JP5012619B2 - 作業車両の変速装置 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、オペレータにとって操作性に優れ、最適な変速位置となるようなトラクタなどの作業車両の変速装置を提供することである。
請求項1記載の発明は、路上走行を含む複数の変速段に変速操作が可能な副変速操作手段(179)と、前記複数の変速段の各々の変速段から更に細かい変速段である主変速の中の主変速位置を選択する手動操作が可能な主変速操作手段(192a,192b)と、エンジン回転数を加減するためのアクセル操作手段(175)と、アクセル操作手段(175)の操作量に応じたエンジン回転数に対応する車速になるように前記副変速操作手段(179)により選択された変速段の中の適切な主変速位置を選択して自動で変速する自動変速機能部を有する制御装置(100)と、前記制御装置(100)の自動変速機能部を入り切り操作するための自動変速操作手段(199)とを設けた作業車両の変速装置であって、前記制御装置(100)は、前記自動変速操作手段(199)により自動変速機能が入りに操作されており、前記副変速操作手段(179)により路上走行が選択され、更に主変速操作手段(192a,192b)により主変速位置が手動操作されると、該手動操作された主変速位置が前記自動変速機能部による自動変速範囲の最低速度に対応する主変速位置である最低主変速位置として記憶されるための記憶部(100a)と、前記副変速操作手段(179)により前記路上走行が選択され、更に主変速操作手段(192a,192b)により前記記憶部(100a)によって記憶されている最低主変速位置よりも減速側の主変速位置に手動操作された場合には、前記自動変速機能部により自動変速範囲で作業車両が走行中であっても前記記憶されている最低主変速位置を前記減速された主変速位置に更新して記憶させる処理を行う更新記憶機能部を有する作業車両の変速装置である。
エンジン62は後側に突出のエンジン軸1を有し、このエンジン軸1をクラッチハウジング部の入力軸2に連結する。ミッションケース65内の伝動機構を介して後端部の出力軸3及びPTO軸14を連動すると共に、ミッションケース65の下部に設けた前輪出力軸5を連動する構成としている。この出力軸3はミッションケース65内の後部の略中央部において前後方向に沿うように軸受されて後端にドライブピニオンギヤ53を有し、リヤデフ45のデフリングギヤ46に噛合し、リヤアクスルハウジングに沿って軸装されたリヤデフ軸10と後輪軸11を遊星減速機構を介して連動する。また、前輪出力軸5はミッションケース65の下部からエンジン62の下部を経て、フロントアクスルハウジングの中央部に設けられるフロントデフ47の入力軸26に連結され、このフロントアクスルハウジングに沿って軸装されるフロントデフ軸12及び遊星減速機構等を介して前輪軸13へ連動する構成としている。なお、入力軸2から油圧ポンプ80(図3)への動力取り出し用のギヤ駆動軸15,17が入力軸2に並列配置されている。
また、前後進油圧クラッチDの切替を手動で行う前後進切替レバー115(図6)をステアリングハンドル73のポスト部分に設け、クラッチぺダル119(図6)はハンドルポストの足下に設けている。
この走行動力伝達系では、PTO正逆切替ギヤ37機構を備えたPTO連動軸4を回転する伝動形態である正逆転PTOを設けている。
図3の油圧回路図では左右の後輪63を独立して制動する左右のブレーキシリンダ83、前輪61へ伝達する動力を「等速」もしくは「増速」に切り換える四駆切換クラッチシリンダ99、ステアリングハンドル73の回転操作により作動するパワーステアリング装置103、PTOクラッチシリンダ104、PTOクラッチ切替換弁105、PTOクラッチ比例圧力制御弁106などが設けられている。なお、一点鎖線部分の回路101はメイン油圧回路(作業機昇降・作業機水平や外部油圧取出しなど)となり、サブ回路(走行・ブレーキ・デフロック・PTO側回路)とあまり関係がないため、回路図の図示を省略している。
また、減圧弁81bを経由する作動油は、デフロック制御弁97を経てフロントデフ47用の前輪デフロックシリンダ98a及びリアデフ45用の後輪デフロックシリンダ98bに分岐される。
同様に、減圧弁81bを経由する作動油は、PTO用バルブ105,106を介してPTOクラッチシリンダ104に供給され、PTOクラッチEの圧力を調整する。
また図3に示す油圧ポンプ80からの油圧は、パワステアリングハンドル73の操作で作動されるオービットロール107に作動油を供給する構成である。
