し、その後離型性シートを剥離除去した後、保護層に活性エネルギー線を照射させて硬化させることにより、耐摩耗性等に優れた高硬度の表面保護被膜を形成する用途に用いられる。
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル139.5g、グリシジルメタクリレート90g、メチルメタクリレート1.0g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン2.0g、及び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.93gを入れ、65℃で3時間反応させ、さらに2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.47gを加え3時間反応させた。次に、アクリル酸45.6g、トリフェニルホスフィン1.45g、p−メトキシフェノール0.36g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル68.4gを添加して、110℃で10時間反応させてアクリロイル基とメトキシシリル基を有する、重量平均分子量20000でアクリロイル当量(アクリロイル基の導入量)4.57mmol/gの共重合体を得た。得られた共重合体にイソプロピルアルコールを分散媒とするシリカゾル(日産化学社製 商品名:IPA−ST)308.0g(固形分30重量%)、水0.5g、及びアセチルアセトンアルミニウム0.1gを添加して70℃で4時間反応させることにより、共重合体にメトキシシリル基を介してシリカゲルを結合させた。反応終了後、プロピレングリコールモノメチルエーテル115.5gを加えて活性エネルギー線硬化性樹脂液(a−1)(固形分30重量%)を得た。
温度計、攪拌機および還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル139.5gに、グリシジルメタクリレート90g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.0g、及び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.93gを入れ、65℃で3時間反応させ、さらに2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.47gを加え3時間反応させた。次に、アクリル酸45.6g、トリフェニルホスフィン1.45g、p−メトキシフェノール0.36g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル68.4gを添加して110℃で10時間反応させてアクリロイル基とメトキシシリル基を有する、重量平均分子量18000でアクリロイル当量(アクリロイル基の導入量)4.57mmol/gの共重合体を得た。得られた共重合体にメチルエチルケトンを分散媒とするシリカゾル(日産化学社製 商品名:MEK−ST)154g(固形分30重量%)、水0.5g、及びアセチルアセトンアルミニウム0.1gを添加して70℃で4時間反応させることにより、共重合体にメトキシシリル基を介してシリカゲルを結合させた。反応終了後、プロピレングリコールモノメチルエーテル115.5gを加えて活性エネルギー線硬化性樹脂液(a−2)(固形分30重量%)を得た。
温度計、攪拌機および還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル139.5g、グリシジルメタクリレート85.5g、イソボルニルメタクリレート4.5g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.0g、及び2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.47gを入れ、65℃で3時間反応させ、さらに2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.47gを加えて3時間反応させた。次に、アクリル酸44.2g、トリフェニルホスフィン1.45g、p−メトキシフェノール0.36g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル66.3gを添加して110℃で10時間反応させてアクリロイル基とメトキシシリル基を有する、重量平均分子量13000でアクリロイル当量(アクリロイル基の導入量)4.47mmol/gの共重合体を得た。得られた共重合体にメチルエチルケトンを分散媒とするシリカゾル(日産化学社製 商品名:MEK−ST)304.89g(固形分30重量%)、水0.5g、及びアセチルアセトンアルミニウム0.1gを添加して70℃で4時間反応させることにより、共重合体にメトキシシリル基を介してシリカゲルを結合させた。反応終了後、メチルエチルケトン114.33gを加えて活性エネルギー線硬化性樹脂液(a−3)(固形分30重量%)を得た。
合成例3と同様にして得られたアクリロイル基とメトキシシリル基を有する共重合体に、メチルエチルケトンを分散媒とするシリカゾル(日産化学社製 商品名:MEK−ST)152.44g(固形分30重量%)、水0.5g、及びアセチルアセトンアルミニウム0.1gを添加して70℃で4時間反応させることにより、共重合体にメトキシシリル基を介してシリカゲルを結合させた。反応終了後、メチルエチルケトン114.33gを加えて活性エネルギー線硬化性樹脂液(a−4)(固形分30重量%)を得た。
なお、各項目の測定方法は次の通りである。
活性エネルギー線硬化性樹脂液(a−1)〜(a−4)のいずれか1種と、必要に応じて分子内に3個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレートであるDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)又はTAEI(トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート)と、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・スペシャリティー・ケミカル製 商品名:イルガキュア184)とを、表3に示す割合で均一に配合して活性エネルギー線硬化性組成物を調製した。
この保護層の上に表1に示すプライマー溶液を乾燥後膜厚が2μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、80℃で2分間加熱乾燥して、プライマー層を形成した。このプライマー層の上に、接着剤溶液を乾燥後の膜厚が1μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、80℃で2分間加熱乾燥して接着層を形成し、転写シートを得た。
