JP2009109019A - 車両の変速制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】多段化した変速位置に対して変速操作を簡易化して素早く目標変速位置に出来るようにすると共に、変速操作における車速の急変を防止して安全性を確保する。
【解決手段】高低2段の変速位置を有する第1主変速装置と、少なくとも3段以上の変速位置を有する第2主変速装置とからなる変速装置及び高中低3段の変速位置を有する副変速装置を備え、さらに車体が走行状態か作業状態かを指定または検出する手段S102を設ける。該手段により車体が走行中に指定または検出されているときS103は、副変速を高速位置に切換え操作した場合の主変速の自動変速位置は中間の変速段S104とする。
【選択図】図8

Description

本発明は、農業用トラクタ等の車両の変速制御装置に関するものである。
従来、農業用トラクタをはじめとする車両には、特許文献1に示されるように、変速装置の変速位置を現位置からアップ又はダウン指令する一対のスイッチ式変速操作部を備え、この変速操作部のスイッチ信号に応じてアクチュエータを駆動させて上記変速装置を切り換えるものが知られている。
特開平4−259248号公報
しかし、上記変速装置のギヤ組合せを多くして変速位置を多段化する場合、最低速位置から最高速位置まで変速するには前記変速操作部を複数度にわたって押す必要があり、所望の変速位置に変速されるのに時間がかかり、且つ、スイッチ操作が煩雑で操作性が悪いという不具合があった。また、1回のスッチ操作で複数段アップ又はダウンさせるように構成することも可能であるが、状況によっては変速後の車速が急変して危険である。本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、多段化した変速位置に対して変速操作を簡易化して素早く目標変速位置に出来るようにすると共に、変速操作における車速の急変を防止して安全性を確保することにある。
かかる目的を達成するために、請求項1の発明は、主変速装置41、43と副変速装置44を備え、さらに車体が走行状態か作業状態かを指定または検出する手段75を設けるとともに、車体が作業状態に指定または検出されているときに所定の副変速位置における使用頻度の高い主変速位置を記憶する記憶手段を設け、前記副変速装置44を当該変速位置に切換え操作した場合、前記主変速装置41、43の自動変速位置を前記記憶位置に切換えることを特徴とする。請求項1の発明によると、作業中の目標変速位置に瞬時に操作できるので、変速スイッチの操作回数を減らしてオペレータの操作労力を軽減できる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、車体が走行状態に指定または検出されているときは、副変速を高速位置に切換え操作した場合、前記主変速装置41,43の自動変速位置を略中間の変速段に切換えることを特徴とする。
請求項2の発明によると、たとえば路上走行を行う場合に素早く目標変速位置に操作でき、変速スイッチ36a,36bの操作回数を減らしてオペレータの操作労力を軽減できる。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、エンジン11の伝達動力を入切するクラッチ40を備えると共に、前記クラッチ40の動力伝達状態を検出するセンサ73を設け、前記クラッチ40の動力伝達状態が切で且つ前記副変速装置44を高速側に切換え操作した場合、前記変速スイッチ36a,36bによる変速操作を複数段に変更することを特徴とする。請求項3の発明によると、路上走行を行う場合に素早く目標変速位置に操作でき、変速スイッチ36a,36bの操作回数を減らしてオペレータの操作労力を軽減できる。
以上詳細に説明したように、請求項1の発明によれば、副変速を切換え操作した場合の主変速の自動変速位置は作業中の使用頻度の高い変速位置になるため、作業中の目標変速位置に瞬時に操作できるので、変速スイッチ36a,36bの操作回数を減らしてオペレータの操作労力を軽減できる。
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の効果に加え、車体が走行中のときは、副変速を高速位置に切換え操作した場合の主変速の自動変速位置は中間の変速段とすることにより、たとえば路上走行を行う場合に素早く目標変速位置に操作でき、変速スイッチ36a,36bの操作回数を減らしてオペレータの操作労力を軽減できる。
