JP2009110883A - 電気化学セル用バインダー - Google Patents
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Abstract
【効果】本願発明により、金属集電体、正極活物質、および負極活物質に対して十分な密着性を有しかつ電気化学的に安定で電気化学セルが膨れにくく、その結果として二次電池のサイクル特性を向上させ、電気二重層キャパシタの静電容量が大きく,内部抵抗を小さくすることができる電極形成用水性バインダーを提供することができる。
【選択図】 なし
Description
かつ電気化学的に安定で電気化学セルが膨れにくく、その結果として二次電池のサイクル特性を向上させたり、電気二重層キャパシタの静電容量が大きく,内部抵抗を小さくすることができる電極形成用水性バインダーに関するものである。
即ち、
[1]オレフィン系重合体(A)を含有する樹脂粒子が水に分散したエマルション組成物であって、オレフィン系重合体(A)が少なくともマレイン化変性結晶性ランダムポリプロピレン(A−1)とマレイン化変性オレフィン系重合体(A−2)を含むことを特徴とする電気化学セル用バインダー。
[2]オレフィン系重合体(A)のX線回折法による結晶化度が30%以上であることを特徴とする[1]に記載の電気化学セル用バインダー。
[3]マレイン化結晶性ランダムポリプロピレン(A−1)とマレイン化変性オレフィン系重合体(A−2)との割合が(A−1)/(A−2)=75〜99/1〜25重量%であることを特徴とする[1]に記載の電気化学セル用バインダー。
[4]マレイン化変性結晶性ランダムポリプロピレン(A−1)の重量平均分子量が5万以上であることを特徴とする[1]に記載の電気化学セル用バインダー。
[5]マレイン化変性オレフィン系重合体(A−2)の重量平均分子量が5万未満であることを特徴とする[1]記載の電気化学セル用バインダー。
[6]オレフィン系重合体(A)が更にエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレン-ブテン共重合体およびエチレン-プロピレン共重合体とそのマレイン化変性共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体からなる群の少なくともひとつからなる他のオレフィン系重合体(A−3)を含むことを特徴とする[1]に記載の電気化学セル用バインダー。
[7] [1]に記載のバインダーを含有してなる電気化学セル用正極・負極。
[8] [7]に記載の電極を使用した電気化学セル。
以下にこれらについて詳細を述べる。
マレイン化変性結晶性ランダムポリプロピレン(A−1)とは、マレイン酸で変性された結晶性のあるランダムポリプロピレンである。
結晶化度が低いと凝集力が低下するため密着力が低下し、また樹脂の電解液に対する膨潤性が高くなり、電極が膨潤するためサイクル特性が低下する。
ランダムポリプロピレンはプロピレンを主体として、少量のエチレン、ブテン等α―オレフィンを共重合している。その範囲は市販のランダムプロピレンであれば特に問題はないが、耐衝撃性の観点から0.5重量%以上が好ましい。また、これらのエラストマー成分の増加による凝集力の低下を防ぐため、15質量%以下であることが好ましい。
また、金属集電体との接着のためにマレイン酸変性していることが必要であるが、変性度が高くなるとエマルションが増粘したり、電解液に対する樹脂膨潤性が大きくなるため、マレイン化変性度が無水マレイン酸換算で好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。マレイン酸による編成方法は特に制限はないが、例えば、未変性のオレフィン重合体を炭化水素溶媒に高温で溶解または分散し、無水マレイン酸と有機過酸化物を添加して無水マレイン酸を付加させる方法や、2軸押出機にて未変性のオレフィン重合体を連続的に溶融混錬しながら、有機過酸化物と無水マレイン酸を連続的に添加し、押出機内で反応させる方法等がある。
(A−1)のX線回折法による結晶化度は30%以上であることが好ましい。
また(A−1)の重量平均分子量(GPCによるスチレン換算)は5万以上の高分子量マレイン化変性結晶性ランダムポリプロピレンが好ましい。
マレイン化変性オレフィン系重合体(A−2)とはマレイン酸で変性されたオレフィン系重合体である。ここで、オレフィン系重合体とは、ポリプロピレン、ポリエチレン等を示す。これ等の中で特にポリプロピレンが好ましい。