シリンダ85の前後一対のシリンダ85F、85R内には流入する作動油(オイル)によりそれぞれ作動するピストン78F、78Rと該ピストン78F、78Rの作動で互いに接触する複数組の摩擦板からなる前後進切替クラッチパック60、60がそれぞれ設けられている。
トラクタの操縦席16の左側には、トラクタの前進と後進の切り替えを行う前後進切替レバー115や駐車ブレーキ172、前方側のPTOチェンジレバー173a(2速−N(中立)−1速にチェンジ可能)、後方側のPTOチェンジレバー173b等を配置している。後方側のPTOチェンジレバー173bは、型式によって3種類ある(機能が異なるだけで図は同じである)。
副変速レバー179の位置が低速では、ギア137がギア139に噛み合い、伝動の流れは、副変速軸20、副変速ギヤ35、副変速カウンタギヤ38、ギア134、ギア140、ギア135、クリープカウンタギヤ49a、クリープカウンタギヤ49b、ギア136、ギア139、ギア137、出力軸3となる。
副変速レバー179の位置が中速では、ギア131がギア133に噛み合い、伝動の流れは、副変速軸20、副変速ギヤ35、副変速カウンタギヤ38、ギア134、ギア140、ギア133、ギア131、出力軸3となる。
路上走行速では副変速のレバー位置の変更はなく、高速位置の状態であり、高速の上側4段(5速〜8速)を使用する。
(表1)
ドラフト比 1 5
調整ダイヤル (左回し) (右回し)
耕深 浅くする ←→ 深くする
土質 軽い ←→ 重い
ATシフト作業スイッチ200を入りにすると、後述する自動変速(オートドライブ)が作用するが、ATシフト作業感度ダイヤル196は、この自動的に車速を増減速する自動変速の感度を変更するダイヤルであり、右側に回すと感度がアップし、左側に回すと感度がダウンする。なお、スイッチボックス180内のスイッチを操作しない場合は蓋211を閉じてスイッチボックス180内に埃などが入ることを防いでいる。
トラクタによる作業を開始すると、コントローラ100により各センサ、スイッチ類の読み込みが行われる。このときに、ATシフト路上スイッチ199が入りであること、すなわち自動変速制御であることを確認する。そして、オペレータが副変速レバー179を路上走行位置に操作して、更に主変速増減速スイッチ192a,192bを押して主変速を操作した場合(もともとメモリ100aに記憶されている最低主変速位置よりも高速(増速)側又は低速(減速)側に操作した場合、たとえば発進変速段が予め6速に設定されていた場合に6速から5速に変更)に(ステップA)、この操作された主変速位置(5速)が最低主変速位置としてメモリ100aに記憶される。
そして、そのシフトダウンした主変速位置が最低主変速位置として新たにメモリ100aに記憶されるため、次回の自動変速制御からは、走行開始時の発進変速段が当該更新された主変速位置になる。
コントローラ100は、トラクタの走行中に前回の副変速レバー179による変速段操作と同様の操作をして副変速を路上走行とし、実際に自動変速制御により自動変速走行中に主変速増速スイッチ192aによってメモリ100aに記憶されている最低主変速位置よりも増速側の主変速位置に操作した場合(シフトアップした場合)には当該増速された主変速位置を当該副変速レバー179による変速段における最低主変速位置としてメモリ100aに記憶させない処理を行うことで、例えば、自動変速制御により自動変速走行中に、現在の速度が最低主変速位置に対応する速度である場合、最低主変速位置が増速側に変更されてしまうと実際の速度が増速されてしまうが、このような不具合を防止できる。また、走行停止中であれば最低主変速位置を変更しても問題は無い。
トラクタによる作業を開始すると、コントローラ100により各センサ、スイッチ類の読み込みが行われる。このときに、ATシフト路上スイッチ199が入りであること、すなわち自動変速制御であることを確認する。そして、オペレータが副変速レバー179を路上走行位置に操作して、更に主変速増減速スイッチ192a,192bを押して主変速を操作した場合であって(ステップA)、メモリ100aに記憶されている路上走行の場合の主変速位置よりも(工場出荷時は設定初期値(初期設定変速段)が基準となる)高速(増速)側に操作した場合には、トラクタが走行中であれば、この操作された主変速位置は最低主変速位置としてメモリ100aに記憶されない。