また、請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の効果に加え、クラッチ40の動力伝達状態が切で且つ前記副変速装置44を当該変速位置に切換え操作した場合、前記変速スイッチ36a,36bによる変速操作を複数段に変更するため、路上走行を行う場合に素早く目標変速位置に操作でき、変速スイッチ36a,36bの操作回数を減らしてオペレータの操作労力を軽減できる。
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は車両の一例として農業用トラクタ10を示し、車体の前部にエンジン11を搭載し、該エンジン11の回転動力を後述するようにミッションケース12内の各種変速装置により適宜変速した後に、後輪13または前後輪14、13へ伝達するように構成している。車体の後部にはリンク装置15を介してロータリ等の作業機16を牽引する。
一方、運転席17の近傍には変速操作を行うための変速レバー18や、作業機16の高さを変更するポジションレバー19等の各種レバーと、耕深制御スイッチ20や旋回制御スイッチ21等の各種スイッチ類が設けられている。該運転席17の前方にはハンドルポスト24が設けられ、このハンドルポスト24にステアリングハンドル25が装着されている。該ステアリングハンドル25を回転操作することにより、操向輪である前輪14が回向して車体が旋回する。
また、ハンドルポスト24の側面に前後進切換えレバー26を突設し、ステアリングハンドル25の前方にメータパネル27を設けると共に、該ステアリングハンドル25の下方にクラッチペダル28や左右ブレーキペダル(図示せず)等のペダル類を設ける。なお、符号30は後述の制御手段であるコントローラ、31は作業機の高さを検出するリフトアーム角センサである。
図2は前記変速レバー18を示し、該変速レバー18はh字型のレバーガイド34から上方に突出され、「高速」「中速」「低速」の3段の変速パターンを有し、該変速レバー18をレバーガイド34に沿って回動操作することにより、後述の副変速装置44がリン
ク機構を介して「高速」「中速」「低速」の何れかに手動で切り換わるように構成されている。また、該変速レバー18の把持部には、後述の第1主変速装置41を「高速」「低速」の何れかにアップもしくはダウン指令するスイッチ式第1変速操作部35と、該第1主変速装置41と後述の第2主変速装置43とを連携して組み合わせた主変速パターンを、現位置からアップもしくはダウンする一対のモーメンタリスイッチからなる第2変速操作部36とを備えている。
前記第1変速操作部35は、水平方向に一対のモーメンタリスイッチ35a、35bを設けてアップもしくはダウン指令するものである。また、前記第2変速操作部36は、上下方向に一対のモーメンタリスイッチ36a、36bを設けてアップもしくはダウン指令するものである。そして、変速レバー18の近傍に変速位置のインジケータ37を設け、第1主変速装置41と第2主変速装置43とを連携して組み合わせた主変速パターンの現位置がどこであるかを表示する。
あるいは、図3に示すように、前記メータパネル27内にインジケータ38を設け、第1主変速装置41と第2主変速装置43とを連携して組み合わせた主変速パターンの現位置と、副変速装置44の副変速パターンの現位置とを同時に表示するようにしてもよい。後述するように、第1主変速装置41は高低2段の変速パターンを有し、第2主変速装置43は少なくとも3段以上、本実施形態では4段の変速パターンを有する。従って、第2主変速装置43の4段が夫々高低に切換え可能となって、第1主変速装置41と第2主変速装置43とを連携して組み合わせた主変速パターンは、少なくとも6段以上、本実施形態では8段の変速パターン(第1速〜第8速)を有することになり、さらに副変速装置44は3段の副変速パターンを有する。
図4は動力伝動系の線図、図5は油圧回路図、図6は変速制御系のブロック図である。前記エンジン11の回転動力は、クラッチハウジング内の主クラッチ40にて断続操作され、順次ミッションケース12内の第1主変速装置41、前後進切換え装置42、第2主変速装置43、副変速装置44へと伝達するように構成されている。
