以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械を、無給油式の空気圧縮機に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は空気圧縮機(スクロール式流体機械)の外殻を構成するケーシングで、該ケーシング1は、図1に示す如く軸線O1 −O1 に沿って軸方向に延び、軸方向一側が開口した有底筒状体として形成されている。そして、ケーシング1は、後述の固定スクロール2と共に固定側部材を構成するものである。また、ケーシング1の軸方向他側には、軸線O1 −O1 上に後述の出力軸8Aを有した電動モータ8が着脱可能に取付けられている。
この場合、ケーシング1は、軸方向の一側(後述の固定スクロール2側)が開口した筒部1Aと、該筒部1Aの軸方向他側に一体形成され径方向内向きに延びた環状の底部1Bと、該底部1Bの内周側から軸方向一側に向けて突出した筒状の軸受取付部1Cとから大略構成されている。そして、ケーシング1の筒部1A内には、後述の旋回スクロール4、偏心ブッシュ12、バランスウェイト13、ボールカップリング機構15等が収容されている。
また、ケーシング1の底部1B側には、後述の旋回スクロール4に付加される軸方向のスラスト荷重をボールカップリング機構15を介して受承する複数(例えば3個)の台座部1Dが設けられ、これらの台座部1Dは、ケーシング1の周方向に所定の間隔をもって配設されている。そして、各台座部1Dには、後述するボールカップリング機構15のスラスト受け16が嵌合して取付けられる取付凹部1Eが形成されている。
2はケーシング1(筒部1A)の開口端側に固定して設けられた固定スクロールで、該固定スクロール2は、図1に示す如く軸線O1 −O1 を中心として円板状に形成された鏡板2Aと、該鏡板2Aの表面に立設された渦巻状のラップ部2Bと、該ラップ部2Bを取囲む位置で鏡板2Aの外周側に設けられ、複数のボルト3等によりケーシング1(筒部1A)の開口端側に締結された筒状の支持部2Cとにより大略構成されている。
4は固定スクロール2と軸方向に対向する位置でケーシング1内に旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール4は、図1、図2に示すように軸線O2 −O2 を中心とする円板状の鏡板4Aと、該鏡板4Aの表面に立設された渦巻状のラップ部4Bと、鏡板4Aの背面(ラップ部4Bと反対側の面)側に突設され、後述の偏心ブッシュ12に旋回軸受14を介して取付けられる筒状のボス部4Cとにより大略構成されている。
また、旋回スクロール4の背面側には、例えば3個の取付凹部4D(図1中に1個のみ図示)が旋回スクロール4の周方向に間隔をもって設けられ、これらの取付凹部4Dは、ケーシング1の各台座部1D(取付凹部1E)と軸方向で対向する位置に配設されている。そして、これらの取付凹部4Dには、後述する各ボールカップリング機構15のスラスト受け18が嵌合して取付けられるものである。
ここで、旋回スクロール4のボス部4Cは、その中心となる軸線O2 −O2 が固定スクロール2の中心となる軸線O1 −O1 に対して、後述の偏心ブッシュ12により予め決められた所定の寸法δ分だけ径方向に偏心して配置されている。この状態で、旋回スクロール4のラップ部4Bは、固定スクロール2のラップ部2Bと重なり合うように配置され、これらのラップ部2B,4Bの間には、複数の圧縮室5,5,…が画成されている。
そして、旋回スクロール4は、電動モータ8により後述の回転軸9と偏心ブッシュ12とを介して駆動され、後述のボールカップリング機構15によって自転を規制された状態で固定スクロール2に対し旋回運動を行う。即ち、旋回スクロール4は、固定スクロール2の軸線O1 −O1 に対して前記寸法δ分の旋回半径をもって旋回動作するものである。
これにより、複数の圧縮室5のうち外径側の圧縮室5は、固定スクロール2の外周側に設けられた吸込口6から空気を吸込み、この空気は各圧縮室5内で旋回スクロール4の旋回動作に伴って連続的に圧縮される。そして、内径側の圧縮室5は、固定スクロール2の中心側に設けられた吐出口7から圧縮空気を外部に向けて吐出するものである。
8はケーシング1の底部1B側に設けられた駆動源としての電動モータで、該電動モータ8は、その出力軸8Aが後述の回転軸9に一体的に連結されている。そして、電動モータ8の出力軸8Aは、図1に示す軸線O1 −O1 を中心として回転することにより、旋回スクロール4を後述の回転軸9、偏心ブッシュ12等を介して旋回駆動するものである。
9はケーシング1の軸受取付部1C内に軸受10等を介して回転可能に設けられた回転軸で、該回転軸9は、図1に示す如く基端側(軸方向の他側)が電動モータ8の出力軸8Aに着脱可能に固着され、電動モータ8によって回転駆動される。また、回転軸9の先端側(軸方向の一側)には、偏心ブッシュ12と旋回軸受14とを介して旋回スクロール4のボス部4Cが旋回可能に連結されている。
また、回転軸9の基端側には、図1に示すように径方向外向きに延びるサブウェイト11が一体形成されている。そして、このサブウェイト11は、後述のバランスウェイト13と旋回スクロール4とが回転するときにそれぞれ生じる遠心力が回転軸9等を傾ける方向の外力(モーメント力)となって作用するのを打消す機能を有するものである。
12は回転軸9の先端側に設けられた段付筒状の偏心ブッシュで、該偏心ブッシュ12は、旋回スクロール4のボス部4C側を回転軸9に後述の旋回軸受14を介して偏心状態で連結している。そして、偏心ブッシュ12は、回転軸9と一体に回転し、その回転を旋回スクロール4の旋回動作に旋回軸受14を介して変換するものである。また、偏心ブッシュ12の外周側には、旋回スクロール4の旋回動作を安定させるためにバランスウェイト13が一体に形成されている。
14は旋回スクロール4のボス部4Cと偏心ブッシュ12との間に配設された旋回軸受を示し、該旋回軸受14は、旋回スクロール4のボス部4Cを偏心ブッシュ12に対して旋回可能に支持している。そして、旋回軸受14は、旋回スクロール4が回転軸9の軸線O1 −O1 に対し前述の旋回半径(寸法δ)をもって旋回動作するのを補償するものである。
15,15,…はケーシング1の底部1Bと旋回スクロール4の背面側との間に設けられた自転防止機構としてのボールカップリング機構で、これらのボールカップリング機構15は、図1に示すようにケーシング1の各台座部1Dと旋回スクロール4の各取付凹部4Dとの間に複数組(例えば、図2中に示すように3組)配設されている。そして、各ボールカップリング機構15は、後述のスラスト受け16,18と球体20等とを介してスラスト荷重を受承すると共に、後述の円筒状リング21等を用いて旋回スクロール4の自転を防止するものである。
この場合、ケーシング1と旋回スクロール4との間に設けるボールカップリング機構15は、旋回スクロール4からのスラスト荷重を受承するために、後述のスラスト受け16,18と球体20との組合せを最低3箇所だけ周方向に間隔をもって設ければよい。そして、旋回スクロール4の自転防止を行うためには後述の円筒状リング21とスラスト受け16,18との組合せを最低2箇所だけ設ければよいものである。
16はボールカップリング機構15の一部を構成する第1のスラスト受けで、該第1のスラスト受け16は、例えば剛性を有する金属材料等により図3〜図6に示す如く有底筒状体として形成され、軸方向の一側が開口し軸線X1 −X1 を中心とした円筒状の筒部16Aと、該筒部16Aの軸方向他側を閉塞する底部16Bとを含んで構成されている。
そして、第1のスラスト受け16は、図5に示す如く筒部16Aの内径Dが後述の円筒状リング21(外径D1 )よりも寸法δ分だけ大径に形成されている。また、スラスト受け16の底部16Bには、図3〜図5に示す如く後述の球体20と対向する底面側に軸線X1 −X1 を中心とした円形の溝からなる凹溝16Cが形成され、この凹溝16Cには、後述の受承板17が嵌合状態で固定して取付けられている。
また、第1のスラスト受け16には、筒部16Aの開口端から径方向外向きに突出する環状の鍔部16Dが一体に形成され、この鍔部16Dは、後述する相手方の鍔部18Dと摺動可能に接触するか、狭い隙間をもって対峙しているものである。そして、第1のスラスト受け16は、底部16B側がケーシング1(台座部1D)の取付凹部1E内に嵌合して固定されている(図1参照)。このとき、第1のスラスト受け16の軸線X1 −X1 は、ケーシング1の軸線O1 −O1 と平行に配置される。
17は第1のスラスト受け16の座面を構成する第1の受承板で、該受承板17は、例えば耐摩耗性の高い硬質材料等を用いて円板状に形成され、図3〜図5に示すように底部16Bの凹溝16C内に嵌合して取付けられている。また、受承板17の表面側には、例えば軸線X1 −X1 を中心とした円形の浅底溝からなるガイド溝17Aが形成されている。そして、このガイド溝17Aは、旋回スクロール4の旋回動作に従って後述の球体20を円形の軌跡に沿ってガイドする機能を有している。
18は第1のスラスト受け16と対向して旋回スクロール4の背面側に設けられた第2のスラスト受けで、該第2のスラスト受け18は、前述した第1のスラスト受け16と同様な材料により有底筒状体として形成され、図3〜図5に示す如く軸線X2 −X2 を中心とした円筒状の筒部18Aと底部18Bとを含んで構成されている。
そして、第2のスラスト受け18も、図5に示す如く筒部18Aが内径Dの寸法に形成されている。また、第2のスラスト受け18には、その底部18Bに軸線X2 −X2 を中心とした円形の溝からなる凹溝18Cが形成され、この凹溝18Cには後述の受承板19が嵌合状態で固定して取付けられている。
また、第2のスラスト受け18にも、筒部18Aの開口端から径方向外向きに突出する環状の鍔部18Dが一体に形成され、この鍔部18Dは、相手方の鍔部16Dと摺動可能に接触するか、狭い隙間をもって対峙する。これにより、第1,第2のスラスト受け16,18間にグリース等の潤滑剤を収容したときには、この潤滑剤が外部に漏出するのを鍔部16D,18Dによって抑える封止効果が発揮されるものである。