このようにして、アクリル板に転写シートの転写する際に、その前後で、以下の評価を行って、結果を表3に示した。
得られた転写シートをアクリル板に熱転写してポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、UV照射前に、指触によりタックの有無を確認し、転写膜に指紋が付着または指に転写膜が付着するものを不良(×)、付着のないものを良(○)とした。
得られた転写シートをアクリル板に熱転写してポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、UV照射前に、転写膜に100枡の碁盤目の切込みを入れ、ニチバン社製セロハンテープを密着させた後引き剥がし、転写膜の残存率が100/100であったものを良(○)、剥離したものを不良(×)とした。
UV照射後に、転写膜に100枡の碁盤目の切込みを入れ、ニチバン社製セロハンテープを密着させた後引き剥がし、転写膜の残存率が100/100であったものを良(○)、剥離したものを不良(×)とした。
UV照射後に、転写膜付きアクリル板を23℃、相対湿度60%の恒温室に24時間放置した後、転写膜の透明性をJIS K−7105に従って、ヘイズ値(H%)で評価した。
UV照射後の転写膜表面に対して、摩耗輪(Calibrase社製:CS−10F)を用いて、荷重500gで100回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘイズ値とテーバー摩耗試験前のヘイズ値との差ΔH%を測定することによって、耐摩耗性を評価した。このΔH%が小さい程、耐摩耗性に優れる。
実施例1で調製した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、厚さ2mmの透明なポリカーボネート板に、バーコーターを用いて乾燥後の塗膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間加熱乾燥した後、ヒーター温度400℃で70秒加熱後、絞り比(H/D)0.2で真空成形し、次いで紫外線を照射してハードコート処理ポリカーボネート成形品を得た。
この結果から、この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、優れた耐摩耗性表面を与えるだけでなく、成形加工性にも優れていることが確認された。
実施例1で調製した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、バーコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚が10μmとなるように塗布した。塗膜を100℃で2分間加熱乾燥した後、塗膜の上にグラビア印刷法で絵柄印刷し、さらにヒートシール用のアクリル系接着剤(ホットスタンプ剤)を塗工した。ポリカーボネート板の上に、前記アクリル系接着剤面を下にしてフィルム面側から熱ロールにて加温後、ポリエチレンテレフタレートフィルム側より紫外線を照射した。次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、ハードコート層が表面に転写形成されたポリカーボネート板を得た。この結果から、この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、優れた耐摩耗性表面を与えるだけでなく、印刷、転写の加工性にも優れていることが確認された。
実施例1で調製した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、バーコーターを用いて乾燥後の塗膜厚が10μmとなるように塗布し、100℃で2分間加熱乾燥した。その後、塗膜上にレーザー光を用いて作ったマスターホログラムから引き続き作製したプレススタンパーにより150℃で加熱プレスして微細な凸凹層を形成させた。次いで、紫外線を照射して凸凹層が形成された塗膜を硬化させた。更に、真空蒸着法によりアルミニウム層をこの上に蒸着し、ヒートシール用のアクリル系接着剤(ホットスタンプ剤)を塗工した後、クレジットカードの上に、前記アクリル系接着剤面を下にして載置し、ポリエステル樹脂面側から熱ロールにて熱転写を行い、次いで、フィルムを剥し、クレジットカードの上にホログラムを形成した。この結果から、この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は優れた耐摩耗性表面を与えるだけでなく、スタンパー加工および転写の加工性に優れていることが確認された。
Claims (6)
- 離型性シートと、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物で形成された保護層と、プライマー層と、接着層とがこの順で積層されてなる転写シートにおいて、
該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、側鎖に光重合性官能基を有する重量平均分子量3000〜1000000の(共)重合体(A)と、シリカゾル及び/又はシリケート(B)とからなる有機無機複合樹脂組成物を含有し、該プライマー層が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂及び/又はフェノキシ樹脂を含むことを特徴とする転写シート。
Zは水素原子又はグリシジル基を表し、mは1〜100の整数を表す。) - 請求項1において、前記プライマー層を形成するエポキシ樹脂及び/又はフェノキシ樹脂が軟化点50℃以上で、溶解度パラメータ(SP値)10以下の有機溶剤100gに5g以上溶解することを特徴とする転写シート。
- 請求項1又は2において、前記(共)重合体(A)と、シリカゾル及び/又はシリケート(B)とがスルフィド結合を介して結合してなることを特徴とする転写シート。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート(C)を含有することを特徴とする転写シート。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の転写シートを、射出成形金型の型面に、前記離型性シート側が型面に積層されるように配置した後、該金型のキャビティ内に熱可塑性樹脂を射出充填する射出成形工程と、射出成形により得られた、表面に前記転写シートが接着した成形品から前記離型性シートを剥離した後、前記保護層に活性エネルギー線を照射する硬化工程とを備えることを特徴とする表面保護成形品の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の転写シートを、前記接着層を介して基材に接着させた後、前記離型性シートを剥離し、その後、前記保護層に活性エネルギー線を照射する工程を備えることを特徴とする表面保護成形品の製造方法。
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