第1主変速装置41は、「高速」「低速」二つのギヤ組45、46を切換えるための湿式多板形のHi−Loクラッチ47を有する変速装置であり、制御手段であるコントローラ30によりHi−Loクラッチバルブ48を「高速」位置に切り換えれば、前記Hi−Loクラッチ47がHi側に「入」となり、一方のギヤ組45を介して動力が「高速」で伝達される。また、Hi−Loクラッチバルブ48を「低速」位置に切り換えれば、前記Hi−Loクラッチ47がLo側に「入」となり、前記一方のギヤ組45よりも減速比の高い他方のギヤ組46を介して動力が「低速」で伝達される。このように、第1主変速装置41は高低2段の変速位置を有し、該第1主変速装置41で変速された回転動力は前後進切換え装置42に伝達される。
前後進切換え装置42は、「前進」「後進」二つのギヤ組49、50を切り換える湿式多板形の前後進クラッチ51を有する変速装置であり、前述の前後進切換えレバー26が前進側に操作されているときは前進操作位置スイッチ52がオンとなり、コントローラ30から前後進バルブ54の前進ソレノイドに信号が送られて、前後進クラッチ51の前進用クラッチが「入」となり、一方のギヤ組49を介して前進方向回転にて動力が第2主変速装置43に伝達される。
これに対して、前後進切換えレバー26が後進側に操作されているときは後進操作位置スイッチ53がオンとなり、コントローラ30から前後進バルブ54の後進ソレノイドに信号が送られて、前後進クラッチ51の後進用クラッチが「入」となり、カウンタギヤを含む他方のギヤ組50を介して後進方向回転にて動力が第2主変速装置43に伝達される
。そして、前後進切換えレバー26が中立位置にあるときは前進操作位置スイッチ52及び後進操作位置スイッチ53の双方がオフで前後進クラッチ51が「切」となり、回転動力が遮断されて第2主変速装置43に伝達されない。
第2主変速装置43は、四つのギヤ組からなるシンクロメッシュギヤ式変速装置であり、前後進切換え装置42から出力された回転動力を、動力上手側から4速ギヤ組56、3速ギヤ組57、2速ギヤ組58、1速ギヤ組59の何れか一つを通じて副変速装置44へ伝達する。4速ギヤ組56と3速ギヤ組57との駆動側ギヤ間にはシンクロメッシュ機構を有するシフタリングを設け、このシフタリングを変速用アクチュエータである第1変速用油圧シリンダ60の伸縮により前後スライドさせるように構成し、これと同様に、2速ギヤ組58と1速ギヤ組59との駆動側ギヤ間にもシンクロメッシュ機構を有するシフタリングを設け、このシフタリングを変速用アクチュエータである第2変速用油圧シリンダ61の伸縮により前後スライドさせるように構成している。
コントローラ30から主変速「3−4速」バルブ62の4速ソレノイドに信号が送られると、第1変速用油圧シリンダ60の伸長により、前記4速ギヤ組56を介して動力が伝達されて「4速」となり、主変速「3−4速」バルブ62の3速ソレノイドに信号が送られると、第1変速用油圧シリンダ60の収縮により、前記3速ギヤ組57を介して動力が伝達されて「3速」となる。また、コントローラ30から主変速「1−2速」バルブ63の2速ソレノイドに信号が送られると、第2変速用油圧シリンダ61の伸長により、前記2速ギヤ組58を介して動力が伝達されて「2速」となり、主変速「1−2速」バルブ63の1速ソレノイドに信号が送られると、第2変速用油圧シリンダ61の収縮により、前記1速ギヤ組59を介して動力が伝達されて「1速」となる。このように、前記第2主変速装置43は「1速」から「4速」までの4段の変速位置を有し、該第2主変速装置43で変速された回転動力は副変速装置44へ伝達される。
副変速装置44は、前記変速レバー18の手動操作によりリンク機構を介して切り換えるスライディングメッシュギヤ式変速装置となっており、「低速」「中速」のギヤ組65、66と、「高速」(直結)のギヤ組67との3段の変速位置を有している。前記第2主変速装置43で変速された回転動力は、この副変速装置44にて更に変速される。