トラクタによる作業を開始すると、コントローラ100により各センサ、スイッチ類の読み込みが行われる。このときに、ATシフト路上スイッチ199が入りであること、すなわち自動変速制御であることを確認する。そして、オペレータが副変速レバー179を路上走行位置に操作して、更に主変速増減速スイッチ192a,192bを押して主変速を操作した場合であって(ステップA)、もともと設定された安全な主変速位置である初期設定変速段(工場出荷時の設定初期値)と同じかそれよりも低速(減速)側に操作した場合には(ステップB)、この操作された主変速位置は最低主変速位置として新たにメモリ100aに記憶される。
図13に示すフローは、図11に示すフローのステップAにおいて、主変速をメモリ100aに記憶された最低主変速位置よりも増速側に操作した場合と減速側に操作した場合とを分けて示した例である。
トラクタによる作業を開始すると、コントローラ100により各センサ、スイッチ類の読み込みが行われる。このときに、ATシフト路上スイッチ199が入りであること、すなわち自動変速制御であることを確認する。そして、オペレータが副変速レバー179を路上走行位置に操作して、更に主変速増減速スイッチ192a,192bを押して主変速を操作した場合であって(ステップA)、主変速が変更されて一定時間経過後に(ステップE)、その変更操作された主変速位置が新たにメモリ100aに記憶される。ステップAにおける主変速操作があって主変速が変更されても、ステップEにおいて一定時間経過しないで更に変更された場合には、最終的に変更されてから一定時間経過した場合の主変速位置がメモリ100aに記憶される。
そして、不要な情報がメモリ100aに記憶されることを防止し、容量が限られている不揮発性ロムに余計な容量が取られることを防ぐとともに、EEPROMなどの劣化を防止できる。
トラクタによる作業を開始すると、コントローラ100により各センサ、スイッチ類の読み込みが行われる。このときに、ATシフト路上スイッチ199が入りであること、すなわち自動変速制御であることを確認する。そして、オペレータが副変速レバー179を路上走行位置に操作すると、車速センサ170(図5)により車速を検出して実際にトラクタが走行中か否かを判断する。更に、トラクタが走行中である場合は主変速操作(主変速増減速スイッチ192a,192b)の操作の有無を判断する(ステップA)。
本構成を採用することにより、自動変速と主変速増減速スイッチ192a,192bの操作が一定時間内に重なった場合でも、連続的な主変速(主変速2段減速)が防止できる。すなわち一定時間内に急な速度変更を防止するものである。
3 出力軸 4 PTO連動軸
5 前輪出力軸 6 走行カウンタ軸
7 前輪駆動軸 8 バックカウンタ軸
9 PTOカウンタ軸 10 リヤデフ軸
11 後輪軸 12 フロントデフ軸
13 前輪軸 14 PTO軸
15,17 ギヤ駆動軸 16 操縦席
18 PTO変速軸 19 主変速軸
19 主変速軸 20 副変速軸
21 クリープカウンタ軸 22 PTO正逆切替軸
23 PTO減速軸 24 PTO逆回転軸
25 前輪連動軸 26 入力軸
27 副変速カウンタ軸 28 前輪連動軸
30 アームレスト 31 入力ギヤ
32 PTO変速ギヤ 33 主変速ギヤ
34 高低速切替ギヤ 35 副変速ギヤ
36 前輪取出ギヤ 37 PTO正逆切替ギヤ
38 副変速カウンタギヤ 39 主変速カウンタギヤ
40 高低速切替ギヤ 41 前輪駆動切換ギヤ
42 前後進切替ギヤ 43 バックカウンタギヤ
44 PTO変速カウンタギヤ 45 リヤデフ
46 デフリングギヤ 47 フロントデフ
48 入力ギヤ 49 クリープカウンタギヤ
50 PTO減速ギヤ 51 前輪連動ギヤ
52 PTO逆回転ギヤ 53 ドライブピニオンギヤ
54 前輪連動ギヤ 55 前輪ギヤ
56 切替駆動カウンタギヤ 59 カウンタ軸
60 前後進切替クラッチパック
61 前輪 62 エンジン
63 後輪 65 ミッションケース
66 PTOクラッチパック 67 前輪駆動クラッチパック
73 ステアリングハンドル 76 クラッチパック
77F、77R リターンスプリング
78F、78R ピストン 80 油圧ポンプ
81a,81b 減圧弁 82a ブレーキバルブ
82b 圧力制御弁 83 ブレーキシリンダ
85 前後進クラッチシリンダ
86 前後進クラッチ比例圧力制御弁(切替弁)
86F、86R ソレノイド
89 主変速(2−4)クラッチ比例圧力制御弁
90 前後進昇圧ソレノイド
87,88,91,92 油圧クラッチシリンダ
93 主変速(1−3)クラッチ比例圧力制御弁
94 切替制御弁
95 ハイ・ロー油圧クラッチシリンダ
96a,96b 制御弁 97 デフロック制御弁
98a 前輪デフロックシリンダ
98b 後輪デフロックシリンダ
99 四駆切替クラッチシリンダ
100 制御処理装置(コントローラ)