ここで、第2のスラスト受け18は、図1に示す如く第1のスラスト受け16と軸方向で対向して旋回スクロール4の取付凹部4D内に嵌合状態で固定されている。そして、第2のスラスト受け18は、図3〜図5に示す如くその軸線X2 −X2 が第1のスラスト受け16の軸線X1 −X1 に対して寸法δ分だけ偏心して配設されるものである。また、第2のスラスト受け18の軸線X2 −X2 は、旋回スクロール4の軸線O2 −O2 と平行に配置される。
さらに、第2のスラスト受け18は、図3〜図6に示すように第1のスラスト受け16と左,右対称な形状を有している。このため、第1,第2のスラスト受け16,18は、同一の共通部品として形成できるものである。
19は第2のスラスト受け18の座面を構成する第2の受承板で、該受承板19は、第1のスラスト受け16に設けた受承板17と同様に構成され、図3〜図5に示すように底部18Bの凹溝18C内に嵌合して取付けられている。また、受承板19の表面側には、例えば軸線X2 −X2 を中心とした円形の浅底溝からなるガイド溝19Aが形成されている。そして、このガイド溝19Aは、旋回スクロール4の旋回動作に従って後述の球体20を円形の軌跡に沿ってガイドするものである。
20は第1,第2のスラスト受け16,18間に受承板17,19を介して転動可能に設けられた球体で、該球体20は、例えば鋼球等の高い剛性をもった材料により半径R(図5参照)の球として形成されている。そして、球体20は、その外周面が受承板17,19のガイド溝17A,19Aに転動可能に当接し、後述の如く圧縮運転時に旋回スクロール4の鏡板4A等に付加されるスラスト荷重を、第1,第2のスラスト受け16,18(受承板17,19)と共にケーシング1の台座部1D側で受承するものである。
21はボールカップリング機構15の一部を構成する筒状部材としての円筒状リングで、該円筒状リング21は、図3〜図6に示すように球体20を径方向外側から取囲んだ状態で、第1,第2のスラスト受け16,18間に配置して設けられている。そして、円筒状リング21は、その内径が球体20の外径(2×R)よりも僅かに大きく形成され、円筒状リング21内で球体20が転動するのを許す構成となっている。
また、円筒状リング21は、その外径D1 (図5参照)が下記の数1式に示すように第1,第2のスラスト受け16,18(筒部16A,18A)の内径Dよりも前記寸法δ(旋回半径)分だけ小さく形成されている。そして、円筒状リング21は、その外周面が旋回スクロール4の旋回動作に伴って筒部16A,18Aの内周面に図3、図4に示す如く転がり接触し、旋回スクロール4の自転を防止する自転防止機能を発揮するものである。
また、円筒状リング21は、図3、図4に示すように軸方向両側の端面が第1,第2のスラスト受け16,18内で、底部16B,18Bの表面(内面)側に微小隙間を介して対面または摺接する構成としている。これにより、第1,第2のスラスト受け16,18内には、これらの底部16B,18Bと円筒状リング21の内周面とで囲まれる内部空間22を、球体20の周囲でグリース等の潤滑剤を保持する潤滑剤保持空間として形成できるものである。
この場合、スラスト受け16,18の底部16B,18Bと円筒状リング21の軸方向両端との間には、例えば寸法公差等による微小な隙間が形成される。このため、内部空間22内の潤滑剤は、その外側へと僅かに漏れることはある。しかし、この潤滑剤は、第1,第2のスラスト受け16,18に設けた鍔部16D,18Dの封止作用によって、外部に漏出するのが抑えられるものである。
本実施の形態によるスクロール式の空気圧縮機は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
まず、電動モータ8に外部から給電し、軸線O1−O1を中心として出力軸8Aにより回転軸9と偏心ブッシュ12とを回転駆動すると、旋回スクロール4は、例えば2組以上のボールカップリング機構15により自転を規制された状態で、所定の旋回半径(図1中の寸法δ)をもった旋回動作を行う。
これにより、固定スクロール2のラップ部2Bと旋回スクロール4のラップ部4Bとの間に画成された各圧縮室5は、外径側から内径側に向けて連続的に縮小される。そして、これらの圧縮室5のうち外径側の圧縮室5は、固定スクロール2の外周側に設けた吸込口6から空気を吸込み、この空気を各圧縮室5内で連続的に圧縮しつつ、内径側の圧縮室5から吐出口7を介して圧縮空気が外部に向けて吐出される。
また、このような圧縮運転時には、各圧縮室5内で圧縮された空気の圧力が旋回スクロール4の鏡板4Aにスラスト荷重となって作用する。しかし、ケーシング1の台座部1Dと旋回スクロール4の背面側との間には、例えば3組のボールカップリング機構15が配置され、これらのボールカップリング機構15を、第1,第2のスラスト受け16,18(受承板17,19)、球体20および円筒状リング21等により構成している。
このため、旋回スクロール4の鏡板4Aに付加されるスラスト荷重を、ボールカップリング機構15の第1,第2のスラスト受け16,18(受承板17,19)と球体20との間で受承することができ、旋回スクロール4がケーシング1の軸方向に変位したり、固定スクロール2に対し斜めに傾いたりするのを防ぎ、旋回スクロール4の旋回動作を安定させることができる。
また、本実施の形態で採用したボールカップリング機構15にあっては、第1,第2のスラスト受け16,18間で球体20を径方向外側から取囲む円筒状リング21を設け、該円筒状リング21の外径D1 (図5参照)を上記の数1式に示すように、第1,第2のスラスト受け16,18(筒部16A,18A)の内径Dよりも寸法δ(旋回半径)分だけ小さく形成する構成としている。
これにより、第1,第2のスラスト受け16,18間に配置された円筒状リング21は、その外周面が旋回スクロール4の旋回動作に伴って筒部16A,18Aの内周面に図3、図4に示す如く転がり接触し続けるので、例えば第2のスラスト受け18が第1のスラスト受け16に対して寸法δ(旋回半径)を越える位置まで変位(偏心)するのを規制できる。これによって、旋回スクロール4の自転動作を規制でき、所謂自転防止作用を発揮することができる。
また、第1,第2のスラスト受け16,18内では、円筒状リング21の軸方向両側の端面を底部16B,18Bの表面(内面)側に摺接させる構成とすることにより、これらの底部16B,18Bと円筒状リング21の内周面とで囲まれる内部空間22(図3、図4参照)を形成できる。そして、この内部空間22内には、球体20の周囲に位置してグリース等の潤滑剤を保持することができ、これによって、受承板17,19のガイド溝17A,19Aと球体20との間を長期にわたり潤滑状態に保つことができる。
しかも、第1,第2のスラスト受け16,18には、筒部16A,18Aの開口端から径方向外向きに突出する環状の鍔部16D,18Dを一体に形成し、これらの鍔部16D,18Dを互いに摺動可能に接触させる構成としている。この結果、第1,第2のスラスト受け16,18間にグリース等の潤滑剤を収容したときには、この潤滑剤がスラスト受け16,18の外部に漏出するのを鍔部16D,18Dによって抑えることができ、潤滑剤に対するシール(封止)効果を発揮することができる。
かくして、本実施の形態によれば、ケーシング1と旋回スクロール4との間に設ける各ボールカップリング機構15を、旋回スクロール4の背面側と対向する位置でケーシング1に設けられ底部16Bに受承板17を有した第1のスラスト受け16と、該第1のスラスト受け16と軸方向で対向して旋回スクロール4の背面側に設けられ底部18Bに受承板19を有した第2のスラスト受け18と、これらのスラスト受け16,18(受承板17,19)間に転動可能に設けられた球体20と、第1,第2のスラスト受け16,18間に位置して球体20を径方向外側から取囲み、それぞれの筒部16A,18Aの内周面に転がり接触して旋回スクロール4の自転を防止する自転防止用の筒状部材(円筒状リング21)とにより構成している。
このため、ボールカップリング機構15のスラスト受け16,18(受承板17,19)と球体20とにより、旋回スクロール4からのスラスト荷重を良好に受承することができ、スラスト受け16,18の筒部16A,18Aと円筒状リング21とにより、旋回スクロール4の自転防止を円滑に行うことができる。そして、このようなボールカップリング機構15を2〜3組用いることにより、ケーシング1内でのボールカップリング機構15の取付スペース(占有面積)を小さくでき、組立時の作業性を向上することができる。
即ち、この場合のボールカップリング機構15は、旋回スクロール4からのスラスト荷重を受承するために、スラスト受け16,18と球体20との組合せを最低3箇所だけ周方向に間隔をもって設ければよく、旋回スクロール4の自転防止を行うためには後述の円筒状リング21とスラスト受け16,18との組合せを最低2箇所だけ設ければよい。このため、ケーシング1内でのボールカップリング機構15の取付スペースを小さくでき、設計の自由度等を高めることができるものである。
特に、この場合のボールカップリング機構15は、スラスト荷重を受承する球体20と旋回スクロール4の自転防止を行う円筒状リング21とを、図2にも示す如く同心円状に配置することにより、旋回スクロール4の背面側における各ボールカップリング機構15の占有面積を小さく設定することができ、設計の自由度等を高めることができる。
また、ケーシング1と旋回スクロール4との間に設ける各ボールカップリング機構15の占有面積を小さくできるため、ケーシング1と旋回スクロール4との間に冷却風を流通させるときの通風抵抗を小さく低減することができ、旋回スクロール4の冷却効果を高めることができる。
しかも、スラスト受け16,18の底部16B,18Bと円筒状リング21の内周面とで囲まれる内部空間22内には、球体20の周囲に位置してグリース等の潤滑剤を収容することにより、ボールカップリング機構15に用いる球体20の潤滑性能を高めることができ、ボールカップリング機構15の耐久性、寿命を向上できる。そして、長時間にわたる無給油運転を可能とすることができ、機械の信頼性を向上することができる。