ここで、前記第2主変速装置43には、ギヤ組合せを検出する手段として主変速「1−N−2速」位置センサ68と、主変速「3−N−4速」位置センサ69とが設けられ、副変速装置44にはギヤ組合せを検出する手段として副変速「低速」位置センサ70と、副変速「中速」位置センサ71と、副変速「高速」位置センサ72とが設けられている。これらのセンサ68〜72の検出信号はコントローラ30に送られる。なお、符号73は前記クラッチペダル28の踏み込み操作を検出するクラッチペダルセンサ、74は車体の走行速度を検出する車速センサ、75は車体が走行状態か作業状態かを指定または検出する手段としての走行/作業切換えスイッチである。検出手段としては、PTOスイッチ90の入切状態を検出して「入」のとき作業状態、「切」のとき非作業状態とする方法、リフトアームの昇降位置を検出して下降時に作業状態、上昇時に非作業状態とする方法がある。また、76は作業機16を昇降させるリフトシリンダ、77はステアリングハンドル25の回転操作により作動するパワーステアリング装置、78は前輪14へ伝達する動力を「等速」もしくは「増速」に切り換える四駆切換えクラッチ、79L,79Rは左右の後輪を独立して制動する左右のブレーキシリンダである。91はリフトアーム上昇用制御弁のソレノイド、92はリフトアーム下降用制御弁のソレノイドである。
そして、前記副変速装置44で変速された回転動力は、リヤデファレンシャル装置81を経てリヤアクスルの減速ギヤ82にて減速され、後輪13が駆動される。また、前記副変速装置44で変速された回転動力は四駆切換えクラッチ78にも伝達され、該四駆切換えクラッチ78にて「等速」もしくは「増速」に切り換えられた後、フロントデファレンシャル装置84を経てフロントアクスルの減速ギヤ85にて減速され、前輪14が駆動される。さらに、エンジン11の回転動力は主クラッチ40の前段にてPTO系に分岐され、PTOクラッチ86にて断接されて順次PTO逆転装置87、PTO変速装置88を経て、車体後部に突設されたPTO取出し軸89に伝達される。
かくして、図3及び図7に示すように、第1主変速装置41と第2主変速装置43とを連携して8段の主変速パターンが得られ、更に副変速装置44の副変速パターン3段を組み合わせて、24段の変速パターンを得ることが出来る。そして、例えば主変速パターンが「1段目」のときに第1変速操作部35のHiスイッチ35aを押圧操作すれば主変速パターンが「2段目」にアップし、また主変速パターンが「6段目」のときに第1変速操作部35のLoスイッチ35bを押圧操作すれば主変速パターンが「5段目」にダウンする。また、例えば主変速パターンが「1段目」のときに第2変速操作部36の増速スイッチ36aを押圧操作すれば主変速パターンが「2段目」にアップし、主変速パターンが「2段目」のときに該増速スイッチ36aを押圧操作すれば主変速パターンが「3段目」にアップする。また主変速パターンが「6段目」のときに第2変速操作部36の減速スイッチ36bを押圧操作すれば主変速パターンが「5段目」にダウンし、主変速パターンが「5段目」のときに該減速スイッチ36bを押圧操作すれば主変速パターンが「4段目」にダウンする。
本発明の実施の形態では、上述のように、高低2段の変速位置を有する第1主変速装置41と、少なくとも3段以上の変速位置を有する第2主変速装置43とからなる変速装置及び高中低3段の変速位置を有する副変速装置44を備え、さらに車体が走行状態か作業状態かを指定または検出する手段としての走行/作業切換えスイッチ75を設けており、該スイッチ75により車体が走行中に指定または検出されているときは、副変速を高速位置に切換え操作した場合の主変速の自動変速位置は中間の変速段とする。従来、副変速を低速あるいは中速位置から高速位置に切換え操作したときの主変速の自動変速位置は1速である。ところが、通常路上走行を行う場合、副変速が高速位置の4段目あたりまでは遅すぎるため使用しない。つまり、従来のように主変速の自動変速位置を1速とした場合、副変速が高速位置の1段目から例えば5段目にするには変速スイッチ操作が4回必要となり、操作がわずらわしい。
そこで、本実施形態のように副変速を高速位置に切換え操作した場合の主変速の自動変速位置を中間の変速段、たとえば5段目とすれば路上走行を行う場合に素早く目標変速位置に操作でき、変速スイッチの操作回数を減らしてオペレータの操作労力を軽減できる。図8はこのような本実施形態の変速制御のフローチャートである。先ず、各種センサ、スイッチ類の読込みを行い(ステップ101)、走行/作業切換えスイッチ75が走行位置にあるとき(ステップ102)、副変速を高速位置に切換え操作した場合(ステップ103)、主変速の自動変速位置は5速を出力する(ステップ104)。例えば、図7に示す変速位置が5段目のとき、路上走行では副変速を高速位置に切換え操作した場合21段目となり、作業中では17段目に切り換わる。