100a メモリ 101 メイン油圧回路
103 パワーステアリング装置
104 PTOクラッチシリンダ
105,106 PTOクラッチ比例圧力制御弁
107 オービットロール 110 前進側クラッチ圧力センサ
111 後進側クラッチ圧力センサ
112 エンジン回転数センサ 115 前後進切替レバー
129 オン・オフ制御弁
130,131,133〜137,139,140 ギア
145、146 圧力センサ 167 前後進レバーセンサ
170 車速センサ 172 駐車ブレーキ
173 PTOチェンジレバー 175 アクセルペダル
175a アクセルポジションセンサ
176 アクセルレバー
177a、177b エンジン回転数記憶スイッチ
178a、178b サブコントロールレバー
179 副変速レバー 179a レバーガイド
179b 副変速路上速位置 179c 副変速高速位置
179d 副変速中速位置 179e 副変速低速位置
180 スイッチボックス 182 ドラフト比調整ダイヤル
183 上げ調整ダイヤル 184 傾き調整ダイヤル
185 4WD切替スイッチ 186 手動上げ下げスイッチ
187 PTO入り切りスイッチ
188 PTO手動自動スイッチ
189 デフロックスイッチ
190 作業機ポジションレバー
191 昇降用スイッチ(作業機昇降スイッチ)
192a、192b 主変速増減速スイッチ
194 シガーライター
195 作業機上昇・下降モニターランプ
196 ATシフト作業感度ダイヤル
197 下げ速度ダイヤル 198 ブレーキ調整ダイヤル
199 ATシフト路上スイッチ
199a ATシフト路上スイッチセンサ
200 ATシフト作業スイッチ
201 接続感度変速スイッチ
201a ランプ 202 接続感度PTOスイッチ
203 水平感度スイッチ 204 バックアップ入切スイッチ
205 オートリフト入切スイッチ
206 オートブレーキ入切スイッチ
207 水平切換スイッチ 208 3点切換スイッチ
209 オートアクセルスイッチ
211 蓋 213 メータパネル
215 表示部 A 主変速油圧クラッチ
B ハイ・ロー変速クラッチ C 副変速ギア伝動機構
D 前後進クラッチ E PTOクラッチ
T トラクタ車体
Claims (2)
- 路上走行を含む複数の変速段に変速操作が可能な副変速操作手段(179)と、
前記複数の変速段の各々の変速段から更に細かい変速段である主変速の中の主変速位置を選択する手動操作が可能な主変速操作手段(192a,192b)と、
エンジン回転数を加減するためのアクセル操作手段(175)と、
アクセル操作手段(175)の操作量に応じたエンジン回転数に対応する車速になるように前記副変速操作手段(179)により選択された変速段の中の適切な主変速位置を選択して自動で変速する自動変速機能部を有する制御装置(100)と、
前記制御装置(100)の自動変速機能部を入り切り操作するための自動変速操作手段(199)と
を設けた作業車両の変速装置であって、
前記制御装置(100)は、前記自動変速操作手段(199)により自動変速機能が入りに操作されており、前記副変速操作手段(179)により路上走行が選択され、更に主変速操作手段(192a,192b)により主変速位置が手動操作されると、該手動操作された主変速位置が前記自動変速機能部による自動変速範囲の最低速度に対応する主変速位置である最低主変速位置として記憶されるための記憶部(100a)と、
前記副変速操作手段(179)により前記路上走行が選択され、更に主変速操作手段(192a,192b)により前記記憶部(100a)によって記憶されている最低主変速位置よりも減速側の主変速位置に手動操作された場合には、前記自動変速機能部により自動変速範囲で作業車両が走行中であっても前記記憶されている最低主変速位置を前記減速された主変速位置に更新して記憶させる処理を行う更新記憶機能部を有することを特徴とする作業車両の変速装置。 - 前記副変速操作手段(179)により路上走行が選択され、前記自動変速機能部により自動変速範囲で作業車両が走行中の場合、前記制御装置(100)は、前記主変速操作手段(192a,192b)により前記記憶部(100a)によって記憶されている最低主変速位置よりも増速側の主変速位置に操作された場合には、前記増速された主変速位置を副変速操作手段(179)により路上走行が選択された時の最低主変速位置としては記憶させない処理を行う機能を有することを特徴とする請求項1記載の作業車両の変速装置。
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