また、ケーシング1の台座部1D、取付凹部1E側には、ボールカップリング機構15のスラスト受け16以外に、旋回スクロール4の背面側を支承するための部品を設ける必要がないから、ケーシング1を製作する上での設計自由度が高くなり、部品点数を削減して、組立時の作業性を向上することができる。さらに、第1,第2のスラスト受け16,18は、図3〜図6に示すように左,右対称な形状を有しているため、同一の共通部品として形成できるものである。
次に、図7は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、筒状部材の外形状を球面状に形成し、第1,第2のスラスト受けは、筒状部材と径方向で対向して転がり接触する筒部の内周面を円錐状のテーパ面として形成する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、31は本実施の形態で採用したボールカップリング機構を示し、該ボールカップリング機構31は、第1の実施の形態で述べたボールカップリング機構15とほぼ同様に球体20と、後述する第1,第2のスラスト受け32,33および円筒状リング34等とにより構成されている。
32は本実施の形態で採用した第1のスラスト受けで、該第1のスラスト受け32は、第1の実施の形態で述べた第1のスラスト受け16とほぼ同様に構成され、筒部32A、底部32B、凹溝32Cおよび鍔部32Dを有している。しかし、この場合のスラスト受け32は、筒部32Aの内周面が底部32B側から開口端側に向けて漸次拡径する円錐状のテーパ面として形成されている点で、第1の実施の形態とは異なるものである。
33は本実施の形態で採用した第2のスラスト受けで、該第2のスラスト受け33は、第1の実施の形態で述べた第2のスラスト受け18とほぼ同様に構成され、筒部33A、底部33B、凹溝33Cおよび鍔部33Dを有している。しかし、この場合のスラスト受け33は、筒部33Aの内周面が底部33B側から開口端側に向けて漸次拡径する円錐状のテーパ面として形成されている点で、第1の実施の形態とは異なるものである。
34は筒状部材としての円筒状リングで、該円筒状リング34は、第1の実施の形態で述べた円筒状リング21とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の円筒状リング34は、前記筒部32A,33Aの内周面と径方向で対向して転がり接触する外周面が球面状に形成されている点で、第1の実施の形態とは異なっているものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第2のスラスト受け32,33間に配置された円筒状リング34は、その外周面が旋回スクロール4の旋回動作に伴って筒部32A,33Aの内周面に転がり接触し、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第1,第2のスラスト受け32,33は、同一の共通部品として形成できるものである。
しかも、本実施の形態では、円筒状リング34の外形状を球面状に形成し、第1,第2のスラスト受け32,33は、円筒状リング34が転がり接触する筒部32A,33Aの内周面を円錐状のテーパ面として形成している。このため、円筒状リング34の外周面(球面)が筒部32A,33Aの内周面に片当たりすることがなくなり、筒部32A,33Aの内周面(円錐状のテーパ面)に対する円筒状リング34の転がり接触を安定させ、より円滑な自転防止作用を発揮することができる。
次に、図8は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、筒状部材の外形状を断面が二等辺三角状をなす円錐形のテーパ面として形成し、第1,第2のスラスト受けは、筒状部材と径方向で対向して転がり接触する筒部の内周面を球面状に形成する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、41は本実施の形態で採用した自転防止機構としてのボールカップリング機構を示し、該ボールカップリング機構41は、第1の実施の形態で述べたボールカップリング機構15とほぼ同様に球体20と、後述する第1,第2のスラスト受け42,43および円筒状リング44等とにより構成されている。
42は本実施の形態で採用した第1のスラスト受けで、該第1のスラスト受け42は、第1の実施の形態で述べた第1のスラスト受け16とほぼ同様に構成され、筒部42A、底部42B、凹溝42Cおよび鍔部42Dを有している。しかし、この場合のスラスト受け42は、筒部42Aの内周面が底部42B側から開口端側に向けて漸次拡径するテーパ状の凸湾曲面からなる球面状に形成されている点で、第1の実施の形態とは異なるものである。
43は本実施の形態で採用した第2のスラスト受けで、該第2のスラスト受け43は、第1の実施の形態で述べた第2のスラスト受け18とほぼ同様に構成され、筒部43A、底部43B、凹溝43Cおよび鍔部43Dを有している。しかし、この場合のスラスト受け43は、筒部43Aの内周面が底部43B側から開口端側に向けて漸次拡径するテーパ状の凸湾曲面からなる球面状に形成されている点で、第1の実施の形態とは異なるものである。
44は筒状部材としての円筒状リングで、該円筒状リング44は、第1の実施の形態で述べた円筒状リング21とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の円筒状リング44は、前記筒部42A,43Aの内周面と径方向で対向して転がり接触する外周面が円錐状のテーパ面として形成されている点で、第1の実施の形態とは異なっているものである。即ち、円筒状リング44は、例えば断面が二等辺三角形状をなす外形状を有し、筒部42A,43Aの内周面と径方向で対向する外周面が円錐状のテーパ面により形成されている。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第2のスラスト受け42,43間に配置された円筒状リング44は、その外周面が旋回スクロール4の旋回動作に伴って筒部42A,43Aの内周面に転がり接触し、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第1,第2のスラスト受け42,43は、同一の共通部品として形成できるものである。
しかも、本実施の形態では、円筒状リング44の外形状を断面が二等辺三角形状をなすテーパ面として形成し、第1,第2のスラスト受け42,43は、円筒状リング44が転がり接触する筒部42A,43Aの内周面を凸湾曲した球面状の傾斜面として形成している。このため、円筒状リング44の外周面(テーパ面)が筒部42A,43Aの内周面(凸湾曲面)に片当たりすることがなくなり、筒部42A,43Aの内周面に対する円筒状リング44の転がり接触を安定させ、より円滑な自転防止作用を発揮することができる。
次に、図9は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、第1,第2のスラスト受けには、互いに対向して開口する筒部の間にシール手段を設け、該シール手段は、球体を潤滑状態に保持するための潤滑剤が外部に漏れるのを両スラスト受け間でシールする構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は本実施の形態で採用した自転防止機構としてのボールカップリング機構を示し、該ボールカップリング機構51は、第1の実施の形態で述べたボールカップリング機構15とほぼ同様に球体20と、後述する第1,第2のスラスト受け52,53および円筒状リング54等とにより構成されている。しかし、この場合のボールカップリング機構51は、後述するシール用の環状平板55を備えた点で前記第1の実施の形態とは異なっている。
52は本実施の形態で採用した第1のスラスト受けで、該第1のスラスト受け52は、第1の実施の形態で述べた第1のスラスト受け16とほぼ同様に構成され、筒部52A、底部52Bおよび凹溝52Cを有している。しかし、この場合のスラスト受け52は、筒部52Aの軸方向寸法(長さ)が後述の環状平板55により短く形成され、鍔部(図3中に示す鍔部16D)を廃止している点で、第1の実施の形態とは異なるものである。そして、第1のスラスト受け52は、筒部52Aの先端側が環状平板55に軸方向の微小隙間を介して対面または摺接する構成となっている。
53は本実施の形態で採用した第2のスラスト受けで、該第2のスラスト受け53は、第1の実施の形態で述べた第2のスラスト受け18とほぼ同様に構成され、筒部53A、底部53Bおよび凹溝53Cを有している。しかし、この場合のスラスト受け53は、筒部53Aの軸方向寸法(長さ)が後述の環状平板55により短く形成され、鍔部(図3中に示す鍔部18D)を廃止している点で、第1の実施の形態とは異なるものである。
そして、第2のスラスト受け53は、筒部53Aの先端側が環状平板55に軸方向の微小隙間を介して対面または摺接する構成となっている。これにより、第1,第2のスラスト受け52,53は、筒部52A,53Aの先端側が後述の環状平板55を軸方向両側から挟む位置まで延び、内部空間22内の潤滑剤が外部に漏洩するのを、環状平板55と共に抑える構成となっている。
54は筒状部材としての円筒状リングで、該円筒状リング54は、第1の実施の形態で述べた円筒状リング21とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の円筒状リング54は、その外周側に後述の環状平板55が一体形成されている点で、第1の実施の形態とは異なっている。