また、本発明の別の実施形態では、副変速を中速位置から高速位置に切換え操作又は低速位置から中速位置に切換え操作した場合の主変速の自動変速位置は現位置に対応する変速段から1段アップさせる。例えば、副変速が中速位置の6段目〜8段目でプラウ作業やレーキ作業等を行っていて、もう少し車速を上げるために副変速を中速位置から高速位置に切換え操作した場合、1段づつ変速でき、車速の急変を防止できる。図9はこのような実施形態の変速制御のフローチャートである。先ず、各種センサ、スイッチ類を読込み(ステップ201)、副変速が中速位置の6段目〜8段目で作業を行っていて(ステップ202)、副変速を中速位置から高速位置に切換え操作した場合(ステップ203)、主変速の自動変速位置は1速を出力する(ステップ204)。そして、これ以外の例えば副変速を低速位置から高速位置に切換え操作した場合は走行/作業切換えスイッチ75位置に関わらず主変速を5速とすれば、路上走行等で車速を上げる場合にオペレータの操作労力を軽減でき、状況に応じた自動変速を行える。
なお、上記実施形態において、副変速が中速位置の6段目〜8段目であっても実際にプラウ作業やレーキ作業中であることを判断した場合のみ主変速を1速に制御するようにしてもよい。この判断は、例えば、制御モードがドラフトモードで車輪回転を検出していた(車両が走行していた)状態であった場合はプラウ作業中とし、PTOが回転状態にあり車輪回転を検出していた状態であった場合はレーキ作業中とする。
また、本発明の別の実施形態では、副変速が高速位置にあって、リニアシフトが中立で且つクラッチペダルセンサがオンであるとき、増速操作した場合の主変速の自動変速位置は現位置から1段づつではなく複数段アップさせる。副変速の高速位置は主に路上走行時に使用するが、副変速が高速位置である1段目〜4段目の車速帯は路上走行にしては遅すぎるため、5段目あたりに変速してから発進することが多い。ところが、副変速を低速あるいは中速位置から高速位置に切換え操作したときの主変速の自動変速位置を1速とした場合、副変速が高速位置の1段目から例えば5段目にするには変速スイッチ操作が4回必要となり、操作がわずらわしい。
そこで、本実施形態のように、複数段、例えば2段づつアップさせれば、路上走行を行う場合に素早く目標変速位置に操作でき、変速スイッチの操作回数を減らしてオペレータの操作労力を軽減できる。図10はこのような変速制御のフローチャートである。先ず、各種センサ、スイッチ類を読込み(ステップ301)、現在主変速位置を「A」とする(ステップ302)。そして、副変速が高速位置にあって(ステップ303)、リニアシフトが中立で且つクラッチペダルセンサがオンであるとき(ステップ304)、増速スイッチ操作した場合(ステップ305)の主変速の自動変速位置は現位置から1段ではなく2段アップさせる(ステップ306)。
また、本発明のまた別の実施形態では、作業中に使用する頻度の高い変速位置を記憶する手段(例えばコントローラ内のメモリ)を設け、車体が作業中に指定されているとき、副変速を切換え操作した場合の主変速の自動変速位置は前記記憶手段に記憶された頻度の高い変速位置とする。この作業中の使用頻度の高い変速位置はコントローラが累積時間により算出して決定できる。この実施形態によると、作業中の目標変速位置に瞬時に操作できるので、変速スイッチの操作回数を減らしてオペレータの操作労力を軽減できる。
また、前述の図8に示す実施形態において、走行/作業切換えスイッチ75が走行位置でなくても、PTOスイッチが切で作業機が上に上がっている状態であれば、副変速を高速位置に切換え操作した場合の主変速の自動変速位置は5速とすることができる。すなわち、図11のフローチャートに示すように、先ず、各種センサ、スイッチ類の読込みを行い(ステップ401)、PTOスイッチが切で作業機が上昇位置にあるとき(ステップ402)、副変速を高速位置に切換え操作した場合(ステップ403)、主変速の自動変速位置は5速を出力する(ステップ404)。要するに、圃場内でも高速移動を行う場合があり、走行/作業切換えスイッチ75が作業位置にあってもPTOと作業機の状態により作業中ではない(圃場内の移動)と判断したときは、5速へ自動変速することにより素早く目標変速位置にできる。