(A−2)の重量平均分子量は5万未満の低分子量マレイン化変性オレフィン系重合体あることが望ましい。低分子量マレイン化変性オレフィン系重合体はオレフィン系重合体(A)を分散するときの分散助剤としての役割と、バインダーを電極活物質ペーストと混錬したときの混和安定性、特に増粘剤カルボキシメチルセルロースとの相溶性を向上させる役割がある。ここで、オレフィン系重合体(A)がマレイン化変性オレフィン系重合体(A−2)を1〜25重量%含有することあることが好ましい。低分子量マレイン化変性ポリプロピレン量が前出範囲以上となると密着力が低下し、範囲以下となると、乳化が困難となる。
ここで、マレイン化結晶性ランダムポリプロピレン(A−1)とマレイン化オレフィン系重合体(A−2)との割合は、バインダーの密着性・電解液に対する膨潤性の点、更に、エマルション分散時の乳化性・ペーストの混和安定性の点で、(A−1)/(A−2)=75〜99/1〜25重量%であることが好ましい。
他のオレフィン系重合体(A−3)とは、αオレフィン共重合体およびαオレフィンと共重合可能なモノマーとの共重合体である。また(A−3)にはこれら共重合体のマレイン化変性物も含まれる。これ等の中でエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレンーブテン共重合体、エチレンープロピレン共重合体、スチレンーエチレンーブチレン共重合体が好ましい。(A−1)と(A−3)との割合は(A−1)/(A−3)=50〜100/0〜50重量%である。この範囲であれば、これらは、接着性や電極の可とう性を向上させる点で好ましい。(A−3)の結晶性は有っても無くても構わない。
例えば、リチウムイオン二次電池用負極活物質としては、リチウムイオンをドープ・脱ドープできるものであれば特に制限はなく、例えば、金属リチウム、リチウム合金、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化チタン、シリコン、遷移金属窒素化物、黒鉛等の炭素材料とこれらの複合物のいずれを用いることができる。
また、リチウムイオン二次電池用正極活物質としては、MoS2、TiS2、MnO2、V2O5などの遷移金属酸化物または遷移金属硫化物、LiCoO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiNiO2、LiNiXCo(1-X)O2などのリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアセン、ジメルカプトチアジアゾール/ポリアニリン複合体などの導電性高分子材料等が挙げられる。これらの中でも、特にリチウムと遷移金属とからなる複合酸化物が好ましい。負極がリチウム金属またはリチウム合金である場合は、正極として炭素材料を用いることもできる。また、正極として、リチウムと遷移金属の複合酸化物と炭素材料との混合物を用いることもできる。
また、負極用活物質としてはマンガン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ミッシュメタル等からなる水素吸蔵合金などが挙げられる。
電気二重層キャパシタ用正、負極活物質としては種々の活性炭が用いられる。
本願発明の電気化学セルのうち、二次電池は前述の正極及び負極をセパレーター中心に重ねたものを、円筒型、コイン型、角型、フィルム型その他任意の形状に形成し非水電解液を封入することにより作製されるものである。また、電気二重層キャパシタでは前述の電極をセパレーター中心に重ねたものを、円筒型、コイン型等任意の形状に形成し電解液を封入することにより作成されるものである。
またセパレーターとしては二次電池においては多孔性膜や高分子電解質が用いられる。多孔性膜としてはポリオレフィン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル等が例示される。特に、多孔性ポリオレフィンフィルムが好ましく、具体的には多孔性ポリエチレンフィルム、多孔性ポリプロピレンフィルム、または多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルムを例示することができる。多孔性ポリオレフィンフィルム上には、熱安定性に優れる他の樹脂がコーティングされていても良い。
また、電気二重層キャパシタにおいては二次電池同様のセパレーターに加えて、電解コ
ンデンサー紙無機セラミック粉末を含む多孔質膜等を用いることができる。
ニッケル水素などのアルカリ電解液としては例えば水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等の電解質を単独または組み合わせて水溶液としたものを使用することができる。
電気二重層キャパシタにおいて電解液としては、任意のものが使用できるが非水系電解液
