JP2009100924A - トリムカバーの吊込み止着用クリップ並びに自動車用シート - Google Patents

Abstract

【課題】吊込みコードの長手方向にズレ動き難いようクリップを取付け可能に構成し、また、クリップをパッドより露出するインサートワイヤの軸線と容易に位置合わせ可能に構成し、自動車用シートとしての商品性を向上する。
【解決手段】上向き略コ字状の基枠部６０と、基枠部６０の各突端より内側に向い合う一対の逆さ爪６１，６２と、基枠部６０の底面より相反方向に伸びるフック部６３とを備え、トリムカバー１の端末に取り付けられる吊込みコード３の長手方向縁に沿って一体に設けた膨出条３ａを基枠部６０で抱えて逆さ爪６１，６２で係止するに加え、ストッパ片６５をズレ止め用として基枠部６０の片突端より立ち上がり、且つ、少なくとも逆さ爪６１，６２の谷間を越えて基枠部６０の他突端に向かう倒Ｌ字状に設け、吊込みコード３の抜き穴３ｃに差し入れる。
【選択図】図１

Description

本発明は、トリムカバーの端末に取り付けられる吊込みコードを用い、パッド被包用のトリムカバーを吊込み止着するクリップ並びに同クリップによりトリムカバーを吊込み止着するに関するものである。

トリムカバーの吊込み止着用クリップとしては、上向き略コ字状の基枠部と、基枠部の各突端より内側に向い合う一対の逆さ爪と、基枠部の底面より相反方向に伸びるフック部とを備え、トリムカバーの端末に取り付けられる吊込みコードの長手方向縁に沿って一体に設けた膨出条を基枠部で抱えて逆さ爪で係止し、フック部をパッドより露出するインサートワイヤの軸線に掛け止めるものが既に提案されている（特許文献１）。

そのクリップは、生産ラインでのトリムカバーの組付けに先立って、吊込みコードの膨出条を基枠部で抱えて逆さ爪で係止することから、吊込みコードの長手方向に所定の間隔を隔てて複数個予め取り付け、トリムカバーと共に、生産ラインまで搬送することによりトリムカバーを吊込み止着するに用いられている。

ところが、そのクリップは吊込みコードの膨出条を基枠部で抱えて逆さ爪で係止しただけのものであるから、トリムカバーの搬送中に、カーテンレールのランナー状にズレ動いてしまい易い。このため、生産ラインでの組付け時にはクリップの位置ズレを修正してからフック部の掛止め作業を行わなければならず、組付け作業の低下を招いている。
特開２００６‐１２２５９４号公報

本発明の解決しようとする課題は、吊込みコードの長手方向にズレ動き難いようクリップを取付け可能に構成するにより、トリムカバーの組付け作業を向上するところにある。また、クリップをパッドより露出するインサートワイヤの軸線と容易に位置合わせ可能に構成することから、商品性の良好な自動車用シートを組み立てるところにある。

請求項１の発明に係るクリップは、上向き略コ字状の基枠部と、基枠部の各突端より内側に向い合う一対の逆さ爪と、基枠部の底面より相反方向に伸びるフック部とを備え、トリムカバーの端末に取り付けられる吊込みコードの長手方向縁に沿って一体に設けた膨出条を基枠部で抱えて逆さ爪で係止し、フック部をパッドより露出するインサートワイヤの軸線に掛け止めることから、パッド被包用のトリムカバーを吊込み止着するクリップにおいて、
吊込みコードの抜き穴に差し入れるストッパ片をズレ止め用として基枠部の片突端より立ち上がり、且つ、少なくとも逆さ爪の谷間を越えて基枠部の他突端に向かう倒Ｌ字状に設けたことを特徴とする。

請求項２の発明に係るクリップは、吊込みコードの長手方向に亘る基枠部の幅よりも小さく、且つ、抜き穴の長さよりも小さい幅のストッパ片をズレ止め兼位置調整用として設けたことを特徴とする。

請求項３の発明に係る自動車用シートは、請求項１又は２に記載のクリップにより、パッド被包用のトリムカバーを吊込み止着してなることを特徴とする。

請求項１の発明に係るクリップでは、ストッパ片が吊込みコードの抜き穴に差し入れられているから、トリムカバーの搬送中にも、大きく位置がズレ動くことがない。このため、位置修正に要する頻度，手間を削減できて工程タクトを守れ、また、作業者へ余計な負担を掛けることなく組付け作業に専念できるから生産効率を向上でき、更に、位置がズレ難いから、トリムカバーの安定した端末固定が可能で商品性も向上できる。

請求項２の発明に係るクリップでは、吊込みコードの長手方向に亘る基枠部の幅よりも小さく、且つ、抜き穴の長さよりも小さい幅のストッパ片を設けることから、ズレ止めと共に、位置をパッドより露出するインサートワイヤの軸線に合せて調整できるため、よりトリムカバーの安定した端末固定が可能で商品性を向上できる。