なお、以上の説明において、副変速を高速位置に切換え操作した場合の主変速の自動変速位置を例えば5速としたが、もちろんこれは一例であって、オペレータによっては必ずしも5速がよいわけではないので、そういった場合に対応できるように、主変速の自動変
速位置はマイコンチェッカで変更できる構成とする。
また、本発明に関連して説明すると、リフトアームの下げ位置を規制する下げ規制ダイヤルを有するトラクタにおいて、自動耕深の設定値が下げ位置規制の設定値よりも下にある場合は例えばブザーを鳴らしてオペレータに知らせることにより、下げ規制がかかっているのを忘れて作業する誤操作を防止できる。また、この場合、「下げ規制域」、「上げ規制域」、「自動耕深設定値」、「耕深深さ」等の情報をモニター表示することにより、作業時の知りたい情報がすぐにわかるので作業性が向上する。
また、上記下げ規制ダイヤルはプラウ作業等を想定して設けられた機能でリヤカバーオート作業での使用は考えにくいが、オート作業を行う場合でもオペレータが誤って操作して下げ規制が効いてしまい整地性が悪くなることがある。そこで、制御モードがデプスモード時(耕深調整ダイヤルで指定した角度に作業機のリヤカバー角度を一致させるように制御する)は下げ規制を解除することにより、デプスモード時は下げ規制が働くことなく常に耕深を一定に保つべく制御を行うため、整地性を損なうことがなくなる。また、オペレータが下げ規制を触っていた場合でもリヤカバー作業を行う際にわざわざ下げ規制ダイヤルを回して規制を解除する必要はなくなる。
トラクタの側面図である。 変速レバーを示す斜視図である。 変速装置のインジケータを示す正面図である。 動力伝動系の線図である。 油圧回路図である。 変速制御系のブロック図である。 変速装置の変速パターンを示す一覧図である。 本発明の変速制御のフローチャートである。 本発明の変速制御のフローチャートである。 本発明の変速制御のフローチャートである。 本発明に関連する変速制御のフローチャートである。
30 コントローラ
31 リフトアーム角センサ
35 第1変速操作部
36 第2変速操作部
41 第1主変速装置
43 第2主変速装置
52 前進操作位置スイッチ
53 後進操作位置スイッチ
60 第1変速用油圧シリンダ
61 第2変速用油圧シリンダ
70 副変速「低速」位置センサ
71 副変速「中速」位置センサ
72 副変速「高速」位置センサ
73 クラッチペダルセンサ
74 車速センサ

Claims (4)

  1. 主変速装置(41、43)と副変速装置(44)を備え、さらに車体が走行状態か作業状態かを指定または検出する手段(75)を設け、車体が走行状態に指定または検出されているときに前記副変速装置(44)を高速側に切換え操作した場合、前記主変速装置(41、43)の自動変速位置を略中間の変速段に切換えることを特徴とする車両の変速制御装置。
  2. 主変速装置(41、43)と副変速装置(44)を備え、さらに車体が走行状態か作業状態かを指定または検出する手段(75)を設け、車体が走行状態に指定または検出されているときに前記副変速装置(44)を高速側に切換え操作した場合、前記主変速装置(41、43)の自動変速位置を現変速位置から所定段アップさせることを特徴とする車両の変速制御装置。
  3. 主変速装置(41、43)と副変速装置(44)及びエンジン(11)の伝達動力を入切するクラッチ(40)とを備えると共に、前記主変速装置(41、43)をスイッチ操作により1段ずつアップ/ダウンさせる変速スイッチ(36a、36b)と、前記クラッチ(40)の動力伝達状態を検出するセンサ(73)を設け、前記クラッチ(40)の動力伝達状態が切で且つ前記副変速装置(44)を所定の高速位置に設定した場合、前記変速スイッチ(36a、36b)による変速操作を複数段に変更することを特徴とする車両の変速制御装置。
  4. 主変速装置(41、43)と副変速装置(44)を備え、さらに車体が走行状態か作業状態かを指定または検出する手段(75)を設けるとともに、車体が作業状態に指定または検出されているときに所定の副変速位置における使用頻度の高い主変速位置を記憶する記憶手段を設け、前記副変速装置(44)を当該変速位置に切換え操作した場合、前記主変速装置(41、43)の自動変速位置を前記記憶位置に切換えることを特徴とする車両の変速制御装置。
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