55はシール手段を構成する環状平板で、該環状平板55は、円筒状リング54の軸方向中間部から径方向外向きに突出した環状突起として形成され、円筒状リング54と一体成形されるものである。そして、環状平板55は、筒部52A,53Aの先端側で軸方向両側から挟まれることにより、内部空間22内で球体20を潤滑状態に保持するための潤滑剤が外部に漏れるのを、両スラスト受け52,53間でシールするものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第2のスラスト受け52,53間に配置された円筒状リング54は、その外周面が旋回スクロール4の旋回動作に伴って筒部52A,53Aの内周面に転がり接触し、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第1,第2のスラスト受け52,53は、同一の共通部品として形成できるものである。
しかも、本実施の形態では、円筒状リング54の外周側に環状平板55を一体形成し、第1,第2のスラスト受け52,53は、筒部52A,53Aの先端側が環状平板55を軸方向両側から挟む構成としている。このため、スラスト受け52,53の底部52B,53Bと円筒状リング54とにより画成された内部空間22内の潤滑剤が、その外側へと漏れた場合でも、この潤滑剤を環状平板55と筒部52A,53Aとの間でシールすることができ、外部に漏出するのを効果的に抑えることができる。
また、環状平板55を円筒状リング54に設けることにより、該円筒状リング54の倒れ防止等を良好に行うことができる。また、環状平板55のシール作用により、鍔部(例えば、第1の実施の形態で述べた鍔部16D,18D)等を不要にすることができ、第1,第2のスラスト受け52,53の形状、構造を簡略化することができる。
なお、前記第4の実施の形態では、円筒状リング54と環状平板55とを一体形成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す第1の変形例のように、円筒状リング54′と環状平板55′と別部材で構成し、環状平板55′の内周側に円筒状リング54′を嵌合して組付ける構成としてもよいものである。
しかも、この場合には、環状平板55′を弾性変形可能な軟質の樹脂材料を用いて形成することにより、第1,第2のスラスト受け52,53(筒部52A,53A)との間の隙間調整を容易に行うことができ、環状平板55′と筒部52A,53Aとの間のシール作用をより有効に発揮することができる。
また、図11に示す第2の変形例のように、円筒状リング56の軸方向寸法(長さ)を短く形成し、スラスト受け52,53の底部52B,53Bと円筒状リング56の軸方向両端との間に隙間を形成する構成としてもよい。そして、この場合には、第1,第2のスラスト受け52,53内に収容した潤滑剤が外部に漏洩するのを、円筒状リング56の外周側に一体に設けた環状平板57により、筒部52A,53Aとの間でシールして抑えることができる。
次に、図12および図13は本発明の第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、自転防止用の筒状部材が第1,第2のスラスト受けの筒部外周側にそれぞれ転がり接触する構成とし、これによって旋回スクロールの自転防止を行う構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、61は本実施の形態で採用した自転防止機構としてのボールカップリング機構を示し、該ボールカップリング機構61は、第1の実施の形態で述べたボールカップリング機構15とほぼ同様に球体20と、後述する第1,第2のスラスト受け62,63および円筒状リング64等とにより構成されている。
62は本実施の形態で採用した第1のスラスト受けで、該第1のスラスト受け62は、第1の実施の形態で述べた第1のスラスト受け16とほぼ同様に構成され、筒部62A、底部62B、凹溝62Cおよび鍔部62Dを有している。しかし、この場合のスラスト受け62は、底部62Bの外形が筒部62Aよりも大径に形成され、環状の鍔部62Dは、底部62Bの外周面から径方向外向きに突出している。
また、第1のスラスト受け62の筒部62Aは、その内径が球体20の外径よりも寸法δ(旋回半径)程度分だけ大径に形成され、相手方の筒部63Aとの間で球体20を外側から取囲んで脱落防止を行うものである。そして、筒部62Aは、図13に示す外径D2 を有し、後述する円筒状リング64の内径D3 に対して下記の数2式の如く寸法δ分だけ小径に形成されている。
63は本実施の形態で採用した第2のスラスト受けで、該第2のスラスト受け63は、第1の実施の形態で述べた第2のスラスト受け18とほぼ同様に構成され、筒部63A、底部63B、凹溝63Cおよび鍔部63Dを有している。しかし、この場合のスラスト受け63は、底部63Bの外形が筒部63Aよりも大径に形成され、環状の鍔部63Dは、底部63Bの外周面から径方向外向きに突出している。
また、第2のスラスト受け63の筒部63Aは、その内径が球体20の外径よりも寸法δ(旋回半径)程度分だけ大径に形成され、相手方の筒部62Aとの間で球体20を外側から取囲んで脱落防止を行うものである。そして、筒部63Aの外径D2 (図13参照)は、後述する円筒状リング64の内径D3 に対して寸法δ分だけ小径に形成されている。
64は筒状部材としての円筒状リングで、該円筒状リング64は、第1の実施の形態で述べた円筒状リング21とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の円筒状リング64は、その内周側が前記筒部62A,63Aの外周面と径方向で対向して転がり接触する点で、第1の実施の形態とは異なっているものである。
即ち、円筒状リング64は、その内径D3 が筒部62A,63Aの外径D2 に対して下記の数2式の如く寸法δ(旋回半径)分だけ大径に形成されている。そして、旋回スクロール4が旋回動作するときには、円筒状リング64が第1,第2のスラスト受け62,63に対して筒部62A,63Aの外周面に転がり接触することにより、旋回スクロール4の自転防止を行うものである。
また、円筒状リング64は、軸方向両側の端面が第1,第2のスラスト受け62,63の鍔部62D,63Dと微小隙間を介して対面または摺接する構成としている。これにより、第1,第2のスラスト受け62,63間には、これらの鍔部62D,63Dと円筒状リング64の内周面とで囲まれる内部空間65が形成される。そして、この内部空間65は、球体20の周囲でグリース等の潤滑剤を保持する潤滑剤保持空間として機能するものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第2のスラスト受け62,63間に配置された円筒状リング64は、その内周面が旋回スクロール4の旋回動作に伴って筒部62A,63Aの外周面に転がり接触し、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、円筒状リング64の内径を筒部62A,63Aの外径に対して寸法δ(旋回半径)分だけ大径に形成し、第1,第2のスラスト受け62,63間には、鍔部62D,63Dと円筒状リング64の内周面とで囲まれる内部空間65を潤滑剤保持空間として形成している。
このため、内部空間65内には、グリース等の潤滑剤をより多い量で収容することができ、球体20の周囲を良好に潤滑できると共に、第1,第2のスラスト受け62,63(筒部62A,63A)と円筒状リング64との間も良好に潤滑し続けることができる。また、第1,第2のスラスト受け62,63は、同一の共通部品として形成することができる。
次に、図14は本発明の第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、筒状部材の内形状を断面が二等辺三角状をなす円錐形のテーパ面として形成し、第1,第2のスラスト受けは、筒状部材と径方向で対向して転がり接触する筒部の外周面を、同じく円錐状のテーパ面として形成する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第5の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、71は本実施の形態で採用した自転防止機構としてのボールカップリング機構を示し、該ボールカップリング機構71は、図12に示す第5の実施の形態で述べたボールカップリング機構61とほぼ同様に球体20と、後述する第1,第2のスラスト受け72,73および円筒状リング74等とにより構成されている。
72は本実施の形態で採用した第1のスラスト受けで、該第1のスラスト受け72は、前記第5の実施の形態で述べた第1のスラスト受け62とほぼ同様に構成され、筒部72A、底部72B、凹溝72Cおよび鍔部72Dを有している。しかし、この場合のスラスト受け72は、筒部72Aが底部72B側から開口端側に向けて漸次拡径するテーパ状の筒体として形成されている点で、前記第5の実施の形態とは異なるものである。
そして、筒部72Aの外周面は、後述の円筒状リング74に対応する傾斜角度をもった円錐状のテーパ面として形成されている。これにより、筒部72Aの外周面(テーパ面)は、後述する円筒状リング74の内周面に対し内側から転がり接触するものである。
73は本実施の形態で採用した第2のスラスト受けで、該第2のスラスト受け73は、前記第5の実施の形態で述べた第2のスラスト受け63とほぼ同様に構成され、筒部73A、底部73B、凹溝73Cおよび鍔部73Dを有している。しかし、この場合のスラスト受け73は、第1のスラスト受け72と同様に筒部73Aが底部73B側から開口端側に向けて漸次拡径するテーパ状の筒体として形成されている点で、前記第5の実施の形態とは異なるものである。
そして、この場合も筒部73Aの外周面は、後述の円筒状リング74に対応する傾斜角度をもった円錐状のテーパ面として形成されている。これにより、筒部73Aの外周面(テーパ面)は、後述する円筒状リング74の内周面に対し内側から転がり接触するものである。
74は筒状部材としての円筒状リングで、該円筒状リング74は、前記第5の実施の形態で述べた円筒状リング64とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の円筒状リング74は、前記筒部72A,73Aの外周面と径方向で対向して転がり接触する内周面が円錐状のテーパ面として形成されている点で、第5の実施の形態とは異なっているものである。