請求項３の発明に係る自動車用シートでは、請求項１又は２に記載のクリップによるトリムカバーの吊込みから、エクボ状の窪みや吊込みラインの捩れ等が生ずるのを防げ、また、組付け段階で生じたとしても、トリムカバーの外周回りを端末止着する前に、クリップをズラせて容易に修正できるから、商品性の良好な自動車用シートとして組み立てられる。

図１は、自動車用シートのシートクッションを組み立てるに適用されるトリムカバー１をクッションパッド２に吊込み止着する構造を示す。そのトリムカバー１は、クッションパッド２の座面相当部分２ａを被包する座面表皮１ａと、クッションパッド２の土手相当部分２ｂを被包する土手面表皮１ｂとの縫合せ端末１ｃを吊込み止着することからクッションパッド２を覆うよう被着されている。

トリムカバー１の端末１ｃには、玉縁状の膨出条３ａを帯布３ｂの長手方向縁に沿って設けた吊込みコード３が帯布３ｂで縫着されている。膨出条３ａは、ポリプロピレン等の合成樹脂から帯布３ｂの長手方向縁と一体に樹脂成形されている。この膨出条３ａは、四角形，逆三角形状，円形等の帯布３ｂより断面形状の大きなものであればよい。帯布３ｂは、不織布等の布地材から形成するようにできる。

クッションパッド２には、金属線材のインサートワイヤ４が軸線を窪み部２ｃで部分的に露出させて埋込み装着されている。図中、符号５はクッションパッド２の裏打ち材を示す。

トリムカバー１の端末１ｃは、クリップ６を吊込みコード３の膨出条３ａとクッションパッド２より露出するインサートワイヤ４の軸線との間に掛け止めることにより吊込み止着されている。そのクリップ６の装着個所には、抜き穴３ｃがインサートワイヤ４の露出する軸線部分に略相応するよう吊込みコード３の帯布３ｂに所定の間隔を隔てて複数個開口されている。

クリップ６としては、図２でも示すように基枠部６０、一対の逆さ爪６１，６２、フック部６３、ガイド部６４、ストッパ片６５から形成したものが用いられている。このクリップ６は、各部全体がポリプロピレンまたはポリエチレン樹脂等の合成樹脂で一体に形成されている。

基枠部６０は、吊込みコード３の膨出条３ａを抱込み保持する上向き略コ字状に形成されている。この基枠部６０は、膨出条３ａを取込み可能な内のり深さを持てばよく、外形的には略Ｕ字形を呈するようにも形成できる。一対の逆さ爪６１，６２は、基枠部６０の突端縁より内側に向かい合って吊込みコード３の膨出条３ａを基枠部６０の内側に押込み係止可能で、布帯３ｂを膨出条３ａの付け根近くで爪先端により挟み込めるよう先端側が先細りとなる下り傾斜に形成されている。

フック部６３は、インサートワイヤ４の軸線を曲り内に掛け止めるよう略Ｃ字状に形成されている。ガイド部６４は、インサートワイヤ４の軸線をフック部６３の曲り内に誘導する間隔６６を隔てて相対するよう形成されている。これらフック部６３，ガイド部６４は、基枠部６０の底面から相反方向に立ち上げて設けられている。

フック部６３は、自己形状を保持可能な肉厚を持って形成されている。ガイド部６４は、突張り剛性を保ちながらも、図３で示すようにフック部６３の略中央と相対する細幅でバネ変形可能に形成されている。両者の相対間隔６６は、インサートワイヤ４の軸線径よりも多少狭く間隔設定されている。また、フック部６３，ガイド部６４の突端側は相反する側の湾曲形状を呈するよう形成し、インサートワイヤ４の軸線を相対間隔６６の内側に受入れ易く拡開されている。

ストッパ片６５は、基枠部６０の片突端より立ち上がり、且つ、少なくとも逆さ爪６１，６２の谷間を越えて基枠部６０の他突端に向かう倒Ｌ字状に形成されている。このストッパ片６５は、吊込みコード３の長手方向に亘る基枠部６０の幅よりも小さく（Ｗ_１＞Ｗ_２）、また、図４で示すように吊込みコード３の布帯３ｂに開口する抜き穴３ｃの長さよりも小さい幅に形成されている。

ストッパ片６５の突端側を含み、上述したフック部６３，ガイド部６４の突端側は角を取るよう円形状を呈するよう形成されている。そのクリップ６に対し、抜き穴３ｃは基枠部６０の幅Ｗ_１と略同等かまたは多少長く形成するようにできる。

このように構成するクリップ６は、生産ラインでのトリムカバー１の組付けに先立って、吊込みコード３の膨出条３ａを基枠部６０で抱えて逆さ爪６１，６２で係止すると共に、ストッパ片６５を吊込みコード３の抜き穴３ｃに差し入れる（図４参照）ことから、吊込みコード３の長手方向に所定の間隔を隔てて複数個予め取り付けられる。