が電解質の例としてテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート等を単独または2種以上組み合わせて有機溶媒に溶解したものを使用することができる。非水系二次電池および電気二重層キャパシタにおいて非水系電解液における有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン,テトラヒドロフラン等が挙げられ、いずれかが単独でまたは2種以上を混合して使用される。
施例に限定されるものではない。
<エマルション組成物の作成>
[実施例1]
オレフィン系重合体(A)として重量平均分子量10万、マレイン化変性度0.7でエチレン、ブテンを合計で5重量%共重合した、マレイン化変性結晶性ランダムポリプロピレン100重量部と重量平均分子量2万、マレイン化変性度4のマレイン化変性ポリプロピレン20部を混合した。オレイン酸カリウム6部を混合し、二軸押出機にて200℃で溶融混錬後、水酸化カリウム水溶液を添加しながらさらに混錬した。吐出物を水に分散させ、体積平均粒子径300nm、不揮発分45%のエマルションを得た。X線回折法によるオレフィン重合体系(A)の結晶化度は60%であった。
実施例1において、オレフィン系重合体(A)がマレイン化変性結晶性ランダムポリプロピレン(A−1)の重量平均分子量6万、マレイン化変性度1.5、エチレン、ブテンを合計で5重量%共重合したものである以外は同様に調製し、体積平均粒子径200nm、不揮発分45%のエマルションを得た。X線回折法によるオレフィン系重合体(A)の結晶化度は55%であった。
[実施例3]
実施例1において、オレフィン系重合体(A)中の(A−1)が95重量部、(A−3)として、重量平均分子量9万のエチレン−メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含有量4重量%)を5重量部とした他は同様に調製し、体積平均粒子径350nm、不揮発分45%のエマルションを得た。X線回折法によるオレフィン系重合体(A)の結晶化度は40%であった。
実施例1において、オレフィン系重合体(A)中の(A−1)を重量平均分子量12万のマレイン化未変性結晶性ランダムポリプロピレンを用い、他にオレイン酸カリウム10重量%とした以外は同様に調製し、体積平均粒子径400nm、不揮発分45%のエマルションを得た。X線回折法によるオレフィン系重合体(A)の結晶化度は65%であった。
[比較例2]
実施例1において、低分子量マレイン化変性ポリプロピレンを用いずに乳化分散をおこなったが、乳化できず、水分散体が得られなかった。
[比較例3]
実施例1において、オレフィン系重合体(A)中の(A−1)がマレイン化変性度0.5、ブテンを35%共重合した重量平均分子量30万の非晶性ポリプロピレンを用いた以外は同様の方法を用い、体積平均粒子径400nm、不揮発分50%のエマルションを得た。オレフィン系重合体(A)は非晶であった。
[比較例4]
エチレン-メタクリル酸共重合体エマルションケミパールS100(三井化学株式会社製)をそのまま用いた。
[比較例5]
SBR水分散液(日本エイアンドエル株式会社製SR143)をそのまま用いた。
実施例1、2、3、比較例1、3、4、5のエマルションをガラス板に塗布し、120℃で3時間乾燥後フィルムを得た。エチレンカーボネート(EC)/メチルエチルカーボネート(MEC)=1/1(vol/vol)溶液にフィルムを80℃で3日間浸漬し、膨潤したフィルムの重量を測定した。膨潤フィルムの重量/膨潤前の重量比を算出した。同様にして、電解液を浸漬溶液を水酸化カリウム(KOH)水溶液(20℃おけるとした場合の重量比を算出した。
天然黒鉛((株)中越黒鉛工業所製 LF18A)97重量部に1.2重量%に調整した増粘剤カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学株式会社1160)を固形分換算で1重量部混合しに実施例1、比較例1,2で作成したエマルション組成物を固形分換算で2部を混合しさらに蒸留水を添加し固形分濃度50重量%の負極合剤スラリーを調製した。次に、この負極合剤スラリーを厚さ18μmの帯状銅箔製の負極集電体に塗布し、乾燥し、圧縮成型して、厚さ70μmの負極を作製した。
LiCoO2(本荘FMCエナジーシステムズ(株)製 HLC−22)85.5重量部、黒鉛8重量部、アセチレンブラック3重量部及びカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学株式会社1160)を固形分換算で1.5重量部、実施例1、比較例1,2で作成したエマルション組成物を固形分換算で2部を添加しLiCoO2合剤スラリーを調製した。このLiCoO2合剤スラリーを厚さ20μmのアルミ箔に塗布し、乾燥し、圧縮成型して、厚さ70μmの正極を作製した。
<リチウム二次電池密着性評価>