即ち、円筒状リング74は、例えば断面が二等辺三角形状をなす内形状を有し、筒部72A,73Aの外周面と径方向で対向する内周面が円錐状のテーパ面により形成されている。また、第1,第2のスラスト受け72,73間には、これらの鍔部72D,73Dと円筒状リング74の内周面とで囲まれる内部空間75が、潤滑油保持空間として形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第2のスラスト受け72,73間に配置された円筒状リング74は、その内周面が旋回スクロール4の旋回動作に伴って筒部72A,73Aの外周面に転がり接触し、前記第5の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第1,第2のスラスト受け72,73は、同一の共通部品として形成できるものである。
しかも、本実施の形態では、円筒状リング74の内形状を断面が二等辺三角形状をなすテーパ面として形成し、第1,第2のスラスト受け72,73は、円筒状リング74が転がり接触する筒部72A,73Aの外周面を同じく円錐状のテーパ面として形成している。このため、円筒状リング74の内周面(テーパ面)を筒部72A,73Aの外周面(テーパ面)に安定して当接させることができ、円筒状リング74の倒れ防止等を良好に行うことができる。
次に、図15は本発明の第7の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、筒状部材の内形状を凹湾曲状をなす球面により形成し、第1,第2のスラスト受けは、筒状部材と径方向で対向して転がり接触する筒部の外周面を、テーパ状の凸湾曲面からなる球面状に形成する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第5の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、81は本実施の形態で採用した自転防止機構としてのボールカップリング機構を示し、該ボールカップリング機構81は、図12に示す第5の実施の形態で述べたボールカップリング機構61とほぼ同様に球体20と、後述する第1,第2のスラスト受け82,83および円筒状リング84等とにより構成されている。
82は本実施の形態で採用した第1のスラスト受けで、該第1のスラスト受け82は、前記第5の実施の形態で述べた第1のスラスト受け62とほぼ同様に構成され、筒部82A、底部82B、凹溝82Cおよび鍔部82Dを有している。しかし、この場合のスラスト受け82は、筒部82Aが底部82B側から開口端側に向けて漸次拡径するテーパ状の筒体として形成されている点で、前記第5の実施の形態とは異なるものである。
そして、筒部82Aの外周面は、後述の円筒状リング84に対応する曲率で凸湾曲状に傾斜した球面状の傾斜面(テーパ面)として形成されている。これにより、筒部82Aの外周面(凸湾曲状の傾斜面)は、後述する円筒状リング84の内周面に対し内側から転がり接触するものである。
83は本実施の形態で採用した第2のスラスト受けで、該第2のスラスト受け83は、前記第5の実施の形態で述べた第2のスラスト受け63とほぼ同様に構成され、筒部83A、底部83B、凹溝83Cおよび鍔部83Dを有している。しかし、この場合のスラスト受け83は、第1のスラスト受け82と同様に筒部83Aが底部83B側から開口端側に向けて漸次拡径するテーパ状の筒体として形成されている点で、前記第5の実施の形態とは異なるものである。
そして、この場合も筒部83Aの外周面は、後述の円筒状リング84に対応する曲率で凸湾曲状に傾斜した球面状の傾斜面(テーパ面)として形成されている。これにより、筒部83Aの外周面(凸湾曲状の傾斜面)は、後述する円筒状リング84の内周面に対し内側から転がり接触するものである。
84は筒状部材としての円筒状リングで、該円筒状リング84は、前記第5の実施の形態で述べた円筒状リング64とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の円筒状リング84は、前記筒部82A,83Aの外周面と径方向で対向して転がり接触する内周面が凹湾曲状をなす球面として形成されている点で、第5の実施の形態とは異なっているものである。
即ち、円筒状リング84は、その内周面が筒部82A,83Aの外周面に対して相補形状をなす凹湾曲面により形成されている。また、第1,第2のスラスト受け82,83間には、これらの鍔部82D,83Dと円筒状リング84の内周面とで囲まれる内部空間85が、潤滑油保持空間として形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第2のスラスト受け82,83間に配置された円筒状リング84は、その内周面が旋回スクロール4の旋回動作に伴って筒部82A,83Aの外周面に転がり接触し、前記第5の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第1,第2のスラスト受け82,83は、同一の共通部品として形成できるものである。
しかも、本実施の形態では、円筒状リング84の内周面を凹湾曲状をなす球面として形成し、第1,第2のスラスト受け82,83は、円筒状リング84が転がり接触する筒部82A,83Aの外周面を凸湾曲した球面状の傾斜面として形成している。このため、円筒状リング84の内周面が筒部82A,83Aの外周面に片当たりすることがなくなり、筒部82A,83Aの外周面に対する円筒状リング84の転がり接触を安定させ、より円滑な自転防止作用を発揮することができる。
次に、図16は本発明の第8の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、第1,第2のスラスト受けには、筒状部材の径方向内側に位置して各筒部の間にシール手段を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第5の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、91は本実施の形態で採用した自転防止機構としてのボールカップリング機構を示し、該ボールカップリング機構91は、図12に示す第5の実施の形態で述べたボールカップリング機構61とほぼ同様に球体20と、後述する第1,第2のスラスト受け92,93および円筒状リング94等とにより構成されている。しかし、この場合のボールカップリング機構91は、後述の環状平板95を備えている点で前記第5の実施の形態とは異なるものである。
92は本実施の形態で採用した第1のスラスト受けで、該第1のスラスト受け92は、第5の実施の形態で述べた第1のスラスト受け62とほぼ同様に構成され、筒部92A、底部92Bおよび凹溝92Cを有している。しかし、この場合のスラスト受け92は、筒部92Aの軸方向寸法(長さ)が後述の環状平板95により短く形成され、鍔部(図12中に示す鍔部62D)を廃止している点で、第5の実施の形態とは異なるものである。そして、第1のスラスト受け92は、筒部92Aの先端側が環状平板95に軸方向の微小隙間を介して対面または摺接する構成となっている。
93は本実施の形態で採用した第2のスラスト受けで、該第2のスラスト受け93は、第5の実施の形態で述べた第2のスラスト受け63とほぼ同様に構成され、筒部93A、底部93Bおよび凹溝93Cを有している。しかし、この場合のスラスト受け93は、筒部93Aの軸方向寸法(長さ)が後述の環状平板95により短く形成され、鍔部(図12中に示す鍔部63D)を廃止している点で、第5の実施の形態とは異なるものである。
そして、第2のスラスト受け93は、筒部93Aの先端側が環状平板95に軸方向の微小隙間を介して対面または摺接する構成となっている。これにより、第1,第2のスラスト受け92,93は、筒部92A,93Aの先端側が後述の環状平板95を軸方向両側から挟む位置まで延び、後述する内部空間96内の潤滑剤が外部に漏洩するのを、環状平板95と共に抑える構成となっている。
94は筒状部材としての円筒状リングで、該円筒状リング94は、第5の実施の形態で述べた円筒状リング64とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の円筒状リング94は、その内周側に後述の環状平板95が一体形成されている点で、第5の実施の形態とは異なっている。
95はシール手段を構成する環状平板で、該環状平板95は、円筒状リング94の軸方向中間部から径方向内向きに突出した環状突起として形成され、円筒状リング94と一体成形されるものである。そして、環状平板95は、筒部92A,93Aの先端側で軸方向両側から挟まれることにより、後述の内部空間96内で球体20を潤滑状態に保持する潤滑剤が外部に漏れるのを、両スラスト受け92,93間でシールするものである。
また、第1,第2のスラスト受け92,93間には、球体20の周囲に位置して夫々の筒部92A,93Aと環状平板95とで外側から取り囲まれる内部空間96が、潤滑油保持空間として形成されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第2のスラスト受け92,93間に配置された円筒状リング94は、その内周面が旋回スクロール4の旋回動作に伴って筒部92A,93Aの外周面に転がり接触し、前記第5の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第1,第2のスラスト受け92,93は、同一の共通部品として形成できるものである。
しかも、本実施の形態では、円筒状リング94の内周側に環状平板95を一体形成し、第1,第2のスラスト受け92,93は、筒部92A,93Aの先端側が環状平板95を軸方向両側から挟む構成としている。このため、第1,第2のスラスト受け92,93間で筒部92A,93Aと環状平板95とにより画成された内部空間96内の潤滑剤を、環状平板95と筒部92A,93Aとの間でシールすることができ、この潤滑剤が外部に漏洩するのを抑えることができる。