そのストッパ片６５が吊込みコード３の抜き穴３ｃに差し入れられていることから、トリムカバー１が生産ラインまで搬送中或いは生産ラインでの取扱い中に振動等で動くことにより、クリップ６が吊込みコード３の膨出条３ａに沿ってズレ動こうとしても、ストッパ片６５が抜き穴３ｃの穴端縁に当接するため、クリップ６は抜き穴３ｃの長さ以上に大きく位置ズレしない。

これにより、クリップ６の位置修正に要する頻度や手間を削減できて工程タクトを守れる。また、作業者へ余計な負担を掛けることなく、組付け作業に専念させられるから生産効率を向上できる。更に、クリップ６の位置がズレ難いため、トリムカバー１の安定した端末固定が可能で、自動車用シートとしての商品性も向上できる。

それに加えて、ストッパ片６５が吊込みコード３の長手方向に亘る基枠部６０の幅よりも小さく（Ｗ_１＞Ｗ_２）、また、吊込みコード３の布帯３ｂに開口する抜き穴３ｃの長さよりも小さい幅に形成されているため、クリップ６の位置をパッド２より露出するインサートワイヤ４の軸線に合せて抜き穴３ｃの穴長さで調整できることから、よりトリムカバー１の安定した端末固定が可能で、自動車用シートとしての商品性を向上できる。

トリムカバー１の組付け工程においては、相対間隔６６の開き口をインサートワイヤ４の軸線に向けてクリップ全体を押え込むと、インサートワイヤ４の軸線が相対間隔６６に入り込む。更に、クリップ全体を押え込むと、インサートワイヤ４の軸線がガイド部６４の内側縁に沿って相対間隔６６の奥側に誘導されてフック部６３の曲り内に入り込んで掛け止められる。

そのインサートワイヤ４の入り込み途上では、ガイド部６４が外方に撓み変形し、相対間隔６６が広がる。また、インサートワイヤ４の軸線がフック部６３の曲り内に入り込むと、ガイド部６４が復元することから、相対間隔６６が元のように狭まる。これにより、フック部６３はインサートワイヤ４の軸線から外れないよう確実に取り付けられる。

そのクリップ６では、複数個によるトリムカバー２の吊込みによっても、クリップ全体の定形構造からトリムカバー２の吊込み深さを一定に保てる。また、吊込みコード３の膨出条３ａに掛け止められた一対の逆さ爪６１，６２と、インサートワイヤ４の軸線に掛け止められたフック部６３とが互いに引き合い作用するところから、座者の荷重が掛っても容易に外れない。

クリップ６による吊込みから、エクボ状の窪みや吊込みラインの捩れ等が生じたとしても、トリムカバー１の外周回りをシートクッションフレーム（図示せず）に端末止着する前に、クリップ６を一対の逆さ爪６１，６２またはフック部６３のいずれかでズラせることから容易に修正できる。

クリップ６の組付け後は、フック部６３，ガイド部６４の突端側がクッションパッド２に接することから、クリップ全体が所定の取付け位置で不要にズレ動かないようフック部６３，ガイド部６４の突端側で位置決め支持できる。

図示実施の形態は、シートクッションのトリムカバー１をクッションパッド１に吊込み止着するクリップとして説明したが、シートバックのトリムカバーをバックパッドに吊込み止着する場合にも同様に適用できる。また、クリップのフック部を掛け止めるのはインサートワイヤの他に、パッドの開口から露出するテンションワイヤの軸線であってもよい。

本発明に係るクリップによるトリムカバーの吊込み構造を示す説明図である。 図１のクリップを示す側面図である。 図１のクリップを示す正面図である。 図１のクリップを吊込みコードに取り付けて示す説明図である。

符号の説明

１ トリムカバー
２ パッド
２ｃ トリムカバーの端末
３ 吊込みコード
３ａ 吊込みコードの膨出条
３ｃ 吊込みコードの抜き穴
４ インサートワイヤ
６ クリップ
６０ 基枠部
６１，６２ 逆さ爪
６３ フック部
６５ ストッパ片

Claims (3)

1. 上向き略コ字状の基枠部と、基枠部の各突端より内側に向い合う一対の逆さ爪と、基枠部の底面より相反方向に伸びるフック部とを備え、トリムカバーの端末に取り付けられる吊込みコードの長手方向縁に沿って一体に設けた膨出条を基枠部で抱えて逆さ爪で係止し、フック部をパッドより露出するワイヤの軸線に掛け止めることから、パッド被包用のトリムカバーを吊込み止着するクリップにおいて、
   吊込みコードの抜き穴に差し入れるストッパ片をズレ止め用として基枠部の片突端より立ち上がり、且つ、少なくとも逆さ爪の谷間を越えて基枠部の他突端に向かう倒Ｌ字状に設けたことを特徴とするトリムカバーの吊込み止着用クリップ。
2. 吊込みコードの長手方向に亘る基枠部の幅よりも小さく、抜き穴の長さよりも小さい幅のストッパ片をズレ止め用兼位置調整用として設けたことを特徴とする請求項１に記載のトリムカバーの吊込み止着用クリップ。
3. 請求項１又は２に記載のクリップにより、パッド被包用のトリムカバーを吊込み止着してなることを特徴とする自動車用シート。

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