実施例1、2、比較例1、3、4、5を用いて作成した電極を切り、瞬間接着剤にてガラスプレパラートに貼り付け電極を固定し評価用サンプルとした。評価用サンプルを塗膜剥離強度測定装置サイカスDN20型(ダイプラウインテス(株)製)で合材層と集電体界面を水平速度2μm/秒の速度で切削し、切削に必要な水平方向の力から合材層と集電体界面の剥離強度を測定した。剥離強度の3回の平均値をとり密着性を評価した。
結果を表1に示す。
非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)を、EC:MEC=4:6(重量比)の割合で混合したものを用い、次に電解質であるLiPF6を溶解し電解質濃度が1.0モル/リットルとなるように非水電解液を調製した。
<コイン型リチウムイオン二次電池の作製>
コイン型電池用負極として上述の負極を、直径14mmの円盤状に打ち抜いて、重量20mg/14mmφのコイン状の負極を得た。コイン型電池用正極として上述の正極を、直径13.5mmの円盤状にうちぬき、重量42mg/13.5mmφのコイン状の正極を得た。上述のコイン状の負極、正極、および厚さ25μm、直径16mmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからできたセパレータを、ステンレス製の2032サイズ電池缶の負極缶内に、負極、セパレータ、正極の順序で積層した。その後、セパレータに前記非水電解液.04mlを注入した後に、その積層体の上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)、およびバネを重ねた。最後に、ポリプロピレン製のガスケットを介して電池の正極缶をかぶせて、缶蓋をかしめることにより、電池内の気密性を保持し、直径20mm、高さ3.2mmのコイン型電池を作製した。
<電極膨潤性の評価>
100サイクル後の電極の合材層の厚みと電解液注入前の合材層の厚みを比較した。
<電池サイクル特性の評価>
上述の様に作製したコイン電池を使用し、この電池を0.5mA定電流、4.2V定電圧の条件で、4.2V定電圧の時の電流値が0.05mAになるまで充電し、その後、1mA定電流3.0V定電圧の条件で、3.0V定電圧の時の電流値が0.05mAになるまで放電した。このサイクルを500回繰り返し、初期の電池容量に対する500サイクル後の容量%を評価した。各電極を使用した電池の評価結果を表4に示す。
<電気二重層キャパシタ電極の作製>
活性炭(クラレ株式会社RP−20)100重量部、アセチレンブラック(電気化学株式会社デンカブラック)3重量部、ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社EC600JD)2重量部に1.2重量%に調整した増粘剤カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学株式会社1160)を固形分換算で1.5重量部混合しに実施例1、2、比較例1、3、4、5で作成したエマルション組成物を固形分換算で5部を混合しさらに蒸留水を添加し固形分濃度50重量%の合剤スラリーを調製した。次に、この負極合剤スラリーを厚さ20μmの帯状アルミ箔製の集電体に塗布し、乾燥し、圧縮成型して、厚さ70μmの電極を作製した。
実施例1、2、3、比較例1、3、4、5のバインダーを用いて作成した電極の剥離強度を二次電池の場合と同様の方法で測定し、密着性を評価した。
結果を表5に示す。
テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートをプロピレンカーボネートに溶解し、電解質濃度が電解質濃度が1.5モル/リットルとなるように電解液を調製した。
<コイン型電気二重層キャパシタの作製>
上述の電極を、直径14mmの円盤状に打ち抜いて、重量20mg/14mmφのコイン状の電極を得た。上述のコイン状の電極および厚さ25μm、直径16mmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからできたセパレータを、ステンレス製の2032サイズ電池缶の負極缶内に、電極、セパレータ、電極の順序で積層した。その後、セパレータに前記電解液0.04mlを注入した後に、その積層体の上にアルミニウム製の板(厚さ1.2mm、直径16mm)、およびバネを重ねた。最後に、ポリプロピレン製のガスケットを介して電池の缶をかぶせて、缶蓋をかしめることにより、電池内の気密性を保持し、直径20mm、高さ3.2mmのコイン型電池を作製した。
上述の様に作製したコイン型電気二重層キャパシタを使用し、10mAの定電流で2.7Vまで10分間充電を行った後、1mAの定電流で放電をおこなった。得られた充放電特性より静電容量を求めた。また、内部抵抗は、充放電特性より社団法人電子情報技術産業協会が定める規格RC−2377の計算方法に従って算出した。各電極を使用したキャパシタの評価結果を表6に示す。