また、環状平板95を円筒状リング94に設けることにより、該円筒状リング94の倒れ防止等を良好に行うことができる。また、環状平板95のシール作用により、鍔部(例えば、第5の実施の形態で述べた鍔部62D,63D)等を不要にすることができ、第1,第2のスラスト受け62,63の形状、構造を簡略化することができる。
なお、前記第8の実施の形態では、円筒状リング94と環状平板95とを一体形成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図17に示す第3の変形例のように、円筒状リング94′と環状平板95′と別部材で構成し、円筒状リング94′の内周側に環状平板95′を嵌合して組付ける構成としてもよいものである。
そして、この場合には、環状平板95′を弾性変形可能な軟質の樹脂材料を用いて形成することにより、第1,第2のスラスト受け92,93(筒部92A,93A)との間の隙間調整を容易に行うことができ、環状平板95′と筒部92A,93Aとの間のシール作用をより有効に発揮することができる。
次に、図18は本発明の第9の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、筒状部材の内形状を凹湾曲状をなす球面により形成し、筒状部材の内周側には、第1,第2のスラスト受けの筒部間をシールするシール手段を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第5の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、101は本実施の形態で採用したボールカップリング機構を示し、該ボールカップリング機構101は、図12に示す第5の実施の形態で述べたボールカップリング機構61とほぼ同様に球体20と、後述する第1,第2のスラスト受け102,103および円筒状リング104等とにより構成されている。しかし、この場合のボールカップリング機構101は、後述の環状平板105を備えている点で前記第5の実施の形態とは異なるものである。
102は本実施の形態で採用した第1のスラスト受けで、該第1のスラスト受け102は、第5の実施の形態で述べた第1のスラスト受け62とほぼ同様に構成され、筒部102A、底部102Bおよび凹溝102Cを有している。しかし、この場合のスラスト受け102は、筒部102Aが底部102B側から開口端側に向けて漸次拡径するテーパ状の筒体として形成されている点で、前記第5の実施の形態とは異なっている。
しかも、この場合のスラスト受け102は、筒部102Aの軸方向寸法(長さ)が後述の環状平板105により短く形成され、鍔部(図12中に示す鍔部62D)を廃止している。そして、第1のスラスト受け102は、筒部102Aの先端側が環状平板105に軸方向の微小隙間を介して対面または摺接する構成となっている。また、筒部102Aの外周面は、後述の円筒状リング104に対応して凸湾曲状をなす円錐状の球面として形成されている。これにより、筒部102Aの外周面(球面)は、後述する円筒状リング104の内周面に対し内側から転がり接触するものである。
103は本実施の形態で採用した第2のスラスト受けで、該第2のスラスト受け103は、第5の実施の形態で述べた第2のスラスト受け63とほぼ同様に構成され、筒部103A、底部103Bおよび凹溝103Cを有している。しかし、この場合のスラスト受け103は、筒部103Aが底部103B側から開口端側に向けて漸次拡径するテーパ状の筒体として形成されている点で、前記第5の実施の形態とは異なっている。
また、筒部103Aの外周面は、後述する円筒状リング104の内周面に対応して円錐状の球面として形成されている。これにより、筒部103Aの外周面(球面)は、後述する円筒状リング104の内周面に対し内側から転がり接触するものである。しかも、この場合のスラスト受け103は、筒部103Aの軸方向寸法(長さ)が後述の環状平板105により短く形成され、鍔部(図12中に示す鍔部63D)を廃止している。
そして、第2のスラスト受け103は、筒部103Aの先端側が環状平板105に軸方向の微小隙間を介して対面または摺接する構成となっている。これにより、第1,第2のスラスト受け102,103は、筒部102A,103Aの先端側が後述の環状平板105を軸方向両側から挟む位置まで延び、後述する内部空間106内の潤滑剤が外部に漏洩するのを、環状平板105と共に抑える構成となっている。
104は筒状部材としての円筒状リングで、該円筒状リング104は、第5の実施の形態で述べた円筒状リング64とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の円筒状リング104は、前記筒部102A,103Aの外周面と径方向で対向して転がり接触する内周面が凹湾曲状をなす球面として形成されている点で、第5の実施の形態とは異なっているものである。
105はシール手段を構成する環状平板で、該環状平板105は、例えば耐摩耗性と耐熱性等に優れた樹脂材料を用いることにより円形の環状板として形成され、円筒状リング104の内周側に嵌合状態で配置されている。そして、環状平板105は、筒部102A,103Aの先端側で軸方向両側から挟まれることにより、後述の内部空間106内で球体20を潤滑状態に保持する潤滑剤が、外部に漏れるのを両スラスト受け102,103間でシールするものである。
しかも、環状平板105を弾性変形可能な軟質の樹脂材料を用いて形成することにより、筒部102A,103Aとの間の隙間調整を容易に行うことができ、環状平板105と筒部102A,103Aとの間のシール作用をより有効に発揮することができる。
また、第1,第2のスラスト受け102,103間には、球体20の周囲に位置して夫々の筒部102A,103Aと環状平板105とで外側から取り囲まれる内部空間106が、潤滑油保持空間として形成されるものである。なお、この場合の環状平板105は、円筒状リング104の内周側に一体形成してもよく、両者を別体で形成してもよいものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、内部空間106内の潤滑剤を環状平板105と筒部102A,103Aとの間でシールすることができ、前記第8の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第1,第2のスラスト受け102,103は、同一の共通部品として形成できるものである。
しかも、本実施の形態では、円筒状リング104の内周面を凹湾曲状をなす球面として形成し、第1,第2のスラスト受け102,103は、円筒状リング104が転がり接触する筒部102A,103Aの外周面を夫々球面として形成している。このため、円筒状リング104の内周面が筒部102A,103Aの外周面に片当たりすることがなくなり、筒部102A,103Aの外周面に対する円筒状リング104の転がり接触を安定させ、円滑な自転防止作用を発揮することができる。
次に、図19は本発明の第10の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、自転防止用の筒状部材を、球体を径方向外側から取囲んだ状態で軸方向両側がケーシング側と旋回スクロール側とに固定して設けると共に、該筒状部材は、軸方向の伸縮変形が規制され径方向には撓み変形することにより前記旋回スクロールの自転を防止する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、111は本実施の形態で採用したボールカップリング機構を示し、該ボールカップリング機構111は、第1の実施の形態で述べたボールカップリング機構15とほぼ同様に球体20と、後述する第1,第2のスラスト受け112,113等とにより構成されている。しかし、この場合のボールカップリング機構111は、筒状部材として後述の樹脂ブーツ114を採用している点で第1の実施の形態とは異なるものである。
112はボールカップリング機構111の一部を構成する第1のスラスト受けで、該第1のスラスト受け112は、例えば剛性を有する金属材料等により凸形状をなす中実体として形成され、その外周側には円形状のブーツ取付部112Aと、該ブーツ取付部112Aよりも大径に形成された環状のフランジ部112Bとが設けられている。
そして、第1のスラスト受け112は、フランジ部112B側が、例えば図1に例示したケーシング1(台座部1D)の取付凹部1E内に嵌合して固定されるものである。そして、このときに第1のスラスト受け112の軸線X1 −X1 は、ケーシング1の軸線O1 −O1 と平行に配置される。また、第1のスラスト受け112には、球体20と対向する面側に軸線X1 −X1 を中心とした円形の溝からなる凹溝112Cが形成され、この凹溝112Cには、第1の実施の形態で述べた受承板17が嵌合状態で固定して取付けられている。
113は第1のスラスト受け112と対向して旋回スクロール4の背面側に設けられる第2のスラスト受けで、該第2のスラスト受け113は、前述した第1のスラスト受け112と同様な材料により凸形状をなす中実体として形成され、その外周側には円形状のブーツ取付部113Aと環状のフランジ部113Bとが設けられている。
そして、第2のスラスト受け113は、フランジ部113B側が、例えば図1に例示した旋回スクロール4の取付凹部4D内に嵌合状態で固定されるものである。そして、第2のスラスト受け113は、その軸線X2 −X2 が第1のスラスト受け112の軸線X1 −X1 に対して寸法δ分だけ偏心して配設されるものである。また、第2のスラスト受け113の軸線X2 −X2 は、旋回スクロール4の軸線O2 −O2 と平行に配置される。
また、第2のスラスト受け113には、球体20と対向する面側に軸線X2 −X2 を中心とした円形の溝からなる凹溝113Cが形成され、この凹溝113Cには、第1の実施の形態で述べた受承板19が嵌合状態で固定して取付けられている。さらに、第2のスラスト受け113は、第1のスラスト受け112と左,右対称な形状を有している。このため、第1,第2のスラスト受け112,113は、同一の共通部品として形成できるものである。
114はボールカップリング機構111の一部を構成する筒状部材としての樹脂ブーツで、該樹脂ブーツ114は、例えば弾性変形が可能な柔軟性のある樹脂材料等を用いて円筒状の筒体として形成され、その内部には軸方向の伸縮変形を規制する芯線115が埋め込んで設けられている。このため、樹脂ブーツ114は、軸線X1 −X1 、軸線X2 −X2 と平行な方向には芯線115により伸縮変位が規制され、これと垂直な方向には柔軟性を維持するものである。
また、樹脂ブーツ114は、球体20を径方向外側から取囲んだ状態で軸方向の両端側が第1,第2のスラスト受け112,113のブーツ取付部112A,113Aに嵌合され、この状態で締付リング116,117によりブーツ取付部112A,113Aに締結されている。これにより、樹脂ブーツ114は、第2のスラスト受け113が第1のスラスト受け112に対して偏心方向に変位する量(偏心量)を、軸線X1 −X1 と軸線X2 −X2 との間の寸法δ(旋回半径)の範囲内に抑える機能を有するものである。
118は筒状の樹脂ブーツ114により第1,第2のスラスト受け112,113間に画成された内部空間で、該内部空間118は、球体20の周囲でグリース等の潤滑剤を保持する潤滑油保持空間を形成し、例えば受承板17,19のガイド溝17A,19Aと球体20との間に潤滑剤が供給されるのを補償するものである。
かくして、このように構成される本実施の形態では、前記第1の実施の形態とほぼ同様に旋回スクロール4の鏡板4Aに付加されるスラスト荷重を、ボールカップリング機構111の第1,第2のスラスト受け112,113(受承板17,19)と球体20との間で受承することができ、旋回スクロール4がケーシング1の軸方向に変位したり、固定スクロール2に対し斜めに傾いたりするのを防ぎ、旋回スクロール4の旋回動作を安定させることができる。
また、この場合のボールカップリング機構111にあっては、第1,第2のスラスト受け112,113間で球体20を径方向外側から取囲む樹脂ブーツ114の両端側を第1,第2のスラスト受け112,113のブーツ取付部112A,113Aに固定して設け、該樹脂ブーツ114は、芯線115により軸方向の伸縮変位が規制され、これと垂直な方向には柔軟性を維持する構成としているので、例えば第2のスラスト受け113が第1のスラスト受け112に対して寸法δ(旋回半径)を越える位置まで変位(偏心)するのを規制でき、旋回スクロール4の自転動作を抑えることによって、所謂自転防止作用を発揮することができる。
また、第1,第2のスラスト受け112,113間には、球体20を外側から取囲む樹脂ブーツ114によって内部空間118を形成しているので、この内部空間118内には球体20の周囲に位置してグリース等の潤滑剤を保持することができ、受承板17,19のガイド溝17A,19Aと球体20との間を長期にわたり潤滑状態に保つことができる。
しかも、この場合の内部空間118は、第1,第2のスラスト受け112,113と樹脂ブーツ114とにより外気等に対して遮断された密閉空間として形成することができる。このため、内部空間118内の潤滑剤が外部に漏洩するのを一層確実に防止することができ、内部空間118内の封入する潤滑剤をより低い粘度に設定することができる。
次に、図20は本発明の第11の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した図19に示す第10の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態によるボールカップリング機構121の特徴は、樹脂ブーツ114の外側にガイド部材としての筒状ガイド122,123を設け、これらの筒状ガイド122,123により樹脂ブーツ114の撓み変形を径方向の外側から規制する構成としたことにある。
ここで、筒状ガイド122,123は、第10の実施の形態で述べた締付リング116,117に替えて用いられ、その基端側に位置する締付リング部122A,123Aと、該締付リング部122A,123Aの端部から漸次拡径して形成され、その先端側が互い対向する開口端となった円錐状のテーパ筒部122B,123Bとにより構成されている。
そして、筒状ガイド122,123は、締付リング部122A,123Aにより樹脂ブーツ114の両端側を第1,第2のスラスト受け112,113のブーツ取付部112A,113Aに対して径方向外側から締結している。また、円錐状のテーパ筒部122B,123Bは、第1,第2のスラスト受け112,113間に位置する樹脂ブーツ114の主要部分を径方向外側から取囲み、第2のスラスト受け113が第1のスラスト受け112に対して偏心方向に変位する量(偏心量)を、軸線X1 −X1 と軸線X2 −X2 との間の寸法δ(旋回半径)の範囲内に抑えつつ、樹脂ブーツ114を外側からガイドする機能を有している。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、例えば第2のスラスト受け113が第1のスラスト受け112に対して寸法δ(旋回半径)を越える位置まで変位(偏心)するのを規制でき、前記第10の実施の形態とほぼ同様な効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、筒状ガイド122,123によって樹脂ブーツ114の撓み変形を径方向外側からガイドする構成としているので、所謂自転防止作用をより効果的に行うことができる。
次に、図21は本発明の第12の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、第1,第2のスラスト受け間に位置して筒状部材の径方向内側に内側のガイド部材を設けると共に、筒状部材の径方向外側には外側のガイド部材を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した図19に示す第10の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、131は本実施の形態で採用したボールカップリング機構を示し、該ボールカップリング機構131は、第10の実施の形態で述べたボールカップリング機構111とほぼ同様に、球体20、第1,第2のスラスト受け112,113および樹脂ブーツ132等を用いて構成されている。しかし、この場合のボールカップリング機構131は、後述する樹脂ブーツ132の内側と外側とに内側ガイド133と筒状ガイド134,135を設けている点で、第10の実施の形態とは異なるものである。
132はボールカップリング機構131の一部を構成する筒状部材としての樹脂ブーツで、該樹脂ブーツ132は、第10の実施の形態で述べた樹脂ブーツ114とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の樹脂ブーツ132は、内部に補強材(例えば、図19に示す芯線115)等を埋め込んではいない点で、樹脂ブーツ114とは異なるものである。
そして、この場合の樹脂ブーツ132は、後述の内側ガイド133と筒状ガイド134,135と協働することにより、例えば第2のスラスト受け113が第1のスラスト受け112に対して偏心方向に変位する量(偏心量)を、軸線X1 −X1 と軸線X2 −X2 との間の寸法δ(旋回半径)の範囲内に抑える機能を有するものである。
133は樹脂ブーツ132の径方向内側に配置されたガイド部材としての内側ガイドで、該内側ガイド133は、第1,第2のスラスト受け112,113間に球体20を径方向外側から取囲んで配置され、樹脂ブーツ132の変位に応じて第1,第2のスラスト受け112,113間を径方向に移動可能に設けられている。
そして、内側ガイド133は、例えば図7に示した円筒状リング34とほぼ同様に、その内径が球体20の外径よりも僅かに大きく形成され、内側ガイド133内で球体20が転動するのを許す構成となっている。また、内側ガイド133は、その外周面が球面状に形成され、樹脂ブーツ132の内周面に丸みをもって接触するものである。
これにより、内側ガイド133は、樹脂ブーツ132の撓み変形を径方向内側から規制するようにガイドし、第1,第2のスラスト受け112,113(受承板17,19)のガイド溝17A,19Aから球体20が脱落するのを抑えると共に、該ガイド溝17A,19Aに沿って球体20が滑らかに転動するのを補償するものである。
134,135は外側のガイド部材としての筒状ガイドで、該筒状ガイド134,135は、第11の実施の形態で述べた筒状ガイド122,123と同様に構成され、その基端側に位置する締付リング部134A,135Aと、円錐状のテーパ筒部134B,135Bとを有している。
そして、筒状ガイド134,135は、円錐状のテーパ筒部134B,135Bで樹脂ブーツ132を径方向外側から取囲み、第2のスラスト受け113が第1のスラスト受け112に対して偏心方向に変位する量(偏心量)を、軸線X1 −X1 と軸線X2 −X2 との間の寸法δ(旋回半径)の範囲内に抑えつつ、樹脂ブーツ132を外側からガイドする機能を有している。
136は筒状の樹脂ブーツ132により第1,第2のスラスト受け112,113間に画成された内部空間で、該内部空間136は、球体20の周囲でグリース等の潤滑剤を保持する潤滑油保持空間を形成し、例えば受承板17,19のガイド溝17A,19Aと球体20との間に潤滑剤が供給されるのを補償するものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、筒状の樹脂ブーツ132に対し内側ガイド133と外側の筒状ガイド134,135とを用いることにより、例えば第2のスラスト受け113が第1のスラスト受け112に対して寸法δ(旋回半径)を越える位置まで変位(偏心)するのを規制でき、前記第10の実施の形態とほぼ同様な効果を得ることができる。