水酸化ニッケル粉末100重量部にCMCが固形分で1.0部、実施例1、2、比較例1、3、4、5のバインダーを固形分で2.0部とし、固形分55%の合材ペーストを作成した。厚さ30μmのニッケルメッキ鋼板に塗布、乾燥後、加圧成型してシート状極板を作成した。
<ニッケル水素電池負極の作成>
ミッシュメタルを含むNi、Co、Mn、Alからなる平均粒子径30μmの水素吸蔵合金100重量部にCMCを固形分で0.5重量部と実施例1、比較例2,3のバインダーを固形分で1.5重量%を混合し、固形分濃度50%の合材ペーストを得た。これを厚さ30μのパンチングメタルに塗布、乾燥し加圧後、シート状の負極を作成した。
<ニッケル水素電池電極密着性評価>
実施例1、2、3、比較例1、3、4、5のバインダーを用いて作成した電極の剥離強度をリチウムイオン電池の場合と同様の方法で測定し、密着性を評価した。
結果を表7に示す。
上述の電極を、直径14mmの円盤状に打ち抜いて、重量20mg/14mmφのコイン状の電極を得た。上述のコイン状の電極および厚さ25μm、直径16mmの微多孔性ポリプロピレンフィルムからできたセパレータを、ステンレス製の2032サイズ電池缶の負極缶内に、電極、セパレータ、電極の順序で積層し、水酸化カリウム水溶液(20℃における比重が1.3)を注入後、最後に、ポリプロピレン製のガスケットを介して電池の正極缶をかぶせて、缶蓋をかしめることにより、電池内の気密性を保持し、直径20mm、高さ3.2mmのコイン型電池を作製した。
上述の様に作製したコイン電池を使用し、この電池を0.2ItAでーΔVが10mVとなるまで充電し、その後、0.2ItAで、電圧が1Vになるまで放電した。このサイクルを500回繰り返し、初期の電池容量に対する500サイクル後の容量%を評価した。各電極を使用した電池の評価結果を表8に示す。
SBRを用いた電池は特に正極に用いた場合には酸化劣化が大きいこと、また負極に用いた場合には劣化自体は少ないものの樹脂が膨潤するため活物質の接触割合が低下するためサイクル特性が低下していた。また、エチレン-メタクリル酸系バインダーを用いた場合にはサイクル特性は比較的良好なものの、電極密着性に問題があり、電池生産性等に影響がある結果であった。一報本発明のバインダーはいずれの問題点も解決し、サイクル特性が向上していた。
以上のように、本発明のバインダーを用いた電池は電気化学的に安定で、密着力がありかつ電池の膨れが少ないため、特に充放電によるサイクル寿命の高い電池を得ることができる。
Claims (9)
- オレフィン系重合体(A)を含有する樹脂粒子が水に分散したエマルション組成物であって、オレフィン系重合体(A)が少なくともマレイン化変性結晶性ランダムポリプロピレン(A−1)とマレイン化変性オレフィン系重合体(A−2)を含むことを特徴とする電気化学セル用バインダー。
- オレフィン系重合体(A)のX線回折法による結晶化度が30%以上であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル用バインダー。
- マレイン化結晶性ランダムポリプロピレン(A−1)とマレイン化変性オレフィン系重合体(A−2)との割合が(A−1)/(A−2)=75〜99/1〜25重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル用バインダー。
- マレイン化変性結晶性ランダムポリプロピレン(A−1)の重量平均分子量が5万以上であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル用バインダー。
- マレイン化変性オレフィン系重合体(A−2)の重量平均分子量が5万未満であることを特徴とする請求項1記載の電気化学セル用バインダー。
- オレフィン系重合体(A)が更にエチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレン-ブテン共重合体およびエチレン-プロピレン共重合体とそのマレイン化変性共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン共重合体からなる群の少なくともひとつからなる他のオレフィン系重合体(A−3)を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル用バインダー。
- 請求項1に記載のバインダーを含有してなる電気化学セル用正極。
- 請求項1に記載のバインダーを含有してなる電気化学セル用負極。
- 請求項7及び/又は8に記載の電極を使用した電気化学セル。
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