特に、本実施の形態では、内側ガイド133と外側の筒状ガイド134,135とによって樹脂ブーツ132の撓み変形を径方向内側と外側からガイドする構成としているので、樹脂ブーツ132の内部に補強材(例えば、図19に示す芯線115)等を埋め込む必要がなくなり、樹脂ブーツ132の構成を簡略化することができる。
次に、図22は本発明の第13の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、スクロール式流体機械としての真空ポンプ、または背圧で旋回スクロールを固定スクロール側に押付ける方式の圧縮機に対してボールカップリング機構を適用する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、141は真空ポンプ(スクロール式流体機械)の外殻を構成するケーシングで、該ケーシング141は、第1の実施の形態で述べたケーシング1とほぼ同様に構成され、筒部141A、環状の底部141Bおよび筒状の軸受取付部141C等を有している。そして、ケーシング141は、後述の固定スクロール142と共に固定側部材を構成するものである。
142はケーシング141(筒部141A)の開口端側に固定して設けられた固定スクロールを示し、該固定スクロール142は、第1の実施の形態で述べた固定スクロール2とほぼ同様に構成され、鏡板142A、渦巻状のラップ部142Bおよび支持部142C等を有している。しかし、この場合の固定スクロール142は、後述する旋回スクロール143との間にボールカップリング機構154が設けられている点で、第1の実施の形態とは異なっている。
そして、固定スクロール142の支持部142Cには、後述の旋回スクロール143に付加される軸方向のスラスト荷重をボールカップリング機構154を介して受承する複数(例えば3個)の取付凹部142Dが設けられ、これらの取付凹部142Dは、固定スクロール142の周方向に所定の間隔をもって配設されている。
143は固定スクロール142と軸方向に対向する位置でケーシング141内に旋回可能に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール143は、第1の実施の形態で述べた旋回スクロール4とほぼ同様に構成され、鏡板143A、渦巻状のラップ部143Bおよび筒状のボス部143C等を有している。
しかし、この場合の旋回スクロール143は、固定スクロール142の取付凹部142Dと対向する位置に、例えば3個の取付凹部143D(図22中に2個のみ図示)が旋回スクロール143の周方向に間隔をもって設けられている。そして、これらの取付凹部143Dには、後述するボールカップリング機構154のスラスト受け18が嵌合して取付けられるものである。
ここで、旋回スクロール143のボス部143Cは、その中心となる軸線O2 −O2 が固定スクロール142の中心となる軸線O1 −O1 に対して、予め決められた所定の寸法δ分だけ径方向に偏心して形成されている。そして、旋回スクロール143のラップ部143Bは、固定スクロール142のラップ部142Bと重なり合うように配置され、これらのラップ部142B,143Bの間には、複数の圧縮室144,144,…が画成されている。
そして、旋回スクロール143は、電動モータ(図示せず)等により後述の回転軸149と偏心軸152とを介して駆動され、後述のボールカップリング機構154によって自転を規制された状態で固定スクロール142に対し旋回運動を行う。即ち、旋回スクロール143は、固定スクロール142の軸線O1 −O1 に対して前記寸法δ分の旋回半径をもって旋回動作するものである。
これにより、複数の圧縮室144のうち外径側の圧縮室144は、固定スクロール142の外周側に設けられた吸込口145から空気等の気体を吸込み、この気体は各圧縮室144内で旋回スクロール143の旋回動作に伴って連続的に圧縮される。そして、内径側の圧縮室144は、固定スクロール142の中心側に設けられた吐出口146から前記気体を外部に向けて吐出(排気)する。
ここで、前記吸込口145は、導管147を介して密閉容器(図示せず)等に接続され、吐出口146は、例えば大気中に配管148等を介して開放される。このため、前記密閉容器内の空気は、前述した旋回スクロール143の旋回動作に伴って導管147、吸込口145、圧縮室144、吐出口146、配管148から大気中に排出され、前記密閉容器内は、真空に近い負圧状態に保たれるものである。
149は駆動源としての電動モータ等で回転駆動される回転軸で、該回転軸149は、ケーシング141の軸受取付部141C内に軸受150,151等を介して回転可能に設けられている。また、回転軸149の先端側(軸方向の一側)には、後述の偏心軸152と旋回軸受153とを介して旋回スクロール143のボス部143Cが旋回可能に連結されている。
152は回転軸149の先端側に設けられた偏心軸を示し、この偏心軸152は、旋回スクロール143のボス部143Cに後述の旋回軸受153を介して取付けられている。そして、偏心軸152は、回転軸149と一体に回転し、その回転を旋回スクロール143の旋回動作に旋回軸受153を介して変換するものである。
153は旋回スクロール143のボス部143Cと偏心軸152との間に配設された旋回軸受で、該旋回軸受153は、旋回スクロール143のボス部143Cを偏心軸152に対して旋回可能に支持している。そして、旋回軸受153は、旋回スクロール143が回転軸149の軸線O1 −O1 に対し前述の旋回半径(寸法δ)をもって旋回動作するのを補償するものである。
154,154,…は本実施の形態で採用した自転防止機構としてのボールカップリング機構で、これらのボールカップリング機構154は、第1の実施の形態で述べたボールカップリング機構15と同様に、第1,第2のスラスト受け16,18(受承板17,19)、球体20および円筒状リング21等を含んで構成されている。
しかし、この場合のボールカップリング機構154は、固定スクロール142と旋回スクロール143との間に配設されている点で、第1の実施の形態とは異なるものである。そして、ボールカップリング機構154は、第1のスラスト受け16が固定スクロール142の各取付凹部142Dに嵌合して設けられ、第2のスラスト受け18が旋回スクロール143の各取付凹部143Dに嵌合して設けられている。
この場合、ボールカップリング機構154は、旋回スクロール143からのスラスト荷重を受承するために、スラスト受け16,18と球体20との組合せを最低3箇所だけ周方向に間隔をもって設ければよい。そして、旋回スクロール143の自転を防止するためには円筒状リング21とスラスト受け16,18との組合せを最低2箇所だけ設ければよいものである。
かくして、このように構成される本実施の形態では、スクロール式流体機械を真空ポンプ、または背圧で旋回スクロールを固定スクロール側に押付ける方式の圧縮機として用いる場合に、各圧縮室144内に発生する負圧により旋回スクロール143が固定スクロール142側に接近する方向のスラスト荷重を受けると、このスラスト荷重をボールカップリング機構154のスラスト受け16,18と球体20との間で受承することができる。
これにり、ボールカップリング機構154は、旋回スクロール143が固定スクロール142の軸方向に変位したり、斜めに傾いたりするのを防ぎ、旋回スクロール4の旋回動作を安定させることができる。また、第1の実施の形態と同様に旋回スクロール4の自転動作を抑え、所謂自転防止作用を発揮することができるものである。
なお、前記第13の実施の形態では、ボールカップリング機構154を、第1,第2のスラスト受け16,18、球体20および円筒状リング21により構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば第2〜第12の実施の形態で述べたボールカップリング機構31,41,51,61,71,81,91,101,111,121,131を、固定スクロール142と旋回スクロール143との間に設ける構成としてもよい。
また、前記第1の実施の形態では、円筒状リング21をグリース等の潤滑剤で潤滑する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば円筒状リング21(筒状部材)を自己潤滑性材料または含油材料等を用いて形成してもよく、この場合には筒状部材を特別に潤滑する必要はない。
そして、潤滑剤を用いない場合には、スラスト受け16,18の鍔部16D,18Dを廃止でき、スラスト受け16,18の形状を簡略化することができる。そして、この点は、第2,第3の実施の形態等についても同様である。
また、前記第1の実施の形態では、ボールカップリング機構15を第1,第2のスラスト受け16,18(受承板17,19)、球体20および円筒状リング21により構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば第1のスラスト受け16に該当する部分をケーシング1の台座部1D側に一体に設け、第2のスラスト受け18に該当する部分を旋回スクロール4の背面側に一体に設ける構成としてもよい。
また、受承板17,19についても、第1,第2のスラスト受け16,18と別体に形成する必要はない。そして、受承板17に該当する部分を第1のスラスト受け16と共にケーシング1の台座部1D側に一体に設け、受承板19に該当する部分を第2のスラスト受け18と共に旋回スクロール4の背面側に一体に設ける構成としてもよい。
そして、これらの点は、第2〜第12の実施の形態についても同様である。また、第13の実施の形態で述べた真空ポンプの場合には、例えば第1のスラスト受け16(受承板17)に該当する部分を固定スクロール142側に一体に設け、第2のスラスト受け18(受承板19)に該当する部分を旋回スクロール143側に一体に設ける構成としてもよいものである。
さらに、前記第1の実施の形態では、固定スクロール2と旋回スクロール4とからなるスクロール式の空気圧縮機を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば冷媒圧縮機等のスクロール式流体機械にも広く適用できるものである。